FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
05« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30.»07
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2009/01/24 [Sat] 23:59:22 » E d i t
米国の第44代大統領に2009年1月20日正午(日本時間21日午前2時)、民主党のバラク・オバマ前上院議員(47)が、憲法の規定により、就任しました。米史上、初のアフリカ系(黒人)大統領であり、副大統領にはジョセフ・バイデン氏(66)が就いています。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成21年1月21日付朝刊1面(14版●)

オバマ米大統領就任 「新たな責任の時代」

■初のアフリカ系 米の再生訴え

 【ワシントン=小村田義之】米国は今、歴史的な瞬間を迎えた。民主党のバラク・オバマ前上院議員(47)は20日正午(日本時間21日午前2時)、連邦議会議事堂前での就任式で、米史上初のアフリカ系(黒人)の第44代大統領に就任した。オバマ氏は就任演説で「今求められているのは、新たな責任の時代だ」と述べ、米国の再生に向けて米国民一人ひとりの協力を求めた。

 200万人以上の大群衆を前にオバマ氏は、「これまで44人の米国人が大統領の宣誓をしてきたが、しばしば雲が集まり、嵐が吹き荒れる中で発せられてきた」と振り返った。そのうえで「そのような時に米国が生きながらえてきたのは、指導者の巧みさや思想だけによってではなく、国民が先人の理想に誠実で、(独立宣言などの)建国時の文書に忠実だったからだ」と指摘。テロ対策を何より最優先させたブッシュ政権時代に傷ついた米国の伝統的な価値観への回帰を呼びかけた。

 米国の現状については「私たちは危機に瀕(ひん)している。我が国は戦時下にあり、経済はひどく衰弱している」との認識を表明。 「この難問は現実のものだ。深刻で数も多い。短期間で簡単には対処できない。しかし、それは解決できる」と語った。

 オバマ氏は「私たちは元気を出し、もう一度自分を奮い立たせて、アメリカを再生する仕事を始めなければならない」と呼びかけた。

 さらに「今求められているのは、新たな責任の時代だ。一人ひとりの米国人が、我々は私たち自身と、我が国、そして世界に対する責任があるのだと認識しなければならない」と述べ、歴史の中で、米国の再生の作業への自覚と参加を呼びかける。

 オバマ氏は演説をこう締めくくる。「米国よ、この苦難の冬の中で、希望と美徳をもって、凍り付いた流れに再び立ち向かい、これから来る嵐に耐えよう。子孫に、我々は試練の中でこの旅を終えることを拒み、背を向けず、ふらつかなかった。そして我々は偉大な自由という贈り物を受け継ぎ、未来の世代にそれを確実に引き継いだと伝えられるようにしよう」

 夜明け前。凍るような寒気の中を、防寒具に身を包んだ人の波が、ワシントンの中心部を目指して続々と動き始めた。郊外では、地下鉄に乗り切れない人が駅の外にあふれた。CNNは「史上最高の200万人規模のように見える」と伝えている。

 この国が直面している大きな課題は、ブッシュ政権の「負の遺産」となった大恐慌以来の深刻な経済危機と、イラク、アフガニスタンの2つの戦争だ。9・11テロの後、ブッシュ大統領を9割が支持して結束した米国民は今、8割がオバマ氏を支持し、この危機を克服しようとしている。だが、いつまでも景気回復の見通しが立たなければ、次第に支持が離れ、政権が失速する可能性も否めない。イラクからの米軍撤退やアフガンへの増派も、成果につながる保証はない。

 オバマ氏は11月の大統領選で共和党のマケイン候補を破り、当選。8年ぶりに民主党が政権を奪還した。異例のスピードで閣僚を選び、国務長官にヒラリー・クリントン氏を指名したほか、国防長官にはゲーツ氏を留任させた。

 午前11時半すぎから始まった就任式は、まず副大統領に就いたジョセフ・バイデン氏(66)が宣誓。続いてオバマ氏が、南北に分裂した米国を救ったリンカーン大統領の聖書に手を置いて宣誓した。リンカーンの奴隷解放宣言から145年、今も人種差別に苦しむ黒人の一人が、超大国・米国の頂に立った。

 オバマ氏の立つ議事堂前から約4キロ先にあるリンカーン記念堂は45年前、黒人解放の父、キング牧師が「私には夢がある」と演説した場所。「肌の色ではなく人格で評価される国」という牧師の夢はこの瞬間、ひとつの大きな節目を迎えた。」




(2) 朝日新聞平成21年1月21日付夕刊2面(4版)

「法の支配」回帰を象徴 副大統領立会人に88歳最高裁判事

 ワシントンの米連邦議事堂前での20日のバラク・オバマ新大統領(47)の就任式で、現役最高齢の「憲法の番人」として役目を果たした最高裁判事がいる。 「変革」を掲げた若き大統領の就任式は、ブッシュ政権で傷ついた「法の支配」への回帰をうたう場でもあった。 (ワシントン=梅原季哉)

 20日正午前、コート姿で蝶(ちょう)ネクタイをしたジョン・ポール・スティーブンス判事(88)が議事堂前の演壇に立った。オバマ氏の前に、職務遂行のための宣誓を行うバイデン新副大統領の立会人として「合衆国憲法を支持し、擁護する」と誓う言葉を先立って読み上げた。

 大統領の宣誓は最高裁長官が立ち会うが、副大統領の立会人に決まりはない。

 スティーブンス判事の最高裁入りは75年。だが今回の起用は、単に最古参だからではない。判事を知る人々は「歴史的な就任式で大切な役割を果たすのにふさわしい人物だからだ」(その下で書記を務めたオクラホマ大学のタイ教授)と象徴的な意味を見て取る。

 00年12月、フロリダ州での大統領選開票の混乱の末、ブッシュ氏の勝利を認定した最高裁判決で、スティーブンス判事は厳しい反対意見を書いた。 「この大統領選の勝者は永遠に分からないかもしれないが、敗者ははっきりしている。この国での『法の支配』の公正な守護者としての裁判所に対する信頼だ」

 ブッシュ氏に代わり、憲法学で教壇に立った経歴を持つオバマ氏が大統領に就任した。最高裁判事はメディアの取材には応じない。その胸に去来した思いは何だったか。

■「敵でも公正に」

 スティーブンス判事の歩みは米国の歴史と重なる。

 オバマ氏の地元でもあるシカゴ出身だ。ホテル王だった父は大恐慌で財産を失った。41年12月、真珠湾攻撃の前日に海軍に志願。情報部の将校として、ハワイで日本軍の暗号解読に携わった。43年4月、山本五十六・連合艦隊司令長官の搭乗機が撃墜された際は当直将校だった。

 戦後、法律家の道を歩み、当時のルートリッジ最高裁判事の下で書記を務めた。米軍の軍事法廷は不当だとした山下奉文将軍の訴訟(46年)など「敵」をめぐる裁判で、公正さの面から疑いを投げかける反対意見を記した判事だ。

 スティーブンス氏はそのうちの1件で47年、草案をつくった。「敵の外国人であっても、真に危険な人物かどうか問われるときは公正な審査を受ける権利が与えられるべきだ」とのメモが残っている。

■対テロ戦に警鐘

 その60年近く後。ブッシュ政権は「テロとの戦い」の戦時下であることを盾に「敵性戦闘員」と見なす人々を無制限に拘束できる場としてキューバ・グアンタナモ米軍基地に収容所をつくった。

 これに「ノー」を突きつけたのがスティーブンス判事だった。04年と06年の2度にわたり、グアンタナモは司法の裁きの枠外ではないと戒める最高裁判決の主文を書いた。

 書記時代、スティーブンス氏は「人種隔離政策は違憲だ」とのメモも記していた。最高裁が教育現場での人種隔離を違憲とした54年の「ブラウン判決」より7年以上前のことだ。

 かつて書記として使えたタイ教授はこういう。 「最高裁判事の中で、オバマ政権に期待される『変革』を最も体現しているのは、実は最高齢のスティーブンス氏だ」」



オバマ米大統領の就任演説で注目したい点として、「法の支配」があります。就任演説にも次のように言及しています。

オバマ米大統領 就任演説要旨 
2009年1月21日

 一、防衛に関し、われわれの安全と理想が二者択一であるとの考えはまやかしであり、否定する。建国の父たちは、想像を超える危機に直面しながらも、法の支配と人権を保障する憲章を起草した。この理想の光は今も世界を照らしており、ご都合主義で手放すことはできない。米国は平和と尊厳を求めるすべての国、男性、女性、子どもの友人である。大都市やわたしの父が生まれた小さな村まで、今日の日を見ている人々に告げたい。われわれはいま一度先頭に立つ用意があると。」(東京新聞平成21年1月21日付夕刊2面


「法の支配と人権を保障する憲章」というのは、合衆国憲法を意味するのですから、「安全」確保の名目で、理想や憲法を軽視してきたブッシュ政権のやり方を否定したのです。

ジョン・ポール・スティーブンス判事(88)が、バイデン新副大統領の立会人として「合衆国憲法を支持し、擁護する」と誓う言葉を先立って読み上げたのも、「法の支配」を回復することを示すものです。

オバマ米大統領は、就任演説において「法の支配」「合衆国憲法」を重視する姿勢を示したことは、日本市民としては実に羨ましい限りです。自民党政権下の首相や自民党は、人権を軽視し、憲法改正を謳うなど、日本国憲法を軽視してばかりなのですから。




2.解説記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成21年1月21日付朝刊1面(14版●)

現実主義へ転換点 アメリカ総局長・加藤洋一

 オバマ氏の大統領就任を迎えた米国は、高揚感に包まれている。初の非白人大統領の誕生を目のあたりにして、多くの国民が合衆国憲法前文にある「より完全な連邦」という理想に一歩近づいたと感じているからだ。

 オバマ氏は昨春、親しい牧師が白人敵視発言を繰り返したことに窮し、人種問題に正面から向き合う演説をした。その題が「より完全な連邦」だった。憲法の中核には法の下の平等な市民権という理想があると指摘、「現実とのギャップを埋める」ために立候補したと明言した。この実現できそうにない民主主義の実験」に成功したという達成感が広がっている。

 ただし、オバマ氏は単なる理想主義者ではない。

 新政権の発足で米国は、ブッシュ前政権の「イデオロギーの時代」から「現実主義の時代」へとかじを切る。

 民主主義を広めるためには武力行使も辞さないとするネオコン(新保守主義)を受け入れたブッシュ氏とは異なり、オバマ氏はリベラルな国際主義者だ。上院議員時代の投票実績も「リベラル」という評価だ。しかしイデオロギーに依拠した政権運営はしないと見られている。 「経済」 「テロ」 「環境」などいずれの課題もリベラル派だけの支持では乗り切れないからだ。

 就任式で祈りをささげる牧師にわざわざ同性婚に反対する保守派を選んだ。予備選で争ったクリントン氏を政権内に取り込んだ。共和党のライバルだったマケイン氏との関係づくりも進めている。

 オバマ氏を知る元米政府高官は「徹底した現実主義者。今はいかにして政権を成功させるかに集中している」。

 オバマ氏に対する米国民の信頼と期待は厚い。背景にあるのは現状への強い不満だ。国が間違った方向に進んでいるとみる国民は約8割。オバマ氏はこの不満を就任した瞬間から背負うことになった。演説でオバマ氏は政府を立て直す考えを示す一方、国民に「責任」と「義務」を説いている。 「責任」は日本など同盟国にも突きつけられる。

 オバマ氏の大統領就任はそれだけで米国史に残る金字塔だ。が、米国政治の大転換にまでつなげることができるかどうか。それは「理想の追求」と「現実主義の政権運営」の成否にかかっている。」



(2) 東京新聞平成21年1月21日付夕刊3面「解説」

責任、国民全体で 変革の前提と強調
2009年1月21日 夕刊

 「私たちが直面する挑戦は新しいかもしれないが、それを乗り越えるために必要な勤勉、正直、勇気、寛容、愛国心といった価値観は(建国当初から)色あせない」-。オバマ新大統領は二十日の就任演説で、合衆国建国の原点に立ち返りつつ、国民一人一人に変革実行に向けた「責任の共有」を求めた。

 背景には、未曾有の経済危機をはじめ米国を取り巻く難問解決が予想以上に厳しくなってきたことがある。

 大統領は選挙戦を通じて国の閉塞(へいそく)感を打開するため「変革」を訴え国民の圧倒的支持を得たが、国民に期待感ばかり強まり、当事者意識が失われることを警戒。

 演説で、経済が疲弊している現状について「欲張りで無責任な一部国民」にだけ責任を負わせずに、「次世代への備えを怠った国民全体の責任」と強調したのもそのためだ。

 大統領はこれまで、米国独立は「普通の人たち」により達成されたと繰り返し強調してきた。この日の演説でも独立戦争の植民地総司令官だったジョージ・ワシントンが、戦況が圧倒的に不利な状況下で植民地に広めた「希望と美徳しかないどん底でも、共通の脅威に直面すれば結束し克服できる」というメッセージを引用した。

 国民の自覚を求める演説としては第三十五代ケネディによる「国が自分のために何をしてくれるのかではなく、国のために自分が何をできるか問おう」とした演説が有名だが、大統領として「責任」を大上段にふりかざすのではなく、国民目線で変革に取り組む意思を強調したかったとみられる。  (ワシントン・岩田仲弘)」


法の支配・合衆国憲法重視の姿勢を示したとしても、それは決して「理想主義者」を示すものではないのです。対テロ戦争・安全のために言いながら憲法を軽視した結果、結局はブッシュ政権下において、テロは全世界に拡散してしまったのですから。

就任演説では、敵か味方か、右か左か、といった分極化させた態度では、現在の状況を打開できないことを、率直に認め、価値観を変えるべきことを強調して見せたように思います。「演説で、経済が疲弊している現状について『欲張りで無責任な一部国民』にだけ責任を負わせずに、『次世代への備えを怠った国民全体の責任』と強調した」のも、誰かの責任に押し付けて済ませることでは、現在の未曾有の経済危機を克服することができないことを示したもののように思います。

「国民の自覚を求める演説としては第三十五代ケネディによる『国が自分のために何をしてくれるのかではなく、国のために自分が何をできるか問おう』とした演説が有名だが、大統領として「責任」を大上段にふりかざすのではなく、国民目線で変革に取り組む意思を強調したかったとみられる。」(東京新聞)


今、ケネディ大統領の「国のために自分が何をできるか問おう」ということを演説で述べてしまうと、どうしても国民が国のために「重い責任」を尽くせと求めることになりかねません。「今求められているのは、新たな責任の時代だ。一人ひとりの米国人が、我々は私たち自身と、我が国、そして世界に対する責任があるのだと認識しなければならない」と述べ、米国の再生の作業への自覚と参加を呼びかけているものの、 「責任の共有」を求めた(東京新聞の解説)といった意味合いなのだと思うのです。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

政治問題 *  TB: 0  *  CM: 0  * top △ 
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/1683-3b8852ee
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。