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2009/03/22 [Sun] 23:59:20 » E d i t
西松建設献金事件については、小沢・民主党代表の公設第一秘書・大久保氏が逮捕された当初から、普段は検察側の擁護に回る検察OBも、「多くの検察OB」(毎日新聞)が逮捕を巡って疑問を呈する声をあげています(「民主党・小沢一郎代表の秘書を逮捕~政治資金規正法違反(虚偽記載など)の疑いで」(2009/03/06 [Fri] 01:37:44)参照)。

検察OBによる疑問の声は、東京新聞や日経新聞では掲載済みでしたが、とうとう、毎日新聞でも掲載することにしたようです。


1.毎日新聞の記事を。

(1) 毎日新聞2009年3月22日東京朝刊29面(4版)

「西松」献金 総選挙前の立件 検察OBも「なぜ?」

 西松建設の違法献金事件で小沢一郎・民主党代表の秘書を逮捕した東京地検特捜部の捜査について、今秋までに行われる総選挙に与える影響を考え、「なぜこの時期に」と困惑する声が、多くの検察OBからも出ている。容疑内容についても「立件のハードルを以前より下げているのではないか」との疑問もくすぶっている。【松下英志】

 ◇以前は影響に配慮

 ■時期

 「単純に考えて時期は最悪だ」。ある元検察幹部は漏らす。政治的な動きだと民主党サイドが反発している点についても「10人中9人がそう思うだろう」と捜査に手厳しい。

 特捜部の捜査は、選挙への影響を極力避けてきた歴史がある。典型的なのが00年6月の中尾栄一元建設相の事件。6月25日の衆院選投開票日を待ち、5日後の同月30日に受託収賄容疑で逮捕した。

 一方「3月末で虚偽記載は時効となる。この時期以外にタイミングがなかった。後になるほど衆院議員の任期切れも近づく」と理解を示す元幹部もいる。

 だが、さらに別の元幹部はこう指摘した。「(93年の)ゼネコン汚職事件も総選挙直前に着手したが、今度の総選挙は『民主の逆転なるか』という、とてつもなく意味のある選挙。影響は無視できないものがある。過去の事例からすると、そこら辺(を踏まえてきちんと判断したのか)は『どうかな』という気はする」

 ◇「金額も軽微」指摘

 ■容疑

 「総額が2100万円で、しかもすべて表の寄付。その名義を偽った疑いがあるというだけの今回の事件は、規模、様態とも極めて軽微であることは否定できない」。元特捜部検事の郷原信郎・桐蔭横浜大法科大学院教授はそう指摘する。

 04年に発覚した日本歯科医師連盟を巡る政治資金規正法違反事件で、特捜部は1億円の裏献金を受領した自民党旧橋本派(平成研究会)の会長代理だった村岡兼造元官房長官を政治資金規正法違反で在宅起訴した(有罪確定)。しかし、党の政治資金団体・国民政治協会を経由して3000万円を迂回(うかい)献金されながら収支報告書に記載しなかったとして検察審査会で「起訴相当」とされた山崎拓元副総裁は不起訴とした。

 こうしたことから他のOBも、今回の事件で立件するか否かの境目を示す「ハードル」について「下げたと受け止められても仕方がない」と懸念する。

 「時期が最悪」と指摘した元幹部は、こうも語った。「(ロッキード事件の田中)角栄(元首相)に匹敵する相手(小沢氏)を相手にするわけだから、このまま(の容疑で)終わるとまずいよ」。世論の反発を念頭に、危機感を募らせた。

毎日新聞 2009年3月22日 東京朝刊」



(2) 毎日新聞平成21年3月9日付

西松建設裏金:憂楽帳 特捜捜査

 「元防衛庁幹部に背任容疑 過大請求疑惑 東京地検が詰めの捜査」

 98年5月20日付の毎日新聞朝刊1面に、こんな見出しが躍った。だがこの時、地検特捜部が予定した強制捜査の着手は見送られた。理由の一つは、6月に公示と見込まれた「参院選への影響」。見送り方針が決まった同日夕、特捜部の幹部たちは記者との定例懇談で長い沈黙を通すか、落胆の表情を見せるほかなかった。

 結局、着手は参院選での自民党惨敗と橋本龍太郎首相の辞任、小渕恵三首相による新内閣の発足と政局が続く中、夏休み明けの9月までずれ込んだ。ことほどさように、特捜部の捜査は政局への影響を避けようとするのが常だった。

 先週、特捜部は西松建設からの違法献金事件で小沢一郎・民主党代表の公設第1秘書を逮捕した。遅くとも9月までには総選挙が行われるこの時期になぜ、との思いは多くの検察OBの中にもくすぶる。にもかかわらずゴーサインが出た。今後の捜査に注視が必要だ。【松下英志】

2009年3月9日」




2.西松建設献金事件については、すでに次のエントリーにおいて何度か触れています。

<1>「民主党・小沢一郎代表の秘書を逮捕~政治資金規正法違反(虚偽記載など)の疑いで」(2009/03/06 [Fri] 01:37:44)

<2>「西松建設献金事件:検察庁は、リーク情報による情報操作は止めて「公の場で説明責任」を果たすべきではないか?」(2009/03/14 [Sat] 23:59:27)

<3>「小沢・民主党代表への事情聴取見送りに~立件困難ゆえだが、リーク情報を流して散々煽ってきた責任(検察・報道機関)はどうとるのだろうか?」(2009/03/20 [Fri] 18:12:13)



(1) これらのエントリーでも、毎日新聞の記事と同様に、「『なぜこの時期に』と困惑する声が、多くの検察OBからも出ている」ことや、「容疑内容についても『立件のハードルを以前より下げているのではないか』との疑問もくすぶっている」点が、引用した記事中にでています。

確かに、毎日新聞の記事にあるように、逮捕した時期が「最悪」という点もあるでしょうし、立件するか否かの境目を示す「ハードル」について「下げたと受け止められても仕方がない」という点もあるでしょう。

しかし、西松建設献金事件の最大の問題点は、(「国策捜査」か否かはまた別論として)政治資金規正法の規定やその解釈論からすれば、要件を満たすことがない、または、要件を満たす可能性が極めて低いということです。

例えば、政治資金規正法違反になるかどうかは、政治資金規正法の解釈上は、寄附者とされる政治団体が実体の全くないダミー団体で、しかも、それを小沢氏側が認識していた場合です。そして、実体の全くないダミー団体か否かについては、寄附を受ける側には寄付者である団体を調査する法的権限がない以上、「団体の規約があって何らかの活動が行われていて、会計が独立していれば、一応、政治団体の実体があるというのが従来の考え方」という解釈が前提となります。

こうした罪刑法定主義(憲法31条)に添った解釈からすれば、西松建設献金事件はもちろん、多くの政治団体が「寄附者とされる政治団体が実体の全くないダミー団体」という認定は困難であり、ましてや、実体があるか否かの判断基準を知らなければ、「寄附者とされる政治団体が実体の全くないダミー団体」であるという認識があるとの認定が困難でしょう。このように、小沢・民主党代表の秘書を逮捕して自白を強要したところで、政治資金規正法の解釈上、小沢・民主党代表の秘書である大久保氏が有罪となる可能性は低いわけです。

このように、西松建設献金事件では、「献金の経緯はどうであったか、その経緯について西松建設側の誰と小沢氏側の誰との間でどのような接触があったのか、何回くらいあったのか、それぞれの機会においてどのようなやりとりがあったのかなどなどの具体的な事実関係の解明なしに法律解釈の問題は論じることができ」ないのではないのです。まず、政治資金規正法の規定及び法解釈論で決着がつく問題であることを理解するべきです。もちろん、郷原信郎教授の論説を読んでいる方にとっては、自明のことであるしょう。



(2) ところが、最近なぜか、談合容疑について報道が多くなりました。しかし、談合容疑についても、郷原信郎教授が述べるように、「現時点では2006年3月以前の談合の事実はすべて時効が完成している」ので、公訴時効が完成した犯罪事実は訴訟条件を欠くとして起訴できないのですから、「談合罪など談合の事実自体の立件は考えにくい」のです。また、「談合構造を前提にした「口利き」などでのあっせん利得罪の時効期間も同じであり、立件は考えられない」のです。

こうした点は、公訴時効制度をしていて、談合罪などの公訴時効期間がわかっていれば、起訴できないような事実であると、リークする側もりーくされて垂れ流している報道機関側もすぐに分かるはずなのです(<1>「世論(毎日新聞調査)にしたがって殺人罪の時効を廃止すべきなのか?~殺人罪の公訴時効廃止の是非」(2008/07/17 [Thu] 22:17:59)、<2>「殺人罪の時効制度の是非~毎日新聞平成20年8月8日付「論点」の論説を紹介」(2008/08/30 [Sat] 16:53:48)参照)。

リークされる情報だけに頼って紙面を埋めるのは、容易いことでしょう。リークされた情報をそのまま報道しないと、この事件に関して、リークを受けられないのかもしれません。しかし、報道機関としては、ロクに調査することなく、ただ捜査機関の情報を垂れ流すことでいいのでしょうか。政治資金規正法の規定や法解釈を少しでも調べ、談合罪などの公訴時効について少しでも調べれば、リーク情報をそのまま報道することはできないはずです。

今回の報道を見る限り、国家権力に対する監視を目を向けるという報道機関の姿勢を捨て去ってしまったばかりか、処罰不可能な疑惑であっても処罰できるかのように主張するなど罪刑法定主義(憲法31条)を放棄したかのような報道であって、事件報道について無罪推定の原則を貫くことも、安易に放棄してしまっているように思えるのです。

(なお、小沢代表の元秘書で、会計責任者だった元衆院議員の高橋嘉信氏(逮捕された大久保氏の前任者)は、東京地検特捜部の聴取に対して、西松建設のOBが設立した政治団体について、「西松建設のダミーとは知らなかった」などと、違法献金の認識を否定しています。「私は献金の仕組みや授受にかかわったことはなく、誰かに引き継いだこともない」とまでコメントしています。このように引継ぎがないのであれば、政治資金規正法違反の立証はますます困難になっているように思います。)




3.最後に。

(1) 東京新聞平成21年3月22日付朝刊25面「本音のコラム」

人の支配――山口二郎(やまぐち・じろう)

 民主党の小沢一郎代表の公設秘書が逮捕された件では、予想以上に検察批判の声も大きく、小沢氏も持ちこたえている。鈴木宗男、佐藤優両氏に対する立件と、彼らの勇敢な反駁(はんばく)のおかげで、検察は時としてむちゃなことをするというイメージが、世の中にある程度広がっているようだ。

 言うまでもなく、検察は法の支配の一翼を担うはずである。しかし、日本では法の支配という概念が的確に理解されていないように思える。

 法の支配とは、すべての国民が法を遵守(じゅんしゅ)し、正しい生活を送ることを意味するのではない。法の支配とは、もっぱら権力者の側を縛る理念である。国家権力が法を守り、恣意(しい)的な権力行使をしないことこそ、法の支配の意味である。法の支配の反対は、人の支配であり、権力者が自由に個人を拘束できる体制である。
 
 検察は常に法に照らして厳正に対処すると言う。しかし、ある人に対しては厳正に権力を行使し、他の人の同様な事案は不問に付すという恣意的な選択を検察が行っていることが、今回の事件から浮かび上がった。

 法の適用があまりに恣意的に行われるというイメージを国民が持てば、法の支配は崩壊するのである。検察が小沢資金疑惑について、政治資金規正法違反だけで決着するならば、それこそ人の支配の表れである。 

 (北海道大教授)」



(2) 報道によると、「西松建設の違法献金事件をめぐり、民主党の小沢代表の公設第1秘書が政治資金規正法違反の罪で起訴されたとしても、捜査が他の容疑に発展しない場合は、小沢氏が代表を続投する公算が大きくなった」(朝日新聞平成21年3月22日付朝刊1面)としています。

このように、3月24日に何罪で起訴するかどうかにより、民主党代表の行方、ひいては今度の総選挙により、『民主の逆転なるか』という、とてつもなく意味のある選挙に影響を与えるほど、今回の東京地検特捜部の捜査は、政治的な影響を大きく与えているのです。

しかし、すでに触れたように、リークされた情報を法律的に考察すれば、小沢・民主党代表の秘書については、斡旋利得罪や談合罪での起訴は不可能であり、政治資金規正法違反のみで起訴するしかないはずです。もちろん、すでに触れたように、小沢・民主党代表も、「政治団体代表者が会計責任者の選任および監督を怠った」(政治資金規正法25条2項)に当たらないため、西松建設事件につき、政治資金規正法違反で小沢・民主党代表を起訴することはできません。

こうした点は、小沢・民主党代表の秘書を逮捕する前から、検察はよく分かっていたはずです。それなのに、同様の疑惑がある与党の多数の国会議員側は逮捕することもなく、なぜ、小沢・民主党代表側のみを逮捕・捜査したのでしょうか。こんなことでは、恣意的な捜査と批判されても、検察側は反論できないはずです。

東京地検特捜部は3月22日までに、違法な企業献金を受領し収支報告書に虚偽を記載したなどとして政治資金規正法違反の罪で、小沢一郎民主党代表の公設第1秘書で資金管理団体「陸山会」の会計責任者大久保隆規氏(47)を、拘置期限の3月24日に起訴する方針を固めたようです(【共同通信】2009/03/22 23:04)。

3月24日に大久保氏を逮捕容疑のみで起訴するのかどうかにより、民主党代表の行方も左右されると同時に、検察批判はもちろんのこと、今度の衆院選後、民主党を含む野党が与党となった後は、恣意的な捜査を規制し、「法の支配」を回復するため、検察庁改革がなされることは必至といえるでしょう。


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コメント
この記事へのコメント
事故米転売の三笠フーズ元社長を追起訴 詐欺などの立件は断念

地検は、正規米の相場より安く売買されていたことや、一部の業者からしか証拠品の事故米を押収できなかったことなどから被害認定が困難と判断。両容疑での立件は見送った。

犯罪組織の証拠隠滅と検察司法が結託した、犯罪の立件見送り、起訴猶予など無罪放免に等しい判決を許すな。

【食品・グルメ・レストランの掲示板】
http://www.aixin.jp/axbbs/sgr/sgr_ind.cgi
2009/03/23 Mon 22:08:09
URL | 愛信 #EBUSheBA[ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/03/25 Wed 11:24:28
| #[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ:2009/03/25 Wed 11:24:28
情報ありがとうございます。
お返事が遅れまして、大変申し訳ありません。
非公開コメントですので、修正して引用します。


>東京地検は小沢氏の秘書を政治資金規正法違反だけの容疑で起訴しました。
>散々煽っておきながら政治資金規正法のみでの起訴ですから、これで、今や、国民誰もが「国策捜査」が実在することを確信する契機となりました
>マスコミの報道は、そうした「国策捜査」に全面的に協力しており、その存在価値を完全に失ったといえます

報道機関は、散々多数の犯罪容疑をかけておきながら、政治資金規正法違反のみしか起訴していないのに、何ら責任を取ろうとしていません。あまりにも無責任すぎます。
2009/04/05 Sun 23:47:21
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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2009/03/23(月) 20:02:20 | 日本がアブナイ!
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