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2009/01/10 [Sat] 16:29:00 » E d i t
東京・日比谷公園の「年越し派遣村」に集まった約500人のうち、生活保護の受給を希望していた272人全員に8、9の両日、受給決定が出ています(東京新聞)。また、「年越し派遣村」から都内4施設に移った元派遣労働者らの滞在期限が1月12日となっていることについて、「派遣村」の実行委員会は、都内2カ所の旅館を借り上げ、250人分の宿泊場所を16日まで確保したと9日発表しました(朝日新聞)。

これで、(「年越し派遣村」に集まった人たちについては、)人が人として生きていくために最低限必要とされる、金銭と住居が確保されることになりました。
追記:朝日新聞の「製造業派遣解禁『止められず申し訳ない』 広島労働局長」という記事を引用しました。)


1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成21年1月10日付朝刊25面

再起「次は職」 「派遣村」申請全員に生活保護
2009年1月10日 朝刊

 職と住居を失った派遣労働者らを支援する「年越し派遣村」に集まった約五百人のうち、生活保護の受給を希望していた二百七十二人全員に八、九の両日、受給決定が出た。今も約三百人が身を寄せる施設の使用期限が十二日に迫る中、アパートを借りるのに必要な敷金・礼金も生活保護で賄われることになった。途方に暮れていた労働者らは「次は仕事探し」と再出発に向けて踏み出した。 (橋本誠、出田阿生)

◆元手得て「個人の戦い始まる」

 大みそかに派遣村が開設された東京・日比谷公園のある千代田区には二百二十二人が生活保護を申請。五日に都内四カ所の公共施設に分散したため、中央、練馬、大田区にも計五十人が申請した。

 九日午後、千代田区役所。今月分十二万円余りの生活保護費を受け取った元派遣労働者の男性(46)は「光が見えてきた」と、安堵(あんど)の笑顔をみせた。職探しと雇用促進住宅の申し込みのため、ハローワークへ向かった。

 男性は昨年十月、派遣先の神奈川県厚木市の自動車部品工場で契約を打ち切られ、派遣会社の寮も追われた。ネットカフェを転々とし、大みそかに東京・新宿で派遣村のチラシをボランティアから受け取った。「あの時、受け取っていなかったらどうなっていたか」としみじみと話した。

 勤め先が倒産し、家賃滞納でアパートを出たという男性(36)は、半年ほど漫画喫茶などを泊まり歩いた。住所不定で就ける仕事はアルバイトや日雇い派遣だけ。正社員になるのはあきらめていた。

 「家があれば仕事を探すことができる。派遣村に参加できて幸運だったが、派遣村に来た人以外にも家を失った人は大勢いる。期間限定でいいから住居を手当てしてほしい」

 七年前から日雇い労働で暮らす男性(60)は「生活保護を受けられるなんて知らなかった。アパートが決まったので、シルバー人材センターで仕事を探したい」と笑顔を見せた。

 東京・山谷地区で段ボールを敷いて年を越した男性(36)は「だらしない生活だったのでこれからは自立したい。派遣村の村長が『これからは各個人の戦いです』と言っていた。おんぶに抱っこではなく自分の力で住居を勝ち取る」と話していた。

◆住居支援行政は周知不足

 生活保護の受給が決まった人に朗報となったのは、アパートを借りる際の敷金・礼金も支給されることだ。これは特例ではなく、もともと制度として生活保護の住宅扶助に含まれている。だが、現状は住居のない生活困窮者が生活保護を申請しても、窓口で制度の説明を受けることはまずないという。

 この制度では、敷金・礼金のほか、保証人がいない人の保証会社への手数料など計二十七万九千円まで受給できる。生活保護に詳しい渡辺恭子弁護士によると、実際には「申請が受理されても自立支援施設や簡易宿泊所に収容されることが多い」という。

 制度の説明をしないだけでなく、新宿区で路上生活していた男性(58)が昨年、区に生活保護を申請したが、アパートの入居を希望したため却下されたという事例すらある。

 派遣村に来た男性(36)も「過去に何回か生活保護を申請したが『住所がないとだめ』と受給できなかったこともあった」と証言。渡辺弁護士は「窓口でなかなか申請を受け付けない『水際作戦』によって、生活保護制度は本来の運用がなされていない」と批判する。

 住居確保の扶助金を知らない人が圧倒的に多い背景には、生活保護費を抑制したい行政側の作為すら感じさせる。就職や自立に住居は不可欠だ。行政は早急に制度を広く知らせ、制度にのっとった運用をすべきだ。 (菊谷隆文)」



都内2旅館借り上げ

 「年越し派遣村」実行委員会は9日、現在寝泊りに利用している都内4ヶ所の公共施設の使用期限が12日に切れるため、16日まで東京都内の2ヶ所の旅館を借り上げ、250人分の部屋を確保したと発表した。12日に引っ越しを行い、引き続き就労や住居確保のための支援を続ける。

 旅館の宿泊代金は集まったカンパで賄う。」


 イ:こうした記事を読むと、年始年末に「年越し派遣村」が開村されて、本当に良かったと思います。ネットカフェを転々とし、大みそかに東京・新宿で派遣村のチラシをボランティアから受け取った、派遣労働者の男性は、「あの時、受け取っていなかったらどうなっていたか」としみじみと話しているのです。

トヨタ自動車やキヤノンなど日本を代表する大手製造業16社が、突如として計4万人もの派遣労働者や期間従業員を大量解雇し、職も住まいも失った人たちが大量に生じました。内部留保の合計額が33兆6千億円にも積み上がっているのにもかかわらず。

こうした路頭に迷う人々が多数生じている深刻な事態に対して、「年越し派遣村」という行動が生じるまで、自民党・麻生政権は、現実的な対策をほとんど何もしない状況であり、対策に必要とされる第2次補正予算案は、今年、平成21年になってからで足りるとしていたのです。

大手製造業16社や麻生政権が、日本の市民を見捨てている現実に対して、「年越し派遣村」は、幾らかでも麻生政権や行政を動かしたという意義があったのです。「『派遣村』の申し入れで、厚生労働省が講堂を開放したことや、『派遣村』の人たちの今後の衣食住についても政府が一定の責任を持たざるを得なくなった」のですから(2009年1月10日(土)「しんぶん赤旗」)。


 ロ:ただし、今までの行政のあり方については、疑問を差し挟んでおくべきあり、改善するべきだとの声を上げるべきです。

 「生活保護の受給が決まった人に朗報となったのは、アパートを借りる際の敷金・礼金も支給されることだ。これは特例ではなく、もともと制度として生活保護の住宅扶助に含まれている。だが、現状は住居のない生活困窮者が生活保護を申請しても、窓口で制度の説明を受けることはまずないという。

 この制度では、敷金・礼金のほか、保証人がいない人の保証会社への手数料など計二十七万九千円まで受給できる。生活保護に詳しい渡辺恭子弁護士によると、実際には「申請が受理されても自立支援施設や簡易宿泊所に収容されることが多い」という。

 制度の説明をしないだけでなく、新宿区で路上生活していた男性(58)が昨年、区に生活保護を申請したが、アパートの入居を希望したため却下されたという事例すらある。

 派遣村に来た男性(36)も「過去に何回か生活保護を申請したが『住所がないとだめ』と受給できなかったこともあった」と証言。渡辺弁護士は「窓口でなかなか申請を受け付けない『水際作戦』によって、生活保護制度は本来の運用がなされていない」と批判する。

 住居確保の扶助金を知らない人が圧倒的に多い背景には、生活保護費を抑制したい行政側の作為すら感じさせる。就職や自立に住居は不可欠だ。」


今までの行政は、住居がない人たちに対して生活保護を拒否していました。しかし、住居のない生活困窮者と、住居のある生活困窮者を比較した場合、住居のない生活困窮者の方が生活保護が必要なのは明らかです。住まいがないということは、住まいにかかる資金さえないほど生活に困っており、特に冬の時期に路上生活となれば、直ちに生存が脅かされるのですから

アパートを借りる際の敷金・礼金も支給されることも、「これは特例ではなく、もともと制度として生活保護の住宅扶助に含まれている」のにもかかわらず、「住居のない生活困窮者が生活保護を申請しても、窓口で制度の説明を受けることはまずない」のですから、行政側は、行政としてなすべき説明義務を故意に怠っていたのです。

より生活に困窮している者を厚く保護することこそ、生存権(憲法25条)を保障する憲法に適うものなのであり、真っ当な行政を行うよう、(政権交代するまでの間は仕方がないので)自民党・麻生政権や、行政に改善を求めていくべきです。


(2) 朝日新聞平成21年1月10日付朝刊35面「景気ショック ゆらぐ足元で」(13版)

「職を家を」急ピッチ 都内4施設12日まで
2009年1月10日1時32分

 東京・日比谷公園の「年越し派遣村」から都内の施設に移った元派遣労働者らに、生活保護費の支給が決まった。「まずは住まいを」「何としても働きたい」。それぞれの思いを胸に、再出発の準備が急ピッチで進んでいる。

■250人に生活保護

 「派遣村」を出た元派遣労働者ら約250人に対し、東京都千代田区や練馬区などは9日までに、生活保護費の支給を決めた。都や中央区が用意した4施設の入所期限は12日で、その後は「派遣村」実行委員会が16日まで宿泊できる施設を確保したという。

 千代田区は207人に支給を決めた。すでに、1カ月分の生活費と住宅費として1人あたり10万5千~13万1千円を支給し、出身地に戻る人への交通費などを含めると、全体の支給額は計2763万7106円になった。

 通常は申請から決定まで2週間程度かかるが、千代田区は資産や親族の調査などは後回しにして支給を急いだという。一斉に支給を決めた理由について、厚生労働省社会・援護局は「特定地域で大量の人がほぼ同時に保護申請したことや、入居施設の使用期限があるなど特別な事情があったため、集中的かつ優先的に支給した」と説明している。

 派遣労働者には、失業した場合に保険金が給付される雇用保険に加入していない人が多い。労使折半のため、会社側が負担を嫌ったり、1年以上の期間加入しないと給付されない仕組みのために加入しなかったりするからとされる。派遣村に集まった人にも雇用保険に入っていない人が多かったという。

 東京都によると、4施設では、毎日計300人前後が寝泊まりしている。全員が男性で、年齢は40歳未満、40代、50代がそれぞれ3割程度、1割強が60歳以上だという。

 厚労省は4施設にハローワークの臨時窓口を設け、都内を中心に旅館や運輸業、土木など4千件の寮付きの就職先を紹介。8日夜までに計125人から相談を受けた。即決した人もいたが、「また追い出される不安がある」と避ける人もいた。近隣のハローワークに出向く人も多く、「就職が決まった人数は把握できていない」という。」



■「とりあえず、一歩」

 「再出発できそうです」

 東京都中央区の小学校跡「十思(じっし)スクエア」の体育館で寝泊まりしていた長崎県出身の男性(43)は、生活保護費が受給できることになった。週明けにも、都内のアパートに入居するという。

 昨年11月末、月給15万円ほどで約3年間働いた滋賀県の自動車工場で、派遣の仕事を打ち切られた。「寮もすぐに出てほしい」と言われ、12月1日に職探しに上京した。

 渋谷区内のネットカフェに宿泊し、ハローワークに毎日のように足を運んだ。しかし、40代以上の求人は少なかった。求人雑誌も読んだ。「年齢不問」と書いてあった飲食店に電話をかけ、年齢を告げると、あっけなく「無理ですね」と言われたという。昨年のうちに職を得ることはできなかった。

 東京での職探しをあきらめかけてきたとき、新聞で東京・日比谷公園の「派遣村」の記事を読んだ。年明けの2日、「派遣村」に入った。

 厚生労働省内の講堂から中央区が用意した小学校跡に移り、6日に東京労働局が現地で開いた就労相談窓口に行った。そこで都内の警備会社の求人に申し込んだ。当初は準社員だが、試用期間を過ぎれば正社員になれるという。

 住民票が取れ次第、面接を受ける。「生活保護に甘えるわけにはいかない。何としても働きたい」と言った。

 千代田区役所で生活保護費を受け取った男性(46)も、ほっとした様子だった。「とりあえず、やっと一歩が出たかな、という感じ。今まで手も足も出なかったので……」

 関東地方の建設現場に派遣されていた。一昨年までは生活は困らなかったが、昨年の夏過ぎから仕事が減り、12月には働ける日は週に2日ほどしかなくなった。その後、住む場所を失い、24時間開いているファストフード店やネットカフェなどで過ごした。

 生活保護の申請は「よほどの人しかしないものだ」と思っていた。しかし、まとまった金もなく、住居探しもままならない状況に追い込まれ、覚悟を決めて申請した。

 12日以降は実行委員会が確保した施設に移り、住まいや仕事を見つける予定だ。「35歳を過ぎると仕事の募集も一気に少なくなる。でも、何とかめどをつけたい」

 昨年9月まで建築関係の仕事をしていた男性(55)は「助かりました」と、生活保護受給決定の書類を握りしめた。しかし、すぐには働けそうにない。「今までの無理が重なって、腰が痛くて体がボロボロなんです」。しばらくは休養するという。(大隈崇、大井田ひろみ)」


 イ:朝日新聞の記事は、東京新聞と異なり、「今までの行政は、住居がない人たちに対して生活保護を拒否していた」という問題点の的確な指摘ができていない点で物足りなさが残ります。


 ロ:朝日新聞では、短期間のうちに、一斉に支給決定した理由についても触れています。

「一斉に支給を決めた理由について、厚生労働省社会・援護局は「特定地域で大量の人がほぼ同時に保護申請したことや、入居施設の使用期限があるなど特別な事情があったため、集中的かつ優先的に支給した」と説明している。」


朝日新聞の記事により、理由は分かったことは評価したいと思います。しかし、「年越し派遣村」という行動があってこそ、こうした結果が生じたことこそ、強調するべきであるように思います。


 ハ:朝日新聞の記事は、物足りなさが残ることは確かですが、「年越し派遣村」について、大きく紙面を割いて記事にしていたのは、朝日新聞と東京新聞だけであって(地域面(東京)でもかなり触れています)、こうした点だけでも高く評価するべきです。

他方で、「年越し派遣村」について、読売新聞、毎日新聞、日経新聞では、いつもごくわずかに触れるだけです。読売新聞に至っては、「年越し派遣村」の記事よりも、福袋に並ぶ人々や有名幼稚園のお受験で並ぶ人々を取材した「並んで並んで」というくだらない連載記事を大きく扱っていました。これでは、読売新聞は、「年越し派遣村」を揶揄しているのではないか(例えば、「貧乏人は飢えて死ね」など)、とさえ思えるほどです。

国民の知る権利(憲法21条)に奉仕せず、くだらない記事を優先させる報道機関は、存在意義がないように思われます。




2.最後に。

(1) 東京新聞平成21年1月8日付夕刊7面「大波小波」

リストラのしっぺ返し

 アメリカのビッグスリーをも脅かしたトヨタが、円高不況で業績を大幅に下方修正してからというもの、たちまち日本はリストラの嵐に突入した。親亀コケたら小亀孫亀曾孫(ひまご)亀まで皆コケたというわけで、トヨタに続いて各自動車関連企業は前代未聞の規模で操業縮小と人員整理に乗り出した。年の瀬の時期に突然契約を打ち切られ、あるいは明日は我が身かと不安に怯(おび)える従業員は恐ろしい数に上る。

 政府は景気回復に躍起だが、妙案は出そうにない。そもそも自動車産業にとっては車が売れなければ話にならない。しかるに海外だけでなく、国内においても売り上げは減少しているという。特に若者のクルマ離れが深刻だ。それはそうだろう。将来に不安を抱える人間が、わざわざ高額なローンを組んで新車を購入したがるわけがない。就職不況で派遣契約にならざるを得なかった若い従業員を、情け容赦もなくリストラするような社会では当然だろう。

 そんな情勢を率先して作り出したのは、トヨタをトップとする自動車産業である。自らの「合理化」のしっぺ返しを食らっていることになる。経営陣は自分たちの給料を減らしてでも若者たちの職を守る姿勢を見せたらどうか。それが本当の「理」だろう。 (自転車派)」



(2) 朝日新聞平成20年7月22日付夕刊1面

非正規雇用頼み、生産性の停滞に 労働経済白書
2008年7月22日12時55分
  
 企業が競争力強化のために進めた正社員の絞り込みとパート・派遣など非正規雇用の拡大が、かえって生産性の上昇を停滞させている――。厚生労働省が22日発表した08年版「労働経済の分析」(労働経済白書)はこう指摘した。その上で、日本型の長期雇用に戻って人材育成に力を入れ、1人の生み出す付加価値を高めることが、人口減少社会で経済発展を持続させるカギと提言した。

 今年の白書は、労働力がどれだけ付加価値を生み出したかを示す労働生産性の推移と、就業者数や非正規労働者の割合との関係に着目した。

 もともと生産性が低いサービス業での非正規雇用急増と、生産性が高い製造業での正社員削減の結果、「低生産性部門は温存され、全体の労働生産性にマイナスの影響を及ぼしている」と分析した。実際、全体の労働生産性の伸び(年率換算)は70年代の4%、80年代の3.4%に比べて、90年代は1%、00年代も1.7%と低迷している。

 サービス業では90年代から00年代にかけて就業者数が年率換算で2.6%増え、就業者に占める非正規労働者の割合は24.6%(92年)から39.4%(07年)に拡大した。この間、生産性上昇率は年1.9%から0.5%に低下。白書は「(非正規雇用の増加は)コスト削減には有効でも、労働者の職業能力の向上を通じた生産性向上にはつながりにくい」と指摘した。

 一方、製造業は90年代から00年代にかけて、総生産の増加率が年0.5%から2.9%へと加速。生産性上昇率も2.3%から4.5%に伸びた。だが、正社員の絞り込みで就業者数は年1.2%減から1.9%減へと減少が加速した(非正規労働者の割合は17.7%から22.9%に拡大)。白書は「生産性の伸びは就業者の削減により実現した」と分析したが、この手法には限界があり「持続性を持った生産性の向上としては評価しがたい」と苦言を呈した。

 また、「高い生産力を担う労働者は、企業の中で豊富な職務経験を積み重ねながら育成される」として、企業に長期的な視点に立った人材育成を求めている。(生田大介)」



(3) 非正規雇用の問題についての報道を読むたびに、不思議でなりません。

 「政府は景気回復に躍起だが、妙案は出そうにない。そもそも自動車産業にとっては車が売れなければ話にならない。しかるに海外だけでなく、国内においても売り上げは減少しているという。特に若者のクルマ離れが深刻だ。それはそうだろう。将来に不安を抱える人間が、わざわざ高額なローンを組んで新車を購入したがるわけがない。就職不況で派遣契約にならざるを得なかった若い従業員を、情け容赦もなくリストラするような社会では当然だろう。

 そんな情勢を率先して作り出したのは、トヨタをトップとする自動車産業である。自らの「合理化」のしっぺ返しを食らっていることになる。」(東京新聞)


 イ:極めて低賃金で雇用されている非正規労働者にとっては、元々、高額なローンを組んで新車を購入することができません。また、住まいをも失ってしまうような非正規労働者を突如として大量解雇する企業が横行するのですから、正社員にとっても、将来に不安を抱えることになり、「わざわざ高額なローンを組んで新車を購入したがるわけがない」のです。しかも、自動車を購入すれば、維持費もかかるのですから、購入しておしまいになるわけではないのですから。

また、世論の後押しもあって、交通事故事犯については厳罰化が進み、死傷事故を起こせば、運転者自身の生涯が崩壊し、家族も崩壊する事態に陥ります。ある意味、自動車を購入し運転することは、一生を賭けて自動車を運転するのかどうかという岐路に立たされているのです。そんな無謀な博打をする人が、今後日本社会において、どれほど増えるというのでしょうか。交通事故事犯の厳罰化がある限り、日本で自動車の販売が拡大する可能性はきわめて低いのです。


 ロ:厚生労働省は平成21年7月22日、2008年版の労働経済白書を発表しました。白書では、「正社員になれずにやむをえず非正規雇用として働いている人が増えており、不安や不満が高まっている」としており、「企業が競争力強化のために進めた正社員の絞り込みとパート・派遣など非正規雇用の拡大が、かえって生産性の上昇を停滞させている」と指摘しています。

小泉政権下において、非正規労働規制を緩和した結果、大企業において非正規労働者が増加しました。確かに、非正規雇用は目先のコスト削減には有効であり、役員報酬の増加には役立ったのですが、結局は、職業能力を高めず、労働生産性向上にはマイナスだったのです。

すでに昨年7月の時点で、労働生産性向上にはマイナスであったと指摘されていたのですから、この点でも、非正規雇用の拡大は疑問視されていたのです。ですから、白書でも指摘しているように、働きがいのある社会を実現するため、正規雇用を拡大し、(非正規労働者の)賃金を上昇させる必要があるのです。


 ハ:東京新聞のコラムが、トヨタ自動車は「自らの『合理化』のしっぺ返しを食らっていることになる」と指摘したように、トヨタ自動車など自動車産業が非正規雇用を拡大させたことは、結局は「自分で自らの首を締めていた」のです。

日本国内で自動車が売れない原因は、低賃金の非正規雇用の拡大など誰の目にも明らかなのに、なぜ、これらの企業が「自分で自らの首を締め続けている」ことに気がつかないのか、不思議でなりません。これらの企業は、自分で自らの首を締め続けていることにいつ気付くのでしょうか? 窒息死(=倒産)するまで気が付かないのでしょうか? 

少なくとも、自民党は、「自分で自らの首を締め続けている」企業を支援する意図を明確にしています。自民党は、職も住まいも失う「派遣切り」に対する規制に対して否定的なのですから。

製造業の派遣労働、規制に慎重=自民幹事長

 自民党の細田博之幹事長は6日午前の記者会見で、舛添要一厚生労働相が製造業への派遣労働を認める労働者派遣法の規定見直しに言及したことに関し「全面的に禁止すれば、需要が回復してきた時に臨時で雇用しようとしてもできない。利害得失を検討する必要がある」と述べ、慎重な検討が必要との考えを示した。(時事通信:2009/01/06-12:39)」


「需要が回復してきた時」とは一体、何年先のことでしょうか? その間、職も住まいも失っている人が大量に生じても放置するつもりなのでしょうか? 「需要が回復してきた時」にまた対応すればよいと考えれば足りるとなぜ、考えないのでしょうか? 自民党の細田博之幹事長は、日本の市民の命のことなぞ、何も保護する気がないとしか、思えません。

「年越し派遣村」を含む非正規労働問題は、「自民党・麻生政権は、日本にとって害悪そのものである」、ということを多くの市民の心に深く刻み込んだといえます。




<追記>

asahi.com(2009年1月6日22時11分)の記事を引用しておきます。

製造業派遣解禁「止められず申し訳ない」 広島労働局長
2009年1月6日22時11分

 厚生労働省広島労働局の落合淳一局長は6日、広島市で開かれた連合広島の旗開きで、製造業への労働者派遣が解禁されることになった03年の労働者派遣法改正をめぐって「申し訳なかった」と発言した。

 落合局長は来賓あいさつで「制度を作ったのはだれか、といわれると、内心忸怩(じくじ)たる思いがある。(厚生労働)大臣が見直しに言及しているので、私がここで言ってもクビにならないと思う」と前置きし、「私はもともと問題がある制度だと思っている。しかし、市場原理主義が全面的に出たあの時期に、労働行政のだれか一人でも、職を辞して止めることができなかったか、ということには、私は小輩、軽輩であるが、謝りたいと思っている」と述べた。

 さらに「派遣労働者は同じ職場の仲間と認識すべきだ。(雇用を)中途解除してはいけない。中途解除と期間満了とは異なる、と声を大にして指導したい」と語り、解雇された派遣労働者の住居確保などについて連合広島にも協力を求めた。

 落合局長は朝日新聞記者の取材に対し、法改正当時は(厚労省の)賃金時間課長で改正には関与していないと話した。発言の意図について「大臣に代わって大言壮語しようとは思わないが、今日の(派遣労働者の解雇や住宅問題の)一因が役所にあると、役所の誰かが認めなければいけないと思った」と説明した。」


現在の状況をもたらしている行政の失策について、行政側は、素直に認めて謝罪することはほとんどありません。しかし、厚生労働省広島労働局の落合淳一局長「今日の(派遣労働者の解雇や住宅問題の)一因が役所にあると、役所の誰かが認めなければいけない」として、声を上げる稀有な人物であるようです。


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2009/01/11(日) 09:45:32 | 虎哲徒然日記
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