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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2008/12/28 [Sun] 23:58:37 » E d i t
自動車や電機業界で始まった派遣社員や期間従業員など非正規雇用労働者の失職は、来年3月までに8万5千人に達すると厚生労働省が発表しています。それも、失業とともに社員寮の退去を余儀なくされ、住居や部屋を失った人は、確認できた3万5千人のうちだけで、2千人にのぼっています(朝日新聞平成20年12月26日付夕刊1面)。

このように急激に失業者が増えるなか、今何をなすべきなのでしょうか? 朝日新聞「耕論」欄において、論説を掲載していましたので、紹介したいと思います。

耕論:膨らむ解雇 今どうすれば

 派遣や契約、請負社員ら解雇される労働者の数が膨らみ続けている。新年を目前に職と、時に家さえも奪う社会とは何か。経営、労働運動、ホームレス支援の立場から3人が論じる。」(朝日新聞平成20年12月28日付朝刊1面)




1.朝日新聞平成20年12月28日付朝刊7面「耕論:雇用危機の姿」

<キーワード> 非正規労働者 正社員以外の労働者。以前はパート・アルバイト、契約社員ら直接雇用が主だった。職業安定、中間搾取防止の観点から、派遣には厳しい法規制があった。

 89年、雇用の多様化、人件費削減を目指す経済界の要請で、間接雇用を認める労働者派遣法を施行。04年の製造業への派遣解禁で一気に派遣労働者が増えた。請負を、派遣同様に扱う「偽装請負」も明らかに。正社員より低賃金で、雇用の調整弁として使われやすい非正規労働者は現在計約1800万人、全労働者の3分の1に。」



(1) 経営者の立場から。

人間見ようとしない経営

品川 正治(しながわ・まさじ)さん 経済同友会終身幹事

 職を失う非正規労働者が今年10月から来年3月までに8万5千人に達すると厚生労働省が発表した。来春採用の内定を取り消された大学生や高校生も800人近くいるという。異常な数字である。

 米国発の金融危機が欧州や新興国を巻き込み、実体経済に波及した。それが日本では雇用という経済社会の基本を揺るがす問題として浮かび上がっている。「構造改革なくして成長なし」という成長至上主義の呪縛にとらわれた米国型改革で派遣労働が緩和された結果、労働者が最大の犠牲を強いられている。

 これまで日本の資本主義には、果実は国民が分けるという実質があった。それが修正主義と批判され、果実は株主や資本家のものという考えが幅を利かせた。いったんは回復した景気の実感さえ得られないまま、リストラという名目で労働者への分配は減らされ、浮いた利益を配当に回すことで経営者の報酬を増す。そういう米国型の経営手法が当然とされてきた。

 非正規労働者を調整のための「物」とみなす風潮の横行に今年、労働者の危機感は高まった。小林多喜二の小説「蟹工船」が若い人たちの間で話題となり、「搾取」という古い言葉が議論に欠かせなくなった。労働者の危機感は現実となり、いまや「路頭に迷わせるな」というこれまた古い言葉が、切実さをもって復活している。

 話が飛ぶようだが、私は憲法9条を行動の指針としている。復員の船の中で初めて読んだ条文の根底に、国家ではなく、人間の目で戦争をとらえる確かな視線を感じたからだ。経済も人間の目でとらえることができるか。経営者として私は自ら問うてきた。

 現状はどうか。人間の目どころか国家の目でもとらえられないものに、経済は変質した。国際金融資本や多国籍企業の視線に、国家も国民も振り回されている。痛みは大きいが、米国型金融資本主義が崩壊したことに安心さえ覚える。あと5年も米国化が進行していたら、経済の変容は行き着くところまで行き、労働者も今以上に商品化していたことだろう。

 米国では80年代から進んだグローバル化も、日本で本格的に進んだのは00年以降のことだ。日本企業はまだ米国型に100%染まってはいない。役員会で労働者を切って配当を確保しようとする財務担当者に対して、雇用を守ろうと必死に主張する人事担当者がいると信じたい。

 雇用の確保が成長を遅らせるという反論に対する答えはノーだ。家も借りられず結婚もできない若い労働者は、内需のマーケットから完全に除外されている。彼らの生活の再生産と将来設計を可能にする雇用の保障は、長い目でみて外需頼みから内需への転換を促す要素になるはずだ。

 経営者は本来、資本家のためだけではなく、従業員や代理店などすべての利害関係者のために仕事をするものだ。いま、職と家を失った非正規労働者の受け皿を、他の企業や自治体が用意する動きが広がっている。彼らは人間の目で、人間を見ている。あなたには見えますかと、経営者に聞くとよい。

  (聞き手・今田幸伸)
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 24年生まれ。旧日本火災海上社長を経て、93~97年経済同友会専務理事。現在は国際開発センター会長
-------------------------------------------------------------------」


今、こうした先を見据えた見識を示してみせる経営者は、どれほどいるのでしょう。

品川正治さんは、「『構造改革なくして成長なし』という成長至上主義の呪縛にとらわれた米国型改革」に対して、以前から批判的であったお一人ではあるため、多くの人がこの方の名前と主張を知っているとは思います。そうした点を前提にした批判であるとしても、「非正規労働者を調整のための「物」とみなす風潮の横行」に対して、正面から批判する経営者側はほとんどいないこと自体が、問題であるように思います。


 
(2) 労働運動に携わる立場から。

労組・正社員 ともに正念場

鴨桃代(かも・ももよ)さん 全国ユニオン会長

 11月末に「派遣切り」のホットラインを設けて以降、毎日電話が鳴り続けている。先日も、派遣の仕事を中途解約され、会社のアパートから退去を求められた新潟在住の51歳男性から連絡があった。

 有休の取得や居住権を主張出来ると励ましたが、仲間が去っていくアパートにいると気持ちが寒くなるからもういい、と言う。「東京で仕事を探したい。仕事がなかったら路上で眠るつもり。新潟よりは暖かいだろうから」という彼に何も言えなくなった。

 非正社員は世界的不況の影響を真っ先に受け、なぎ倒されるように解雇されている。抗議の声を上げる気力もない。88年に個人で入れる「なのはなユニオン」を立ち上げ、20年間相談活動を続けてきたが、今回ほど無力さと切なさを感じたことはない。

 バブル崩壊後、非正社員が安い人件費で働き、景気が回復出来た。使うだけ使って、不況になったら切る。しかも、契約途中で放り出す。日本企業の無責任さと非情さが誰の目にも明らかになった。

 それを許したのは、労働者派遣法の規制緩和だ。派遣の対象業務が原則自由化され、労働市場全体の劣化が進んだ。製造業派遣の禁止など労働者派遣法を抜本改正し、企業のわがままに歯止めをかけねばならない。

 労働組合の動きも鈍い。目の前に、明日住む場所もなく、食べることすらおぼつかない非正社員がいるのに、「出来ることはやるから話を聞かせてくれ」となぜ言えないのか。仕事が見つかるまで寮にいられるよう交渉する、関連会社に仕事がないか探してみるなど、理不尽な扱いをやめさせる手だてはたくさんあるはずだ。

 12月に発表された日本経団連の来春闘方針は「雇用の安定が最優先」とした当初案から「安定に努力する」に後退した。絶対守るとは一言も言っていない。来年は正社員にも切り込むだろう。

 正社員・労働組合が守りの姿勢に入ったら、経営側につけ込まれ、モノが言えなくなる。非正社員がそうであったように「文句を言うならいらないよ」と言われる。労働条件は悪化し、今まで以上に長期間労働になっていく。「今は、すべての労働者の正念場なのですよ」と言いたい。

 全国ユニオンは来春闘に向け、正社員・非正社員が共生するための緊急ワークシェアリングを提案している。正社員の勤務を短縮し、非正社員の雇用を守る。来春闘は、正社員と非正社員が一緒に生きるために手を結ぶ、最大のチャンスだと思っている。

 様子見をしていた政府は、ようやく重い腰を上げ、住宅対策や生活費の支援などを開始した。だが、雇用促進住宅も足りない。雇用保険の要件緩和もこれから国会で審議されるので、今切られている人にすぐには対応出来ない。

 国は国民の生活と命を守る義務がある。非正社員の多くは、年収200万円以下、車1台分にも満たない金額で生活している。ちょっと前まで最高益が続き、巨額の内部留保を持つ企業が雇用責任を果たさない。国は、雇用を守るため、企業に対する法的規制を強めるべきだ。

 (聞き手・諸麦美紀)
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48年生まれ。元保育士。なのはなユニオン(千葉市)委員長。02年の全国ユニオン結成時から会長。
---------------------------------------------------------------------」



「11月末に「派遣切り」のホットラインを設けて以降、毎日電話が鳴り続けている。先日も、派遣の仕事を中途解約され、会社のアパートから退去を求められた新潟在住の51歳男性から連絡があった。
 有休の取得や居住権を主張出来ると励ましたが、仲間が去っていくアパートにいると気持ちが寒くなるからもういい、と言う。「東京で仕事を探したい。仕事がなかったら路上で眠るつもり。新潟よりは暖かいだろうから」という彼に何も言えなくなった。」


この最初の当たりの段落の文章を読んだだけでも、切なくなってきます。

鴨桃代さんは、「労働組合の動きも鈍い」として、「目の前に、明日住む場所もなく、食べることすらおぼつかない非正社員がいるのに、『出来ることはやるから話を聞かせてくれ』となぜ言えないのか」と、正社員側も同じく労働者として、というよりも人間としての行動をするべきではないかと、批判しています。

確かにもっともな批判です。ですが、正社員側は、つい最近まで「派遣さん」と呼び、個人として尊重する扱いをしてこないような行動が多々してきたのです。要するに、派遣社員がいることで、正社員側が優越感に浸り、差別意識を持って接してきたのですから、「目の前に、明日住む場所もなく、食べることすらおぼつかない非正社員がいる」としても、「どうでもいい」存在なのです。

おそらくは、正社員が大量解雇され始めなければ、労働組合の動きが活発になることはないように思われます。もちろん、大企業側もその当たりはよくわかっているはずですから、能力が低い正社員からリストラするという形で解雇していくはずです。ですから、正社員も抵抗感を示すことがないかもしれません。

鴨桃代さんは、「今は、すべての労働者の正念場なのですよ」と、実に真っ当なことを述べています。こうした真っ当な発言を、正社員を含めたすべての日本の労働者が、自分のこととして受け止める日はいつくるのでしょうか。



(3) ホームレス支援の立場から。

誰もが野宿と隣り合わせ

生田武史(いくた・たけし)さん 野宿者ネットワーク代表

 毎週土曜の夜、大阪の日本橋、難波など野宿者の多い地域を回っている。野宿者はこの地域で2千人。大阪市がつくるシェルターに入れるのは毎晩、半分にすぎない。大阪市の野宿者は5千人近く、全国に3万人近くといわれる。

 東京、名古屋では相次ぐ派遣社員らの解雇や雇い止めで、行くところがなくなり野宿する人が増えているという。年明けには、自動車などの製造業が少ない大阪でも増えてくるだろう。

 一般の人と野宿者は世界が別だと思われていたが、意外に隣り合わせであることが多くの人に明らかになった。フリーターもいずれ親の支援があてにできなくなる。このままでは彼ら・彼女らの一部も近い将来、野宿者になってしまうのではないか。

 夜回りのとき話を聞くと、解雇や病気、けがで仕事を失い、それが原因で家族、住居も失い、野宿に、という人が多い。住居がないとハローワークも仕事を紹介してくれない。面接が決まっても、「着ていく服がない」「給料日までの生活費がない」といった理由から、結局アルミ缶集めで1日数百円稼ぐ生活しか選択肢がなくなる。一度野宿になると抜け出すのは難しい。

 求められるのは、雇用保険や公営住宅、生活保護、健康保険などのセーフティーネットの整備だ。その網に穴があいているためどんどん滑り落ちていく。敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」で家賃滞納者の家財を処分するトラブルが目立つが、こうした貧困ビジネスが生まれるのも、公的な網が不十分なためだ。

 そして何よりも就労の機会をつくること。非正規社員を好況では安く使い、不況になると解雇するとは、最悪の使い捨てだ。ワークシェアリングで痛みを全員で分かち合う必要がある。非正規の拡大に歯止めをかけるため労働者派遣法を改正し、同一価値労働同一賃金原則などの制度をつくるのが、政治の責任だ。

 行政、NPOが協力して新しい雇用を生み出すことも考えたい。大阪では府・大阪市とNPOが日雇い労働者を対象に道路清掃や公園のペンキ塗りなどの事業を続けている。例えば、高齢者、野宿者など社会的に孤立しがちな人の巡回訪問や、小学校の安全を守る警備員などの公的就労を創出するのはどうだろう。

 貧困対策は経済援助だけでは解決しない。人と人の関係づくりが大切だ。NFO(ノン・ファミリー・オーガニゼーション)というべき、家族以外が助け合うネットワークを考えている。「生活保護申請に付き添う」「資格・技術を得る間、生活費を保障する」などの支援を行政と民間でつくれないか。少しの助けが自分自身と社会への信頼を取り戻すきっかけになる。

 オランダは男女が仕事と家事・育児を分け合うワークシェアリングを導入した。日本はどうするのか。ビジョンが見えない。不安定就労と貧困は、70年代から女性パートやアルバイトに起こっていた。一部の人に痛みを強いてはいけない。国と企業と労働者が協力し、正規・非正規、男性・女性がともに安心して働き、生活できるシステムを新たにつくり出すべきだ。

 (聞き手・松井京子)
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64年生まれ。大学時代から大阪・あいりん地区(釜ヶ崎)で日雇い労働者を支援。学校で野宿問題の授業も。
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トヨタ自動車やキヤノンが、職を失うと同時に住居も失うような解雇を行っていることの問題点が、ここに端的に出ています。

 「東京、名古屋では相次ぐ派遣社員らの解雇や雇い止めで、行くところがなくなり野宿する人が増えているという。年明けには、自動車などの製造業が少ない大阪でも増えてくるだろう。

 一般の人と野宿者は世界が別だと思われていたが、意外に隣り合わせであることが多くの人に明らかになった。フリーターもいずれ親の支援があてにできなくなる。このままでは彼ら・彼女らの一部も近い将来、野宿者になってしまうのではないか。

 夜回りのとき話を聞くと、解雇や病気、けがで仕事を失い、それが原因で家族、住居も失い、野宿に、という人が多い。住居がないとハローワークも仕事を紹介してくれない。面接が決まっても、「着ていく服がない」「給料日までの生活費がない」といった理由から、結局アルミ缶集めで1日数百円稼ぐ生活しか選択肢がなくなる。一度野宿になると抜け出すのは難しい。」


野宿生活が始まると、世の中に、今後、通常の会社勤めといった、多くの方が行っているような安定した仕事ができなくなり、職も住居もないという野宿状態から抜け出せないのです。このように、「一度野宿になると抜け出すのは難しい」という結果がわかっているため、住居も失うような解雇が問題なのです。

なぜか、ほとんど報道されることがありませんが、非正規労働者には、多くの女性が存在します。平成20年7月3日に総務省が発表した2007年の就業構造基本調査(速報)によれば、非正規雇用者の割合は全体のうち35.5%と過去最高でした。そのうち、男女別では男性が19.9%に対し女性が55.2%という結果だったのですから、女性労働者の半分以上が非正規労働者なのです(「就業構造、非正規就業者の割合が過去最高に~非正規雇用の女性の実情に目を向けていますか?(東京新聞平成20年7月7日付より)」(2008/07/09 [Wed] 06:54:51))。今の「非正規切り」が横行する中、職も住居も失った女性労働者はどうすればいいのでしょうか? 現在、「派遣切り」「非正規切り」の報道はされてはいますが、女性の非正規労働者に目を向けた報道はほとんどなく、無視されているのです。

誰であろうとも、確実に住居を確保できることと、「何よりも就労の機会をつくること」。生存権(憲法25条)や労働基本権(憲法27条、28条)が憲法上保障されているのですから、ごくごく当然のことなのです。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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