FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
05« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30.»07
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2009/06/09 [Tue] 23:59:49 » E d i t
臓器移植法改正案の国会審議が平成21年5月27日、衆院厚生労働委員会で、現在国会に提出されている4案に対する質疑が行われました。これまでは小委員会での参考人質疑のみでしたが、今国会での採決に向け、ようやく本格的に審議入りし、6月5日、事実上、終了しました。そして、衆院は6月9日午後の本会議で、衆院厚生労働委員会での審議の中間報告が行われ、6月19日にも衆議院本会議で各案を採決する方針です。


臓器移植法改正案 衆院で中間報告

 衆院は9日午後の本会議で、4つの案が提出されている臓器移植法改正案について、衆院厚生労働委員会での審議の中間報告をした。委員会での審議を打ち切り、委員会採決を省略する手続きだ。大半の政党が党議拘束をかけない方向であることを踏まえ、本会議で各議員が態度を示すべきだ、などの理由からで、与党は16日にも衆院本会議で各案を採決する方針。だが、民主党はさらなる審議を求めている。9日の本会議では、厚労委の田村憲久委員長(自民)が審議の経過について報告をした後、「A案→B案→C案→D案」の順に各案提出者が意見を表明する。いずれも過半数を得る見通しは立っていない。

 4つの案のうち、A案は、原則「脳死は人の死」と法で定め、臓器提供の年齢制限(現行法で15歳以上)を撤廃する▽B案は、臓器提供可能な年齢を12歳以上に引き下げる▽C案は、脳死判定の厳格化や生体移植のルール化を定める▽D案は、15歳未満は家族の承諾、第三者機関の確認で臓器提供を可能にする。」(朝日新聞平成21年6月9日付夕刊8面(4版))




1.臓器移植法改正案として提出されている4案と、国会議員に対するアンケートについて、触れておきます。

(1) 東京新聞平成21年5月24日付朝刊5面「ニュースがわかる」

臓器移植法 改正4案って?  年齢の制限や死生観に違い

  臓器移植法の改正案が4つも国会に提出されているけど、今のはどんな法律なの。

  現行の臓器移植法は、事故に遭ったり病気になったりした人が脳死になった場合、本人が臓器提供の意思を事前に書面で示していて、家族が同意した場合に限り、臓器の提供を認めています。

  脳死って。
 
  脳は大脳、小脳、脳幹で構成されていますが、呼吸など生命維持を司(つかさど)る脳幹を含む全体が停止した状態です。脳幹が機能し自発呼吸できる「植物状態」とは異なります。人工呼吸器で心臓は動いていますが回復の見込みはなく、多くが1週間以内で心停止に至るとされています。 

  脳死は死なのかな。 
 
  法が制定された1997年当時の議論では「死は呼吸と心臓の停止、瞳孔散大による三兆候が基準で、脳死は社会的に一律に人の死とまでは言えない」とされました。このため、生前に本人が臓器提供の意思表示をしていた場合のみ、意思を尊重して「脳死を人の死」と認め臓器移植を可能にしたのです。この考えから、民法上遺言を残せない15歳未満からの提供を認めないことになりました。

  なぜ今、法改正が議論されているの。
 
  世界保健機関(WHO)が海外渡航での臓器移植の自粛を求める方向で、今後海外移植が難しくなるとされているからです。特に幼い子どもは国内で移植を受けることが困難なので、望みを断たれかねません。移植を待つ人たちに国会が応えようとしています。

  改正案の内容は。
 
  提出順にABCD案と呼ばれ、いずれも超党派の議員が提出しました。A案は脳死を一律に人の死と考え、本人が拒否していない限り家族の同意だけで提供できるようにします。本人の提供意思が必要ないので、15歳未満からも提供可能になります。B案は現行法のまま年齢制限を12歳以上に引き下げます。C案は脳死移植の拡大に反対する立場から年齢制限は現行法のまま、脳死の判定基準を厳しくします。最後のD案は、脳死についての考えは変えないものの、15歳未満は家族の同意と第三者の意見で提供できるようにします。

  分類すると。
 
  年齢制限を撤廃するのがAD案、現行法をやや緩和するのがB案、厳しくするのがC案といえます。AD案の違いはA案が欧米の基準に合わせ脳死を一律に人の死として移植を大幅に拡大するのに対し、D案は伝統的な死生観に配慮して15歳以上は現行法のまま、子どもへの移植の道を開こうとしています。

  結論は出るの。
 
  与党は今国会で採決するといっています。ただ子どもの脳死判定は大人より難しいとされ、子どもの自己決定権をどう考えるかなど、慎重論も根強くあります。採決では各議員ごとに判断することになりそうですが、脳死や移植についての十分な理解が求められます。 (政治部・金杉貴雄)」



(2) 朝日新聞平成21年6月3日付朝刊1・30面

賛否不明が7割 臓器移植法改正で国会議員アンケート
2009年6月5日6時54分

 臓器移植法の四つの改正案をめぐり、朝日新聞は衆参両院の全議員を対象にアンケートをした。回答を寄せた3割超の議員のうちでは、脳死を「一律に人の死」として提供者の増加を目指すA案が最も多い支持を集めた。だが、全議員の7割近くが回答せず、回答者の中でも「わからない・検討中」が2割超を占めたため、全体では4人に3人の賛否が不明だ。採決になればこうした議員らの動向が結果を左右しそうだ。主要各党は党議拘束をかけない見通し。

 全議員720人に5月に書面で質問した。衆院170人、参院60人の計230人(32%)が回答した。衆院本会議の採決に向け、複数の案に投票できる方式が検討されており、アンケートでは「最も支持する案」と「賛成する可能性のある案」を尋ねた。

 「最も支持」と「賛成する可能性」を合わせて、A案を選んだ議員は44%。現行法では、本人が提供に同意する意思をあらかじめ記した書面が必要だが、A案は、本人が拒んでいなければ家族の同意で提供できるようにする。

 D案は現在は提供できない15歳未満の子から親の同意で提供できるようにする。27%の支持を集めた。脳死の条件を厳しくするC案は13%、提供できる年齢を12歳以上に下げるB案は5%。どれも支持しない人は4%だった。

 臓器移植法は97年に施行された。施行後3年の見直し規定があるが、議論は深まらず、今年4月にようやく審議入り。今回答えなかった議員らは「政治になじみの薄い生死の問題なので悩む」などと説明。「支持者の意見が割れていて選挙前に態度を表明しにくい」と話す議員もいた。

 脳死からの臓器提供者は毎年10人前後にとどまり、日本移植学会などは移植が必要な患者が毎年数千人死亡しているとしている。15歳未満は臓器提供できず、幼児は事実上、国内で移植を受けられない。半面、脳死になったとみられる小児が数カ月以上、心臓死に至らない例もあるため、脳死を死とすることに反対も根強い。」



(3) 朝日新聞平成21年6月6日付朝刊2面(14版)

臓器移植法改正案、16日にも採決へ 与党方針
2009年6月6日1時51分

 衆院厚生労働委員会が臓器移植法改正案の審議を事実上終えたことを受け、与党は16日にも衆院本会議で四つの改正案を採決する方針を固めた。9日には本会議でこれまでの委員会審議の中間報告を行い、各案提出者が意見表明する予定。

 ほとんどの政党は党議拘束をかけない上、議員らの関心は低く、意見集約が進んでいないため、いずれの案も現段階では可決に必要な過半数の確保は見通せない状況だ。朝日新聞が実施した国会議員アンケートでも7割近くが無回答で、回答者でも2割超が「わからない・検討中」としている。」



東京新聞平成21年6月9日付朝刊17面において、臓器移植患者団体連絡会による「臓器移植法改正 私たちはA案を支持します。」という意見広告が掲載されています。こうした意見広告でも分かるように、臓器移植法改正案が採決されることを強く願っています。

臓器移植法改正案の「焦点は、脳死での十五歳未満の臓器提供を認めるか、脳死を人の死とするか、の二つ」(東京新聞平成21年5月27日付夕刊9面「『移植法改正』審議入り 臓器提供 推進、慎重4案」)であるとされています。海外での臓器移植の自粛を求める世界的な流れを受け、今国会での採決を目指しています。

しかし、臓器移植法改正案は4通りもあり、ほとんどの政党は党議拘束をかけない上に、議員らの関心は低く、意見集約が進んでいません。6月9日の衆院本会議で、臓器移植法改正4案の審議経過に関する「中間報告」がなされましたが、報告中、居眠りする国会議員が数多くいたほど、議員らの関心は低いのです。

ですから、いずれの案も現段階では可決に必要な過半数の確保に至っていない状況です。現に、「朝日新聞が実施した国会議員アンケートでも7割近くが無回答であり、回答者でも2割超が『わからない・検討中』としている」(朝日新聞)のです。このように、多くの国会議員は、命を巡る問題を左右するという深刻な改正案であるにもかかわらず、採決間近になっても、どの改正案に賛同するか判断できる状態にないのです。



2.このように、多くの国会議員は、命を巡る問題を左右するという深刻な改正案であるにもかかわらず、判断できる状態にないわけですが、こうした状態にあることは、今国会の審議にもよく現れています。その点に触れているのが、朝日新聞の記事です。この記事を紹介します。

(1) 朝日新聞平成21年6月6日付朝刊1面(14版)

政治 改正移植法審議、混迷深め幕

 臓器移植法の改正4案の衆院厚生労働委員会での審議が事実上終わった。提出者の答弁が揺らぐなど各案の議論は深まらず、施行から12年ぶりの改正論議は混迷したまま。中間報告をへて、16日にも本会議で採決される見込みだ。 2、4面



(2) 朝日新聞平成21年6月6日付朝刊2面(14版)「時時刻刻」

移植審議 混迷深め幕

 臓器移植法の改正を巡り、衆院厚生労働委員会の審議が5日、事実上終わった。現行法ができて12年ぶりの本格的な改正論議だが、乱立した4案に対する審議は深まらず、提出者の答弁も迷走気味。どの案も過半数の支持を集めるめどがたたないまま、本会議での採決を迎えることになりそうだ。 (北林晃治、長野剛、南彰)

■「脳死とは」A案迷走

 各案への支持が割れる中で、日本移植学会などが推すA案は、比較的多くの支持を集めているとみられてきた。そのA案の提出者が、最後となる審議で迷走した。

 5日の委員会審議で質問が集まり、最も答弁が揺らいだのがA案だった。 「脳死は人の死」と法的に位置づけることで、本人の意思が不明な人からも臓器提出ができるようにする考え方に立つ。提出者の河野太郎議員は「ご遺体になっているから、家族の判断で臓器提供することができる」と訴えてきた。

 しかし、脳死が一律に死と法律で定められると、脳死になった人は亡くなったことになる。臓器提供を前提としていない患者が脳死になった場合でも、治療が打ち切られたり、公的医療保険が使えなくなったりするのではないかという懸念が指摘されている。この日の審議でも、一律の死とい考え方はどこまで効力が及ぶのか、とA案提出者への追及が相次いだ。

 A案提出者の冨岡勉議員は当初、 「臓器移植法は一般的な人の死を定める法律ではない」とかわそうとした。

 とはいうものの、現行法で臓器提供の場合に限って人の死としてきた整理の仕方と、A案の書きぶりとが、大きく違うことは間違いない。

 冨岡氏は「不都合なことは起きない」と強調したが、同じA案提出者の福島豊議員は「疑義を生むということであれば、修正も当然あると思う」と踏み込んだ。A案の脳死の位置づけを、臓器提供の場合に限って人の死とする現行法の書きぶりに戻すことを、容認する考えを示したものだ。A案の骨格を変えるという発言に驚きが広がった。

 「修正」発言後、A案提出者らは急きょ相談し、修正しないことを確認したが、ばらついた印象を残した。

 A案提出者は、脳死が人の死であることが社会に受け入れられている根拠として、17年も前に出された政府の脳死臨調の報告書に書かれた多数意見を繰り返すだけ。 「A案では、脳死判定を望まない人は拒むことができる」と主張したが、 「拒否の意思を表示したくない権利もある」と反論された。

■「本人意思」乱れる論拠

 A案ほどではないが、一定の支持を集めそうなD案にも、疑問が突きつけられた。

 D案は、15歳以上の人からの提供については現行法通り本人の意思を必要とするが、15歳未満の人たちからは、家族の承諾などで可能にする、という二段構えの仕組みだ。現行法で禁じている15歳未満の臓器提供に道を開くための規定だが、この日の審議では、「ダブルスタンダード」と突く質問もあった。

 D案提出者の根本匠議員、岡本充功議員は「15歳以上も未満も、基本的には本人意思を尊重している」。

 脳死を人の死と認めるかどうかは故人の価値観によるというのがD案のスタンスで、本人意思を示す書面を必要とする。ただ、15歳未満の子どもは意思表示能力がないため、親が子の死とするかを判断する。だから、親の判断は子の「本人意思」となる、というのだ。

 だが、質問に立った福岡資麿議員の追及は厳しかった。「ずっと同じ屋根の下で長く暮らしていても、死生観や人生観が一致するのか」と、親が子の意思を代行できるという考え方に疑問を投げかけた。

 D案は先月、衆院厚労委の与野党理事が「広く賛同を得られる案」としてまとめた。A案では、本人の意思が不明でも脳死での臓器提供ができるようになる。そのことを懸念する議員らの受け皿となる狙いだった。そこで、本人意思を必須にしながらも、A案のように子どもの臓器提供を可能にする理屈を組み立てたD案だったが、審議では疑問符が付いたままだった。

 脳死の扱いに慎重で、脳死判定の厳格化を掲げるC案には「臓器提供者を減らす」という批判もあるが、この日の審議では追及を受けなかった。

 提供可能年齢を12歳以上に下げるB案にも、ほとんど質問はなかった。

■にわか議論 浅さを露呈 質疑わずか8時間

 今回の改正論議は、世界保健機関(WHO)が渡航移植の規制に乗り出す見通しに加え、移植経験者の河野洋平衆院議長の勇退が迫っていることでにわかに盛り上がった。

 だが、過去の脳死臨調が92年まで2年近くにわたり各界の有識者を集め、正面から国民的な論議に向き合ったような議論の支えもない。厚生労働省も議員立法を理由に、「明確な形で法律を作っていただければ、行政府としては決められたルールに基づき行動します」(桝添厚労相)と改正への関与を避けてきた。

 「改正が行われた場合、どのくらい臓器移植が増えるのか」との問いに、 「学会の先生の個人的なご意見では年間70~150件」というあいまいな答弁が相次いだのは、今回の議論の底の浅さを露呈した一例といえる。

 「移植待ちの人を救いたいことは誰も否定しない。だからといって、言葉の使い方や定義をあいまいにして進めたら、被害が起きるのではないか」(川内博史議員)など、委員の間にはいらだちも見られた。

 法制定した97年の時には、衆院では2つの法案が出され、6日間に分け26時間の審議をした。今回は4案あるのに、2日間で8時間の質疑で事実上打ち切り。自民党の大島理森国会対策委員長は5日、記者団に「各党が中間報告を聞いたうえで、いよいよ採決していく期間にしたい」と語った。

 自民党の国会対策委では各案が衆院本会議で否決されても廃案にせず、厚労委に差し戻して審議を続ける案も浮上している。採決を通じて、「総選挙の前に支持者の間でも意見が割れる議論に深入りしたくない」(衆院議員)という議員たちに真剣に向きあう機会を作り、議論を活性化させ、接点が見いだせない各案の歩み寄りを探る狙いがある。

 だが、議論の原動力になっていたWHOの渡航移植を規制する決議が新型インフルエンザの影響で延期されて状況は大きく変わり、成案を得られるかは微妙だ。」



■現行の臓器移植法と各改正案の違い

●現行法(97年成立)
 1 脳死の位置づけ:本人に臓器提供の意思がある場合のみ「人の死」
 2 臓器提供の条件:本人が書面であらかじめ意思表示し、家族が同意
 3 子どもからの臓器提供:15歳以上

●A案(06年提出)
 1 脳死の位置づけ:一律に「人の死」。判定拒否権は認める
 2 臓器提供の条件:本人に拒否の意思がなく、家族が同意
 3 子どもからの臓器提供:0歳から可能

●B案(06年提出)
 1 脳死の位置づけ:現行法と同じ
 2 臓器提供の条件:現行法と同じ
 3 子どもからの臓器提供:12歳以上

●C案(07年提出)
 1 脳死の位置づけ:現行法と同じ。脳死の定義を厳格化
 2 臓器提供の条件:現行法と同じ
 3 子どもからの臓器提供:現行法と同じ

●D案(09年5月提出)
 1 脳死の位置づけ:現行法と同じ。15歳未満は本人意思を家族が代行
 2 臓器提供の条件:15歳以上は現行法と同じ。15歳未満は、家族の同意、第三者機関の確認
 3 子どもからの臓器提供:0歳から可能」



(3) 一般論として、法律案を制定し又は改正する場合、多くの賛同を得るために修正を図る手法を取ることは異論がないところです。原則としては、成案にするための改正は大いに行うべきことです。

 イ:ですから、A案は、患者団体や各学会の多数が賛同する案ですが、多くの賛同を得るために、A案を修正することもあり得ることは確かです。しかし、修正するとしてもその案の骨格部分を変更することは、自殺行為に等しい行為ですから、絶対に許されません。

ところが、驚くべきことに、A案の提出者自身が「A案の骨格を変えるという発言」をしてしまうのです。これでは「A案の自殺行為」であって、A案の提出者自身がA案を良く理解できていないことが露呈してしまったというべきです。このままでは、どの改正案に賛成するか迷っている国会議員の賛同を得ることは難しいでしょう。


 ロ:臓器移植法が制定して後、12年も経過していても、国会では浅い議論しかできませんでした。

「「改正が行われた場合、どのくらい臓器移植が増えるのか」との問いに、 「学会の先生の個人的なご意見では年間70~150件」というあいまいな答弁が相次いだのは、今回の議論の底の浅さを露呈した一例といえる。

 「移植待ちの人を救いたいことは誰も否定しない。だからといって、言葉の使い方や定義をあいまいにして進めたら、被害が起きるのではないか」(川内博史議員)など、委員の間にはいらだちも見られた。

 法制定した97年の時には、衆院では2つの法案が出され、6日間に分け26時間の審議をした。今回は4案あるのに、2日間で8時間の質疑で事実上打ち切り。」


しかし、「今回の議論の底の浅さを露呈した」のは、何も国会議員のせいばかりにはできません。なぜなら、臓器移植に携わる医療界自身が、改正によりどれくらい臓器移植が増えるのか、十分な論拠に基づいた移植数を提示できていないのです。

国会では、「学会の先生の個人的なご意見では年間70~150件」という、単なる個人的な意見にすぎず、かなり幅のある曖昧な数値しか提示できない答弁が相次いだ根本的な責任は、学会側にあるというべきです。移植医療に近い関係にある者こそが、今の医療現場を踏まえた現実的な数値を出すことが可能だからです。


 ハ:A案のように臓器移植の基準を緩めるのであれば、観念論的には臓器移植は増加します。しかし、現実的にいって本当にどれだけ増えるのでしょうか? 現実的な臓器移植件数を示すことができなければ、たとえ改正したとしても、賛同者を得ることが難しいと思えるのです。仮にA案で改正したとしても、その後、臓器移植数がほとんど増えなければ、臓器移植に対する嫌悪感が市民の間に広がってしまいかねません。

今国会でも見られたように、A案の提出者でさえ、A案がよく分かっていないのです。

A案の提出者でさえ、A案がよく分かっていないのは悲劇的なことであり、ここまでの悲劇的な状況の下で、このまま国会の本会議で採決して成案にしてしまうことが良いのかどうか――。多くの市民、国会議員は躊躇してしまうのではないでしょうか。


 ニ:臓器提供意思表示カードのパンフレットには、次のようなことが書かれています。

「臓器移植は善意の提供があってこそ成り立つ医療です
あなたの意思で助かるいのちがあります
臓器提供の意思表示にご協力ください」


市民の間において、移植医療を十分に理解できてこそ、心からの「善意の提供」ができるはずです。臓器移植法の改正を行い、臓器移植が増えることを強く望んでいる者の一人でありますが、(国会審議で混迷してしまった現状を知ると、)移植医療への理解があまりにも浸透していない状況のまま、(A案に賛同するとして)改正していいのかどうか、戸惑いを感じています。この現状での臓器移植法改正が、「善意の提供」をかえって阻害することになりしないか心配しています。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/1812-e99e96e4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。