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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2009/05/05 [Tue] 00:13:14 » E d i t
憲法記念日の5月3日、憲法改正に賛成、反対する市民団体などは、それぞれ日本各地で集会を開きました。その集会の様子についての記事を紹介することにします。


1.まず、報道記事を2つほど。

(1) 朝日新聞平成21年5月4日付朝刊26面

改憲派・護憲派、それぞれ持論訴え 憲法記念日の集会
2009年5月3日21時2分

 日本国憲法の施行から62年となった3日、改憲派と護憲派がそれぞれ集会を開いた。

 岸信介元首相が初代会長を務めた「新しい憲法をつくる国民会議」は東京・新宿で大会を開き、約300人が参加した。来賓の自民党国会議員からは、憲法改正案を審議する国会憲法審査会が「野党の反対で開店休業になっている」と批判の声が相次いだ。

 議員1期目の若手、木原誠二衆院議員は70年生まれ。「いまや国民と国家が対立する時代ではない。新憲法をつくり、国民の国防義務などを盛り込むべきだ」と述べた。

 小池百合子元防衛相は、ソマリア沖の海上自衛隊が現行法下で外国船を守れないのはおかしいと指摘した。海自の前身・海上警備隊ができた52年生まれ。「生命・安全・国益よりも『憲法を守れ』と、自縄自縛に陥っている」と護憲派を批判した。

 一方、護憲派の市民団体は東京都内の日比谷公会堂で合同集会を開催。主催者発表で4200人が参加した。

 スピーチで、作家の落合恵子さんは「親を介護中の女優が最近も命を絶った。福祉の無策ではないのか」と、憲法25条が保障する生存権が脅かされていると訴えた。

 父親が特攻隊員だった社民党の福島瑞穂党首は「父の存在から戦争はいけないと学んだ。憲法を輝かせるための闘いを頑張ろう」と述べた。

 第五福竜丸が被爆した54年に生まれた共産党の志位和夫委員長は、オバマ米大統領がプラハ演説で核廃絶への決意を表明したことに「心から歓迎したい」と述べ、「武力にモノを言わせる時代は終わりつつある。9条を守り、核兵器廃絶に向けて頑張ろう」と訴えた。」



(2) asahi.com:マイタウン・富山(2009年05月04日)

憲法見つめた 考えた
2009年05月04日

タウンミーティング 改正是非に意見

 憲法記念日の3日、県内でも憲法に関する催しがあった。一般の人も参加できるタウンミーティングが開かれたり、9条を変えるべきかどうかについてシールで思いを表したり、平和や人権について改めて考える1日になった。

 富山市総曲輪のグランドプラザでは、一般人も参加して「憲法タウンミーティング」が開かれた。

 日本青年会議所が47都道府県で開いた憲法集会の一つ。初めに、高岡法科大の松尾直教授が、日本国憲法ができた経緯や国民投票法を説明した。社会人と大学生の代表も壇上で、「何も知らないまま国民投票となるのは不安」「でも友達と憲法について話すことはまずない」と率直な感想を述べた。

 続いて「プライバシー権」や「表現の自由」といった問題と憲法の関係が解説された。改正の是非を問うと、会場からは「憲法ができたときは想定されなかった問題が起きているので、変えた方がいい」「憲法は考え方の根幹を示すもの。細かい部分は法律で決めればいいのでは」などの意見が出た。

 松尾教授は「みなさんが議論することで、改正するならば何を変えるのか、しないならどう解釈していくか、いろんな見方が出てくるのです」と議論の必要性を訴えた。

■シール投票 9条「守る」7割

 憲法9条改定の是非を問う「街頭シール投票」が、富山市の総曲輪通りであった。条文も掲示され、買い物客らが、次々と赤や緑のシールを張った。約1時間半の投票の結果、9条を「守る」は約7割の254人、「変える」が48人、「わからない」は69人だった。

 投票は、野田隆三郎・岡山大名誉教授が窓口を務める「9条全国投票の会」を中心に、憲法記念日の前後に全国一斉で行われている。

 「守る」に投票した富山市の主婦(44)は「自衛権の問題は考えるところがあるが、侵略戦争はもうたくさん」。「変える」にシールを張った会社員男性(60)は「軍を一切持たないのは、無理のある条文では」と話した。

 県内での投票の呼びかけ人で、富山市の会社員伊藤厚志さん(57)は「戦争放棄と言わなければ、9条が何か分からない人も多い。こういう機会に関心を持ち、憲法について考えて欲しい」と話した。



(3) 毎日新聞平成21年5月4日付地方版〔鹿児島〕

憲法記念日:護憲か改憲か、各地で集会 /鹿児島

 憲法記念日の3日、県内でも、護憲派、改憲派などの集会があった。教育問題や沖縄の米軍基地問題、安全保障問題など、憲法を巡るさまざまな問題について、それぞれの立場から主張し合った。

 護憲派では、生協コープかごしまなどが主催する「市民のつどい」があり、ジャーナリスト、堤未果さんが講演。「同時多発テロ後、日本の平和憲法の素晴らしさを感じた」などと米国での経験を交え「改憲論には、海外から平和主義がどれだけ評価されているかが全く議論されていない」と指摘した。

 「県憲法を守る会」の集会では、沖縄平和運動センター議長で同県議、崎山嗣幸さんが講演。沖縄などをめぐる基地、平和問題から、憲法の形がい化に警鐘を鳴らした。

 改憲派は、新憲法制定を目指す「日本会議鹿児島」が「県民の集い」。教育問題に焦点を当てた集会を開き、中山成彬・元国土交通相と、「ヤンキー先生」で知られる義家弘介参議院議員が特別講演した。

 中山氏は、「教育改革から日本の再生へ 呪縛からの脱皮を」との演題で講演し、持論である日教組批判などを展開。憲法をめぐっては、「平和憲法は、にわかづくりでできた」などと指摘した。

 また、青年会議所・鹿児島ブロック協議会はシンポジウム「国民参加型タウンミーティング」を開催した。

 自民党の保岡興治元法相と、共産党の田村貴昭・元北九州市議がパネリストとして出席。9条や改憲をめぐる国民投票法などをめぐり、意見を交わした。【村尾哲】

毎日新聞 2009年5月4日 地方版」


 イ:鹿児島の集会では、「教育問題や沖縄の米軍基地問題、安全保障問題など、憲法を巡るさまざまな問題について、それぞれの立場から主張し合った」ようで、かなり幅広く議論を行ったことが伺えます。

特に、改憲派の団体は、中山成彬・元国土交通相と、「ヤンキー先生」で知られる義家弘介参議院議員といったユニークな論者を招いていたようです。中山氏は、相変わらず「日教組批判」を行っているようですが、いまや全国紙の全国版では全く無視されています。


 ロ:日本各地でなされた集会をすべて網羅したわけではありませんし、記事で紹介していない部分も多いでしょうが、今年の集会もまた、憲法改正論議と、憲法9条問題が主眼となっていたように思います。憲法9条改定の是非を問う「街頭シール投票」も、憲法9条問題を主眼にしたものといえます。(この街頭シール投票は、「9条全国投票の会」を中心に、憲法記念日の前後に全国一斉で行われていることは、この記事で初めて知りました。)

例えば、ここで紹介したように富山でなされた集会では、高岡法科大の松尾直教授は、「みなさんが議論することで、改正するならば何を変えるのか、しないならどう解釈していくか、いろんな見方が出てくるのです」と議論の必要性を訴えており、憲法改正論議の必要性を説いています。

憲法の基本的知識を学び、憲法改正論議を知ることは、知らないよりは知っていた方がいいことは確かです。例えば、木原誠二衆院議員は、「いまや国民と国家が対立する時代ではない。新憲法をつくり、国民の国防義務などを盛り込むべきだ」と述べています。この発言からすると、この議員は、「憲法とは、国家権力(公権力)に余計なことをしない義務、必要なことだけをする義務を課して、国民個人の人権を侵害しないようにするためにある法である。国家は僕たち国民と対立する可能性のある危険な存在であることが憲法の存在意義の前提である。」ことがまるで分かっていません。憲法の基本的な知識程度を身につけてから、憲法改正論議をするべきで、この議員はそもそも憲法改正論議をするだけの前提知識を欠いているのです。

しかし、憲法改正論議をし、仮に憲法を改正したところで、本当に意味のあることなのでしょうか? 具体的に改正する必要のある条項はどれなのでしょうか? 憲法を改正した結果、どれほどの良い効果が生じるのでしょうか?

例えば、日本で憲法に新しい人権として組み込むことが提案されている環境権やプライバシー権は、その実質的保障のためには、具体的法令の整備や判例法理の展開が必要ですし、しかもそれで十分です。もし、憲法の条項にそれを付加したところで、象徴的な意義しかありません。

また、自衛隊は、すでに自衛のため軍隊以上に十分な装備を備えているのですから、自衛のための実力を保持するという名目のために、わざわざ憲法9条を改変することが是非とも必要である――とは、誰しも承知しているはずです(長谷部恭男『憲法とは何か』(2006年、岩波新書)129頁以下参照)。

憲法を改正するために必要な多大な時間的労力と多額の費用を費やすくらいであれば、そんな無駄なことをすることなく、他のことにその労力と費用を向けるべきです。




2.今年の憲法記念日の集会の一部では、生存権にも言及したものがかなりあったようです。東京新聞はそういった集会に焦点をあてています。

(1) 東京新聞平成21年5月4日付朝刊23面

憲法記念日集会  『生存権』切実
2009年5月4日 朝刊

 六十二回目の憲法記念日となった三日、各地で開かれた集会では「生存権」が語られた。これまで憲法集会といえば「九条」が中心。ところが、格差の広がりで失業や住居を失う人が急増、「健康で文化的な最低限度の生活」が揺らいでいると憲法二五条がクローズアップされた。若者を中心に、参加者に生存権や憲法について聞いてみた。

 東京都千代田区の日比谷公会堂で開かれた「生かそう憲法 輝け九条」には四千二百人が参加した。作家の落合恵子さんが「苦しむ人々に『全部あんたの責任よ』と言うことで済むのか。健康で文化的な生活を、私たちは営む権利を持っていたはず」と訴えた。

 屋外の大型画面でこの講演を聴いた江東区の女性保育士(28)は「若い人がもっと集会に参加して、声を大きくしていくことが大事だと思う」。通りがかりに耳を傾けた日野市の会社員横倉雅大さん(25)は「憲法には詳しくないが、普通の人が普通に暮らすことが難しい国とは、どうなのかなと思う」と話した。

 ノーベル物理学賞を受賞した京都産業大の益川敏英教授は講演で「憲法九条の改悪に向けての足音がする。日本人はそれほどばかじゃないので、やすやすとは許さないと信じている」と訴えた。

 立川市の立川柴崎学習館で開かれた「市民のひろば・憲法の会」は、派遣切りや平和運動などがテーマ。市民団体「府中緊急派遣村」の東浩一郎さん(43)は「精いっぱい働いてきた労働者が会社から追われている。憲法は国民が国を律するための法。生存権の意味を見つめ直してほしい」と呼びかけた。

 横浜市の保土ケ谷公会堂で開かれた集会では、東京都中央区の会社員、竹渕浩幸さん(32)は「失業などで生活が脅かされている人たちを孤立させないことが大事だ。集会を通じて連携することが必要」と強調した。

 東京都新宿区の早稲田大学で、憲法の講演会を聴いた政治経済学部二年の村上弘美さん(20)は「下宿近くの公園や道路で、ホームレスの人がどんどん増えている。政府はもちろんだけど、民間団体が大きな力になれば」。同区の四谷区民ホールで、改憲派の国会議員らの集会に参加した会社経営者の男性(31)は「九条を改正して自衛権を確立しなければ、この国の将来が不安」と話していた。

◆社会全体の議論を

 ジャーナリストの斎藤貴男さんの話 生存権がテーマになった集会が多いのは、憲法25条が重要なのに形骸(けいがい)化していると、年末の派遣村の映像がみんなに知らしめたからだ。しかし、生活保護などの問題に矮小(わいしょう)化せず、構造改革が生んだ不公正な社会の議論が必要だ。

 最近は北朝鮮のミサイル騒動や海上自衛隊のソマリア派遣など、日本人が狙われやすいというプロパガンダ(宣伝)で、憲法9条を取り巻く環境が急速に悪化している。25条だけでなく、9条が忘れ去られてもいけない。

◆教育格差も顕在化

 佐藤司・神奈川大名誉教授(憲法学)の話 格差社会の到来が、生存権の重要性を高めている。これまで生存権の主要テーマは、年金や生活保護などだったが、高齢化社会の進展で介護の負担や劣悪な施設に苦しむ人たちの存在も浮き彫りになっている。

 生存権は文化的な生活も保障している。憲法26条の教育権とも関連するが、貧困家庭の子弟が十分な教育を受けられない教育格差も顕在化している。多くの今日的な問題とかかわっているのが生存権だ。」



(2) 元々生きていくのがやっとの状態の賃金しか得ていない非正規労働者だけなく、解雇されて住居も失った非正規労働者が急増しているばかりか、一部の正社員は、貧困ラインに割り込む生活を現実にはしているのです(堤未果・湯浅誠『正社員が没落する――「貧困スパイラル」を止めろ!』(角川書店、2009年)201頁)。このように、労働市場が劣化していることが問題の根本であるのです。

形骸化している生存権(憲法25条)を実効あるものするという点とともに、労働市場を健全なものにする(最低賃金の引き上げ、労働者派遣法の抜本的改正、長時間労働の規制、セーフティネットの強化など)ことこそが重要なことだと思われます。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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