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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2009/02/24 [Tue] 23:36:53 » E d i t
作家の村薫さんが、東京新聞夕刊で連載している「社会時評」(平成21年2月23日付)について、紹介したいと思います。


1.村薫さんの「社会時評」については、何度か紹介したことがあります。

<1>「米国基軸、マネー経済の終焉~次代に備える発想あるのか(東京新聞平成20年10月22日付「社会時評」)」(2008/10/23(木) 23:59:37)

<2>「敗戦記念日63年目を前に~戦争が遠い記憶になっているのではないか?(東京新聞平成20年8月12日「社会時評」より)」(2008/08/14(木) 23:54:02)

<3>「裁判員制度への困惑~民意を活かすところは、死刑か無期かの刑事裁判ではなく、本来は薬害訴訟などの民事裁判では?(東京新聞5月14日付「社会時評」より)」(2008/05/15(木) 23:10:49)



これらの論説にもいえますが、現実の生活に追われて物事が流されがちになっている私たちに対して、しばし立ち止まって熟考する機会を与えてくれる論説になっています。平成21年2月23日付「社会時評」は、いわば現実感を喪失しがちになっている私たちに対して、立ち止まって考えることを重要性を説く要素が強いものとなっています。



2.東京新聞平成21年2月23日付夕刊9面「社会時評」(作家の村薫さん)

現実感の喪失 消えゆく社会生活の営み

 1年で一番寒い2月、例年ならあと少しで春が来ると思うところだが、今年は足元の生活状況があまりに厳しいせいか、そんな気分になるのも容易ではない。最近では唯一、若者たちや町工場の夢の結晶を載せたH2Aロケットの打ち上げ成功が明るいニュースだったが、宇宙を目指す彼らの大きな経験を具体化し、育ててゆくための国民的関心のほうは、残念ながらあまり長続きしそうにない。ここへ来て、私たちのこころは急速に縮こまり、商業用小型衛星という1つの現実を、捉(とら)えきれないでいるのかもしれない。

 私たちが1つの物事に現実感を失うとき、その物事がつながってゆく未来も1つ失われる。企業の生産も、私たちの労働も、子どもたちの学習も、いまという現実を未来につなげてゆく営みにほかならない。私たちは、いまある現実が生み出してゆく未来の結果をも現実と捉えるゆえに、計画し、予測し、ときどきに必要な修整をしてゆくのである。現実感の喪失は、こうした社会生活に必須の営みそのものを危うくする。

 崩壊した金融市場が決定的に欠いていたのもこの現実感というものだったが、気づいたときにはすでに手遅れだった。そして、想像を超えた現実のしっぺ返しは、私たちの社会から計画性や結果の予測、そして物事の意味といった、人間に不可欠の現実を、さらに奪い続けている。

 その結果が、たとえば数十兆円もの内部留保をもつ企業による雇用調整であり、採用内定者の内定取り消しであり、その一方で十年一日のように繰り返される労働組合の賃上げ要求である。またたとえば、小売業の限度を超えた安売り競争であり、景気刺激策としての2兆円の給付金であり、その事務作業にかかる800億円超の経費であり、いまなお公共事業として建設され続ける道路である。

 そして、こうした矛盾を矛盾と思うこともやめた私たちの社会はいま、さらに異様な金銭感覚に満ち満ちる事態となっている。旧郵政公社が不良資産としてわずか1万円で民間に売却した不動産が、その後6千万円で転売された事例などは、よくある不動産売買の手口というより、今日では非現実感のほうが強い。広大な土地建物が1万円というのも、それが紙1枚で6千万円に化けるというのも、激怒するより前に、ただひたすら現実感がない。

 同じように、消えた年金の照合作業に空費される2千億円と、月々わずか数千円、数万円を取り戻すために年金記録の訂正を求める生活者の現実も、あまりにかけ離れすぎていて、両者を正しく結びつけて考えることに困難を覚える。怒りが怒りにならない虚脱感のほうが、いまでは大きくなっているのである。

 この非現実感は、毎年公益法人に流れる9千400億円(2006年度)という税金と、天下りを繰り返しては1億、2億と懐に入れてゆく官僚OBたちに対しても感じる。こんな慣習も公益法人も即刻全廃すべきなのは当然ながら、そう思う一方でこの国のあまりの金銭感覚の放逸さを前に、ほとんど思考停止している私がいる。

 もちろん、私たち生活者の金銭感覚も怪しいもので、「円天」なる偽の電子マネーに2千200億円もの金が注ぎ込まれたというし、自称トレーダーの主婦が15億円以上も集めて相場を張ったりする。これを何か異様なことだとぼんやり考えていたら、今度は政府がお札を刷るという奇策が飛び出してきた。その額、100兆円。一人当たり100万円も気前よく配られるという政府紙幣の奇貨に私たちが躍ったとき、いよいよ実体経済のタガが外れるのかもしれない。

 こうして私たちはいま、路上生活者の100円玉一枚と、官僚OBの1億円と、政府紙幣の100兆円などの間を漂い、日ごとに現実と非現実の区別がなくなっているのだと思う。一枚の紙幣は、生産や労働や生活すべての現実につながっているだけでなく、生きることの現実そのものである。100円が100円の現実を失った社会は、未来をも失うのである。  (たかむら・かおる=作家)」



読者の皆さんは、「日ごとに現実と非現実の区別がなくなっている」日本社会において、どうやって現実感を失わないようにしているでしょうか。100円、例えば、「路上生活者の100円玉」につながるような現実と向き合っているでしょうか。

「ビッグイシュー日本版」は、ホームレスの仕事をつくり自立を応援するもので、雑誌販売者は、現在ホームレスか、あるいは自分の住まいを持たない人々です。

この「ビッグイシュー日本版」の表紙には、代金である「300円のうち、160円が販売者の収入となります」と書いていますから、雑誌購入の際は、300円、160円の重さを感じざるを得ません。「100円が100円の現実を失った社会」にならないため、ホームレスの人々の支援のため、「ビッグイシュー日本版」を購入することをお勧めします。『世界一あたたかい人生相談』もお勧めです。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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日テレ報道「誤り」、“新たな裏金”証言男性を岐阜県告訴
日本テレビ系の番組「真相報道バンキシャ!」で昨年11月23日に放送された「岐阜県庁で新たな裏金作りが発覚」について、岐阜県は1日、県庁で記者会見し、番組に出演、同県に裏金が存在すると証言した男性について、「こうした事実はなく、証言は虚偽」として偽計業務妨害の疑いで県警に告訴したと発表した。 日本テレビは先月27日、県に対し、男性の証言が事実と食い違っていたことを認めて謝罪した。


【その他の掲示板】
http://www.aixin.jp/axbbs/snt/snt_ind.cgi
2009/03/01 Sun 23:41:01
URL | 愛信 #EBUSheBA[ 編集 ]
>愛信さん:2009/03/01 Sun 23:41:01
コメントありがとうございます。お返事が遅れまして大変申し訳ありません。


>日テレ報道「誤り」、“新たな裏金”証言男性を岐阜県告訴

情報ありがとうございます。

時事通信(2009/03/09-17:35)の報道によると、「日本テレビ系列の番組「真相報道バンキシャ!」が、虚偽証言に基づき岐阜県庁の裏金づくりが続いていると報道した問題で、県警捜査2課などは9日、偽計業務妨害容疑で、証言者の同県中津川市駒場、元土木建設会社役員蒲保広容疑者(58)を逮捕した。
 県警によると、蒲容疑者は容疑を認めている。過去に別の報道番組に匿名で出演し、謝礼を受け取ったことがあり、「小遣いを稼ぎたかった」と話しているという。」とあります。

嘘を付いたこの男性が一番悪いのですが、その人物の証言をよく検証することなく、そのまま飛びついて放映してしまった日本テレビの側も問題があったといえます。

もっとも、日本テレビ系の番組「真相報道バンキシャ!」は、所詮情報バラエティー番組にすぎないのでしょうから、不確かな情報であっても面白おかしく報道できればいいのでしょうね。
2009/03/09 Mon 23:57:56
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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2009/02/25(水) 16:15:20 | 雑談日記(徒然なるままに、。)
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