FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
06« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»08
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2006/11/27 [Mon] 17:32:35 » E d i t
2002年に内閣府と京都大が開いた「大学発タウンミーティング」で、内閣府が開催前に大臣への想定問答を作って、京大に「やらせ質問」を頼んでいたことが判明しました。この報道についてコメントしたいと思います。

1.まずは報道記事から。この記事について、時事通信、読売新聞、東京新聞、毎日新聞で掲載していましたが、毎日新聞は数行しか紹介していないので、ここでは3つを紹介します。

(1) 「時事通信」時事ドットコム:2006/11/25-18:30

 「2006/11/25-18:30 京大にも「やらせ」要請=教授が質問-02年のタウンミーティング

 2002年11月に京都市内で開かれた政府主催の「大学発タウンミーティング」で、内閣府が京都大学に対し、細田博之科学技術担当相(当時)への質問者の推薦を依頼した上で、3通りの「質問案」を提示していたことが25日分かった。京大は事前に質問者として同大教授を選び、質疑の冒頭で依頼通りの質問をした。

 このタウンミーティングは、地域、大学、産業の連携などがテーマで、内閣府と京大の共催で開かれた。京大は開催日の約1週間前に質問を依頼され、教授が3つの質問案から1つを選び「ベンチャー企業の創出は、日本経済の活性化のために必要であると思うが、政府としては、どのような取り組みを行っているのか」と質問した。」



(2) 「読売新聞11月25日付夕刊2面(YOMIURI ONLINE:京都」

 「京大にもやらせ質問 タウンミーティング

 2002年11月に京都市内で開かれた政府の「大学発タウンミーティング」で、内閣府が開催前に共催の京都大に対し、質疑の冒頭の質問者の推薦を依頼し、3種類の“模範質問”を提示していたことがわかった。京大側は事前に学内の教授を選んで内閣府に氏名などを伝えたうえで、この教授が会場で依頼通りの質問をしていた。

 京大によると、「ベンチャー企業の創出は日本経済の活性化のために必要であると思うが、政府としてはどのような取り組みを行っているか」との質問を選んで内閣府に事前通告。こうした質問持ちかけについて当時、内閣府は「議論を活発にするため」と説明していたという。

 さらに、参加申し込みが少なかったことから、内閣府は京大に90人分の参加者リストを要請。京大は学内関係者ら25人分の氏名などを提出したという。

 このほか、05年11月に同市内で開かれた「親子タウンミーティング」でも、京都市教委が内閣府と話し合ったうえ、小、中学生、高校生と大人計5人の質問者を確保。名前、質問の趣旨などを事前に内閣府に伝えたという。当日は、このうち4人が「京都の伝統産業を受け継ぐにはどうすれば」などと質問した。

 内閣府大臣官房タウンミーティング担当室は「現在調査中で個別の案件には答えられない」としている。

(2006年11月25日 読売新聞)

*夕刊では、「教育改革タウンミーティング以外で、質問案の事前提示などの「やらせ質問」が判明したのは初めて。」という記述があったが、「親子タウンミーティング」関係の記述はなかった。」



(3) 東京新聞11月26日付(日曜)1面

京大でも動員 内閣府依頼 想定通り教授質問

 京都市で2002年11月に内閣府と京都大が開いた「大学発タウンミーティング」で、内閣府が開催前に大臣への想定問答を作り、京大に「やらせ質問」を頼んでいたことが25日、分かった。

 京大は質問者に教授を選び内閣府に連絡。当日は教授が想定問答通りの質問をしていた。

 テーマは産学連携などで、細田博之・科学技術政策担当相(当時)や長尾真・京大学長(同)らが出席。会場から教授が「ベンチャー企業の創出と育成は日本経済の活性化にとって必要だと思うが、政府としてどのような取り組みを行っているのか」と質問した。

 京大によると02年10月25日に内閣府からの依頼で教授を決定。30日に3種類の想定問答から1つを選び内閣府に提出した。

 また内閣府は京大に「参加者数が芳しくない」と90人ほどの参加者リストを要望。京大は25人分のリストを提出したという。

 京大は「当時の担当者がいないので詳細は記録でしか分からない」と話している。」




2.1面で扱ったのは東京新聞だけでしたが、京大でも「やらせ質問」があったことは、非常に問題であって、1面で扱うだけの価値のある記事です。それは、民主主義の原点というタウンミーティングの意義を損なうだけでなく、大学自ら憲法23条(学問の自由)で保障している「大学の自治」を放棄するものだからです。

「大学の自治」は、大学での研究教育を十分に達成するために、大学の内部の組織・運営を大学の自主的な決定に委ね、外部勢力の干渉を排除することにあります(戸波「憲法」280頁)。

国が、「やらせ質問」を行う質問者を依頼し、国の依頼通りの「やらせ質問」を行うのにもかかわらず、やらせ質問者でないことを装って質問をしたのです。京大は内閣府と共催とはいえ、大学で行う集会において、国の介入のまま、言われるままに行動したのですから、外部の干渉を排除せず、京大教授が国の言われるままの質問を行い、大学内での質問という学問研究に密接な活動について、大学の自主的決定を放棄したのですから、「大学の自治」を自ら放棄したものといえます。

しかも、内閣府の依頼通りの質問であったのに、京大以外の参加者にとっては、教授自身が自ら考えた質問であると誤信したはずですから、虚偽の情報を聞かされたことになり、参加者の学問の自由(憲法23条)を害するものと評価できると思います。

大学は、社会に対して開かれた存在であるべきで、教育研究に関する社会的責任を果たす責務を負っているのですから(憲法の争点127頁)、虚偽の情報を流すことは、大学が負っている社会的責任を損なうものであるといえるでしょう。




3.この京大での「やらせ質問」の場合、幾つもの段階で中止することが可能でした。

(1)

「内閣府が開催前に共催の京都大に対し、質疑の冒頭の質問者の推薦を依頼」

した段階で、京大はなぜ協力しないと拒絶しなかったのでしょうか?

共催として発表側として協力することは当然としても、それ以上の協力、タウンミーティングは本来、自由に質問を行うものですから、質問者側まで人選することは過剰な協力というべきです。


(2) 

「3種類の“模範質問”を提示していたことがわかった。京大側は事前に学内の教授を選んで内閣府に氏名などを伝えた」

そうですが、その段階でなぜ自由であるべき質問者を伝えたのでしょうか?
タウンミーティングは本来、自由に質問を行うものですから、模範質問を提示された段階で、タウンミーティングを意義を損なうと、気づくべきでした。大学も共催である以上、質問という学問研究に関わるものであることからすれば、大学の自治の観点から、協力すべきではなかったのに、その点も気づかなかったのです。
模範的な想定問答が必要であったのなら、最初から主催者側として発表すればよかったのであって、「やらせ」想定問答をする必要はなかったのです。


(3)

「この教授が会場で依頼通りの質問をしていた」

そうですが、なぜ依頼通りではしないと国に拒絶しなかったのでしょうか?
依頼通りの質問であるのに、依頼を受けていない質問者を装ったのですから、タウンミーティングの意義を損ないます。この教授は、依頼通りの質問をすることについて抵抗がなかったでしょうか? この教授自身の学問の自由を損なう行動であるのに。


(4)問題はさらにあります。

「さらに、参加申し込みが少なかったことから、内閣府は京大に90人分の参加者リストを要請。京大は学内関係者ら25人分の氏名などを提出したという」

ということですが、25人分の同意は得たのでしょうか? 同意を得たうえで提出してないと、この参加者のプライバシー権(憲法13条)を侵害することになります。




4.京都大学は、官僚を多数輩出する東京大学と異なり、国の主張と異なる独自の主張ができる立場のはずです。しかし、内閣府の依頼のまま行動してしまいました。京都大学は、大学としての気骨を失って、腑抜けになってしまったようです。

「大学発タウンミーティング」に限らず、京都大学は色々な面で国と協力しているのでしょうから、その一貫として特に疑問を感じなかったのだと思います。しかも共催であることから、全面的な協力をしたと思えます。

しかし、学問の自由を保障され、国の権力的介入を排除する「大学の自治」を保障された大学としては、国に協力できる範囲が限られるはずなのです。しかも、タウンミーティングは民主主義の原点なのですから、法学部の存在する京都大学では「やらせ質問」を行うことへの疑問をすぐに意識すべきでした。しかし、京都大学は、「当時の担当者がいないので詳細は記録でしか分からない」と話しており、自らの行動についてなんら反省をしていないようです。



京都大学の場合ではありませんが、入学を辞退した大学に納めた授業料などの返還が認められるかどうかが争われた「学納金返還訴訟」の上告審判決が11月27日、ありました。

最高裁第二小法廷は、消費者契約法施行後の02年度入試以降に受験し、3月31日までに辞退した人たちについては、授業料などを返還するよう大学側に命じたのです。要するに、大学側がずっと行ってきた「ぼったくりを止めろ」というわけです。(京大の場合ではないとはいえ)ずっと「ぼったくり」を行ってきた大学に、大学としての社会的責任を自覚し、反省し、良識を求めるなど無理なことなのかもしれません。

テーマ:社会ニュース - ジャンル:ニュース

憲法 *  TB: 1  *  CM: 0  * top △ 
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/205-966e6a22
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
  25日はPCが不調で更新できませんでした。覗いて下さった方々、すみません。少し休ませておいたら、やや回復したようです。 一部、TBができないところがあります。またコメントのお返事が遅れています。お返し&レスできていない方、すみません。m(__)m 書きたい
2006/11/29(水) 00:20:14 | 日本がアブナイ!
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。