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2006/11/28 [Tue] 00:30:09 » E d i t
代理出産(代理母)問題について、代理出産を求めるか否かにつき、医大生の7割が賛成しているとの記事がありました(毎日新聞11月27日付夕刊)。この記事を紹介したいと思います。


1.「毎日新聞平成18年11月27日付夕刊2面」

 「代理出産:借り腹、医学生の7割賛成…自分の立場なら実施3割--浜松医大が調査

 夫婦の受精卵を別の女性が出産する代理出産(借り腹)について、社会的に賛成できると答えた医学生が7割もいた一方、「自分が不妊夫婦の立場なら実施する」と答えたのは3割だったことが浜松医大の産婦人科医らの調査で分かった。他の生殖補助医療(不妊治療)についても、社会的には賛成できても自分が不妊夫婦なら実施しないとする回答が目立った。

 04年4月~昨年9月に、同大医学部5年の男女174人を対象に調査した。不妊治療を学んだ医学生が「自分が不妊患者になった場合にどう考えるか」を明らかにし、不妊治療がどこまで認められるかを考える参考にすることを目的とした。

 厚生労働省の生殖補助医療部会が03年の報告書で禁止を求めた代理出産については、70%の学生が「社会的に賛成できる」と答えたが、「自分なら」との答えは33%にとどまった。同省研究班による一般の男女への03年の調査では、代理出産を一般的に認めてもよいと答えた人は46%だった。また、同部会が容認の方向を示した夫婦以外の第三者の卵子、精子、受精卵を使う不妊治療については、卵子などどれを使う治療についても「社会的に賛成できる」が50%台。「自分なら」は5~10%だった。

 研究チームの竹内欽哉助手(産婦人科)は「夫婦の遺伝子を受け継いだ子どもにこだわる思いが強く、第三者がかかわる不妊治療を望まない傾向が強いようだ」と分析している。【永山悦子】

毎日新聞 2006年11月27日 東京夕刊」




2.この調査結果は毎日新聞にってショックな結果であるはずです。以前の記事において、毎日新聞社は、代理出産を行っている根津医師に対して、独自の倫理観を優先しているとして批判していたのに( 「「異端」の2医師の「独自の道徳観」は許されないのか?~毎日新聞11月20日付の記事批判」参照)、医大生は7割も賛成していたのですから。


(1) 04年4月~昨年9月に、浜松医大医学部5年の男女174人を対象に調査したとのことですから、向井夫妻の代理出産訴訟の東京高裁決定の影響がない調査です。そうなると、2006年11月の段階では、一般人でさえ代理出産を認める割合が増えているのですから、医大生ならもっと認める割合が増えているように思えます。現在の医大生では、代理出産につき8割か9割くらいが賛成しているかもしれません。


(2) 代理出産について、04年・05年の段階で浜松医大の医大生の7割が賛成していたということは、将来の医師の立場としてそれほどの賛同がある以上、代理出産につき医学上の倫理観に反しているという評価は困難であるといえます。

それゆえ、毎日新聞は、代理出産を行った根津医師に対して、「独自の倫理観で行った」として批判していましたが、その批判は一般素人の個人的感覚によるものであったことになり、その批判は説得力を欠く結果となりました。


(3) 「代理出産については、70%の学生が「社会的に賛成できる」と答えたが、「自分なら」との答えは33%にとどまった」ということは、代理出産という選択の自由は認めるべきであり、他人の選択の自由の行使は許すべきであるとしても、自分自身が選択の自由を行使しようとする人は少ないということです。

これは、選択の自由一般を認めることと、自己が行使することとの違いが理解できていることを示しています。言い換えれば、自分は行使しなくても、多様な価値観(憲法13条)や生殖に関する自己決定権は保障されるべきであるという意識をもっているということです。


(4) この記事には、

「研究チームの竹内欽哉助手(産婦人科)は「夫婦の遺伝子を受け継いだ子どもにこだわる思いが強く、第三者がかかわる不妊治療を望まない傾向が強いようだ」と分析」

という記述があります。
この調査の分析結果としては、医大生の場合は7割というかなり高い割合で代理出産を認めているのだから、一般人以上に認める傾向にあるというのが、一番指摘すべき分析であるはずです。毎日新聞はそういった分析は削除したのでしょうか?



3.毎日新聞の記事は、出だしを

「夫婦の受精卵を別の女性が出産する代理出産(借り腹)について、社会的に賛成できると答えた医学生が7割もいた一方、「自分が不妊夫婦の立場なら実施する」と答えたのは3割だった……。他の生殖補助医療(不妊治療)についても、社会的には賛成できても自分が不妊夫婦なら実施しないとする回答が目立った。」

とし、「自分が不妊夫婦なら実施しないとする回答が目立った」と強調するため、なるべく代理出産を認めない方向に促したいようです。

しかし、医大生であれば、代理出産を実際に実施する場合、現実的にはかなり大変であることを知っているはずなので(又は知りうる立場にあるので)、自分なら実施しないかもしれないということだと思われます。
毎日新聞社が代理出産を認めないという「独自の倫理観」を有しているとしても、医大生は「毎日新聞の独自の倫理観」と同じ倫理観でもって、自分が不妊夫婦の場合に代理出産を実施しないわけではないのです。「独自の倫理観」か否かで是非を決するのではなく、現実を踏まえたうえでの具体的な検討が必要なのです。



<追記>

「動画ニュース ライブ! アーカイブページ」の「2006年10月19日どう思う?代理母出産」を見ると、慶應義塾大学医学部名誉教授・日本受精着床学会名誉会長の飯塚理八氏は、自分の名前で不妊学会において、20年前に代理出産の是非にアンケートをしたそうです。そうしたら、20年前の段階で、会員の48%が賛成し、ただ金銭が絡むと複雑になるので肉親の間で容認するとしていたそうです。この結果を、産科婦人科学会、泌尿器科学会に手紙を出したが、まったく反応がなかったそうです。


<11月30日追記>

飯塚氏のコメントは、記憶違いのようです。アンケートは20年前ではなく14年前、ホストマザー賛成も48%ではなく45%です。コメント欄(Canonさんのコメント)参照。Canonさんに感謝します。

テーマ:医療・健康 - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
春霞様 また出てきてしまいました。
毎日新聞は、代理出産については、やや批判的記事が多いようです。
特に、永山悦子記者は、春霞さんが前にも紹介されましたように、徹底して批判記事を纏めています。
他の例:http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20061030ddm003040056000c.html
1991年入社の中堅記者(科学環境部、部長:瀬川至朗氏)のようですが、もう少し勉強して欲しいと思います。
自分ではやらないという意見は、社会基盤の問題、特に生まれた子の差別などの問題が背景にあると思います。

<追記>について
ビデオ見ました。かなり公平で厳密な報道で嬉しくなりました。
しかし、年代については、飯塚先生の記憶に曖昧な点があると思います。

代理出産の米国と日本の略歴を示します。
http://www.arsvi.com/0g/r01006.htm 他
 米国で最初の代理出産: 1976
 アメリカで最初の合法的な代理母: 1980
 米国の事情を取材した初期のルポルタージュ(松原惇子): 1983
 飯塚理八氏社団法人日本不妊学会理事長就任、倫理委員会を設置:1988
 代理出産情報センター(鷲見ゆき代表)が日本人夫婦が米国人代理母により出産、実子として届け出たことを公表:1992
 根津医師が国内初の代理出産:2001
20年前の1986年ですとまだ日本国内では認知度も低く、不妊学会に倫理委員会が設置される2年も前の事になってしまいます。

一方、不妊学会(現日本生殖医学会)では、1992(H4)に会員にアンケートを実施した旨既述されています。
金銭が絡むと複雑になるという趣旨も書かれています。ホストマザー賛意は約45%です。
http://www.jsrm.or.jp/funin/guideline/1992.html#1992.11.5

ですから、不妊学会がアンケートを実施したのは、1992(H4)が妥当と思いますが如何でしょうか。
従って、20年前ではなく14年前、ホストマザー賛成も48%ではなく45%ではないでしょうか。

なお、4年前の2002(H14)の朝日新聞の世論調査では、ホストマザーは条件付も含めて認めるべきという回答は64%です。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/07/s0726-10d.html

2003年の厚労省の特別研究での調査結果は、各技術の是非に条件付賛成の選択肢が無いという点で問題があると思います。
http://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/db/tokubetu02/

いずれにしても、認めるべきという声は、着実に増加してきていますね。
2006/11/28 Tue 20:04:51
URL | Canon #yYfDAmAg[ 編集 ]
>Canonさん
コメントありがとうございます。お返事が遅れてすみません。

>毎日新聞は、代理出産については、やや批判的記事が多いようです。
>永山悦子記者は、春霞さんが前にも紹介されましたように、徹底して
>批判記事を纏めています。

情報ありがとうございます。代理出産を実施している国があり、禁止している国(フランス、ドイツ)から米国に代理出産を依頼しに行くという事実がある以上、そこには一方的に批判できない事情があるわけです。どうもそのことが毎日新聞は理解できないように感じられます。

代理出産は、特に医療の面と法律の面からの検討が必要ですが、毎日新聞は法律面の理解が乏しい点が問題です。代理出産問題に限らず、毎日新聞の社説が法律面に言及するときは、法的に無茶苦茶な主張だったりします。困ったものです。


>しかし、年代については、飯塚先生の記憶に曖昧な点があると思います。

確かに、記憶違いのようです。訂正をしておきます。
詳しい情報ありがとうございます。


>認めるべきという声は、着実に増加してきていますね。

そうですね。そういう声にも配慮した、報道をしてほしいですね。
2006/11/30 Thu 01:35:59
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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2006/11/28(火) 21:55:50 | 雑談日記(徒然なるままに、。)
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