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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2009/03/17 [Tue] 23:59:14 » E d i t
日本経団連の御手洗冨士夫会長と連合の高木剛会長による労使トップ会談が平成21年1月15日、開かれ、急激な景気悪化の中で迎える09年春闘が幕を開けました。その会談において、人員削減が非正社員から正社員へと及ぶ中、労使は雇用安定の必要性をうたった共同宣言を発表しています。

春闘は、3月18日が自動車や電機など金属産業の集中回答日です。春闘は、経営側からの集中回答日を前に、3月14日、電機メーカーの労使の代表が交渉を行い、雇用問題が最重要課題だとして、雇用を守る共同宣言を取りまとめました。これは、組合側は、まず、社員の人員削減や非正規労働者を減らす動きに歯止めがかかっていないとして、雇用の安定に最大限努めることを約束するよう求め、これに対し、経営側も、雇用問題はことしの春闘の最重要課題だという認識で一致し、雇用を守る共同宣言を取りまとめたものです(NHKニュース3月14日18時52分「電機労使 雇用確保で共同宣言」)。


1.朝日新聞平成21年3月15日付朝刊7面「生活攻防 09春闘」

「雇用安定に最大限努力」電機労使が共同宣言
2009年3月14日20時19分

 電機の労使で作る電機産業労使会議は14日、「雇用の安定と創出に最大限の努力を行う」とする労使共同宣言を発表した。雇用について、電機労使が共同宣言を出すのは初めて。宣言に拘束力はなくメッセージ的な要素が強いが、今後も予想される人員削減に対して一定の歯止めになるかどうかが注目される。

 大手電機メーカーの労組で作る電機連合と、電機・電子・情報通信産業経営者連盟に所属する大手6社(日立製作所・東芝・NEC・富士通・パナソニック・三菱電機)が合意した。非正社員を含む雇用問題について、労使が協議していく。今後、各企業の労使で協議し、住まいを失ったり職業訓練が必要だったりする失業者に、社員寮や教育施設を貸し出すことなど具体策を検討する。

 共同宣言では、政府が迅速に雇用創出策を実施し、非正社員を含む労働者すべてのセーフティーネットを拡充することも要望した。電機連合の中村正武委員長は「『雇用の安定』の重要性を労使が確認できた。宣言を徹底し、実効性のあるものにしなければならない」と話した。」



共同宣言では、「政府が迅速に雇用創出策を実施し、非正社員を含む労働者すべてのセーフティーネットを拡充することも要望」しており、そのこと自体は評価できるのですが、「宣言に拘束力はなくメッセージ的な要素が強い」ものであって、単なるポーズにすぎないように思います。非正規労働者は、いまでもモノのように捨てられてしまうようです。

中日新聞平成21年3月11日~13日において、「【雇用崩壊】『春闘』の影で ~正規と非正規と<上・中・下>」という連載記事を掲載していました。東京新聞でも、その連載記事を(一部文面を変更して)平成21年3月15日から掲載していましたので、紹介したいと思います。


2.東京新聞平成21年3月15日~17日

(1) 東京新聞平成21年3月15日付朝刊28面(リンク先は中日新聞だが、見出しと最後の文章は東京新聞の文面に変更した)

「雇用春闘」の影で ~正規と非正規と<上> 危機感募る正社員
2009年3月15日

◆「仲間」顧みる余裕ない

 「本当はコストの安い派遣社員より、おまえらを切りたいんだ」

 トヨタ自動車の下請け部品メーカーで、2月にあった労使の団体交渉中、社長がふと漏らした。労働組合役員を務める40代の男性は、耳からこの言葉が離れない。

 販売不振という形で自動車産業を直撃した世界的な不況。トヨタのおひざ元でもある東海地方は「トヨタショック」に揺れる。年商100億円超の二次下請けメーカーが今月に入って破綻(はたん)、下請けも荒波の真っただ中だ。

 先の労組役員のメーカーでも、トヨタショック前にはピーク時で優に1000人を超えた派遣社員や請負会社社員が200人までに減った。完全に操業を止めた工場もある。

 正社員は残業ゼロ。月60時間残業していたとすると、手取りは20万円もダウン。休業日も月2回増えた。

 職場では、残業ゼロで早く帰宅する夫に子どもを託し、夜のファミリーレストランなどへパートに出掛ける妻が増えたという。労組役員の妻は以前からパートに出ていた。子育てが一段落したから外に出たいという妻の気持ちを尊重してのこと。「でも、今は心底ありがたい」

 製造業で相次ぐ派遣切りに「同じ労働者なのに」と心を痛めていた労組役員は、今年の春闘で、会社への要求書に「派遣社員や請負会社社員の雇用維持にも努めるべきだ」とする一文を入れたかった。だが、入れられなかった。

 「おれたちを切るならまず派遣から切れ、というのが私を含めた正社員労働者の本音。そこを隠して非正規労働者の雇用維持を言うのは無理がある」

 部次長以下の社員で400万-100万円年収がカットされたという別のトヨタ系列会社正社員の男性はこう話す。

 「期間従業員の定着率は悪い。失業しても行政の臨時雇用や人手不足の介護・農業分野への就職を敬遠する非正規労働者は、職に対する危機感が足りないと思う」

 別のある製造業の女性正社員も「派遣社員は契約が切れれば家と職を失うことは分かっていたはず。それに備えて貯金しておくのは彼らの自己責任」と強調した。

 東海地方にあるソニー、パナソニックなどの電機大手の工場も集約や閉鎖に追い込まれた。正社員自らの雇用への危機感が現実味を増す。非正規労働者を仲間として顧みる余裕は、正社員にはない。

       ◇

 政労使が協調して雇用維持に全力を挙げると宣言した今年の春闘は、「雇用春闘」ともいわれる。正社員と非正規労働者の目指す道が、重なり合うことはないのか。「総労働」として団結できないのか。非正規の失業者が約2万4千人と全国で最も多い愛知県で探った。」



1点だけ触れておきます。

 「部次長以下の社員で400万-100万円年収がカットされたという別のトヨタ系列会社正社員の男性はこう話す。
 「期間従業員の定着率は悪い。失業しても行政の臨時雇用や人手不足の介護・農業分野への就職を敬遠する非正規労働者は、職に対する危機感が足りないと思う」
 別のある製造業の女性正社員も「派遣社員は契約が切れれば家と職を失うことは分かっていたはず。それに備えて貯金しておくのは彼らの自己責任」と強調した。」


未だに、「自己責任論」を説くとはと呆れます。湯浅誠さんの言葉を引用しておきます。

「今は誰もが苦しい。自分が苦しいと、どうしても他人が甘えているようにも見える。「甘えるな」と叱責することは、自分の苦しさ・大変さを承認してもらいたい欲求に根ざしている。自分の苦しさに対する承認欲求としての自己責任論。そこに自己責任論の根深さがある。しかしそれでは、「貧困スパイラル」は加速するばかりである。」(堤未果・湯浅誠「正社員が没落する――「貧困スパイラル」を止めろ!」(2009年、角川書店)13頁)


安い労働力で使い捨てた非正規労働者を、さらに追い討ちをかけるように非難していくと、より労働条件の劣悪な企業にも人が集まるようになり、労働者を大切にする企業は競争で生き残れなくなります。結果として、さらに労働市場は壊れ、貧困が増大し(「貧困スパイラル」)、非正規の労働条件に引っ張られる形になって正社員の低処遇化が進んでしまうのです。「自己責任論」を述べる人たちは、結局、自らの首を絞めていることに気づかないのでしょうか。



(2) 東京新聞平成21年3月16日付朝刊22面(リンク先は中日新聞だが見出しは東京新聞のものに変更した)

「雇用春闘」の陰で ~正規と非正規と<中> 見せかけの団結
2009年3月16日

◆熟練の自負 打ち砕かれ

 「あと少し頑張れば、正社員になれると思っていたのに。派遣社員と正社員には深い溝があったんだな」。昨年12月に派遣切りに遭った名古屋市在住の男性(43)は、大きくため息をついた。

 東海地方の大手メーカーの工場で、請負社員時代も含め、6年以上同じ部署で働き、職場の非正規労働者で最古参だった。

 「苦しい時期をみんなで乗り切ろう」。これを合言葉に、正規・非正規にかかわらず工場の中心メンバーが集まって、不況に立ち向かうことで一致団結した。その自分が解雇通知を受けたのは、翌日のことだった。

 全身汚れる塗装や清掃、危険を伴う作業は決まって派遣の仕事だったとこの男性。何か文句を言ったり、失敗があれば「塗装に回すぞ」と正社員から声が飛ぶこともあったという。

 100年に1度といわれる危機的な経済状況でも、春闘で賃上げ要求を続ける大企業の労働組合に、男性は「派遣労働者を無条件で切っておきながら、ベアだなんてよく言える」。笑いの中に怒気が交じる。

 正社員や子会社の新入社員を指導するほど熟練しても、上がった時給は6年で20円だけ。「おれのほうがずっと会社に貢献している」との自負がある。正社員とは分かり合えることはないと吐き捨てるように言った。

 空冷機械メーカーの工場で13年間、勤務した男性(52)=名古屋市在住=は「派遣や請負の賃金は削るだけ削る。給料アップを申し出ることなんて無理」と漏らす。派遣先企業は「代わりの人間はいくらでもいる」と言い放った。だから、たとえ給料をカットされても文句を言えば解雇につながるのでは、との不安にとらわれた。

 「仕事は、派遣が若い正社員に教えるものだった」

 そう語るように、職場の非正規労働者の3分の2以上は3年以上働くベテラン。現場を支えてきたにもかかわらず「来月で終わりだ」といわれて解雇の憂き目に。派遣先企業との団体交渉の希望すらかなっていない。

 非正規労働者から相談を受け、派遣会社などと団体交渉を行っている労働組合「管理職ユニオン・東海」(名古屋市)。平良博幸書記長(48)は「非正規労働者にとって、企業内の労組も経営側も同じ“搾取する側”」と指摘する。

 いくら頑張っても、利益は企業のもの、正社員にしか反映されない-。こんな思いが募る非正規労働者の目には、春闘はただ身内で話し合いをする“行事”にしか映らない。」


1点だけ触れておきます。

 「非正規労働者から相談を受け、派遣会社などと団体交渉を行っている労働組合「管理職ユニオン・東海」(名古屋市)。平良博幸書記長(48)は「非正規労働者にとって、企業内の労組も経営側も同じ“搾取する側”」と指摘する。
 いくら頑張っても、利益は企業のもの、正社員にしか反映されない-。こんな思いが募る非正規労働者の目には、春闘はただ身内で話し合いをする“行事”にしか映らない。」


正社員で構成する労働組合に属する者であれば、春闘は大事な“行事”でしょう。

しかし、非正規労働者はもちろん、自営業など、正社員とは無関係な社会一般は、「経営側も同じ“搾取する側”」である「企業内の労組」に対して、冷ややかな眼差しでを見つめていることを分かっているのでしょうか? 同じ職場の仲間であり、しかも「仕事は、派遣が若い正社員に教えるものだった」というように、派遣労働者に仕事を教えてもらっている例さえあるにも関わらず、非正規労働者の低賃金・不安定な労働条件をそのままにしておき、今非正規労働者が使い捨てられ路頭に迷う状況にまで陥っているのに見捨てるのですから。

今後、正社員もより大規模に解雇されていくでしょう。非正規を見捨てたのだから、正規も捨てられても何が悪いのか――。今の労働組合のままでは、そうした意識を払拭できないように思えます。



(3) 東京新聞平成21年3月17日付朝刊26面(リンク先は中日新聞だが見出しは東京新聞のものに変更した)

「雇用春闘」の陰で ~正規と非正規と<下> 労組互いに配慮
2009年3月17日

◆「連帯」崩したくない

 名古屋・栄の久屋大通公園で8日に開かれた連合愛知の「春闘1万人総決起集会」。パート従業員らでつくる労働組合代表の女性が呼び掛けた。

 「非正規労働で働いても食べていけないのはおかしい。ともに頑張りましょう」

 「女性労働者の代表」としての決意表明が、今年は違う。非正規労働者の代表としてだった。「昨今の雇用情勢で非正規の立場からの参加が求められていた」。連合の担当者は打ち明ける。

 もちろん、ワークシェアリング(仕事の分かち合い)によって雇用維持を図るといった正社員の痛みを伴う対応策は語られないまま。賃上げで内需を拡大することで、非正規労働者の就業促進につなげるべきだというのが連合の路線だ。

 だが、集会終了後に行われたデモ行進では「非正規労働者の雇用環境改善を」というシュプレヒコールも。自動車総連傘下の労組役員は「正社員のクビも危ない状況だが、非正規にも精いっぱい目配りした」。

 こうした配慮は、正社員の労組だけではない。

 連合の集会からさかのぼること2週間前に名古屋市内であった「愛知派遣切り抗議大集会」。タイトルに「愛知」ではなく「トヨタ」の3文字が使われてもおかしくなかった。

 実行委員会に名を連ねた東京・日比谷公園の「年越し派遣村」村長湯浅誠さん(39)らが主張した。「企業責任を追及するためトヨタの名を出すべきだ」と。「トヨタ派遣切り」という言葉は、確かに強烈な印象を与えられる。

 だが、連合愛知も含めた広がりを目指す地元の実行委メンバーは困惑した。「トヨタ系正社員が“被告席”に座るような集会名では乗れない」との声が耳に届いていたからだ。

 関係者の一人は振り返る。「激論があった。でも『愛知』にしたことで、広がりを得られたのならそれでいい」

 すべての労働者が連帯する「総労働」のムードだけは崩したくないという思いが、「雇用春闘」のあちこちにのぞく。正規と非正規双方の立場で働いた経験を持つ名古屋市の設備製作会社の男性(32)は「みんなが団結するなんて幻想」としながらも、正規、非正規労組が互いに配慮し合うことは悪くないと思う。

 派遣社員だった数年前には、正社員が嫌がるような、くさくて爆発の危険がある薬品を扱った。正社員時代には、長時間残業などのつらさも味わった。それだけに実感がこもる。

 「しょせんはみんな雇われの身。バラバラでいて、笑うのは誰か。笑わせておいていいのか」

 (この連載は名古屋社会部・大村歩、山田祐一郎が担当しました)」


1点だけ触れておきます。

 「連合の集会からさかのぼること2週間前に名古屋市内であった「愛知派遣切り抗議大集会」。タイトルに「愛知」ではなく「トヨタ」の3文字が使われてもおかしくなかった。
 実行委員会に名を連ねた東京・日比谷公園の「年越し派遣村」村長湯浅誠さん(39)らが主張した。「企業責任を追及するためトヨタの名を出すべきだ」と。「トヨタ派遣切り」という言葉は、確かに強烈な印象を与えられる。
 だが、連合愛知も含めた広がりを目指す地元の実行委メンバーは困惑した。「トヨタ系正社員が“被告席”に座るような集会名では乗れない」との声が耳に届いていたからだ。
 関係者の一人は振り返る。「激論があった。でも『愛知』にしたことで、広がりを得られたのならそれでいい」
 すべての労働者が連帯する「総労働」のムードだけは崩したくないという思いが、「雇用春闘」のあちこちにのぞく。正規と非正規双方の立場で働いた経験を持つ名古屋市の設備製作会社の男性(32)は「みんなが団結するなんて幻想」としながらも、正規、非正規労組が互いに配慮し合うことは悪くないと思う。」


名古屋市内であった「愛知派遣切り抗議大集会」では、「トヨタ派遣切り」という言葉を使うかどうか議論になったようですが、「トヨタ」名を隠したところで、愛知で派遣切りをしているのであれば、トヨタ自動車に限定されるのは誰でも分かることです。「トヨタ」名を隠したとしても。

『愛知』にしたことで、広がりを得られたのかもしれません。すべての労働者が連帯する「総労働」のムードへもっていくことは正しい方向性です。しかし、現在は、正規と非正規はもちろん、既存の労働組合間でも団結できていないのです。団結すべきときなのに、団結できていないという現実を直視することがまず大事なのではないでしょうか。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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