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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2010/08/21 [Sat] 15:06:51 » E d i t
今日から、国際民事訴訟法について取り上げていきます。


1.「向井・高田夫妻の代理出産、出生届不受理決定~最高裁平成19年3月23日決定」(2007/03/24 [Sat] 15:21:14)で紹介したように、向井夫妻の代理出産事件において、一般の方は、はじめて国際民事訴訟法の議論に正面から接したのではないかと思います。

最高裁平成19年決定は、国際民事訴訟法上間違った議論をしていたのですが、間違いを理解できている方はあまりいませんでした。その多くが、国際民事訴訟法について無知であったことが原因でした。向井夫妻に関する代理出産問題は、国際民事訴訟法について、こうも知らないのかと痛感させられた事件でした。

最近では、国際的な民事紛争についてどこの国で裁判を行うのかという、国際裁判管轄の問題が、国会では問題となっていました。国際的な経済活動に伴う民事紛争の適正かつ迅速な解決を図るために、日本の裁判所が管轄権を有する場合等について定める必要があるとして、平成22年3月2日に第174回国会(常会)において「民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案」が提出されましたが、鳩山首相辞任の影響で、不成立となりました。

このように、家族関係や国際的な取引が生じる場合に問題となる国際民事訴訟法を知ることは、大きな意義があるといえます。



2.国際民事訴訟法の第一人者といえば、澤木敬郎・元立教大学教授と高桑昭・成蹊大学教授ですが、澤木先生は1993(平成5)年9月20日に62歳という若さで亡くなられていますし、高桑昭先生はもはや国際民事訴訟法に関する書籍を書く意欲はないようです。そうなると、いまや誰も国際民事訴訟法の第一人者の文章を知る機会がないのです。それは社会的に大きな損失といえます。

こうした第一人者の書籍がないせいか、国際民事訴訟法に関して理解の乏しい学者――特に弁護士出身の学者――が、国際民事訴訟法に関する書籍を出版したり、論文を発表し始めており、多数の学生・一般人に間違いを流布しかねないため、危機感を感じています。

元々、国際私法や国際民事訴訟法を専門とする学者が少なかったのですが、ロースクールが創設されたため、ちょっとかじった程度の弁護士が学者として幅を利かせるようになりました。本来、学問的な発展のためには、自然淘汰が必要なのに、学者の少なさから自然淘汰させることがないため、間違いが訂正されない状況がかなりあります。特に、ロースクールでは、試験科目に入っている関係上、国際民事訴訟法に関する授業があるのが一般的ですが、間違った知識を持った学者が教えている状況が多々あるので――法学部出身でない者が法的センスを欠いたまま鵜呑みで受け入れてしまう――、恐ろしさは激増中であるといえます。

ところで、澤木先生は、生前、国際民事訴訟法に関する書籍を書くことに意欲的で、書籍化することを前提にして2年ほど授業を行っていたのですが、惜しくも書籍化する前に亡くなられました。その後、書籍化を心待ちにしていたのですが、いまだに書籍化されることがなく、澤木先生の国際民事訴訟法の講義をインターネット上において紹介する方さえもいないのです。

そこで、澤木先生の国際民事訴訟法の講義を書き起こしたものを紹介することで、世に先生の功績を残し、世の中にはびこる国際民事訴訟法に関する誤解を食い止めたいと思います。

なお、1993(平成5)年当時と異なり、民事訴訟法が改正され、国際私法に関する法例も「通則法」に改正されました。判例も幾つか出ています。また、法案は成立していませんが、国際裁判管轄に関する法案もあります。そうした点は、「注記」という形などで紹介することにして、元の文章は変更しないことにします。

第1回目となる今回は、澤木先生が書かれた目次を紹介します。


3.国際民事訴訟法講義ノート:第1回

<目次>

第Ⅰ章 国際民事訴訟法の意義
 1.国際民事訴訟法の対象
 2.国際民事訴訟法研究の歴史
 3.国際民事訴訟法の定義
 4.国際民事訴訟法の成立過程
 5.法廷地法主義の成立
 6.法廷地主義の根拠
 7.手続の実体の性質決定
 8.法源の形態

第Ⅱ章 裁判管轄権
 1.意義
 2.決定基準~基礎理論
 3.日本における決定基準
  A マレーシア航空機事件判決以前
  B マレーシア航空機事件判決以降
  C その後の発展
  D 財産関係事件と身分関係事件
  E 非訟事件
  F 今後の課題
 4.財産関係事件の裁判管轄権
  A 被告主義の原則
   1 自然人
   2 法人
   3 免責特権
  B 義務履行地
  C 財産所在地
  D 不法行為地
  E 相続開始地
  F 関連裁判権~併合請求の裁判管轄
   (1) 客観的併合
   (2) 主観的併合
  G 合意管轄
  H 応訴管轄
  I 保全処分
  J 競売・除権判決(注1)
 5.身分関係事件の裁判管轄権
  A 婚姻関係事件
  B 親子関係事件
 6.非訟事件の裁判管轄権
  (1) 民事非訟事件
  (2) 商事非訟事件
  (3) 家事非訟事件

第Ⅲ章 当事者
 1.民事訴訟における外人法
 2.当事者能力と訴訟能力の準拠法

第Ⅳ章 訴訟手続
 1.手続法と実体法
 2.訴訟手続の準拠法
 3.証拠
 4.司法共助

第Ⅴ章 外国判決の承認・執行
 1.意義
 2.要件
  A 管轄権
  B 送達
  C 公序
  D 相互の保証
 3.形成判決の承認
 4.承認(執行)手続

第Ⅵ章 外国訴訟係属の効果
 1.一般
 2.国際的訴訟競合の意義
 3.外国訴訟係属の効果
 4.時効の中断
 5.司法共助との関係

第Ⅶ章 仲裁
 1.意義
 2.仲裁の法律上の問題

第Ⅷ章 国際破産
 1.意義
 2.国際破産の問題点

(注1) 「除権判決」は、平成14年の商法改正などにより、除権判決制度が廃止され、公示催告手続が決定手続によることになったので、「除権決定」となった。


テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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