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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2010/02/13 [Sat] 16:40:20 » E d i t
小沢一郎民主党幹事長が、過去に党首などを務めた「自由党」を解党した際、両党に残っていた政治資金を、同氏関連の政治団体や所属議員の政治団体に移動させていたことは、「返還逃れ」の行為ではないかと自民党・公明党・マスコミが非難している問題について、「小沢一郎氏の政治資金問題:政党解散時、国に政党交付金を返還すべきか?」(2010/02/01 [Mon] 02:14:36)において、一度、触れています。

ところが、この問題については、(「共同通信の調べ」によると?)政党交付金制度が導入された後に解散した17政党すべてが、解散後に交付金を国に返還していなかったことが分かったのです。17政党のうち、9政党は所属議員の政治団体に寄付するなどして使い切り、残金はゼロであって、残る8党も後継政党に引き継いでいました。要するに、政党交付金制度が導入された後、自由党を含めた解散政党すべてが、政党交付金を国に返還していなかったのですから、自由党の事例だけを非難するわけにはいかなくなったのです。



1.東京新聞平成22年2月11日付朝刊1面(11版S)

解散17党 返還ゼロ 政党交付金 使い切りか引き継ぎ
2010年2月11日 朝刊

 政党交付金制度が導入された後に解散した十七政党すべてが、解散後に交付金を国庫に返還していなかったことが十日、各党の使途報告書などから分かった。民主党の小沢一郎幹事長が党首を務めた自由党と同様に、所属する議員の政治団体への寄付などで使い切って残高ゼロだったのが九党。残りの八党は後継政党に資金を引き継いでいた。

 自民、公明両党は、解散が決まった政党が政治団体に寄付することを禁じる政党助成法改正案を提出しているが、解散を正式決定前に寄付をすることは可能で、国庫への返還実現は難しそうだ。

 交付金は税金で政党の活動を支援する制度で、政党助成法では「政党が解散し、政党交付金の残金がある場合は総務大臣が返還を求めることができる」としているが、使い切れば返す必要がない。また、後継の政党が届け出れば、残金を引き継ぐこともできる。

 政党交付金の支払いは一九九五年から。各党は政党交付金の使途報告書を総務省に提出している。

 解散時に残金がなかったのは、自由党のほか、自民党と合併した保守新党や、改革クラブ、太陽党など九党。

 高額な支出は所属議員の政治団体への寄付で、各議員に分けて使い切っているのが実情。自由党は、小沢氏と関連の深い政治団体「改革国民会議」に約五億六千万円を寄付し、その後小沢一郎政治塾の運営費などに充てられているが、同党のケースは異例だ。

 後継政党に引き継いだのは、新党友愛、保守党など八党。新進党は六党に分裂したため、それぞれの党に分割して引き継いだ。

 民主党に合流した新党友愛の場合は、民主党に約三億二千六百万円を引き継ぐ一方で、解散日に十億六千万円を党関連の政治団体「友愛協会」に寄付した。

【政党交付金】 特定の企業や団体との癒着を防ぐため、企業・団体献金の制限と併せて導入された政党への公的な助成金。1994年に成立した政党助成法に基づいて交付。国民1人当たりの負担額は年間250円。要件を満たした政党の議員数や得票数に応じて配分する。対象は(1)国会議員5人以上(2)国会議員が1人以上で、かつ前回衆院選か直近2回の参院選で得票率2%以上-のどちらかを満たす政党。95年以降、毎年計300億円超を交付している。制度に反対する共産党は受け取っていない。」


■各政党の政党交付金の状況

政党:平和・市民―――解散時期:1996年4月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:新進党―――――解散時期: 97年12月――解散時の交付金の行方:自由党など6党に引き継ぎ
政党:太陽党―――――解散時期: 98年1月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:国民の声――――解散時期: 98年1月――解散時の交付金の行方:民政党に引き継ぎ
政党:黎明クラブ―――解散時期: 98年1月――解散時の交付金の行方:公明党に引き継ぎ
政党:フロムファイブ―解散時期: 98年1月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:新党友愛――――解散時期: 98年4月――解散時の交付金の行方:民主党に引き継ぎ
政党:民主改革連合――解散時期: 98年4月――解散時の交付金の行方:民主党に引き継ぎ
政党:民政党―――――解散時期: 98年4月――解散時の交付金の行方:民主党に引き継ぎ
政党:新党平和――――解散時期: 98年11月――解散時の交付金の行方:公明党に引き継ぎ
政党:市民リーグ―――解散時期:2002年3月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:改革クラブ―――解散時期: 02年7月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:保守党―――――解散時期: 02年12月――解散時の交付金の行方:保守新党に引き継ぎ
政党:自由党―――――解散時期: 03年9月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:保守新党――――解散時期: 03年11月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:無所属の会―――解散時期: 04年10月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:みどりの会議――解散時期: 04年11月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ」




2.この東京新聞の記事によると、色々と興味深い点が分かります。

(1) まずは、政党交付金制度が導入された後、自由党を含めた解散政党すべてが、政党交付金を国に返還していなかったのですから、自由党の事例だけを非難するわけにはいかなくなった点です。

 「政党交付金制度が導入された後に解散した十七政党すべてが、解散後に交付金を国庫に返還していなかったことが十日、各党の使途報告書などから分かった。民主党の小沢一郎幹事長が党首を務めた自由党と同様に、所属する議員の政治団体への寄付などで使い切って残高ゼロだったのが九党。残りの八党は後継政党に資金を引き継いでいた。」



小沢一郎民主党幹事長が、過去に党首などを務めた「自由党」を解党した際、両党に残っていた政治資金を、同氏関連の政治団体や所属議員の政治団体に移動させていたことは、「返還逃れ」の行為ではないかと自民党・公明党・マスコミが非難している問題については(「小沢一郎氏の政治資金問題:政党解散時、国に政党交付金を返還すべきか?」(2010/02/01 [Mon] 02:14:36))は、抽象的には、「政党が合併するなどの理由で解党する場合、使用されずに残った政党交付金は国に返還するべきなのか?」という問題です。

ですが、この問題の真意は「民主党の小沢一郎幹事長が党首を務めた自由党『だけ』が2003年の解党時に、政党交付金(助成金)を国に返還しなかった」として、小沢氏及び小沢氏が幹事長を務め民主党を攻撃し、自民党復権を狙うという党略に基づくものでした。

ところが、この問題については、政党交付金制度が導入された後に解散した17政党すべてが、解散後に交付金を国に返還していなかったのです。17政党のうち、9政党は所属議員の政治団体に寄付するなどして使い切り、残金はゼロであって、残る8党も後継政党に引き継いでいました。要するに、政党交付金制度が導入された後、自由党を含めた解散政党すべてが、政党交付金を国に返還していなかったのですから、自由党の事例だけを非難するわけにはいかなくなったのです。

ですから、自民党・公明党・マスコミが、小沢氏・自由党の処理を「返還逃れ」の行為ではないかと非難するのであれば、解散した17政党及び17政党に属していた国会議員すべてに対して、非難を向けるべきです。17政党に属していた国会議員は、現在、自民党、公明党、民主党に所属していますから、非難をする相手は幾らでもいるのです。小沢氏・自由党だけを非難するのは公平さを欠いているというべきです。



(2) もっと問題なのは、小沢氏・自由党の処理を非難している、自由党と公明党も合併した政党は、解散時に政党交付金を国庫に返還していない点です。

自民党の場合は、 2000年自由党から分裂して保守党が結成され、2002年に民主党からの離党者を加えて保守新党に改称し、2003年11月に保守新党(党首・野田毅氏)と合併しています。他方で、公明党の場合は、1994年12月 「公明党」を解散し、「公明新党」と「公明」に分党し、同年同月、公明新党は新に結党された新進党へ合流し、「公明」はそのまま存続しました。その後、1998年、新進党の解散に伴い、旧公明党系の「新党平和」・「黎明クラブ」・「公明」が合流し、「公明党」を再結成しています(公明党・かつて存在した日本の政党:出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』参照)。

■各政党の政党交付金の状況

政党:黎明クラブ―――解散時期: 98年1月――解散時の交付金の行方:公明党に引き継ぎ
政党:新党平和――――解散時期: 98年11月――解散時の交付金の行方:公明党に引き継ぎ
政党:保守党―――――解散時期: 02年12月――解散時の交付金の行方:保守新党に引き継ぎ
政党:保守新党――――解散時期: 03年11月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ」



自民党と合併した「保守新党」は、解散時に政党交付金の残金がゼロだったのであり、公明党と合併した「新党平和」・「黎明クラブ」も、解散時に政党交付金を国庫に返還していないのです。

自らと合併した政党が、小沢・自由党と同じことをしておきながら、どうして小沢・自由党の処理を非難できるのでしょうか? 自民党や公明党は、小沢氏・自由党の処理を非難するのであれば、まず自らの政党こそ、今からでも政党交付金を国庫に返還するべきです。



(3) 他の政党と合併しなかった政党の場合は、すべて政党交付金の残金ゼロであって使い切ってしまっている点です。

■各政党の政党交付金の状況

政党:平和・市民―――解散時期:1996年4月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:市民リーグ―――解散時期:2002年3月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:改革クラブ―――解散時期: 02年7月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:無所属の会―――解散時期: 04年10月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:みどりの会議――解散時期: 04年11月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ」



平和・市民は、1995年の参議院議員選挙では東京選挙区の田英夫氏以外当選者を出せなかったために解散、市民リーグは1996年に解散、改革クラブは2002年に解散、党綱領もなく組織としての実態がなかった無所属の会は2004年に解散し、みどりの会議は、2004年の参議院議員選挙で、比例区に出馬していた代表委員中村敦夫が落選し所属国会議員がいなくなったために解散しています(かつて存在した日本の政党:出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』参照)。


日経新聞平成22年1月12日付朝刊2面「Q&A」において、小林良彰慶大教授(政治学)が述べるように、残った政党交付金は「基本は最も近い活動先に資金を移行させること」であるべきです。なぜなら、政党解党時、政党所属の議員がすべて議員活動を辞める場合は別として、議員活動を続ける以上は、その政党交付金は使用する必要性があるからであり、「最も近い活動先に資金を移行させること」が、政党の政治活動の自由に寄与するものだからです。

そうすると、所属する国会議員が一人もいなくなったなどの理由で他の政党と合併することなく解散した政党の場合、誰も議員活動を続けていない以上、政党としての活動資金は不要になったのですから、政党交付金は国に返還するのが最良といえます。無所属の会は、党綱領もなく組織としての実態がなかったのですから、政党交付金の交付を受けること自体、よかったのかどうか問題でした。

政党助成法を改正するのであれば、自民、公明両党が提案している「解散が決まった政党が政治団体に寄付することを禁じる政党助成法の改正案」の検討を行うよりも、まず、他の政党と合併することなく解散した政党の場合には、政党交付金を返還する義務を課すのが先決と考えます。



(4) 自由党の政党交付金の残金の処理は、他のケースと異なっている点です。

「解散時に残金がなかったのは、自由党のほか、自民党と合併した保守新党や、改革クラブ、太陽党など九党。
 高額な支出は所属議員の政治団体への寄付で、各議員に分けて使い切っているのが実情。自由党は、小沢氏と関連の深い政治団体「改革国民会議」に約五億六千万円を寄付し、その後小沢一郎政治塾の運営費などに充てられているが、同党のケースは異例だ。」


どの点で「異例」のケースなのかが今一歩はっきりしないのですが、要するに、残金を使い切った政党の多くが関連団体や「各議員に分けて使い切っている」のに対して、小沢氏・自由党の場合は、「小沢氏と関連の深い政治団体『改革国民会議』に約五億六千万円を寄付し、その後小沢一郎政治塾の運営費などに充てられている」というように、各議員に分けた後もその資金を大事にして、政治活動に長く活用しているわけです。

政党交付金を大事にして、政治活動に長く活用しているということは、政党交付金の原資となっている税金を出している市民の側からすれば、政党交付金として出した甲斐があったというべきで、こうした「異例のケース」は、妥当なものといえます。




3.この政党交付金の記事を掲載した東京新聞は、次のようなコラムを掲載しています。

(1) 東京新聞平成22年2月12日付「筆洗」

「ドギーバッグ(doggy bag)という米国生まれの言葉が、わが国でも少しずつ市民権を得始めているようだ

▼料理店などで食べ残したものを持ち帰る容器のこと。彼(か)の国の人も最初は体裁を気にしたのだろう。表向きは「わんちゃん(ドギー)の餌にする」ということで、かような呼び名となったらしい

▼最近、食品廃棄を減らす運動に取り組むNPO法人「ドギーバッグ普及委員会」(東京)が市民の持ち帰りについての意識を聞いたところ、九割が「賛成」と答えたそうだ。古く、他言語には訳しにくい「もったいない」の価値観を持つわが国だ。当然の結果とも思う

▼恐らく、この人たちも「残すのはもったいない」と思ったのだろう。政党交付金制度が導入された後で解散した十七政党が解散後、交付金をどうしたのか調べたら、国庫に返還した党は一つもなかったそうだ。九政党は所属議員の政治団体に寄付するなどして使い切り、残金ゼロ。残る八党も後継政党に引き継いでいた

▼言うまでもなく、政党交付金は血税だ。自分で注文した料理みたいに、残った分を好き勝手に持ち帰っていい道理はあるまい。大体、企業献金が政治腐敗につながるからと設けた制度だが、政治とカネの問題だって相変わらずだ

▼厳しい家計から政党に渡している大事なお金である。国民こそ言いたかろう。もったいない!」



 イ:自由党の小里泰弘氏は1月21日の衆院予算委員会で自由党に絡む資金の流れに関する問題を提起し、「国民の税金なので残っていた場合は返還するのが当たり前だ」と述べていましたが、要するに、東京新聞のコラムは、この自民党議員と同じことを述べているわけです。

しかし、政党の政治活動の自由を尊重するという政党助成法の趣旨からすれば、政党の解散直前にその資金をどこへ移転させるかについても、その政党の自由に委ねる問題であって、「政党交付金は血税」なので、「残っていた場合は返還するのが当たり前」だとは言えません

もし「政党交付金は血税」だとの名目で、政党交付金の使途に制限を加えることができるとすれば、政府与党による恣意的な使途制限を招きかねないものであって、「国は、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならない」と明記した政党助成法4条に反するのです。

「政党交付金の残金ゼロとした政党の所属議員も「恐らく、この人たちも『残すのはもったいない』と思ったのだろう」と、レッテルを張って非難したところで、東京新聞のコラムの言い分は、政党助成法の趣旨や政党助成法4条に反するものです。東京新聞は、政党助成法の趣旨や政党助成法4条に反してでも、「金を返せ!」というのでしょうか? 


 ロ:「小沢一郎氏の政治資金問題:政党解散時、国に政党交付金を返還すべきか?」(2010/02/01 [Mon] 02:14:36)において述べたように、政党交付金が交付された場合、その交付金を使う権利は当該政党に帰属しているのですから、本来、いかなる事情があろうとも、その交付金を返還せよとは言えないのです。すでに贈与として交付したものについては、後から(贈与した者が)「返せ」という請求が認められない(民法550条参照)のと同様です。ですから、国が政党に一度交付した以上、後々、国に返還する義務が発生しないのは、法律論としてはごく当然のことです。

ただ、その例外として、政党助成法33条は、法律の規定に違反して政党交付金を受けたときといった交付するべきでなかった場合(1項)や、政党が解散したなどの政党交付金を必要としなくなった場合(2項)に「総務大臣は……政党交付金の返還を命ずることができる」としただけなのです。

政党が合併するなどの理由で解党する場合、使用されずに残った政党交付金は国に返還するべきか否かについては、返還するべきという結論にはなりません。小沢一郎民主党幹事長が、過去に党首などを務めた「自由党」を解党した際、両党に残っていた政治資金を、同氏関連の政治団体や所属議員の政治団体に移動させていた点について、自民党やマスコミは「返還逃れ」の行為であるとして問題視していますが、その批判は妥当ではないと考えます。

政党交付金制度が導入された後、自由党を含めた解散政党すべてが、政党交付金を国に返還していなかったのですから、自由党の事例だけを非難するわけにはいかなくなった点もよく考慮するべきでしょう。東京新聞のコラムのように、感情的に17政党すべて非難したところで、意義あることとはとても思えないのです。



(2) 最近は、政党の合併や解散はありませんが、少し前までは合併や解散は盛んでした。

すでに述べた自民党や公明党、平和・市民、市民リーグ、改革クラブ、無所属の会、みどりの会議以外にも、民主党結成の経緯は多くの政党から成り立っています。

民主党の場合は、1997年に新進党が6党(新党友愛、自由党、新党平和、黎明クラブ、国民の声、改革クラブ)に分党しており、太陽党、国民の声、フロム・ファイブの3党が合併して民政党を結成し、民政党、新党友愛、民主改革連合(参議院の院内会派)が結成して1998年に民主党が成立しました。その後、自由党が2003年に民主党に合流しています。

政党交付金は、経済的な面で政党活動を助けるものですから、こうした合併・解散を行い、より民意を反映するような新たな政党が誕生することへの下支えになったことは確かといえます。

政党は、現代議会政治において、民意を議会に媒介し、議会内で政策論争を行い、内閣の形成のプロセスに参加するなど、重要な役割を果たしています(戸波江二「憲法(新版)」(ぎょうせい、平成10年)355頁)。こうした政党の役割を重視し、よりよい議会制民主主義をもたらすためには、新たな政党の誕生を制限しかねない、政党交付金の残金を制限する法改正は妥当なこととは思えないのです。

確かに、政党交付金制度が設けられた名目は、政党財政の健全化をはかり、政治腐敗の根絶をめざすというものでした。しかし、この制度のおかげで政党財政が健全化したかどうかは疑問です。また、現在、「各党は政党交付金の使途報告書を総務省に提出している」としても、政党交付金の残金を、本当に政党の政治活動に使われているのかどうか、疑問を抱くことも確かです。

しかしながら、憲法21条は「結社及び言論……一切の表現の自由は、これを保障する」と規定し、政党には、政党活動の自由・政党結成の自由が保障されています。こうした政党活動の自由や、将来の政党結成の自由を十分に保障するためには、政党交付金の残金を制限することはよいことではないのです。

こうした政党助成法の趣旨、憲法論、政党の意義からすれば、「政党交付金は血税なので、残っていた場合は返還するのが当たり前」ではない、ということをよくよく考えるべきなのです。この問題もまた、憲法の基本的理解が問われる問題なのです。


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