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2009/05/27 [Wed] 23:59:41 » E d i t
東京新聞の「始動裁判員~あなたへのメッセージ」という連載記事の最終回を紹介します。最終回は、冤罪事件の元被告人たちへのインタビュー記事となっています。



1.そのインタビュー記事を紹介する前に、冤罪事件の元被告人たちが、裁判員制度開始を受け、記者会見や交流会を行っています。幾つかの記事を引用しておきます。

(1) 毎日新聞 2009年5月14日 地方版(鹿児島)

裁判員制度:「取り調べの全面可視化」 冤罪被害者ら集会 /鹿児島

 「冤罪(えんざい)と裁判員制度を考える県民集会」がこのほど、鹿児島市新町の東本願寺別院大谷会館であった。服役後の再審で無罪が確定した「富山事件」の柳原浩さん(41)らが実際に受けた取り調べの実態を再現を交えながら報告。21日から始まる裁判員制度を前に、「取り調べの全面可視化」を改めて訴えた。

 集会には柳原さんのほか、県議選買収無罪(志布志)事件関係で、「踏み字」事件被害者の川畑幸夫さん(63)や志布志無罪国賠訴訟の藤山忠原告団長(61)、埼玉県狭山市で女子高生が殺害された「狭山事件」で第3次再審請求中の石川一雄さん(70)らが出席。100人近い参加者が集まった。

 「富山事件」の柳原さんは、押収物と被害女性の供述が矛盾するにもかかわらず「警察は事実と自白を都合のいいように曲げてくる」と指摘。「なぜこうなったのか真相を究明したい」として、近く、国と県を相手に、国家賠償請求訴訟を富山地裁に起こすという。

 川畑さんは、両足首をつかまれ「お前をこんな人間に育てた覚えはない」などと書かれた紙を何度も踏まされた「踏み字」行為を会場で再現。「強圧的取り調べを長時間受けると頭が変になってくる」などと体験談を語った。

 国賠訴訟原告団長の藤山さんは取り調べの一部可視化について「警察の都合のいいところだけ提出され、裁判員がどう判断するか不安」と指摘。「全面可視化も(裁判員制度と)同時にやらなければ意味がない」と語気を強めて訴えた。【村尾哲】

毎日新聞 2009年5月14日 地方版」



(2) 中日新聞2009年5月17日【静岡】

『冤罪なくして』訴え 島田事件で再審無罪の赤堀政夫さん
2009年5月17日

被疑者の意見聞いて

 1954年に島田市で女児が殺害された「島田事件」で、再審無罪となった赤堀政夫さん(79)が16日、新居町のホテルで記者会見した。赤堀さんは「警察や検察は被疑者や被告の意見をもっと聞いてほしい」と冤罪(えんざい)をなくすよう訴えるとともに、21日から始まる裁判員制度について「素人は法律のことをよく知らないので、冤罪が起こり得る」と批判した。

 赤堀さんは54年に逮捕され、無実を訴えながら60年に最高裁で死刑が確定した。89年、静岡地裁の再審で無罪を言い渡されるまで35年間、拘置所で刑の執行におびえながら過ごした。

 現在は名古屋で介護者の女性と二人暮らし。死刑廃止を訴える集会などで自身の体験を語っている。

 この日、赤堀さんは解放から20年がたつのを機に、再審を支援していた島田事件対策協議会が開いた会合に出席。当時の弁護士や支援者ら17人が、赤堀さんが80歳になる18日の誕生日を祝った。」



(3) 静岡新聞05/17 07:45

裁判員制度に反対姿勢 島田事件再審無罪の赤堀さん
05/17 07:45

 島田市で昭和29年に幼女が殺害された「島田事件」で、再審無罪になった元死刑囚の赤堀政夫さん(79)が18日で満80歳になるのを前に、再審を支援した島田事件対策協議会(島対協)のメンバーが16日、新居町の民宿で誕生日を祝う会を開いた。赤堀さんは開会に先立って行われた会見で近況を報告し、21日に施行される裁判員制度に反対する姿勢を示した。
 赤堀さんの傘寿と、平成元年の再審無罪から20年の節目を祝おうと、島対協メンバーの鈴木昂さん(70)=藤枝市高岡=が呼び掛け、実現した。当時、弁護団に加わった県弁護士会元会長の河村正史弁護士をはじめ、東京都や奈良県などから16人が集まった。赤堀さんも現在、生活している名古屋市南区から駆け付けた。
 「少し耳が遠くなった」という赤堀さんは元気な姿を見せ、近年の暮らしぶりについて、「障害者支援や路上生活者への炊き出しをしている」と話した。静岡地裁に第二次再審請求を行っている「袴田事件」や「名張毒ぶどう酒事件」などの支援活動に参加していることも報告した。
 35年間にわたった自身の拘置生活については、「何も(罪を)犯していないのに犯人にされた。警察を恨む気持ちは今も変わらない」と語った。一方、市民が被告の有罪・無罪や量刑を判断する裁判員制度については、「法律がよく分からない人に裁くことができるのか。絶対に反対」と力を込めた。」



(4) 東京新聞平成21年5月23日付朝刊24面

冤罪事件元被告ら 証拠全面開示訴え

 裁判員制度の開始を受け、第3次再審請求中の「狭山事件」など、冤罪(えんざい)を訴える6事件の元被告や支援者の交流会が22日、東京都渋谷区であり、取り調べの録音・録画や証拠の全面開示を訴えた。

 再鑑定でDNA型が一致せず、再審の可能性が高まる「足利事件」では、「菅家さんを支える会・栃木」の西巻糸子代表が「今回はたまたま東京高裁が鑑定したが、DNA再鑑定の法制度化が必要」と指摘。茨城県の殺人事件で無期懲役とされた「布川事件」の元被告桜井昌司さんは「アリバイの証拠を検察に35年も隠された。これで裁判員制度が始まるのはおかしい」と強調した。

 富山県の女性暴行事件で2年間服役し、真犯人が現れて無罪になった柳原浩さんは「裁判員は被害者感情に影響されやすい。取調室の可視化が必要だ」と訴えた。」



 イ:「島田事件」で、再審無罪になった元死刑囚の赤堀政夫さん(79)は、「法律がよく分からない人に裁くことができるのか。絶対に反対」と述べています。「布川事件」の元被告桜井昌司さんは「アリバイの証拠を検察に35年も隠された。これで裁判員制度が始まるのはおかしい」と強調しています。また、志布志無罪国賠訴訟の藤山忠原告団長は、取り調べの一部可視化について「警察の都合のいいところだけ提出され、裁判員がどう判断するか不安」と指摘しています。

冤罪事件の元被告人であっても、裁判員制度の是非について判断が分かれるかと思いますが、少なくとも、これらの記事で発言している冤罪事件の元被告人は、いずれも裁判員制度に対して消極的です。それは、裁判員制度では冤罪を防ぐことができないという意識を共有しているからであると、推測できます。


 ロ:国賠訴訟原告団長の藤山さんは取り調べの「全面可視化も(裁判員制度と)同時にやらなければ意味がない」と語気を強めて訴えているように、ともかく、「取り調べの録音・録画や証拠の全面開示」なくして、冤罪を防ぐことはできないといった趣旨をのことを強調している点も重要です。

取り調べの全面可視化や証拠の全面開示は、法改正が必要ですが、今の自民党政権下では実現する見込みありません。しかし、民主党が賛同していることから、衆議院選挙次第では法改正が実現するでしょうし、また、裁判員が「取り調べの全面可視化や証拠の全面開示」の必要性を強調するような意思表明をすることで、法改正が促進する可能性が出てくると思われます。


 ハ:人が判断する裁判なのですから、人は必ず過ちを犯す可能性がある以上、すべての冤罪をなくすことができません。そうすると、裁判員のうち誰かは、冤罪判決を出す可能性は十分にあるわけです。そうした裁判結果の重大性を噛み締めるにも「島田事件」で、再審無罪になった元死刑囚の赤堀政夫さんの言葉をよく覚えておくべきです。

「35年間にわたった自身の拘置生活については、「何も(罪を)犯していないのに犯人にされた。警察を恨む気持ちは今も変わらない」と語った。一方、市民が被告の有罪・無罪や量刑を判断する裁判員制度については、「法律がよく分からない人に裁くことができるのか。絶対に反対」と力を込めた。」


赤堀さんは、警察を恨む気持ちは今も変わらない」と語っています。裁判員裁判となれば、裁判員に対しても怨む対象となることは必至と思われます。裁判員は、冤罪を作り出す側に立っている以上、怨まれる覚悟はしておく必要があることは確かです。




2.東京新聞平成21年5月25日付朝刊28面「始動裁判員~あなたへのメッセージ」(6)

自分の考え素直に表現を――冤罪被害者

 「落としの山さん」。そんな異名を持つベテラン刑事のアリバイ追及は執拗(しつよう)だった。

 1974年3月、兵庫県西宮市の知的障害児施設「甲山(かぶとやま)学園」の浄化槽で園児2人の遺体が見つかった甲山事件。殺人容疑で逮捕された元保育士の山田悦子(57)が容疑を否認すると、1ヶ月前の、犯行時間とされた午後8時までの約20分間の出来事を1分刻みで証明するよう求められた。

 必死に記憶をたどりアリバイを主張したが、受け入れてくれない。逮捕から10日目。父も職場の同僚も疑っていると刑事から聞かされ、誰も信じられなくなった。 「やったのか」という問いに「はい」とだけ答えた。虚偽の自白調書がそうして作られた。

 無罪判決と差し戻しなどを繰り返した5回の裁判では一度も有罪判決を受けず、調書は裁判所に信用されなかった。だが、事件から山田の無罪が確定するまでには25年の歳月を要し、逮捕当時22歳だった山田は48歳になっていた。

 自白に頼りすぎ、多くの冤罪(えんざい)を生んできたこれまでの刑事裁判。裁判員制度は冤罪を防ぐことができるのか。

 山田は懐疑的だ。警察署の管轄から離れている拘置所の代わりに署内の留置場で容疑者を拘束して取り調べる代用監獄制度が、冤罪の温床と考えるからだ。 「留置場には刑事が頻繁に出入りし、24時間取り調べられているのと同じだ。刑事に脅されたりすかされたりして孤立無援となり、警察側に落ちていく」。父や同僚が疑いの目を向けているとの刑事の話は、でたらめだった。

 「裁判員がうその自白調書を見抜くのは難しい」と山田。だからこそ、裁判員には代用監獄制度に問題意識を持ち、捜査側の証拠収集の手法に注意を払ってほしいと願う。そのためにも「弁護士と被告の言い分をしっかり聞いてほしい」。

 2002年4月、強姦(ごうかん)未遂容疑で富山県警に逮捕された柳原浩(41)も司法に翻弄(ほんろう)された。懲役3年の判決を受けて服役後に真犯人が見つかり、07年10月、再審で無罪が確定した。

 「もし判断を誤ったら、その責任の半分を国民に押しつけるつもりですか」。柳原にとって、裁判員制度は法曹界が責任を免れるシステムに映る。

 職業裁判官ですら捜査側がでっち上げた証拠を信用した。裁判員が冤罪に加担する悲劇が生まれることを心配する柳原は、取り調べの正当性が確認できるようすべての過程を録音、録画する全面可視化を訴えている。

 司法への不信と裁判員制度への不安は大きい。それでも、裁判員に望みたいことがある。 「プロの裁判官だからといってすべて正しいわけではない。だから裁判員には、せめて自分の考えや思いを素直にどんどん表現してほしい」    =おわり

 (敬称略、瀬口晴義、佐藤直子、北島忠輔、加藤文、前口憲幸、寺岡秀樹、赤川肇、大西隆が担当しました)」


(1) 過去の冤罪事例では、虚偽の自白が強要されたり、物証が捏造された事例が後を絶ちません(秋山賢三ほか『続・痴漢冤罪の弁護』(2009年、現代人文社)15頁)。捜査機関は、無罪を示す証拠を隠すこともかなりあるわけで、例えば、「布川事件」では、検察は無罪を示す決定的な証拠(アリバイの証拠など)を35年も隠していたのです。

そうだとすると、裁判員裁判であっても現行の刑事手続では、虚偽の自白の強要を防止する「取り調べの全面可視化」もなく、証拠の全面開示もなく、しかも、裁判員裁判では短期間で審理を行うのですから、被告人の無罪を示す決定的な証拠なんて隠匿し放題なのです。冤罪を防止する新たな制度が何もないのですから、裁判員裁判において、冤罪を防止できるはずがないのです。

ですから、「富山事件」の柳原さんは、「もし判断を誤ったら、その責任の半分を国民に押しつけるつもりですか」として、裁判員制度は法曹界が責任を免れるシステムであると批判的ですし、また、「甲山事件」の山田さんも、裁判員裁判が冤罪を防止できるか否かにつき、「懐疑的」であるのも当然の見方というべきです。

「裁判員に選ばれるかもしれないあなたへ(1)~「被告人の弁解こそ真相では」との意識を(木谷明・法政大学法科大学院教授)」(2009/05/20 [Wed] 23:59:26)において、東京新聞からインタビューを受けた木谷明・元判事(法政大教授)は、布川事件の再審開始決定(ただし、開始決定につき最高裁へ特別抗告中)につき、41年もかかったことについて、「物証が1つもなく、確定審の判断があまりにもお粗末だったのに、(再審開始に)これほどエネルギーと時間を費やさなくてはいけないのかと思う。」(読売新聞読売新聞平成20年7月14日付夕刊)と厳しく批判しています(「布川事件:東京高裁も再審開始を支持し、検察の即時抗告棄却」(2008/07/15 [Tue] 23:59:22)「布川事件:再審開始決定に対して、検察側が異例の特別抗告」(2008/07/23 [Wed] 21:39:38)参照)。裁判員裁判の多くが、冤罪となって再審開始決定まで長期間かかる「布川事件化」しないことを祈るばかりです。



(2) 柳原さんは、裁判員となりうる市民に対して、 「プロの裁判官だからといってすべて正しいわけではない。だから裁判員には、せめて自分の考えや思いを素直にどんどん表現してほしい」と述べています。

確かに、裁判官の誘導されるままに有罪を認定していくことに対して、裁判員が「せめて自分の考えや思いを素直に表現する」ことによって、その誘導をせき止める要素になるかもしれません。そして、多少でも冤罪の防止につながるかもしれません。

しかし、何度も触れたことですが、過去の冤罪事例の特徴は、虚偽の自白の強要、物証の捏造、無罪を示す証拠の隠匿です。そうすると、個々人の裁判員が「自分の考えや思いを素直にどんどん表現」したところで、単なる感想を述べただけか、感情の発露にとどまってしまい、冤罪事例の特徴点を否定できるだけの確たる内容になるとは思えません。

柳原さんが 「裁判員には、せめて自分の考えや思いを素直にどんどん表現してほしい」と述べたことは、「裁判員が自分の考えや思いを素直に発言をすれば、ごく僅かであっても冤罪防止につながることになればいい」、という悲しい意味合いであるように感じます。 



(3) 裁判員となる方は、冤罪被害者の方の発言をよく覚えておくべきです。なぜなら、自分の判断次第で冤罪に加担することになり、間違って人の人生を台無しにし、間違って命をも奪うことさえしてしまうのですから。

冤罪の被害を救済するまで(=再審開始決定まで)、41年もかかることさえもあります。そればかりか、自分の判断次第では、どんなに冤罪であると訴えていても、「福岡事件」のように死刑を執行されてしまい、命を奪ってしまうこともありえるのです(「「死刑――存廃を問う前に」(第2回):「福岡事件」死刑執行後も無実の叫び~冤罪死刑もやむなしなのか?(東京新聞3月31日付「こちら特報部」より)」(2008/04/19 [Sat] 18:10:14)参照)。

裁判に参加し、被告人に対して有罪か無罪か(場合よっては死刑や無期懲役)の判断を下すことは、重い結果をもたらすものであることをよく覚悟するべきです。


テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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2009/05/30(土) 22:27:41 | İ????Υ?
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