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2009/03/11 [Wed] 23:59:41 » E d i t
西松建設を巡る違法献金事件について、「自民側は立件できない」という見通しを述べた政府高官が、漆間巌官房副長官であることが平成21年3月8日、明らかになりました。その漆間副長官は国会で、「言った記憶はない」と釈明しました。さらに、漆間氏は国会答弁に続き、首相官邸での記者会見で「(懇談に同席した)3人の秘書官の記憶とつきあわせた結果、(自民党側に捜査は及ばないという趣旨の)発言をしたことがないという記憶になった」と繰り返しました。要するに、漆間氏は、数日前に多数の記者の面前で話したことであるのに、「記憶がない」とすっとぼけたのです。

麻生太郎首相は3月9日の参院予算委員会で、西松建設の違法献金事件にからみ「(捜査が)自民党議員に波及する可能性はない」とした漆間(うるま)巌官房副長官のオフレコ発言について「誤った報道」と擁護したのです。ところが、首相は同日夜、首相官邸で記者団に「報道が誤ったわけではない」と語り、誤報発言を「撤回した」と明言したのです。麻生首相は、またしても、間違った発言を行い、修正後、発言を撤回するという相変わらずの失敗を繰り返したわけです。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成21年3月9日付夕刊1面(4版)

「自民側立件できぬ」発言 首相「誤った報道」  参院予算委
2009年3月9日14時2分

 麻生首相は9日午前の参院予算委員会で、西松建設の違法献金事件に絡んで「自民党側は立件できない」とした漆間(うるま)巌官房副長官の発言について、「オフレコの記者懇での発言が誤って報じられた」と述べ、報道機関の誤報であるとの認識を示した。首相が発言を否定する漆間氏を擁護したことで、批判の矛先は首相にも向かいそうだ。

■漆間氏「記憶にない」

 首相は同日午後の同委で午前の自らの発言について「漆間副長官の記憶と記者の受け止め方の間にはずれがあったというのが正確なところだ」と釈明した。

 漆間氏も同委に出席し、「特定の政党を挙げて、どうのこうのとか、そういう話はしていない」と公式に発言を否定。その一方で「真意が伝わらない形で報道され、ご迷惑をかけた」と陳謝した。国会で官僚トップの事務の官房副長官が答弁に立つのは異例。首相は「先例としない扱いで国会に出席をさせることにした」と述べた。

 漆間氏はまず、記者との懇談はオフレコで、録音もメモもないため、「記憶の限りで話したい」と述べたうえで、(1)この種の事件では一般論として違法性の認識を立証することはいかに難しいか(2)金額の多寡は違法性の認識を立証するうえで大きな要素となる(3)検察は本人が否認しても起訴できるだけの証拠を持っているとみられる――の3点を指摘したと説明。「特定の政党の議員への捜査の帰趨(きすう)は発言していない」と述べた。

 「自民党側に捜査が及ばない」という趣旨の発言をしたという報道について、「事実に反するのか」と問われた漆間氏は「私が警察出身者であるので誤解されたのではないか。マスコミ側が私の発言をどう認識されたのかはわからない。私が記憶している部分では(そういう発言はなく)、あとは記者の認識の問題だ」と述べた。

 一方で漆間氏は「一般論であっても言う必要はなかった。申し訳ない」とも釈明。副長官就任以来、「検察当局とは一切の接触をしていない」「検察の捜査について事前に報告を受けたり、どうなっているかと聞いたりしたことはない。今回の件で私が情報を持っていたことは全くない」と強調した。

 漆間氏の発言には、民主党が「内閣の中枢と検察との間でやり取りがあったと思われても仕方がない」(鳩山由紀夫幹事長)と問題視。この点について漆間氏は「官房副長官就任後、検察当局と接触していない」「この事件は新聞報道で知った」と述べた。

 漆間氏の発言は、発言者を特定しないで報道できる記者との5日のオフレコ懇談で出た。そのため、報道各社は発言者を「政府高官」などとして報道。その後、民主党などが「官邸が検察情報を入手していると疑わせる」と問題視した。同党は発言者が漆間氏とみて、漆間氏を予算委員会に呼び、真意をただす構えを見せていた。

 河村官房長官は8日、この高官を漆間氏と明かしたうえ、「極めて不適切な発言」と漆間氏を厳重注意していた。」


自民への言及 各社報道

 麻生首相は9日の参院予算委で、5日夕に首相官邸で行われた漆間氏との記者懇の内容をもとにした記事について、「発言が誤って報じられた」と答弁した。しかし、報道各社の記事は、細かな表現に違いはあるものの、漆間氏が「自民党側に捜査は及ばない」という趣旨の発言をしたと一様に報じている。

 朝日新聞も、自民党でも西松建設関連の献金が明らかになっていることについての漆間氏の記者懇での発言をもとに、「自民党側は立件できないと思う。特に(違法性の)認識の問題で出来ないだろう」と6日付朝刊で掲載した。

 首相発言について、河村官房長官は9日の記者会見で、「記者団の受け止めと漆間副長官の言われたことにズレがあったのではないか、という認識だと思う。そこのズレがあったということを『間違った』という表現をされたのだと思う。それは総理の本意ではないと思う」と釈明した。

     ◇

■漆間官房副長官の発言に関する各社の報道

朝日新聞「自民党側は立件できないと思う」

読売新聞「自民党の方にまで波及する可能性はないと思う」

毎日新聞「この件で(東京地検が)自民党の方までやることはないと思う」

日本経済新聞「自民党に及ぶことは絶対ない」

共同通信「自民党議員に波及する可能性はないと思う」」



(2) 朝日新聞平成21年3月9日付夕刊2面(4版)

漆間氏辞任要求も検討 民主・鳩山氏 首相発言を批判
2009年3月9日15時1分

 9日の参院予算委員会で漆間(うるま)巌官房副長官が、西松建設の違法献金事件にからみ、「自民党側に捜査は及ばない」という趣旨のオフレコ取材の発言を否定したことについて、民主党の鳩山由紀夫幹事長は同日、今後、漆間氏の辞任要求も検討する考えを示した。山形市で記者団に「(辞任要求は)必要に応じて出てくる可能性がある」と語った。

 鳩山氏は「元警察庁長官の漆間氏がなぜ官房副長官に起用されたかを考えれば、政権中枢と検察のやり取りがあったと考える方が自然だ」とも述べた。

 また、麻生首相が同日の参院予算委の答弁で、漆間氏の発言が「誤って報じられた」と述べたことについては「今日までの総理としての歩みからみると、また逃げられたなと。逃げの発言、ぶれた発言と思わざるを得ない」と批判した。首相のこの発言には、自民党内からも「余計な答弁だ。漆間氏個人の問題から総理の問題に飛び火する」(中堅議員)との懸念が出ている。」



(3) 朝日新聞平成21年3月10日付朝刊2面(14版)「時時刻刻」

「記憶にない」の一手

 自民党への捜査波及の見通しに言及したのか否か――。漆間(うるま)巌官房副長官の9日の記者会見は、オフレコ懇談の内容をめぐる、記者団と漆間氏の激しいやりとりとなった。肝心なところは、 「記憶にない」と繰り返す漆間氏。首相官邸は、実名の公表とこの日の本人による説明で、事態を乗り切りたい構えだ。

■漆間氏「秘書官と一致」 報道各社とずれ埋まらず

 9日午後、首相官邸で開かれた漆間氏の記者会見では、5日の懇談に出席した記者から厳しい質問が相次いだ。

 民放記者「私は副長官に『この捜査が自民党に及ぶことは、あるいは閣内に及ぶことはないか』と質問したと記憶している」。

 漆間氏「ご質問を受けたことは覚えている。 (献金を受けた政治家側が西松建設に出した)請求書があった場合はどうか(という質問)と私は受け止めた」。

 同記者「請求書うんぬんでなく、自民党に及ぶことはあるかという質問だったと思う」。

 漆間氏「私は全然、そういう問いがあったという記憶がない」。

 やはり懇談に出席した全国紙記者が「請求書の質問は私がした。 『自民党の方も請求書などの物証が出てくれば出来るのか?』と質問した記憶がある」 「自民党という言葉を質問の中でも使った」とただしても、漆間氏の答えは「記憶はないですね」。

 漆間氏の会見は、この日は懇談での発言に質問が集中。漆間氏の国会出席のための中断をはさみ計約30分間行われた。漆間氏は懇談での自身の発言を記憶をもとに文書化し、出席した3人の秘書官にも意見を求め、 「異存はない」との回答を得て、この日の国会答弁や会見に臨んだ。

 5日の懇談の中身を、報道各社は「自民党側は立件できないと思う」「自民党に波及する可能性はないと思う」などと報じた。メモや録音がないため、表現は少しずつ異なるが、自民党側に捜査は及ばないという趣旨では完全に一致している。会見での焦点は、漆間氏が「自民党」という言葉を使って捜査の見通しを語ったかどうかの一点に絞られた。

 漆間氏は会見に先立つ9日午前の参院予算委員会で「特定の政党、あるいは特定の政党の議員について検察の捜査が及ぶか及ばないかを申しあげたという記憶はございません」と答弁、その後の会見でもこの内容を踏襲した。ただ、「自民党」に言及がなかったとも断言せず、 「私の記憶にない」との表現を付け加えることを忘れなかった。

 漆間氏は記者から自民党と特定の政党について「言ったか、言わなかったかは断言できないのか」と迫られると、「私の記憶に誤りがあれば、それは違うのかもしれません」と一瞬譲るかの姿勢も見せた。が、すぐに「それは(懇談に同席していた3人の)秘書官とも、そこの部分は一致している」と付け加え、自分が引いた一線は譲らなかった。

 「記憶にない」というフレーズは、ロッキード事件に絡み、76年2月の衆院予算委で当時の小佐野賢治・国際興業社主がロッキード社幹部との関係について連発。07年に摘発された防衛利権疑惑でも防衛省の守屋武昌・前事務次官が「記憶にございません」と連発した。

 根幹の部分で報道各社と漆間氏側のずれが埋まらず、会見終盤で記者が「副長官自らと秘書官の記憶と、記者団ほぼ全員の記憶が違う。あまりにも不自然な状況だ」と聞くと、漆間氏は答えた。 「私はもともと一般論でしゃべっている。一般論をしゃべっている人間と、『自民党に及ぶか』と質問している人とは、記憶に差があるんだと思いますね」

■守る官邸 与党から批判

 「(漆間氏から)大変、誤解を招くような発言があった。おわびをしたい」。9日夕の自民党役員会で、麻生首相は陳謝した。小沢民主党代表の公設秘書逮捕を反転攻勢の好機としたい与党内から漆間氏の不用意な発言に批判が集まっていたことに配慮したものだ。

 ただ、首相は与党内にも「すぐに更迭した方がいい」(自民党幹事長経験者)と厳しい声のある漆間氏を守りきる構えだ。9日夜、記者団に対し、 「厳重注意した。それ以上の処分を考えているわけではありません」と明言。漆間氏の説明ぶりも「誠実に対応しておられたという印象です」と評価した。

 首相官邸は週末から河村官房長官を中心に、事態収拾の布石を打ってきた。漆間氏が報道各社のオフレコ解除要求に応じないなか、まずは河村氏が8日のテレビ番組で実名を公表。さらに、9日の参院予算委員会で漆間氏自らが与野党の質問に答えた。事務方トップの官房副長官が参院の委員会で質問に答えるのは、72年11月の田中角栄内閣の後藤田正晴官房副長官(故人)以来という異例の対応だ。

 与党からは「野党は攻め手を欠いていた。言った、言わないの問題になると、それ以上つっこめなくなる。新しい話が出てこない限りこの話は終わりだろう」(公明党幹部)と、この日の答弁で乗り切れるとの見方が出ている。

 もっとも、野党側は追及を緩めず、更迭や辞任を求める構えだ。共産党の市田忠義書記長は9日、 「記憶のない人なのに『検察の捜査の中立性・公平性を否定する発言はしていない』と覚えている。ふつう、聞いていて不自然だ。問題のない発言なら厳重に注意する必要はないし、名前も明らかにする必要がなかった」と批判した。

 与党内の批判もくすぶっている。公明党の太田代表は9日の政府与党連絡会議で「誤解を招かないよう発言には注意して、国民の政治不信を招かないよう、緊張して取り組んでいかなくてはならない」とくぎを刺した。

 首相が9日の参院予算委で当初、漆間氏の発言を伝えた記事を「誤報」と決めつけたことにも批判がある。公明党幹部はいう。 「任命責任を問われるのが怖くて、かばっているように思われる」」



(4) 朝日新聞平成21年3月10日付朝刊37面(14版)「メディアタイムズ」

オフレコ 両刃の剣  漆間副長官発言問題

 西松建設の違法献金事件をめぐり、 「自民党側は立件できない」と発言した政府高官が、漆間(うるま)巌官房副長官だったことが明らかになった。いわゆるオフ・ザ・レコード(オフレコ)での発言だったが、途中で名前が匿名から実名に切り替わる異例の展開をたどった。そもそもオフレコ取材とはどんなものなのか。

■背景の理解促す狙い

 今回の発言をした漆間氏は原則、月曜から木曜まで毎日1回、内閣記者会所属の記者と、首相官邸内でオフレコの懇談に応じている。主要な政策課題の背景などへの理解を深めるのが狙いで、オフレコといっても、発言は「政府高官」 「政府筋」などとして引用できる慣例になっている。同様の懇談は、与野党の幹部や省庁の幹部との間でも行われている。

 「自民党側は立件できない」との発言があった5日の懇談には、新聞、テレビ、通信社などの記者十数人が参加した。西松建設OBが代表を務める政治団体は、自民党の政治家側にも献金したり、パーティー券を購入したりしている。

 捜査が自民党に波及するかどうかが焦点になっている微妙な時期に官僚トップの官房副長官が捜査の行方に言及するのは極めて異例であり、朝日新聞は「政府高官」の発言として6日付朝刊に掲載した。

 各紙の報道に対し、与野党を問わずこの高官への批判が広がった。発言者が不明のままでは読者への説明責任を果たし得ない一方、オフレコの懇談を実名に切り替えるには相手の承諾が原則。朝日新聞は実名を明らかにするよう漆間氏に申し入れて拒まれた。

 一方、民主党は政府高官が漆間氏とみて参院予算委員会への出席を要求。朝日新聞は7日付朝刊の最終版で「民主、漆間氏とみて追及」と記事化した。

 発言を実名報道にすべきだとの意見は7日、内閣記者会加盟各社でも共通認識となった。幹事社の代表がオフレコ解除を申し入れたが、漆間氏から「オフレコ扱いのものを、さかのぼってオン(レコ)にすることはありえない」と拒否された。

 報道各社が高官を漆間氏と報道するようになったのは、8日、河村官房長官が漆間氏と認めてからだった。

■オバマ政権では減少

 そもそも米国でオフレコ取材というと、記事を書かないことが前提とされている。しかし、米国政府のメディア対応でも、匿名の「高官」としての会見が、制度化された形で行われている。 「バックグラウンド・ブリーフィング」(記者向けの背景説明)と呼ばれ、取材源が特定されない「政府高官」 「国務省高官」などといった形で対応している。漆間氏のオフレコ取材と似たような取材方式だ。

 記者の側は通常できるだけ情報源の特定を求めるが、バックグラウンドという合意の上で取材した側が、情報源を特定するような形で名前を明かせば信義違反とされる。

 ブッシュ前政権のホワイトハウスではこれが常態化し、大統領に密着する同行の代表取材(プール)を輪番で務める米メディアの記者たちに「政府高官」が説明し、それを代表取材者がメモにして流すことはしばしばあった。

 オバマ政権は情報公開・透明性の向上を掲げているためか、多数を相手に匿名で記者対応する、いわば日本の「懇談」に近い取材方式は、現時点では減る傾向にある。

 欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会では閣僚に相当する欧州委員や報道官がメディア対応をするが、複数の記者を相手にした「オフレコ」対応などは恒常的にはしていない。取材先を匿名にする条件で例外的に行われるのは「テクニカル・ブリーフィング」という背景説明だ。

 EU加盟国の外交官の発言で、交渉の内実などに関するコメントは匿名報道がほとんど。ただこれは、記者側が取材相手の立場を考えて取材源を秘匿するものだ。

 日本経団連など経済3団体や日本銀行への取材では、トップや総裁の定例記者会見のやりとりは実名報道だが、囲み取材などは、基本的に発言の引用を前提としない取材となっている。

■責任の明確化 課題

 オフレコ取材については日本新聞協会の編集委員会が96年に見解をまとめている。

 協会は見解で、オフレコは、ニュースソース側と取材記者側が納得したうえで、一定の条件のもとに情報提供を受ける取材手法と定義。事実の深層、実態に迫り、背景を正確に把握するために有効な手法だと意義を認める一方、乱用されてはならない、とも指摘している。朝日新聞も06年制定の記者行動基準で、情報の出所はできるだけ明示することを前提とし、安易なオフレコ取材を約束しないよう定めている。社会的意義が大きいと判断したときは取材相手と交渉し、オフレコを解除するよう努めるとしている。

 元共同通信論説副委員長の藤田博司さんは、政府の内情を知るためにオフレコ取材が行われることについて、元記者の経験から「ある程度事情はわかる」としつつ、 「今回は読者がどう受け止めるかが重要だ。読者からすれば『なぜ隠すのか』と不信感を強めることになる」と指摘する。

 そのうえで「記者はオフレコ取材を必要最小限にとどめなくてはいけない。特に政府高官の発言は、責任をはっきりさせるのがメディアの役割。内部告発など特殊な場合を除けば、原則実名で取材する努力が必要だ」と話す。

 米紙ニューヨーク・タイムズのマーティン・ファクラー東京支局長は、今回の「オフレコ」のような取材は政策の背景説明などで各国で行われているのが現状だという。ただし、背景説明や客観的事実を聞くのと違い、匿名で高官の個人的な意見を報道するのは危険だと指摘する。

 「言いたい放題になって、発言に責任をとらなくなる」。政府を代表した発言か、個人的な発言かを確認し、根拠をただすことが必要だと言う。」




2.これらの記事から分かるように、漆間官房副長官の「自民側は立件せず」発言問題については、朝日新聞だけは、「オフレコとはどんなものなのか」という点まで触れており、精力的に記事にしています。

(1) 漆間氏は、記者会見において記者団から再三にわたって、間違っているはずだという趣旨の質問を受けても、ひたすら「記憶にない」とすっとぼけるばかりであったことが、記事中の次の部分でよく出ています。
 

「9日午後、首相官邸で開かれた漆間氏の記者会見では、5日の懇談に出席した記者から厳しい質問が相次いだ。
 民放記者「私は副長官に『この捜査が自民党に及ぶことは、あるいは閣内に及ぶことはないか』と質問したと記憶している」。
 漆間氏「ご質問を受けたことは覚えている。 (献金を受けた政治家側が西松建設に出した)請求書があった場合はどうか(という質問)と私は受け止めた」。
 同記者「請求書うんぬんでなく、自民党に及ぶことはあるかという質問だったと思う」。
 漆間氏「私は全然、そういう問いがあったという記憶がない」。
 やはり懇談に出席した全国紙記者が「請求書の質問は私がした。 『自民党の方も請求書などの物証が出てくれば出来るのか?』と質問した記憶がある」 「自民党という言葉を質問の中でも使った」とただしても、漆間氏の答えは「記憶はないですね」。
 漆間氏の会見は、この日は懇談での発言に質問が集中。漆間氏の国会出席のための中断をはさみ計約30分間行われた。漆間氏は懇談での自身の発言を記憶をもとに文書化し、出席した3人の秘書官にも意見を求め、 「異存はない」との回答を得て、この日の国会答弁や会見に臨んだ。(中略)
 根幹の部分で報道各社と漆間氏側のずれが埋まらず、会見終盤で記者が「副長官自らと秘書官の記憶と、記者団ほぼ全員の記憶が違う。あまりにも不自然な状況だ」と聞くと、漆間氏は答えた。 「私はもともと一般論でしゃべっている。一般論をしゃべっている人間と、『自民党に及ぶか』と質問している人とは、記憶に差があるんだと思いますね」」(朝日新聞平成21年3月10日付朝刊2面)


「記憶にない」「問いがあったという記憶がない」はもちろんのこと、「一般論をしゃべっている人間と、『自民党に及ぶか』と質問している人とは、記憶に差があるんだと思いますね」という部分なんて、一体、そんな奇妙奇天烈な言い訳で誰が納得できるというのでしょうか。耳に届く音声は誰にとって同じなのですから、いかなる質問をしていようとも、言葉自体に変化があるはずがなく、しかも「発言者の名を出さない約束のうえでの発言でも記者は直ちにメモを残す」(毎日新聞 2009年3月10日東京朝刊「社説」)のですから、発言内容の正確性は担保されているのですから。

数日前の懇談であっても、「記憶にない」「問いがあったという記憶がない」というほど、お粗末な記憶しかないのであれば、それこそ、漆間氏は「内閣官房副長官」の地位に就くだけの能力を欠いているというべきです。こうして肝心な質問こそ、すぐに忘れるほどの記憶力しかない者であった以上、漆間氏を直ちに罷免するべきであり、もし漆間氏を「内閣官房副長官」に留めておくのであれば、麻生首相自身が、無能な者を残存させているという責任を負うべきです。



(2) 漆間氏の発言中、嫌悪感を抱いた点は、3人の秘書官までも虚言に巻き込んで(=虚偽の発言内容への同意を求めた)、妥当性を主張したことです。

 「『権力』とは恐ろしや。記者十数人が記憶に刻み、問題ありと報道した発言を、同席秘書官3人含め『記憶にない』だと。」(朝日新聞平成21年3月10日付夕刊「素粒子」)


「『記憶にない』というフレーズは、ロッキード事件に絡み、76年2月の衆院予算委で当時の小佐野賢治・国際興業社主がロッキード社幹部との関係について連発」(朝日新聞)したものでした。ですから、「記憶にない」という発言を繰り返すだけでも、極めて怪しい証左とさえいえるのですが、自分だけで「記憶にない」というならまだしも、今回、漆間氏は、3人の秘書官までも虚言に巻き込んだのです。

おそらくは、漆間氏は、その官房副長官という地位によって、秘書官3人に対して虚言を半ば強要したのでしょう。十数人の記者には「記憶がある」のに、漆間氏のみならず、3人の秘書官までもが揃って「記憶がない」なんて、不自然どころか、異様な説明なのですから。 

「記憶にない」漆間発言のお粗末と国策捜査の証左
2009年03月10日 10:21 更新

 大体、政治家や役人が「記憶にない」と言う時はろくなことはない。ロッキード事件このかた、嫌疑を受けた人間の常套文句になっているのだが、実に便利な言葉である。「言っていない」「そんな事実はない」などと断言し、後になって嘘がばれた場合は大変なことになる。しかし「記憶にない」と言っておけばごまかしが利く。しょせん「思い出した」「やっぱり記憶にない」などとして虚偽答弁ではなかったことにするための伏線でしかない。容疑者を取り調べる側である警察庁のトップ(長官)にいた人間から「記憶にない」を聞こうとは思わなかった。情けない政府高官である。

 「自民党には波及しない」という漆間氏の発言は、捜査状況を把握しているか牽制のどちらかでしかない。発言自体が「国策捜査」の証左と取られて当然である。一斉に起こった批判の声を、なんとか沈静化しようということだろうが、問題はさらに大きくなったというべきだろう。また、麻生首相はじめ政府をあげて漆間氏を庇う姿勢は、まさに「国策捜査」の隠蔽である。東京地検特捜部による事件捜査が自民党側に手ぬるいようだと、「記憶にない」も嘘だったことになる。」(九州企業特報(2009年03月10日 10:21 更新)


この記事にあるように、「自民側は立件しない」という驚くべき発言をしておきながら、「記憶にない」と誤魔化せば足りると思っている漆間氏であるのに、「麻生首相はじめ政府をあげて漆間氏を庇う姿勢は、まさに『国策捜査』の隠蔽である」と言われても、やむを得ないものといえるでしょう。



(3) 最後に。

 「元共同通信論説副委員長の藤田博司さんは、政府の内情を知るためにオフレコ取材が行われることについて、元記者の経験から「ある程度事情はわかる」としつつ、「今回は読者がどう受け止めるかが重要だ。読者からすれば『なぜ隠すのか』と不信感を強めることになる」と指摘する。
 そのうえで「記者はオフレコ取材を必要最小限にとどめなくてはいけない。特に政府高官の発言は、責任をはっきりさせるのがメディアの役割。内部告発など特殊な場合を除けば、原則実名で取材する努力が必要だ」と話す。
 米紙ニューヨーク・タイムズのマーティン・ファクラー東京支局長は、今回の「オフレコ」のような取材は政策の背景説明などで各国で行われているのが現状だという。ただし、背景説明や客観的事実を聞くのと違い、匿名で高官の個人的な意見を報道するのは危険だと指摘する。
 「言いたい放題になって、発言に責任をとらなくなる」。政府を代表した発言か、個人的な発言かを確認し、根拠をただすことが必要だと言う。」(朝日新聞)


内閣組織・政権の中枢にいる者が政治的な発言をしておきながら、あとで「記憶がない」と無責任な態度を取ることを容認するだと、行政と言う国民と直接的に影響を与える国家機構の動向であるにもかかわらず、その動向を伝える報道記事が正しいものなのか分からず、行政・政府がまったく信用できないものになってしまいます。

やはり、政府関係者があること無いこと「言いたい放題になって、発言に責任をとらなくなる」ことを阻止するべきであり、そのためにも「政府高官の発言は、責任をはっきりさせるのがメディアの役割」であるというべきです。漆間巌官房副長官の「自民側は立件せず」発言問題は、オフレコ取材の問題点を浮き彫りにしたように思われます。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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2009/03/17(火) 11:51:18 | ??? ?
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