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2009/06/15 [Mon] 00:21:03 » E d i t
飯塚事件については、足利事件を契機として何度か触れています(<1>「「足利事件」の菅家さん、17年半ぶりに釈放~再審開始が確定的に」(2009/06/06 [Sat] 16:53:34)、<2>「「飯塚事件」再審請求へ~旧鑑定に依拠した死刑判決であったのに、なぜ死刑執行したのか?(東京新聞平成21年6月5日付「こちら特報部」より)」(2009/06/13 [Sat] 15:39:20)参照)。

「飯塚事件」とは、いわゆる「東の足利」が覆った今、「西の飯塚」はどうなるのかと囁かれる事件のことです(「「「足利事件」 の菅家さん釈放を巡る報道記事を紹介(2):朝日新聞の場合~「東の足利」が覆った今、「西の飯塚」はどうなるのか――。」(2009/06/07 [Sun] 23:59:44)参照)。何度も触れている問題ではありますが、東京(中日)新聞は、事件現場となった福岡県飯塚市に取材を行い、それを記事にしていたことから、紹介することにしました。



1.東京新聞平成21年6月14日付朝刊25面「現場考」

死刑 待てなかったのか  
 「飯塚事件」死後再審願う妻
2009年6月14日 朝刊

 東の足利、西の飯塚-。一九九〇年代前半、初期のDNA型鑑定によって有罪認定された受刑者が、再審を求める二つの事件があった。「足利事件」の菅家利和さん(62)は十七年半ぶりに釈放されたが、二人の女児を殺害したとして死刑判決を受けた「飯塚事件」の久間(くま)三千年(みちとし)元死刑囚は昨年十月、七十歳で死刑を執行された。再審請求前だったが執行の時期に誤りはなかったのか。一方で事件の現場では「もう済んだ話だと思っていたが」との戸惑いが広がっている。 (荒井六貴、佐藤直子)

■住民は「もう済んだ」

 「今、ここまで執行されているが、自分の番まではまだあるかな」。昨年九月、弁護団の徳田靖之弁護士が福岡拘置所で面会した際、久間元死刑囚は確定死刑囚のリストを示しながら語っていた。

 昨年十月中旬、足利事件の再審請求で、東京高裁が最新技術によるDNA型の再鑑定を実施する方針であることが報じられた。弁護団も希望を見いだした。しかし、久間元死刑囚は直後の同月二十八日に死刑が執行された。

 足利事件の再鑑定の動きを知りながら、法務省は精度の低い初期の鑑定を基に刑が確定した死刑囚の執行に踏み切った。確定から二年というスピード執行だった。

 「早く再審請求をしていれば」と弁護団は悔やむ。「足利の再鑑定が動きだす中での執行は、判断の誤りではないか」と指摘する。足利の弁護団と連携しながら、年内に死後再審の開始を請求するが、捜査に使われた試料は残っておらず、足利の再鑑定で、初期のDNA型鑑定の信ぴょう性が疑わしくなったことを突破口にしたい考えだ。

 「弁護士さんに(再審請求の)意思は伝えています」。久間元死刑囚の妻は九日、福岡県飯塚市の自宅前で心境を明かした。弁護団によると、妻は事件後も地元を離れず、働きながら一人息子を育てたという。

 「足利のことはよく分かりません。(無実だという)本人の言葉を取り上げてほしかった。(死刑を執行されたら)言いたいことを言えないままでしょ」と、記者に厳しい視線を向けた。

 飯塚市内の同じ小学校に通学する一年生の女児二人=当時(7つ)=が、登校途中に姿を消したのは一九九二年二月。現場は民家の壁に囲まれた三差路とみられ、現在も通学路になっている。

 近所の無職男性(80)は「もう済んだもんだと思っていたが、どう判断していいのか」と戸惑いを見せる。

 二人の女児の遺体は約二十キロ離れた薄暗い雑木林で見つかった。現場には三十センチほどの二体の地蔵が置かれていた。久間元死刑囚の再審請求の動きに、女児の母親は「もう結構です」とだけ答えた。

【飯塚事件】 1992年2月、福岡県飯塚市の小学1年女児2人が行方不明になり、遺体が南東部にある甘木市(現・朝倉市)の山中で絞殺体で見つかった。目撃された車などから、久間三千年元死刑囚が浮上。女児の体内から検出された体液のDNA型が一致したことや、車のシートの繊維が女児のつめから見つかったなどの状況証拠から福岡県警が94年9月に逮捕。捜査段階から否認を続けたが、一審の福岡地裁は99年、「鑑定の証拠能力を肯定できる」と死刑を言い渡した。最高裁で2006年に確定し、昨年10月に死刑が執行された。」




2.幾つかの点に触れていきたいと思います。

(1) 1点目。

 「昨年十月中旬、足利事件の再審請求で、東京高裁が最新技術によるDNA型の再鑑定を実施する方針であることが報じられた。弁護団も希望を見いだした。しかし、久間元死刑囚は直後の同月二十八日に死刑が執行された。

 足利事件の再鑑定の動きを知りながら、法務省は精度の低い初期の鑑定を基に刑が確定した死刑囚の執行に踏み切った。確定から二年というスピード執行だった。

 「早く再審請求をしていれば」と弁護団は悔やむ。」


弁護団が「早く再審請求していれば」と悔やむ気持ちになるのは、誰もが共感できることかと思います。飯塚事件での科学警察研究所の鑑定法は、足利事件と同じく、DNAの配列の一部だけを目で見るなどして調べる「MCT118型検査法」を採用し、弁護側は「鑑定は不正確」として無罪を主張したにもかかわらず、最高裁は鑑定結果の信用性を認めて、死刑判決を肯定したのであって、とすれば、足利事件が覆った以上、飯塚事件も十分に覆る可能性があるといえるのですから。

確かに、現に再審請求をしていれば、執行しなかった可能性は高いといえます。

しかし、根本的には、<1>米国のように、DNA再鑑定の権利が保障されていないために(捜査側は、再鑑定を考慮することなく(=再鑑定できないようにするため?)試料を使い切ってしまうため、飯塚事件では再鑑定が不可能になった)、当時から拙劣だと批判されていた科学警察研究所の鑑定が、いつまでも生き残ってしまっています。

また、<2>市民的及び政治的権利に関する国際規約(「自由権規約」)に基づく、国連の自由権規約委員会による「最終見解」に記されているように、死刑事件に関して必要的再審査手続が創設されていません(「国連の自由権規約委員会が「最終見解」を公表~合計34項目にも及ぶ詳細な評価・勧告」(2008/11/03 [Mon] 23:27:02)参照)。

こうした2点が、刑事手続上、法的に保障されていないからこそ、拙劣な鑑定技術に基づくDNA型鑑定に基づいた有罪判決であっても、冤罪の主張が認められずに執行されてしまうのです。(もちろん、重大事件について再審請求をしても、裁判所がほとんど再審を認めない点も問題です。法改正をするしかないようです。)



(2) 2点目。

 「「弁護士さんに(再審請求の)意思は伝えています」。久間元死刑囚の妻は九日、福岡県飯塚市の自宅前で心境を明かした。弁護団によると、妻は事件後も地元を離れず、働きながら一人息子を育てたという。

 「足利のことはよく分かりません。(無実だという)本人の言葉を取り上げてほしかった。(死刑を執行されたら)言いたいことを言えないままでしょ」と、記者に厳しい視線を向けた。

 飯塚市内の同じ小学校に通学する一年生の女児二人=当時(7つ)=が、登校途中に姿を消したのは一九九二年二月。現場は民家の壁に囲まれた三差路とみられ、現在も通学路になっている。

 近所の無職男性(80)は「もう済んだもんだと思っていたが、どう判断していいのか」と戸惑いを見せる。」


東京(中日)新聞の記者の皆さんは、久間さんの妻の(死刑執行前に)「(無実だという)本人の言葉を取り上げてほしかった」という言葉をどう受け止めたでしょうか? この東京新聞の記事を読んだ他社の報道記者は、「逮捕、起訴=有罪」報道を行い、捜査情報を鵜呑みにするだけで、どんなにも被告人が無実だと弁解しようとも、その弁解に真摯に耳を傾けることをしない報道をしてきたことに対して、猛省する気になったのでしょうか?

東京(中日)新聞の記者は、久間さんの妻に取材すれば、「死刑執行前に、無実だという本人の言葉を取り上げてほしかった」という非難を受けることは予想できたでしょうから、非難を受けることを承知で、取材に行ったのだと思います。その意味では、東京新聞は、「飯塚事件」について、無反省でいる他の報道機関よりも評価できるといえます。

それにしても、同じ飯塚市に住む住民にとっては、「もう済んだもんだと思っていた」というのですから、落差があります。2人の女児の殺害があった事件であっても、「飯塚事件」が冤罪であるという話が出ていても、もはや他人事のようです。しかし、これが今の一般市民の通常の反応なのであって、非難すべきことではないのでしょう。残念なことではありますが。


テーマ:死刑 - ジャンル:政治・経済

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2009/06/16 Tue 14:37:07
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