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2010/01/25 [Mon] 04:35:12 » E d i t
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」による土地購入をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記入)事件で、東京地検特捜部は平成22年1月23日午後、東京都千代田区のホテルで小沢氏を任意での事情聴取(刑事訴訟法223条)を行いました。聴取は同日午後2時ごろから約4時間半、行われました。小沢氏は聴取後、同ホテルで記者会見し、収支報告書の虚偽記入について「全く把握していない。相談されたり、報告を受けたこともない」と身の潔白を主張しています。ゼネコンからの裏献金についても否定しています。
1月25日付追記:当初は参考人としての取調べ(刑訴法223条1項)かのように報道されていましたが、黙秘権を告知しての聴取であったため、参考人取調べ(刑訴法223条1項)ではなく、(在宅の)被疑者の取調べ(刑訴法198条1項)に当たるものだったようです。)



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成22年1月24日付(日)朝刊1面

小沢氏会見、疑惑関与を全否定 「幹事長職を全う」
2010年1月24日3時3分

 小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は23日午後、小沢氏から任意で事情聴取した。容疑者としての聴取で、小沢氏は終了後に説明内容を文書で公表するとともに、予定になかった記者会見を開いて改めて関与を否定。「与えられた職責を全うしたい」と述べ、幹事長を続投する考えを示した。鳩山由紀夫首相もこれを認め、捜査状況を当面見守る考えだ。特捜部は聴取内容を受けてさらに捜査を進めるとみられる。

 特捜部は約4時間半に及んだ聴取で、陸山会が2004年10月に購入した東京都世田谷区の宅地の購入にあてた4億円の原資や、資金の動きを政治資金収支報告書に記載しなかった理由を聴いた。並行してゼネコン各社からの聴取などを続けており、供述内容と収集した資料を分析し、再聴取も視野に、今後の捜査方針や本人の立件の可否の検討に入る。

 一方、小沢氏は同日夜、聴取を受けていたホテルで会見した。政権党の幹事長として極めて異例の聴取だった。市民団体から同法違反(虚偽記載)の容疑などで告発されているため、黙秘権を告知されたうえ、2通の被疑者調書に署名したと自ら明かした。

 小沢氏は会見や配布文書で、4億円を陸山会に貸した理由を「政治団体の資金をかき集めれば土地は買えたが、活動費がなくなってしまうので個人の資産を貸し付けることにした」とした。原資については「東京・湯島の自宅の売却代金や、家族名義で銀行に預けていた資金を1989~2002年に引き出し、事務所の金庫に保管していたもの」と説明した。

 この原資について、「胆沢(いさわ)ダム」(岩手県奥州市)建設工事を下請け受注した中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)からの裏金が含まれている疑いがあるとの特捜部の見方については、「不正な金は水谷建設はもちろん、ほかの会社からも一切受け取っていない」と主張。それでも、秘書らについては、「受け取っていないと確信している」と断定を避けた。

 土地取引や、この4億円を載せていない収支報告書が作られたことについては、「具体的な事務については担当の者がおこなったということで、私が実務的な点についてまで、立ち入って関与したことはない」「担当秘書を信頼し、実務については一切任せていた」「私自身が帳簿や収支報告書を見たことはない」と秘書らに任せて自らは関与していなかったとする説明を続けた。

 小沢氏は当初、特捜部から5日にあった聴取要請を拒否。衆院議員の石川知裕(とも・ひろ)容疑者(36)や会計責任者の大久保隆規(たかのり)容疑者(48)ら3人が同法違反(虚偽記載)容疑で逮捕されたことを受け、16日の党大会で「自らの信念を通し、戦っていく」と検察に「全面対決」の姿勢を示していたが、その後、応じる姿勢に転じていた。」



(2) 毎日新聞平成22年1月24日付(日)東京朝刊23面

小沢氏団体不透明会計:小沢氏聴取後会見 強硬転じ「捜査に協力」

 ◇4時間半「隠さずに」 検察側に注文も

 「隠し立てすることはないので包み隠さず説明した」。小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で23日、東京地検特捜部による事情聴取を受けた小沢氏は記者会見で「潔白」を強調した。16日の党大会では検察側との対決姿勢を示していたが、この日は「捜査については今後も協力してまいりたい」。4時間半に及んだ聴取での小沢氏の説明は、果たして検察側を納得させたのか。【鈴木一生、山本将克、松谷譲二】

 23日午後8時15分、事情聴取が行われた東京都千代田区の「ホテルニューオータニ」1階の「芙蓉(ふよう)の間」に設けられた記者会見場。小沢氏は弁護士2人とともに約300人の報道陣の前に姿をみせた。議員バッジを付けた紺色のスーツに同色のネクタイ。無数のフラッシュを浴びて着席する際、「よし」と気合を入れるような声を出し、ゆっくりした口調で語り始めた。

 冒頭、「午後2時から6時半まで特捜部に事情の説明を行いました。隠し立てするようなことではございませんでしたので、私の記憶している限り、包み隠さず、お話を申し上げた」と述べた。だが、質疑応答では険しい表情を見せることも。幹事長の進退を問われると「国民の皆さんにおわび申し上げなければならないが、与えられた職責を全うしたい」と辞任を強く否定。建設会社からの裏金提供を巡る質問には「不正な金は一切受け取っていない」と語気を強めた。

 虚偽記載とされる政治資金収支報告書の作成などには「まったく私の立場からすれば分からない」とし、元私設秘書の同党衆院議員、石川知裕容疑者(36)=政治資金規正法違反容疑で逮捕=らに任せていたことを強調。土地購入の原資に関する説明が変遷しているとの指摘には「個人資産の中身を公表する必要はないと思った」などと釈明した。

 この日になってようやく実現した事情聴取。その理由を「問題点が整理されてからの方がいいだろうということもありまして、結果として今日になった」と釈明し、検察に対して「公平、公正な捜査をしてもらいたい」と不満を口にする場面もあったが、最後は「ありがとうございました」と述べ、わずか約20分の会見を締めくくった。

 聴取が行われたのは小沢氏がここ数日泊まっていたとされるニューオータニ37階の部屋。「秘密通路があり検事が出入りしやすく聴取に適したテーブルの部屋もある」(小沢氏側の関係者)として小沢氏側が勧めたところ、検察側が応じ、今回の事件捜査を担当する特捜部特殊1班の主任、木村匡良(まさよし)検事が来室した。

 この日午前、小沢氏の聴取実施について、接見した弁護士に聞かされた石川議員は、「あ、そうですか。自分はともかく、小沢先生が虚偽記載になるんですかね」と語ったという。

 聴取後、小沢氏は弁護士から「腹減ったでしょ」と団子を手渡され、「一つ食おうか」と言って口にし、(報道陣の)ぶら下がり取材に答える意向を示した。

 弁護士が正規の会見を提案したところ、「それでいい」と了解。ホテル側に空きがあったため、急きょ実施が決まったという。

 会見後、ホテルを出た小沢氏は世田谷区の居酒屋に入った。午後11時すぎ、店から出てきた小沢氏は、報道陣の問いかけには答えず、千鳥足で迎えの車に乗り込んだ。

 ◇「被疑者」で聴取 市民団体の告発をうけ

 陸山会の土地購入を巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕された石川容疑者らと共謀したとして、市民団体が小沢氏本人について同容疑で東京地検に告発状を提出していたことが分かった。

 これを受け、東京地検特捜部による23日の聴取は被疑者として行われた。

 告発内容は小沢氏が石川議員らと共謀し、陸山会の政治資金収支報告書に土地購入費の原資4億円を記載しなかったとしている。

 ◇特殊1班の主任、政界捜査を担当--聴取の木村検事

 木村匡良(まさよし)検事は90年任官。東京、前橋、横浜地検検事や法務省刑事局付検事、公正取引委員会特別審査調整官などを歴任し、09年5月から東京地検特捜部特殊1班の主任に。特殊1班は政界捜査を主に担当し、主任は副部長の下で現場をとりまとめる。47歳。

==============
 
毎日新聞 2010年1月24日 東京朝刊」



(3) 朝日新聞平成22年1月24日付(日)朝刊2面

「裏金もらっていない」小沢氏が公表した説明文書要旨
2010年1月23日22時31分

 小沢一郎・民主党幹事長が公表した文書「陸山会への貸付等に関する経緯の説明」の要旨は次の通り。

     ◇

 ■陸山会に4億円を貸し付けた経緯

 秘書の数も増え、妻帯者も増えたので、事務所兼用の住居を提供したいと思っていたところ、秘書が本件土地を見つけてきて、これはいいのではないかということになった。秘書に不動産業者にあたらせたところ、土地売買代金の額が金3億4千万円余りと決まった。

 そこで、この土地を購入することになったが、当時陸山会の経理を担当していた秘書から各政治団体の資金をかき集めればなんとかなるが、そうすると各政治団体の活動費がほとんどなくなってしまうので、私に何とか資金調達できないかと言ってきた。

 そこで私は自分個人の資産の4億円を一時的に陸山会に貸し付けることにした。

 ■陸山会に貸し付けた4億円の原資

 (1)1985年に湯島の自宅を売却して、深沢の自宅の土地を購入し建物を建てた際、税引き後残った約2億円を積み立てておいた銀行口座から89年11月に引き出した資金2億円、(2)97年12月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金3億円、(3)2002年4月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金6千万円――を東京都港区元赤坂の事務所の金庫に保管していた。04年10月には、同金庫に4億数千万円残っており、うち4億円を陸山会に貸し付けた。

 4億円の一部は建設会社からの裏献金であるやの報道がなされているが、事実無根だ。私は不正な裏金など一切もらっていないし、私の事務所の者ももらっていないと確信している。

 ■4億円の銀行口座への入金や売買代金支払いへの関与

 すべて担当秘書が行っており、私は、全く関与していないので、具体的な処理については分からない。

 ■所有権移転日を05年にした理由

 そのことについては何の相談も受けていない。

 購入資金は自分で出しており隠し立てする必要はないし、また所有権移転日を翌年にすることに政治的にも何のメリットもないので、なぜ翌年にしたのか私には分からない。

 ■売買代金支払い後に定期預金を組んで預金を担保に借り入れをした理由

 具体的な事務処理については、私は関与していないので分からない。

 ■銀行から融資を受ける際に個人が借り入れ、陸山会に貸し付けた理由

 これについても私は関与していないので分からない。

 ただし、以前に陸山会が不動産を購入した際にも金融機関から個人での借り入れを要請されたこともあったので、担当秘書から銀行の書類に署名するように頼まれ、そういう理由からと思って署名したことはある。

 ■収支報告書の記載

 私は、本件不動産に関する収支報告書の記載については全く把握していなかった。また、収支報告書の記載内容について、相談されたり、報告を受けたりしたこともない。

 ■収支報告書の内容の確認

 常々、担当秘書には、政治団体の収支についてはきちんと管理し、報告するように言っていたが、実際に私自身が帳簿や収支報告書を見たことはない。担当秘書を信頼し、実務については一切任せていた。

 担当秘書から、各政治団体ごとの収入支出と残高などの概要について報告を受けることはあったが、収支報告書の内容を一つ一つ確認したことはない。」



どの新聞記事を見ても、小沢一郎民主党幹事長が、一体何罪の容疑で任意の聴取を受けたのか不明確です。東京地検といえども、建前は犯罪捜査のために捜査をしているのですから、市民の側は、何罪の成否が問題となっているのが分かっていなければ、「単に怪しい、気に入らない」という単なる感情論で物事を判断することになってしまいます。

では、小沢一郎氏は、一体何罪の容疑での事情聴取だったのでしょうか。

石川知裕議員の逮捕の容疑となった被疑事実については、新聞報道では、石川議員の逮捕について、見出しでは「4億円不記載」、記事では「4億円の収入と土地代金の支出を収支報告書に記載しなかった」などと、明かに政治資金規正法25条1項2号の「不記載罪」の事実であるように書かれています。しかし、逮捕状に示している逮捕容疑は、「どのような収入・支出が不記載だったのかを特定しないで、全体として収入総額・支出総額が過少だったという政治資金規正法25条1項3号の虚偽記入の事実」です。

「石川議員の逮捕容疑は、裁判官が発した逮捕状では、平成16年分の政治資金収支報告書の「収入総額」を4億円過少に、「支出総額」を3億5200万円過大に記入した虚偽記入の事実だ。

 政治資金規正法では、25条1項2号で政治資金収支報告書に「記載すべき事項を記載しなかった者」、3号で「虚偽の記入をした者」を罰則の対象としている。「収入総額」「支出総額」の欄は、その年の収入と支出を合計したものであり、記載すべき政治献金の収入が記載されていなかったとか、架空の経費が記載されていた事実があれば、それに伴って収入や支出の総額が実際とは違うものになるのは当然だ。収入について過少に報告したということであれば、問題なのは、政治献金等の具体的な収入の記載が行われなかったことや実際より少なく記載されたという問題であって、収入総額の過少というのは、それに伴って当然生じるものに過ぎない。

 ところが、今回の石川議員の逮捕の容疑となった被疑事実は、どのような収入・支出が不記載だったのかを特定しないで、全体として収入総額・支出総額が過少だったという政治資金規正法25条1項3号の虚偽記入の事実だけだ。要するに、石川議員が、政治資金収支報告書にどのような事項を記載しなかったのか、どのような不正を行ったのかは、逮捕事実では明らかにされていない。脱税の問題で言えば、どのような収入を隠したのか、どのような支出を架空に計上したのか、というのが犯罪事実の中心のはずなのに、そこが明らかにされないまま、収入の合計金額を少なく申告した、ということだけで逮捕されたようなものだ。

 資金管理団体は政治家にとって「政治資金の財布」の役割を果たすものだ。自らの資金管理団体の人件費、事務所費等の経費が不足すれば、代表者の政治家が立て替えるのは当然だ。このような立て替えやその返済も、政治資金規正法上の「収入及び支出」に当たると考え、すべて収支報告書に記載しなければならないとすると、立替えが多い政治家の「収入総額」「支出総額」の記載は、実際の政治活動に係る収支を反映しないものとなる。それが、果たして、「政治活動が誰から、どの企業・団体から資金提供によって賄われ、それがどのように使われているのか」、を国民にありのままに開示されることを目的とする政治資金規正法の趣旨に沿うものであろうか。」(「「小沢VS検察」ではなく「石川議員逮捕」こそが最大の問題(転載)」(ニュース・スパイラル)(2010年1月21日 11:15)


「特捜部は約4時間半に及んだ聴取で、陸山会が2004年10月に購入した東京都世田谷区の宅地の購入にあてた4億円の原資や、資金の動きを政治資金収支報告書に記載しなかった理由を聴いた」ようです。そうすると、石川知裕議員の逮捕容疑の犯罪事実(政治資金規正法の「虚偽記入」)以外の事実について聞いていないと分かります。

そうすると、東京地検特捜部は、小沢氏に対して、「平成16年分の政治資金収支報告書の『収入総額』を4億円過少に、『支出総額』を3億5200万円過大に記入した、政治資金規正法25条1項3号の『虚偽記入』」の共犯の疑いがあるとして、事情聴取をしたということになります。この期に及んでも、東京地検特捜部は、小沢氏に対して政治資金規正法25条1項3号の「虚偽記入」しか聞いていない以上、石川議員はもちろん、小沢氏に対しても、それ以外の犯罪(談合、贈収賄、脱税)の起訴はほぼ諦めたといえるわけです。




2.今後の捜査の行方について

(1) 時事通信(2010/01/23-15:36)

「本丸」捜査に残る課題=小沢氏事情聴取

 東京地検特捜部が小沢一郎民主党幹事長を事情聴取したことで、今後の捜査の主な焦点は、小沢氏本人の刑事責任についての判断に移る。
 特捜部は、「偽装工作」とされる土地購入前の融資手続きにかかわっていたことから、小沢氏が虚偽記載を知っていた可能性があるとみているが、それだけでは関与の証明にはならない。
 判断のカギを握るのは、逮捕された3人の今後の供述だ。特に、経理操作を直接担当した衆院議員石川知裕容疑者(36)の供述が注目される。
 政治資金規正法違反罪は、虚偽記載された収入の原資が不明でも成立するが、原資が本人の資産なら、仮に事件への関与があっても、悪質性が低いとして立件が見送られる可能性もある。
 特捜部は、小沢氏側が中堅ゼネコン水谷建設側から資金提供を受けたことについては、多数の証言を得ており、立証は十分に可能と判断しているもようだ。課題となるのは、この資金が陸山会による土地購入の原資となったことの証明だ。
 石川容疑者は「資金提供」日の翌営業日に同額を銀行へ入金したが、これは状況証拠にすぎない。立証には、資金受領を認める石川容疑者らの供述か、ほかのゼネコンの「裏献金」証言が必要だ。
 国会開会中に、現職国会議員の石川容疑者を、拘置期限後も拘束することはできない。拘置期間が延長されても、残された時間は10日余り。事件の行方は、特捜部がこの間に、関係者からどのような供述を引き出すかに懸かる。(2010/01/23-15:36)」



(2) 朝日新聞平成22年1月24日付(日)朝刊1面

了承の有無、依然焦点

 東京地検特捜部によるこれまでの調べに対し、石川議員は「土地代を払うと陸山会の運転資金が不足するため、大久保秘書とともに小沢氏に相談に行き、小沢氏の個人資金4億円を借りて土地購入費にあてた」と供述。この4億円を故意に2004年の収支報告書に記載しなかったことを認めた。07年に小沢氏に4億円を「返済金」として支出し、収支報告書に記載しなかった虚偽記載を、当時の事務担当者で元秘書の池田光智容疑者(32)も認めている。

 ただ、秘書らの間でも供述に食い違いはある。石川議員は虚偽記載を大久保秘書に報告したと述べ、大久保秘書は「経理は石川氏任せだった」と否認。3人とも「逐一指示を受けるような話ではない」と否定しているとされる。

 今後の焦点は、<1>小沢氏が虚偽記載を指示したり、報告を受けて了承したりしたことはないか<2>土地購入費原資4億円が「小沢氏の個人資産」とする説明が真実かどうか――の二つだ。

 <1>では、特捜部は、土地取引自体が小沢氏の指示で始まり、銀行からの融資書類に小沢氏が署名したことに注目。複雑な資金移動や収支報告書上の処理を指示、了承していた可能性もあるとみて、虚偽記載の方針が決まるまでの意思決定のプロセスをさらに詳しく調べるとみられる。

 <2>については、特捜部は、4億円の一部にゼネコン側の裏金が含まれている疑いを持っているが、ゼネコン側の供述と状況証拠にとどまっているとみられる。これが今後の捜査で解明できるかどうかは、「悪質な虚偽記載」の立件の成否にかかわる問題だ。

 検察当局は、石川議員らの最初の勾留(こうりゅう)期限となる25日、勾留延長した場合に起訴するかどうかの満期となる2月4日を節目として、捜査方針を決めることになる。」

 

(3) 日経新聞平成22年1月24日付朝刊3面

立件可否 次の焦点に

 小沢一郎・民主党幹事長が事情聴取を受けたことで、資金管理団体の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件の捜査の焦点は、小沢氏本人の刑事責任を問えるかどうかの判断に移る。

 東京地検特捜部が力を注ぐのは、政治資金収支報告書の虚偽記入への小沢氏の関与の立証だ。

 聴取で、小沢氏は虚偽記入の認識を否定。逮捕された石川知裕衆院議員ら3人も虚偽記入への小沢氏の関与を否認している。

 虚偽記入に小沢氏が関与したことを示す物証はないとされるだけに、カギを握るのは石川議員ら3人の供述だ。「強い関与が明らかになれば、立件できる可能性はある」(検察幹部)

 もう一つの焦点は、刑事責任を追及するほどの「悪質性」の有無だ。

 小沢氏は「形式的なミスは今まではほとんど報告の修正や訂正で許されてきた」と、実質的な被害がない「形式犯」にすぎないと主張する。これに対し、検察は贈収賄のような「実質犯」との見方。「外部の金を含む資金を報告書に記載しない場合は形式犯ではない」(別の検察幹部)

 事件の悪質性を浮かび上がらせるには、原資に「裏献金」を充てたことの証明が不可欠だ。中堅ゼネコン元幹部が供述した現金提供の時期が近いという状況証拠しかない。石川議員から認める供述を引き出すか、ほかのゼネコンからの「裏献金」証言が必要。本人の資金となれば、悪質性は低い。石川議員らの拘置期限は最長で2月4日。国会開会中なので、拘置期限後に国会議員の身柄を拘束することはできない。捜査に残された時間は少ない。

 西松建設の巨額献金事件で、特捜部は昨年3月、小沢氏の秘書を任意の事情聴取を経ないでいきなり逮捕。一方、自民党の二階俊博前経済産業相の秘書については、半年余り否認を続けていたのに在宅のまま捜査し、認めた後に略式起訴した。

 昨年から政治資金規正法違反の摘発は相次いでいるが、処分の“格差”の理由は一般市民にはわかりにくく、納得のできる公平な捜査を求める声は多い。

 検察首脳は「石川議員が虚偽記入を認めた時点で、犯罪は成立している。あとは起訴すべきなのかどうかが問題。世論がどうみるかだ」と話した。」



 イ すでに述べたように、小沢一郎民主党幹事長に対する容疑は、政治資金規正法の「虚偽記入」の共犯(教唆犯、共同正犯)か否かです。「虚偽記入」行為は「二人羽織」で行うわけではないのですから、小沢氏に成立し得るのは「虚偽記入」の実行共同正犯ではなく、共謀共同正犯となるはずです。

「共謀」とは、二人以上の者が特定の犯罪を行うため一体となって互いに他人の行為を利用し各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議をなすことであり、共謀の日時、場所、内容について立証する必要があります。

「特捜部は、『偽装工作』とされる土地購入前の融資手続きにかかわっていたことから、小沢氏が虚偽記載を知っていた可能性があるとみている」(時事通信)ようですが、融資手続と収支報告書とは全く別個の事柄ですから、融資手続にかかわっていた「だけでは関与の証明にはならない」ことは自明の理でしょう。特捜部は、「風が吹けば桶屋が儲かる」のたぐいの思考であるようです。

「虚偽記入に小沢氏が関与したことを示す物証はないとされ」ており、「聴取で、小沢氏は虚偽記入の認識を否定」し、「逮捕された石川知裕衆院議員ら3人も虚偽記入への小沢氏の関与を否認している」のですから(日経新聞)、「共謀」を立証する証拠は一つもないことになります。

そうなると何としても小沢氏を起訴するため、逮捕した者の供述を変えさせて「自白」を得ようとしています。石川議員ら3人の供述によって「強い関与が明らかになれば、立件できる可能性はある」(検察幹部)と判断しているのです。要するに、検察は、多くの冤罪事件と同じように、逮捕した3人に対して、「小沢氏と共謀があった」と何としても自白(「共犯者の自白」)を強要することを明言しているわけです。 


 ロ 政治資金規正法違反罪は、虚偽記載された収入の原資を問題にしていません。しかし、土地購入費原資4億円が「裏献金」であれば、「刑事責任を追及するほどの『悪質性』」がある(日経新聞)と判断されるようです

「特捜部は、4億円の一部にゼネコン側の裏金が含まれている疑いを持っている」(朝日新聞)ようですが、ゼネコン側の供述と、「中堅ゼネコン元幹部が供述した現金提供の時期が近いという状況証拠しかない」(日経新聞)状況ですから、いまだ十分な証拠がないのです。

小沢一郎民主党幹事長が公表した文書「陸山会への貸付等に関する経緯の説明」によれば、4億円の原資は、「(1)1985年に湯島の自宅を売却して、深沢の自宅の土地を購入し建物を建てた際、税引き後残った約2億円を積み立てておいた銀行口座から89年11月に引き出した資金2億円、(2)97年12月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金3億円、(3)2002年4月に銀行の私の家族名義の口座から引き出した資金6千万円――を東京都港区元赤坂の事務所の金庫に保管していた。04年10月には、同金庫に4億数千万円残っており、うち4億円を陸山会に貸し付けた。」というものです。このように、銀行口座からの支出という客観的な記録が残っている以上、4億円の資金があり得た証拠になりえます。

検察側が、小沢氏側が銀行口座から引き出した資金を使い果たしたという証拠があれば、小沢氏側の主張を覆せるでしょうが、まずそんな証拠はないといえるでしょう。4億円は家族の資金も含む以上、小沢氏が単独で勝手に使ったら横領になってしまうからです。ですので、そう簡単には、「悪質性」があるとの証拠はないように思われます。

行き詰った検察側としては、「立証には、資金受領を認める石川容疑者らの供述か、ほかのゼネコンの『裏献金』証言が必要」(時事通信)になってくるのでしょうが、要するに、東京地検は、多数人の関係者に対して、今までの供述を覆させ自白の強要を行おうとしているわけです。どうやら第二の「志布志事件」になりそうな気配になってきました。




3.最後に。

(1) 日経新聞平成22年1月24日付「春秋」

 「現職の国会議員が逮捕され、与党の幹事長が事情聴取を受ける。政界の巨人と検察が火花を散らしてぶつかり合う。この重大局面を海外はどうみているだろう。いささか興奮した気分で、米欧アジアの知り合い10人に電話で聞いてみた。

▼まず「大変だね」と慰めの言葉が返ってくる。次に「それで鳩山政権はどうなるのか」という逆質問。日本国内で語られている状況をひとしきり説明すると、フムフムと聞いてくれるが、やがて「今の日本には、もっと大事な問題があるのではないか」と冷ややかな感想を漏らす――。そんなパターンが多かった。

▼米通商代表部(USTR)の幹部だった米国人弁護士の言葉は、おだやかではない。「政治がしっかりしないと、その足もとをみて、日本に注文をつける絶好のチャンスだと考える勢力が出てくる」。そういえば日本のエコカー減税への批判や米市場でのトヨタ車の不具合の指摘など、気になる動きが増えている。

▼誰が正しいのか、どちらが勝つのか。遠いよその国の話だとばかりに、「ゴジラの闘争」「民主党のショーグンの戦い」と、面白おかしく劇画風に伝える海外メディアも少なくない。だが、日本人まで観戦気分になってはなるまい。戦いの様子が見えず、評論家だけが増えてはいないか。景気回復は道半ばである。」



(2) 今回の疑惑に関して、報道機関が「いささか興奮した気分」で報道しているというのは紙面から伝わってきます。しかし、日経新聞の記者が海外の知人に電話をして聞きだすまでもなく、日本の市民は、そんな「興奮した気分」の報道機関に対して冷ややかな目を向けているように思います。

ましてや欧米やアジアといった海外からは、「『今の日本には、もっと大事な問題があるのではないか』と冷ややかな感想を漏らす――」のは当然でしょう。「今の日本には、もっと大事な問題がある」のだから、東京地検の異常な捜査に興奮している暇があったら、「日本の報道機関はもっと大事な問題について報道するべきだ」という批判の目が向けられているのです。

正直な話、今回の問題に関しては、ブログのエントリーのテーマとすることさえも馬鹿馬鹿しい気持ちで一杯です。しかし、憲法50条が保障する不逮捕特権を潜脱するような逮捕、「西松建設の巨額献金事件で、特捜部は昨年3月、小沢氏の秘書を任意の事情聴取を経ないでいきなり逮捕」した一方で、「自民党の二階俊博前経済産業相の秘書については、半年余り否認を続けていたのに在宅のまま捜査し、認めた後に略式起訴した」というような不平等捜査、別件逮捕・別件捜索差押えという違法捜査、取調べ過程の可視化を半ば否定し自白の強要を当然視する報道――。

こうした東京地検特捜部の異常な捜査を批判することもなく、連日繰り広げられる「検察リーク」報道、何罪の捜査かの判別ができないまま、極限まで興奮しきった報道は、あまりにも常軌を逸しています。多くの市民は、「興奮した気分」の報道に不信の目を向けているでしょうが、多くの市民が「興奮した気分」の報道機関へ厳しい批判を行うよう、エントリーにしています。報道機関がいつまでも興奮したままだと、いつまでも捜査機関による違法捜査は黙認されたままになってしまうからで、ひいては市民全員に多大な不利益をもたらしてしまうからです。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
■小沢氏が記者会見「裏献金一切もらっていない」―検察権力の横暴などは単なるフィクション?
こんにちは。小沢氏の記者会見がありましたが、やはり、予想通りの展開でした。何も得られるところはありませんでした。結局小沢幹事長は身の潔白を証明できなかったと思います。ところで、この問題に関して特にテレビの報道で、検察権力の横暴などと言われることがありますが、それは的外れであると思います。また、検察はもともとアメリカ進駐軍のヤミ物資の流通を摘発するためにつくられたのであり、新米的であり、民主党は親中的であるから、これは、米中の代理戦争だと言われたりすることもありますが、これも的外れであると思います。私のブログでは、これらがなぜ的外れなのかその理由や背景など掲載してみました。是非御覧になってください。
2010/01/25 Mon 16:11:08
URL | yutakarlson #.BcbyNME[ 編集 ]
何か虚しいですね・・ 日本の政治は
日本の衆議院って解散があるからこんな政争が続くんじゃないですかね・・ 国民の生活は何処に放り出されてるんだろうって感じです。

昔の民主党もそうですが、解散なんて物があるから必死に相手の粗探しを続けてる様な気がします。 もし解散が無ければこの議論も優先度は予算より低くなるはずなんですけどね・・(^^;;

小沢氏の立件の話しですが、キモは石川氏が小沢氏の関与を認めるかに掛かってる訳で、彼の証言をひっくり返せないなら本丸の小沢氏には辿り着かないと思います。 なので、今取り調べの中で司法取引まがいの事をチラつかせてそうですね。

アメリカならば司法取引は弁護士立会いの元で行われるはずですが、日本は密室でやられそうで怖いですね。 まぁ私の妄想であればいいんですが。
2010/01/25 Mon 17:30:38
URL | 迷い猫 #HfMzn2gY[ 編集 ]
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