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2009/06/13 [Sat] 15:39:20 » E d i t
福岡県飯塚市で1992年、女児2人(共に当時7歳)が殺害された「飯塚事件」で殺人罪などに問われ、2008年10月に死刑が執行された久間三千年(くま・みちとし)さん(執行時70歳)について、今年秋以降に再審を請求する予定であるとのことです。


1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成21年6月6日付朝刊27面(12版)

飯塚事件、再審請求へ DNA新証拠提出目指す
2009年6月5日 23時00分

 福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が確定、昨年10月に執行された久間三千年元死刑囚=当時(70)=の遺族が今秋にも再審請求(死後再審)する方針を固めたことが5日、弁護団への取材で分かった。弁護団は菅家利和さん(62)の再審無罪が確定的となった足利事件と同様、DNA型鑑定をめぐる新証拠の提出を目指す。

 弁護団によると、飯塚事件は足利事件とほぼ同時期に、同じ「MCT118」という検査法で、DNA型鑑定が実施された。被害者の遺体に付いた血液と元死刑囚のDNA型が一致したとされ、確定判決の根拠の一つとなっている。

 血液は残っておらず、足利事件のようにDNA型を再鑑定することはできない。ただ血液から抽出された犯人のものとされるDNA型はMCT118の「16-26」タイプで、元死刑囚の遺族のDNA型と比較するなどして誤りを見つける。

 「16-26」タイプは足利事件の旧鑑定で、被害者の衣服に残った体液や菅家さんのDNA型とされたが、再鑑定では異なる結果となった。

 確定判決によると、元死刑囚は92年2月、飯塚市内の路上で小学1年の女児2人を車に乗せて誘拐し、首を絞めて殺害するなどした。94年の逮捕以降、一貫して無実を訴えていた。

(共同)」



(2) 読売新聞:九州発(2009年6月6日)

足利事件と同じDNA鑑定法、飯塚事件再審請求へ

 1992年に福岡県飯塚市で女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑判決が確定し、昨年10月に刑が執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚の弁護団が、今秋以降にも福岡地裁に再審請求する方針であることがわかった。

 久間元死刑囚は無罪を主張していたが、最高裁は2006年9月、DNA鑑定の信用性を認めた。弁護団は「足利事件」と同じDNA鑑定法だったこともあり、鑑定の不備を柱に再審を求める方針。久間元死刑囚の親族も請求に同意しているという。

 久間元死刑囚は92年2月、小学1年の女児2人(いずれも当時7歳)を車で連れ去り、殺害して山中に遺棄した疑いで94年9月に逮捕された。犯行を直接裏付ける物証はなく、遺体周辺から採取された血痕のDNA鑑定が一致したことが逮捕につながった。

 飯塚事件の鑑定法は足利事件と同じく、DNAの配列の一部だけを目で見るなどして調べる「MCT118型検査法」を採用。弁護側は「鑑定は不正確」として無罪を主張したが、最高裁は鑑定結果の信用性を認めた。

 弁護団は約15人態勢で、7月上旬にも会議を開き、再審請求に向けた立証方針を決める見通し。まずはDNA鑑定に関する検証に取り組むが、当時の試料は残っておらず再鑑定はできないという。

 弁護団の岩田務弁護士は「再審請求に向けて、さらに鑑定不備を裏付けるような証拠を固めていきたい」と話している。

(2009年6月6日 読売新聞)」



(3) 東京新聞平成21年6月6日付朝刊24面「こちら特報部」

「なぜ死刑執行」再熱 
MCT118鑑定の「落とし穴」  「飯塚事件」再審請求の方針

 再鑑定で17年半前のDNA型鑑定が否定された「足利事件」。元受刑者の菅家利和さん釈放に沸き返る中、福岡県で2女児が殺害された「飯塚事件」が注目を集めている。両事件の鑑定はほぼ同時期の実施で、手法も同じ。足利事件が再鑑定へと動きだした昨秋、流れに逆らうように飯塚事件では死刑が執行された。再審請求の準備中だった。 「冤罪(えんざい)の可能性も残る中、なぜ執行したのか」。関係者から疑問の声が上がっている。(出田阿生)

 飯塚事件が起きたのは、1992年2月。福岡県飯塚市の小学校一年生だった女児2人が行方不明となり、翌日、雑木林で遺体が発見された。福岡県警は94年9月、DNA型鑑定の結果、遺体周辺の血痕と久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚のDNA型が一致したなどとして逮捕した。

 久間元死刑囚は無実を主張したが、1、2審とも死刑判決だった。2006年に最高裁も「DNA型鑑定結果などから被告の犯行だと認定できる」として上告を棄却し、死刑が確定。昨年10月28日、執行された。

 裁判所が証拠として採用したのは、警察庁・科学警察研究所(科警研)が開発した「MCT118」の鑑定。足利事件弁護団の笹森学弁護士は「飯塚事件の鑑定は、足利事件と同じ手法で、精度が低い。飯塚事件も、足利事件と同じように間違われた可能性が高い」と指摘する。

 当時、科警研とは別に、飯塚事件の鑑定を実施した石山夫(いくお)・帝京大名誉教授(法医学)も「当時の科警研鑑定はずさんだった」と証言する。 「警察が私のところに持ってきた試料(血液)は、糸くずにほんの少しくっついた程度の微量。しかも緑に変色して腐っていた」。石山名誉教授は「ミトコンドリアDNA」という方法で鑑定したが、女児2人の型だけで、久間元死刑囚の型は検出されなかった。

 結局、裁判所は「被告の型が出なかったのは試料の少なさゆえで、科警研の鑑定と矛盾しない」と結論した。もともと試料は大量にあったのに、科警研は使い切ってしまったという。石山名誉教授は「鑑定技術が未熟だから、試料を無駄遣いしたんだろう。科警研のデータを見て、『こんな鑑定は私の教室では通用しない』と法廷で証言した」。

■「低い精度 当局も認識のはず」

 足利事件では、昨年10月中旬に東京高検の検察官が再鑑定を前提とした意見書を出していた。つまり、鑑定の不正確さを当局は認識していた。ところが、久間元死刑囚に死刑執行されたのはその約2週間後。執行について法務省は「個別案件については回答できない。記録を十分精査、検討して刑の執行停止や再審事由の有無などを慎重に検討した上で執行している」と答えるだけだ。

 村井敏邦・龍谷大法科大学院教授(刑事法)は「死刑執行の段階で、事件当時の鑑定法に問題があることは常識だったし、科警研の研究結果も法務省は熟知していたはずだ。強硬に死刑執行した責任は重い」と話す。

 飯塚事件弁護団は5日、今秋にも再審請求(死後再審)する方針を固めた。主任弁護人の岩井務弁護士は「昨年9月に久間さんに会いに行ったとき、再審請求の話をしたらとても喜んでいた。その1ヵ月後に…」と言葉を詰まらせる。

 昨年8月、久間元死刑囚は死刑廃止推進団体のアンケートにこう答えていた。 「真実は無実であり、これはなんら揺らぐことはない。私は無実の罪で捕らわれてから拘置所に14年収監されている。今年の1月9日で70歳になった」」




2.「飯塚事件」の弁護団であれば、当然、「今秋にも再審請求(死後再審)する方針を固めた」という動きにでるのでしょう。

(1) 「足利事件」の有罪の決め手となった当時のDNA型鑑定について、間違っていたと判断されたとなれば、「飯塚事件」(「10月28日、2人の死刑を執行:前回9月11日から47日という最短の間隔での執行~さらに加速してきた「自動執行化」」(2008/10/30 [Thu] 01:41:11)参照)でのDNA型鑑定についても、間違っていたのではないかと強く疑うのが合理的です。「ほぼ同時期の実施で、手法も同じ」なのですから。

 「裁判所が証拠として採用したのは、警察庁・科学警察研究所(科警研)が開発した「MCT118」の鑑定。足利事件弁護団の笹森学弁護士は「飯塚事件の鑑定は、足利事件と同じ手法で、精度が低い。飯塚事件も、足利事件と同じように間違われた可能性が高い」と指摘する。

 当時、科警研とは別に、飯塚事件の鑑定を実施した石山夫(いくお)・帝京大名誉教授(法医学)も「当時の科警研鑑定はずさんだった」と証言する。 「警察が私のところに持ってきた試料(血液)は、糸くずにほんの少しくっついた程度の微量。しかも緑に変色して腐っていた」。石山名誉教授は「ミトコンドリアDNA」という方法で鑑定したが、女児2人の型だけで、久間元死刑囚の型は検出されなかった。

 結局、裁判所は「被告の型が出なかったのは試料の少なさゆえで、科警研の鑑定と矛盾しない」と結論した。もともと試料は大量にあったのに、科警研は使い切ってしまったという。石山名誉教授は「鑑定技術が未熟だから、試料を無駄遣いしたんだろう。科警研のデータを見て、『こんな鑑定は私の教室では通用しない』と法廷で証言した」。」


問題なのは、科学警察研究所と異なるDNA型鑑定が出ていたことを無視して死刑判決を下した点です。科学警察研究所の拙劣な鑑定技術と異なり、鑑定技術が優れていた石山夫・帝京大名誉教授(法医学)の鑑定では、「久間元死刑囚の型は検出されなかった」のに、裁判所は、その鑑定結果を排除したのです。

それなのに、「犯行を直接裏付ける物証はなく、遺体周辺から採取された血痕のDNA鑑定が一致したことが逮捕につながった」(読売新聞)のであり、「元死刑囚は一貫して否認したが、最高裁は06年に鑑定の証拠能力を認め、他の状況証拠とあわせ死刑判決を導き出した」(朝日新聞平成21年6月5日付朝刊2面)のです。そうすると、間違った鑑定に基づいて、久間さんを犯人と間違えて誤認逮捕し、間違って有罪とした可能性が十分にあるのです。



(2) こうなると、「冤罪の可能性も残る中、なぜ執行したのか」という疑問が生じるのは当然のことです。冤罪が疑われる中で、判決確定からわずか2年での執行ですから、異常さを感じます。

足利事件につき、「DNAの再鑑定を実施する公算が大きくなった」(毎日新聞2008年10月18日東京朝刊)との報道があった直後の執行ですから、DNAの再鑑定により冤罪であることが大きく問題視される前に処刑してしまったのではないか、との疑いがあります。

とはいえ、裁判所は、捜査機関の証拠のみを妄信し、近時はますます重大事件において再審請求を認めていません。ですから、法務省としては、(検察官と裁判官は日常茶飯事のように交流しており、事実上、馴れ合いの関係にあることもあって)「飯塚事件」の再審請求を認めることはないはずと、高をくくっていたのが背景にあるのでしょう。

市民的及び政治的権利に関する国際規約(「自由権規約」)に基づく、国連(UN)の自由権規約委員会は2008年10月30日、日本の死刑制度について「ここ数年、死刑執行の件数が着実に増えている」として懸念を示したとして、日本政府に対し、「(国内の)世論調査に関係なく死刑制度の廃止を検討すべきだ」と勧告しています(「国連の自由権規約委員会が「最終見解」を公表~合計34項目にも及ぶ詳細な評価・勧告」(2008/11/03 [Mon] 23:27:02)参照)。また、国連は、「死刑廃止は世界のすう勢」「執行停止こそ廃止への一歩」と位置づけているにも関わらず、死刑相当事件ではなぜだか冤罪に無頓着で、死刑執行に対して熱狂して歓迎する多数の日本市民がいます。

(死刑を肯定し、被害者感情をことさらに感情的に伝える報道機関の後押しがあるとはいえ、)こうした日本の市民の姿勢こそが、冤罪の可能性も残る中で、執行してしまう法務省を許してしまったように思えるのです。



(3) 「飯塚事件」では、久間三千年さんは一貫して無実を主張していましたが、死刑執行の際、冤罪の可能性を疑った報道機関はほとんどありませんでした。「足利事件」と同様に「飯塚事件」でも冤罪となれば、真犯人が処罰されないままになってしまうのです。もし、報道機関が、捜査情報の垂れ流しの横並びの報道を止め、疑義を呈する姿勢を示していれば、捜査機関としても真犯人へ目を向けていたかもしれません。

例えば、「西日本新聞朝刊2009/06/06付「デスク日記」では、犯人であると確信していた「足利事件」が冤罪であり、同じく犯人であると確信し、非難し続けた「飯塚事件」も冤罪の可能性が強くなったために、戸惑い、言い訳に終始しているのです。

「足利事件」の結果をどう受け止めればいいのか
2009年6月6日 02:12

 「足利事件」の結果をどう受け止めればいいのか。釈放された菅家利和さんが逮捕されたのは1991年12月。約2年9カ月後、女児2人が殺害された「飯塚事件」の久間三千年(くまみちとし)元死刑囚が福岡県警に逮捕された。両事件とも決め手はDNA鑑定。聞き慣れない言葉に足利事件の新聞記事をかき集めた。

 「すご腕DNA鑑定」といった見出しの記事もあった。「MCT118型」という鑑定方法を勉強するため、九州大の研究室にも通った。当時は最新の科学捜査だった。その鑑定方法が今回、否定された。飯塚事件には繊維鑑定や車の目撃証言といった証拠もあり、総合判断で死刑判決が確定した。2つの事件を同列に論じるつもりはない。

 だが私は、久間元死刑囚の刑が確定から2年弱という早さで執行されたことが引っ掛かる。当時、足利事件の鑑定が危ないという話は、一部で出ていた。無関係だろうか。 (宮崎昌)

=2009/06/06付 西日本新聞朝刊=」


「両事件とも決め手はDNA鑑定」であると分かっているのであれば、論理的に考えれば、「飯塚事件」も冤罪の可能性が高いとすぐに分かるはずです。であれば、西日本新聞の宮崎記者は、「足利事件」と「飯塚事件」につき、無実の者を犯人視して報道したことへの謝罪を行うべきでした。

しかし、宮崎記者は、「総合判断で死刑判決が確定した。2つの事件を同列に論じるつもりはない」とくだらない言い訳をしてしまうのです。「足利事件」も、「決め手はDNA鑑定」であり、しかも、総合判断で無期懲役が確定したことは確かなのですから、「2つの事件を同列に論じる」しかないのに。

「「MCT118型」という鑑定方法を勉強するため、九州大の研究室にも通った。当時は最新の科学捜査だった」と述べて、十分な取材をしたと言わんばかりの言い訳しています。しかし、当時から科学警察研究所のDNA型鑑定は問題視されていたのですから、真摯な取材を怠り、問題視されている点を無視した報道こそ問題があったというべきです。

「(久間さんの執行)当時、足利事件の鑑定が危ないという話は、一部で出ていた」などと、冤罪で命を奪われたかもしれないのに、まるで他人事です。「足利事件」にしても「飯塚事件」にしても、報道機関は、捜査情報を妄信し、捜査情報を垂れ流しておきながら、まるで反省しないのです。

「足利事件」同様に、逮捕=有罪報道を繰り返し、捜査情報を垂れ流す報道を行い、(元検事以外の真っ当な法律家に聞けば、すぐにでも有罪判決の問題点が分かるのに)無批判に有罪判決を受け入れてしまう報道機関にも重大な責任があるというべきです。

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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2009/06/13(土) 18:56:41 | Afternoon Cafe
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2009/08/10(月) 19:25:35 | レバレッジ式!ニュースで明日のネタ仕込み
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