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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2010/02/16 [Tue] 23:59:30 » E d i t
天皇陛下は平成21年12月15日午前、皇居・宮殿「竹の間」で、中国の習近平(シー・チンピン)国家副主席と会見しました。天皇陛下と外国要人との会見は1か月前までに申請を受け付けるという政府内の慣行があったのですが、この慣行を外れたものでした。

この例外的な対応について、宮内庁の羽毛田信吾長官は平成21年12月11日午後、記者団に対し、「二度とあってほしくない」「憲法下の陛下の基本的なあり方にもかかわる」とまで言い切り、天皇の政治利用の観点から懸念を表明したことを発端として、天皇陛下の会見は政治問題と化して多くの論議が巻き起こり、マスコミは強く政府の対応を批判していました。これが、いわゆる「天皇の“特例”会見」問題です。

羽毛田信吾長官が「二度とあってほしくない」とまで強調していた以上、従来、「1ヵ月ルール」違反はほとんどなかったはずであり、マスコミも批判を繰り広げた以上、羽毛田氏と同様の理解であることが前提だったはずです。ところが、平野官房長官は、「1ヵ月ルール」違反は、2003年以降2009年12月までに計6件あったと、衆院予算委員会で答弁したのです。。要するに、羽毛田長官は、「過去、『1ヵ月ルール』違反はほとんどなかった」かのような大嘘をついて、政府批判を繰り広げ、天皇陛下と中国の要人との会見を政治問題化したのです。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成22年2月16日付朝刊37面

天皇会見1カ月ルール違反
官房長官「03年から計6件ある」
宮内庁「徹底要請以降1件のみ」
2010年2月16日0時2分

 外国要人と天皇陛下の会見が宮内庁の定める日程調整期限である「1カ月前」を切ってから申し込まれて実現したケースが、2003年以降09年12月までに計6件あったと、平野博文官房長官が15日、衆院予算委員会で答弁した。一方、宮内庁は「ルールの徹底を要請してからは1件のみ」としている。

 中国の習近平(シー・チンピン)・国家副主席と天皇陛下の会見が昨年12月、この「1カ月ルール」を破って実現したことで、「政府による天皇の政治利用だ」との指摘が出ていた。

 平野官房長官は「03年以降は(習副主席のケース以外に)計6件あった」と答弁。「政治利用には当たらない」との認識を改めて示した。

 一方、宮内庁によると、ルールが設定された1995年以降、同様の事例は習副主席以外に計22件あった。ただ、04年2月に宮内庁が陛下の年齢や体調を勘案して外務省に「1カ月ルールの徹底」を要請して以降は、05年にタイで、大地震と津波の影響から要請が1カ月を1日割り込んだ事例が1件あったのみという。」



(2) 日刊ゲンダイ平成22年2月17日付(16日発行)3面

天皇会見問題 過去7年で「1ヵ月ルール」外は6件
宮内庁長官ブチ切れは何だったのか


 やっぱり「特例」でも「政治利用」でもなかった――。天皇陛下と外国要人との会見設定を事前調整する「1ヵ月ルール」問題で、03年から09年12月までの間にルール外の会見が計6件あったことが分かった。平野博文官房長官がきのう(15日)の衆院予算委で答弁した。

 この問題をめぐっては、昨年12月の天皇陛下と中国・習近平国家副主席の会見がルール外の「特例」として、羽毛田信吾長官が緊急会見。「こういったことは二度とあってほしくない」と強調。大マスコミも「天皇の政治利用だ」と騒ぎまくった。

 宮内庁側は「ルール徹底以降は1件」なんて釈明しているらしいが、平野官房長官の答弁通りなら、羽毛田長官が大ウソをついたことになり、少なくとも騒動を起こした張本人としてハラを切るべきだろう。

 それにしても、「特例」「異例」とあれだけ騒いだ大マスコミはなぜきちんと報じないのか。」




2.これらに出ている平野官房長官の答弁内容には、驚きました。

 「平野官房長官は「03年以降は(習副主席のケース以外に)計6件あった」と答弁。「政治利用には当たらない」との認識を改めて示した。
 一方、宮内庁によると、ルールが設定された1995年以降、同様の事例は習副主席以外に計22件あった。」


(1) 1995年以降、1ヵ月ルールの例外が「年に数件」(読売新聞平成21年12月19日付朝刊13面)あるとの報道はありましたから、例外があったことは分かっていました。それでも、15年で合計22件もあったのですから、平均すると常に年1~2件「1ヵ月ルール」の例外が存在したのです。

平野官房長官の答弁の中では、特に「03年以降は(習副主席のケース以外に)計6件あった」ことは注目すべき点です。04年2月以降「1カ月ルール」を徹底していても、合計で6件はあったのですから、今までとさほどの変わりなく例外を認めていた以上、とても「徹底したルール」とはいえないからです。

もっとも、宮内庁は、04年2月以降「1カ月ルール」を徹底してからは、「1件のみ」としています。しかし、(平野官房長官の答弁通りで、かつ、)もし今回は宮内庁がウソをついていないのであれば、03年から04年2月までの1年2ヵ月という短い期間に、5件もの「1ヵ月ルール」違反があったことになります。これではとても「1ヵ月ルールは厳格なルールとは言えない」でしょう。

04年2月以降は「1ヵ月ルール」を徹底したといっても、その前年までは5件もの例外を認めてきたのですから、そうじた実例がある以上、「臨機応変に例外対応を認めてきた『1ヵ月ルール』であり、1ヵ月ルールは日程調整のための基準にすぎない」と判断するしかありません。



(2) 「国事行為」に関する憲法の規定や法解釈を読むと分かるように(「天皇の“特例”会見問題(3)~「国事行為」に関する憲法解釈(政府見解・学説)(1)」(2009/12/30 [Wed] 23:41:11)「天皇の“特例”会見問題(4)~「国事行為」に関する憲法解釈(政府見解・学説)(2)」(2009/12/31 [Thu] 05:15:15)参照)、従来から政府や学説は、一貫して、天皇が行う行為内容に着目して「国事行為」か「公的行為」になるのか「政治利用か」を判断してきたのです。

ですから、1ヵ月ルールという、会見内容と無関係の単なる「手続」に違反しても、日程調整の不備というだけの話であって、元々、「政治利用」の問題になりえなかったのです。そこまで考えなくても、「1ヵ月を切れば政治利用で、それ以前ならそうではない」という判断は「首をかしげたくなる」(朝日新聞平成21年12月17日付「社説」)という、常識的な判断で、羽毛田長官の会見を一蹴すれば足りる問題だったのです。



(3) 多くの例外を認めてきた「1ヵ月ルール」であり、元々「政治利用に当たらない事例」であったのに、なぜマスコミは、「政治利用」だと大騒ぎしたのでしょうか? なぜ、朝日新聞と日刊ゲンダイ以外のマスコミは、2月15日の衆院予算委員会での平野官房長官の答弁を紹介しないのでしょうか? 

羽毛田長官の大嘘に煽られて、憲法解釈を正しく理解することなく、散々、「政治利用」だと民主党を批判してきたのですから、自らの失敗を報道しないという卑劣な行為はやめて、マスコミは十分に報道して、読者に対して謝罪をするべきです。(もちろん、22件もの「例外」を認めた実績のある自民党は、民主党を批判する資格はありません。民主党を批判する自民党は相変わらず恥知らずのようです。)

こうした間違いを行う根本的な原因は、ともかくマスコミが民主党批判に躍起になることばかり頭にあるため、羽毛田長官の発言であろうとなかろうと、民主党批判であれば妄信してすぐに飛びつき、延々と間違った批判を繰り広げてしまう点にあります。この「政治利用」か否かという問題も、議論の中心は憲法解釈論議であり、多くの見解が出て判断が分かれていたのですから、その時点で、羽毛田長官のように「政治利用である」と決め付けること自体、元々、できなかったはずなのです。

他の問題も同様です。すべてのマスコミが、裁判員制度実施前に、あれほど「一方的な視点で報道しない、有罪視報道をしない」と誓っていたのに、小沢氏の政治資金問題については、多くのマスコミが「検察リーク」をただ垂れ流し続け、無罪推定の原則をまるで無視した「有罪視報道」をしてしまうのです。みずから誓ったことさえも、守れなくなってしまうほど冷静さをなくし、物事の是非を判断する能力を失っているのです。

戦時中の日本では、軍という権力が国民を騙し続け、稚拙な嘘を重ね、重ねるうち発表する方も受ける側もまことが判らなくなってしまっていました(「「野坂昭如の『七転び八起き』」(毎日新聞平成22年1月30日付朝刊15面)。羽毛田長官の大嘘に騙され、その嘘が真実であるかのように報道し続け、真実かどうかを冷静に判断できなくなり、世論もその報道の嘘を見抜くことができない――。「大本営発表」は、いまだに健在であるようです。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
公平な報道には程遠いかな
日本のマスコミがマスゴミたる所以は報道に公平性が保たれていない事ですね。 だから報道で偏向報道されたらそのイメージをぬぐい去る事は不可能。

刑事事件ですらその偏向報道ぶりは変わらない訳ですから、被疑者で報道されたらもう有罪確定って感じですね。

民主主義においてマスコミの暴走を止められるのは誰なんでしょうね・・ 最近の報道を見てると凄く怖いです。
2010/02/17 Wed 14:28:33
URL | machcat #HfMzn2gY[ 編集 ]
なぜルールを厳格化するにいたったかの過程がありませんが、それは陛下のご年齢問題があったからです。故にルールが厳格化されました。
そういう事情が全く記事から読み取れない事に疑問を感じます。
2010/02/24 Wed 08:05:48
URL | kk #mQop/nM.[ 編集 ]
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