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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2009/06/14 [Sun] 08:55:34 » E d i t
鳩山邦夫総務相は平成21年6月12日、日本郵政の西川善文社長の更迭要求を麻生首相に受け入れられなかったとして、辞任しました。麻生太郎首相は首相官邸に鳩山氏を呼び、西川氏続投の方針を示しましたが、鳩山氏は受け入れを拒否し辞表を提出し、事実上、更迭しました。首相は後任の総務相に佐藤勉国家公安委員長の兼務を決めています。


1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成21年6月13日付朝刊1面

鳩山総務相が辞任 首相の説得拒否 自民離党に含み
2009年6月13日 朝刊

 鳩山邦夫総務相(60)=衆院福岡6区=は十二日午後、日本郵政の西川善文社長退任が受け入れられなかったとして、麻生太郎首相に官邸で辞表を提出、受理された。西川氏を続投させる意向の首相による事実上の更迭。過去三回の自民党総裁選で麻生陣営の選対本部長を務めた盟友の鳩山氏を説得できなかった首相の求心力低下は避けられず、次期衆院選前に「麻生降ろし」が再燃する可能性も出てきた。 

 鳩山氏は辞表提出後、自民党離党の可能性について記者団に「仲間と相談する」と含みを持たせた。

 首相は鳩山氏の後任に、佐藤勉国家公安委員長を兼任させた。

 麻生内閣の閣僚辞任は中山成彬前国土交通相、中川昭一前財務相に続き三人目。

 首相は十二日、鳩山氏と官邸で二度にわたって会談。西川氏が鳩山氏に謝罪することを条件に、続投を容認するよう説得したが、鳩山氏は拒否した。

 首相は同日夕、鳩山氏辞任について、官邸で記者団に「国民の共有財産である郵政事業に関し、政府と日本郵政との間に混乱を生じたような印象を与えたのは甚だ遺憾だ。早急に解決されてしかるべきだった」と強調した。

 政府・与党内では、郵政民営化を支持する勢力を中心に、許認可権を盾に社長退任を強く求める鳩山氏の対応に批判が高まっていたため、首相は混乱を収拾して次期衆院選への影響を最小限に抑えるためには、鳩山氏辞任もやむを得ないと判断した。

 これに対し、鳩山氏は辞表提出後、記者団に「世の中、正しいことが通らないことがある。今はそういう思いだ」と述べた。

◆厚労政務官も辞表

 戸井田徹厚生労働政務官は十二日午後、日本郵政社長の進退をめぐり、鳩山邦夫総務相が辞任したことを受け、「鳩山氏と行動を共にする」として、舛添要一厚労相あてに辞表を提出した。

 戸井田氏は、首相官邸で記者団に「国民の目から見れば『けんか両成敗』が最低の線だ。総務相だけ辞任したので『お供します』という気持ちだ」と理由を説明した。

 また、鳩山氏の元秘書だった古川禎久環境政務官も同日、所属する自民党山崎派の山崎拓会長に辞任の意向を伝えたが、同僚議員らの説得を受け、辞意を撤回した。

 古川氏は記者団に「鳩山氏は事実上更迭された。鳩山氏が言っていることは正しい」と述べた。

====================================================================
【日本郵政人事】 日本郵政の役員人事は同社の指名委員会(委員長・牛尾治朗ウシオ電機会長)が人事案を決め、株主総会に提案する。政府が全株を保有しているため、総会での議決は事実上、政府判断に委ねられている。一方、日本郵政株式会社法は、総務相の認可がない人事は「効力が生じない」と規定。指名委員会は株主総会で西川善文社長ら取締役9人全員を再任する人事案を決定している。」



(2) 東京新聞平成21年6月13日付朝刊27面

識者の声 民営化、社長の評価できぬ
2009年6月13日 朝刊

 識者は西川社長の経営責任を指摘し、社長続投を批判した。

 経済評論家の紺谷典子さんは「鳩山さんは法律的に(社長人事の)認可権限を持っている。おかしなことをやった人が社長に居座るのは許せないから大臣の権限として認めないというのはその通りだ。辞任は実質的に罷免で、とても変だと思う」と憤る。自民党内には、西川氏を辞任させるのは郵政民営化に逆行するとの意見が根強いが、紺谷さんは「逆行などしない。そもそも民営化は国民のため。実をあげてくれるなら社長は政治家でも役人でもいい」と述べ「西川さんはかんぽの宿を高く売るための努力をしたのか。国会では競争入札だとうそをついた。評価できることは一つもない」と断言する。

 田尻嗣夫・東京国際大教授(金融論)は「西川社長は日本郵政の資産売却収入を国民に還元する方策を全く示さなかった。鳩山氏も政府の一員として郵政民営化後、経営を日本郵政に丸投げ状態にした責任がある」と指摘。「今度の騒動を『郵政民営化を進めるか否か』という神学論争にしたことで、国民の利便性向上が取り残された」と批判した。」




2.日本郵政株式会社の役員人事の決定は、<1>同社の指名委員会(委員長・牛尾治朗ウシオ電機会長)が人事案を決め、株主総会に提案します。そして、<2>日本郵政の100%株主は国ですから、総会での議決は事実上、政府判断に委ねられ、株主総会には財務省の担当者が出席するため、財務相の判断によって総会決議が決定されます。その後、<3>日本郵政株式会社法は、総務相の認可がない人事は「効力が生じない」と規定しているように、指名委員会や株主総会でどのような役員人事を決定しようとも、最終的な決定権を有する総務相が役員人事を左右できることになります。

「(取締役等の選任等の決議)
日本郵政株式会社法第9条  会社の取締役の選任及び解任並びに監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」


(1) このように、日本郵政株式会社の経営に関しては、総務相と財務相が法的権限を有しているのですが、日本郵政株式会社法第14条(監督)は、「会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する」とし、総務大臣のみが監督権限を有しており、また、16条(財務大臣との協議)は、総務大臣は、「第8条第1項、第10条又は第11条(定款の変更の決議に係るものにあっては、会社が発行することができる株式の総数を変更するものに限る。)」という限られた場合のみ、認可につき、「財務大臣に協議しなければならない」としており、経営に重大な影響を与える役員人事については協議事項ではありません。言い換えれば、総務相に監督権限があり、その権限を全うするために役員人事についても決定権があるという会社法と共通した法構造を有しているわけです。

こうした法規定からすれば、日本郵政株式会社の経営については、財務相が総務相の判断に沿う行動をとることを予定しているといえ、総務相が最終的な権限を有していることになります。総務相が所管大臣であるとされていますが、単なる所管を超えた権限を有しているわけです。



(2) 今回、鳩山総務相は、日本郵政株式会社法に基づく権限に基づいて、一連の不祥事に対する西川社長の経営責任があるとして、西川社長の続投を認めないという判断をしたのですから、正当な権限行使であって何の問題もありません。

ところが、麻生首相は、「国民の共有財産である郵政事業に関し、政府と日本郵政との間に混乱を生じたような印象を与えたのは甚だ遺憾だ。早急に解決されてしかるべきだった」として、鳩山氏を更迭してしまったのです。

もちろん、首相は、国務大臣の任免権(憲法68条)を有しているのですから、理由の如何を問わず、鳩山国務相を罷免することはできることは確かです。しかし、総務相が日本郵政の所管大臣として権限を濫用したのならともかく、正当な権限行使をしたのに、罷免することは合理性が欠ける行為です。麻生首相は、鳩山氏が合理的な理由に基づき正当な権限行使をしたのに、更迭してしまったのですから、実に奇妙なことです。

なお、報道機関の中には、「この人事が首相に突きつけたのは、民営化を進めるのか後退させるのか、小泉路線を継続するのか見直すのか、基本的な態度の表明だった」(朝日新聞平成21年6月13日付「社説」)とするものもあります。しかし、「今回の問題の核心は、『かんぽの宿』の不明朗な売却手続きなど不祥事が続発しているのに、西川社長が経営者としての責任を果たさなかったことにある」(読売新聞平成21年6月13日付「社説」)のであって、「民営化を進めるのか後退させるのか」といった、いわゆる神学論争ではないのです。神学論争という別次元の議論にすり替えることによって、経営責任をうやむやにしてしまうことこそ、問題があるように思います。

(なお、「鳩山氏は、続出する日本郵政の不祥事(障害者団体向け割引制度の悪用による郵便法違反事件など)の責任をも、西川氏に転嫁しようとしているが、西川氏が日本郵政の社長に就任したのは約3年半前であり、一連の構造的不祥事は、その前からずっと続いていたことはほぼ明らかで、それが西川氏の責任だというのは、論理的に納得できない。」とのべるブログもあります。しかし、少なくとも、3年半は西川社長の下で生じていたのですから、その間監督を怠ったものとして、論理的には、当然、責任を問われる話です。経営責任というものは、法的な問題であっても、自ら積極的に経営に失敗したものだけでなく、監督を怠ったことでも責任を問われるのです。どうも、法律論はもちろん、論理の問題でも、大きな勘違いをされているようです。)




3.最後に。

(1) 九州企業特報(データマックス社):2009年06月13日 10:51 更新

総務相辞任 「郵政民営化貫徹」の胡散臭さ
2009年06月13日 10:51 更新

 不正ばかりはたらく会社の社長の続投は許さないと、正論を貫いた鳩山大臣の首が飛んだ。大臣に辞めろと迫った自民党の中川秀直元幹事長は「郵政民営化を貫徹する」と意気込んでいたが、さっぱり意味が分からない。「郵政民営化を貫徹する」とは、日本郵政の不正を隠蔽することだと解するが、間違いだろうか。

 日本郵政が犯した最大の犯罪行為は「かんぽの宿」の売却問題である。公金で建てられたかんぽの宿を1万円で叩き売ったり、異常な安値によるオリックスへの一括売却などを平気で行なおうとしたことは背任行為ではなかったのか。民営化された途端に噴き出したかんぽの宿についての疑惑の数々は、未解決のまま残されている。それだけに、オリックスへの一括売却を止めたことは高く評価される。止めたのは他ならぬ鳩山氏だ。鳩山氏が総務大臣でなければ、オリックスへの売却は止められていなかっただろう。国民の共有財産を守った大臣がなぜ更迭されるのか理解に苦しむ。どう考えても、辞めるべきは不正にまみれた日本郵政の西川善文社長である。
 
 障害者団体への郵便料金割引制度を悪用した事件では、東証一部上場の家電量販大手「ベスト電器」(福岡市)や広告代理店「博報堂」の子会社など、名だたる企業が不正に手を染めていた。しかし、捜査が進むにつれ、日本郵政自体が犯罪に手を貸していたことが明らかとなっている。この問題でも一般の郵便局利用者を裏切っているのだが、問題は、こうした一連の不正についての詳しい情報が国民に伝わらないということである。

 日本郵政の不正や内部情報が表に出にくい状態になったのは、「郵政民営化」の結果である。民営化された日本郵政に対しては、「情報公開請求」をかけることができなくなったからであり、マスコミも含めて国民による監視、チェックができない状態となっている。
 小泉改革の象徴でもある郵政民営化がもたらしたものは、人口の少ない地域での郵便サービスの低下と、日本郵政のブラックボックス化だったのである。唯一、日本郵政の不正を暴くことができるのは、同社を所管する総務省だったということになる。日本郵政やその利権に関与する人間たちにとって、不正を暴いた鳩山氏は邪魔者に過ぎなかったのであろうし、このまま総務大臣を続けられてはよほど都合が悪かったのだろう。
 
 中川元幹事長らの異常なまでの鳩山氏攻撃は、触れられたくないものに触れた人間の追い落としにしか見えなかった。現状を見る限り、「郵政民営化の貫徹」とは「不祥事隠蔽」と同義でしかない。支持率低下を招来することが分かっていながら守ろうとする日本郵政の闇とは何か。徹底的に検証するには、やはり政権交代しか道がないようだ。 (秋月)」



(2) 「かんぽの宿」の売却問題について、総務省は4月に日本郵政に業務改善命令を出した際、16項目にわたる疑問を突きつけているのに、いまだ正式な回答や十分な説明をしていません。障害者団体への郵便料金割引制度を悪用した事件もあります。

「かんぽの宿の“たたき売り”問題や、白紙化されたオリックス不動産への一括譲渡に加え、メルパルクの運営委託先、三井住友カードとの提携などでも、恣意的な業者選定が垣間見られる」(東京新聞平成21年6月13日付朝刊25面「こちら特報部」)のです。鳩山氏が、これら一連の不祥事に対して経営責任を問うことには、十分な理由があります。

ところで、「首相が鳩山氏を更迭したのは、党内が混乱し、亀裂が一層拡大することを恐れたため」(読売新聞平成21年6月13日付「社説」)のようです。とすると、合理的な権限行使よりも、党内の政治的問題で更迭したことになります。経営責任を問題にして健全な経営を促すよりも、党内の政治的問題を優先して、大臣を罷免してしまったことは、「日本郵政の不正を隠蔽する」に等しいとのそしりを受けても仕方がないように思います。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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予想よりは長く続いた麻生政権も、いよいよ最後の時が近づいてきた。 かねてから、日本郵政の西川社長の続投に否定的な見方を示していた鳩山総務大臣が、麻生首相に辞表を提出して受理された。 物議をかもす発言が多い鳩山総務相だが、この郵政問題については、不正...
2009/06/16(火) 20:30:47 | 虎哲徒然日記
かなり更新が遅くなってしまいましたが… 結局、鳩山総務相が辞任に追い込まれてから既に一週間以上が経過しましたが(毎日jp.です)その間に...
2009/06/21(日) 17:43:59 | past today tomorrow
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