FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
04« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»06
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2009/01/04 [Sun] 23:58:53 » E d i t
仕事や住居を失った派遣労働者らを支援するため、東京・日比谷公園に年始年末に開設された「年越し派遣村」の行方は、次のようになっています。


1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年1月4日付朝刊27面

迫る仕事始め 『衣食住確保を』 膨らむ派遣村 生活保護申請も次々
2009年1月4日 朝刊

 派遣契約打ち切りなどで仕事や住居を失った人たちに宿泊場所や食事を提供する「年越し派遣村」(東京・日比谷公園)は三日、開設から四日目を迎え、これまで約百七十人が千代田区に生活保護を申し込んだ。派遣村の実行委員会は、最終的に申請は二百人を超えるとみている。

 派遣村には同日午後も失業者らが次々と訪れ、この四日間で四百人を突破。うち約二百五十人が宿泊している東京・霞が関の厚生労働省の講堂は、仕事始めに当たる五日から使用できなくなるため、派遣村の実行委員会は厚労省に、五日以降の衣食住の確保など六項目にわたる要望書を提出した。

 厚労省に対しては民主、共産、社民、国民新の野党四党も三日、「東京以外でも同様の状況が起きており、本格的な対応を求める」などと申し入れた。

 実行委によると、要望書提出の際、厚労省社会・援護局の幹部は「雇用政策の結果による“災害”だという認識か」との問い掛けに「そういう気持ちです」と答えたという。

 例年、野宿者の支援活動が行われている横浜市中区の寿町にも前年の一・五倍の人が集まり、今年は三十-四十代が激増している。これまでは六十代が中心だったという。

 支援団体「寿支援者交流会」の高沢幸男事務局長によると、この年末年始に寿町周辺で市民団体や行政の支援を受けている人たちは四百人を超えた。二十歳の若者や三十代前半の女性までいる異変が起きているという。

 高沢事務局長は「ハローワークで『寿町に行けば支援が得られる』と言われて来た若者もいる。民間の方が動きが早いから協力できれば利点もあるが、権限も資金も与えず、困っている人に『行け』というだけとは無責任だ」と指摘している。」



(2) asahi.com(2009年1月4日21時55分)

都内4カ所500人分の宿泊場所確保 年越し派遣村
2009年1月4日21時55分

 「派遣切り」などで仕事と住まいを失った人たちに寝場所と食事を提供する東京・日比谷公園の「年越し派遣村」は4日、昨年12月31日の開村から5日間で500人近い人が入村登録をした。派遣村は仕事始めの5日朝に活動を終えるため、実行委員会が厚生労働省などと調整した結果、5日から12日まで、都内4カ所の公共施設に500人分の宿泊場所を確保することになった。

 実行委によると、移動先は中央区の廃校になった小学校2カ所と、大田区の一時保護施設など。派遣村の入村者のうち、希望者は5日に、日比谷公園や厚労省の講堂から、公共施設に移動する。ボランティアが日比谷公園で行っていた炊き出しも5日朝で終わるため、食事は弁当を提供してもらうという。

 これまで東京都内の自治体は、派遣切りされた人への住宅提供などの対策が遅れていたが、派遣村実行委員会や厚労省からの要請に、応じた形だ。

 厚労省が2日に開放した講堂で2晩を過ごした男性(47)は4日朝、「また、路上に放り出されれば、凍死してしまう。国には何とかして欲しい」と訴えるなど、入村者の間には5日以降の行き先が決まらないことへの不安が高まっていた。新たな寝場所が確保されたことで、入村者の間にはホッとした空気が流れた。

 4日午後には「村民集会」も開かれ、民主党の菅直人代表代行や国民新党の亀井久興幹事長、新党大地の鈴木宗男代表ら野党各党の幹部も参加した。

 連日、職と住まいを失った多くの人たちが押し寄せる事態に、社民党の福島瑞穂党首は「これは政治災害であり雇用災害だ」と指摘。共産党の志位和夫委員長は「政治の責任で衣食住を確保しなければいけない」と話した。

 5日は通常国会が開会するため、入村者らは同日正午過ぎから、派遣切りされた労働者らの仕事や住居の確保を求め、国会へのデモ行進を計画している。その後に議員会館内で集会を開き、与野党に派遣切りの実情を訴えて対策を講じるよう求める予定だ。

 派遣村の入村者のうち約170人が生活保護の申請を希望しており、5日に一斉に手続きに入る。

 このため、東京都千代田区は5日朝から、同区役所1階の区民ホールに臨時窓口を設け、職員OBも動員して生活保護の申請に訪れる人の相談に応じる。正式決定するまでには2週間程度かかる見込みだという。」


「年越し派遣村」にきた人たちは、そのうち「250人」は東京・霞が関の厚生労働省の講堂で宿泊していたのですが、どうやら1月5日以降、ホームレス化するのが避けられることになりました。

「日比谷で年始年末を生き抜く―年越し派遣村」「厚生労働省と東京都が500人分の住と食を保障と決定!」によると、「都内4カ所の公共施設」とは、中央区京華スクエア体育館、中央区十思スクエア体育館、東京都石神井学園用体育館、山谷地域越年越冬対策宿泊援護事業なぎさ寮となっています。これで、野外でない場所で、短期間であっても1月5日以降も住と食(弁当)(500名分)が確保されることになりました。

「開設から四日目を迎え、これまで約百七十人が千代田区に生活保護を申し込んだ。派遣村の実行委員会は、最終的に申請は二百人を超えるとみている」(東京新聞)ようです。しかし、本来なら、路頭に迷う前に、また、「年越し派遣村」に来るまでもなく、生活保護を受けていていいはずなのです。いかに政治(自民党・麻生政権)や行政(国レベル)が何もしていないか、を如実に表しています。

派遣村の集会で、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「こうした状況は、労働者を簡単に使い捨てできる政策のミスによって引き起こされた人災。国は救済する責務を果たすべきだ」と訴えています(2009/01/04 21:56 【共同通信】)。まさにその通りでしょう。




2.東京新聞平成21年1月3日付朝刊10・11面では、「新春対談」として、政治学者・姜尚中さんと、作家・雨宮処凛さんの対談記事を掲載しています。

新春対談 生きる手法~格差と貧困を越えるために

 仕事も家もなくした人たちが街にあふれている。右肩上がりの経済成長、バブル、新自由主義の弱肉強食を経てたどりついた2009年、日本の寒々しい正月風景だ。厚生労働省の予測では、派遣など非正規雇用者の解雇は今年3月までの半年間で3万人に達する。かつて神聖だったはずの労働の姿も、社会のセーフティーネットも、人々の助け合いの心までゆがんで、格差と貧困が広がっている。明るい展望は見えない世界同時不況の中、私たちは何から考え直し、何をつくり出していけばいいのか―。現代人の生き方を問う『悩み力』が昨年ベストセラーとなった政治学者・姜尚中さんと、フリーターなど仕事も生活も不安定な人々の労働生存運動に取り組む作家・雨宮処凛さんが語り合った。」


「年越し派遣村」の現状から分かるように、一挙に多数の人たちが職も住まいもなくして路頭に迷う現実は、あまりにもおかしいことです。こうした現実に対して、この「新春対談」は深く考える材料を与えてくるものですので、紹介しておきたいと思います。なお、対談内容は、<1>■雇用崩壊、<2>■非正規労働者の結集、<3>■ネットワーク、という3つの項目に分けて紙面構成していましたので、便宜上、3つの項目に分けて引用しておきます。



(1) ■雇用崩壊。

■雇用崩壊

――若者の難民化 泥沼――

――繰り返される棄民――

 雨宮 昨年6月ごろから自動車関係などで派遣労働者が数百人単位で切られ始めました。今は派遣会社に来る仕事自体も急減し、製造業の派遣を切られた人が日雇い派遣に流れ、少ない仕事を奪い合っている。住む場所をなくした人でネットカフェが満員とか、日本人フリーターが日系ブラジル人労働者より安い給料で働いているという話も聞きます。

  僕はずっと前から「日本の若者の在日化」と言ってきましたが、今の状況を雨宮さんはもっとラジカルに「難民化」と言っていますね。僕は2005年に移民暴動があったフランスのシテを取材して驚きました。失業率が40%―50%。みんなフランス語しかしゃべれないのに、肌の色がちょっと違うだけで職がない。犬猫扱いで、ゲットー(強制収容所)のようだった。人種問題や移民問題として語られているますが早晩、日本も近い状況になってくるのでは?。

 雨宮 プレカリアート(注1)も今はまだ、親が働いていたり、親の貯金や年金でやっていける層がある。でも10年後、親が死んだり病気になれば、そういう場所を作り出すかもしれない。実際、ネットカフェなどに何日も滞在し、所持金10円くらいで逮捕されるケースが相次いでいます。

  かつて、日雇い労働者が集まる山谷、あいりん地区などの寄せ場は、何はともあれそこに入れば生きていけました。格安で鍋料理なども用意されていた。

 雨宮 ネットカフェでは本人もほかの客に気付かれないようにして、情報交換もできない。

  企業がコストカットして、働く人たちの生活の面倒をみようとしない。

 雨宮 製造業派遣の構図と同じです。月収30万円の求人広告で例えば愛知に来る。工場近くの3LDKアパートに初対面の3人で入れられ、家賃は1人3、4万円。実際の家賃より高く、そこでも会社がもうける。光熱費、カーテンのレンタル費、作業服代などいろいろ引かれて結局残るのは11万円ぐらい。さらに2―3ヶ月の短期契約で、いきなり切られる。知らない街で仕事と住む場所を同時に失う。交通費は自己負担で、帰るお金もなくネットカフェへ。住所がないから日雇い派遣しかできず、お金がたまらず抜け出せない。

  昔の出稼ぎ労働は、家族あるお父さんが一般的だったが、今の若者は単身者で帰属意識も違うし、彼らがどこでどうなっているかという追跡もできない。

 雨宮 派遣同士で結婚して家族を持つ人もいます。「託児所あり」の求人広告もある。でも料金が高く、働いてもマイナスになる。そういう中で虐待も起きている。3ヶ月ごとに働き先を移り、夜勤、日勤を繰り返す生活で、お金もたまらない。夜中に泣かれ、虐待し、殺してしまったケースもある。住民票を移していないから、地域の機関や行政もかかわれない。いずれは子どもを学校に行かせることも問題になる。

  ワイドショーをにぎわす虐待事件は氷山の一角。「母性が失われた」と責める傾向があるが、貧困の問題が大きい。

 雨宮 そうですね。一番の原因は貧困、経済的問題です。

 ◆ ◇ ◇ ◆

  僕は1970年代後半にヨーロッパに2年ほどいたのですが、当時のイタリアやドイツが今の日本に近い感じがする。中高年を失業させないために、それまでもてはやされていた若者にどーんとしわ寄せが行った。一方、当時の日本は若者が消費の王様だった。それがバブル崩壊後、ITが進み日本の高卒、大卒以上のスキルをインドあたりに丸投げできるようになった。資本や国にとって、若者は何の富ももたらさない余計者、お荷物という見方が支配的になってしまった。

 雨宮 最近は中国やインド、タイに日本のフリーターが派遣されています。時給300円、渡航費もビザも自腹で、着いた瞬間に借金を背負う。月収5万円、家賃や光熱費やらで月5万8千円ほどかかり、働けば働くほど借金が増える。現地採用すると教育が必要だから、日本で「海外で働けます」「中国語が学べます」と宣伝し、行き場がないフリーターは「スキルが磨かれるかも」と飛びつく。実際は現地での中国語授業は週1回で、1年以内にやめると罰金5万円。ひどい現実です。

  恐ろしいことですね。ある種の「棄民」です。僕が生まれた熊本ではかつて三井三池闘争があった。石炭から石油へとエネルギー政策が大転換し、多くの労働者が棄(す)てられた。ドイツに留学した時、彼らが東ドイツの炭鉱で働き、その3世や4世がいることに驚いた。棄民は50、60年代から続いている。南米に送り出したり、戦前の満州も同じ。日本という国は慢性的に過剰人口で、資源がないという強迫観念がある。今起きていることは突拍子もなく出てきたのではなく、地下茎のようにつながっている。

 雨宮 日本でも使い棄てられている人たちが、海外でもだまされる。

  日本の人口1億2千万人のうち、多くの人が考えているのは、まず高齢者をどうするか。そこで、代替可能な単純労働をする若者が高齢化すると、社会的コストと富が垂れ流されるだけだという発想をする人がいる。余計者としての若者をどうするかと。話は飛びますが、1959年から80年代に、10万人近くの在日が北朝鮮に帰国した。最新の史料によると、そこには余剰人口で生産性に貢献しない犯罪者予備軍を外に出そうという考えがあった。いつの時代も、お国を上から見ている人は同じ発想をするんです。

 雨宮 いらない人間は出て行けと。

  それも若者の在日化の1つかと。僕は79年ごろ日本に帰ってきたけれど、在日は住宅ローンも組めず、公団住宅にも入れなかった。解禁されたのは80年代でした。」


1点のみ触れておきます。

雨宮 最近は中国やインド、タイに日本のフリーターが派遣されています。時給300円、渡航費もビザも自腹で、着いた瞬間に借金を背負う。月収5万円、家賃や光熱費やらで月5万8千円ほどかかり、働けば働くほど借金が増える。現地採用すると教育が必要だから、日本で「海外で働けます」「中国語が学べます」と宣伝し、行き場がないフリーターは「スキルが磨かれるかも」と飛びつく。実際は現地での中国語授業は週1回で、1年以内にやめると罰金5万円。ひどい現実です。

  恐ろしいことですね。ある種の「棄民」です。僕が生まれた熊本ではかつて三井三池闘争があった。石炭から石油へとエネルギー政策が大転換し、多くの労働者が棄(す)てられた。ドイツに留学した時、彼らが東ドイツの炭鉱で働き、その3世や4世がいることに驚いた。棄民は50、60年代から続いている。南米に送り出したり、戦前の満州も同じ。日本という国は慢性的に過剰人口で、資源がないという強迫観念がある。今起きていることは突拍子もなく出てきたのではなく、地下茎のようにつながっている。」


まさかここまでやっているとは、と多くの人が驚いたと思います。外国に派遣され、「着いた瞬間に借金を背負う」形では、帰国費用がなくて日本に帰ることができません。(日本大使館などに駆け込んで、大使館側は費用負担をしてくれるのか定かではありませんが。) 

姜尚中さんによると、こうした今ある「棄民」の現実は、「50、60年代から続いている」のですから、日本では、棄民をずっと繰り返しているようです。もう、「棄民」を止めるべきです。



(2) ■非正規労働者の結集。

■非正規労働者の結集

◆助け合いしかない

◆必要なのは居場所


 雨宮 25歳まで私もフリーターでした。2年ほど前、フリーターがホームレス化し始めたと聞き、初めてフリーター系メーデーに参加した。そこで、それまで取材していた自殺の問題も、個人の問題だけでなく新自由主義的な価値観が無関係ではないと気付いた。デモの若者約200人が「家賃が払えない」「働いても働いても月収12万。結婚もできない」と叫んだら、3人逮捕された。貧乏人が「生きさせろ」と言って逮捕される。何かがおかしいと感じ、フリーター全般労働組合(注2)の賛助会員になって運動を始めました。

  先日、麻生邸ツアー(注3)の抗議集会にちょっとだけ顔を出したんですが、雨宮さんは入り口で受付をやっていましたね。参加者は「やっとこういう場をみつけた」という喜びで肩を抱き合い、同志的結合があった。

 ◆ ◇ ◇ ◆ 

 雨宮 2006年には全国3、4ヶ所だったプレカリアート系メーデーが、08年は東京、札幌、熊本など全国14ヶ所と増えています。参加者は東京だけでも千人。今年は100ヶ所で開きたい。そういう拠点、居場所をつくれば自殺もだいぶ減るんじゃないかと。

  居場所という言葉は印象的です。居場所がないのが一番つらいから。僕は大学時代、同じ境遇(在日)の人たちと学生運動をやり始めて、初めて自分の居場所が見つかった。キーワードは居場所ときずな。それがないと自暴自棄、暴発に追い込まれる可能性がある。自殺もそう。自殺した7割の人は直前までいろんな形で相談し、頑張って生きようとしているという調査結果もある。

 雨宮 秋葉原の無差別殺傷事件も暴発ですね。

  あの事件で、ある新聞社は「どうせ死ぬなら人に迷惑をかけないで死ね」という趣旨のことを書いていた。あんなメッセージしか社会が出せないとしたら、社会が病んでいると思う。

 雨宮 あれはショックでした。今厳しい状態の人に、死ねと言うのと同じ。ショックだというメールが派遣労働者からいっぱい来ました。でも、ああいうことを言う上の世代の人は非常に多いです。いわゆる若者論ですね。「ゲーム脳」だとか。

  どうして若者をモンスター化するようにして見るんだろう。知識人やジャーナリストにも結構多いんですよね。雨宮さんと交流のある若者たちは、労働や将来の生活をどう描いていますか。

 雨宮 まず年収300万円目標の人が多い。現状はフリーターで平均120万円、派遣が約200万円。あと「クビにならない」「3ヶ月契約ではない仕事に就く」。かっこいい仕事でなくていい、単純労働でも必要ならやるから、せめて正社員にしてくれと…。

  一番望んでいるのは持続可能な職場、一番困るのはお金がないことですね。

 雨宮 はい。お金がないと病院にも行けない。フリーター労組に相談に来る人には、家のない人も多い。その上、サラ金に200万円借金があるとか。

 ◆ ◇ ◇ ◆

  かつては公的な最小限度のセーフティーネットがあったのに、いつの間にか自己責任論が増えた。雨宮さんたちの労組は相互扶助的な組織になっていますか。

 雨宮 家のない人にネットカフェ難民支援のNPOを紹介し、生活保護申請に同行し、住所を与える。それで日雇い派遣以外の仕事もしやすくなる。多重債務も法律家に相談する。いろんな問題に取り組まざるを得ないので「労働生存組合」と言っています。全員がボランティアです。

  地方自治体や政府などのサポートがほとんどないまま、みなさんが立ち上げているんですね。

 雨宮 非正規労働者数人で始めた組合が全国ですごく増えています。2人いれば労働組合をつくれるという情報が広まり、自分たちにこそ労組が必要だと分かってきた。ニートや引きこもりの人などのたまり場っぽくもなっています。ニートや引きこもりは(人間らしく働ける場がないという)労働問題だと。精神科で治らなかった心の病が、労働運動を始めたら一気に良くなった人もいる。社会が悪いのだと気づき、元気になるんです。

  運動を続けていけばかなりのものになるという手応えはありますか。

 雨宮 この2年でも大きく変わりました。(派遣会社の)グッドウィルの廃業は、運動がなければあり得なかった。当事者がデータ装備費という名の給与天引きを告発し、集団訴訟を起こしたのが大きかった。秋葉原の事件の時に、背景として派遣労働の問題が論じられたのも、運動の効果かなと思う。」


1点のみ触れておきます。

雨宮 家のない人にネットカフェ難民支援のNPOを紹介し、生活保護申請に同行し、住所を与える。それで日雇い派遣以外の仕事もしやすくなる。多重債務も法律家に相談する。いろんな問題に取り組まざるを得ないので「労働生存組合」と言っています。全員がボランティアです。

  地方自治体や政府などのサポートがほとんどないまま、みなさんが立ち上げているんですね。

 雨宮 非正規労働者数人で始めた組合が全国ですごく増えています。2人いれば労働組合をつくれるという情報が広まり、自分たちにこそ労組が必要だと分かってきた。ニートや引きこもりの人などのたまり場っぽくもなっています。ニートや引きこもりは(人間らしく働ける場がないという)労働問題だと。精神科で治らなかった心の病が、労働運動を始めたら一気に良くなった人もいる。社会が悪いのだと気づき、元気になるんです。

  運動を続けていけばかなりのものになるという手応えはありますか。

 雨宮 この2年でも大きく変わりました。(派遣会社の)グッドウィルの廃業は、運動がなければあり得なかった。当事者がデータ装備費という名の給与天引きを告発し、集団訴訟を起こしたのが大きかった。秋葉原の事件の時に、背景として派遣労働の問題が論じられたのも、運動の効果かなと思う。」


みなで連帯して立ち向かっていくことの大切さがうかがえます。雨宮処凛さんが「(派遣会社の)グッドウィルの廃業は、運動がなければあり得なかった」と述べていますが、それも連帯した成果といえます。

雨宮処凛さんは、いろんな問題に取り組まざるを得ないので「労働生存組合」と述べています。この言葉は、既存の「労働組合」で対処できないほど、社会及び行政から疎外された状況にある人たちが多数いることを示しています。



(3) ■ネットワーク。

■ネットワーク

――社会的「公」の創造――

――自己責任論の払拭――

  アメリカは、社会的セーフティーネットを完備しないと国全体が成り立たないところまで追い込まれ、オバマ政権誕生につながりました。日本は政府も経済界もメディアも、年金や失業手当、低所得者対策に目が向いていない。社会的助け合いのネットワークをおろそかにすれば、市場自体の崩壊につながっていくのだから、アメリカを教訓としなければいけないのに。

 雨宮 政治的につくられた不安定や貧困から、個人の努力ではい上がるのは難しい。なぜ政治が変わらないか疑問です。

  日本は助け合いが本当に他人事(たにんごと)になっている。

 雨宮 運動の現場では「お互いさま」「助け合い」の精神が大きいです。一昨年、「反貧困たすけあいネットワーク」(注4)という互助ネットワークができた。フリーターが月会費300円を払えば、けがや病気になった場合に2万円を借りられます。本当は国がやるべきですが、「こういうモデルがある」と国に示す意味もあります。

  2003年に取材に行った当時のアルゼンチンは、ペソ暴落で国家破たんしていました。ある日突然に預金封鎖され、お金を引き落とせず、生活できない。崩壊する中産階級の家庭を訪れると、ある人は「これは緩やかにやってくる大量虐殺だ」と言った。私がそこで感じたのは、社会が壊れたときは助け合いしかないということ。彼らは助け合いのために、物々交換をするための「交換クラブ」をつくった。そのための地域通貨も発行した。「公」とは自分たちでつくるものだと初めて知った、と言っていた。雨宮さんたちがやっていることは、社会的公を打ち立てることなんだ。

 雨宮 昨夏のG8の時は、世界30ヶ国からプレカリアートが集まり、反G8の共同キャンプをした。世界連帯でもう1つの公をつくり出している雰囲気がありました。

  グローバル化で問題が世界中に飛散している分、「自分たちは一人じゃない」という意識が生まれつつある。

 ◆ ◇ ◇ ◆

 雨宮 例えば韓国でも日本と同じ状況があり、非正規雇用率は日本より高い。世界中で同じ現象があると知らせることは、日本の無理解な人が唱える「自己責任論」を払拭(ふっしょく)する一つの突破口かなと。今も私のところに「人に迷惑をかけたくないから死にます」というメールが来ます。小さいころから学校や親に「迷惑をかけるな」と言われてきたし、明日の生活費もないので死にますと。それは違う、迷惑はかけ合っていいと言っていかなきゃいけないと思います。

  特に日本の場合は「人に迷惑をかけない」という徳が足かせになっている。権利を主張することは相成らん、死ぬなら一人で死ねというような。

 雨宮 市場競争に勝ち残れないやつは迷惑かけずに死んでくれみたいな。03年にネット心中が起き始め、その「死のための連帯」はすごいショックでした。

  僕が最近若者について話すのは、罪滅ぼしの意味もあるんです。60歳近くになって、これから路頭に迷うことは多分ない。僕らの時代は右肩上がりの時代だった。今の若者はその経験もなく、相互扶助のネットワークからも引きずりおろされ、牙を剥(む)くと、一斉攻撃される。上の世代はなぜそんな若者バッシングに走るのか。

 雨宮 親が非正規労働の子どもを「うちの息子はなぜダメなんだ」と罵倒(ばとう)しまくっているケースも多いです。「なぜ日本は大切な息子をこんなふうに使い捨てるんだ」と一緒になって社会に怒ってくれればいいのに、子どもに怒りが向いている。ちょっとした理解で救われる人は多いと思う。

  昔、僕は「存在が意識を規定する」とするマルクス主義者に対し、自由がある以上そう簡単に意識は規定されない、と論戦したことがあります。秋葉原事件の加藤被告がなぜ最後の一線を越えたかを考えるときも、彼が置かれた社会的状況抜きには語れないが、彼には自由があるからこそあの行動に出た。その自由を、もしかしたら他のものに切り替えられたかもしれない。

 雨宮 一緒に労働生存運動をするとか。

  雨宮さんたちの運動が、人間の生き方の新しい創造につながっていくといい。

 雨宮 言うことをきかない、というのが1つのスローガンです。会社に入っても言うことをきいていたら過労死してしまうし。

  簡単に従順になるなと。いい意味であまのじゃくでいいということですね。

 雨宮 職場での正規、非正規のような分断は、会社で始まったことではありません。子どものころから競争ベースの人間関係しかなくて、一人でも多く人を蹴(け)落とすように教えられてきた。それに疲れた人がそういう所から解放される場を、運動を通じてつくったという感じはします。

 ◆ ◇ ◇ ◆

  なるほど。僕もさっき話したアルゼンチンの人の「身の丈で自由に生きたい」という言葉に感動しました。大きいものや先端的なものでなく、身の丈にあった技術が人を幸せにするという考え方。日本も昔は「生活綴(つづ)り方運動」などがあった。みんなでそういうものを創造するところまでいけるといい。

 雨宮 渋谷や新宿で、トラックにスピーカー乗せて音楽をかけ、みんなで踊りながらデモをやっています。500人で始めると沿道から人が加わり、倍になる。何の意味があるんだと言う人もいるけれど、そういう光景を突然路上に出現させること自体が重要だと思う。

  そう思う。日本はこの20年で都市がこんなにきれいになったけれど、そこに人々を沸き立たせるようなものが途切れて久しい。若者の鼓動が聞こえない。ソウルに行くと、地下鉄に物売りがくる。ニューヨークだと「おれがホームレスになったのはこういう理由だ」と演説をぶつ人がいる。日本は細かいところで順法意識がものすごく強い。僕は食えない人は勝手に物を売ったりとかしていいと思う。社会にもの申すことを根っこから刈り取って無菌状態にしてしまうと、社会が自家中毒を起こし、ひどい結果になります。」



■「身の丈」で生きよう 姜尚中さん・政治学者

 姜尚中(カン・サンジュン)=政治学者。1950年、熊本県生まれ。早稲田大大学院政治学研究科博士課程修了。国際基督教大准教授などを経て、現在は東京大大学院情報学環教授。テレビの討論番組などにも登場し、冷静な語り口と明確な発言で知られる。著書には「マックス・ウェバーと近代」「オリエンタリズムの彼方へ」「在日」など専門分野のほか、自らの生き方も率直に語る「悩む力」「ニッポン・サバイバル」など。千葉県在住。

■迷惑かけ合っていい 雨宮処凛さん・作家

 雨宮処凛さん(あまみや・かりん)=作家。1975年、北海道生まれ。愛国パンクバンドのボーカルとして活動した後、2000年に「生き地獄天国」で作家デビュー。生きづらさや自殺、戦場などをテーマに小説やエッセーの執筆を続ける。近年はプレカリアート問題で取材・執筆、運動を展開。フリーター全般労働組合賛助会員、反貧困ネットワーク副代表など。著書に「自殺のコスト」「生きさせろ!難民化する若者たち」ほか。東京都在住。」



注1 プレカリアート 「不安定な(伊precario)プロレタリアート」という意味の合成語。派遣労働など非正規雇用者や失業者のほか、零細自営業者など不安定な就業状態の人々を指す。

注2 フリーター全般労働組合 電03(3373)0180。

注3 麻生邸ツアー 08年10月26日、フリーター全般労組などが主催し、東京都渋谷区の麻生首相の私邸見学イベントを実施。「無届デモ」などとして3人が逮捕された(その後、不起訴)。逮捕への抗議集会が開かれた。

注4 反貧困たすけあいネットワーク事務局 電03(5395)3807。首都圏青年ユニオンと自立生活サポートセンター・もやい(NPO)の共同企画。」


1点のみ触れておきます。

雨宮 例えば韓国でも日本と同じ状況があり、非正規雇用率は日本より高い。世界中で同じ現象があると知らせることは、日本の無理解な人が唱える「自己責任論」を払拭(ふっしょく)する一つの突破口かなと。今も私のところに「人に迷惑をかけたくないから死にます」というメールが来ます。小さいころから学校や親に「迷惑をかけるな」と言われてきたし、明日の生活費もないので死にますと。それは違う、迷惑はかけ合っていいと言っていかなきゃいけないと思います。

  特に日本の場合は「人に迷惑をかけない」という徳が足かせになっている。権利を主張することは相成らん、死ぬなら一人で死ねというような。(中略)

 雨宮 親が非正規労働の子どもを「うちの息子はなぜダメなんだ」と罵倒(ばとう)しまくっているケースも多いです。「なぜ日本は大切な息子をこんなふうに使い捨てるんだ」と一緒になって社会に怒ってくれればいいのに、子どもに怒りが向いている。ちょっとした理解で救われる人は多いと思う。

  昔、僕は「存在が意識を規定する」とするマルクス主義者に対し、自由がある以上そう簡単に意識は規定されない、と論戦したことがあります。秋葉原事件の加藤被告がなぜ最後の一線を越えたかを考えるときも、彼が置かれた社会的状況抜きには語れないが、彼には自由があるからこそあの行動に出た。その自由を、もしかしたら他のものに切り替えられたかもしれない。

 雨宮 一緒に労働生存運動をするとか。

  雨宮さんたちの運動が、人間の生き方の新しい創造につながっていくといい。

 雨宮 言うことをきかない、というのが1つのスローガンです。会社に入っても言うことをきいていたら過労死してしまうし。

  簡単に従順になるなと。いい意味であまのじゃくでいいということですね。

 雨宮 職場での正規、非正規のような分断は、会社で始まったことではありません。子どものころから競争ベースの人間関係しかなくて、一人でも多く人を蹴(け)落とすように教えられてきた。それに疲れた人がそういう所から解放される場を、運動を通じてつくったという感じはします。」


日本国憲法では、生存権(憲法25条)が保障されているのですから、「自己責任論」により、「明日の生活費もないので死にます」という理屈は、憲法に不適合であって、不合理な論理です。雨宮処凛さんは「迷惑はかけ合っていい」と述べていますが、憲法25条からすれば、その通りといえるでしょう。憲法25条は、金も職も住まいもない状況にあれば、国に生活保障を請求できることを人権として認めているのですから。

雨宮処凛さんは、「『なぜ日本は大切な息子をこんなふうに使い捨てるんだ』と一緒になって社会に怒ってくれればいいのに、子どもに怒りが向いている」と、今の親の姿勢を批判しています。社会から疎外されている子を、親までもが棄ててしまってどうするのでしょうか。別に「違法行為を子供とともに煽動せよ」というのではなく、「正当な権利なのだから主張するべきだ」というだけのことです。国に対して、また、低賃金で雇用し、理不尽な解雇を行う企業に対して、真っ当な怒りをぶつけるべきです。

過剰な「自己責任論」や過剰な「順法意識」から脱却することが求められています。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
本年も宜しくお付き合い下さいませ。
http://www.videonews.com/on-demand/0401410/000818.php
福岡先生の「自然に無駄な局所など無い」、そして“生、科学、そして美”についてのお話。
宮台の語る、美徳=virture=感染力(無私な凄い人に惹かれる気持ち)というギリシャ哲学的世界観。

強さは異質を許容する寛容から、寛容は強さから生まれるもの、との確信を心の支えに、今年も何とか生きて行こう、と思いますです。
2009/01/09 Fri 22:41:33
URL | rice_shower #UXr/yv2Y[ 編集 ]
>rice_showerさん:2009/01/09 Fri 22:41:33
あけましておめでとうございます。
こちらこそ、今年も宜しくお願いします。


>強さは異質を許容する寛容から、寛容は強さから生まれるもの、との確信を心の支えに、今年も何とか生きて行こう

至言ですね。弱い心では、異質なものを受け止める余裕がなく、寛容であることができないはずです。寛容であることは強さをもたらすことになるのでしょう。rice_showerさんの「確信」は、私も心に深く刻み込んでおきたいと思います。

ただ、人の心・精神は脆いものであり、いつも強くあったり、寛容であったりすることは難しいのが現実です。時には(寛容さに欠けた言動により)ぶつかり合い、その中で互いの理解を深め、理解しあっていくことでも良いのではないかと、思います。


福岡伸一先生のお名前が出ているので、申し訳ないのですが、昨年のコメントに戻って触れてみます。

>rice_showerさんの「2008/12/30 Tue 10:28:20」でのコメント
>福岡伸一先生の『生物と無生物のあいだ』は近年読んだ本の中でも、Top 5に入れたい本です。
>純人文系のわりには物理学とか生物学とかには、そこそこ明るい方だと自負(“思い上がり”とも言う)しているのですが、“諸行無常、万物流転”はやはり真理だな、と再確認させてもらいましたから
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-1589.html#comment3437

今月「生物と無生物のあいだ」を購入して、読みました。確かに、rice_showerさんが「近年読んだ本の中でも、Top 5に入れたい本」というに相応しい内容ですね。生物が生きている限り、分子は変化してやまない、変化こそが生命の真の姿である(164頁)という生物の本質は、“諸行無常、万物流転”に繋がりますね。

本書の核心部分は、おそらくは「ノックアウトマウス」のエピソードなのでしょう。あの偉人扱いされている野口英世の点も興味深いですが。内容はもちろんのこと、論理の流れや文章力は実に見事であったことも魅力的でした。

福岡伸一先生の「生物と無生物のあいだ」は、知ってはいたものの、今まで読んではいませんでした。 rice_showerさんがコメントで触れてくださったので、大変良い本に接することができました。ありがとうございます。
2009/01/13 Tue 01:35:28
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/1659-030ff24e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
  御用始め・仕事始めの皆さまに。   謹賀新年・本年も宜敷くお願い致します!   当  ブ  ロ  グ  へ  の     皆様のご支援に感謝致します! ありがとう!        最悪の状況とは、        最悪の選択肢しかないことで?...
2009/01/05(月) 12:20:02 | 晴天とら日和
??????Τ???? ä? ?西?Ų??? ????Τ??? by 47news 嵭????...
2009/01/09(金) 22:48:02 | ?û
????å??Ĥ
2009/01/14(水) 15:26:10 | ?
?α???Ĥ?ξ?
2009/07/15(水) 10:00:53 | ?α?
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。