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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2006/10/08 [Sun] 17:52:29 » E d i t
10月2日午前10時(日本時間同日午後11時)ごろ、米東部ペンシルベニア州ランカスター郡ニッケルマインズにあるキリスト教の一派、アーミッシュ運営のウエスト・ニッケルマインズ小学校に男(32)が乱入し、女子児童ら5人が射殺された事件がありました(男は、警察当局の見方によると、女児らを監禁し性的暴行を加えることが襲撃目的だったが、警察が突入する前に銃で自殺。負傷した別の5人は依然として重体もしくは危篤状態(米国 7日 AFPより)。)。
6歳から13歳までの全児童が一つの教室で授業を受けていたのですが、米メディアが6日報じたところによると、この事件で、死亡した13歳の少女が「私から撃って。ほかの子は解放して」と男に告げていたことが分かったそうです。この報道について、コメントしたいと思います。


1.この報道については、共同通信、読売新聞10月8日付朝刊:年下かばい「私を撃って!」…アーミッシュ校射殺事件)、毎日新聞10月7日付夕刊:米ペンシルベニアの銃乱射:被弾の13歳少女「私を撃って、他の子は解放して」)、東京新聞10月7日付HPのみ:「私を撃って」と犠牲少女 アーミッシュに驚き)、スポーツ紙(日刊スポーツ10月8日付:「私から撃って」と犠牲少女、全米で驚き)、スポニチ)も報道しています。ここでは、2つの記事が良い記事なので、そちらを引用します。

(1) 朝日新聞平成18年10月7日付土曜日夕刊14面

少女『私から撃って』 容疑者家族に『許し』 
 アーミッシュ流にメディア驚嘆

 【ニューヨーク=江木慎吾】米ペンシルベニア州にあるアーミッシュ=キーワード=の学校で撃たれて死亡した5人の女児の埋葬が6日、終わった。暴力を排して生きるアーミッシュの人たちは、理由なき暴力に巻き込まれた直後から、許しをもって容疑者の家族に接した。その対応ふりに、米メディアは驚きの目をもって報道を続けている。

 『私から撃ってください』。亡くなった中で最年長だったマリアン・フィッシャーさん(13)は、教室に残された10人の女児を容疑者が撃つつもりだとわかったとき、そう進み出た。マリアンさんの妹で、病院で意識を回復したバービーさん(11)の話を聞いた人の話として、複数のメディアが伝えている。バービーさんも『その次は私を』と続けたという。2人は、より小さな子どもたちを助けたい一心だったという。

 亡くなった中には、13歳、12歳とともに8歳と2人の7歳も含まれている。州警察の発表によると、乱射後に自殺したアーミッシュとは関係のない容疑者の男(32)は、長い木材にちょうど10人を縛り付ける金具を用意していた。最初から女児10人だけを人質にとるつもりだったらしい。警察にすぐに包囲されて状況が一変。入院している5人の女児のうち、1人は依然、重篤だという。

 容疑者の家族は、アーミッシュの一員ではないものの、地域に住んでいる。アーミッシュの人たちはこの家族を事件の夜から訪ねて許しを表明し、手をさしのべたと伝えられる。容疑者の家族は現地の主教を通じて被害者の家族への面会を求め、遺族の一部は容疑者の家族を子どもの葬儀に招いたという。

 アーミッシュの社会は現代的な暮らしや暴力を拝し、死後の世界への強い信仰をもっているとされる。一般に『力』が信奉される米国で、悲嘆にくれる中にも暴力を許して包み込む生き方に、米メディアは『慈悲の深さは理解を超える』『女の子の驚くべき勇気』などとして報道している。

<キーワード>
アーミッシュ:キリスト教メノー派に属するスイス人ヤコブ・アマンが17世紀に始めた宗派で、18世紀に米国に伝わったとされる。聖書を厳格に解釈し、現代的な暮らしや暴力を否定する。男性は幅広の帽子をかぶって長いひげを生やし、女性は頭髪を隠して黒い靴を履くのが基本。馬車に乗り、電気製品も使わない。ペンシルベニア・ダッチと呼ばれる独自の言語を持ち、子供への教育も主に自分たちで行う。ペンシルベニア州やオハイオ州などに十数万人が住んでいるとされる。」



(2) Christian Today(クリスチャントゥデイ)(2006年10月05日 12時34分)

アーミッシュ社会が怒りではなく赦しを表明
2006年10月05日 12時34分

 先日米ペンシルバニア州ランカスター郡で起きたアーミッシュ(メノナイト系プロテスタント)学校の女子児童5人が銃で殺害された事件に関して、アーミッシュ共同体が犯人への赦しを表明したことが明らかになった。

 刑事の取調べに対して平和主義者として知られるアーミッシュの住民は悲しく残念であるが怒りは無いと語っているという。英クリスチャントゥデイが報じた。

 ランカスター郡に居住する引退農夫のヘンリー・フィッシャーさんは「怒りは私達の手段ではありません。怒りは無意味です」と述べた。

 彼は「車、テレビ、クレジットカードのないアーミッシュのライフスタイルは、次の代の者に謙遜な人生を歩ませるための、より平和な生活なのです」という。

 フィッシャーさんは異常な事故だとして今回の事故を機に鍵などの保安を施すことは考えていないという。フラン・ベイラーさんは「アーミッシュの共同体は疑いを持たず外部から銃で襲撃することなど考えない」「私達は赦したい。そのように育ってきましたから。『善をもって悪に答えよ』と」と語った。

 同地区のアーミッシュの住民マリー・ロバーツさんはロイターの取材に対して「子ども達は学校に戻り、困難なときをすごすでしょう。しかし教会や(アーミッシュの)皆は子ども達の心の大きな助けとなり、その傷に打ち勝つことができると思います」と語った。 

 AP通信によると事件後これまで3つの礼拝が捧げられており、合計1650人が参加。ペンシルバニア州のアーミッシュ教徒、非アーミッシュの教徒が教派を超えて神に祈りを捧げた。


<投稿>
[とあるクリスチャン] 2006-10-08 削除 | 修正 | 返事を書く

実に感慨深いニュースですね。世の中の対応では考えられない、アミッシュ社会の聖書に根ざした対応。このような共同体がもっとメディアでとりあげられることで、地の塩として、世俗にまみれた社会に大きな影響を与えると思います。」




2.12、13歳にして「私から撃って下さい」と言ったそうです。自分が13歳だったとき、自分の子供が13歳のとき、今の日本人の13歳はどうでしょうか? 宗教を信仰している13歳の日本人もどうでしょうか? 

「より小さな子どもたちを助けたい一心」で、こういった自己犠牲精神・勇気を行動にすることができる(できた)でしょうか? アーミッシュという宗教心に基づくのだとしても、ここまで暴力を否定する「強さ」は、到底できることではないと感じます。


もう1つ驚かされるのは、「アーミッシュ共同体が犯人への赦しを表明したこと」です。
「アーミッシュの人たちはこの家族を事件の夜から訪ねて許しを表明し、手をさしのべた」ばかりか、「遺族の一部は容疑者の家族を子どもの葬儀に招いた」のです。

この事件があっても、「鍵などの保安を施すことは考えていない」そうですし、アーミッシュのフラン・ベイラーさんは「アーミッシュの共同体は疑いを持たず外部から銃で襲撃することなど考えない」「私達は赦したい。そのように育ってきましたから。『善をもって悪に答えよ』と」と語った。そうです。

「私達は赦したい、善をもって悪に答えよ」とまで言って、犯人と犯人の家族を赦すのです。ここまで、徹底した赦し・慈悲の深さを表すことができるでしょうか? 自問自答してみて下さい。 自分はこういった慈悲の深さを表すことができるのだろうか、と。


この記事に対して、[とあるクリスチャン](2006-10-08)さんは、「このような共同体がもっとメディアでとりあげられることで、地の塩として、世俗にまみれた社会に大きな影響を与える」と書いています。

地の塩とは、〔マタイ福音書五章「汝らは地の塩なり。…汝らは世の光なり」から〕塩が食物の腐るのを防ぐことから、少数派であっても批判的精神をもって生きる人をたとえていう語を言います(三省堂「大辞林 第二版」より)

私たちは、暴力に対して復讐することに傾きがちです。それも、犯人に対する復讐ばかりか、犯人の家族に対しても嫌がらせなど復讐の矛先を向けてしまう人たちも少なくありません。

今回のアーミッシュの人たちの行動を「地の塩」として、自分の考えを思い直してみるべきだと思います。




3.刑事司法(法律)の分野においても、犯人への復讐・応報への反省がなされ始めています。これはいわゆる「修復的司法」のことです。

 「修復的司法は、応報的司法の対抗軸として登場しました。すなわち、応報的司法は、犯罪を、刑罰法規の違反と把握し、刑事司法を、国と加害者との勝ち負けにおいて刑罰を決定するシステムであるのに対して、修復的司法は、犯罪を、人々およびその関係の侵害と把握し、被害者、加害者、地域社会が関与して、それぞれの修復・回復をめざすシステムを探求するものです。修復的司法は、具体的な方法やプログラムを示すものではなく、一定のアプローチ、「ものの見方」を示すものです。応報的司法は、「どの法律に違反したのか」「誰がそれを行ったのか」「加害者はどのような報いを受けるべきか」という点を重視するのに対して、修復的司法は、「誰が傷ついたのか」「彼らは何を必要としているのか」「誰の義務であり責任であるのか」「この状況の利害関係者は誰なのか」「解決策を見つけるために利害関係者が関与できる手続はどのようなものか」という点を重視するわけです。

 修復的司法は、被害者・加害者・地域社会の3者によって犯罪を解決するのが純粋型といえますが、「犯罪によって生じた害を修復することによって司法の実現を目指す一切の活動である」と広く解することができると思います。したがって、被害者の支援、加害者の援助、地域社会の再生なども、修復的司法の考え方に基づくものです。また、修復的司法の射程距離は、たとえば、ドメスティック・バイオレンスや「いじめ」の問題などから国際紛争の問題にまで広い範囲に及びますし、犯罪の事後的な処理のみならず、犯罪の事前的な予防にも有効であるように思います。

…いずれにせよ、修復的司法の考え方は、伝統的な犯罪の理解、刑罰の理解、刑事司法の理解に対する重大な挑戦であります。修復的司法の考え方は、国はいかなる理由で刑罰を科すのか、その際、国はどのような目的を追求できるのか、そのような刑罰の目的を達成するためにいかなる条件が必要なのかなどの根本的な問題を提起しています。」(オピニオン:修復的司法の可能性:早稲田大学教授・高橋則夫)」



犯人を処罰しただけでは、被害者は救済されませんし、犯人が出所した後、受け入れる地域社会の受け入れ態勢ができていないことから、「修復的司法」が主張されています。刑事司法の分野においても、「伝統的な犯罪の理解、刑罰の理解、刑事司法の理解に対する重大な挑戦」を始めています。

今回のアーミッシュの人たちの行動を契機として、復讐から脱却し、赦しの道を考えてみるべきではないかと思います。



<追記>

CNNの報道(2006.10.08 Web posted at: 16:21 JST- CNN/AP)から。

自殺したアーミッシュ学校襲撃犯、葬儀営まれる

米ペンシルベニア州ジョージタウン──当地周辺で暮らすキリスト教プロテスタントの一派、アーミッシュの学校を襲撃し、児童5人を殺傷した後に自殺したチャールズ・カール・ロバーツ4世容疑者(32)の葬儀が7日営まれ、アーミッシュらも参列した。

容疑者の遺体は妻や子ども3人が付き添うなか、9年前に死亡した娘の墓のそばに埋葬された。容疑者は娘の死にとらわれていたとみられる。

葬儀の参列者75人前後の約半数はアーミッシュだった。コロラド州の消防署付き牧師ブルース・ポーター氏によると、アーミッシュらは容疑者の遺族に心からの許しを表明し、容疑者の妻も深く感動していたという。

アーミッシュらはこの日午後会合を開き、事件現場の学校や学年度の処理について協議した。会合では校舎新築を求める意見が圧倒的多数を占めたが、地元消防当局者は同じ敷地内に新校舎が建てられる可能性は低いとしている。」


アーミッシュの人たちの「赦し」は徹底していますね。葬儀の参列者75人前後の約半数はアーミッシュだったのですから。

テーマ:国際ニュース - ジャンル:ニュース

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