FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
05« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30.»07
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2008/12/30 [Tue] 23:59:19 » E d i t
全国の地・高裁と最高裁で今年言い渡された死刑判決は27件で、昨年より19件少なかったことが明らかになりました。一方で、今年の死刑執行は5回計15人(昨年9人)と急増しており、しかも、今年死刑が確定したのは10人(昨年23人)であったことから、今年の死刑確定者を上回る執行がなされたのです。


1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年12月29日付朝刊22面

死刑判決27件に減少 確定者100人 執行は15人と急増 今年の集計
2008年12月28日 21時35分

 全国の地・高裁と最高裁で今年言い渡された死刑判決は27件で、昨年より19件少なかったことが28日、共同通信の集計で分かった。殺人と強盗が不況のどん底だった2003年をピークに減少していることを反映し、死刑判決の増加傾向が止まった形だ。今年死刑が確定したのは10人(昨年23人)で、現在の確定者は100人。

 一方、今年の死刑執行は5回計15人。確定者を上回り、10人以上の執行は1976年以来。死刑廃止国が増え、国連で死刑停止決議などが相次ぐ中で、突出した執行急増国となっている。

 集計は最高裁、法務省の統計と関係機関・団体への取材に基づく。

 今年の死刑判決のうち地裁は、長崎市長射殺事件の城尾哲弥被告(61)ら5件で、地裁の死刑判決が1けたにとどまったのは99年以来。

 高裁判決は、最高裁で無期懲役が破棄され、審理が差し戻された山口県光市の母子殺害事件の元少年(27)ら14件。暴力団組長ら3人射殺事件の高見沢勤(被告(53)は2月に前橋地裁で、12月には東京高裁でそれぞれ死刑を言い渡された。

 最高裁判決はオウム真理教元幹部林泰男死刑囚(51)、山口県下関駅15人殺傷事件の上部康明死刑囚(44)ら8件。

 死刑判決の合計件数は03年以降、30-40件台で、昨年は集計のある80年以降最多の46件。しかし、03年に1452件あった殺人が昨年は戦後最少の1199件となり、強盗も昨年は03年より約3100件少ない4567件に減った。

 今年の死刑確定者は最高裁判決を受けた被告のほか、控訴や上告を取り下げた2人。宝石商ら強盗殺人事件の元警察官沢地和夫元死刑囚=当時(69)=ら2人が獄死した。

 確定者100人のうち12月5日現在55人が再審を請求し、12人が恩赦を出願している。」



(2) 毎日新聞平成20年12月29日付東京朝刊24面

死刑判決:今年は27人 昨年より19人減、厳罰化は変わらず

 今年1年間に全国の裁判所で死刑を言い渡された被告は27人だったことが、毎日新聞の調べで分かった。最高裁にデータがある80年以降で最多の46人だった昨年から大幅に減少した。重大事件数の減少などが理由とみられるが、被害者が1人の殺人事件や少年事件で死刑が言い渡されるなど議論を呼ぶ判決が目立ち、厳罰化の流れに変化はなさそうだ。

 27人の内訳は▽1審5人▽控訴審14人▽上告審の最高裁で8人。主な判決では▽山口県光市の母子殺害事件で殺人罪などに問われた当時18歳の元少年(4月22日、広島高裁)▽伊藤一長・前長崎市長射殺事件の城尾哲弥被告(5月26日、長崎地裁)▽埼玉・本庄の保険金殺人事件の八木茂死刑囚(7月17日、最高裁)など。

 光市事件では、少年への死刑適用が争われた。市長射殺事件は、強盗や身代金目的誘拐などでない被害者1人の事件で死刑が選択された。最高裁が83年に死刑選択の判断要素9項目を示した「永山基準」やその後の判例に照らし、量刑に議論を呼ぶ判決が目立った。

 死刑判決を受けた被告数は80年以降、年間5~23人だったが、01年に30人に達した。その後は▽02年24人▽03年30人▽04年42人▽05年38人▽06年44人▽07年46人--と増え続けていた。【北村和巳】

毎日新聞 2008年12月29日 東京朝刊」


■死刑判決をうけた被告人数の推移

・99年―――16人―――獄死者1人
・00年―――16人
・01年―――30人
・02年―――24人
・03年―――30人―――獄死者2人
・04年―――42人―――獄死者1人
・05年―――38人
・06年―――44人
・07年―――46人―――獄死者1人
・08年―――27人―――獄死者2人」

(*毎日新聞平成20年12月29日付東京朝刊24面と、東京新聞平成20年12月29日付朝刊22面の図表を参考にしたもの。)



(3) 毎日新聞 2008年12月22日 東京朝刊

死刑執行:今年15人、確定者上回る 9年ぶり、加速鮮明

 今年1年間に死刑を執行された人数が、9年ぶりに年間の死刑確定者数を上回ることが確実になった。21日までに15人が死刑を執行された一方、死刑判決の確定者は10人。厳罰化の流れや確定死刑囚の増加を背景に、刑執行を加速する法務省の姿勢が鮮明になった。

 法務省の統計によると、99年は5人に死刑が執行された一方、確定者数は4人で、執行者数が上回ったが、00~07年の執行者数は1~9人、確定者数は2~23人で推移し、執行者数が下回っていた。

 だが、今年の死刑執行は鳩山邦夫元法相下で3回(2月3人、4月4人、6月3人)、保岡興治前法相下で1回(9月3人)、森英介法相下で1回(10月2人)と、ほぼ2カ月に1回のペースで計5回行われた。このうち連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤死刑囚は判決確定から2年4カ月で執行され、確定から執行までが短期化していることも特徴だ。

 一方、今年の死刑確定者は▽オウム真理教事件の林泰男死刑囚(51)=3月確定▽静岡・三島の女子短大生焼殺事件の服部純也死刑囚(36)=同▽埼玉・本庄の保険金殺人事件の八木茂死刑囚(58)=8月確定▽下関駅通り魔事件の上部康明死刑囚(44)=同=ら10人。

 年間の死刑確定者数は04年の14人以降、05年11人、06年21人、07年23人と2けたに乗り、年末時点の確定死刑囚数は05年の77人から急増し、現在は100人だ。【北村和巳】

毎日新聞 2008年12月22日 東京朝刊」




2.これらの記事は、<1>死刑判決は昨年より大幅に減少(今年27件、昨年46件)したけれど、<2>死刑執行数は大幅に増加し(今年15人、昨年9人)、確定者数10人を上回ってしまったというものです。

(1) まず、なぜ、死刑判決は昨年より大幅に減少(今年27件、昨年46件)したのでしょうか?

 イ:東京新聞の記事には、その理由が挙がっています。

 「全国の地・高裁と最高裁で今年言い渡された死刑判決は27件で、昨年より19件少なかったことが28日、共同通信の集計で分かった。殺人と強盗が不況のどん底だった2003年をピークに減少していることを反映し、死刑判決の増加傾向が止まった形だ。(中略)
 死刑判決の合計件数は03年以降、30-40件台で、昨年は集計のある80年以降最多の46件。しかし、03年に1452件あった殺人が昨年は戦後最少の1199件となり、強盗も昨年は03年より約3100件少ない4567件に減った。」(東京新聞)


確かに、凶悪事件が減少していることは、死刑判決が減少した原因の1つといえるとは思います。ですが、凶悪事件が今年、急激に減少したわけではないのですから、死刑判決が20件近くも減少した理由にはなっていないように思われます。


 ロ:今年は死刑判決が減少したとはいえ、今後も厳罰化の流れは変わらないとの指摘もあります。

「被害者が1人の殺人事件や少年事件で死刑が言い渡されるなど議論を呼ぶ判決が目立ち、厳罰化の流れに変化はなさそうだ。」(毎日新聞平成20年12月29日付東京朝刊24面)


厳罰化の流れになっているのか否かは、死刑判決の増減だけで判断するのではなく、凶悪事件全体の傾向で判断するものです。ですから、「被害者が1人の殺人事件や少年事件で死刑が言い渡される」判決が、1、2件あったぐらいでは、「厳罰化の流れに変化はなさそうだ」という判断はできません。

とはいえ、世論の意識としては、依然として厳罰化の要請は強いのですから、そういう意味において、「厳罰化の流れに変化はない」といえそうです。



(2) 次に、なぜ、死刑執行数は大幅に増加し(今年15人、昨年9人)、確定者数10人を上回ってしまったのでしょうか?

 イ:毎日新聞は次のような理由を挙げています。

「厳罰化の流れや確定死刑囚の増加を背景に、刑執行を加速する法務省の姿勢が鮮明になった。」(毎日新聞 2008年12月22日 東京朝刊)


今年の裁判所の姿勢とは異なり、行政である法務省の方は、「厳罰化の流れや確定死刑囚の増加を背景に」して、是が非でも執行しようとする姿勢が出ています。これこそ、世間で蔓延する復讐感情や、体感治安の悪化に基づく不安感こそが、その法務省の態度を後押ししているように思われます。


 ロ:これに対して、「2008.12.11 Web posted at: 21:22 JST Updated - CNN/AP USA」によると、米国では死刑執行数は減少し続けています。

死刑執行数が減少、2008年は37人 米NPOの報告

ワシントン──米国で2008年、死刑を執行された死刑囚は37人で、1994年以来、14年ぶりに最少を記録したことが非営利組織(NPO)の死刑情報センター(DPIC)の報告で分かった。

年内に死刑判決を受けたのは、残り期間での予想数を含め、111人と推計している。

DPICによると、今年の執行数は2007年の42人から12%減少し、06年からは30%減った。死刑判決数は昨年の115から減っており、1998年からは60%以上も少なくなった。

米国で現在、死刑制度があるのは36州。今年、執行された37人のうち、33人は南部州だった。特にテキサス州が突出して多く、半数の18人を占めた。

今年になって死刑制度を廃止したのはニュージャージー州で、メリーランド州でも来年中に廃止する見込み。また、死刑制度を導入している州でも、仮釈放がない終身刑を死刑の代わりに言い渡している州も増えており、ここ10数年で死刑数は減少し続けている。」


こうして米国は、(比較して日本よりも死刑判決・執行数が多いとはいえ、)死刑判決・死刑執行数を減少し続けているのです。それなのに、なぜ、日本だけが死刑執行数を急増させているのでしょうか。世間で蔓延する復讐感情や、体感治安の悪化に基づく不安感を払拭させる必要があるように思います。



3.国連では、昨年初採択された死刑執行の一時停止(モラトリアム)を求める決議を再確認し、停止国が増えている現状を歓迎する決議を賛成106、反対46、棄権34で採択しています。

(1) 朝日新聞平成20年12月19日付夕刊2面

北朝鮮の人権「深刻な懸念」 4年連続で国連決議
2008年12月19日10時31分

 【ニューヨーク=松下佳世】国連総会は18日、本会議を開き、北朝鮮の人権状況に「非常に深刻な懸念」を示し、拉致問題の早期解決を求める日本主導の決議を賛成94、反対22、棄権63の賛成多数で採択した。同様の決議の採択は4年連続。

 個別の国の人権問題は国連人権理事会で扱うべきだとの意見が増えたこともあり、賛成票は過去最多だった前回を7票下回った。

 また総会は同日、昨年初採択された死刑執行の一時停止(モラトリアム)を求める決議を再確認し、停止国が増えている現状を歓迎する決議を賛成106、反対46、棄権34で採択した。死刑制度が存続している日米や中国は反対した。」



(2) 毎日新聞 2008年12月21日 東京朝刊

国連:死刑執行の一時停止を求める決議案採択 日本は反対

 【ニューヨーク小倉孝保】国連総会は18日、死刑執行の一時停止などを求める決議案を賛成多数で採択した。決議採択は2年連続。日本は昨年に続き反対した。賛成国は昨年より2カ国増えた。

 決議案は欧州連合(EU)やオーストラリア、イスラエルなどが提案した。賛成は106カ国。反対は日本や米国、中国など46カ国(昨年54カ国)、棄権は34カ国(同29カ国)だった。

毎日新聞 2008年12月20日 20時12分」



(3) 死刑判決の減少につき、国連で、昨年初採択された死刑執行の一時停止(モラトリアム)を求める決議が影響しているかどうかはわかりません。ですが、日本国憲法は国際強調主義を採用している以上、「昨年初採択された死刑執行の一時停止(モラトリアム)を求める決議を再確認」した点を、日本の司法関係者も重視する必要があるように思います。

また、国連の自由権規約委員会は2008年10月30日、勧告はまず、日本の死刑制度について〈1〉死刑執行が増加している〈2〉執行することを本人に告知してから執行までの時間が短すぎる〈3〉高齢者や、精神状態が正常でない死刑囚が執行対象となっている――などと懸念を表明し、日本政府に対し死刑制度の廃止を「世論調査と関係なく、前向きに検討すべきだ」と勧告する審査報告書を発表しています(「国連の自由権規約委員会が「最終見解」を公表~合計34項目にも及ぶ詳細な評価・勧告」(2008/11/03 [Mon] 23:27:02)参照)。

日本が参加した国連での決議、そして、日本が批准している人権規約での、人権規約委員会の勧告が歴然と存在する以上、条約の誠実な遵守を要求する憲法98条2項からすれば、国連決議や人権規約委員会の勧告を尊重するべきではないかと思うのです。ですから、死刑廃止に至らないまでも、死刑判決を一層減少させ、死刑執行数は減少させることが求められているように思います。

テーマ:死刑 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
各新聞の記事を読んで
東京新聞、毎日新聞の記事は、死刑廃止国が増え、国連で死刑停止決議が相次ぐ中で、突出した死刑急増国になっていること、従来なら死刑判決が回避されていた事件当時18歳1か月の少年への死刑判決等、厳罰化は変わらないことなど事実を正確に報道しています。
朝日新聞の記事は、国連の死刑停止決議ではなく北朝鮮の人権の決議を記事の見出しにするなど、死神の記事を一部の人から抗議されたことによりすっかり萎縮してしまい、報道機関としての公正さ、良心が問われます。

国際社会は死刑廃止、死刑停止へと向っています。
アメリカでも今年の死刑執行数は最少を記録したことが報じられています。
その中で、異常なまでの厳罰化、死刑急増国へと向う日本は異様であり、時代に逆行しています。
2008/12/31 Wed 16:33:11
URL | いい #-[ 編集 ]
>いいさん:2008/12/31 Wed 16:33:11
コメントありがとうございます。


>朝日新聞の記事は、国連の死刑停止決議ではなく北朝鮮の人権の決議を記事の見出しにするなど、死神の記事を一部の人から抗議されたことによりすっかり萎縮してしまい

朝日新聞は、「死に神騒動」以来、すっかり死刑問題自体に触れることが減ってしまいました。ご指摘の通り、死刑停止に関する国連決議についても、見出しも内容もほとんど触れていないに等しいものです。

朝日新聞以外でも、全体的に死刑問題についての報道は縮小した感じです。多くの報道機関にも妥当することなのでしょう。

最近、読売新聞も死刑問題について連載記事を掲載していました。内容的には、いわゆる「良い被害者遺族」(死刑を主張する被害者遺族)を前面に打ち出した、一方的な報道でした。第1部の反響の薄さから、被害者遺族の感情に焦点を当てた第2部は、ネットでも閲覧できるようにしましたが、結局は、反響が少ない結果に終わりました。

執拗に朝日新聞に対して抗議し続けた、被害者団体の「あすの会」にとって、萎縮した報道、死刑や被害者に対する関心の薄い現状は、本当に良いことだったのでしょうか。自己満足でよければ、それでいいのでしょうか。


>アメリカでも今年の死刑執行数は最少を記録したことが報じられています。
>その中で、異常なまでの厳罰化、死刑急増国へと向う日本は異様であり、時代に逆行しています

同感です。なぜ、日本だけ死刑執行に躍起になっているのか不思議です。死刑の実情にしっかりと目を向けるわけでもなく、ただ、死刑執行に躍起になる行政や自民党政権を黙認していく市民。日本の市民は、知ることが怖いかのようです。
2008/12/31 Wed 21:31:04
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/1647-6632cded
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。