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2009/12/28 [Mon] 02:26:17 » E d i t
「天皇の“特例”会見問題(1):発端と経緯(1)~「例外のない規則はない」のだから、「1ヵ月ルール」の例外を認めてもいいのでは?」(2009/12/26 [Sat] 15:59:38)の続きです。



1.この「天皇の“特例”会見問題」を大きな政治問題化させてしまった発端は、宮内庁の羽毛田信吾長官の“内幕暴露”会見です。まず、この羽毛田長官の記者会見を引用しておきます。

(1) 朝日新聞平成21年12月12日付朝刊2面

天皇陛下の要人会見「政治判断と別次元で」 宮内庁長官
2009年12月12日1時26分

 天皇陛下と中国の習近平(シー・チンピン)国家副主席の会見が決まった経緯に関する羽毛田信吾・宮内庁長官の説明の概要と、主な一問一答は次の通り。

      ◇

 【長官による経緯説明】

 両陛下の外国賓客の引見については、引見希望日が迫った形で願いが出てまいりますと日程調整に支障をきたす。そういうことがなくても繁忙をきわめる両陛下に想定外のご負担をおかけすることになる、と考え、1カ月以上前に、内閣(外務省)から願い出をいただくことをルールとしてやってきました。

 とくに2004年以降は、前年に陛下の前立腺がんの手術もあり、陛下の負担や年齢も考慮して、ルールをより厳格に守っていただきたいと政府部内に徹底してきたところです。

 このルールの肝心だと思っているところは、国の大小だとか、この国が大事でこの国は大事ではないという政治的重要性で取り扱いに差をつけることなくやってきた点です。米国は大事だから米国の賓客には1カ月以内でも会うとか、某国はそれほど大事じゃないから厳格にルールを守りましょうとか、そういうことをしない形でやってきた。

 両陛下のなさる国際親善は、政府の外交とは次元を異にし、相手国の政治的な重要性とかその国との間の政治的懸案があるとか、そういう政治判断を超えたところでなされるべきものだという考え方です。従って今回は、現在の憲法下における天皇陛下のお務めのあり方だとか、役割だとかいった基本的なことがらにもかかわることと思っているわけです。

 今回、外務省を通じて内々に宮内庁の窓口に打診をされてきたのは1カ月を切った段階でしたから、ルールに照らし、お断りをした。その後、官房長官から、ルールは理解するが日中関係の重要性にかんがみてぜひお願いするという要請があり、私としては、政治的に重要な国だとかにかかわらずやってきたのだからぜひルールを尊重していただきたいと申し上げました。

 その後、再度、官房長官から、総理の指示を受けての要請という前提でお話がありました。そうなると、宮内庁も内閣の一翼をしめる政府機関である以上、総理の補佐役である官房長官の指示には従うべき立場。大変異例なことではありますが陛下にお願いした。が、こういったことは二度とあってほしくないというのが私の切なる願いです。

 【報道陣との質疑】

 ――陛下の政治的利用につながりかねないとの懸念を持っているということですか。

 大きくいえば、そういうことでしょう。個別に政治的懸案があるからこうしよう、という形でやっているわけではないわけですから。

 ――1カ月というルールの根拠は何ですか。

 日が迫って日程を入れるほど大きな支障を生じる。今はお年も召され、手術もしている。それで、ひとつの常識として1カ月でやってもらおうということでやってきた。

 大事なのは、それでやりましょうとみんなが守ってきた時に、中国は政治的に大事だからこうしましょうとなるのは、つらい。政府のありようとしては、それじゃうまくないのではと申し上げたつもりです。

 ――政治利用に関して、もう少し具体的に。

 そういうことを超えたところで外国のおつきあいをなさるのが陛下の国際親善のありようだと。それを政治的な重要性だとか懸案があるからということでしたら、それを一言でいえば政治利用でしょうけれど、政治利用という言葉で言うだけではなくて、やはり天皇陛下のお務めのありよう、あるいは天皇陛下の役割ということについて非常に懸念することになるのではないでしょうか、と。政治的利用ではないかという懸念ではないかと言われれば、そうかなという気もしますね。」



(2) 羽毛田(はけた)信吾宮内庁長官の主張は、要するに、1ヵ月ルールに関して「相手国の大小や政治的重要性によって例外を認めることは、天皇の中立・公平性に疑問を招き、天皇の政治利用につながりかねないとの懸念を表明した」(朝日新聞平成21年12月13日付「社説:天皇会見問題―悪しき先例にするな」)というものです。

確かに、日本国憲法は天皇を国の象徴として「国政に関する権能を有しない」と規定しているのですから、「意図して政治的な目的のために利用することは認められない」(朝日新聞平成21年12月13日付「社説」)わけで、政治利用のおそれを懸念する羽毛田長官の理屈にも一理あります。また、「1ヵ月ルール」は、高齢で多忙な天皇陛下の負担を軽減するための慣例ですから、宮内庁長官が「1ヵ月ルール」を遵守することに務めること自体は、職務上、好ましい態度です。

しかしながら、羽毛田宮内庁長官の記者会見には幾つかの問題点が含まれています。

 イ:まずは、羽毛田宮内庁長官が、天皇陛下と中国の習近平国家副主席の会見が決まった後、その会見が行われる前に、内幕を暴露するような記者会見をしてもよかったのでしょうか? その点を問題視している記事や「社説」はほとんどありませんでしたが、指摘しているものを幾つか引用しておきます。

 (イ) 日経新聞平成21年12月21日(月)付

民主・細野氏、宮内庁長官を批判

 民主党の細野豪志組織委員長は20日のテレビ朝日番組で、慣例を破って行われた天皇陛下と中国の習近平国家副主席の会見に懸念を表明した羽毛田信吾宮内庁長官について「中でいろいろ言うのはいいが、外向きに出すのはどうか」と非難した。「政権としてこういうデリケートな問題の扱いに不慣れだったのは事実だ。内閣と宮内庁のあうんの呼吸が今回は通い合わなかった」とも指摘した。 (07:00)」


 (ロ) 毎日新聞2009年12月14日付

民主・山岡氏:「やりとり発表は異常」宮内庁長官を批判

 民主党の山岡賢次国対委員長は14日夕(日本時間同)、上海市内で同行記者団と懇談し、天皇陛下と中国の習近平国家副主席の特例会見に懸念を表明した羽毛田信吾宮内庁長官に対し「官房長官とのやりとりを発表すること自体異常だ」と批判した。

 山岡氏は「役人がすべてを取り仕切っているんだというあしき慣習がまだ残っているのは残念だ」と指摘。

 特例会見については「中国にしてみれば手続きが悪かったから会わせないというのは納得できない。国際的な観点からも判断は適切だった」と評価した。(共同)

毎日新聞 2009年12月14日 22時35分(最終更新 12月14日 22時35分)」


  (ハ) 毎日新聞平成21年12月17日付「社説」

社説:天皇会見問題 冷静な論議が必要だ

 陛下と外国要人との会見は年に100回以上にのぼるという。羽毛田長官が陛下の多忙ぶりと健康に配意しルールを守ろうとしたのは職務上理解できる。だが、習副主席の訪日直前に平野博文官房長官との電話のやりとりを詳細に明らかにし、「親善」に水をかける結果を招いたことには疑問が残る。

毎日新聞 2009年12月17日 東京朝刊」


羽毛田宮内庁長官の記者会見は国民への情報公開を行うという民主党の方針に沿ったわけではないのになぜ、「外向き」に出してしまったのでしょうか? 外交問題であるがゆえに政府内の内部調整の経緯を公表することは、「ルール」違反のはずです。しかも、習副主席と天皇陛下との会見前に、それも「習副主席の訪日直前に平野博文官房長官との電話のやりとりを詳細に明らか」に公表することは、相手国たる中国に対して非礼です。

「1ヵ月ルール」が厳格化した2004年以降、2005年のタイの上院議長との会見は、一日後れの打診でしたが、会見を引き受けました。このタイの事例は例外でしたが、今回になって初めて国民に対して公にしたはずです。「1ヵ月ルール」の存在自体、今回初めて国民に公表したのですから、例外事例も当然今回初めて公表したことになるからです。

このように、タイの事例は会見後になってから公表したのに、なぜ、中国の事例の場合だけ、会見前に公表したのでしょうか? 小泉政権下のようにまた中国との揉め事を巻き起こすつもりなのでしょうか? 「嫌中派」なのかそれとも「脱官僚依存の政治」を掲げる民主党政権を嫌っているからでしょうか? 「1ヵ月ルール」を墨守するあまり、外国への非礼も厭わない羽毛田宮内庁長官の態度は、「皇室外交」という外交の一翼を担っている宮内庁の長官として問題があるように思います。


 ロ:もう1つの問題点は、羽毛田宮内庁長官が、自らの判断で「1ヵ月ルール違反であって、内閣の行動は天皇の政治利用である」と断言してしまった点です。
  (イ) 朝日新聞平成21年12月17日付「社説」

天皇会見問題―政治主導をはき違えるな

 1カ月を切れば政治利用で、それ以前ならそうではないのか。習氏の訪日自体は前から分かっていたろうし、政府の内部でもっとうまく対処できなかったのか。首をかしげたくなる点もないではない。」



  (ロ) 毎日新聞 2009年12月15日 東京夕刊

天皇陛下会見:「会見は当然」閣僚ら発言

 天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見が特例的に設定された問題に関し、15日は閣僚らの発言が相次いだ。亀井静香金融・郵政担当相は閣議後の会見で「習氏は次の主席だから、お会いするのは当たり前。政治的かどうかは役人が判断することじゃない」と反論した。仙谷由人行政刷新担当相は「政治利用うんぬん、というのが政治利用的、政治的な話になる」と述べた。

 菅直人副総理兼国家戦略担当相は「陛下の体調に気を使うのが宮内庁長官の仕事の大きな部分。100%こちら、100%あちら、ということではない」と述べた。また、「宮内庁長官は他の行政庁とはやや性格の違うところもある」と話し、長官の対応に一定の理解を示した。(以下、省略)

毎日新聞 2009年12月15日 東京夕刊」


朝日新聞の社説が「首をかしげたくなる」と述べているように、「1カ月を切れば政治利用で、それ以前ならそうではない」という羽毛田長官の理屈は、どうにも理解できません。元々、「1ヵ月ルール」は、高齢で多忙の天皇陛下に負担をかけることを軽減するためであって、「天皇の政治利用」を阻止するためのルールではないのです。ですから、今回、「1ヵ月ルール」の例外を認めたからといって、――負担軽減違反となり得たとしても――「天皇の政治利用」に直結するはずがないのです。

羽毛田宮内庁長官が「天皇の政治利用」だと決め付けたため、マスコミを含めて多くの市民が、羽毛田氏の主張の妥当性をよく考えることなく、思考停止したまま「天皇の政治利用」という言葉だけを鵜呑みにしてしまったように思います。だからこそ、亀井静香金融・郵政担当相が「習氏は次の主席だから、お会いするのは当たり前。政治的かどうかは役人が判断することじゃない」と「役人の決め付け」を批判したわけです。

もっと問題なのは、仙谷由人行政刷新担当相が述べているように、羽毛田長官が「政治利用うんぬん、というのが政治利用的、政治的な話になる」のです。すなわち、羽毛田宮内庁長官が「天皇の政治利用」だと吹聴したために、より大きな政治問題となり、「中国を嫌う勢力や現政権に反対する勢力の『天皇の政治利用』」を許すことになってしまったのです。

宮内庁長官として「天皇の政治利用」を避ける最善の道は、「1ヵ月ルール違反は天皇の政治利用である」というべきでなく、「1ヵ月ルールは守って欲しい。ただし、1ヵ月ルールは内部調整の話であって天皇の政治利用ではない」と言うべきだったのです。


 ハ:羽毛田宮内庁長官は、過去の記者会見内容からすると、皇族に対しても公然と批判を行ってしまう、異例(異常?)な人物であることが分かります。

「宮内庁長官過去も次々苦言 正論なのか「はみ出し」なのか」

 羽毛田長官は、生え抜きではなく厚労省出身で、2001年4月になって宮内庁の次長に転じた。小泉純一郎政権時代の05年4月から、同庁長官を務めている。

 役人ながら、その発言は、新聞や週刊誌を度々にぎわせてきた。

 三笠宮寛仁さまが月刊誌対談で女性天皇容認を批判した06年1月、羽毛田長官は、定例会見で「正直『困ったな』という気持ちが強い」と述べた。このときは、「内閣や国会が対応すべき政治的な事柄」とその理由を挙げている。

 また、08年2月には、皇太子ご夫妻が愛子さまとともに天皇・皇后両陛下を訪問なさる回数が少ないことを、定例会見で批判。皇太子さまが両陛下とお会いする機会を作りたいと述べられたことを受けて、「ご自身が会見で発言なされたことなので、大切になさっていただきたい」と注文まで付けた。

 いずれの発言も、「役人が会見で言うべきことなのか」と、テレビのワイドショーなどでも、繰り返し取り上げられている。」(J-CAST ニュース(2009/12/15 20:58))


羽毛田長官は、皇族の将来、天皇制自体が大きく変更される女性天皇制について、皇族は利害関係があるにも関わらず、皇族は一切口を出すなと公に批判を行い、また他方で、皇太子夫妻の天皇皇后陛下への訪問という、日常の生活にすぎない「純然たる私的行為」に関わる問題に関しても、皇太子ご夫妻の訪問が少ないなどと公に批判を繰り広げてきたのです。

現在の女性皇族は、皇室会議の議によって意思による離脱ができますが、女性天皇を認めるとすると、男性皇族(親王)と同様に(皇室典範11条~14条)、離脱が困難になるか離脱できなくなります(「女性天皇・女系天皇に関する法律問題(下)」(2006/02/21 [Tue] 00:07:31))。女性皇族は、こうした著しい法的な不利益を生じるだけでなく、皇室典範を改正して女性天皇を認めるならば、一生、「一般人なら耐えられないほどの孤独と自己抑制」を求められる日々から脱することができなくなるのです(「女性天皇の是非~哀しき天皇制(AERA・06年3月27日号より)」(2006/04/16 [Sun] 01:42:28))。こうした不利益を受ける当事者たる皇族はロボットではないのですから、「皇族は女性天皇制に関して口を出すな」と罵ることは妥当とは思えません。

皇太子夫妻の天皇皇后陛下への訪問は、何ら政治性がない日常生活であって、「純然たる私的行為」ですから、天皇陛下はともかくとして、皇族には私的行為については自由があるのですから、役人が口を挟むべき事柄ではないのです。

このように、羽毛田長官による皇族批判の内容は、一方的な決め付けであって到底妥当ではありません。

羽毛田宮内庁長官は、天皇を利用することばかり熱心なだけで、法律論・憲法論に関して無知な自民党政権下では言いたい放題言えたのでしょうが、問題となる批判内容を平然と公に行ってしまうことは異常です。宮内庁長官として職務上守るべき対象に関して、公に批判を繰り広げた挙句、政治問題化させてしまうのですから。

このように羽毛田氏は職務上問題の多い人物なのですから、鳩山政権は、羽毛田宮内庁長官が辞任しないのあれば、羽毛田氏を更迭するべきであると考えます。



2. 羽毛田宮内庁長官の記者会見に対して、小沢一郎民主党幹事長が2度ほど厳しく批判を行っています。その小沢一郎民主党幹事長が行った2つの記者会見(14日、21日)を引用しておきます。

(1) 朝日新聞平成21年12月15日付朝刊1面(14版)

小沢氏、政治利用を否定 天皇特例会見 宮内庁長官を批判
2009年12月14日22時32分

 来日した中国の習近平(シー・チンピン)国家副主席が、従来の慣例を破る形で15日に天皇陛下と会見することについて、民主党の小沢一郎幹事長は14日の記者会見で「天皇陛下の行為は内閣の助言と承認で行われるのが日本国憲法の理念だ」と強調。会見実現を求めた鳩山由紀夫首相の対応を、天皇の政治利用だとする批判はあたらないとの認識を示した。

 天皇と外国要人の会見は、1カ月前までに宮内庁に申し込むのが慣例だ。小沢氏は、天皇の体調と公平性に配慮するためとされるこの慣例を「宮内庁の役人がつくったから金科玉条で絶対だなんて、馬鹿な話があるか」と批判。「陛下の体調が優れないなら、優位性の低い行事はお休みになればいい」と述べた。

 宮内庁の羽毛田信吾長官がこの間の経緯を報道各社に説明したことについても、「内閣の一部局の一役人が内閣の方針についてどうだこうだ言うのは憲法の理念、民主主義を理解していない。反対なら辞表を提出した後に言うべきだ」と批判した。

 また、政府に対して「私が副主席と陛下をお会いさせるべきだとか、させるべきでないとか言った事実はありません」と否定。

 さらに「陛下ご自身に聞いてみたら、『手違いで遅れたかもしれないけど会いましょう』と必ずおっしゃると思う」と発言。憲法解釈だけでなく、自身が推測する天皇の考えも交えて首相の判断を正当化する主張を展開した。

 習氏は14日に鳩山首相と会談。一方、15日に予定されていた小沢氏と習氏の会談は中止となった。これについて小沢氏は、「非常にお忙しい日程で、ご無理なさらんでもよろしいと(伝えた)」と説明した。

◆長官、辞任否定

 小沢氏の会見を受け、羽毛田長官は記者団に「憲法のひとつの精神として、陛下は政治的に中立でなくてはならない。そのことに心を砕くのも私の役回りだ」と、「1カ月ルール」での対応の重要性を指摘。「懸念を言い続けるのが私の役回り」とも述べ、「辞めるつもりはありません」と辞任を否定した。」



(2) 共同通信(2009/12/21 23:40)

小沢氏「天皇は内閣判断で行動」 特例会見で重ねて持論

 民主党の小沢一郎幹事長は21日の記者会見で、天皇陛下と中国の習近平国家副主席の特例会見に関連し「憲法で規定している国事行為にそのものはないが、陛下の行動は内閣の助言と承認によって行われなければならない。内閣が判断したことについて、陛下がその意を受けて行動なさるのは当然のことだ」と強調した。西松建設の巨額献金事件に関しては説明責任は尽くしているとの認識を重ねて示した。

 これに先立ちテレビ東京の番組収録に出演し、特例会見は天皇の政治利用に当たるとの懸念を表明した羽毛田信吾宮内庁長官について「政府がこういう判断だと言っているのに、一部局の役人がどうだこうだと言い、会見まで開いて悪態をついてとんでもない。官僚主義の最たるものだ」と批判した。

 天皇特例会見をめぐる今回の発言は、外国要人との会見も国事行為に当たるとした14日の発言を修正する一方、国事行為でない場合も天皇は内閣の判断に基づいて行動することを求められているとの持論を展開したもので、論議を呼びそうだ。番組収録でも「憲法ではすべての天皇陛下の行動は政府、内閣の助言と承認でやってくださいということになっている」と主張した。

2009/12/21 23:40 【共同通信】」



(3) 夕刊フジ平成21年12月23日付(22日発行)15面

「あまりにも記者が無知でねえ。びっくり」小沢幹事長の発言
「どうして自民党にはマスコミは甘いんだ?」
2009.12.22

 民主党の小沢一郎幹事長が21日のテレビ番組収録や記者会見で行った西松建設違法献金事件初公判と、天皇陛下と習近平中国国家副主席との特例会見に関する発言の要旨は次の通り。

 【テレビ東京の番組収録】

 (初公判について)私自身も秘書も違反したことも何にもない。必ず私は公平な裁判で無罪になると思っている。(天皇陛下と習副主席の特例会見に関する記者会見での発言について)丁寧に答えたつもりなんですけどねえ。あまりにも(記者が)無知でねえ、びっくりしたんですよ。羽毛田なにがし(信吾)という宮内庁長官が会見まで開いて悪態つく。とんでもない話なんですよ。頭にきた、僕は。

 (首相就任への意欲を問われ)形式的ポジションにあまり関心はないが、総理大臣になって、本当にみんなのためにやれると皆さんが思ってくださるときがあれば、拒む必要はないとは思っている。

 (同)幹事長は実務だが、大臣は形式的なことが非常に多い。だからあんまり僕は好きじゃない。

 【記者会見】

 --西松事件初公判について国民にどう説明するか

 「説明というけれども、何度も何度も申し上げてるから、言うのもあれだけども、最後にだけ、今回だけ申し上げるけども、私は全部、報告書も何も公開してます。私だけでしょ。自民党の何とかという人がそういったとしたら、あなたも公開しなさいよってどうして言わないの? どうして自民党にはそんなマスコミは甘いんだ? オレにだけなんだかんだいうけれども、全部公開している、マスコミの諸君にもみんな見せたじゃない。公開する必要のない事務所費の中身も。これ以上どうやって説明すんの? 広告出したら大変なカネかかっちゃうし、諸君が伝えてくれる以外に、伝えようがないでしょうが。だけれども、国民のみなさんの多くはきちんと、あの捜査というものがどうだったものか、ということを理解してくれていると信じております」

 --幹事長は天皇陛下と習副主席の会見は国事行為で、内閣の対応は問題なかったとの認識を示した。しかし、憲法に外国賓客と陛下との会見は国事行為とは書いていない

 「憲法で規定している国事行為にはそのものはありません。しかし、その憲法の理念と考え方は天皇陛下の行動は内閣の助言と承認によって行われる、行われなきゃならないという基本的考え方は、天皇陛下にはまったくのプライベートちゅうのはないに等しいわけですから、日本国の象徴、日本国民統合の象徴というお立場にあるわけだから、その意味では、ご自身で自由にあっち行ったり、こっち行ったりちゅうことはできないわけで、天皇陛下の行動の責任を負うのは内閣なんだ。国民の代表、国民が選んだ政府、内閣が責任を負うということなんですから、内閣が判断したことについて、天皇陛下がその意を受けて行動なさるということは、私は当然のことだと思いますし、天皇陛下にお伺いすれば、喜んで、私はやってくださるものと、そのように思っております」」



(4) 東京新聞平成21年12月22日付朝刊3面

小沢氏「内閣判断で行動」 宮内庁長官「コメントない」

 民主党の小沢一郎幹事長が21日の記者会見で「内閣が判断したことに陛下が、その意を受け行動するのは当然」と発言したことに対し、宮内庁の羽毛田信吾長官は「(小沢氏に)何かを言うべき立場にはなく、コメントはありません」とだけ淡々と述べた。

 羽毛田長官は小沢氏が事実上の辞任を要求した14日には「懸念を言い続けるのが役回り。辞めるつもりはない」と語っている。

 一方、別の宮内庁幹部は、この日の小沢氏発言に「前回、外国要人との会見を国事行為と言ってしまったのを、修正したかったのだろう」と分析。その上で「『責任を負うのは内閣』というのはその通りだが、内閣が陛下を意のままに動かすことができると考えているとしたら、思い上がりだ」と憤った。」



 イ:14日の小沢民主党幹事長の会見に対しては、「外国要人との会見は『国事行為』ではなく、明文のない『公的行為』であって間違っている」との批判が多くなされました。例えば、日本共産党の志位和夫委員長もそうした発言をしています。

天皇会見問題
政府の対応は憲法の精神をたがえたもの

小沢氏こそ憲法をよく読んで発言すべきだ
志位委員長が会見


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 日本共産党の志位和夫委員長は15日、天皇と中国の習近平国家副主席の会見が政府の要請で特例的に実現した問題について、都内で記者団に問われ、次のように答えました。


 ――習副主席が、天皇会見をめぐる特例の扱いについて批判が渦巻く中での訪日になってしまったが、どこに原因があって何が問題だったと思うか。

 志位 この問題をきちんと整理して考えると、外国の賓客と天皇が会見するというのは、憲法で規定された内閣の助言と承認を必要とする国事行為ではないのです。憲法を読んでも、国事行為のなかにはそういう項目は出てこない。国事行為以外の公的行為です。

 こういう国事行為以外の天皇の公的行為については、政治的性格を与えてはならないというのが憲法のさだめるところなのです。そういう憲法の規定から考えると、今回は、日本政府がその問題に関与することによって政治的性格を与えてしまった。これは日本国憲法の精神をたがえたものです。

 もしこれが許されたらどうなるか。たとえば国会の開会式で天皇の発言がおこなわれています。これも国事行為以外の行為です。この発言の内容について、ときの内閣の判断でどういうものでもやれるようになったらたいへんです。これは憲法の原則にかかわる大きな問題が問われているのです。

 ――そうすると、昨日の小沢(一郎・民主党幹事長)さんの論理はおかしいということですか。

 志位 「日本国憲法をよく読め」ということを小沢さんはいっていたが、日本国憲法を読むと、そこには国事行為として厳格に定められている項目がある。そのなかには外国の賓客との会見は入っていない。国事行為以外の公的行為なのです。そういう行為にたいして、政治的性格を与えてはいけないというのが日本国憲法のさだめなのです。小沢さんこそ憲法をよく読んでほしいと思いますね。」(2009年12月16日(水)「しんぶん赤旗」


このようにマスコミなどは、「外国要人との会見は公的行為」であるという意見一色であったため、天皇特例会見をめぐる21日の会見での「発言は、外国要人との会見も国事行為に当たるとした14日の発言を修正する」(共同通信2009/12/21 23:40)ものであるといった指摘がされたわけです。

確かに、政府見解としては、「天皇陛下と外国要人との会見は『公的行為』である」とされています(園部逸夫『皇室法概論――皇室制度の法理と運用――』(第一法規出版、平成14年)131頁)ので、政府見解に照らせば間違っているということにはなるでしょう。しかし、学説上は、「外国要人との会見」について、「国事行為」か「公的行為」かについて争われておらず、はっきりしないのです。ですから、今回の事例を契機にして、「外国要人との会見は国事行為である」とする学者(永井憲一法政大名誉教授)も現れているほどです。

そもそも「外国要人は国事行為であって、公的行為ではない」と批判している人たちは、「国事行為」と「公的行為」の違いが分かっているのでしょうか? 

国事行為については、憲法明文上、内閣による助言と承認が必要ですが、その「助言と承認」の仕方は内閣の閣議決定です。それに対して、公的行為は、「行政の最高機関としての内閣が宮内庁の上級機関として、その方針あるいは重要事項を決定するという意味の閣議決定」(中村睦男『憲法30講』(新版)(青林書院、1999年)4頁)をするのです。要するに、「国事行為」であろうと「公的行為」であろうと、内閣が閣議決定をすることには変わりがないのですから、「国事行為」と「公的行為」を区別する意味が乏しいのです。

ちなみに、皇室法に関する権威である園部逸夫・元最高裁判事による分類は、国事行為、公人行為、社会的行為、皇室行為、私的単独行為の5つであって、「公的行為」という分類がないのですから(園部逸夫『皇室法概論――皇室制度の法理と運用――』108頁)、「国事行為」と「公的行為」のどちらかという議論自体が当てはまらないのです。

このように「国事行為」か「公的行為」かなんてどっちだってさほど違いがないのですから、小沢民主党幹事長に対して、「外国要人は国事行為であって、公的行為ではない」と批判している人たちは、実に馬鹿げています。

後で触れますが、「天皇の政治利用」を避けるのであれば、「公的行為」はすべて違憲であるとしてすべて禁止するべきです。憲法明文上は、天皇陛下は「国事行為」と「私的行為」しかできないはずなのに、事実上、「公的行為」はあまりにも広くなされていること自体が問題の根本なのです。「天皇の非政治性」を追及した憲法の理念を貫くならば――象徴天皇制の存在に懐疑的であればなおさら――、「公的行為」は一切認めるべきではないのです。

今回、日本共産党の志位委員長が、政府見解通りに「国事行為以外の公的行為」を容認したことには唖然としました。日本共産党は、いつから「天皇の政治利用」に利用されやすい「公的行為」を、政府見解通りの「公的行為容認論」を認めるような軟弱な政党に成り下がったのでしょうか。

志位委員長は、「小沢さんこそ憲法をよく読んでほしい」と述べました。しかし、「国事行為か公的行為か」という馬鹿馬鹿しい議論に拘泥し、政府見解を妄信してしまった志位委員長は、憲法の深い理解に欠けているように思います。委員長がこの有様では、日本共産党の知的レベルも堕ちたものだと、感じました。


 ロ:小沢民主党幹事長の14日の会見に対しては、「陛下ご自身に聞いてみたら、『手違いで遅れたかもしれないけど会いましょう』と必ずおっしゃると思う」と発言した点にも批判がなされました。要するに、「天皇の意思を代弁して都合良く利用する危険がある」(朝日新聞平成21年12月20日付朝刊3面)ということです。

この部分の理解の仕方は、なかなか微妙です。天皇の意思を都合よく忖度したともいえることは確かです。

しかし、他方で、政府内での調整不足で1ヵ月ルール違反となったが、憲法の理念(ここでは、天皇の行動は内閣が決定・コントロールすること)を誰よりも大事にしている天皇陛下のことだから、内閣の決定である会見について快く応じるはずであって、天皇陛下の意思に反して中国の要人との会見を強いているわけではないと、天皇陛下の憲法尊重の気持ちを慮っただけの話とも理解できるのです。こういう理解であれば、単に憲法尊重を強調しただけの話であって、何ら問題はないはずです。

21日の会見では、「内閣が判断したことについて、天皇陛下がその意を受けて行動なさるということは、私は当然のことだと思いますし、天皇陛下にお伺いすれば、喜んで、私はやってくださる」と述べています。これは、天皇陛下も内閣の判断を尊重する点を明確にしていますので、後者の理解を示したものです。小沢民主党幹事長の発言は、後者の意味で理解するべきでしょう。


 ハ:小沢民主党幹事長は、宮内庁の羽毛田信吾長官がこの間の経緯を報道各社に説明したことについても、「内閣の一部局の一役人が内閣の方針についてどうだこうだ言うのは憲法の理念、民主主義を理解していない。反対なら辞表を提出した後に言うべきだ」と批判しています。

すでに述べたように、羽毛田氏は職務上問題の多い人物であって、記者会見によってかえって天皇陛下の会見が政治問題化したのですから、辞任を求めたことには合理性があります。鳩山政権は、羽毛田宮内庁長官が辞任しないのあれば、羽毛田氏を更迭するべきであると考えます。

一般論として、ある事柄をなす前に勝手に内幕を暴露したりすれば、ある事柄がぶち壊しになりかねないのですから、組織の在り方としては、勝手に暴露した人物に対して何らかのペナルティーが課されることは通常でしょう。羽毛田氏が常識人であれば、今回のように会見前に内幕を暴露する記者会見をすれば、記者会見時点において更迭は覚悟しているはずであって、特に問題はないといえます。


 ニ:小沢民主党幹事長は色々述べてはいますが、その会見のポイントは、外国要人の会見が「国事行為」か「公的行為」ということではなく、「憲法の理念と考え方は天皇陛下の行動は内閣の助言と承認によって行われる、行われなきゃならない」というものであって、その結果、「天皇陛下の行動の責任を負うのは内閣」「国民の代表、国民が選んだ政府、内閣が責任を負う」という点です。

要するに、憲法が予定していなかった「公的行為」をも含めて解釈すれば、天皇の行動は、内閣が決定・コントロールし、内閣が責任を負うのが憲法の理念と考え方であるのです。こうした憲法の理念と考え方は、憲法の規定通りの理解であって、何ら問題のないものです。

小沢民主党幹事長の顔つきが悪いのか、言い方が脅しているように見えたのが、批判を受ける要因だったのかもしれません。しかし、天皇制という微妙な問題について、宮内庁長官が、外国要人との会見前に勝手に内幕を暴露して「天皇の政治利用」だとより政治問題化させたことに対して何らかの処置が必要であったことは誰に目にも明らかでしょう。特に、天皇陛下との会見の相手国との関係を険悪化しないためには、誰かが強く宮内庁長官を批判し、内閣の正当性を主張することは妥当な行為であると考えます。




3.この「天皇の特例会見問題」に関して、野党の動向も引用しておきます。

(1) 毎日新聞 2009年12月17日 東京朝刊

天皇特例会見:外務省「中曽根氏にルール説明」

 自民党は16日、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見が特例的に実現した問題を検証する緊急特命委員会を開いた。外務省の垂(たるみ)秀夫中国・モンゴル課長は、中曽根康弘元首相と今月7日ごろに面会し、会見は1カ月以上前に申請するという「1カ月ルール」を説明したことを明らかにした。中曽根氏は「よく分かった」と答えたという。垂氏は明言を避けたが、中曽根氏は政府に対し、天皇陛下と習副主席の会見を求めたとみられる。

 前原誠司国土交通相は15日、「(特例会見は)元首相の方から話があったと聞いている」と述べている。垂氏はこの「元首相」が中曽根氏だとは明らかにしなかったが、「官邸からの指示があり、(中曽根氏に)説明をした」と語った。【坂口裕彦】

毎日新聞 2009年12月17日 東京朝刊」



(2) 朝日新聞平成21年12月18日付朝刊4面

天皇特例会見「政治利用ではない」 公明、日中友好重視
2009年12月17日20時35分

 公明党の山口那津男代表は17日の記者会見で、鳩山内閣が天皇陛下と中国の習近平(シー・チンピン)国家副主席との会見を慣行を破って実現させた問題について「政治利用とは判断していない」と述べた。政権批判を強める自民党とは一線を画し、日中友好の立場を優先させた。

 山口氏は天皇の国事行為に関する内閣の助言と承認について「政治利用という疑義が持たれるような判断は避けるべきだ」としつつ、今回の会見は「結果として日中の友好に資するもので、ただちに政治利用という判断はしていない」と強調。「中国側も望み、陛下も最終的に受け入れて会われた」と述べた。

 背景には、支持母体の創価学会と中国の親密な関係がある。創価学会の池田大作名誉会長は1968年に「日中国交正常化提言」を発表。2008年には中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と会談するなど、中国の指導者と交流を続けている。15日に山口氏と会談した習氏も「池田名誉会長にくれぐれもよろしくお伝え下さい。わざわざ手紙を頂き、詩を作って頂いた」と語っていた。

 創価学会や公明党は10年間の自公連立時代にイラク戦争で米国を支持するなど「平和の党」の看板が傷ついたという反省から、野党転落を機に自民党と距離を置こうとしている。民主党に流れた保守層を取り戻そうと、天皇会見問題で強硬姿勢を強める自民党との距離が一層広がる可能性もある。(岩尾真宏)」



(3) 週刊朝日2010年1月1-8日合併号193頁以下

天皇・習近平国家副主席会見問題 親中派VS.嫌中派政治家の暗闘だ!

 天皇陛下と習近平中国副主席の会見をめぐる騒動は、会見後も与野党を巻き込んでの余震が続いている。羽毛田信吾宮内庁長官の異例の抗議会見に端を発した「天皇の政治利用」論争の裏側で、政界再編を睨んで与野党の垣根を越えた「親中派」と「嫌中派」の暗闘が始まった。(ジャーナリスト 高瀬真実+本誌取材班)

 天皇陛下と習近平(シー・チンピン)副主席(56)の会見の31日前にあたる11月14日午前。宮中では、天皇即位20周年を記念して各国大使らを招いた茶会が盛大に開かれていた。

 崔天凱(ツォイ・ティエンカイ)・駐日中国大使(57)が天皇陛下の前に進んでこう言った。

 「日程がなかなか決まらずにご迷惑をかけていますが、12月には習副主席が来日した際にはぜひ陛下と会見をお願いいたします」

 天皇陛下は、にこやかに笑って

 「私もお会いできるのを楽しみにしていますよ」

 と述べられた、と出席した外交関係者は言う。

 茶会の後、天皇、皇后両陛下は、初来日のオバマ米大統領(48)を御所で出迎えた。当初は13日夜に開かれる予定だった天皇陛下主催の晩餐(ばんさん)会は、直前の米軍医による銃乱射事件の影響で大統領の来日が1日遅れたため、14日の昼食会に急きょ変更されていた。

 そもそもオバマ大統領は12日の天皇即位20周年記念式典に出席する予定だった。米側の事情で出席できなかった比例をわびるためか、オバマ大統領は、出迎えた天皇陛下の手をとり、90度近く深々とお辞儀をした。

 その模様を米国の保守系メディアは「オバマ大統領が日本の天皇にひれ伏した」などと批判的に報じた。しかし、日本のメディアはむしろ好意的に報道し、急な「天皇の日程変更」を取り上げることすらなかった。

 オバマ訪日時の急な日程変更には口を出さなかった羽毛田(はけた)宮内庁長官(67)は、中国の習副主席との会見が、30日以上前に要請のない日程は入れないという「1ヵ月ルール」の内規に反したと問題視した。

 オバマ大統領との違いについて宮内庁は、

 「(オバマ大統領の)謁見(えっけん)願い出は、1ヵ月以上前に出されていて、その希望日の変更であり、1ヵ月ルールに抵触するものとは考えていない」

 中国側は早い段階で習副主席の訪日と、天皇との会見希望を伝えていたが、中国側の事情で正式な日程が決まらなかった。

 今回の習副首席の問題では、羽毛田長官は12月11日、異例の記者会見まで開き、

 「広い意味の天皇の政治利用」

 「二度とあってほしくない」

 などと鳩山内閣の対応を厳しく批判した。

 だが訪日することだけはわかっていたのだから、こんな大騒ぎになる前に、政府内でなぜ調整がつかなかったのか、疑問が残る。(中略)

 筆者が取材した限り、自民党側が言うように小沢氏本人が中国から首相官邸に電話したという事実はない。それどころか、

 「鳩山首相に直接、福田康夫元首相(73)から電話があり、訪中時に約束しているので、習副首席と天皇陛下の会見を実現してほしいという要請があった」

 と官邸筋は言う。

 日中国交正常化を実現させた田中角栄元首相の系譜に連なる小沢氏と、福田元首相はともに「親中派」として知られ、一時は「大連立」で合意しかかった仲だ。福田事務所はこの件について「ノーコメント」としているが、自民党内が鳩山内閣批判一色でないことは確かだろう。(以下、省略)」



 イ:週刊朝日は、オバマ大統領の急な会見日程変更は問題視しなかったのに、習副主席の会見日程遅れを問題視するのは不平等であると主張しています。

 「茶会の後、天皇、皇后両陛下は、初来日のオバマ米大統領(48)を御所で出迎えた。当初は13日夜に開かれる予定だった天皇陛下主催の晩餐(ばんさん)会は、直前の米軍医による銃乱射事件の影響で大統領の来日が1日遅れたため、14日の昼食会に急きょ変更されていた。
 そもそもオバマ大統領は12日の天皇即位20周年記念式典に出席する予定だった。米側の事情で出席できなかった比例をわびるためか、オバマ大統領は、出迎えた天皇陛下の手をとり、90度近く深々とお辞儀をした。  その模様を米国の保守系メディアは「オバマ大統領が日本の天皇にひれ伏した」などと批判的に報じた。しかし、日本のメディアはむしろ好意的に報道し、急な「天皇の日程変更」を取り上げることすらなかった。
 オバマ訪日時の急な日程変更には口を出さなかった羽毛田(はけた)宮内庁長官(67)は、中国の習副主席との会見が、30日以上前に要請のない日程は入れないという「1ヵ月ルール」の内規に反したと問題視した。
 オバマ大統領との違いについて宮内庁は、
 「(オバマ大統領の)謁見(えっけん)願い出は、1ヵ月以上前に出されていて、その希望日の変更であり、1ヵ月ルールに抵触するものとは考えていない」
 中国側は早い段階で習副主席の訪日と、天皇との会見希望を伝えていたが、中国側の事情で正式な日程が決まらなかった。」


「1ヵ月ルール」は、高齢で多忙の天皇陛下に負担をかけることを軽減するためですから、ごく直前の日程変更は「多忙」な天皇陛下に負担をかけることは確実です。日程調整という実務的な面からしても、習副主席の会見日程が遅くなった点よりも、直前の日程変更は宮内庁側も非常に困ったはずです。ですから、宮内庁は「1ヵ月ルール」に違反しないとはいうものの、本来、オバマ大統領の急な会見日程変更は「1ヵ月ルール」に反するというべきです。

宮内庁の理屈は、米国も中国も1ヵ月以上前に会見を願い出ているのに、米国の場合は「1ヵ月ルール」違反でなくて、中国の場合は「1ヵ月ルール」違反であるというのです。この宮内庁の理屈に合理性があるのか疑問ですし、もし、習副主席との会見を拒絶していたら、中国は米国のオバマ大統領の会見の事例を持ち出して問題視していたかもしれません。そうなれば、より大きな政治問題化してしまうでしょう。

このように、宮内庁がある意味「1ヵ月ルール」を恣意的に運用しているのですが、それがなぜ、問題視されないのかというと、天皇の行動については内閣がコントロールするという憲法の理念に従い、鳩山内閣が直前の日程変更を容認したからです。やはり、習副主席の会見も、オバマ大統領との会見と同様に、問題視するべきではなかったように思います。


 ロ:自民党は、12月14日、石破茂政調会長は「大事じゃない国はルール通りだが、大事な国はひっくり返して会見するのは政治判断だ。そういうことをしていいのか」と厳しく批判しています。安倍晋三元首相が会長を務める「真・保守政策研究会」や平沼赳夫元経産相が会長の「日本会議国会議員懇談会」、「神道政治連盟国会議員懇談会」も12月15日の会見を中止すべきだとする抗議文を出し、保守派の結束を示しています(「特例会見に党内外から批判 「政治利用」「要請強硬」」(asahi.com:2009年12月15日1時29分))。

これに対して、同党の谷垣禎一総裁は12月14日、大阪市内の講演で「政治と天皇の関係は極めてデリケートなものだ。もう一度この政権に、権力の自制と天皇と政治との関係に、よくよく慎重な対応を求めたい」と語っているように(「特例会見に党内外から批判 「政治利用」「要請強硬」」(asahi.com:2009年12月15日1時29分))、鳩山政権を強く批判するものではありませんでした。

もっとも、このような腰の引けた谷垣総裁の最初のコメントと異なり、自民党は12月18日、天皇陛下と中国の習近平国家副主席の会見が特例的に実現した問題について、鳩山内閣の対応を強く批判する見解をまとめています。それによると、外国要人との会見は1カ月前までに宮内庁に要請するとした慣例が守られなかったことは「鳩山内閣・民主党の憲法意識の欠如と誤った政治判断の結果で、厳しく糾弾されなければならない」としています(「内閣、憲法意識欠く=天皇会見で見解-自民」(時事通信:2009/12/18-18:40))。

自民党が、強い調子で鳩山政権を批判をするのであれば、まず、中国側の依頼に応じて会見を要請した中曽根康弘元首相や福田康夫元首相に対しても「厳しく糾弾」するべきです。自らの党内側に対しても「厳しく糾弾」しなければ、鳩山政権を批判する資格がないというべきです。

しかし、本当に、自民党は、「嫌中派」勢力の主張どおり、自らの党内の親中派も批判するという「内ゲバ」を本当にやるのでしょうか、「嫌中派」勢力に満ちている自民党であるとして、ますます国民の自民党離れが加速していくはずです。

また、自民党が、強い調子で鳩山政権を批判をするのであれば、「政治利用とは判断していない」とする公明党に対しても批判の矛先を向けるべきでしょう。もし、「政治利用だ」と強調し、公明党をも暗に批判する場合、「政治利用でない」とする公明党がますます自民離れを加速することになりますし、参院選での公明党との選挙協力を一切断絶するに等しい行動となります。公明党の自民離れをもたらすような批判を行えば、参院選での大敗がますます確実になり、自民党参議院議員の離党者がますます増えていくはずです。

このように、この問題において、自民党が鳩山政権を批判することは、自らの首を絞めることになるのです。自民党は、「嫌中派」一色の「極右」勢力となり、ますます自民党消滅の道を突き進むつもりなのでしょうか。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
ご無沙汰です。
羽毛田長官の意図に関して言うと
http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20091226/p1
などは興味深い見解だと思われます。
2009/12/30 Wed 09:09:37
URL | しまうま #-[ 編集 ]
>しまうまさん(2009/12/30 Wed 09:09:37)
お久しぶりです。お元気でしたか?
エントリーの更新も久々で、コメントへのお返事自体が久しぶりです。読者の皆さんには、申し訳ないことをしてしまいました。


>羽毛田長官の意図に関して言うと
http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20091226/p1>などは興味深い見解

情報ありがとうございます。
なぜ、宮内庁長官が、「一度承諾してから『本当はOKしたくなかった』と難癖をつける会見をしたのか、また、 内規違反を暴露すれば、内規を持ち出されて会見を断られたり、会見を延期された国などは、「中国をは大事でわが国は大事でないのか」と不満を抱くわけで、日本にとっても中国にとっても「マイナスこそあれプラスはなにもない」のに、なぜ、宮内庁長官が暴露したのか――。宮内庁長官の意図が不明だったのですが、この方のブログの説明で、氷解した気がします。
2009/12/31 Thu 22:33:08
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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