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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2010/02/25 [Thu] 01:41:32 » E d i t
1987年の国鉄の分割民営化の際、民営化に反対した組合員ら1047人ががJRに採用を拒否された問題について、与党3党と公明党は、<1>組合員1世帯当たりおよそ2900万円の支払うこと、<2>55歳以下の組合員およそ約230人分の雇用確保をJR各社に求めること、を盛り込んだ救済案をまとめました。

「与党3党と公明党は、党内手続きを進めた上で政府側に示すことにしており、分割民営化以来解決の道筋が見えなかった問題が、23年ぶりに大きく動き出す」(TBSニュース2010年2月24日16:58)ことになりました。




1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成22年2月24日付朝刊28面

JR不採用政治決着へ  4党合意案 解決金は270億円
2010年2月24日 朝刊

 一九八七年の国鉄分割・民営化に伴い、国労組合員ら千四十七人がJRに不採用となった問題で、政府与党三党と公明党の担当者が二十三日会合を持ち、国鉄の債権、債務を引き継いだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対し、裁判中の原告約九百人に計約二百七十億円の解決金を支払うよう求めるとともに、JR各社には約二百三十人分の雇用確保を要請するとの和解案のたたき台をまとめた。

 各党に持ち帰って検討し、三月初めにも政府側に要請する。

 不採用問題をめぐり具体的な解決金が示されたのは初めて。和解案が提示されれば国労側は受け入れる見通しで、これまで政治、司法の両面で解決できなかった問題が、二十三年ぶりの決着に向け大きく動きだした。

 和解案では、不採用者を「人道的観点から救済する」と位置付け、国労側と機構の双方が合意書に調印する。関係者によると、国労側の訴訟取り下げが条件。政府は機構に一人当たり計二千九百五十万円(うち年金千三百万円、解決金千六百五十万円)の支払いを求めた上で、不採用者が設立した十八の事業会社に計十八億円の支援金を拠出。JRなどへの就職を希望する五十五歳以下の組合員約二百三十人の雇用もJRに要請する。

 慰謝料と年金の一人当たりの合計額は機構に対する不採用訴訟の一審、二審判決で賠償義務が認定された五百五十万円とその利子などを基に設定した。

 国鉄分割・民営化をめぐっては約七千六百三十人が不採用となり、うち千四十七人が九〇年に国鉄清算事業団を解雇された。

 中央労働委員会は不当労働行為を認め、JRに職務復帰などを命じたが、二〇〇三年の最高裁判決はJRに採用責任はないとした。」



(2) 毎日新聞平成22年2月24日付東京朝刊1面

JR不採用問題:与党と公明が解決案
270億円支払い、230人雇用

 87年の国鉄分割・民営化に反対した国鉄労働組合(国労)の組合員ら1047人がJRに採用されず、3年後に旧国鉄(国鉄清算事業団、現在は独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構)からも解雇された問題で、与党3党と公明党の各担当者は23日、会合を開き、政治解決に向けた素案をまとめた。戦後最大の労働問題とされる不採用問題を巡っては、組合員側が解雇撤回などを求める訴訟を争っているが、約23年ぶりに政治決着する方向で大きく動き出した。今後、政府の最終的な解決案が焦点となる。

 関係者によると、担当者が各党に持ち帰って検討し、3月上旬に国土交通省など政府に要請する。素案は「人道的観点から救済する」とした上で、同機構が▽解決金として1世帯当たり約1600万円▽解雇で消滅した期間の年金相当分として約1300万円--など計約270億円を組合員側に支払う。また、不採用者が設立した18の事業体に各1億円の支援金を提供することや、55歳以下の組合員約230人の雇用もJR各社に要請する。

 組合員側によると、救済の対象となるのは現在、約910世帯。4党案を基本的に受け入れ、訴訟を取り下げる構えという。

 組合員側が旧国鉄を相手取った訴訟では、「所属組合による採用差別があった」と認め、賠償を命じる地・高裁判決が計3件ある一方、「時効(3年)が成立」として敗訴したケースもある。いずれも双方が控訴したり、最高裁に上告している。【坂本高志、松谷譲二】

==============

 ■ことば

 ◇JR不採用問題


 国鉄分割・民営化では北海道、九州の国労組合員を中心に約7600人がJRに採用されなかった。中央労働委員会は最終的に国鉄清算事業団にも解雇された1047人の大半について選考見直しや採用を命じたが、JR側は行政訴訟を起こし、03年に最高裁で「JRに採用責任はない」とした判決が確定。現在は旧国鉄を相手取った6件の訴訟が係争中。

毎日新聞 2010年2月24日 東京朝刊」



(3) 毎日新聞平成22年2月24日付東京朝刊2面

解説:JR不採用 解決へ「ラストチャンス」 組合員高齢化進む

 JR不採用問題について、与党と公明党が政治解決に向けたたたき台をまとめた背景には、国鉄分割・民営化から23年が経過した今も放置され、問題が長期化していることがある。国鉄改革の国会審議で当時の中曽根康弘首相は「一人も路頭に迷わせない」と述べたが、果たされないままで、国際労働機関(ILO)も政治的、人道的見地からの解決を促してきた。

 解雇された1047人は政治、行政、司法のはざまで翻弄(ほんろう)されてきた。全国の地方労働委員会はJRの「不当労働行為(採用差別)」を認めたが、最高裁は03年、「差別があった場合の責任は旧国鉄」と、JRを免責した。また、00年に自民、公明、保守の与党3党と社民党が「JRに法的責任なし」と認めた上で、雇用や和解金を検討するとの「4党合意」を示したことがあるが、国労が内部をまとめられず頓挫した。

 現在、平均57歳と高齢化した組合員の多くは「今回がラストチャンス」と受け止める向きが大半だ。4党合意時と異なり、採用差別を認めた三つの司法判断があるという支えのほか、左派系労組への抵抗感が強かった自民党が下野した今しかないとの思いもある。

 これまで裁判所が認めた賠償額は最大で1人550万円で、解雇無効とした判断はないが、4党案は「路頭に迷わない内容」を求める組合員側に一定の配慮をみせた。だが、鳩山内閣がたたき台を大きく後退させるようであれば、組合員側が裁判闘争にUターンし、自民党時代の「負の遺産」をいたずらに延ばす可能性も残る。【坂本高志】

毎日新聞 2010年2月24日 東京朝刊」



(4) NHKニュース:2月24日 12時12分

組合員のJR不採用で解決案

2月24日 12時12分
 昭和62年の国鉄の分割民営化の際、民営化に反対した労働組合の組合員などがJRに採用されなかった問題について、与党3党と公明党の担当者は、1世帯当たりおよそ1600万円の和解金を支払うことなどを盛り込んだ解決案をまとめ、政府側と調整を行うことになりました。

 この問題は、昭和62年に国鉄が分割民営化されJRに移行した際に、国労=国鉄労働組合の組合員など1000人余りがJRに採用されなかったものです。

 この問題をめぐって、民主党、社民党、国民新党の与党3党と公明党の担当者は、「組合員も高齢化し、人道上の観点からも早急に救済策をまとめる必要がある」として、4党としての解決案を取りまとめました。それによりますと、国鉄の業務を引き継いだ、独立行政法人「鉄道・運輸機構」が、採用されなかった組合員に対し、1世帯当たりおよそ1600万円の和解金を支払うことや、組合員が設立して運営している、18の事業体に対し、あわせて18億円程度の財政支援を行うこと、それにJR各社や関連会社への組合員の採用の確保を求めること、などが盛り込まれています。

 与党3党と公明党は、それぞれの党内の了承を得たうえで、近く、この解決案を国土交通省など政府側に示し、調整を行うことにしています。」





2.こうした政治の動きを報道で聞くと、つくづく政権交代してよかったと感じます。

(1) JR不採用問題については、労働組合嫌い、共産党嫌いの自民党政権下では、政治の側が十分な問題解決を示すことはありませんでした。00年に自民、公明、保守の与党3党と社民党が雇用や和解金を検討するとの「4党合意」を示したことがあるとしても、雇用や和解金の支払いの確約はなく、空手形のような「合意」でした。ですから、政権交代、正確に言えば、自民党が野党になったことで、23年もたってやっとこの問題が解決する方向に動きだしたのです。

もちろん、問題解決が長期化した大きな要因は、政治の側だけの責任ではなく、裁判所の判断にもあります。「全国の地方労働委員会はJRの『不当労働行為(採用差別)』を認め、「中央労働委員会は最終的に国鉄清算事業団にも解雇された1047人の大半について選考見直しや採用を命じた」のに、JR側は行政訴訟を起こし、03年に最高裁で「JRに採用責任はない」とした判決が確定」(毎日新聞)したのです。これでは、最高裁自身が、思想に基づく差別的な採用という、思想良心の自由(憲法19条)・平等原則違反(憲法14条)を事実上、許してしまったことになります。

「組合員1世帯当たりおよそ2900万円の支払」で足りるのかというと疑問はあります。なぜなら、23年も苦労させられた国鉄労働組合(国労)の組合員にとって、もし23年間、他の組合員と同じように職場で働いていたら、2900万円以上報酬を得ていたはずだからです。

それでも、「裁判所が認めた賠償額は最大で1人550万円で、解雇無効とした判断はない」(毎日新聞)のですから、そうした裁判所の判断に比べれば、組合員1世帯当たりおよそ2900万円の支払があり、55歳以下の組合員およそ約230人分の雇用確保をJR各社に求める案は、裁判所の判断よりは十分にまともな救済案なのです。



(2) 正直なところ、なぜこうした問題が起きるのか、疑問に感じます。

憲法は28条で、労働者に団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)という3つの権利を保障して、一人では使用者と対等に渡り合うことが難しい労働者がまとまって様々な行動を起こせるようにして、労働者全体と使用者が、労働条件の決定について対等な影響力を行使できる可能性を保障しています(伊藤雅康ほか「現代憲法入門」90頁)。争議行為の1つである「ストライキ」(労務不提供、仕事を一切しない)をすることも、労働条件の改善を求めてのことであれば、適法な行為なのです。ですから、国労がストライキに積極的であったりしても問題はないのに、不利益に扱ってしまうことこそ問題があります。

そんな憲法論を振りかざさなくても、資本主義社会のあり方からすれば、十分な労働力を提供して収益をあげることに貢献する者であれば、高い評価を受けるはずであって、それで十分なのです。ですから、労働者自身がいかなる思想を持っていようが、国鉄の分割民営化の際、民営化に反対していようが、労働力の提供さえ十分にできるのであれば、何も問題はないはずなのです。

十分に労働力を提供できる者であっても、国労に所属していただけで懲罰的に新会社から閉め出すことは、資本主義社会のあり方に反するものであって、当事者であるその新会社や労働者はもちろん、裁判闘争を続けざるを得ないという点も含めて大きな社会的損失であって、実に馬鹿げた行為にしか思えないのです。

中国の指導者であった小平氏は、「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」と述べています。思想がどうであれ、経済発展に寄与できるのであれば、国にとって有益なことである――。現実を直視すれば、社会主義国である中国の指導者さえもこうした主張をするのです。

なのに、資本主義国である日本では、なぜ、自民党政権は、思想による差別を当然視し、23年もの間にわたり社会的な損失を生じさせてきたのか、不思議でなりません。自民党政権は、経済的利益よりも思想を優先した政策を採ってきたのですから、ある意味、中国よりも社会主義国的な政権であったといえるかもしれません。 

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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2010/03/28(日) 21:39:01 | 村野瀬玲奈の秘書課広報室
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