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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2010/01/06 [Wed] 23:28:58 » E d i t
今年1年間に刑を執行された死刑囚は計7人で、2008年の15人を大幅に下回りました。死刑執行はいずれも自公政権下の森法相時代のもので、7月を最後に行われておらず、政権交代後、民主党の千葉景子法相が就任してからは、執行は1件もありませんでした。



1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成21年12月30日付朝刊26面

死刑判決 今年は34件  昨年比7件増 地・高裁は一けた

 全国の地・高裁と最高裁で今年言い渡された死刑判決(いずれも裁判官だけの裁判)は、昨年より7件多い34件(被告32人)に上ったものの、地・高裁は10年ぶりにそろって一けたにとどまったことが29日、共同通信の集計で分かった。また検察側の死刑求刑を退け、無期懲役としたケースが19件(被告17人)あり、死刑選択に慎重な姿勢もうかがえる。

 今年死刑が確定したのは17人。確定者は106人となり、うち61人が再審を請求している。死刑執行は前政権の森英介法相時代に2回あり、計7人が処刑された。

 集計によると、今年の死刑判決のうち、地裁は9人殺傷事件の無職金川真大被告(26)や16人が死亡した個室ビデオ店放火事件の無職小川和弘被告(48)ら9件。高裁判決も9件で、スナック乱射事件の暴力団幹部矢野治被告(61)ら。地裁と高裁双方で死刑判決を受けた被告が二人いる。

 最高裁判決は、オウム真理教元幹部の井上嘉浩死刑囚(40)や毒物カレー事件の林真須美死刑囚(48)ら16件。昨年は地・高裁含め1件のオウム事件が4件もあった。

 死刑判決の合計数は、90年以降の10年間は21~7件で、年平均13件だったが、2000年以降は46~25件に増え、年平均も35件に。地裁は00~07年、高裁は01年、03~08年にそれぞれ二けたの死刑判決を言い渡した。

 一方、死刑求刑を退けたのは秋田の連続児童殺害事件の畠山鈴香受刑者(36)らで、地裁6件、高裁11件、最高裁2件。地・高裁とも死刑を回避した被告が2人いる。

 今年の死刑確定者は最高裁判決を受けた被告のうち15人と、控訴や上告を取り下げた闇サイト事件の神田司死刑囚(38)ら2人。28日に控訴を取り下げた金川被告は来年確定する見通し。

 死刑執行は1990~92年が0、93~07年は9~1人で推移し、昨年は15人に上った。9月に就任した民主党の千葉景子法相は「死刑廃止を推進する議員連盟」の元メンバーで、執行には慎重とみられている。」



◆地・高裁、最高裁の死刑判決

1990年――地裁2・高裁3・最高裁7=計12
1991年――地裁3・高裁4・最高裁4=計11
1992年――地裁1・高裁4・最高裁5=計10
1993年――地裁4・高裁2・最高裁5=計11
1994年――地裁8・高裁4・最高裁3=計15

1995年――地裁11・高裁4・最高裁3=計18
1996年――地裁1・高裁3・最高裁3=計7
1997年――地裁3・高裁2・最高裁4=計9
1998年――地裁7・高裁7・最高裁7=計21
1999年――地裁8・高裁4・最高裁4=計16

2000年――地裁14・高裁6・最高裁6=計26
2001年――地裁10・高裁16・最高裁5=計31
2002年――地裁18・高裁4・最高裁3=計25
2003年――地裁13・高裁17・最高裁2=計32
2004年――地裁14・高裁15・最高裁13=計42

2005年――地裁13・高裁15・最高裁10=計38
2006年――地裁13・高裁15・最高裁16=計44
2007年――地裁14・高裁14・最高裁18=計46
2008年――地裁5・高裁14・最高裁8=計27
2009年――地裁9・高裁9・最高裁16=計34



(2) 朝日新聞平成21年12月30日付朝刊31面

死刑執行、09年半減 千葉法相、来年の判断は?
2009年12月31日6時51分
  
 今年に入ってこれまでに死刑が執行された人数は7人で、2008年の15人を大幅に下回ることが確実になった。政権交代以降に執行がなくなっているのが主な理由だ。ただ、かねて死刑反対を唱えてきた千葉景子法相は、大臣就任後は「執行しない」との態度を明確にしているわけではなく、来年以降もこの傾向が続くかは未知数だ。

 執行ペースはここ数年、大幅に早まっていた。06年は4人だったが、鳩山邦夫元法相の時代に「2~3カ月に一度、1回に数人」が定着。07年は9人、08年は15人だった。今年は森英介前法相のもとで1月29日に4人、7月28日に3人の執行があった後は5カ月間、途絶えている。

 一方で死刑確定者は増えている。法務省が28日現在で把握しているところでは、今年は15人が新たに確定し、確定者の総数は104人になった。このほか最高裁で死刑が維持され、判決訂正の申し立ても24日付で棄却された被告が2人おり、今年の確定者はさらに増える見通し。

 増加の背景には「厳罰化」がある。朝日新聞のまとめでは、今年1年で延べ34人が地裁、高裁、最高裁のいずれかで死刑判決を受けた。27人だった08年に比べ7人増。1999年までの数年は年間20人未満で推移していたが、2000年から急増。この数年は04年42人、05年38人、06年44人、07年46人となっている。

 死刑廃止議連のメンバーでもあった千葉法相は9月の就任時に、執行について「できるだけ慎重に対処したい」「国民的議論を踏まえて道を見いだしたい」などと述べた。一方で、「制度的には執行が義務」とも語り、結局、執行命令書に署名するかどうかは明らかにしていない。

 来年は裁判員裁判で検察側が死刑を求刑する事件の審理が初めて行われる見通しだ。千葉法相は、25日にあった今年最後の記者会見でも、国民的議論の具体策を問われて「今、申し上げる段階にはない」と述べるにとどまった。しかし、死刑判決に市民の判断が反映される段階に来て、執行のあり方についての関心も高まるのは必至だ。(延与光貞、中井大助)」



(3) NHKニュース(12月30日 18時7分)

政権交代後 死刑執行“停止”

12月30日 18時7分
 死刑の執行は、ここ数年、ペースが速まり、平成21年も7月までに7人が執行されましたが、政権が交代した以降は事実上、停止しています。22年は一般の市民が死刑かどうか判断することになる裁判員裁判も開かれ、死刑制度をめぐる議論が高まることが予想されます。

 死刑の執行は、死刑囚の増加などを背景に、ここ数年、速まる傾向にあり、平成20年はこの10年間で最も多い15人が執行され、21年も7月までに7人が執行されました。しかし、その後、政権が交代した以降は1人も執行されていません。千葉法務大臣をはじめ、死刑廃止の立場をとっていた複数の国会議員が閣僚に就任したことが影響しているものとみられています。

 一方、21年に新たに死刑が確定したのは、毒物カレー事件の林真須美死刑囚など17人で、全国の拘置所にいる死刑囚は106人になっています。

 首都大学東京法科大学院の前田雅英教授は「国民の80%が死刑制度を支持しているなかで、執行が行われないと裁判や法制度に対する信頼が損なわれる。仮に次の衆議院選挙まで執行が止まるようであれば問題だ」と指摘しています。日弁連死刑執行停止実現委員会の小川原優之事務局長は「この機会に制度の存廃について国民的な議論を進めるため、政府は死刑に関する情報をできるだけ明らかにすることが必要だ」と話しています。

 22年は一般の市民が裁判員として死刑かどうか判断することになる裁判も開かれ、死刑制度をめぐる議論が高まることが予想されます。」



(4) 毎日新聞 2010年1月1日 東京朝刊

死刑執行:09年は7人、08年から半減 現政権下はゼロ

 09年に死刑を執行された死刑囚は7人で、08年の15人を大きく下回った。執行はいずれも自民党政権下で、民主党政権下ではまだ行われていない。

 09年の執行は1月と7月に森英介前法相下で行われた。鳩山邦夫元法相が07年12月に執行後、一時期はほぼ2カ月に1度の執行だったが、裁判員制度の施行準備や足利事件の再審開始決定(6月)などの影響で間隔が空いたとみられる。00~07年の執行者数は年間1~9人で、従来の執行に戻ったともいえる。

 政権交代で「死刑廃止を推進する議員連盟」メンバーだった千葉景子氏が法相に就任後は一度も執行がない。ただ、千葉法相は「法相の法に基づいた職務は存在している」と発言し、今後執行するか否かについては態度を明らかにしていない。

 一方、死刑確定者数は08年末には100人だったが、09年末時点で106人に増えた。【石川淳一】

毎日新聞 2009年12月31日 18時22分(最終更新 12月31日 20時14分)



2.これらの記事から、2つのポイントを指摘したいと思います。

(1) 1点目。政権交代した後、死刑執行のペースが変わったということです。

鳩山邦夫元法相が07年12月に執行後、「2~3カ月に一度、1回に数人」という異常な死刑執行ペースが定着し、「07年は9人、08年は15人」でした。次の森英介前法相のもとでは、1月29日に4人、7月28日に3人の執行があり、、「2~3カ月に一度、1回に数人」のペースでなかったのですが、それは「裁判員制度の施行準備や足利事件の再審開始決定(6月)などの影響で間隔が空いた」(毎日新聞2010年1月1日東京朝刊)ようです。

しかし、自民党大敗確実の情勢下、7月28日の駆け込み執行という非人道的な執行があった後、8月に政権交代があった後は、死刑執行がなされていないわけです。

冷静になって考えれば、「死刑執行は1990~92年が0、93~07年は9~1人で推移」し定着していたのに、急に鳩山邦夫元法相が「2~3カ月に一度、1回に数人」という死刑執行ペースを行ったこと自体が異常だったのです。要するに、死刑執行のペースが政権交代後に変わって、従来通りに死刑執行に慎重になり、「従来の執行に戻ったともいえる」(毎日新聞2010年1月1日東京朝刊)のです。

これに対して、首都大学東京法科大学院の前田雅英教授は「国民の80%が死刑制度を支持しているなかで、執行が行われないと裁判や法制度に対する信頼が損なわれる。仮に次の衆議院選挙まで執行が止まるようであれば問題だ」と指摘しています。

しかし、足利事件(「「足利事件」の再審請求即時抗告審:東京高裁平成21年6月23日決定は、再審開始を決定」(2009/06/26 [Fri] 03:18:31))や冤罪の疑いが濃厚だったのに処刑してしまった飯塚事件(「飯塚事件:久間さんへの死刑執行は待てなかったのだろうか?(東京新聞6月14日付朝刊「現場考」より)」(2009/06/15 [Mon] 00:21:03))に対する反省・改善がないままで、どうして回復不可能な命を奪うという刑罰を執行できるというのでしょうか?

自公政権下での政府・与党議員は、冤罪での処刑の恐れに対して躊躇する意識がなく、徹底的な検証することはありませんでした。その自公政権下で明らかになった飯塚事件での処刑、ある意味「犯罪的な」な処刑に対して、民主党政権が徹底的な検証をすることなく、日本の市民が安易な執行を求めるとでもいうのでしょうか? 

今まで多くの冤罪事件がありましたが、自公政権下の捜査機関・裁判所・法務省は徹底的な検証をすることなく、効果的な改善策を示していないのですから、元々、(前田教授が言われるような)「裁判や法制度に対する信頼」が損なわれたままなのです。ですから、「執行が行われないと裁判や法制度に対する信頼が損なわれる」などと思うはずがありません。前田教授と異なって、「冤罪で死刑であっても執行をしてもいい」と思うほど、日本の市民は愚鈍ではないと思うのです。

もっとも、千葉法相は9月の就任時に、執行について「できるだけ慎重に対処したい」「国民的議論を踏まえて道を見いだしたい」などと述べた一方で、「制度的には執行が義務」とも語っています(朝日新聞)。ですから、法相は、執行を停止しているわけではありません。ただ、「慎重に対処したい」と述べている以上、再審請求中・再審請求間近の時点であるとか、冤罪の恐れがあるままでの処刑は行わないことは確かなのでしょう。



(2) もう1点。「地・高裁は10年ぶりにそろって一桁」にとどまり、しかも「検察側の死刑求刑を退け、無期懲役としたケースが19件」あったことです。

「全国の地・高裁と最高裁で今年言い渡された死刑判決(いずれも裁判官だけの裁判)は、昨年より7件多い34件(被告32人)に上ったものの、地・高裁は10年ぶりにそろって一けたにとどまったことが29日、共同通信の集計で分かった。また検察側の死刑求刑を退け、無期懲役としたケースが19件(被告17人)あり、死刑選択に慎重な姿勢もうかがえる。(中略)

死刑判決の合計数は、90年以降の10年間は21~7件で、年平均13件だったが、2000年以降は46~25件に増え、年平均も35件に。地裁は00~07年、高裁は01年、03~08年にそれぞれ二けたの死刑判決を言い渡した。」


最高裁判決は原則として高裁判決を容認するだけなので、統計上は、実質的に審理をしている地裁・高裁に着目することになります。そうすると、「地・高裁は10年ぶりにそろって一桁」にとどまったことは、注目すべき点です。そして、死刑求刑を退け無期懲役としたケースがかなり多いということも含めて考えれば、裁判所は、全体の傾向として、「死刑選択に慎重」な態度に変化しつつあるといえるのです。振り返れば、1990年代は地・高裁の死刑判決は、ほとんど一桁だったのですから、この点でも従来の傾向に戻っただけといえるでしょう。

腐敗と利権にまみれた自民党政治の下で、やたらと厳罰化の意識を煽りたてた結果――根本原因を正すことは面倒で利権構造を壊しかねないので、ただ厳罰化して刑務所行きを増やし処刑すれば政府としては非常に楽なので――、乗せられた市民の多くは、やたらと死刑判決を熱望するという、復讐感情が重視されるという異様な社会となっていました。

しかし、政権交代により、報道機関は民主党政権の政権運営を盛んに報道するようになり、感情的な事件報道が比較的減ったためか、市民の多くが冷静さを取り戻した可能性があります。その結果、世論の復讐感情論が抑えられ、そして、裁判員制度の実施・準備により裁判所の側も真剣に市民の目を意識するようになって、裁判所自らが感情論を振り回すことを控えるようになった――。こうしたことが原因となって、裁判所が死刑選択に慎重になったのかもしれません。



<追記>

5人射殺の山本死刑囚が病死 東京拘置所、肝臓がんで
2010年1月3日 15時28分

 法務省は3日、埼玉県入間市の暴力団事務所で2003年、5人を射殺したとして、殺人罪などに問われ、刑が確定した指定暴力団住吉会系元組長山本開一死刑囚(62)が2日、肝臓がんのため東京拘置所で死亡したと発表した。

 これにより、確定死刑囚は103人となった。

 山本死刑囚は08年、死刑が確定。昨年8月、肝臓がんが見つかったが、手術は希望しなかった。昨年11月から容体が悪化し、拘置所内の病室で酸素吸入を受けるなどの処置を受けていたという。

(共同)」(東京新聞平成22年1月4日付朝刊


「今年は15人が新たに確定し、確定者の総数は104人」(朝日新聞)でしたが、山本開一さんが死亡したため、法務省が把握している「確定死刑囚は103人」(朝日新聞2010年1月3日20時45分)となりました。(なぜか、読売新聞・毎日新聞・東京新聞は、2009年末時点で確定者の総数を106人としています。これら3紙の方が間違えているように思いますが、なぜ間違えたのでしょうか。)

ただ、2008年3月に茨城県土浦市で起きた連続殺傷事件で殺人罪などに問われた金川真大(まさひろ)さん(26)の死刑が、1月5日午前0時に確定しています(昨年12月18日に水戸地裁で死刑判決を言い渡された直後、弁護人が東京高裁に控訴したが、金川さんが同月28日に自ら取り下げ) (朝日新聞2010年1月5日0時19分)。これで、現時点で、確定者の総数は104人となりました。

気になったのは、山本開一さんの治療についてです。「昨年8月にがんが判明したが、本人が手術などを望まず、最低限の治療をしていた」(毎日新聞 2010年1月4日東京朝刊)とのことですが、十分な治療を受けていたのでしょうか。どんな人物であろうとも、人として生きている以上、十分な治療を受ける権利があるはずです。「昨年11月から容体が悪化し、拘置所内の病室で酸素吸入を受けるなどの処置を受けていた」ようですが、本来、刑務所から医療施設へ移送して治療するべきであったように思います。

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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2010/01/21(木) 17:32:48 | 愛と苦悩の日記
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