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2009/05/09 [Sat] 16:50:44 » E d i t
東京都内の病院では、患者に渡航歴がなくても、発熱があっただけで医療機関が診察を拒否するなどの事例が相次いでいます(「新型インフルエンザ問題:新型インフルエンザ発症国への渡航歴がない患者への診療拒否相次ぐ~応召義務(医師法19条)違反であることを知っていて拒否しているのですよね?」(2009/05/06 [Wed] 18:02:54))。

そのため、厚生労働省は平成21年5月6日、都道府県に対し、患者がセンターの指導に従って発熱外来を置かない医療機関を受診した場合は、当該医療機関が診察することなどを全医療機関に通知するよう求め、診療拒否をする医療機関がないように求めています。

「平成21年5月6日

各都道府県衛生主管部(局)医務担当者 御中

厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部

国内未発生期における発熱外来を置かない医療機関への発熱患者の受診について

新型インフルエンザ患者の国内発生に備え、関係者との情報共有や発熱外来の設置など、医療体制の確保等について対応いただいているところですが、海外発生期(国内未発生期)における発熱外来を置かない医療機関への発熱患者の受診について、下記の通り、基本的な考え方をまとめましたので、所管の全医療機関にご周知いただきますようお願いいたします。

                       記

○ まん延国への渡航歴や患者との接触歴が認められる発熱患者が、発熱相談センターを通じずに発熱外来を置かない医療機関を受診したり、電話による相談があった場合には、まず発熱相談センターに電話で相談し、必要に応じて紹介される適切な医療機関を受診するように勧めること。

○ 発熱相談センターの指導に従って発熱者が発熱外来を置かない医療機関に受診した場合は、患者にマスク等を使用するように指導するなど、感染予防に必要な指導を行った上で、当該医療機関が診察すること。」




1.報道記事を幾つか。

(1) 読売新聞平成21年5月8日付朝刊34面

診察拒否で苦情・相談、都に212件…改善を文書で通知

 新型インフルエンザの感染の可能性が低い発熱患者が医療機関から診察を拒否された問題で、東京都に寄せられた苦情・相談が7日までに、少なくとも計212件に上っていることがわかった。

 都は同日、都内約650の病院に対し、通常の発熱患者の診察を拒否しないよう文書で通知。診療所についても、23区などを通じて徹底を求めた。

 苦情・相談は「熱が出たので医療機関に診察を申し込んだら、海外に行っていないのに断られ、都の発熱相談センターを紹介された」といった内容が中心。集計は2日からで、5日正午までの相談は92件だったが、診察拒否問題が報じられたこともあり、その後の2日間で120件が寄せられた。

(2009年5月8日06時39分 読売新聞)」


「東京都に寄せられた苦情・相談が7日までに、少なくとも計212件に上っていることがわかった」とのことです。ここまで多いと異常ですから、東京都は、「都内約650の病院に対し、通常の発熱患者の診察を拒否しないよう文書で通知」するのも当然でしょう。

急に診療拒否が増えたということも考えられますが、どちらかというと、「診察拒否問題が報じられたこともあり、その後の2日間で120件が寄せられた」とあるように、「診療拒否」報道を切っ掛けとして、診療拒否に不満を抱いていた病者が多数名乗り出てきたわけです。このエントリーで引用した毎日新聞の記事でも、相談が報道された後も増えたことについては、都の担当者は「泣き寝入りしていた患者たちが、報道で知って連絡してきたのでは」と推測しています。このように、「診療拒否されていた患者の暗数」が表面化したといえそうです。



(2) 毎日新聞平成21年5月8日付東京朝刊27面(14版)

新型インフル過剰反応、やまぬ診察拒否
◇都の説得、断る医療機関

 新型インフルエンザ感染の可能性がないのに医療機関に診察を拒否されたとの相談が、東京都以外にも5県2政令市に寄せられていたことが7日、毎日新聞の調査で分かった。東京都への相談件数は7日朝までに計212件に達した。都内では都が説得しても診察を拒否し続けている病院もあり、厚生労働省は「国内未発生の段階では、発生国に行っていなければ診察して問題ない」として、医療機関に適切な対応を求めている。【内橋寿明、江畑佳明】

 ◇「保健所診断書持ってきて」

 調査は7日、都道府県と政令市の新型インフルエンザ対策担当者に実施。診察拒否の相談があったのは東京都のほか、埼玉、千葉、滋賀、島根、高知の各県と横浜、神戸両市だった。東京都以外はいずれも数件だったが、東京都はこの問題が報道された5日以降で120件増えた。

 東京都内では「(新型インフルエンザでないという)保健所の診断書を持ってきてほしい」と診察を断った医療機関があり、都が患者の連絡を受けて説得しているが、依然として拒否を続けているという。都は診察を拒んだ医療機関のリスト化も検討している。相談が報道された後も増えたことについては、都の担当者は「泣き寝入りしていた患者たちが、報道で知って連絡してきたのでは」と推測している。

 横浜市では「診察してもらうのに、何カ所もの医療機関を回らなければならなかった」との相談があった。市は5日付で医師会と病院協会に対し、適切な対応を取るよう文書で要請したという。

 島根県には6日夜までに、7件の相談が寄せられた。いずれも渡航歴がないのに、医療機関に発熱相談センターに行くよう求められたとの内容。

 センターは、一般の医療機関で受診して構わないと説明したという。担当者は「『発熱相談』という名称なので、熱がある人の対応を一任してしまっていいと勘違いする医師がいるのではないか」と話す。

==============

 ◇新型インフルエンザ相談窓口

▽厚生労働省 03・3501・9031(午前9時~午後9時)

▽農林水産省 03・3591・6529(午前10時~午後5時、平日のみ)

▽外務省   03・5501・8000(24時間)内線4625、4627、4629

▽文部科学省 03・6734・2957(午前9時~午後6時半)

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毎日新聞 2009年5月8日 東京朝刊」



毎日新聞が7日、都道府県と政令市の新型インフルエンザ対策担当者に対して尋ねた調査によると、新型インフルエンザ感染の可能性がないのに、発熱症状のあった人が病院から診察拒否されるなどした、診察拒否の相談があったのは「東京都のほか、埼玉、千葉、滋賀、島根、高知の各県と横浜、神戸両市」であり、東京以外にも診療拒否の事実があったようです。

ただし、「東京都以外はいずれも数件」でした。例えば、滋賀県では「県内で5件(5人)」にすぎず、「患者は渡航歴がなく、保健所で一般病院での受診ができることを確認した上で再度、病院に診療を求めたが断られた」ものなど、「病院側の誤解が主な原因」(滋賀県健康推進課の調べ)だったのです(「発熱5人が受診できず 新型インフルの可能性ないのに病院誤解」(中日新聞2009年5月9日付【滋賀】)参照)。また、千葉県の発表によると、診療拒否の事例は1件のみであり、それも「診療を拒否されたのは3月にメキシコに渡航した女性で、渡航後1ヶ月以上経過した5月に発熱の症状を訴えかかりつけの病院に行ったが、診察してもらえなかった」(東京新聞平成21年5月9日付朝刊18面)というものであり、どうみてもメキシコ渡航によって新型ウイルスエンザに感染したという判断は困難です。

山梨県の県庁や県医師会などによると、診療拒否があったと事例はなく(「発熱患者に適切診療を」(YOMIURI ONLINE:地域・山梨(2009年5月8日)))、福岡県福岡市でも受診拒否の相談はなく(「新型インフルエンザ:診察拒否問題 福岡市、発熱患者来院時の病院対応を通知 /福岡」(毎日新聞 2009年5月8日 地方版〔福岡都市圏版〕))、鹿児島県の発熱相談センターにも、東京都内の病院で起きたような、発熱患者の診察拒否も、これまでに報告されていません(毎日新聞 2009年5月8日 地方版〔鹿児島〕)。毎日新聞社と共同通信社の調査によるわけですが、冗談のような診療拒否は、東京都内の病院ばかりに多いといえそうです。



2.では、なぜ、東京都内などの一部の病院は、発熱患者の診療を拒否したのでしょうか?  東京新聞5月8日付「こちら特報部」で記事にしていましたので、紹介しておきます。

(1) 東京新聞平成21年5月8日付朝刊24面「こちら特報部」

インフルエンザ診療拒否続出 「新型」病院“パニック”

 新型インフルエンザを過剰に警戒してなのか、各地で相次ぐ診療拒否問題。なかには「外国人の友達がいると言ったら診療を拒否された」という笑えない話も。舛添要一厚生労働相は「医師法違反だ。医者の社会的義務として対応を」と不快感を示したが、患者より先に医療機関がパニックになってしまったのか?

■開業医 風評恐れ? 知識不足?

 政府方針は、新型インフルエンザが確認されたメキシコや米国などに渡航した人が、帰国後10日以内に38度以上の熱を出した場合、自治体の設置した発熱相談センターに電話で相談。新型の疑いがあれば、指定された医療機関(発熱外来)で受診すると定めた。

 ところが、センターから「新型ではなさそうなので一般の病院へ」と回答された人まで受診を断られるケースが出ている。東京都感染症対策課には、大型連休中の2日から6日正午にかけて「(病院に行ったら)海外渡航していないのに、センターに電話してくれと言われ診察してもらえなかった」などの苦情や相談が計173件も寄せられた。

 ある人は「国内の観光地に出掛け、外国人観光客が多かった」と話して断られ、また「成田空港に勤めている」「外国人の友人がいる」と申告したとたんに診察を断られた例も。発熱したのは自分自身なのに「父親が最近韓国旅行に行った」と話しただけで診察してもらえなくなった人もいた。ここまでくると冗談のようだ。都の担当者は「一部の医療機関に誤解があるのかもしれない」と話す。

 そもそも、医師法19条は「正当な事由」がなければ診療を拒んではならないとしている。罰則規定がないので刑事罰を受けることはないが、根拠がない診療拒否は許されないはずだ。都によると、「新型ではないという証明書があれば診察する」という悪質な医療機関を名指しした相談が複数あり、今後その医療機関から事情を聴く方針だ。

 大学病院に拒否されたとの相談例もある。医療ジャーナリストの油井香代子さんは「開業医ならともかく、大学病院が断るなんて言語道断。事実だとすれば過剰反応もいいところで、ちょっとおかしい」と話す。 「医師であれば通常、各地の医師会が出すガイドラインを読み、国立感染症研究所の情報も入手して正しい知識を持っているはず。ごく一部の医師が知識不足なのだろうか」と首をひねる。

 診療拒否の理由について、医師でジャーナリストの富家孝さんは「新型の患者第1号が自分のところから出たら、風評被害でつぶれると不安になっているのでは」と推測する。実際にある医師は「自分一人でやっている開業医は零細企業の経営者と同じ。患者から新型をうつされたなんていうことになったら、家族が路頭に迷ってしまう」と本音を漏らす。

 厚労省は6日、都道府県を通じて医療機関に適切な対応を求める事務連絡をあらためて出した。同省担当者は「大型連休中に苦情が寄せられているということは、休日診療をしている熱心な医療機関ということ。悪意があって診療拒否をしているのではなく、誤解があるのだと思う。正しい情報の周知を徹底したい」と話すのだが…。」



(2) この記事によると、「一部の病院が発熱患者の診療を拒否した」理由として、2点挙げています。

 「都の担当者は「一部の医療機関に誤解があるのかもしれない」と話す。(中略)

 大学病院に拒否されたとの相談例もある。医療ジャーナリストの油井香代子さんは「開業医ならともかく、大学病院が断るなんて言語道断。事実だとすれば過剰反応もいいところで、ちょっとおかしい」と話す。 「医師であれば通常、各地の医師会が出すガイドラインを読み、国立感染症研究所の情報も入手して正しい知識を持っているはず。ごく一部の医師が知識不足なのだろうか」と首をひねる。

 診療拒否の理由について、医師でジャーナリストの富家孝さんは「新型の患者第1号が自分のところから出たら、風評被害でつぶれると不安になっているのでは」と推測する。実際にある医師は「自分一人でやっている開業医は零細企業の経営者と同じ。患者から新型をうつされたなんていうことになったら、家族が路頭に迷ってしまう」と本音を漏らす。

 厚労省は6日、都道府県を通じて医療機関に適切な対応を求める事務連絡をあらためて出した。同省担当者は「大型連休中に苦情が寄せられているということは、休日診療をしている熱心な医療機関ということ。悪意があって診療拒否をしているのではなく、誤解があるのだと思う。正しい情報の周知を徹底したい」と話すのだが…。」


 イ:厚労省、東京都の担当者、医療ジャーナリストの油井香代子さんによれば、正しい情報の欠如など医学知識不足による「病院側の誤解」が診療拒否の原因であるとしています。

すでに述べた滋賀県の診療拒否事例でも、「病院側の誤解が主な原因」(滋賀県健康推進課の調べ)だったとされています。また、多くの病院に診療に行ったことが在る方なら誰にでも経験があるとは思いますが、医学知識が不足している医師(20歳代だけでなく、30、40歳代の医師でも同様)の診療を受けた経験があるはずで、診療体験による経験則上、納得できる理由と思われます。

ですから、この点が理由の1つであることは間違いないといえそうです。

ただ、正しい情報の欠如など医学知識の不足による「病院側の誤解」が診療拒否の原因となると、診療拒否をした当該病院では、新型インフルエンザ以外でも同じこと、すなわち、正しい情報の欠如など医学知識の不足による「医療過誤」が生じているのではないか、との危惧を抱きます。なぜなら、医療事故調査会による鑑定結果(883件)によると、「医療知識・技術の未熟・独善性」が医療事故の主要因とされているので(白石拓『医師の正義』(2008年、宝島社)203頁以下)、今回の診療拒否と同じ原因だからです。今回の診療拒否は、「診療を拒否した病院での医療過誤の疑いという暗数が表面化した」という推測も出来そうです。


 ロ:診療拒否の理由については、医師でジャーナリストの富家孝さんは「新型の患者第1号が自分のところから出たら、風評被害でつぶれると不安になっているのでは」と推測しています。はっきり言えば、「病院の評判が落ちてカネに困ることになったらイヤだ。目の前にいる患者の命よりも、漠然とした将来のカネ勘定が大事。」だからというわけです。

東京新聞によると、実際にある医師は「自分一人でやっている開業医は零細企業の経営者と同じ。患者から新型をうつされたなんていうことになったら、家族が路頭に迷ってしまう」と本音を漏らしています。東京新聞に本音を漏らした医師が、本音どおりに診療拒否をしているかどうかは分かりませんが、一部の医師自身が「カネに困ることになったイヤ」という本音がある以上、この点もまた、理由の1つと思われます。

この診療拒否理由は、「病院側の誤解」で診療を拒否したのではなく、確信犯的に診療を拒否したものです。例えば、東京都内では「(新型インフルエンザでないという)保健所の診断書を持ってきてほしい」と診察を断った医療機関があり、都が患者の連絡を受けて説得しているが、依然として拒否を続けています(毎日新聞)。これらは、根拠にならない理由によって診療拒否をしており、東京都の説得さえも拒んでいるのですから、確信犯的な法律違反者(医師法19条1項「応召義務」違反)です。

東京都によると、「『新型ではないという証明書があれば診察する』という悪質な医療機関を名指しした相談が複数あり、今後その医療機関から事情を聴く方針」(東京新聞)であり、「都は診察を拒んだ医療機関のリスト化も検討している」(毎日新聞)とのことです。

これらの病院は確信犯的な法律違反者なのですから、東京都は、患者側の利益を考慮し、誠実に診療している他の病院と区別化するためにも、少なくとも「診察を拒んだ医療機関のリスト」を公表するべきです。




3.最後に。

(1) 東京新聞平成21年5月9日付朝刊【社説】

新型インフル 医療機関は逃げないで
2009年5月9日

 新型インフルエンザの流行地域は世界的にますます広がっている。重症度が当初予想されたよりも低いとの見方が強まっているが、ほとんどの人が免疫を有していないだけに油断できない。
 世界保健機関(WHO)によれば、感染者はこれまでにアフリカを除く全大陸で確認された。WHOでは警戒レベルを六段階のうちの「5」から最高度の「6」への引き上げを検討する動きもある。
 幸いなことに、重症度については専門家の間で今のところ「季節性インフル並み」との見方で一致している。
 感染者が最初に確認されたメキシコで死亡者が多発したのは、発症後の受診の遅れなどによることが徐々に明らかになってきた。
 他の国では抗ウイルス剤の適切な投与で死亡にほとんど至っていないことは安心できる。
 だが、重症度と感染力とは別の問題だ。ほとんどの人は豚由来の新型インフルへの免疫がないため、いったん感染者が発生すると広範囲に広がる可能性がある。多数の感染者が発生すれば多くは軽症で済んでも重症者が増える。
 現時点で重症度が低くても、人から人への感染を繰り返しているうちに高まる可能性もある。
 油断してはならない。
 新型の国内侵入の可能性が高い空港で行っている水際対策として機内検疫や赤外線による体温測定は、当分続ける必要がある。
 同時に、帰国者で発熱などの症状がその後出た患者は、自治体の発熱相談センターに相談し、指定された医療機関で受診するよう徹底する必要がある。
 ところが、感染国への渡航歴が最近なかったり、身近に渡航者がおらず感染の可能性が低いにもかかわらず、発熱を訴えた患者が医療機関で診療を拒否される事態が多発している。
 厚生労働省が「医師法違反の疑いがある」として、全国調査に乗り出したのは当然だろう。
 懸念されるのは、診療拒否が増えれば、患者が渡航歴や症状を正確に申告しなくなることだ。それが結果的に新型インフルの感染を広げることにもなる。
 各地の医師会、病院協会はこのようなときこそ社会的責任を自覚し、医療機関に対し、適切に対応するよう指導すべきだろう。
 一九八〇年代後半、エイズウイルス感染者の診療を一部の医療機関が拒否したことで、感染者への偏見・差別を助長したことを忘れてはならない。」



(2) 琉球新報平成21年5月8日付「社説」

発熱診察拒否 “新型”に冷静な対応指導を
2009年5月8日

 新型インフルエンザの危機感が高まる中、東京都などで発熱の症状で病院を訪れた人が診察を断られるケースが相次いでいるという。都が5日までに確認した都内での「診察拒否」の事例は92件に上った。医療の役割が問われる由々しい事態だ。
 厚生労働省は国内で新型インフルエンザの感染者が確認されていない現段階の対応で(1)新型インフルまん延国への渡航歴(2)新型インフル患者との接触歴―がある場合に「発熱相談センター」への電話相談と適切な医療機関の受診を指導している。
 都内の「診察拒否」の事例は、まん延国への渡航や患者との接触がなく、「空港に勤務」「外国人の友人がいる」というだけで診察を拒んでおり、病院側の“過剰反応”は明白だ。
 連日、「新型インフル感染疑い」のニュースが飛び交い、病院側の警戒心が強まっている。しかし新型インフルの恐れが少ない発熱患者の診察を安易に拒むことは、別の発熱症疾患の診療遅れによる重篤化や、最悪の場合は「たらい回し」による患者死亡の事態を招きかねない。
 国内感染者の発生以前の“過剰反応”を国は重く受け止めるべきだ。国内感染後は院内の2次感染を恐れ、さらに患者の診察拒否が広がりかねないからだ。
 医療機関のパニックは、被害の甚大化を招く恐れがある。厚労省は、診療の明確な基準と冷静な対応を病院、関係機関に強く指導してほしい。
 県福祉保健部によると、県内では7日現在、「診察拒否」の報告はない。国の指針通り、まん延国への渡航など新型インフルが疑わしい場合は、院内感染防止の対策を講じた「発熱外来」で対応し、恐れが少ない場合は一般病院で対応するフローチャートを県医師会を通して各病院に配布し、冷静な対応を指導している。
 県内は6保健所に「発熱相談センター」、県立5病院に「発熱外来」を設置した。流行の事態には地域の保健センター60カ所の活用も視野に置く。新型インフルに効果が期待されるタミフルの備蓄も余念がない。
 財政難と人手不足の県立病院にとって新型インフル対策の資金、人的負担は大きい。長期の対応となる可能性があり、万全の体制を維持するために、国は地方の支援を講じてもらいたい。」



(3) この診療拒否問題については、東京(中日)新聞や琉球新報以外も、社説のテーマとして、また社説の中で言及しているものがあります。

新型インフル 診療も気を緩めず冷静に

 新型インフルエンザに感染した疑いが少ないのに、発熱などの症状で病院を訪れた人が診察を断られるケースが全国で相次いでいる。医療機関側の勘違いもあるようだが、故意の診療拒否なら問題は大きい。国や自治体は実態を調査し、正しい情報提供と指導を徹底すべきだ。

 厚生労働省は医療機関に対し、患者が発熱などの症状に加え発生国への渡航歴がある場合には、自治体が保健所などに設けた「発熱相談センター」に電話で相談し、そこで紹介される医療機関での受診を患者に勧めるよう指導している。

 ところが、共同通信の七日までの調べでは、こうした条件に該当しないのに診察されなかったり、発熱相談センターへの電話を促されたケースが東京都で二百十二件あったほか、岡山、高知など少なくとも六県一政令市で各数件程度あった。(中略)

 他の自治体でも、単に熱があるだけで「センターに相談を」と診察しなかったり、発生国への渡航歴がないのに「感染の可能性がある」として診察を拒む例があったという。多くは患者への対応を勘違いした過剰反応のケースとみられるが、単なる診療拒否なら許されない。

 新型インフルエンザは海外で拡大し続け、日本政府は今月、国内で患者が発生した場合の感染拡大阻止のため、外出自粛や学校の臨時休校要請などを盛り込んだ新対処方針を決めた。国内での感染拡大という事態は考えたくないが、いざという時の備えの「入り口」でのこうした混乱は好ましくない。気を緩めず、かつ冷静に対処したい。」(山陽新聞平成21年5月9日付「社説」



新型インフル―国内の流行に備えよう

 新型の豚インフルエンザは、衰えを見せない。最初に見つかったメキシコではやや収まってきているようだが、米国や欧州諸国などすでに20カ国以上に及び、患者も2千人を超した。 (中略)

 気がかりなのは、発熱などを訴えて病院を訪れた人が、受診を拒否される例が早くも相次いでいることだ。

 政府の新型インフルエンザに関する行動計画は、毒性がもっと強い鳥インフルエンザを想定しているため、防護服に身を固めた重装備で訓練が行われてきた。現在の検疫も、ゴーグルをつけたものものしい姿で行われている。こうしたことが医療機関の側に過剰な警戒心を生み、診療拒否につながっていることはないだろうか。

 厚生労働省は、正確な情報を行き渡らせ、医療現場が混乱しないよう、努めてもらいたい。(以下、省略)」 (朝日新聞平成21年5月9日付「社説」)


 イ:最初に述べたように、冗談のような診療拒否は、東京都内の病院ばかりに多いわけで、東京都内でもごく一部であって、全国的に見ればわずかな医療機関でなされている事例にすぎません。多くの医療機関は発熱患者の診療を拒否することなく、誠実に診療・治療を行っているのです。

「政府の新型インフルエンザに関する行動計画は、毒性がもっと強い鳥インフルエンザを想定しているため、防護服に身を固めた重装備で訓練が行われ」、現在の検疫も、ゴーグルをつけたものものしい姿で行われています。「こうしたことが医療機関の側に過剰な警戒心を生んでいる」(朝日新聞)おそれがあり、診療を拒否した医療機関だけを非難しなくてもいいではないか、といった感情論もあるかと思います。

そうであるとしても、同じく一部の医療機関がHIV(エイズウイルス)感染者の診療を拒否したことが、HIV(エイズウイルス)感染者に対して生じた不合理な差別(憲法14条)を助長したのであり、こうした過去の苦い失敗を二度と行ってはならないのです。

「一九八〇年代後半、エイズウイルス感染者の診療を一部の医療機関が拒否したことで、感染者への偏見・差別を助長したことを忘れてはならない。」(東京新聞「社説」)


 ロ:患者側の立場からすれば、新型インフルエンザの可能性が低いにもかかわらず、友人が外国人であるといった馬鹿げた理由で、発熱患者の治療を拒否するような医療機関は、直ちに公表してもらい、家族・友人だけでなく、職場にもよく伝えて、皆がこぞって二度とその医療機関に行かなければいいのです。(診療拒否した病院として、大学病院があるそうですから、ぜひその大学病院だけは公表していただきたいと思います。)

しかし、極めて根拠の乏しい、不合理な差別・偏見が蔓延することだけは避けなければなりません。一部の医療機関の過剰反応に対して、一般市民がパニックになったり、新型インフルエンザ感染者(疑われた者や疑いのある者)に関する差別や偏見がなされたりしないよう、我々一般市民もまた、新型インフルエンザに対する正しい情報を入手する努力と、差別や偏見した者を諌める努力をしていくべきように思います。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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