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2009/07/19 [Sun] 23:59:25 » E d i t
次期衆院選の前哨戦となる東京都議会議員選挙(定数127、42選挙区)は平成21年7月12日投票、即日開票されました。自民党は過去最低に並ぶ38議席と惨敗、公明党と合わせた与党で勝敗ラインの過半数(64)を3議席割り込んでいます。自民党が第1党の座から転落するのは、議長選に絡む汚職事件を受け行われた1965年の都議選以来44年ぶりです。これに対して、民主党は前回の35を大幅に上回る54議席を獲得し、初の第1党となりました。投票率は54.49%で、前回を10.50ポイント上回っています。

都議会選挙での自公敗北という結果を受けて、与党内では衆院解散の先送り論とともに「麻生降ろし」の動きが広がっていたのですが、麻生首相は「麻生降ろし」を阻止するため、7月13日、21日の週に衆議院を解散し、8月30日投開票の日程で総選挙を行うと正式に表明しました。

その後、衆議院では(麻生首相の衆議院解散予告を後押しするため)内閣不信任案が提出され、7月14日午後、内閣不信任案は否決されましたが、参議院では麻生首相への問責決議案が可決されました。問責決議案可決という結果を受けて、野党は衆参院での審議に応じないため、7月28日の会期末を待たずに事実上閉幕しました。まだ「解散予告」の段階ですので、衆議院選挙8月30日投開票が確定したわけではありませんが、事実上、衆議院選挙に突入することになったわけです。


1.まず、都議会選挙の報道から。

(1) 東京新聞平成21年7月13日付朝刊1面(12版)

自公過半数割れ 
都議会、民主が第一党 『麻生降ろし』強まる
2009年7月13日

 東京都議会議員選挙(定数一二七、四十二選挙区)は十二日、投開票が行われた。民主は現有に二十を上乗せして五十四議席を獲得、初の第一党となった。知事与党の自民・公明は、過半数を割り込んだ。石原慎太郎知事は野党多数の議会を前に、厳しい都政運営となる。自民党内では、麻生太郎首相の自発的退陣を求める声が噴出。首相は退陣するか、自らの手で衆院解散に踏み切るか、ぎりぎりの決断を迫られる。

 都議会で自民が第二党に陥落したのは、一九六五年、都議会議長選をめぐる贈収賄事件をきっかけに解散した「黒い霧解散」後の出直し都議選で、当時の社会党が四十五議席を獲得して第一党となって以来、四十四年ぶり。

 投票率は54・49%。過去二番目に低かった前回二〇〇五年の43・99%を10・50ポイント上回った。

 民主は五十八人を公認。複数擁立区を前回の十一から十三に増やすなどの積極策が奏功し、無党派層のほか自民支持層も取り込み、世田谷で三議席を獲得するなど、各地で複数当選を果たした。

 一人区では武蔵野、小金井の現職に加え、千代田、中央、青梅で新人が当選。昭島では推薦候補が勝利。全七区のうち六区を制した。

 自民は五十八人を擁立。勝敗ラインを「自公で過半数維持」とハードルを低くし、手堅い戦いで臨んだが、党都連幹事長ら、大物現職が次々に落選。多摩地区など、保守層が強いとされる地域でも議席を奪われた。

 公明は前回と同数の二十三人を擁立、五回連続の全員当選を果たした。

 共産と、地域政党の東京・生活者ネットワークは、現有議席を減らした。

 無所属は、非自公の二人が当選した。」



(2) 東京新聞平成21年7月19日付朝刊22面【東京】「都議選ショック 記者座談会(上)」

党の旗立てず『自分だけでも』
2009年7月19日

 自公が過半数を割り、民主が第一党に躍進した都議選の結果は国政にも衝撃を与えた。8月30日に予定される総選挙を見据え、都議選の取材に当たった担当記者らが、自民凋落(ちょうらく)、民主台頭の舞台裏について、紙上座談会で語り合った。

 司会 現場で見た自民の負けっぷりは?

  江東区の新人候補陣営は告示日に「街頭で自民党という旗を立てると、全然ダメ。本人だけだと、そんなに反応悪くないんだけど…」と困惑していた。第一声では「自民候補二人一緒(に当選)とか言っている場合じゃない。何としても○×(本人の名)をうからせて」と必死だった。勝ち負け以前に、自民党では戦いにならないという感じだった。

  ある衆院議員は東国原英夫宮崎県知事を名指しし、「あの人のせいで、自民党がゴタゴタした印象を広く与えてしまった」と怒り心頭だった。それもあって都議選への関心度が上がったわけだけど、自民党系の区長は「都議選なのに、メディアが全国的なニュースにしてしまっている」と迷惑そうに話していた。

  自民は「国政と都政は別」と言いながら閣僚らが応援に回っていたけど、逆効果なのを知って、大物の応援を断った陣営もある。「応援は(石原慎太郎)知事と区長だけでいい」と言っていた候補者もいる。

  知事は「自分の選挙よりまじめにやった」と言うように応援に力が入っていた。ただ、「自分のことばかり話していて、応援としては物足りない」という声もあった。それと、民主が主張する永住外国人の地方参政権付与について「外国人は帰化すればいい」と批判。実はこれは知事与党の公明も推進の立場なんだけど、公明の演説でも言っていた。

 司会 開票日のショック、動揺ぶりは?

  僅差(きんさ)で敗れた自民の重鎮は、マスコミをだますように事務所から逃げた。陣営関係者は「(落選が)初めてのことなので」「妻の体調が悪いから」と、しどろもどろだった。

  都議会議長の比留間敏夫氏(府中市)はかろうじて当選したけど、自民の大物が落選していくのを知り、「自分も落ちる」と覚悟したという。

  ショックは、本人以上に衆院選立候補予定者の方が大きいかもしれない。五選が確実視された現職都議が敗れた青梅市では、地元の衆院議員が顔面蒼白(そうはく)。感想を聞くと「私も厳しいと言いたいんでしょう。そりゃ厳しいですよ」と落ち込んでいた。

  大田区が地盤の衆院議員は都議選翌日に衆院解散、総選挙の日程が明示されたのを受け、「これだけの惨敗を受けて、態勢を立て直す間もなく解散をするとは、びっくり。自民党として壊滅的な打撃を受けるのではないかと心配だ」とあきれていた。

【座談会出席者】▼担当デスク 稲熊均(司会) 浜口武司

▼担当記者 石川修巳 原昌志 中里宏 増田恵美子 松村裕子 比護正史 岡村淳司 小林由比 小川慎一 堂畑圭吾 奥野賢二 布施谷航 北川成史 西川正志」


「記者座談会」を読むと、自民党の議席が38議席に減ったという結果以上に、都議会の自民党議員が深刻に感じていることがよく分かるかと思います。「ショックは、本人以上に衆院選立候補予定者の方が大きいかもしれない」との記者の言葉にも現れています。



2.自民大敗・民主党第1党という結果、そしてその後の都政の行方についての解説を紹介しておきます。

(1) 東京新聞平成21年7月13日付朝刊1面(12版)「解説」

◆石原都政に『不信任』 築地移転など懸案厳しく

 次期衆院選を控え、国政の対決構図がそのまま持ち込まれた東京都議選は、「東京から政権交代」を掲げた民主党が、議会勢力図を大きく塗り替える大勝を呼び込んだ。石原慎太郎知事を支える与党の自民、公明の過半数割れを起こした地殻変動は、石原都政に厳しい審判を下したことにもなる。

 民主は選挙戦で、二つの「NO」を突きつけ、知事与党との対立軸を明示した。石原都政の「アキレス腱(けん)」とされる新銀行東京の再建支援、築地市場のガス工場跡地への移転問題だ。

 民主を中心に過半数を占めた野党は、新銀行の早期撤退を促し、築地移転問題では、現在地での再整備を求める姿勢で一致している。

 石原都政の行方を占う懸案は、見直しを含めた厳しい局面を強いられる情勢になる。

 中でも、与野党対決を象徴する定数一の選挙区で、オセロのように自民から民主に議席が次々と入れ替わった。

 国と対峙(たいじ)する姿勢を示しながら、強力な発信力で求心力を高めた石原知事だが、安定的な後ろ盾を失った少数与党の中では、そのフリーハンドさえ封じられかねないとの懸念がある。

 今期限りの引退を表明している石原知事の任期は、残り約二年。石原知事が全精力を傾注する五輪招致は、今年十月に開催都市が最終決定する。その結果次第で、石原知事の進退にも波及しかねず、「ポスト石原」を見据えた動きも加速しそうだ。 (社会部・石川修巳)」



(2) 日経新聞平成21年7月14日付朝刊33面(東京・首都圏経済版)「揺らぐ石原都政(上)」

民主第1党 広がる衝撃  新銀行・築地移転 対立は必至

 東京都議会で民主党が第1党に躍進し、石原慎太郎都政は大きな曲がり角に立った。勢いづく民主党は新銀行東京、築地移転の問題で攻勢を強める構え。議会運営の主導権を握る第1党としての責任も担うことになるが、急膨張した党内のかじ取りには不安を残す。都政に広がる「民主第1党」の衝撃を追った。

 都議選から一夜明けた13日、都議会民主党は総会を開いた。歴史的勝利の高揚感を抑えるように田中良幹事長は「目標の自公過半数打破、第1党が達成できたことはよかった。しかしこれから私たちが背負っていく責任はこれまでとは比較にならないほど重い」とあいさつした。

 自民党が第1党を明け渡すのは44年ぶり。その1965年の都議選で第1党の座を奪った社会党は直後の臨時議会で「新しき酒は新しき皮袋に、ということわざがある。知事は今回の選挙結果にかんがみ、潔く退陣すべきだ」と当時の東龍太郎知事に退陣を迫った。

 東知事は「議会内の攻勢が大きく変化したのは事実だが、それが直接、私の不信任につながるとは信じていない」と反論。都政運営でも「重点施策や予算を大幅に変更することは絶対に行わない」と対決姿勢を鮮明にし、水道料金引き上げなどで対立を深めた。

■「不信任」を否定

 自公が少数与党に転落し石原知事も「知事不信任案を突きつけられるのを最も恐れている」(自民幹部)とされる。石原知事は13日、「選挙結果は石原都政への不信任」との見方を否定したうえで、民主党の「是々非々」での対応に期待を示した。

 民主党はどう出るのか。田中幹事長は13日、知事との関係について「すべての話を聞くつもりはないが、すべての話を拒否、否定するつもりもない」と表明。しかし「主義主張は堅持する」とも付け加え、新銀行や築地移転では譲らない考えを示した。

 都庁側も「選挙であれだけ対決色をあおったら民主党も引くに引けない」(幹部)と覚悟する。第1党の民主党は議事運営を取り仕切る議長ポストを確保、委員会運営でも主導権を握り、新銀行や築地移転に審議時間を割くことが可能になる。

■大量の新人議員

 これに拍車をかけるのが大量当選した新人議員だ。民主党は今回、22人の新人が当選。当選回数1~2回の議員が全体の8割近くになった。都連会長を務める菅直人代表代行の影響を受け、追及を身上とする新人も多い。「議会の変化」を印象づけようと、議員歴や行政経験の乏しい新人をあえて質問に立たせ、知事ら都庁側を揺さぶる戦術も考えられる。

 自民、公明両党が過半数を確保していた従来は両党の幹事長ら幹部に根回しをしておけば党全体に話が通ったが、「民主党ではだれに話せばよいかわからない」と都庁幹部は口をそろえる。

 例えば6月の副知事人事では、都庁側が民主党幹部に根回しをした際は容認の姿勢だったという。しかしその後「新銀行存続を主導してきた責任者の副知事就任は選挙で有権者に説明できない」と反対に回った。個別に根回しをしようにも「行政との癒着」と批判されるのを嫌って根回しを受け付けない議員もいる。

 複雑さを増す党内のかじ取り役として期待されているのが田中幹事長だ。しかし田中氏は当選回数が5回と党内で最も多く、議長の適任者の一人。「田中氏を議長にすると党内のまとめ役がいなくなる」とのジレンマもある。第1党となった民主党はどこに向かおうとしているのか。その動向は都政の行方に大きな影響を与えるのは間違いない。」



(3) 日経新聞平成21年7月15日付朝刊35面(東京・首都圏経済版)「揺らぐ石原都政(下)」

築地移転、見直し不可避  新銀行、真相究明へ攻防

 東京都議選後の都政は議会の主導権を握る民主党に石原慎太郎知事ら都側がどこまで譲歩するかが焦点になる。築地市場移転は用地費を盛る予定の2010年度予算案に民主党が反対すれば計画が止まるため「見直し不可避」の見方が多い。新銀行東京は議会権限の制約から当面は審議での経営悪化の真相究明が攻防の軸になる模様だ。今後のシナリオを探った。

 14年の移転を計画している築地市場は、10年度予算案に用地費などを計上する必要がある。民主の意向から都庁内では「言質での再整備をもう一度議論せざるを得ない」との声が広がっており、移転計画の見直しは避けられない情勢だ。

 ただ築地再整備は跡地の売却益を使えず、都の財政負担が増す。都は「『土壌汚染があるから移転反対』という考えなのでよく説明したい」と説得を試みる構え。民主党は都議選政策集で「強引な移転には反対」としており、「時間をかければ理解を得られるのではないか」との期待もある。

 新銀行について民主党は株式売却や営業譲渡などによる早期撤退を主張している。しかし新銀行は条例で設立した組織ではないため、都側の見解は「新銀行の廃業に関する条例を議員提出することはできない」。

 このためまず都議会に旧経営陣らを参考人として呼んで経営悪化の原因を問いただし、設立に関与した都側の責任を追及するとの見方が多い。追及を強めるため、通常の常任委員会とは別に調査特別委員会を設ける可能性もある。

 「新銀行は全貌(ぜんぼう)が明らかになっておらず、十分調べなければならない」。都議会民主党の田中良幹事長は真相究明で揺さぶりながら、撤退に向けて都側や自民、公明両党と着地点を探る姿勢だ。

 都庁内には「民主党の撤退方針と石原知事の外資との提携(資本提携=売却)は大きな方向性では同じ」との見方がある。公明党も「3年後に売却か譲渡」との立場で、いずれかの時期に落としどころとして売却・譲渡案が浮上する可能性がある。

 「新銀行も築地移転も民主党が選挙向けに振り上げた拳をどう降ろすのか見極めたい」。都側も与党も民主党の出方を探る状況が続いている。」


都議会選挙の争点は、新銀行東京の再建支援問題と、築地市場のガス工場跡地への移転問題でした。いずれも見直しが不可避であるとはいえ、日経新聞の記事を読むと分かるように、困難な要素も多いことが分かります。

特に、今後は新銀行東京への再建支援は止めるにしても、「新銀行は条例で設立した組織ではないため、都側の見解は『新銀行の廃業に関する条例を議員提出することはできない』。」とされていることから、直ちに撤退することは難しい状況なのです。




3.都議会選挙で自民党が敗北した直後であり、麻生内閣の支持率が極めて低いにもかかわらず衆議院解散を行うのですから(例えば、時事通信:2009/07/16-17:16によれば、「麻生内閣の7月の支持率は発足以来最低の16.3%を記録」している)、麻生首相は自民党を玉砕するつもりなのかと思えるほどです。なぜ、“自民党玉砕解散”“自民党集団自殺解散”をしでかすのか唖然とするばかりです。

(1) 朝日新聞平成21年7月14日付朝刊1面

首相、窮余の解散予告 民主は不信任案提出
2009年7月14日3時18分

 麻生首相は13日、今月21日にも衆院を解散し、8月18日公示、同30日投開票の日程で総選挙を実施すると正式に表明した。与党内の解散先送り論にも配慮して選挙はお盆後とし、解散を予告する形をとった。首相は「国民に問うのはどの党が皆さんの生活、日本を守るか。これが争点だ」と語り、景気対策を主な争点として戦う決意を強調。民主党など野党は13日、内閣不信任決議案を衆院、首相問責決議案を参院に提出し、審議拒否に入った。与野党は事実上の選挙戦に入り、政権を賭けた政治決戦がスタートする。

 首相は東京都議選惨敗を受け、時間を置けば党内の混乱が深まり党が分裂しかねないとの危機感から、13日中に解散・総選挙の日程を決めることを優先。当初は8月上旬投開票を想定し14日解散も検討したが、先送りを求める与党側との調整で解散を来週に延ばした。9月6日投開票案も含めて検討した結果、8月30日で決着した。ただ、支持率の低迷する麻生首相では戦えないとの声は党内に根強い。首相に批判的な勢力の動向が今後の焦点となりそうだ。

 首相は13日夜、首相官邸で記者団に総選挙日程を表明したうえで「民主党は政権交代を言っているが、現実的な政策も財源も示されていない。国民不在の党利党略以外の何物でもない」と批判。「経済危機から皆さんの生活を守るのが政治の責任だ。経済対策は引き続き責任ある政党のもとで実施していかなければならない」と景気対策の実績を訴えて戦う決意を述べた。

 自身が解散に踏み切る理由については「辞職をして投げ出す無責任な態度は取るべきではない。歯を食いしばっても頑張らなきゃいかん。表紙をかえるとか包装紙をかえるとか、いろいろな表現が使われているが、逃げずに戦わなければならない」と説明。

 苦戦を免れないとの指摘には「選挙はやってみないと分からない。状況が悪い中で選挙をしなければならない。批判は謙虚に受け止めなければならない。どこを猛省し、どうして立て直していくかは真剣に考えていかないといけない」と語った。

 民主党など野党各党は13日午後、内閣不信任決議案を衆院に、首相問責決議案を参院に提出し、審議拒否に入った。14日に不信任案は否決されるが、参院では野党が多数を占めるため問責決議は可決される見込み。

 北朝鮮制裁の貨物検査特措法案は衆院は通過しても参院で可決・成立する見通しはなく、首相が解散すれば廃案となる。首相は「極めて重大な安全保障上の問題である船舶検査法など非常に大きな問題を抱えたままだ。ぜひ(法案を)上げさせていただきたい」と解散までに特措法案を成立させたい考えを示した。

 首相の決断を受けて与野党は総選挙準備を急ぐ。」



(2) 朝日新聞平成21年7月14日付朝刊2面(14版)

選挙日程 妥協の産物
「公明票ないとみんな負け」 自民幹部ら、配慮も止める

 8月30日投開票を強く希望する公明党への配慮の必要性を語るのは、自民党の大島理森国会対策委員長だけではない。派閥領袖(りょうしゅう)のひとりは、自民党が逆風にさらされた都議選で、公明党が23人の候補者を全員当選させたパワーを見せつけられ、こう語った。

 「得票数を見れば分かる。(総選挙で自民党候補は)公明党の票を足さないと、みんな民主党に負ける。そういうマネジメントをしっかりしないといけない」

 「都議選は自民党のごたごたもあって公明党、与党に迷惑をかけた。申し訳ない」

 首相は解散日程を正式に伝えた13日の政府与党連絡会議の場で、わざわざ「公明党」の名前を出しておわびした。

 8月上旬投開票につながる週内解散を嫌ったのは、公明党だけではない。

 自民党最大派閥の町村派も、首相が「14日解散」に踏み切る可能性があると見て、森元首相や町村信孝前官房長官らが、解散先送りを首相に伝えるよう細田博之幹事長に託した。

 町村派は、首相に退陣を迫る中川秀直元幹事長のほか、総裁選前倒しを求める署名活動を続ける山本拓衆院議員らを抱える。動揺の広がる都議選直後に首相が解散に突き進めば、派の分裂を招きかねない。公明党幹部も「14日に解散をやろうとしたら、自民党も持たなかった」という。

 一方、1週間先の解散を事前に予告するという異例の対応をとった狙いの1つは、党内の「麻生降ろし」封じだ。首相周辺は「解散宣言は事実上(総選挙の)公示と同じ意味になる」。議員心理としては、永田町で首相を批判するより、選挙区に戻って有権者に自らを売り込む方を優先するようになるだろうというわけだ。

 頻繁に首相に苦言を呈してきた谷川秀善・参院幹事長も「もうしょうがない。今から1週間で総裁選をするわけにもいかない」。政府関係者も「麻生降ろしはこれで沈静化する」とみる。

 13日の細田、大島両氏との会談まで、民主党の内閣不信任案や問責決議案に対抗する形での週内解散にこだわったという首相。

 周辺によると、首相は12日夜、側近らとともに、05年に小泉元首相が郵政解散に踏み切った時の記者会見を録画したDVDを観賞したという。解散の最終決断に向け、気分を高揚させようとしていたのか。

 しかし、結局、週内解散を見送り、8月30日投開票を受け入れた首相。公明党幹部はその決断について、満足そうにこう語った。

 「公明、反麻生、不信任の3つに対応しようとしたのだろう」

■「一呼吸置きましょう」 大島氏、党内見回し手紙

 「いろんな人と個別に会うと、またワーワー言われる。総理が決断されたら、党四役を集めてパシッと方針を示した方がいい」

 首相がイタリアでのG8サミットを終え、羽田空港に降り立った11日夜。首相から電話を受けた自民党の大島理森国会対策委員長は、首相不在中に「麻生降ろし」がベテラン議員にも飛び火しはじめた党内情勢を説明したうえで、こう助言した。

 首相が断念した党役員人事の際は「相談相手」から外され、周囲に「首相を支えるにも限度がある」と漏らした大島氏だが、長年の盟友として、衆院解散という最大の決断に臨む首相を頬っておくわけにはいかなかった。

 首相が党役員人事を断念した翌日の2日、大島氏は「麻生離れ」が加速する党内情勢をみて、首相が模索していた「8月上旬投開票」をサミット前に宣言するシナリオは実現困難と判断。「一呼吸置きましょう」と書いた手紙を首相に届けた。

 首相は「『一呼吸置く』とはどういう意味だ?」と大島氏に電話。党内の反麻生勢力を刺激しないよう、イタリアでの内政懇での「解散予告」を封印するよう促された首相はこれを受け入れた。昨年秋、大島氏が求めた衆院解散を首相が見送って以来ぎくしゃくしていた「麻生―大島ライン」が復活した。

 入れ替わるように、党役員人事を主導しようとした安倍元首相は、都議選敗北を受け、周囲に「私は人事をやるべきだと言ってきたが、やらなかった。仕方ない」と、首相を突き放した。

 党役員人事の挫折は、最大派閥町村派会長の町村氏ら派閥領袖(りょうしゅう)や党執行部への根回し不足が大きな原因だった。その反省にたってか、首相は解散日程の決定にあたり、自ら積極的に根回しに動いた。都議選の投開票が進む12日、森元首相や町村氏、伊吹派会長の伊吹文明元幹事長など党の実力者や派閥会長、党執行部に次々と電話し、「ご迷惑をおかけして申し訳ない。解散は私が判断したい」と、自らの手で解散する決意を伝えた。

 13日昼に急きょ党役員会を開き、「解散宣言」を与党が了承するとのシナリオは、大島氏の「党四役を集めてパシッと方針を示す」とのアドバイスを踏まえたものだ。

 党役員会とほぼ同時に、東京都内のホテルで開かれた町村派幹部会合。森、町村、安倍各氏が出席し、森氏は党内で首相の自発的退陣を求める声が出ていることに関連して、「おれが麻生さんに鈴をつけに行くと言われているが、おれはそんなことやらない」と語る一方、「14日に解散されたら困るなあ」とつぶやいた。

 その夜、役員会に出席していた細田博之幹事長から、「来週の解散」が伝えられると、出席者から安堵(あんど)の声が漏れ、「総理を代える必然性はない」(町村氏)と「反麻生」勢力を牽制(けんせい)した。

 首相は13日夜、都議選の敗北について、記者団に対し「自民党なり、私に対してなりの批判がある。謙虚に反省しなくてはいけない」。「国政選挙と地方選挙は別」として、都議選の結果責任を否定した選挙前の発言から一転、「謙虚に」「反省」という言葉を繰り返した。」



(3) 朝日新聞平成21年7月14日付朝刊4面

8月投開票は戦後初、解散から40日は最長…異例ずくめ
2009年7月14日7時46分
  
 総選挙の日程が「8月18日公示、30日投開票」に固まった。戦後これまで現憲法下での総選挙は21回あったが、8月投開票は今回が初めて。8月30日は衆院議員の任期満了のわずか11日前で、76年の任期満了選挙を除けば前回選挙との間隔が最も長い。今月21日解散なら、解散から投開票まで40日間というのも最長。異例ずくめの日程と言える。

 これまで8月投開票は、帝国議会時代の2回のみ。今回は1902年8月10日以来、107年ぶりになる。8月が避けられてきたのは、暑い時期の選挙戦が候補者や運動員にとって過酷なうえ、帰省・旅行シーズンのお盆期間が含まれているためとされる。前回05年も公示は8月だったが、投開票は9月だった。なお、予算審議が佳境を迎える3月投開票も戦後一度もない。逆に予算編成前の10~12月が半数近い10回と集中している。

 憲法は、解散の日から40日以内に総選挙を行うことを定めている。「7月21日解散、8月30日投開票」なら、その限度いっぱいになる。現憲法下で解散から投票までの平均(任期満了を除く)は約29日間で、これまでの最長は麻生首相の祖父、故吉田茂首相が53年に行った「バカヤロー解散」の際の36日間。(関根慎一) 」



(4) 東京新聞平成21年7月15日付朝刊2面「まるわかり衆院選」

異例づくしの「8・30」  期間40日、解散宣言…
2009年7月15日

 ついに衆院解散を決断した麻生太郎首相。8月上旬の投票を念頭に置いていた当人は意識していないでしょうが、今月21日解散、8月30日投票となると、結果的に異例づくしの衆院選になります。

 解散から投開票日までの期間の長さ。憲法は衆院解散後、40日以内に選挙を行うのを義務づけていますが、7月21日から数えて8月30日はちょうど40日。これ以上は延ばせない日程です。

 これまでの戦後最長は1953年の36日。首相は解散日について「21日の週早々」と言っているので、多少遅くなる可能性はありますが、記録更新は間違いないでしょう。53年に解散したのは、首相の祖父である故・吉田茂氏。首相は、この記録では祖父を超えることになります。

 現在の2位は、小泉純一郎首相が郵政民営化を争点に戦った2005年の衆院選。民営化法案が参院で否決された直後、衆院解散に打って出るという与党も驚く荒業だったため、準備期間を確保するために日程を後ろにしました。

 では、なぜ今回、長い日程設定になったかといえば、首相が必要に迫られたためです。

 首相は、東京都議選の敗北で投票日を遅らせたい与党からの圧力に対応するとともに、麻生降ろしを封じ込める必要がありました。与党に配慮して8月30日投票にする場合、7月28日の国会会期末の解散でもいいのですが、その間に倒閣運動が盛り上がってしまうかもしれません。首相は、早く解散することで、議員が選挙活動に走りだし、麻生降ろしどころではなくなると読んだのです。

 首相は、1週間以上も前に公の場で「解散宣言」をしましたが、これも異例です。首相にとって解散権は、うそをついてもいいとされる最強のカード。通常、時の首相は、いつ切るかを直前まで明言しません。しかし今回は、先に触れたように選挙日程を早く提示して麻生降ろしを封じ込めるため、異例の解散宣言となりました。

 投票日が8月というのも、戦後初です。8月は、お盆や夏休み期間で家族単位の国内移動が増えるため、敬遠されてきました。しかし、今回は任期切れが9月10日に迫っているので、やむを得ず8月選挙になったのです。

 いずれにしても、候補者たちは猛暑の中の長期戦という前例のない過酷な選挙を強いられることになります。」


衆議院の解散は、民意を問うという意義があります。しかし、今回、麻生首相が8月30日に衆議院選挙を行うのは、公明党幹部によれば、「公明、反麻生、不信任の3つに対応しようとしたのだろう」ということでした。不信任案への対応はともかく、「公明、反麻生」への対応のための解散では、解散を行う正当性があるとはいえません。

それ以外にも問題があります。すなわち、「憲法は衆院解散後、40日以内に選挙を行うのを義務」づけているのですから、40日ぎりぎりでも適法です。とはいえ、候補者の選挙運動の負担や、選挙活動によって迷惑を被る有権者の負担を考慮すれば、40日ぎりぎりの投開票日は、好ましいものとはいえません。

また、8月中の選挙は、「8月は、お盆や夏休み期間で家族単位の国内移動が増えるため」、8月中の選挙活動は、選挙区での有権者が不在のままになりかねません。

特に問題なのは、「首相は、1週間以上も前に公の場で『解散宣言』をし」たことです。1週間以上も前に解散予告をすれば、実質的にはその時点で衆議院を解散をしたのと同様ですから、「衆院解散後、40日以内に選挙を行う」という憲法規定を実質的に潜脱するに等しいものです。

麻生首相の「解散予告」は、妥当性に問題があるように思います。




4.最後に。

(1) 東京新聞平成21年7月19日付【社説】

週のはじめに考える 主役は国民 選択の夏
2009年7月19日

 見苦しい自民の内輪もめはさておき、いよいよ衆院解散、選択の時です。かなりな確率で政治が変わる。審判はもちろん国民。心の準備はできてますか。

 ぶれた、またぶれた、と優柔不断を責められた首相の麻生太郎さんが、やっと意地を通しました。

 解散・総選挙は、誰が何と言おうと自分の手でやるんだ、と。

 戦後政治に名を残す祖父のワンマン宰相・吉田茂氏が晩年、意に反して解散権を封じられ、首相退陣に追い込まれたのを意識してのことでしょう。足元からの“麻生降ろし”をけ散らして、就任初心の「逃げぬ」公約を果たします。

 二十一日解散、八月十八日公示で同三十日総選挙-の運びです。

 どっちもどっちの抗争劇

 それにしてもここに至る自民党の混乱は、まことに情けないものでした。筋が通らないのです。

 主要市の長や県知事の選挙で劣勢が鮮明だった自民の焦燥は、長年の都議会第一党の座を民主党に奪われる惨敗を喫した東京都議選で、沸点に達していました。

 自民議員の大勢が「首相の自発的退陣」を望んだらしい。得意芸の“顔のすげ替え”です。辞めてほしい、不人気首相に解散されては選挙で落ちてしまう、と。

 でも、首相はそれを見越して先手を打つ。解散の日程を宣言する「予告解散」です。最初は十四日。実はこの日、自民・公明の与党は野党が出した内閣不信任決議案を否決、首相を信任しています。そして、お盆前の投票になるのを嫌がる公明に配慮して首相の予告解散は二十一日に。

 で、麻生降ろし組が勢いづきます。首相を信任したのに…。それが両院議員総会の開催要求。開けば首相糾弾は必至、退陣を督促されかねないと、首相と党執行部は鎮圧に動く。公認を外す、軍資金をやらないぞ、の脅しで。どっちも、生き残り最優先なのでした。

 後世に恥じない選挙戦を

 今さら言ってもせんかたないことでしょうが、麻生さんは首相就任直後に総選挙に打って出るべきでした。数字に表れる民心の麻生離れは尋常じゃありません。海外の目も気のせいでなく冷たい。

 自民も同じです。負けるのを恐れて、言い換えれば下野するのが怖くて、真剣勝負を先送りしてきた結果がこの惨状でしょう。

 総選挙を戦う旗印が旗印たり得ない。集票の広告塔にもくろんだタレント知事の擁立作戦も世間の思わぬ反発に遭って、司令塔の選挙責任者が役職を投げ出す。見苦しい抗争劇の後始末をきちんとできる人さえいないのです。

 まるで、無謀な戦争の終結に手をこまねき破滅へ突き進んだ戦前の指導部を彷彿(ほうふつ)させませんか。」



(2) 週刊朝日 2009年7月31日号「最新版衆院300議席完全予測 民主280議席圧勝 自民終焉へ」(野上忠興・政治ジャーナリスト、森田実・政治評論家)P148

野上 全体では「民主261議席、自公186議席」と予測しています。前回の郵政選挙の結果が逆転するような勢いです。鳩山由紀夫が民主代表に就任した直後に本誌がよくした際……からわずか2ヵ月なのに、勢いは増すばかりです。

森田 私も大差だと見ています。「民主279議席、自公165議席」。自民はかつての社会党のようになるでしょう。2大政党による政権交代が行われる政治を目指していたはずなのに、二大政党制は誕生する前に終わりを迎えることになりそうです。」



(3) 都議会選挙は中選挙区制でしたから、都議会選挙では自民党が敗北したとはいえ、議席に大差はつきませんでした。しかし、得票率は民主40.79%、自民25.88%ですから、比例区と小選挙区制を採用している衆議院選挙では、議席に大差がつくことは必至です。

今のままでは衆議院選挙では歴史的な大敗(=玉砕)となることが予想できるにもかかわらず、「麻生降ろし」を阻止するためという保身のために衆議院を解散する麻生首相。都議会選挙への猛省もない麻生首相の態度には、党内で反発が生じるのは当然でしょうが、その反発に対して自民党執行部が行うことは、「公認を外す、軍資金をやらないぞ、の脅し」をしてみせるのです。

国民の誰もが、今のままでは自民党は玉砕してしまうだろうと予測できるくらいなのに、自民党執行部は、脅しをかけてまで同じ自民党議員に対して「玉砕」「集団自殺」を強制するのです。ただ、本当に、「玉砕・集団自殺」をしたくないのであれば、自民・公明の与党は野党が出した内閣不信任決議案に賛成すればいいのに、自民党議員は誰もが内閣不信任案を否決し、麻生首相を信任しているのです。

都議会選挙前に、自民党の古賀誠選対委員長は、東国原英夫宮崎県知事に衆議院選挙への出馬を要請していました。しかし、東国原英夫氏は、不倫、16歳の少女との淫行、後輩への傷害などによって芸人としての活動ができなくなったため、宮崎県知事選挙に立候補し、選挙民の気まぐれで知事に当選しただけの人物にすぎません。こうした人物に頼ろうとしたのも、自民党が都民から呆れられた要因の1つです。東国原英夫氏が頭に乗って「総裁選候補にしろ」などと言い出したのは、過去の経歴に相応しい言動とはいえ、強欲さには辟易するばかりです。なぜ、こうした詐欺師同然とさえいえる人物に目が眩んでしまったのでしょうか。都議会選挙前からの「自民党の混乱」は、自民党がとことんダメになった証左のようです。

自民党の細田幹事長は各テレビ番組に出演し、「(民主党には)いろいろ不祥事もあるし、まだまだ40日間、様々なことがある」と強調し、選挙まで1ヵ月以上あるので支持率を回復できるなどと考えているようです。しかし、「玉砕」「集団自殺」に突き進んでいるような自民党に対して、支持するような常軌を逸してしまっている有権者が、増えるとは思えません。もう戦時中の国民と同じではないのです。

自民党が大敗し、自民党による政治から脱却することで、官僚主導の政治は終わりを告げ、戦後の政治は終了するのだと思うのです。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
自民党の内訌と解散総選挙
こんにちは!オーナー様
連稿スミマセン。先日の私のコメは、本エントリに付ければよかったです。
本記事4(1)(3)に大賛成です。
これから、自民VS民主の政権をかけた攻防は、ワタシは死闘になると思います。
現状では、民主圧勝ですが、選挙まで長丁場、何があるかわかりません。
ただ、日本人は勝ち馬に乗る傾向があるので、今の情勢を変えるのは難しいとは思います。
2009/07/20 Mon 12:51:58
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