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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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寒しこの夜 
2008/12/24 [Wed] 05:17:15 » E d i t
今年は、気候だけでなく、心から寒々しいクリスマスとなりました。それに対して、各テレビ局のアナウンサーばかりが、世情と懸け離れて、「待ちに待ったクリスマス・イブです」(日本テレビ)など朗らかに笑いかけ、喜んでいるようにさえ、思えます。



1.東京新聞平成20年12月18日付夕刊7面「大波小波」

寒しこの夜

 多くの欧米の物語ではせめてクリスマスには素敵な奇跡が起こって、貧しい者にも幸福がやってくる。日本では代表的大企業が派遣切りや雇用削減を行って、年末の寒空に人々とその家族を放り出す。そして、複数の人から聞くのだが、教師や高給サラリーマンといった、知識のあるはずの人たちの、「負け組」に対する視線が極端に冷淡なのだと言う。同じく、「勝ち組マスコミ」の報道も、貧しい人たちの共感を得て、励まして行くには至らない。

 人々はバラバラに分断されている。日本には宗教的共助の伝統が濃くないこともあるのかも知れないが、たぶんみんな、見たくないのだ。 「ああはなりたくない」と思うだけで、自分の今の立場を守るだけで精一杯なのだ。社会的活動に踏み出すどころではない。縛られ、怯(おび)えているのだ。

 帰るべき暖かい家があって、家族とクリスマス・ケーキを囲めるというのは、小さくはない倖(しあわ)せと言えるだろう。だが私たちの見ようとしないところに、それどころではない大勢の人たちがいる。

 ケーキに蝋燭(ろうそく)を灯(とも)してしばらくの間だけでいい、寒空の下の人々に思いを致す静かな時間を、今年からは持ったらどうか。そこから何かが、始まらないとも限らないのだ。 (貧者の一灯)」


景気の急速な悪化で派遣社員や期間従業員などを中心に失業する人が急増し、派遣会社の寮から退去を迫られるケースも多いのです。特に、今年は役所や会社のほとんどが12月27日から来年1月4日まで休みになるので、生活が困窮した駆け込み先が心もとない状態です(東京新聞平成20年12月18日付朝刊17面【暮らし】)。

そこで、「派遣切りで家もない困窮者は、どこへ相談したらいいのか?~東京新聞平成20年12月18日付記事を紹介」(2008/12/18 [Thu] 23:58:42)でも紹介したように、「反貧困ネットワーク」などは、12月24日(水)10時から、「生活保護・労働・多重債務・住まい何でも相談会」を実施します。

このように、12月24日という日であっても、「年末年始の寒空に放り出され、どうやって生きていこうか」と途方にくれている人たちがいるのです。日本では、小泉竹中「構造改革」の成果により、景気の調整弁と化した多数の非正規労働者を、代表的大企業が派遣切りや雇用削減を大量に行ったおかげで。

もし、このブログを読んでいる方が、「帰るべき暖かい家があって、家族とクリスマス・ケーキを囲める」のであれば、それだけでも十分に幸福なことなのです。

しかし、貴方は、周囲の全ての人たちに対して、どれほど善意のまなざしを向けたでしょうか? 年末の寒空に放り出され、または放り出されようとしている人々に対して、何か役立つような言動を行っているのでしょうか? せめて、「ケーキに蝋燭を灯してしばらくの間だけでいい、寒空の下の人々に思いを致す静かな時間」を過ごしてほしいと思います。



2.天皇陛下は12月23日、七十五歳の誕生日を迎えられました。体調不良により恒例の誕生日前記者会見が取りやめになったため、陛下は文書で「ご感想」を公表しています。

(1) 「天皇陛下のご感想全文」(一部抜粋)

「(5)世界的な金融危機に端を発して、現在多くの国々が深刻な経済危機に直面しており、我が国においても、経済の悪化に伴い多くの国民が困難な状況に置かれていることを案じています。働きたい人々が働く機会を持ち得ないという事態に心が痛みます。

 これまで様々な苦難を克服してきた国民の英知を結集し、また、互いに絆(きずな)を大切にして助け合うことにより、皆で、この度の困難を乗り越えることを切に願っています。」


様々なご心労によって体調不良である中、この1年を振り返り、世界的な金融危機に伴う経済の悪化について「働きたい人々が働く機会を持ち得ないという事態に心が痛みます」と案じています。

天皇陛下の75歳の誕生日を祝う一般参賀が12月23日、皇居であり、今年は、平成に入って最多となる約2万2600人が集まりました(朝日新聞平成20年12月24日付朝刊30面)。一般参賀という場においても、天皇陛下は、寒空に放り出される方々への想いを述べています。

 「陛下は、皇后さま、皇太子、秋篠宮両ご夫妻とともに計3回、宮殿のベランダに立ってあいさつ。最近の国内情勢に触れ、「厳しい経済情勢の中にあって、多くの困難に直面し、厳しい年の瀬を迎えている人々も多いのではないかと案じています」と語ったうえで、「来る年が少しでもよい年となるよう、皆さんも健康を大切にし健やかに新年を迎えられるよう、願っています」と話した。」(「一般参賀に2万2600人 天皇陛下75歳の誕生日」(朝日新聞平成20年12月24日付朝刊30面)



「働きたい人々が働く機会を持ち得ないという事態」に陥らせ、「多くの困難に直面し、厳しい年の瀬を迎えている人々」にさせたのは、(金融危機が起因しているとはいえ、)日本では一体、どこの大企業でしょうか? 



(2) 大規模な人員削減(4万人)を行っている、トヨタ自動車やキヤノンなど大手製造業16社は、そこまでするほど企業経営が苦しいのかと思う方もいるかもしれませんが、実は、「内部留保の16社の合計額は08年9月末で約33兆6000億円」にも上っており、「景気回復前の02年3月期末から倍増し、空前の規模に積み上がった」という、過去最高の規模の状態になっているのです。

 イ:中日新聞2008年12月24日 朝刊

ためこむ企業 人は減らすのに… 大手製造業16社「内部留保」33兆円
2008年12月24日 朝刊

 トヨタ自動車やキヤノンなど日本を代表する大手製造業16社が大規模な人員削減を進める一方で、株主対策や財務基盤強化を重視した経営を続けていることが23日、共同通信社の集計で明らかになった。2008年度は純利益減少が必至の情勢だが、16社のうち5社が増配の方針、前期実績維持とする企業も5社だった。

 利益から配当金などを引いた内部留保の16社の合計額は08年9月末で約33兆6000億円。景気回復前の02年3月期末から倍増し、空前の規模に積み上がった。

 過去の好景気による利益が、人件費に回らず企業内部にため込まれている。世界的な景気減速が続く中で、各社は内部留保などの使途について慎重に検討するとみられる。一方で08年4月以降に判明した各社の人員削減合計数は約4万人に上り、今後も人員削減を中心とするリストラは加速する見通しだ。

 派遣社員などで組織する労働組合は「労働者への還元が不十分なまま利益をため込んだ上、業績が不透明になった途端、安易に人減らしに頼っている」と批判している。

 減益見通しにもかかわらず増配予想を変えていないのはソニー、パナソニック。これまでのところキヤノンは配当について、08年3月期実績水準を維持、トヨタ自動車は未定としている。ただ景気悪化の速さに企業が戸惑っている面もあり、今後は見直す動きが出てくるとの見方もある。

 調査対象は、キヤノンなど電機・精密9社とトヨタ自動車など自動車業界7社。02年3月期(キヤノンのみ01年12月期)と08年9月末時点の決算資料や各企業からの回答を基に集計。内部留保は法定の積立金を除く剰余金や各種の評価損益などを合計した。」



 ロ:派遣社員などで組織する労働組合は「労働者への還元が不十分なまま利益をため込んだ上、業績が不透明になった途端、安易に人減らしに頼っている」と批判していますが、まさにその通りでしょう。蓄えは十分にあるのですから、大量解雇をせずとも十分な「体力」を保つことができ、本来、大量解雇を行う合理的理由はないのです。

ここまで大量に解雇しまくってしまったら、極度の雇用不安・生活不安から一層、消費を控えることになり、かえって大企業にとってマイナスになるはずです。日本の市民の誰が、トヨタなどの日本の自動車を購入したいと思うでしょうか? これぞ守銭奴の典型といえるのではないでしょうか。(「みんな、自動車を買いましょう」(テレビでの伊藤洋一・住信基礎研究所研究員の発言)などと、平気で能天気なことを言い放ってしまう、守銭奴のお先棒を担ぐことを得意とする、日本から出て行って欲しい御仁もいます。)

チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)の「クリスマス・キャロル」には、並外れた守銭奴で知られるスクルージが登場します。このお話では、スクルージは3人の精霊に出逢って心を入れ替え、忍耐、寛容、献身、和合……すべてを超えて行き着くところに善意を謳う「クリスマス精神」に目覚めるのです。

「私は心の中に聖降誕祭を祝います。そして、一年中それを守って見せます。私は過去にも、現在にも、未来にも(心を入れ代えて)生きる積りです。三人の精霊方は皆私の心の中にあって力を入れて下さいましょう。皆様の教えて下すった教訓を閉め出すような真似はいたしません。」(スクルージの言葉。ディケンズ・チャールズ(著)・森田草平(訳)「クリスマス・カロル」(青空文庫)より)


日本の守銭奴は、心を入れ替える日がくるのでしょうか? 大量に解雇される労働者の側に思いを致し、企業としての社会的責任を果たす日はくるのでしょうか?




なお、毎年、クリスマスにちなんだテーマでエントリーを書いています。ぜひご覧下さい。

<1>「サンタクロースの法律問題」(2005/12/23 [Fri] 01:05:07)
<2>「クリスマス・キャロル~スクルージは拝金主義者で悪人なのか?」(2006/12/24 [Sun] 16:25:12)
<3>「アラブ首長国連邦・ドバイでのクリスマス風景」(2007/12/24 [Mon] 00:01:54)



テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
ここにも派遣労働者を在庫調整の在庫程度にしか見てない人がいます。
”法律に違反してない””問題は企業ではなく法制度””雇用調整は世界の常識”
”いつでも解雇可能な雇用契約をしている派遣社員を解雇しただけで、極悪非道の扱いをうけたのではたまったものではない”
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081212/119407/?P=1
2008/12/24 Wed 23:02:34
URL | こと #-[ 編集 ]
>ことさん:2008/12/24 Wed 23:02:34
コメントありがとうございます。
大変お返事が遅くなり、申し訳ありません。


>”いつでも解雇可能な雇用契約をしている派遣社員を解雇しただけで、極悪非道の扱いをうけたのではたまったものではない”

「悪用できる法が悪いのであって、悪用して何が悪い」という言い分ですね。これって、コンプライアンス(法令遵守)の精神とは、まるで懸け離れた言い訳なのですが、少しも変だと思わないこと自体に疲れを感じます。日本のモラルが崩壊した元凶の1つが、財部氏の言い訳に現れているように思います。
2008/12/31 Wed 19:57:51
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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2008/12/27(土) 08:39:51 | 雑談日記(徒然なるままに、。)
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