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2006/11/13 [Mon] 02:24:39 » E d i t
必修科目の未履修問題については、日本では、高校全体のうち1割を占めるほどの未履修が発覚しました。では、日本以外の国ではそういった未履修問題は生じていないのでしょうか? その点について、読売新聞11月11日付において記事を掲載していました。その記事を紹介したいと思います。


1.読売新聞平成18年11月11日付朝刊9面(国際面)

必修逃れ 日本だけ?

 日本全国の高校で起きた必修科目の履修逃れ問題は、受験優先に走る教育現場の実態を浮かび上がらせた。日本と同様に厳しい受験戦争が行われている各国の現状はどうなのか。本紙の取材網を通じて調べてみた。

◆米◆

 州や自治体の権限が強い米国の高校には連邦レベルの統一的な指導要領や必修科目がない。また、大学進学をめざす高校生が受ける共通テスト(SAT=大学進学適性試験)も数学や読み書き、論理的思考力など、基礎的な能力を調べるのが狙いで、個別の科目の知識を問うものではない。このため、必修逃れ問題は起きていない。

 高校の必修科目や卒業要件は州ごとに異なる。例えば、ノースカロライナ州とカリフォルニア州で社会科の必修科目を比べると、前者は米国史1コース、世界史1コース、公民・経済1コースなのに対し、後者は米国史2コース、世界史1コースとなっている(1コースは毎日1時間の授業を1年間行うことにほぼ相当)。また、ノースカロライナは外国語2コースが必修だが、カリフォルニアでは外国語は選択科目だ。

 ただ、米国の高校もスキャンダルと無縁ではない。特に問題になっているのはカンニングと、作文やエッセーを書く際のインターネットからの文章盗用。4年前に民間団体が全米1万人の高校生を対象に行った調査では、74%が過去1年間にカンニングをしたことがあると答えた。

 生徒の成績のかさ上げなどで処分を受ける教師も相次いでいる。米国では学校間の競争にも市場原理が導入され、成績不振が続くと補助金が打ち切られたりする。「破綻(はたん)校」を切り捨てる、こうした仕組みが教師の不正の背景にある。  (ニューヨーク 大塚隆一)


◆英◆

 英国でも初等・中等教育では必修科目が決められているが、必修逃れのような不正行為は起きていない。

 その背景には、<1>日本に比べて、学校ごとの裁量権が大きく、柔軟なカリキュラム運営が許されている<2>日本の「高校卒業」に相当する資格がなく、全国試験の成績が重視される――など、事情の違いがある。

 必修科目は、教育省が制定する「全国カリキュラム」で決められている。14~16歳の3学年では、英語、数学、科学、情報コミュニケーション技術、保健体育、公民が必修。ただ、それぞれの科目の履修時間数については、教育省は「目安」を提示するだけで、各学校に委ねられている。

 個々の学校運営に大きな影響を与えているのは、7歳、11歳、14歳、16歳という節目の学年ごとに行われる全国試験だ。義務教育の最終学年(16歳)に行われる「中等教育修了試験」は、大学入試や企業の選抜資料となるため、特に重視される。大学進学を希望する生徒は、さらに、2年制の進学コースに進み、より高度な全国試験「Aレベル」も受けねばならない。

 全国試験の学校別成績は公表されるため、各学校は「英語」「数学」など試験科目の授業に力を入れる傾向がある。学校行事などで授業が行えない際には、試験科目でない保健体育などの科目にしわ寄せが行きがちだとの指摘もある。

 裁量権が大きい英国の学校だが、3年に1度、独立行政機関である教育水準局の査察を受ける。査察は、複数の担当者が2日以上かけて、授業中の教室まで入り込む厳しい方式で、「全国カリキュラム」の履行状況などを調べる。  (ロンドン 森千春)


◆仏◆

 フランスでは高校卒業後、大学に進学するには、バカロレアと呼ばれる大学入学資格試験に合格することが必要となる。原則として指定の必修科目全部に合格しなくてはならず、必修逃れはできない仕組みだ。

 高校生は1年終了後、一般、技術、職業のいずれかのコースを選択する。例えば、一般の経済・社会学コースの場合、経済・社会学、数学、歴史・地理、フランス語、哲学、生物学、第1外国語、第2外国語、スポーツの9科目が必修科目。3年生の6月末、全国一斉に行われるバカロレアのテストでは、各科目とも20点満点で10点以上を取ることが合格の条件となる。

 ただ、得点調整係数という制度があり、一部の科目で合格点に達しなくても、他の科目の得点が高ければ、得点調整して合格できる仕組みもある。現在、受験者の約8割が合格するが、不合格の場合は翌年に再度、全科目で合格することが求められる。

 バカロレアは、日本のセンター試験に近い試験だが、合格者は原則、全員が仏国内の希望する大学に入学できる。人気の高い大学では試験の点数などで入学者を選別することもあるが、例外だ。文科系科目の試験は2つのうちの1テーマを選んで論じる論述式が多く、幅広い思考能力が求められる。その一方、トップ・エリート養成を目的とした「グランド・ゼコール」と呼ばれる、大学とは別の高等教育機関があり、こちらは狭き門を目指し、受験生が激しい競争を繰り広げる。  (パリ 島崎雅夫)

◆韓◆

 韓国では、教育人的資源省が定めた教育課程に従って、小学校から高校までのカリキュラムが決められている。だが、必修科目の履修は高1で終わり、高2~3は選択科目制となる。進学希望の生徒は、最初から受験科目に合わせて科目を選べるため、高校側があえて必修逃れを行う必要が生じない仕組みと言える。

 小学校1年から高校1年までは「国民共通基本教育課程」が適用され、高1の場合、国語、道徳、社会、数学、科学、技術家庭、体育、音楽、美術、英語の10科目が必修。これに対し、高校2~3年生は「選択教育課程」が適用される。

 同過程はさらに「一般選択科目」と「深化選択科目」に分かれ、それぞれ、<1>人文社会科目群(国語、社会など)<2>科学・技術科目群(数学、科学など)<3>芸術・体育科目群<4>外国語科目群<5>教養科目群(漢文など)――の5群に区分。

 生徒は、「一般選択科目」では<1>~<4>から1科目以上、<5>から2科目以上の計24単位以上を、「深化選択科目」では112単位まで選択できることになっており、大学入学のための共通試験である「修学能力試験」の科目に合わせて選ぶのが通例だ。例えば、文系の大学では、国語、英語、社会の計3科目が出題されることが多いため、受験生は<1>と<4>から集中的に科目を選択すればよいことになる。

 一方、韓国史に当たる「国史」は2002年の高校入学生から必修ではなくなった。他の科目と区別なく選択制を実施するためだ。「歴史認識問題をめぐる日中両国の対立などを受けて、国史教育を強化するため必修に戻すべきだとの声が出ている」(教育人的資源省当局者)という。  (ソウル 平野真一)」



2.各国、といっても米国、英国、フランス、韓国だけですが、日本と異なり、必修科目の履修逃れという問題は生じていないことが分かります。日本特有の問題というわけです。

(1) 米国では、

「大学進学をめざす高校生が受ける共通テスト(SAT=大学進学適性試験)も数学や読み書き、論理的思考力など、基礎的な能力を調べるのが狙いで、個別の科目の知識を問うものではない。このため、必修逃れ問題は起きていない。」


ということです。

米国では、「高校の必修科目や卒業要件は州ごとに異なる」としても、どれほどの負担となっているのか、この記事では今一歩分からない感じですが、「全米1万人の高校生を対象に行った調査では、74%が過去1年間にカンニングをしたことがある」のですから、多数がカンニングをしてしまうほど試験自体が相当に厳しいといえます。

「学校間の競争にも市場原理が導入」されると、生徒の成績が成果となるわけですから、生徒の成績のかさ上げを図るため、不正が行われる可能性があるわけです。政府主導の「教育再生会議」では、学校への競争原理導入を主張している委員もいるようですが、不正が増えることも覚悟することになるのでしょう。


(2) 英国では、

「英国でも初等・中等教育では必修科目が決められているが、必修逃れのような不正行為は起きていない。

 その背景には、<1>日本に比べて、学校ごとの裁量権が大きく、柔軟なカリキュラム運営が許されている<2>日本の「高校卒業」に相当する資格がなく、全国試験の成績が重視される――など、事情の違いがある。」

だそうです。
学校の裁量は大きいが、科目を習得できているかどうかは、実際に習得しているか、全国試験を実施し、さらに事後的な「独立行政機関である教育水準局の査察」でチェックするする仕組みをとっているわけです。日本のように、授業時間数という形式にはこだわりがないわけですが、全国的な試験がある以上、一定時間数の授業が必要であることは確かです。


(3) フランスでは、

「フランスでは高校卒業後、大学に進学するには、バカロレアと呼ばれる大学入学資格試験に合格することが必要となる。原則として指定の必修科目全部に合格しなくてはならず、必修逃れはできない仕組みだ。」

だそうです。
必修科目全部の合格が必要という仕組み、すなわち、事後的な全国一斉の試験を行うことで、科目の習得の有無を担保しているわけです。授業時間数という形式は問われていないわけですが、全国的な試験がある以上、一定時間数が必要なことは確かです。


(4) 韓国では、

「韓国では、教育人的資源省が定めた教育課程に従って、小学校から高校までのカリキュラムが決められている。だが、必修科目の履修は高1で終わり、高2~3は選択科目制となる。進学希望の生徒は、最初から受験科目に合わせて科目を選べるため、高校側があえて必修逃れを行う必要が生じない仕組みと言える。」

だそうです。
これは、事前に、受験科目に合わせた科目を選ぶという仕組みを採用しているわけで、全国的に受験に特化したカリキュラムになっているわけです。集団カンニングがあるほど受験競争が激化している韓国ですから、こういう受験優先の勉強という仕組みを採用しているのでしょう。 ただ、受験優先のため、余計に受験競争が激化しているともいえそうです。




3.読売新聞の同日(平成18年11月11日付朝刊21面)の「教育現論」において、編集委員・勝方信一記者が、必修逃れの原因として、

 「まず、「格差」だ。今、家庭や地域の教育条件の差が子供の学力に反映しているとされる。その地域格差の認識が、地方公立高校を必修逃れに走らせた側面がある。

 次に、「市場原理」だ。成果の評価をマーケットに委ねるとなると、学習成果を判断するのは大学受験となる。進学実績がすべてという風潮がここから生まれた。だが、それは、これまで高校を支えてきた価値観が崩れたからと言うこともできる。

 そこで「規制緩和」だ。高校カリキュラムの自由化が進んでいる。学校の自主性尊重の考えからだ。それが、数少ない必修科目ですらおろそかにしてよいとの認識を生んだのではないか。学校独自の工夫のための緩和が受験特化を招いたとすれば、趣旨の取り違えも甚だしい。これに、「自分中心主義」と付け加えてもよいかもしれない。

 格差、市場原理、規制緩和、自分中心主義…。必修逃れは時代を反映しているとも言える。だが、だからといって「仕方なかった」では済まない。」

としています。
勝方信一編集委員の言い分は、他でもすでに言われていることであり、これが原因であるかもしれません。しかし、「市場原理」を導入している米国では、必修逃れは生じておらず、「規制緩和」をしている英国でも、必修逃れは生じていません。各国の状況と比較すると、「市場原理」や「規制緩和」は原因ではないように思えます。

特に、勝方信一編集委員の言い分からすると、「規制緩和」をしている英国の制度についても「自分中心主義」と罵倒することになってしまいます。英国では、必修漏れが生じていないという事実が存在するのですから、勝方信一編集委員だけの独善的な見方のように思います。「規制緩和」から生じる「自分中心主義」が原因であるとはいえないと思います。

残るのは、「格差」です。しかし、灘高校など進学校さえも未履修を行っているのですから、地域格差さえも決定的な原因ではないように思えます。(追記:日本よりずっと「格差」がある米国で、必修科目の未履修問題は生じていないのですから、「格差」が決定的な原因というのは無理があります。)

こうして各国の状況と日本を比較してみると、必修科目の未履修問題を解決するには、もっと他の原因を探してみる必要がありそうです。
原因はともかく、米国、英国、フランスでは、必修科目は全国的な試験を行い習得の有無を確認する仕組みを採用しているので、必修科目の未履修は生じようがないわけです。英国では査察さえしているのです。必修科目を設けるのであれば、全国的な試験やしっかりした査察を行うことが一案であると考えます。

テーマ:社会問題 - ジャンル:ニュース

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2006/11/14(火) 23:25:08 | 秘書課、村野瀬玲奈です。
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