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2009/06/20 [Sat] 23:59:16 » E d i t
西松建設による小沢一郎民主党前代表の政治団体への違法献金事件で、政治資金規正法違反などの罪に問われた前社長国沢幹雄さん(70)の初公判が平成21年6月19日、東京地裁(山口雅高裁判長)で開かれました。検察側は「違法献金のすべてで主導的に関与し、責任は重い」として、外為法違反罪と合わせて禁固1年6月を求刑しています。

国沢前社長は罪状認否で「間違いありません」と述べ、起訴内容を全面的に認めており、弁護側は「事前に届け出なかっただけの形式犯にとどまる」として執行猶予付き判決を求めています。マスコミの注目を集めた公判ですが1回で結審し、判決は7月14日に言い渡される予定です。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成21年6月20日付朝刊1面(13版)

前西松社長に1年6ヵ月求刑 西松事件 検察「寄付は闇献金」

 西松建設から民主党の小沢一郎前代表側への違法献金事件をめぐって、19日に東京地裁(山口雅高裁判長)で開かれた初公判は、即日結審した。検察側は論告で「ダミー団体名義の寄付は闇献金と何ら異なることはない」と両者の「金銭的癒着」を厳しく非難。政治資金規正法違反などの罪に問われた同社前社長の国沢幹雄被告(70)に禁固1年6ヵ月を求刑した。判決は7月14日に言い渡される。 

 検察側は論告で、西松建設から小沢側への献金は、公共工事の受注談合をめぐって小沢事務所から「天の声」を得ることが目的だったと主張した。実際には西松建設が寄付しているのに、ダミー団体の名義を使って寄付の主体を偽り、談合の構造・実態を隠蔽(いんぺい)したことは「寄付の存在そのものを収支報告書に記載しない、いわゆる闇献金と何ら異なるところはない」と位置づけた。

 そのうえで、西松建設が少なくとも4件の公共工事を談合のうえ高い落札率で受注したことから、「納税者である国民に負担を強いた。まさに公共工事受注に係る建設業者と特定政治家側との金銭的癒着を国民の目から覆い隠した」と指摘。 「政治資金規正法の趣旨・目的を踏みにじる、きわめて悪質な犯行だ」と述べた。

 国沢前社長は、被告人質問で弁護人から心境を問われ、「他のゼネコンも大なり小なり(談合を)しているので、競争に勝つために必要だと思い続けてきた。悪弊をなくす発想がなかったのは、私の経営者としての限界で、忸怩(じくじ)たる思いだ」と述べた。

 また、山口裁判長が「談合をしていた頃と、後とどちらが楽だったのか」と尋ねると、「談合がなくなって気は楽になったが、競争が激しくなって(会社の)実績そのものは伸びなかった」と説明した。

 国沢前社長の弁護側は最終弁論で、「一種の形式犯で、マスコミの過熱で贈収賄と同列かのような報道があった。罪刑を超える非難は許されない」と主張。身柄の拘束期間が長期にわたったことも批判し、「(小沢側への寄付は)ゼネコン他社との競争で無理からぬ面があった」と執行猶予付きの判決を求めた。

 外国為替及び外国貿易法違反の罪に問われた同社元副社長の藤巻恵次被告(68)には、検察側は懲役6ヵ月を求刑した。(浦野直樹、藤森かもめ)」」



(2) 朝日新聞平成21年6月20日付朝刊39面(14版)

争わぬ西松、一日結審 
株主総会前 会社再生優先
2009年6月20日5時31分

 東京地裁で19日開かれた西松建設前社長・国沢幹雄被告(70)らの初公判。即日結審は、会社再生のために早期に決着を着けたい西松建設側の意向だったが、立証に自信を見せる検察側も早急な公判準備に対応。政界からも注目された重要公判の審理は意外にも1日で幕を閉じた。検察側は「説明責任」に応えるべく議論を重ね、小沢事務所とゼネコン談合の癒着構造という、違法献金の「悪質性」を冒頭陳述で強調した。

 午前10時から始まった初公判は、被告人の罪状認否、検察側の冒頭陳述と速いテンポで進んだ。午後も公判は続き、被告人質問などがあった。

 弁護人から心境を問われた国沢前社長は「外為法違反、政治資金規正法違反とも大なり小なり競争に勝つためには必要であると思い続けてきた。立件されて、悪弊をなくす努力はなぜできなかったのか、と思う。忸怩(じくじ)たる思いだ」と述べた。

 昼の休憩を挟み、予定された午後4時半より1時間半近く前に、弁護側の最終弁論が終わって結審した。

 西松建設関係者らによると、即日結審は、組織改革を進めている同社側が、6月26日の株主総会前に事件を総括するため、早期の結審を望んだ結果だったという。今月上旬から検察側に即日結審を打診し、検察側も論告求刑の準備まで急ピッチで進めた。

 民主党の小沢一郎前代表の公設第1秘書・大久保隆規被告(48)=政治資金規正法違反の罪で起訴=の初公判の日程のめどが立たない中で、西松建設側の公判でスムーズな審理を望む検察側の意向とも合致したとみられる。

 一方、裁判関係者によると、注目される大久保秘書の初公判については、検察側、弁護側とも総選挙に影響を与える可能性があることについて考慮しているため、「総選挙前に開かれる可能性は低い」という。

■説明責任を意識 検察、大久保被告裁判控え

 東京地検は、3月24日に大久保秘書を起訴した際、「看過しえない重大かつ悪質な事案」などと述べた。だが、「悪質な事案」の意味については、「公判で明らかにする」としていた。

 その後、国沢前社長らの初公判が6月19日に決定。検察関係者らによると、東京地検特捜部は、違法献金の動機を明らかにするためにも、東北地方の公共工事をめぐるゼネコン談合組織と小沢事務所の関係について、この初公判で指摘することを早期に決めたという。東京地検内には、「検察の説明責任を問う声も高まっていたので、ぜひそれに応えたい」という考えが強かったという。

 ただし、最高検など上級庁と公判の方針を検討する中で、「踏み込んだ内容にして、小沢氏側の余計な反発を招くことにならないか」との慎重論も出た。

 特捜部が初公判前に準備した冒頭陳述は約20ページに及んだ。それが上級庁との検討を重ね、約半分となった。西松建設以外のゼネコン各社と小沢事務所の関係など、直接立証にかかわらない部分を削っていった結果だという。

 また、談合にかかわる罪は立件しておらず立証する必要もないことから、西松建設の献金の動機という範囲におさめるように工夫したという。」




(3) 幾つかの点に触れていきます。

 イ:「政界からも注目された重要公判の審理は意外にも1日で幕を閉じた」のです。では、なぜ、即日結審となったのでしょうか? 

 「西松建設関係者らによると、即日結審は、組織改革を進めている同社側が、6月26日の株主総会前に事件を総括するため、早期の結審を望んだ結果だったという。今月上旬から検察側に即日結審を打診し、検察側も論告求刑の準備まで急ピッチで進めた。
 民主党の小沢一郎前代表の公設第1秘書・大久保隆規被告(48)=政治資金規正法違反の罪で起訴=の初公判の日程のめどが立たない中で、西松建設側の公判でスムーズな審理を望む検察側の意向とも合致したとみられる。」


要するに、西松建設側は株主による批判をかわすといった株主総会対策が最優先でした。西松建設の現経営陣はもちろん、国沢前社長にとっても西松建設の経営を維持することが大事ですし、検察側がいかに悪質と連呼しようとも起訴事実を認めていれば執行猶予付き判決の可能性が高いのですから、国沢前社長自身にとってもさほどの不利益はないはずです(おそらくは、将来、会社から何らかの便宜があるのでしょう)。こうした意向があって、西松建設側は、「検察側に即日結審を打診し」たのです。

西松建設側から打診を受けた検察側としても、大久保秘書側と異なり、西松建設側は事実関係を争わない旨も含めて検察側の打診したはずですから、誰の反論も受けることなく、言いたい放題いえる場を確保できるのです。反論も証拠もなしに言いたい放題いえるなんて異常なことを堂々とできるのですから、小躍りするほど歓迎した打診であったといえます。また、検察情報リークを垂れ流したと批判を受けたマスコミも、裁判で検察側が述べたことであれば、堂々と検察の主張を垂れ流すでしょうから、また、検察はマスコミを利用でき、じつに好都合です。

こうして西松建設側と検察の思惑が一致したことから、西松建設と検察の“談合”がなされ、行司役である裁判所も“談合”を了解したたために、即日結審となったわけです。


 ロ:検察側は、西松建設前社長についての政治資金規正法と外為法違反の疑いの裁判でありながら、談合罪という公訴時効にかかり起訴が不可能な余罪について、10ページにも延々と言及しており、こうした余罪でもって悪質性を示しています。これは、余罪を量刑資料にするか、およそ起訴できない余罪を処罰する趣旨というべきです。

 「検察関係者らによると、東京地検特捜部は、違法献金の動機を明らかにするためにも、東北地方の公共工事をめぐるゼネコン談合組織と小沢事務所の関係について、この初公判で指摘することを早期に決めたという。東京地検内には、「検察の説明責任を問う声も高まっていたので、ぜひそれに応えたい」という考えが強かったという。
 ただし、最高検など上級庁と公判の方針を検討する中で、「踏み込んだ内容にして、小沢氏側の余計な反発を招くことにならないか」との慎重論も出た。
 特捜部が初公判前に準備した冒頭陳述は約20ページに及んだ。それが上級庁との検討を重ね、約半分となった。西松建設以外のゼネコン各社と小沢事務所の関係など、直接立証にかかわらない部分を削っていった結果だという。
 また、談合にかかわる罪は立件しておらず立証する必要もないことから、西松建設の献金の動機という範囲におさめるように工夫したという。」


このように、検察側は、余罪を量刑資料にするか、およそ起訴できない余罪を処罰することを求めていますが、果たして妥当なのでしょうか。これはいわゆる「余罪と量刑」の問題にかかわります。

 「量刑について問題となるのは、起訴されていない余罪を量刑に考慮することができるか、である。判例は「起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮することは許されない」(第1類型の余罪考慮)が、「刑事裁判における量刑は、被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法等すべての事情を考慮して、裁判所が法定刑の範囲内において、適当に決定すべきものであるから、その量刑のための一情状として、いわゆる余罪をも考慮することは、必ずしも禁ぜされるところではない」(第2類型の余罪考慮)として、第2類型の余罪考慮であれば憲法31条、39条に違反しない、としている(最大判昭和41・7・13刑集20巻6号609頁、最大判昭和42・7・5刑集21巻6号748頁)。

 そこで、第1類型の余罪考慮が許されないことは当然として、問題は第2類型の余罪考慮であるが、余罪は悪性格の代表であるからこれをいっさい量刑資料から排除することは妥当でない。しかし、第2類型の余罪考慮という形で第1類型の余罪考慮がなされる危険を避けるために、<1>余罪考慮が犯罪事実の認定に不当な影響を与えないことが条件とされるべきであり、余罪についての証拠の関連性、必要性の判断を厳格におこない、いかなる情状の立証であるかの立証趣旨を明確にさせ、厳格な証明により補強証拠を要求し、さらに事実認定と量刑手続とを事実上区分して事実認定終了後におこなうこと等が要求されるべきである。以上の配慮がなされても、なお、第1類型の余罪考慮との限界は微妙である。そこで、<2>例えば余罪が重大事犯の場合、余罪が極めて多数の場合あるいは余罪につき被告人が否認している場合等の余罪考慮は、もはや当該公訴事実の評価の範囲内とはいえず、第1類型の余罪考慮とみなすべきであろう。」(田口守一『刑事訴訟法(第4版補正版)』(平成18年、弘文堂)436頁以下)


検察側が重大事案とする余罪は、政治資金規正法よりも重大事犯である談合罪ですから、「第1類型の余罪考慮とみなすべき」であって、最高裁判例からすれば、余罪を処罰する趣旨となるため、裁判所が談合罪の事実を考慮することは許されないというべきです。元々、「特捜部が初公判前に準備した冒頭陳述は約20ページに及んだ」のですから、余罪を処罰する趣旨する意図であったことは明白であったように思われます。




2.小沢一郎前代表の秘書である大久保さんにとっては、裁判において反論・防御の機会を与えられることなく、検察側から一方的に延々と非難を受けたのですから、欠席裁判に等しいものです。こうした検察側の対応に対して、当然ながら多くの批判がなされています。

(1) 朝日新聞平成21年6月20日付朝刊38面(14版)

「狙い撃ち/欠席裁判に等しい」 秘書の大久保被告側が反論

 西松建設から民主党の小沢一郎前代表側への違法献金事件で、公設第1秘書の大久保隆規被告(48)=政治資金規正法違反(虚偽記載など)の罪で起訴=の弁護人が19日、西松建設前社長の国沢幹雄被告(70)らの初公判を受け、コメントを公表した。全文は以下の通り。

 1 西松関係の2つの政治団体による政治献金やパーティー券購入の相当部分は、他の団体へのものも相当あるにもかかわらず、国沢氏の起訴事実は、陸山会と民主党岩手県第4区総支部に対する献金だけに限られています。政治資金規正法上、献金を行うことの違法性は、献金を受ける側が違法と思っていたかどうかとは全く関係ありません。

 検察官が、ダミーによる、西松建設自身の献金と断じる多くの部分を不問に付し、特定の団体分のみを起訴したことに正当な理由があるのか、先日報道された東京検察審査会のご指摘にもありますが、疑問と言わざるを得ません。

 2 また、献金を受けた側から見ても、本日の公判における検察官の冒頭陳述については、検察審査会が自民党関係の政治団体の事件に関し指摘した事項がそのまま当てはまります。すなわち、係る団体ほか自民党関係の団体が西松関係の政治団体から献金を受けた事実については、検察官は、証拠が十分にあるにもかかわらず、その実態を明らかにしておりません。結局、大久保氏のみを狙い撃ちしたものであることは誰の目から見ても明らかです。このような冒頭陳述は、大久保氏にとって欠席裁判に等しいだけでなく、著しくバランスを欠くものであり、到底容認できるものではありません。

 3 検察官は「特に岩手県下の公共工事については小沢事務所の意向に基づいて受注業者が決定され」ていたなどと主張しました。一部の者の一方的供述に基づくものであり、その主張内容もそれ自体が極めて抽象的です。大久保氏が、具体的な工事について、検察官の言う、小沢事務所の「決定的な影響力」なるものをいつ、いかに行使したのか、そもそも公共工事における「決定的な影響力」とは何であったのか、全く具体性を欠いています。検察官主張のように、大久保氏が公共工事の受注者を決めていたなどという事実は一切なく、大久保氏がこの点に関する取り調べを受けたこともありません。現に、本日の証拠の要旨告知においても、大久保氏の調書に関する限り、この重要な点について何も触れられていません。

 4 結局、検察官の主張は、ゼネコン関係者の一方的な供述に基づくものに過ぎません。しかも、受注業者の選定に決定的な影響力、などという、極めて抽象的な内容に終始しています。それを具体的に裏付ける証拠も何一つ出されていません。

 大久保氏の裁判に関する当方の主張は、また公判廷において明確にして参ります。」

(*なぜか朝日新聞の記事にはないが、産経新聞によると、「本日の国沢氏の公判に関し、特に大久保隆規氏に関係すると思われる部分について、弁護団としての所感を申し上げます。」という前ふりがあり、最後に「2009年6月19日 大久保隆規氏弁護人 弁護士 伊佐次啓二」という記名がなされている。)



元特捜検事 公判どうみる

 民主党小沢前代表事務所や秘書の大久保隆規被告の関与などの「手の内」を公判で明らかにした検察側。見方が異なる2人の元東京地検特捜部検事に、感想を求めた。

■検察は言いたい放題

 民主党が事件の検証を委ねた第三者委員会委員の郷原信郎・名城大教授 「天の声」というが、どういう形で誰が意向を示し、どう受注者決定に反映されたのか。具体的に説明されていない。容疑を認めている国沢幹雄被告らの公判で、何の文句も言われないからといって、検察側は言いたい放題だった。争っている大久保被告は完全にかやの外で、反論の機会も無いまま、有罪のイメージができあがる。こんなやり方が裁判員制度のもと許されるのか。アンフェアだ。

■公共工事私物化は悪質

 ロッキード事件の捜査に携わった堀田力弁護士 冒頭陳述では、小沢事務所が政治力を悪用して公共工事を私物化した実態が述べられた。高く落札させて得た利益を還元させるのは、税金の横領といっていい。事件は政治資金の実態を国民の目から覆い隠す行為で、制度を使って正当なように見せかけるのは、工作した分、無届けよりも悪質だ。大久保被告は認識がないどころか、積極的に仕切っており、調書によると、事実関係をかなり自認している。」



(2) 東京新聞平成21年6月20日付朝刊23面(11版S)

西松事件公判 小沢氏側「欠席裁判」 
 「証拠なし」と猛反発

 「天の声が決定的な影響力を持っていた」。準大手ゼネコン西松建設前社長国沢幹雄被告(70)の初公判で、検察側は民主党の小沢一郎代表代行の事務所が、談合組織への影響を背景に、多額の献金を要請したと踏み込んだ。小沢氏の公設第1秘書の大久保隆規被告(48)の弁護団は、法廷外で「具体的な証拠はなく、欠席裁判に等しい」と猛反発。異例ともいえる検察側の立証に、有識者や検察OBからも疑問や厳しい意見が聞かれた。

■検察側「世論の半分は理解」

 「検察は公判で立証すると言ってきた。ことさら、小沢事務所側のことを冒頭陳述に出したわけじゃない」。検察幹部は「欠席裁判」との批判に反論、「半分以上の人には分かってもらえたと思う」と手応えを口にした。

 検察関係者によると、この日の検察側の冒頭陳述は、原案から国沢被告に関係ない部分や今後の大久保被告の公判に出てこない内容などを削り、半分程度に減らしたという。

 別の幹部は「社会を騒がせた事件だけに、被告が認めても、すんなり終わらせたら、世の中の人たちは納得しない。ただ、総選挙への影響や大久保被告の初公判といった制約の中で、どこまで出せるかは考えたと思う」と話した。

 一方、元東京地検特捜部長の宗像紀夫中央大法科大学院教授は「政治団体のダミー性や献金スキームなどは捜査が尽くされている印象を受けた」と評価したうえで、「反論できる人がいない法廷で、談合の中身など起訴されていない内容をここまで詳細に明らかにする必要があるのか違和感がある」と指摘した。

 元特捜検事の郷原信郎明城大教授も「国沢被告の刑事責任を明らかにするというより、他の目的で立証が行われたとしか思えない。争っている側の存在を無視した欠席裁判。大久保被告の公判に大きな影響を与えるだろう」と語った。

 「小沢事務所が天の声を出した」とする検察側の主張には「天の声とは一体何なのか。天の声とは本来、知事など自治体の首長の意向がそのまま受注予定者の決定につながることを言う。今回、誰がどういう形で意向を示し、西松建設が受注できたのかという説明が全くできていない」と批判した。」



■「国策捜査」への弁明  岩井奉信・日大教授(政治学) 

 検察は冒頭陳述でも論告でも、「小沢事務所が」という語句を多用している。西松側の公判なのに小沢氏側の悪質性をことさら強調しており、違和感を覚える。冒頭陳述は、ドラマ仕立てで感情的な内容だ。「国策捜査」批判に対する弁明、反論のように見える。

 小沢事務所の「天の声」にも言及しているが、大久保秘書以前に誰がどうかかわったなどはあいまいだ。

 実際には、献金の背景には小沢氏側の圧力があっただろうし、そうでなければ企業がムダに金を出すわけがない。「金の出どころをいちいち詮索(せんさく)しない」という小沢氏の主張はとんでもない。

 だが、法解釈は別問題。これまでダミー団体を通じた虚偽記載で刑事責任が問われる例はなかった。検察は違法献金システム全体への小沢氏の関与を問いたかったが、立証しきれなかったのではないか。 (談)

■悪質性を強調する思惑も

 曽根泰教慶応大教授(政治学)の話 小沢一郎氏の事務所による「天の声」の存在や、公設秘書大久保隆規被告の違法性の認識について詳細に触れた検察の主張からは、一連の捜査に対する「国策捜査」批判を意識し、事件の悪質性を強調したいという思惑が感じられた。この内容が小沢氏の代表存在時に明るみに出ていれば、民主党はさらに大きなダメージを受けたかもしれないが、小沢氏の代表辞任で事件と党の関係を切り離すことに成功しており、総選挙への影響は少ないだろう。党勢が回復している現状を考えれば、辞任は、党のダメージを最小限に抑えるために計算し尽くした行動だったと思わせる。」 

(なお、12版では、「異例ともいえる検察側の立証に、有識者や検察OBからも疑問や厳しい意見が聞かれた」という文章が削除され、「小沢氏側『欠席裁判』」という見出しが小さくなっており、論調が変わっている。)




(3) 東京地検は、3月24日に大久保秘書を起訴した際、「看過しえない重大かつ悪質な事案」などと述べ、「悪質な事案」の意味については、「公判で明らかにする」としていたのですから、検察側が説明責任を果たしたといえるのかもしれません。

しかし、いくら説明責任を果たしたいからといって、西松建設前社長の裁判を利用することは妥当ではありません。あくまでも西松建設前社長に関する裁判なのですから、大久保氏側にとっては反論・防御の機会を与えられることないのです。「争っている大久保被告は完全にかやの外で、反論の機会も無いまま、有罪のイメージができあがる」というのは、まさに「大久保氏にとって欠席裁判に等しい」ものです。検察にとっては、公平な裁判を受ける権利(憲法37条)の保障はどうでもいいようです。

被告人や弁護側の防御の機会を十分に保障することこそが、当事者主義構造を採用する現行刑事手続の根幹なのですから、検察の対応は、適正手続の保障(憲法31条)に反するものであって、正気の沙汰とは思えません。

問題なのは、検察側の主張は、「受注業者の選定に決定的な影響力、などという、極めて抽象的な内容に終始」しており、「それを具体的に裏付ける証拠も何一つ出されて」いない点です。これでは、「悪質な事案」の意味については、「公判で明らかにする」としておきながら、実質的には、「公判で明らか」にしたとはいえず、検察側が説明責任を果たしたといえません。



(3) 「検察は冒頭陳述でも論告でも、『小沢事務所が』という語句を多用している」ことから分かるように、これでは、実質的には西松建設前社長の裁判とはいえません。

検察官の主張は、「受注業者の選定に決定的な影響力、などという、極めて抽象的な内容に終始」しており、しかも、それを具体的に裏付ける証拠も何一つ出されていないのです。証拠もなしに、「天の声」があったとか、「決定的な影響力」があったといったところで、それでは単なる感想文にすぎず、裁判ではありません。

大久保秘書側から「欠席裁判である」という批判を受けることが分かっているにも関わらず、西松建設前社長の裁判という他の裁判を利用することをも厭わずに、処罰に血道を上げるのが、今の検察の一面であることが明らかになりました。

西松献金事件 公判も政治ショー

2009年06月20日 09:49 更新

 19日、注目された西松建設違法献金事件の初公判が開かれた。ただし、この日被告席に座ったのは、国沢幹雄前社長ら西松建設側の人間だけ。同じ政治資金規正法違反の容疑で逮捕・起訴された小沢民主党代表代行の公設秘書については、公判の日程さえ決まっていない。罪を認めていた西松側に対する公判は、なんとこの日で結審、次回7月4日には判決が言い渡される。どこまでも政治ショー的な事件になってきた。
 
 検察側の冒頭陳述は、被告の罪を明らかにするというより、小沢氏側の事件への関与を世間に知らしめるためのもの、としか思えない内容だった。建設業界のいうところの「天の声」という言葉をこれでもかと連発し、悪徳政治家・小沢一郎を演出して見せた。西松建設側被告の悪行にはさらりと触れた程度で、誰の裁判なのか分からないという印象だ。「天の声」については、いつ、誰が、どのような形で発していたのか、具体的な事実は一切述べられていない。争う姿勢がない西松側被告に対する陳述だからこそ許される「言いっ放し」。通常なら、後々「具体的な証拠は?」と切り返される内容である。

 検察側は、西松建設がダミー団体「新政治問題研究会」や「未来産業研究会」を通じて小沢氏側に提供した金について「西松建設の金であることを隠した闇献金」と断じたが、それなら、両団体の金を受け取った政治家は、自民・民主を問わず全て同罪であろう。しかし、冒頭陳述には小沢氏以外の政治家の名前は登場しない。多くの政治家に対し金を出した側である西松建設の代表者の裁判であるにもかかわらずだ。
 
 懸念されたことではあるが、検察側は、西松建設による政界全体への違法献金の実態を解明するどころか、小沢代行の政治的影響力を削ぐことにのみ集中しているように見える。19日の公判においては案の定、自民党が期待していた通りの冒頭陳述が繰り広げられ、またしても検察が政治に大きな力を及ぼす結果となっている。繰り返すが、西松建設から政治資金の提供を受けていた政治家は小沢代行だけではない。その数からいけば、明らかに自民党側の方が多いのであり、事件を政治的に利用しているかのような印象を持たれる検察のあり方は正常とは言えない。「国策捜査による政治ショー」そう感じているのは筆者だけではないだろう。 (頭山 隆)」(九州企業特報(データマックス社)(2009年06月20日 09:49)


当時の漆間巌官房副長官が「自民党側は立件できない」と暴露したことから分かるように、「国策捜査」であるという批判があったにも関わらず、依然として自民党側は立件されていません。今回、小沢一郎国会議員の政治的影響力を削ぐことが主目的であると思われかねないような冒頭陳述・論告を行い、しかも、西松建設前社長の裁判をも利用したのです。これでは、検察主演の「国策捜査による政治ショー」という揶揄を受けて仕方がないように思われます。



6月24日追記

岩手県知事が検察の主張に反論しています。

西松献金事件で岩手知事が反論 「県内での入札適正」

 岩手県の達増拓也知事は23日記者会見し、西松建設の巨額献金事件の初公判で、同県発注の公共工事の本命業者選定に小沢一郎民主党代表代行の事務所が「天の声」を出していたと検察側が主張したことに対し「岩手県において発注、入札は適正になされていたと承知している」と反論した。」(日経新聞平成21年6月24日付朝刊39面)



西松事件初公判で岩手知事反論 検察側主張に「入札は適正」

 岩手県の達増拓也知事は23日記者会見し、西松建設の巨額献金事件の初公判で、同県発注の公共工事の本命業者選定に小沢一郎民主党代表代行の事務所が「天の声」を出していたと検察側が主張したことに対し「岩手県において発注、入札は適正になされていたと承知している」と反論した。

 初公判は政治資金規正法違反罪などに問われた同社前社長に対するもので、事件に絡んだとして同罪で起訴された小沢氏の公設第1秘書大久保隆規被告の弁護団は出席していなかったことについて達増知事は「欠席裁判のような形で、反論する機会が与えられていない。一方的な検察側の主張というのはおかしい」と批判した。

 達増知事は、当時の入札状況などについて公正取引委員会が調査に乗り出した場合については「全面的に協力したい」とし「今のところそういう動きはない」と述べた。

2009/06/23 13:42 【共同通信】」( 【共同通信】(2009/06/23 13:42)



岩手県知事の言い分からすると、検察はありもしない「天の声」をでっち上げたことになります。もともと岩手県知事と小沢一郎氏とはつながりがありませんし、そもそも野党である小沢一郎議員には、岩手県政下の公共工事に影響力を与える立場にありません。県内事情をよく知る岩手県知事が、「天の声で公共工事は左右されていない」といった趣旨の反論をしているのですから、検察よりもたしかな情報であるように思います。

報道機関は、小沢議員側が説明責任を果たせなどという、一部報道機関もありました。しかし、説明責任を果たすのは、ろくな根拠もなしに「天の声」などと言い放った検察であり、そして、報道機関もまた、検察という「虎の威」をかりていないで、自ら十分に調査をして客観的な証拠を示すなどの説明責任を果たすべきです。

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
どう考えても不公平
この裁判を利用して大久保氏の裁判を有利に進めたい意図が透けて見えるのは気のせいでしょうか・・ こんな裁判アリ?

日本ではないはずだけど、司法取引みたいな匂いがする。 実刑無いのを知ってて検察の言う事を丸飲みしてる気がしてならないです。

一番呆れるのが立法府で法律を知ってる自民党の議員が、欠席裁判的な内容の裁判で小沢氏の参考人招致をしようとしてる事ですね。 公判前に何かしゃべる事なんて出来ない事は分かってるでしょうに・・
2009/06/23 Tue 14:55:07
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