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2010/01/20 [Wed] 03:58:47 » E d i t
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑事件については、東京地検特捜部は、3人の元秘書を逮捕し、幾つかの建設会社に対しても捜索を行っています。例えば、特捜部は「胆沢ダム」の工事に注目しているようで、2004年の工事を受注した大手ゼネコン鹿島の本社や支店を捜索し、1月19日、「胆沢ダム」の工事で下請けに入った中堅ゼネコン「山崎建設」(東京都中央区)や同「宮本組」(兵庫県姫路市)など関係先数カ所の捜索をしています(東京新聞2010年1月19日夕刊)。

しかし、何の目的で次々と強制捜査を行っているのか、報道記事を幾ら読んでも実に不可解です。政治資金規正法違反の容疑で逮捕・捜索をしていますが、「政治資金規正法は原資の記載を要求していない」のですから(「不可解な特捜の強制捜査 郷原信郎氏インタビュー」(ビデオニュース・ドットコム インターネット放送局(2010年01月14日))))、原資を探るような捜査は政治資金規正法違反(虚偽記載)以外の犯罪摘発を目的としたものです(いわゆる「別件逮捕及び別件捜索差押え」であるため捜査としては違法ですが。)。

そうすると、捜査機関は、一体何罪の摘発を目的とした捜査をしているのでしょうか? 捜査活動は、あくまでも起訴し有罪にできる刑罰に関して捜査する権限に限られるのですから、何罪の摘発なのかという法律問題の検討こそが最も肝心といえます。
(1月27日付追記:石川知裕議員の逮捕の容疑となった被疑事実について追記しました。)




1.そこで、「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑事件について、<1>政治資金規正法違反以外の犯罪は本当に成立する可能性はあるのか?、<2>元々、政治資金規正法違反での有罪立証自体可能なのか?について、法律的な検討を加えている3人の元検察官の見解を紹介したいと思います。


(1) 夕刊フジ平成22年1月20日付(19日発行)2面

本丸攻略どこまで!?小沢金脈事件、検察捜査の行く末
2010.01.19

民主党を激震させている小沢一郎幹事長の「金脈」事件。元秘書ら側近3人が逮捕されたが、果たして検察はどこまで捜査を進めるのか。狙いや今後の見通しなど、識者4人に聞いた。

■元最高検検事・土本武司氏 「本人逮捕・起訴ない」

 「政治資金規正法違反はあくまで形式犯で、小沢氏本人の逮捕・起訴は考えられない。秘書らの逮捕容疑に本人の意向が働いていたことは容易に想像できるが、具体的な虚偽記載や不記載まで指示したとは考えにくく、あくまで小沢氏の意志を彼らが忖度(そんたく)した結果に過ぎない。土地購入資金の一部の出処がゼネコンだったとしても、当時野党幹部だった小沢氏が、贈賄を受けるに値する立場だったことを立証する手間は膨大。一政治家としての影響力というだけでは、現職政治家、しかも与党幹事長に対する収賄罪の適用根拠としては弱いといわざるを得ない」」



(2) 毎日新聞平成22年1月19日付東京夕刊2面

特集ワイド:小沢氏団体の虚偽記載事件を読む

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件は、元秘書の石川知裕衆院議員らが政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕され、小沢氏は「断固として検察と戦う」と宣言した。政権党の幹事長と検察当局の対決が鮮明になった異様な事態を、識者たちはどう見るのか。

 ◇検察主義の国会議員逮捕--元東京地検検事・郷原信郎さん

 小沢一郎・民主党幹事長が16日の党大会で行った説明だけでは、疑惑が晴れたとは言い難い。小沢氏は、購入資金は土地購入の約6年前に信託銀行から引き出して自宅に保管していた父親の遺産と説明したが、遺産相続のこと、相続後の経過、現金化した目的など、もっと詳しく説明しなければ、国民が納得できるとは言えない。

 一方で、現職の国会議員を国会召集の3日前に逮捕した検察にも大きな問題がある。小沢氏側が土地を購入した4億円の出所に問題があるとの報道があるが、政治資金収支報告書に記載されなかった金は、どこから提供されたものなのか検察は特定していないとみられる。国会議員を国会開会中に逮捕する時はふつう容疑内容を明らかにするが、それすら特定しないのでは開会後の逮捕許諾請求は困難だったと思われる。

 政治家は日常的に、資金団体との間で経費の立て替えなどをしている。どこまで忠実に収支報告書に記載するかで収入・支出の総額はいかようにも変わる。それを虚偽記入だとして国会議員を逮捕できるなら、検察はどんな政治家も逮捕できることになる。検察が国会以上の強大な政治的権力を持つことになり、民主主義の崩壊を招きかねない。

 そもそも職務権限や時効の問題があって、収賄、談合、脱税など政治資金規正法以外での立件は考えにくい。水谷建設が国発注のダムの工事受注の謝礼として5000万円を小沢氏側に渡したと元幹部らが説明していると報道されており、今後の捜査の最大のポイントになっているようだ。だが、その元幹部の贈賄供述で立件された佐藤栄佐久前福島県知事の汚職事件の控訴審判決で「わいろ額はゼロ」とする無罪に近い判断が示されている。また元幹部が実刑判決を受けて受刑中であること、仮釈放ほしさに検察に迎合する動機も十分にあり、核心の供述として扱うのは危険だ。【聞き手・中山裕司】

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 ◇「特集ワイド」へご意見、ご感想を
t.yukan@mainichi.co.jp

ファクス03・3212・0279

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 ■人物略歴

 ◇ごうはら・のぶお


 1955年生まれ。東大理学部卒。名城大教授。元東京地検特捜部検事。昨年、民主党が設置した「政治資金問題第三者委員会」で委員を務めた。

毎日新聞 2010年1月19日 東京夕刊」



(3) 朝日新聞平成22年1月19日付朝刊17面

国会議員の逮捕 誰もが納得できる捜査こそ

永野義一(ながの・よしかず) 弁護士・元東京地検特捜部副部長

 東京地検特捜部が、石川知裕議員を政治資金規正法違反容疑で逮捕した、というニュースを見て、私は「特捜部も変わったなあ」と思った。

 私は1970年代から90年代にかけて通算8年間特捜部に在籍したが、当時の特捜部では、「国会議員を逮捕するなら贈収賄で」というのが当然と見られていた。

 金額も大事だった。ある時、私が内偵を進めていたある与党の有力国会議員をめぐる捜査に関して、上司に「数百万円の収賄で逮捕したい」と相談したところ、「仮にも国民から選ばれた人間を刑事罰に問う以上、だれが見ても『それならやむを得ない』と納得する罪状でなければダメだ。数千万のわいろがなければ無理だ」と一蹴(いっしゅう)され、立件を断念したことがあった。ましてや政治資金規正法違反で国会議員を逮捕したいなどと言える雰囲気ではなかった。

 そのころは、深く考えず「そんなものなのかなあ」と思っていたが、今から振り返ると、当時は、田中角栄首相がロッキード裁判を闘いながら、事実上政界を支配していた時代だった。世論の評価が分かれる罪で国会議員を逮捕すれば、政界から「検察ファッショ」という批判が集中することは火を見るより明らかで、そうした事態は避けなければならなかったのだ。当時の検察幹部は、政界与党と全面的な対立関係に陥らないように細心の注意を払っていたと思う。

 それに比して、今回の事件はどうか。何を最終目的に捜査しているのだろうか。

 ゼネコンからの裏資金の情報が一部で報道されてはいるものの、小沢一郎氏の当時の立場から考えて職務権限がないので、収賄には問えない。もし、金丸信自民党元副総裁のように脱税などで立件できず、政治資金規正法違反の共犯程度で終わったとしたら、検察は大きなダメージを受けることになるだろう。

 もう一つ、今回の逮捕劇で違和感を感じたのは、テレビのニュースで「石川議員に出頭要請」「石川議員出頭」「逮捕状請求」といった途中経過が逐一速報されたことだ。かつては、社会的立場のある人を聴取したり、出頭要請をしたりするときは、その人の名誉に配慮して、秘匿を心がけたものだ。速報どころか、出頭や聴取そのものが報道されないよう注意した。そのあたりの情報管理はどうなっているのだろうか。

 通常国会直前の国会議員逮捕といえば、私は92年1月、鉄骨加工会社「共和」からの収賄容疑で阿部文男元北海道・沖縄開発庁長官を逮捕したが、その時も政局に影響を与えないよう最大限の配慮をした。選挙で国民の負託を受けた国会議員を対象に捜査する時はその立場の重みを忘れてはいけない。」





2.(1) 「<1>政治資金規正法違反以外の犯罪は本当に成立する可能性はあるのか?」について

 「土地購入資金の一部の出処がゼネコンだったとしても、当時野党幹部だった小沢氏が、贈賄を受けるに値する立場だったことを立証する手間は膨大。一政治家としての影響力というだけでは、現職政治家、しかも与党幹事長に対する収賄罪の適用根拠としては弱いといわざるを得ない」(元最高検検事・土本武司氏)



 「そもそも職務権限や時効の問題があって、収賄、談合、脱税など政治資金規正法以外での立件は考えにくい。水谷建設が国発注のダムの工事受注の謝礼として5000万円を小沢氏側に渡したと元幹部らが説明していると報道されており、今後の捜査の最大のポイントになっているようだ。だが、その元幹部の贈賄供述で立件された佐藤栄佐久前福島県知事の汚職事件の控訴審判決で「わいろ額はゼロ」とする無罪に近い判断が示されている。また元幹部が実刑判決を受けて受刑中であること、仮釈放ほしさに検察に迎合する動機も十分にあり、核心の供述として扱うのは危険だ。」(元東京地検検事・郷原信郎氏)



 「今回の事件はどうか。何を最終目的に捜査しているのだろうか。
 ゼネコンからの裏資金の情報が一部で報道されてはいるものの、小沢一郎氏の当時の立場から考えて職務権限がないので、収賄には問えない。もし、金丸信自民党元副総裁のように脱税などで立件できず、政治資金規正法違反の共犯程度で終わったとしたら、検察は大きなダメージを受けることになるだろう。」(弁護士・元東京地検特捜部副部長の永野義一氏)



土地購入資金の原資は、国発注の(2004年10月と2005年3月に入札があった)胆沢ダムの受注業者(鹿島建設)やその下請け会社からの資金提供ではないかと疑って捜査をしているようです。しかし、当時、小沢一郎氏は野党幹部にすぎず、公共事業の発注に口を出す立場になかったのですし、一政治家としての影響力というだけでは、贈収賄罪の成立に不可欠な「職務権限」の要件を具備しません。犯罪成立要件を欠いている以上、元々、犯罪性がないわけです。

また、西松建設献金事件でも何度も指摘されたことですが、現時点では2006年3月以前の談合の事実はすべて公訴時効(刑訴法250条)が完成しているので、かりに談合があったとしても談合罪は(訴訟条件を欠くとして起訴するための要件を欠くので)処罰不可能です(刑訴法337条4号)。脱税の点についても同様に公訴時効の関連で起訴は難しいのです。

このように、収賄、談合、脱税など政治資金規正法以外での起訴は、極めて難しいのです。

もっとも、収賄、談合、脱税を疑い、そうした背景があるなら「悪質」であると考え、東京地検の捜査に賛同する方もいるかもしれません。しかし、処罰不可能な犯罪について「悪質」と評価することは、処罰不可能な犯罪を実質的に処罰するものであって、それは憲法31条(法定手続の保障)に反するものであり、極めて不当です。



(2) 「<2>元々、政治資金規正法違反での有罪立証自体可能なのか?」について

 「政治資金規正法違反はあくまで形式犯で、小沢氏本人の逮捕・起訴は考えられない。秘書らの逮捕容疑に本人の意向が働いていたことは容易に想像できるが、具体的な虚偽記載や不記載まで指示したとは考えにくく、あくまで小沢氏の意志を彼らが忖度(そんたく)した結果に過ぎない。」(元最高検検事・土本武司氏)



 「現職の国会議員を国会召集の3日前に逮捕した検察にも大きな問題がある。小沢氏側が土地を購入した4億円の出所に問題があるとの報道があるが、政治資金収支報告書に記載されなかった金は、どこから提供されたものなのか検察は特定していないとみられる。国会議員を国会開会中に逮捕する時はふつう容疑内容を明らかにするが、それすら特定しないのでは開会後の逮捕許諾請求は困難だったと思われる。
 政治家は日常的に、資金団体との間で経費の立て替えなどをしている。どこまで忠実に収支報告書に記載するかで収入・支出の総額はいかようにも変わる。それを虚偽記入だとして国会議員を逮捕できるなら、検察はどんな政治家も逮捕できることになる。検察が国会以上の強大な政治的権力を持つことになり、民主主義の崩壊を招きかねない。」(元東京地検検事・郷原信郎氏)



 「私は1970年代から90年代にかけて通算8年間特捜部に在籍したが、当時の特捜部では、「国会議員を逮捕するなら贈収賄で」というのが当然と見られていた。
 金額も大事だった。ある時、私が内偵を進めていたある与党の有力国会議員をめぐる捜査に関して、上司に「数百万円の収賄で逮捕したい」と相談したところ、「仮にも国民から選ばれた人間を刑事罰に問う以上、だれが見ても『それならやむを得ない』と納得する罪状でなければダメだ。数千万のわいろがなければ無理だ」と一蹴(いっしゅう)され、立件を断念したことがあった。ましてや政治資金規正法違反で国会議員を逮捕したいなどと言える雰囲気ではなかった。
 そのころは、深く考えず「そんなものなのかなあ」と思っていたが、今から振り返ると、当時は、田中角栄首相がロッキード裁判を闘いながら、事実上政界を支配していた時代だった。世論の評価が分かれる罪で国会議員を逮捕すれば、政界から「検察ファッショ」という批判が集中することは火を見るより明らかで、そうした事態は避けなければならなかったのだ。当時の検察幹部は、政界与党と全面的な対立関係に陥らないように細心の注意を払っていたと思う。」(弁護士・元東京地検特捜部副部長の永野義一氏)



「秘書らの逮捕容疑に本人の意向が働いていたことは容易に想像できる」としても、「具体的な虚偽記載や不記載まで指示したとは考えにくく、あくまで小沢氏の意志を彼らが忖度した結果に過ぎない」ので、小沢一郎氏に対して政治資金規正法違反を問うことはできないわけです。もっとも、小沢一郎氏が任意での取り調べに応じ、東京地検が小沢氏に対して「具体的な虚偽記載や不記載まで指示した」という自白を強要できれば別なのかもしれません。

また、「政治家は日常的に、資金団体との間で経費の立て替えなどをしている。どこまで忠実に収支報告書に記載するかで収入・支出の総額はいかようにも変わる」ようです。そうだとすると、逐一克明に記載することを求めることは無理があるため、どこまで正確に書くべきなのか、どこまでで虚偽記入になるのかが、各事例ごとに判断が分かれることになります。そうなると、政治資金規正法上、「虚偽記載」かはたやすく判断はできない以上、「政治資金規正法違反はあくまで形式犯」(元最高検検事・土本武司氏)として処理するしかないわけです。

そうなると、小沢一郎氏に対する政治資金規正法違反の共犯という形での起訴はもちろん無理なのですが、石川知裕衆院議員に対しても政治資金規正法違反として処罰できるのかどうかも怪しいといえそうです。



(3) このように、「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑事件については、<1>政治資金規正法違反以外の犯罪は成立する可能性は極めて乏しいだけでなく、<2>小沢氏に対してはもちろん、小沢氏の元秘書にとっても、元々、政治資金規正法違反での有罪自体も確実なものではないのです。

そうすると、東京地検は、一体何罪の摘発を目的とした捜査をしているのでしょうか? 特に、通常国会の直前に衆院議員を逮捕することは、国会審議に対する影響が大きいことは明白で、民主党政権が倒れることを意図して捜査しているとしか思えないのです。言い換えれば、検察庁が、民主党政権という内閣に対して、政治的な権力闘争を挑んでいるとしか受け取れないのです。

振り返れば、西松建設献金事件でも、政権選択選挙という日本国の命運を左右する選挙が迫りつつあった時期に、小沢氏の秘書を逮捕したことから、検察が政治に介入するつもりなのかと「時期が最悪」だと酷評されていました(「西松建設献金事件:検察OBも疑問の声~「単純に考えて時期は最悪だ」」(2009/03/22 [Sun] 23:59:20)参照)。今回もまた、民主党議員を逮捕した時期は、最悪だといえます。




3.最後に。

民主党政権は、検察庁から政治的な権力闘争を挑まれた以上、政権を維持するためには、検察庁に対して後の粛清をちらつかせながら断固とした態度をとるしかありません。もし民主党政権が倒れれば、民主党よりも比較にならならいほど、腐敗と利権にまみれた自民党が復権してしまいます。の捜査を望んでいないのですから、そうした自民党の復権を阻止するためにも、民主党政権を維持させる価値があります。

しかし、国民の側としては、勝手に民主党政権に権力闘争を挑みだして、より大きな腐敗をもたらす自民党政治の復活を図るような検察庁は、ただただ迷惑なだけであり、ましてや長年、腐敗と利権にまみれてきた自民党が、「政治とカネ」の問題で民主党を非難して騒ぐなんて、馬鹿馬鹿しいにもほどがあります。

通常国会召集 永田町と世間の温度差は?
2010年1月19日

 「政治とカネ」「与野党激突」-。十八日の通常国会召集を伝える各紙の見出しだ。昨秋の特別国会閉会後、鳩山由紀夫首相の献金問題、三人が逮捕された民主党・小沢一郎幹事長の政治資金疑惑が熱を帯びた。その結果、永田町では政治とカネが焦点となっているが、世論との間にはズレが見える。街中では、生活不安やしらけた感情が漂う。国会召集当日の永田町と街の“温度差”を追った。 (大野孝志、加藤裕治)(中略)

■就職・子育て… 「疑惑より景気回復して」

 ところで、小沢幹事長の側近3人が逮捕された直後、世論はこの展開にどう反応したのか。

 18日付で報じられた朝日新聞の世論調査では、内閣支持率が42%、不支持率は41%。読売新聞では同じく45%と42%、一日遅れの共同通信では、不支持率(44%)が不支持率(41%)を初めて上回った。小沢氏の幹事長辞任を求める声は各調査とも約7割に上った。

 支持率はいずれも下がっている。とはいえ、依然、40%以上という高い水準を維持している。ちなみに麻生前内閣では就任当初こそ、支持率は48%だったが、4ヶ月後には20%を切った(共同通信の調査による)。

 より生々しい世論を探りに街へ出た。

 年始年末の「公設派遣村」も18日に閉所。会場の野宿者向け冬季臨時宿泊施設「なぎさ寮」(東京都大田区)から出た400人以上は生活保護などを受けながら、職探しをする。しかし、展望はなかなか開けない。

 都内新宿区のハローワークの求人検索パソコンには、この日も求職者が鈴なりだった。

 「自民時代の官僚天国に嫌気がさして、総選挙では民主に入れた」という無職の男性(50)は、総選挙直後に勤務先を解雇された。「政権交代からまだ数ヵ月だ。ほかに政権を担える政党もない。小沢さんに説明を求めたいが、彼は元自民だから…。それより、国民が働ける方策を政治主導で実現して」と訴えた。

 別の会社員男性(63)は、「小沢さんの疑惑より、景気を回復させてよ」と一言。通りかかった新成人の大学一年の男性(20)も「疑惑解明は大切と言えば大切。でも、まずは新政権の政策が本当に効果的なのか否か、を国会で議論してほしい」と話す。就職する数年後がすでに心配だという。

 新宿区内のトレーニングジムに来た定年すぎの男性(76)は「小沢氏は国民にしっかり説明しろ。でもそれより普天間飛行場の移設だよ。ほかにも課題山積だろうが」。

 夕刻、サラリーマンでごった返す都内の新橋駅前。娘二人と買い物帰りの元保育士の主婦(35)は「生活は苦しい。働きたいのでまず、産科や保育園の不足を解消して。安心して子育てさせて」と切実さを強調した。

 卒業制作の映像番組を撮影中の大学四年の男性(22)は、就職活動で65社を受けて全滅。唯一通ったのが派遣会社だった。「面接を受ける学生は『はっきり言え』と求められるのに、小沢さんは醜い」と酷評。ただ「疑惑の解明より先に、この国会で派遣法を改正して、派遣社員にも生活の保障を」と求めた。

■街に漂う しらけ・不安

 「政治とカネ」に燃える永田町と、それとは距離のある街中の声。この距離をどう読み解いたらいいのだろうか。

 ノンフェクション作家の斉藤貴男さんは「目先の関心」と「しらけ」の混合を指摘する。

 後者の正体は「小沢さんが『真っ白』とは思えない。でも、疑惑の程度は並。一方、“検察の正義”には『国策捜査』のにおいがする。小沢さんが勝てば、捜査が政治権力に屈したとなり、検察が勝てば『国策捜査』が横行したと、どちらに転んでも不愉快。そんな気分がある」と話す。

 「前者は生活者の多くが雇用や医療、介護など目先の生活不安にあえいでいる。『自分はまじめに働いているのに政治家や役人は…』という一昔前の憤りの前提には、安定した生活があった。いまはそれがない。人々が目先しか考えられない現状に真の危機がある」


<デスクメモ>

 検察の脇の甘さが気になる。どんな社会にもジャスティス(正義)はある。でも、その行使にフェアネス(公平)が伴わないと逆効果になる。二階俊博経産相(当時)へのぬるい捜査と、今回の小沢幹事長への執拗(しつよう)さ。この違いは何か。説明責任が求められているのは小沢氏だけではない。(牧)」(東京新聞平成22年1月19日付朝刊26・27面【こちら特報部】



日本の市民にとっては、小沢一郎氏の疑惑解明よりも、雇用問題や社会保障など生活の安定を保障するための政策を実現してくれる方が優先課題なのです。「目先の生活不安」の解消こそが、国会の審議で求めていることなのです。

例えば、自民党政権下で成立した「障害者自立支援法」は、利用者を苦しめるだけだったのですが、民主党政権になってやっと「障害者自立支援法」が廃止されることになりました。こうした国民のためになる方策の実施こそが国民が望んでいることです。

「二階俊博経産相(当時)へのぬるい捜査」と異なり、捜査機関が、小沢一郎・民主党幹事長に対して執拗に捜査をし続けているのは、なぜなのでしょうか。あれほど贈収賄に近いような多額の企業献金を受け取ってきた自民党(及び自民党議員)に対して、ろくな捜査もしないでいたのに。なぜ、小沢一郎氏に執拗に操作をし続けるのか、国民の意識から離れた「捜査ごっこ」を繰り広げる検察庁こそ、説明を責任を果たすべきです。




<1月27日付追記>

石川知裕議員の逮捕の容疑となった被疑事実については、新聞報道では、石川議員の逮捕について、見出しでは「4億円不記載」、記事では「4億円の収入と土地代金の支出を収支報告書に記載しなかった」などと、明かに政治資金規正法25条1項2号の「不記載罪」の事実であるように書かれています。しかし、逮捕状に示している逮捕容疑は、「どのような収入・支出が不記載だったのかを特定しないで、全体として収入総額・支出総額が過少だったという政治資金規正法25条1項3号の虚偽記入の事実」でした。

 「石川議員の逮捕容疑は、裁判官が発した逮捕状では、平成16年分の政治資金収支報告書の「収入総額」を4億円過少に、「支出総額」を3億5200万円過大に記入した虚偽記入の事実だ。

 政治資金規正法では、25条1項2号で政治資金収支報告書に「記載すべき事項を記載しなかった者」、3号で「虚偽の記入をした者」を罰則の対象としている。「収入総額」「支出総額」の欄は、その年の収入と支出を合計したものであり、記載すべき政治献金の収入が記載されていなかったとか、架空の経費が記載されていた事実があれば、それに伴って収入や支出の総額が実際とは違うものになるのは当然だ。収入について過少に報告したということであれば、問題なのは、政治献金等の具体的な収入の記載が行われなかったことや実際より少なく記載されたという問題であって、収入総額の過少というのは、それに伴って当然生じるものに過ぎない。

 ところが、今回の石川議員の逮捕の容疑となった被疑事実は、どのような収入・支出が不記載だったのかを特定しないで、全体として収入総額・支出総額が過少だったという政治資金規正法25条1項3号の虚偽記入の事実だけだ。要するに、石川議員が、政治資金収支報告書にどのような事項を記載しなかったのか、どのような不正を行ったのかは、逮捕事実では明らかにされていない。脱税の問題で言えば、どのような収入を隠したのか、どのような支出を架空に計上したのか、というのが犯罪事実の中心のはずなのに、そこが明らかにされないまま、収入の合計金額を少なく申告した、ということだけで逮捕されたようなものだ。

 資金管理団体は政治家にとって「政治資金の財布」の役割を果たすものだ。自らの資金管理団体の人件費、事務所費等の経費が不足すれば、代表者の政治家が立て替えるのは当然だ。このような立て替えやその返済も、政治資金規正法上の「収入及び支出」に当たると考え、すべて収支報告書に記載しなければならないとすると、立替えが多い政治家の「収入総額」「支出総額」の記載は、実際の政治活動に係る収支を反映しないものとなる。それが、果たして、「政治活動が誰から、どの企業・団体から資金提供によって賄われ、それがどのように使われているのか」、を国民にありのままに開示されることを目的とする政治資金規正法の趣旨に沿うものであろうか。」(「「小沢VS検察」ではなく「石川議員逮捕」こそが最大の問題(転載)」(ニュース・スパイラル)(2010年1月21日 11:15)



毎日新聞平成22年1月16日付東京朝刊の記事によれば、04年10月から07年4月の間に(約2年半)、4億円の借り入れ・返済が2本あり、そのうち1本しか記載がない点で「4億円の疑惑がある」と問題となっています。金額を単純に合計すれば借り入れ返済は8億円になるため、検察は、総額として4億円の借り入れ返済分が「虚偽記入」として逮捕したわけです。

しかし、4億円の借り入れ・返済2本とも「同一の土地購入」についてのものですから、8億円の土地を購入したわけではなく、4億円の土地を1つ購入しただけです。要するに、「1本は銀行資金、もう1本は小沢氏の自己資金で、銀行から借り入れる前につなぎとして「自己資金」を使っただけ」という説明が最も合理的であろうと思います。自己資金はつなぎ資金にすぎないのですし、「同一の土地購入」なのですから、4億円の借り入れ返済は1本だけを報告すれば足りるのであって、「虚偽記入」に当たらないように思われます(「不可解な特捜の強制捜査 郷原信郎氏インタビュー」(ビデオニュース・ドットコム インターネット放送局(2010年01月14日))。

検察は、こうした借入金の立替えをすべて正確に記入しないと「虚偽記入」に当たるといいたいのでしょうか? しかし、政治資金規正法は、自己資金以外からの資金提供につき、開示することを求めているのですから、その法の目的からすれば「自己資金での立て替え返済までも正確に記入しなければ違法」という論理にはならないように思われます。


テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
私もこの問題って何が目的なのか分かりません
小沢氏を贈収賄で挙げたい様な感じの捜査なんですが、そもそも小沢氏にはその権限が無いから贈収賄での立件はありえないんですよね。 結局検察は何が目的で捜査してるのか私にも意味がわかりません。(^^;;

単純に民主党のネガティブキャンペーンを狙ってるとしか思えませんが、マスコミも検察のリークに踊らされて哀れとしか言い様が無いですね。

それにしても、日本の政治は民主党が野党の時もそうなんですが、そんな問題は別で時間を取って先に予算や法案を作る事に尽力しろよって言いたいです。 スキャンダル合戦の立法府に何の意味が有るんでしょうか? 何か日本の政治ってこう言う所がショボイなぁ~と痛感する次第です。
2010/01/21 Thu 14:12:31
URL | 迷い猫 #HfMzn2gY[ 編集 ]
ご無沙汰しています。
もうご存知かもしれませんが、“フルキャスト”のシンポジウム。
http://opinion.infoseek.co.jp/article/721
2010/01/22 Fri 17:00:20
URL | rice_shower #UXr/yv2Y[ 編集 ]
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2010/01/23 Sat 07:32:46
| #[ 編集 ]
>迷い猫さん:2010/01/21 Thu 14:12:31
コメントありがとうございます。
大変、お返事が遅くなりました。申し訳ありません。


>小沢氏を贈収賄で挙げたい様な感じの捜査なんですが、そもそも小沢氏にはその権限が無いから贈収賄での立件はありえないんですよね

最初は贈収賄を狙っていたんでしょうね。仰るとおり、「小沢氏にはその権限が無いから贈収賄での立件はありえない」わけです。最初っから、贈収賄は無理だったのに、なぜ特捜部の面々が揃って気づかなかったのか、不思議です。今の特捜部には、出来の悪い検事が揃ってしまったようです。


>マスコミも検察のリークに踊らされて哀れとしか言い様が無いですね。

検察がいくらリークしようとも、捜査である以上は刑罰という法律論が問題の中心です。法律論として、贈収賄の適用があるのか、政治資金規正法違反となるのか、ちょっとでも検討していれば、リークに踊らされることもなかったんですけどね。

もちろん、マスコミ自身は法律の素人でしょう。でも、このエントリーで引用したように複数の法律家に話を聞けば、正解はわかるはずなんですけどね。


>それにしても、日本の政治は民主党が野党の時もそうなんですが、そんな問題は別で時間を取って先に予算や法案を作る事に尽力しろよって言いたいです

同感です。政治とカネの問題は緊急の課題ではないのですから、後回しにしろと言いたいですね。民主党も野党時代はくだらない質問をしていたことは確かですが、最も腐敗していた自民党が、政治とカネの問題で民主党を批判するなんて、悪い冗談としか思えません。


>スキャンダル合戦の立法府に何の意味が有るんでしょうか?

自民党は、重要課題はずっと官僚任せにしてきた癖が抜けないのでしょう。だから、自民党は、小沢氏を批判するなど「スキャンダル合戦」だけしか能がないまま。自民党が消滅するまで、立法府として健全性を回復することはないのかもしれません。
 
2010/02/08 Mon 02:33:32
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>rice_showerさん:2010/01/22 Fri 17:00:20
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
以前のコメントにはお返事ができていないままですし、今回も大変、お返事が遅くなりました。申し訳ありません。

昨年途中から、私的な問題(家族のこと)で、どうしても時間がとれなくなり、精神的に遣り切れない状態になっていたものですから。ですので、ブログの方は、無理をせずに、しばらく休止状態にさせてもらいました。今後とも、お返事が遅くなることが多いかもしれませんが、これからも宜しくお願いします。


>もうご存知かもしれませんが、“フルキャスト”のシンポジウム。
http://opinion.infoseek.co.jp/article/721

情報ありがとうございます。確かに濃い目の「フルキャスト」ですね。お話も大変参考になりました。

話は本筋からずれますが、司会の青木理さんが「公安の人たちもきている」などと言っていました。共産党の選挙演説には、結構きているんですよね。でもあまり仕事をしていない方もちらほらと。例えば、私が目撃した公安の方は、いちゃいちゃしているカップルを双眼鏡で覗きをしてました。覗きで給料が出るのだから、実にいい商売ですね。
2010/02/08 Mon 02:39:43
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ:2010/01/23 Sat 07:32:46
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
大変、お返事が遅くなりました。申し訳ありません。
非公開コメントですので、修正した形で引用します。


>収支報告書に不記載とされた内容は、 トラックバックにある南華のブログの記事の通り、まだ登記していない土地代金の立て替え金を仮払金として記載しなかった、というだけの話
>年末の登記を避けて年度替わりに登記するのは不動産取引の常識であって、税務上も問題ないはず
>04年10月の取引で05年1月の登記ですから、印鑑証明の有効期間内(3ヶ月)の登記であって、取引日と登記日がずれてもそう不自然さはない

仰りとおりですね。なぜ、マスコミが問題視しているのか、よく分からないんですよね。こっちの「常識」の方が間違っていたのかと訳が分からなくなります。

↓のサイトでも、同様の話を触れています。
小沢「陸山会」土地取引疑惑は的外れ・定期預金担保、登記遅れは業界の常識[ゲンダイ]
http://www.asyura2.com/10/senkyo78/msg/735.html


>直接銀行からの借入金として記載しても良かった4億円も、小沢氏からの借入金として記載されており、小沢氏からの資金を隠す意図が無かったことは明白です。
>つまり、訂正の必要も全くない事例であり、不記載でもなければ虚偽記載でもありません。

検察は「『直接銀行からの借入金』も『小沢氏からの借入金』も両方とも全部記載すべし、全部書くのが政治資金規正法の趣旨なのだ」ということなのでしょう。ただ、いずれも1つの土地を購入するための4億円ですから、2つ書く必要性がない――むしろ、2つ書くとかえって紛らわしい――といえます。

ですから、仰るとおり、「不記載」でも「虚偽記載」でもないとしてよいと思うのですけどね。検察としては、小沢氏摘発ありきだったので、何でも問題ありにしたいのでしょう。
2010/02/08 Mon 02:44:10
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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