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2008/12/06 [Sat] 19:45:35 » E d i t
日本人の父親と外国人の母親の間に生まれ父親が出生後に認知した子について、両親が結婚していなくても日本国籍の取得を認める改正国籍法が、平成20年12月5日午前の参院本会議で自民、民主両党などの賛成多数で可決、成立しました。公布から20日以内に施行されます(改正国籍法附則1条)。

なお、婚外子国籍確認訴訟については、<1>「婚外子国籍確認訴訟(1):最高裁平成20年6月4日大法廷判決は、両親の結婚を国籍取得の要件とした国籍法3条1項を違憲と初判断」(2008/06/07 [Sat] 05:36:09)、<2>「婚外子国籍確認訴訟(2):国籍取得のためにDNA鑑定を義務づける規定は妥当なのか?~DNA鑑定自体を取り入れることは大歓迎ですが、本当にいいのですか?」(2008/11/29 [Sat] 23:47:35)もご覧下さい。


1.報道記事を幾つか。

(1) 日経新聞平成20年12月5日付夕刊18面

生後認知にも日本国籍 改正法成立、違法行為に罰則

 日本人の父親と外国人の母親の間に生まれ父親が出生後に認知した子について、両親が結婚していなくても日本国籍の取得を認める改正国籍法が、5日午前の参院本会議で自民、民主両党などの賛成多数で可決、成立した。自分の子でないのに偽って出生後に認知する違法行為を防ぐため、罰則規定を盛り込んだ。法務省も審査体制を強化する方針だ。

 公布から20日以内に施行する。違法行為の防止では、法務局に虚偽の国籍取得届を提出した場合に、1年以下の懲役か20万円以下の罰金を科する条項を記した。法務省は審査体制強化の一環として出入国情報の照合などに力を入れる。

 本会議では、国民新党や新党日本など民主党会派の7人と無所属の2人が「偽装認知を誘発する」などとして反対に回った。衆院本会議の採決では一部の保守系議員が採決前に退席したものの、全会一致で通過していた。
 
 改正国籍法は、両親の婚姻を国籍取得の条件とする現行法の規定を違憲とした最高裁判決を踏まえた内容となった。ただ、取得条件の緩和により、日本に外国人労働者などを違法に送り込もうとするグループが日本人男性に金銭を払い、虚偽の申請書を提出する手口が続出する、などの指摘が一部の議員から出た。

 このため参院法務委員会は4日、<1>DNA鑑定など科学的な確認方法の導入の検討<2>認知した父親への聞き取りなど審査の厳格化<3>委員会への定期的な状況の報告――を柱とする付帯決議を採択した。ただ、DNA鑑定は「特定の人への差別だ」との意見も根強い。最高裁は6月、結婚していない日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれ、生後に認知された10人の子について、全員の日本国籍を認めた。」



(2) 朝日新聞平成20年12月5日付夕刊1面(14版)

改正国籍法、成立 偽装対策懸念9議員が反対

 結婚していない日本人の父親と外国人の母親との間に生まれ、生後に認知された婚外子にも日本国籍を認める改正国籍法が5日、参院本会議で与党と民主、共産、社民各党などの賛成多数で可決、成立した。偽装認知への対策が不十分などとの立場から、国民新党と新党日本、無所属の計9人が反対し、自民党の有村治子、衛藤晟一、山東昭子の3氏が棄権した。

 両親の未婚を理由に日本国籍を認めないのは「不合理な差別で違憲」とした6月の最高裁判決をふまえ、政府が11月に改正案を提出。自民、民主両党が早期成立で合意していたこともあり、衆参両院での実質審議は計3日というスピード成立となった。

 審議中に与野党内で偽装認知への懸念が高まり、4日の参院法務委員会では改正案とともに付帯決議案も可決。半年ごとの国会への報告、父子関係を確認するためのDNA鑑定導入の必要性を検討することなどについて、政府に配慮するよう求めた。

 反対した新党日本の田中康夫代表は「DNA鑑定制度の導入と父親の扶養義務の責任明確化を(国籍法に)明記しない改正は『人権侵害法』に他ならない」と語った。

     ◇

■改正のポイント

●父の認知があれば、両親が結婚していなくても届け出によって子の日本国籍を認める

●03年1月以降に改正後の条件を満たしている者は、さかのぼって国籍取得を認める

●うその国籍届け出に対する罰則(1年以下の懲役か20万円以下の罰金)を新設する 」




(3) 朝日新聞は、改正国籍法のポイントとして3点(<1>父の認知があれば、両親が結婚していなくても届け出によって子の日本国籍を認める、<2>03年1月以降に改正後の条件を満たしている者は、さかのぼって国籍取得を認める、<3>うその国籍届け出に対する罰則(1年以下の懲役か20万円以下の罰金)を新設する)を挙げています。

 イ:このポイントとして挙げている条項を引用しておきます。

国籍法の一部を改正する法律案

 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。

 第三条の見出し中「準正による」を「認知された子の」に改め、同条第一項中「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した」を「父又は母が認知した」に改める。

 本則に次の一条を加える。

 (罰則)
第二十条 第三条第一項の規定による届出をする場合において、虚偽の届出をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。

   附 則

 (従前の届出をした者以外の認知された子の国籍の取得に関する経過措置)
第四条 附則第二条第一項の規定によるもののほか、父又は母が認知した子で、平成十五年一月一日から施行日の前日までの間において新法第三条第一項の規定の適用があるとするならば同項に規定する要件に該当するものであったもの(日本国民であった者及び同項の規定による届出をすることができる者を除く。)は、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、施行日から三年以内に限り、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。(以下、省略)」



 ロ:このように、改正国籍法は、自分の子でないのに偽って出生後に認知する違法行為を防ぐため、虚偽の認知届を使って法務局に国籍取得届を出した場合、1年以下の懲役か20万円以下の罰金を科す罰則も新設しました(改正国籍法20条)。

ただ、正直なところ、国籍法に罰則規定を創設したことは疑問です。(国籍法に罰則規定はなじまないという点もありますが)国籍取得の手続きの際における虚偽の届出については、国籍法に罰則規定を新設するまでもなく処罰する規定があるので、屋上屋を重ねるだけにすぎず、必要性がないからです。

国籍取得の手続き

1:市町村役場に父親が認知届→父の戸籍に子が記載される
 (うその届出をした場合に罰則あり。5年以下の懲役または50万円以下の罰金)
      ↓
2:法務局に母親が国籍取得届→国籍取得
 (<新設>うその届出をした場合に罰則あり。1年以下の懲役または20万円以下の罰金)
      ↓
3:市町村役場に母親が国籍取得届→子の戸籍ができる
 (うその届出をした場合に罰則あり。5年以下の懲役または50万円以下の罰金)」(朝日新聞平成20年12月5日付朝刊2面「時時刻刻」(13版)より)


市町村に虚偽の認知届や戸籍を届け出る公正証書原本不実記載罪(最長で懲役5年)があるのですから、それで十分だったはずです。公正証書原本不実記載罪と改正国籍法20条の罰則と合わせた最高刑は懲役7年6月となります(毎日新聞 2008年12月5日 東京夕刊)が、虚偽の認知届の延長線にすぎないのですから、国籍取得届だけが、他の虚偽の届出と異なって7年6月の懲役で重く処罰するに値するほどの実質的な違法性がないのです。


 ハ:奇妙な感じを受けるのは、田中康夫議員の発言です。

 「審議中に与野党内で偽装認知への懸念が高まり、4日の参院法務委員会では改正案とともに付帯決議案も可決。半年ごとの国会への報告、父子関係を確認するためのDNA鑑定導入の必要性を検討することなどについて、政府に配慮するよう求めた。
 反対した新党日本の田中康夫代表は「DNA鑑定制度の導入と父親の扶養義務の責任明確化を(国籍法に)明記しない改正は『人権侵害法』に他ならない」と語った。」(朝日新聞)



  (イ) 「父子関係を確認するためのDNA鑑定導入」を行うべきだという考えは、その論理を分析すると、父として子を認知しようとする者とその子との間に生物学上の父子関係が存することをDNA鑑定で証明し、父子関係があると立証された場合のみ国籍取得を認めようとするものです。

しかし、父子関係の確認は、親子関係という身分関係の有無を判断するものですから、こうした身分関係を規律する法律は民法(家族法)であって、日本国民かどうかの要件について規定した国籍法の問題ではないのです。ですから、本来、民法(家族法)で規律する問題について、国籍法で処理(国籍法に明記)しようとすること自体が間違っているのです。

もしかしたら、基本的に認知という届け出行為だけで父子関係を設定させようとしている民法の親子関係規制はそのままにして、国籍法取得を前提とした認知にだけDNA鑑定を導入すべきという考えなのかもしれません。例えば、「私法(民法)上の文脈での私的な認知と,公法(国籍法)上の文脈での国籍取得のための認知とでは,意味が全く異なる……。その意味で,両者の間で区別(合理的な差別)をしてもかまわないはず」(森田博志・千葉大学教授(国際私法))という意見もあり、これも同様でしょう。

しかしながら、<1>戸籍実務の手続としては、すでに述べたように、「市町村役場に父親が認知届→父の戸籍に子が記載される→法務局に母親が国籍取得届→国籍取得→市町村役場に母親が国籍取得届」という順序なのですから、国籍取得とは無関係に「認知届」が存在するのであって、国籍取得ための認知届が別個に存在する手続きにはなっていないのです。ですから、戸籍実務の手続上、「私法(民法)上の文脈での私的な認知と,公法(国籍法)上の文脈での国籍取得のための認知とでは,意味が全く異なる」ことはあり得ないのです。

また、国籍取得場合にはDNA鑑定が必要だとした場合、国籍取得とは無関係な民法上の父子親子関係と、国籍取得の場合の父子関係とでは食い違いが生じる可能性があります(例えば、民法上では法的父子関係あるが、国籍上は法的父子関係がない)。では、食い違いが生じた場合、国及び地方公共団体は、一体、どちらの父子関係を尊重して公的サービスを行えばいいのでしょうか。ですから、「基本的に認知という届け出行為だけで父子関係を設定させようとしている民法の親子関係規制はそのままにして、国籍法取得を前提とした認知にだけDNA鑑定を導入すべきという考え」は非現実的なのです。

このように、国籍法取得を前提とした認知にだけDNA鑑定を導入すべきという考えや、「私法(民法)上の文脈での私的な認知と,公法(国籍法)上の文脈での国籍取得のための認知とでは,意味が全く異なる」ので、「両者の間で区別(合理的な差別)をしてもかまわないはず」(森田博志・千葉大学教授)という考えは、民法と国籍法(更には国際私法)の法構造・論理構造の理解に欠けたものであって、明らかな間違いなのです。

  (ロ) また、田中康夫議員は、「父親の扶養義務の責任明確化を(国籍法に)明記」すべきと主張しています。確かに父親であれば、扶養義務を負うべきであるという考え自体は妥当です。

しかし、扶養義務は、通常、親族関係にある者の間で発生するものですから、身分関係を規律する民法(家族法)固有の問題です。ですから、日本国民かどうかの要件について規定した国籍法にとっては、扶養義務の有無の規定は異質な規定であって、扶養義務があることを国籍法に明記するべきではないのです。

また、各国上、一般に、夫婦、親子その他の親族関係にある当事者間に扶養の義務が認められています。ただし、扶養義務者の範囲・内容など細部については、国ごとに法内容が異なるため、日本国籍と外国籍の人々の間の事案では、どこの国の法で判断すべきか問題となります。

この点、原則として、扶養権利者の常居所地法による(扶養義務の準拠法に関する法律2条1項)のであり、どこでも扶養を受けることができないのでれば日本法によるのです(同2条2項)。できる限り扶養を受けられるようにするためです。ですから、(父親は、日本法上、民法877条1項により扶養義務を負っている以上、)日本人の父親が外国籍の子供を認知した段階で、子供が外国籍のままであっても扶養義務を負うのです。

ですから、子供が日本国籍を取得してもしなくても、日本法又は扶養義務の準拠法に関する法律により、認知した父親は扶養義務を負っている以上、「父親の扶養義務の責任明確化を(国籍法に)明記」する必要性がなく、田中康夫議員の主張は間違っているのです。




2.朝日新聞は、参議院法務委員会での様子や、改正国籍法が迷走した経緯を記事にしていたので、紹介しておきます。

(1) 朝日新聞平成20年12月5日付朝刊2面「時時刻刻」(13版)

国籍法改正、残る火種

 日本人の父と外国人の母をもつ「婚外子」の日本国籍取得要件を緩和する国籍法改正案が、5日の参院本会議で可決、成立する。最高裁の違憲判決を受けた法改正とはいえ、「偽装認知」を懸念する声もあり、新制度は火種を抱えたままのスタートとなる。

◆反対メール 揺れた議員

 「委員長、しっかりしてください」。4日の参院法務委員会。国籍法改正案が可決される直前、自民、民主、公明3党が提案した付帯決議案に不満を持つ自民党の委員が発言しようとすると、「円満決着」を図る民主党の委員らが公明党の沢雄二委員長に採決を促した。この自民党委員は発言をあきらめ、委員長は「ご意見もないようですから」と淡々と議事を進めた。

 国籍法改正に慎重な意見が高まったのは、全会一致で衆院を通過した18日の直前。自民党議員を中心に、「偽装認知」を懸念する100人近い衆参両議員が17日、議員連盟(代表・平沼赳夫元経産相)を結成、DNA鑑定の義務化や偽装認知の罰則強化などを求める声をあげた。

 しかし、採決を急ぐ自民党は、衆院法務委での採決にあたり、反対派議員に「反対するなら委員を交代させる」と警告。衆院本会議の採決では、同党所属議員の数人が棄権した。

 参院に審議の場が移ると、慎重論は野党民主党にまで拡大。同党の議員総会などでは、「衆院の審議は不十分」「参院は再考の府だ」といった意見が続出。急きょ、党内向けの勉強会を1日に開き、制度への理解を求めた。

 議員らの動揺を誘ったのが、反対派市民らから連日、与野党の幹部や所属議員に大量に寄せられたメールとファクスだ。偽装認知による国籍売買を防ぐため、DNA鑑定の義務づけなどの法案修正を求める内容。中には「日本が乗っ取られる」「伝統が破壊される」との排外主義的な主張もあるが、住所、氏名を記し、匿名の無責任な訴えと一線を画そうとするものが目立った。

 ただ、法務省幹部が衆院法務委で「ネットで国籍法改正案に反対しようという呼びかけがあり、それが最初だったようだという情報は得ている」と答弁したような背景もある。

 実際、法務委のメンバーや各党の国会対策委員長、民主党の若手議員らの連絡先一覧や反対のポイントを載せ、メールやファクスを送るよう呼びかけるウェブサイトも登場した。

 国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの鈴木謙介研究員は「ネットの世界では組織的な動きが盛んになり、『目立つ意見が多数意見』という印象を持たれることがある。意見の表明は市民運動の基本で、否定すべきものではないが、意見を受け止める側に世論全体を冷静に読み取る力が求められる」と指摘する。

 広がる慎重論を受け、参院での採決はずるずる先送りされたが、混乱拡大を危ぶむ自民、公明、民主3党が11月27日で法務委での質疑を終了させ、DNA鑑定の必要性の検討などを盛り込んだ付帯決議案を3日にまとめ、事態を収拾した。結局、委員会での審議時間は、衆院が1日約3時間、参院が2日計約7時間だった。 (藤田直央、関根慎一)

◆「偽装申請」新たに罰則

 法改正のきっかけは、今年6月の最高裁の違憲判決だった。日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた子どもたちが起こした訴訟で、最高裁は「両親の結婚」で国籍取得に差を設けるのは「法の下の平等に反する」と判断。家族や親子関係の多様化や、父の認知があれば国籍を認める国が増えたことを理由に挙げた。

 改正前は、父の認知が「出生前」なら日本国籍を認めたが、「出生後」なら両親が結婚しないと認めないことになっていた。「認知と結婚で日本との結びつきが強まる」との考え方だ。戦後8件目という違憲判決の重みを踏まえ、法務省は「結婚要件」を外す改正作業に着手した。

 法務省のサンプル調査による推計では、法改正で国籍取得の条件を満たすのは年間600~700人。国内在住者だけでなく、母の国で暮らす子も申請できるようになる。最高裁判決が遅くとも03年2月から違憲状態としたため、同年1月以降要件を満たす子は、さかのぼって認める。

 法改正を待ち望んだフィリピン人のエルサ・ウイさん(37)は11月20日、さいたま市内の法務局で4歳の長男ショウ君の国籍を申請した。「子どもには何の責任もない。差別は残るかもしれないが、日本人として自信を持って生きてほしい」と話す。

 父親は、かつて働いていた飲食店の客。「妻と別れて再婚する」という約束は果たさなかったが、ショウ君を認知した。その直後に最高裁判決が出て、エルサさんは思わず息子を抱きしめて泣いた。

 違憲判決を受けたことで、こうした事例が救われること自体に異論はほとんどない。それでも土壇場で改正に慎重論が相次いだ背景には、就労目的などで外国人が日本人と偽装結婚し、配偶者として合法的な滞在資格を得る事件が相次いでいる事情がある。

 これまで必要だった結婚という「ハードル」がなくなれば、不法就労を目的とする外国人の間で「偽装認知」が横行するのではないか――。そんな心配が広がった。

 そのため、改正法は虚偽の国籍届出に1年以下の懲役か20万円以下の罰金という罰則を新設。不正な国籍取得に基づいて戸籍をつくれば公正証書原本不実記載罪にも問われ、最高で7年6ヶ月の懲役刑となる。偽装が発覚すれば、国籍は取り消される。

 本当に「偽装認知」は増えるのか。ある捜査関係者は「疑われてDNA鑑定をされたら一発で見破られる。子どもも用意しないといけないから、偽装結婚より手間もかかるのでは」と否定的だ。

 一方、国会で議論されたDNA鑑定の義務づけには、法務省は消極的だ。外国人の子の認知だけに導入すると新たな差別になりかねないし、検体が本物と確認するのは困難だ。ある法務省幹部は語る。

 「悪用も一部に出てくるとは思うが、厳しくしすぎて悪意のない子どもまで国籍を得られない事態は避けたい」 (延与光貞、向井宏樹)」



■国籍法改正反対の理由

問題点1:認知のみで国籍を取得できるうえ、親子関係の確認にDNA鑑定が義務づけられていない
法務省などの反論:法的な親子関係は生物学的な正確さだけで成り立っているわけではない

問題点2:虚偽申請の罰則が軽い
法務省などの反論:公正証書原本不実記載罪も適用されるので、適切な処罰が科される

問題点3:国籍を金で買う偽装認知、特にブローカーが介在した組織的な虚偽申請の恐れがある。治安の悪化など社会不安につながりかねない
法務省などの反論:警察、入国管理局などが連携して情報収集に務め、厳正に対処する」




(2) この記事では、DNA鑑定の義務付けの妥当性に触れた点が重要です。

 「本当に「偽装認知」は増えるのか。ある捜査関係者は「疑われてDNA鑑定をされたら一発で見破られる。子どもも用意しないといけないから、偽装結婚より手間もかかるのでは」と否定的だ。

 一方、国会で議論されたDNA鑑定の義務づけには、法務省は消極的だ。外国人の子の認知だけに導入すると新たな差別になりかねないし、検体が本物と確認するのは困難だ。ある法務省幹部は語る。

 「悪用も一部に出てくるとは思うが、厳しくしすぎて悪意のない子どもまで国籍を得られない事態は避けたい」」(朝日新聞)


 イ:まずは、偽造認知が増えるのかどうかについては、捜査関係者としては偽装結婚よりも手間がかかるので、否定的だということです。要するに、現実に捜査する側である捜査機関自身が、偽装認知の増加の危険性はほとんどないと判断しているわけですから、まずはその判断を尊重するべきでしょう。

◇偽装結婚と偽装認知

 警察庁に報告があった、日本人と外国人による偽装結婚の検挙件数は過去5年で173件。女性が日本で働くために無関係な男性と婚姻届を出した例が多い。「偽装認知」は少なく3件。07年8月、新潟県内でうその出生届を市役所に出したペルー人女と無職男が逮捕されたケースなどがある。」(毎日新聞 2008年12月6日 東京朝刊


このように、日本人と外国人による偽装結婚の検挙件数であっても「過去5年で173件」程度であって、偽装結婚より手間がかかる「『偽装認知』は少なく3件」しかないのです。ですから、改正国籍法により、「偽装認知」が多少容易になったとしても、偽造結婚の「173件」も到底超えないものと推測できます。


もちろん、悪徳ブローカーも出てくるでしょう。

◇偽装ブローカー助長も

 フィリピンには、日本人男性とフィリピン人女性の間に生まれながら、父親の養育拒否などで貧しい暮らしを余儀なくされている子供が数万人いるといわれる。「新日系人」と呼ばれるこのような子供の身元確認などを支援するため、2006年、現地在住日本人らが支援団体「新日系人ネットワーク(SNN)」(本部セブ島)を設立した。

 セブ島在住の岡昭理事長(81)は、改正国籍法の成立を「大きな前進」と評価する。同ネットワークに登録する新日系人は約800人。うち半分は両親の結婚記録がないか不完全な記録しかない子供たちだからだ。

 しかし、岡理事長は法悪用を狙う悪徳ブローカーが早くも動き出したのではないかと憂慮している。「地元テレビに『日本人の父親を捜している人はいませんか』というテロップが流れるのを見た。誰がどんな目的で流しているのか分からない」

 経済不振が続くフィリピンでは高い教育やコネがなければまともな職にありつくことはできない。子供を抱えた母親たちは何とか日本に入国し働く機会を得ようと必死だ。子供の日本国籍取得さえかなえば、母親も日本滞在ビザ取得が容易になる。岡理事長は「政府認定の支援団体が直接、母子の話を聞いたうえで認知手続きを進めるなどの配慮が不可欠だ」と、日本のきめ細やかな対応に期待している。【大澤文護】」(毎日新聞 2008年12月6日 東京朝刊


フィリピンでは、悪徳ブローカーによる臓器売買が問題視されたこともあるのですから、国籍に関しても悪徳ブローカーが動き出すことは確かでしょう。しかし、偽装結婚より手間がかかる「偽装認知」であっても3件しかなったのですし、偽装認知を請け負うなどとして騙されてしまうフィリピン人が生じる方が出てくる方が問題です。支援団体「新日系人ネットワーク(SNN)」の岡理事長が述べるように、「政府認定の支援団体が直接、母子の話を聞いたうえで認知手続きを進めるなどの配慮」が重要です。


 ロ:DNA鑑定の義務づける規定を設けても、現状ではほとんど意味がないも指摘できます。

最初の認知届が出される市区町村の窓口あるいはこの国籍取得届が出される法務局では、「検体が本物と確認するのは困難」であり、また、現在の科学技術水準に合ったきちっとした鑑定ができているかの判断も困難です。ですから、DNA鑑定を義務づけたとしても、市区町村の窓口や法務局は、ただその鑑定書を受け取るだけにすぎず、ほとんど意味がないのです。


 ハ:父子確認のためDNA鑑定を義務づける規定を設けることは、外国人のみに厳しい基準を設けるものですから、新たな問題点が発生しかねません。

例えば、「外国人の子の認知だけに導入すると新たな差別になりかねない」のですから、その規定を巡り外国人に対する不合理な差別(憲法14条違反)になるおそれがあるのです。また、DNA鑑定には相当な費用がかかるため、費用がない者への不合理な差別(憲法14条違反)になるおそれもあります。

民法上、死後認知が認められています(民法787条)。しかし、外国人の場合だけ、DNA鑑定を義務づけた場合には、死者のDNAは入手不可能ですから、外国人の場合のみ死後認知が事実上不可能になってしまいます。このように、外国人のみ事実上の死後認知規定を否定することには、合理性がなく、不合理な差別(憲法14条違反)と言わざるを得ません。(民法上、死後認知を明記している以上、論理的に、DNA鑑定義務付け規定は不可能といえるわけです。)



(3) もう1点は、インターネット上での「国籍法改正案に反対しようという呼びかけ」が国会での迷走を生んだことです。 

 「議員らの動揺を誘ったのが、反対派市民らから連日、与野党の幹部や所属議員に大量に寄せられたメールとファクスだ。偽装認知による国籍売買を防ぐため、DNA鑑定の義務づけなどの法案修正を求める内容。中には「日本が乗っ取られる」「伝統が破壊される」との排外主義的な主張もあるが、住所、氏名を記し、匿名の無責任な訴えと一線を画そうとするものが目立った。

 ただ、法務省幹部が衆院法務委で「ネットで国籍法改正案に反対しようという呼びかけがあり、それが最初だったようだという情報は得ている」と答弁したような背景もある。

 実際、法務委のメンバーや各党の国会対策委員長、民主党の若手議員らの連絡先一覧や反対のポイントを載せ、メールやファクスを送るよう呼びかけるウェブサイトも登場した。

 国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの鈴木謙介研究員は「ネットの世界では組織的な動きが盛んになり、『目立つ意見が多数意見』という印象を持たれることがある。意見の表明は市民運動の基本で、否定すべきものではないが、意見を受け止める側に世論全体を冷静に読み取る力が求められる」と指摘する。」(朝日新聞)


インターネット上の議論は、玉石混淆であり、どんなにおかしな議論であろうと議論自体はいいのです。「ネットで国籍法改正案に反対しようという呼びかけがあり、それが最初だった」ようですが、インターネットでの議論から、問題点が指摘されるのもよいことです。

しかし、改正国籍法反対の議論は果たして妥当なものだったのでしょうか? 

国籍法改正の問題ですから、基本的に法律問題であり、父子確認のためにDNA鑑定を必要とするのであれば、国籍法と民法が関わる問題です。では、その改正国籍法に反対する人々は、国籍法や民法という法律問題についてどれほど理解していたのでしょうか?

国籍法違憲訴訟に関する最高裁判決をよく理解した上で判断したのでしょうか? DNA鑑定の要否は、本来的に民法の領域問題であって、国籍法の領域ではないことを理解していたのでしょうか? DNA鑑定を義務付けた場合の影響についてどれほど理解しているのでしょうか? 改正国籍法に反対する人々は多くの問題点が生じるとしていますが、果たして現実に沿ったものだったのでしょうか?

国会議員がすべて法律を知っているべきとは言いません。民主党では、参院では「党内向けの勉強会を1日に開き、制度への理解を求めた」ため、民主党参院議員は迷走から抜け出たようです。何事も何が正しいのか思い込みではなく、よく検証してみるべきです。国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの鈴木謙介研究員が述べるように、「意見を受け止める側に世論全体を冷静に読み取る力が求められる」ように思うのです。




3.法務省は、審査体制を強化する方針であり、審査体制強化の一環として出入国情報の照合などに力を入れるようです(日経新聞平成20年12月5日付夕刊)。

「衆参両院の法務委員会で与野党から偽装認知の横行を懸念する声が続出したことから、参院法務委は認知した父への聞き取りや父と子が一緒に写った写真の提出、父母の出入国記録の調査で慎重審査を求めて付帯決議した。法務省は通達などで対応する。」(毎日新聞 2008年12月5日 東京夕刊12面


しかし、DNA鑑定の義務づけも含めて、国籍取得を巡り、父子確認を厳しく審査すること自体も問題です。次に述べるように、いま現在でさえ、不当といえるような厳しい審査を行っているからです。

「国籍取得届については、届出人の出頭を求めている点(国籍法施行規則1条3項)が行政手続法37条の趣旨に反する疑いがある。また認知届については、準拠法上の要件を満たしているにもかかわらず、外国人母の身分関係書類の不備を理由として、不当な不受理処分や受附拒否が行われている。さらに認知裁判においても、外国人母の非嫡出子の場合は、DNA鑑定を求められることが多く、その費用負担が重くのしかかっている。もし法改正後も、国籍取得届の件数が少ないとしたら、これらの実務上の困難を疑ってほしい。これらの困難を取り除くことが、最高裁判決の趣旨を活かし、真実の認知を保護する結果となるからである。」(奥田安弘「【法律時評】 国籍法違憲訴訟に関する最高裁大法廷判決」法律時報80巻10号(2008年9月号)3頁)



 「中央大法科大学院の奥田安弘教授(国籍法)は「偽装の不安があるからといって、国籍取得を認めないのは誤り。市町村が父親の認知届を厳しく審査して、真実の認知を拒むケースもある。心から国籍取得を願う人たちに不利益を及ぼしてはならない」と話した。」(毎日新聞 2008年12月5日 東京夕刊12面


偽装認知の可能性があるとしても、真実の認知の保護の要請や正当な国籍取得の機会を保障することとのバランスを考慮しなければなりません。

そのどちらを重視するかについては、最高裁平成20年6月4日大法廷判決は、「仮装認知・偽装認知」のおそれがあったとしても、国籍取得に関して「仮装認知・偽装認知」を理由として、準正子と非準正子を区別することは、不合理な差別であるとして憲法14条1項に違反するとしたのですから、明らかに、真実の認知の保護の要請や正当な国籍取得の機会を保障の方を重視したのです。

すでに触れたように、偽造認知の発生件数は極めて少ないのですから、そうした客観的事実を前提とすれば、国籍取得を巡り、偽造認知の可能性を考慮して、DNA鑑定の義務づけも含めて父子確認を厳しく審査することは過度な法規制・運用であって、妥当性に欠けるというべきです。

最高裁平成20年6月4日大法廷判決の趣旨を尊重した法規制・法運用であるべきです。




<12月7日追記>

参議院法務委員会での質疑を紹介しておきます。
(1) 「第170回国会 法務委員会 第4号・平成二十年十一月二十五日(火曜日)」

「国籍法の一部を改正する法律案(閣法第9号) 

【質疑者】
千葉 景子 君(民主)
松村 龍二 君(自民)
木庭 健太郎 君(公明)
仁比 聡平 君(共産)
近藤 正道 君(社民)


【主な質疑項目】
本法案提案に至る経緯
国籍法違憲判決の意義、内容、射程範囲及び判決に対する法務大臣の認識
国籍取得届の受理の際に必要となる書類
非嫡出子の相続分差別に対する法務大臣見解
法改正後の偽装(仮装)認知に対する防止策
父子関係の証明にDNA鑑定を要求しない理由
特別在留許可を求めている不法滞在のフィリピン人一家の事案への対応と法務大臣所感
法改正後の偽装(仮装)認知に関する罰則を周知徹底する必要性
国籍の持つ意義
偽装(仮装)認知のおそれと国籍法3条の立法目的との関係」



(2) 「第170回国会 参議院法務委員会 第5号・平成二十年十一月二十七日(木曜日)」

「○参考人に対する質疑

【参考人】
中央大学教授 奥田安弘 君

弁護士・日本弁護士連合会家事法制委員会副委員長 遠山 信一郎 君

【質疑者】
松岡 徹 君(民主)
丸山 和也 君(自民)
木庭 健太郎 君(公明)
仁比 聡平 君(共産)
近藤 正道 君(社民)


【主な質疑項目】
国籍法違憲最高裁判決の背景にある社会の変化
認知無効確認の訴えを所管官庁に認めたドイツ民法改正の背景
DNA鑑定の義務付けの人権侵害可能性
国籍取得の際に届出、受理時の調査、DNA鑑定等の負担を課すことの当否
戸籍制度の位置付け
重国籍容認の是非
非嫡出子の相続分を定めた民法900条の規定に関する意見
国籍法違憲最高裁判決の射程範囲
仮装(偽装)認知の防止策
国籍法違憲最高裁判決が国際人権規約・児童の権利条約に触れた点に対する評価
平成7年の非嫡出子相続分に関する合憲判決と国籍法違憲判決の関係
国際人権規約及び児童の権利条約から見た国籍取得権の考え方

○政府に対する質疑

【質疑者】
白  眞勲 君(民主)
田中 康夫 君(民主)
松野 信夫 君(民主)
丸山 和也 君(自民)
山谷えり子 君(自民)
木庭 健太郎 君(公明)
仁比 聡平 君(共産)
近藤 正道 君(社民)


【主な質疑項目】
我が国に居住する外国人との共生に関する法務大臣の認識
重国籍を認めず、血統主義を採用し、永住外国人の地方参政権を認めていない先進国の有無
国籍取得の届出に際してDNA鑑定を任意で提出することの当否
認知の意義について国民に周知徹底する必要性
DNA鑑定の義務付け等を内容とする本法案修正の必要性
今回の国籍法改正の検討開始時期と国籍法違憲判決との関連性
本法案の経過措置の内容とその範囲の妥当性
偽装婚姻等の最近の件数
国籍法違憲最高裁判決に対する評価
国籍法の採用する血統主義の内容
本法案により重国籍者が生じる可能性と重国籍問題に関する検討の必要性
国籍法違憲判決において最高裁が原告に国籍を付与したことと三権分立の関係
本法案が成立した場合に政省令で義務付けを予定している書類及び手続
仮装(偽装)認知防止の重要性と本法案を慎重に審議する必要性
所管官庁に認知無効確認の訴えを認めたドイツ民法の規定の内容とその当否
本法案の内容について周知徹底する必要性
国籍法3条1項の婚姻要件の削除と仮装(偽造)認知防止の関連性
国籍取得を希望する者に対して新たな要件を課すことの有無
改正後の省令、通達等が国籍取得申請者に新たな負担を課すおそれ
裁判官に対する国際人権法の研修、教育の必要性及びその現状
民法772条適用の場合にもDNA鑑定を採用する必要性」



テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
春霞様
こんにちは。共謀罪以来ですかね。国籍法改正については、慎重に議論して欲しいという立場で、委員会審議をネットで拝見しておりました。色々な角度からの質問もあり委員会も見応えがありました。各紙の取り上げもこちらで拝見でき参考になります。一点、【民主党では、参院では「党内向けの勉強会を1日に開き、制度への理解を求めた」ため、民主党参院議員は迷走から抜け出たようです。】と書かれていますが、採決に際しては、自民、民主とも党議拘束がかかっていたようです。「迷走から抜け出た」と矛盾するものではありませんが、お知らせしておきます。
2008/12/07 Sun 10:33:47
URL | 散策 #TY.N/4k.[ 編集 ]
>散策さん:2008/12/07 Sun 10:33:47
お久しぶりです。コメントありがとうございます。


>国籍法改正については、慎重に議論して欲しいという立場で、委員会審議をネットで拝見しておりました

1.改正国籍法で大事な点は、国籍法3条の改正です(太字部分が改正された箇所)。最高裁判決が国籍法違憲判決を出しており、今回の改正は、その判決に従った改正にすぎないのです。

「【現行法】
準正による国籍の取得)
第3条  父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で20歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
       ↓
【改正法】
認知された子の国籍の取得)
第3条  父又は母が認知した子で20歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。」

エントリーでも触れましたが、「偽装認知」のおそれは、最高裁でも言及しており、それでも違憲と判断したのですから、偽装認知を理由として国籍取得の要件を加重すると違憲になりかねません。


2.日本民法の非嫡出子の父子関係の成立は、「基本的に認知という届け出行為だけ」です。父たるべき者がその自由意思で子を自分の子として承認して届ければよいのです。戸籍事務係は、形式的審査権しかなく、真実の親子関係の有無を実質審査できないのです。

(認知)
民法第七百七十九条
 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

(認知の方式)
民法第七百八十一条
 認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。
2  認知は、遺言によっても、することができる。」

要するに、「偽装認知」のおそれは、認知主義を採用している以上、避けられないのです。偽装認知のおそれは、日本民法の親子法制自身にあるのであって、国籍法には係わり合いがないのです。(もちろん、エントリーで触れたように、日本国籍取得のための偽装認知の件数は極めて少ないので、問題視するほどでもないわけですが。)


3.これらの説明と、小倉秀夫弁護士、津久井進弁護士、「いしけりあそび」さんのブログでの国籍法改正に関するエントリーを読むと分かるように、「慎重に議論」しなければならないほどの改正ではなかったと思います。



>一点、【民主党では、参院では「党内向けの勉強会を1日に開き、制度への理解を求めた」ため、民主党参院議員は迷走から抜け出たようです。】と書かれていますが、採決に際しては、自民、民主とも党議拘束がかかっていたようです。「迷走から抜け出た」と矛盾するものではありませんが、お知らせしておきます。

情報ありがとうございます。

ただ、自民党・民主党とも、殆どの法案において慣例として党議拘束がかかっているはずです(社民党は、原則非拘束のようです。)。党議拘束は珍しくないので、国籍法改正案に関しても、殆どの報道機関も問題にしていないのだと思います。

党議拘束とは
 国会の法案採決や首相指名選挙などで、各党が所属議員に対し、党の決定に従って投票するよう命じること。違反すれば処罰の対象となる。与党では、法案の「事前審査」の際、党議拘束をかけるのが慣例。ただ、1997年に成立した臓器移植法の採決では、「個人の死生観にかかわる」などとして、共産党を除く各党が党議拘束を外した。
 2007年6月26日(火) 全国 朝刊 15頁(朝特A) 01段 154文字」(読売新聞)
2008/12/07 Sun 22:35:06
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
春霞様
村野瀬さんのところへの私のコメントへの春霞さんのレスを拝見すると、どうも気分を害してしまったようで、申しわけございません。
最高裁判決の国籍法違憲判決に従ったにすぎないことは、存じ上げております。
そもそも偽装認知ができない状態での3件の偽装認知が今後偽装認知が増えないことの根拠になるのか疑問ではあります。だから偽装認知が増えると申しあげているわけではありませんので、今後の動向を見守りましょう。偽装認知を心配するあまり、真に認知されるべき子どもが、認知されない事態は避けてほしいと思っています。

2008/12/08 Mon 20:16:13
URL | 散策 #TY.N/4k.[ 編集 ]
>散策さん:2008/12/08 Mon 20:16:13
コメントありがとうございます。


>村野瀬さんのところへの私のコメントへの春霞さんのレスを拝見すると、どうも気分を害してしまったようで、申しわけございません。

気分を害していたりしていません。

ただ、今回の改正国籍法反対運動は排外主義的な主張と結びついていることが多く目にするのです。犯罪を煽動する言論に対するのと同様に、排外主義的な言論に対しては、強く非難する態度はあってしかるべきだと思います。こうした排外主義的な主張に対しても「言葉遣いに配慮して、優しく言ってあげましょう」と村野瀬さんにご忠告するのは、さすがにどうかなと思っただけです。


>そもそも偽装認知ができない状態での3件の偽装認知が今後偽装認知が増えないことの根拠になるのか疑問ではあります。だから偽装認知が増えると申しあげているわけではありませんので、今後の動向を見守りましょう。

散策さんが「偽装認知」のおそれをずっと心配しているのは、「お玉おばさんでもわかる 政治のお話」さんの「国籍法改正案可決」というエントリーでのコメントされた内容ですよね?
http://potthi.blog107.fc2.com/#entry525

「海外に展開している暴力団やオウムのようなカルト宗教団体が、現地に長期滞在している日本国籍男性を使って偽装認知する可能性という私の懸念は払拭されたわけではありません」

しかし、散策さんが、なぜ、こういう心配をするのかよく分かりません。

暴力団やオウムのようなカルト宗教団体が、現地に長期滞在している日本国籍男性を使って偽装認知」を画策した場合であっても、認知を行い、日本国籍取得をするためには、在外公館などに幾つかの書類を出さなければなりません。日本国籍を取得しようとする者が15歳以上のときは本人が、15歳未満のときは親権者・後見人などの法定代理人が、自ら出頭手続きをする必要があります。

「子供の認知による日本国籍取得の方法」参照
http://www.itn-wedding.com/data/child-ninchi.html

このような手続を経る以上、、すぐに日本国籍を取得できるわけではないのですから、もし「暴力団やオウムのようなカルト宗教団体」が関わっていることが判明するでしょう。もし、外国でのこうした活動が発覚すれば、偽装した書類などが犯罪の証拠となり、「偽装認知」を契機として当該外国及び日本で処罰される危険をもたらします。偽装認知に協力した日本人も国外退去若しくは処罰の危険をせおうことになります。いずれにせよ、偽装認知で日本国籍を取得したとしても、「暴力団やオウムのようなカルト宗教団体」とかかわりがあると分かれば、公安警察などの監視対象になるはずです。

もっとも、「暴力団やオウムのようなカルト宗教団体が、現地に長期滞在している日本国籍男性を使って偽装認知」した場合で、仮に日本国籍を取得した者がいたとしても、その者は「暴力団やカルト宗教団体」の関係者なのでしょうか? その者が「暴力団やカルト宗教団体」の関係者であれば、それもまた、公安警察などの監視を受けるはずです。

だいたい、偽装認知を受けた人自体が「暴力団やカルト宗教団体」の関係者かどうかも分からないのです。関係者かどうか分からないのに、最初から危険人物扱いする意図なのでしょうか? 

それとも、「暴力団やカルト宗教団体」が偽造認知商売をすることを問題視するということなのでしょうか? しかし、偽装認知商売をする危険性は、「暴力団やカルト宗教団体」でなくても、普通のブローカーでもありえるのです。ですから、「暴力団やカルト宗教団体」による偽装認知を問題視するのは筋が違うように思います。

偽装認知について、最初から「暴力団やオウムのようなカルト宗教団体が、現地に長期滞在している日本国籍男性を使って偽装認知」するのでないか、と危険視するのは、何もしない前から「偽造認知」を問題視しているようなものです。

散策さんのように過度に偽装認知を問題視する態度は、結局は、知らず知らずのうちに排外主義的な考えが混じってしまっているのではないか、と危うさを感じてしまうのです。
2008/12/10 Wed 00:54:26
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
春霞さん
私の杞憂の解消にお時間を取っていただきありがとうございました。
どのようにお話するのが妥当か悩むところですが、後ろからたどって行きます。上記例が思い浮かびましたのは、認知で想像される子どもが幼児であるのに対し、法では未成年となっておりますので、19歳数ヶ月という子も認知の対象となり何らかの脱法手段として使われないかと思いました。これに対し、子どもの年齢が高ければ、その子の母が妊娠した時期に海外への出国記録があることが必要なので、そのような日本人男性を探すのは難しく、偽装認知は、幼児に比べてより難しいという意見をいただきました。それなら、ずっと海外にいた日本人男性なら出国記録を確認するまでもなく、偽装認知が可能と考えた次第です。
では、なぜ偽装認知の危惧があるかと思ったかと言えば、ブログめぐりをしていて、偽装認知を懸念するエントリをいくつか見たからです。その中の一つは、11月11日の城内実氏の【「国籍法」の改悪に反対する!】のエントリです。(この例は、差別的だと批判も拝見しています)
では、なぜ城内実氏の意見を聞き流せないと感じたか。
城内実氏に関心を持ったのは、城内実氏が喜八ログをブログの中でリンクした時でした。それは、植草一秀氏についてのエントリでした。現在ご自身でも【植草一秀の『知られざる真実』】というブログをやっている植草氏が冤罪を主張しているのはご存知と思います。
ブロガーの中には、二度の事件に冤罪は考えにくく、国策逮捕に類する意図的な事件であると主張するかたもいます。上記城内氏の引用したエントリは、そんな話もあるという程度のエントリでした。しかし、私にとっては、衆議院議員までつとめた城内氏がこの種のエントリをリンクしたことは驚きでした。彼は、年次改革要望書にあり、竹中大臣がアメリカと17回協議したことを認めた郵政民営化に反対して、対立候補をたてられました。族議員、守旧派のレッテルを貼られて、選挙に破れた城内氏は、植草氏の件についても、何か思うところがあったのかもしれません。植草氏の事件が本当なのか、そうでないのかは、私にはわかりません。しかし、報道に出てこないことで、これはどうなのだろうと思うことは、ままあります。目の前を通り過ぎる法案に、自分も本当に問題は無いか、法案が通る前に考えてみよう、と思った次第です。
春霞さんの分析には、感謝いたします。
何とかついていけるよう勉強させていただきたいと思います(時間はかかりそうですが)。
2008/12/11 Thu 02:04:58
URL | 散策 #TY.N/4k.[ 編集 ]
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2008/12/11 Thu 11:50:47
| #[ 編集 ]
>散策さん:2008/12/11 Thu 02:04:58
コメントありがとうございます。


>では、なぜ偽装認知の危惧があるかと思ったかと言えば、ブログめぐりをしていて、偽装認知を懸念するエントリをいくつか見たからです。その中の一つは、11月11日の城内実氏の【「国籍法」の改悪に反対する!】のエントリです。(この例は、差別的だと批判も拝見しています)
>では、なぜ城内実氏の意見を聞き流せないと感じたか。
>城内実氏に関心を持ったのは、城内実氏が喜八ログをブログの中でリンクした時でした。それは、植草一秀氏についてのエントリでした。

散策さんが偽装認知を問題視したのは、「信頼に値する城内実氏も、偽装認知を懸念する主張をしていた」というのが1つの理由のようですね。

ただ、あまりにも酷い差別的言動をしているのですから、私は信頼に値する人物だとは思いません。明白な差別的言動は憲法14条(法の下の平等)違反のおそれがあり、見過ごせないからです。


>報道に出てこないことで、これはどうなのだろうと思うことは、ままあります。目の前を通り過ぎる法案に、自分も本当に問題は無いか、法案が通る前に考えてみよう、と思った次第です

「法案が通る前に考えてみよう」ということは、妥当な態度だと思います。ぜひ、続けていってほしいと思います。

ただし、どれほどの法案が成立しているかご存知でしょうか? 「国会で成立した法律」(http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_housei.htm)をご覧下さい。例えば、169回国会では80本ほどの法律(改正案も含む)が成立しています。「法案が通る前に考えてみ」るとしても、ごく一部の法律しかできないでしょう。

根本的な問題として、法律について十分に熟知しているとか、関係者でない場合、その法案の妥当性について本当に判断できるのでしょうか? 

法律問題は各法律に専門家がいるように、専門学問であり、しかも、立法の是非となれば、国には立法裁量がありますから、その立法が不当であるという判断は極めて困難です。

今回の改正国籍法の場合には、国籍法違憲判決を受けての改正ですから、国籍法違憲判決自体を正しく理解する必要があります。法律の専門家であっても、判決の理解には差が生じることがあるのですから(このブログでは、最高裁判所調査官の解説を紹介して、ブレがないようにしました。)、特に、ネットウヨクと呼ばれる方たちの法律論は、無茶苦茶な法解釈を展開していることが多いのです。(散策さんも、ネットウヨクと呼ばれる方たちの無茶苦茶な言い分はよくご存知のはずです。)

「法案が通る前に考えてみ」るとしても、本当に正しく判断できるかどうかは、かなり難しいのではないでしょうか。私にとっても、各会期で80本も成立する法律を、すべて検討することは不可能です。


改正国籍法の話にします。

国籍法違憲判決については、判決直後から、どのような改正案になるのか問題とされていました。

「解説委員室ブログ:NHKブログ | 視点・論点 「国籍法違憲判決と今後の課題」(2008年06月18日 (水))
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/9790.html

この記事は一例にすぎませんが(新聞報道を検索すれば分かるはずです)、元々、国籍法違憲判決に注目していた人たちは、偽装認知の問題にも言及していましたし、他の要件が付加されることを懸念して、ずっと改正国籍法の動向に注目していたのです。

ところが、ネットでは妙な展開になっていたのはご存知の通りです。国籍法違憲判決と改正法の動向からすると、散策さんが抱いた疑問は、元々、妥当なものではなかったように思えるのです。

エントリーでも触れましたが、ネットの情報はあまりにも間違いが多いです。正しく理解できている法律論となると、ごくごく一部です。どんなに城内実氏を信頼していようとも、「城内実氏の意見を聞き流せないと感じた」としても、間違った主張だけは聞き流すべきです。

個人的な親交があるのなら仕方がない面があるかもしれませんが、そうでもないのに、差別的言動をし、間違った主張をしている人物の発言を全面的に受け入れてしまうのは、おかしいのではないでしょうか? 
2008/12/13 Sat 02:11:01
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
春霞さん
解説委員室ブログのご紹介もいただきありがとうございます。村野瀬さんもそうでしょうが、従来から関心のあるかたには、言わずもがなのことであったことが良くわかりました。
城内さんとは、親交はございませんが、上記コメントをさせていただきながら、城内さんのブログにもコメントさせていただきました。12/13 9:00現在、レスはついていません。
「※書籍紹介※ 『崩壊前夜ー日本の危機』(日本文芸社)」
http://www.m-kiuchi.com/2008/11/29/nihonnokiki/
森田実さんのこの本には、郵政民営化と小泉さん批判をした森田さんが、テレビから排除されていく様子が書かれています。小泉さんは、闇はないと言ってくださいましたが、全てが白日のもとにあるとは、思っていません。
おっしゃるように全て法案を検討することは不可能ですし、どんな法案があるかさえ知りません。ただ、誰かが強い懸念を表明していることを知った法案には、関心は向けたいと思っています。

過去関心を持ったのは、障害者自立支援法(成立)、共謀罪、電子投票法案、ネット規制法(成立)などです。

今後、関心のある法案は、電子投票法案、児童ポルノ改正法案、人権擁護法案、共謀罪、ネット侮辱罪などです。(基本的には濫用懸念が無いかという観点から見ています。)

また、話がそれてしまいますが、春霞さんは、司法にお詳しいですが、三井環氏の件はどのようにお考えですが?
検察裏金を内部告発しようとして国策逮捕され、現在はインシュリンが許可されず、命の危機にあると。
古川利明の同時代ウォッチング(フリージャーナリストのかた)
http://toshiaki.exblog.jp/7693828/

(尚、このかたのブログは、読みづらいので、ちゃんと読んでいないのですが、本も出しています。障害者自立支援法と共謀罪が出て来た時に警鐘を鳴らし、特に障害者自立支援法があまり報道にも載らずに成立していく過程での文章には心を動かされました。
http://toshiaki.exblog.jp/d2005-10-29 )

ネット上で、これはどうなのだろうという話題は、検証のしようもなく、もやもやと心に残ります。
2008/12/13 Sat 09:15:34
URL | 散策 #TY.N/4k.[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ:2008/12/11 Thu 11:50:47
コメントありがとうございます。
非公開コメントですので、修正した形で引用します。


>国籍取得に関して必要とされる書類が不備の場合や、書類を偽造した疑いがある場合にDNA鑑定を利用することはまずいのでしょうか。

法務省によると、「認知された子の国籍取得の届出」は↓のようになっています。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/NATIONALITY/6-1.html
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji163.html

書類が不備の場合や、書類を偽造した疑いがある場合には、国籍取得が認められないという判断をすることになると思います。偽造した疑いがある場合、偽造か否かの判断をはっきりさせることで終わるのではないでしょうか。審査を行う担当者は、実質的な審査権限がないわけですし、事前の予告なくDNA鑑定を要求することは、行政手続の適正の見地からして問題があるように思います。

最初からDNA鑑定を必要とすることもあると予告しておくことも考えられますが、DNA鑑定は費用がかかりますし、審査の担当者では鑑定書が偽造か否かなどの判断は困難です。認知を求める裁判であればともかく、国籍取得の段階でDNA鑑定を必要とするのは、事実上、難しいです。


>話は変わりますが、高田夫妻などの場合も、双子の子との親子関係については、DNA鑑定で認定すべきだったと思います。

個人的には、DNA鑑定を重視することはむしろ歓迎しています。母子の親子関係については、原則として出産を基準にして母子関係を決定するとしても、例外的に、DNA鑑定により血縁関係上、母子関係があるといえれば、子供の保護の見地からいっても、法的母子関係があると判断していいと思います。(代理出産関係における親子関係の判断は、他のエントリーで触れたことですが。)

今回の騒動は、世論の一部とはいえ、血縁重視の意識が強いことを示しました。ある意味、代理出産を肯定する一里塚となったといえそうです。
2008/12/13 Sat 23:18:04
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
>散策さん:2008/12/13 Sat 09:15:34
コメントありがとうございます。


>解説委員室ブログのご紹介もいただきありがとうございます。

解説者の奥田教授は、国籍法についての第一人者ですので、読む価値があると思い、紹介させて頂きました。


>城内さんとは、親交はございませんが

思想的には右左どちらでもいいのですが、城内さんが発した、酷い差別的言動には大変残念な思いがします。


>過去関心を持ったのは、障害者自立支援法(成立)、共謀罪、電子投票法案、ネット規制法(成立)などです。
>今後、関心のある法案は、電子投票法案、児童ポルノ改正法案、人権擁護法案、共謀罪、ネット侮辱罪などです。

どれも重要な法案ですね。ぜひ頑張って下さい。どれかの法案を論じる際には、ぜひ散策さんのブログを参考にさせて頂きますね。宜しくお願いします。


>また、話がそれてしまいますが、春霞さんは、司法にお詳しいですが、三井環氏の件はどのようにお考えですが?

三井氏が行ったとされる事件は、検察の裏金を内部告発しようとして、逮捕・起訴という形ですから、胡散臭いことは確かです。


>検察裏金を内部告発しようとして国策逮捕され、現在はインシュリンが許可されず、命の危機にあると。

月刊「創」2009年1月号130頁以下に手記が出ていますが、その点は、今、一番問題だと感じています。刑務所・拘置所での医療体制については、悪化するまで治療しないということがたびたび生じており、三井氏に対しても、仰るとおり、糖尿病だとわかっているのに治療をしないということまでしたのです。

三井氏は手記の中で、次のように述べています。

「私は検察官時代、拘置所や刑務所には送り込むばかりだった。まったく、中のことは知らないし、考えることもしなかった。正直、中のことについてまったく興味がなかった。今回、自らが受刑者となって刑務所の処遇を受ける身になった。医療は国民にとって、最低限、不可欠なものである。しかし、刑務所や拘置所では外の常識がまったく通じないことを痛感した。これは実におかしいものだ。」(創2009年1月号133頁)

世論は厳罰化を望み、刑務所に送り込むことには熱心ですが、刑務所の処遇には無関心ではないでしょうか。三井氏だけが、特別に刑務所の中に興味がなかったわけではないはずです。もっと幅広く目を向けてほしいと思います。


>ネット上で、これはどうなのだろうという話題は、検証のしようもなく、もやもやと心に残ります

ネット上の話題は、怪しげな議論が多いですから、確かに「これはどうなのだろう」という疑問は生じますね。このブログでも、法律問題については、何度か怪しげな主張を批判したことがあります(例えば、政教分離に関すること、橋下氏の発言など)。
2008/12/16 Tue 00:55:25
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
春霞さん
雑誌「創」を教えていただき、ありがとうございました。買ってきました。三井環氏の手記は、連載なんですね。驚きました。まさか塀の中で抹殺されんとしているのかと思いましたが、医療体制、方針の不備と理解しました。麻生氏宅拝見ツアー逮捕の件や「天皇伝説」を巡るロフトでの鈴木邦男氏と渡辺文樹氏のトークイベント、鈴木邦男氏の連載コラムには「たかじん」に田母神氏が出た回の感想があり、斉藤孝男氏の三浦和義氏についての言及部分などまさに知りたかったことのオンパレードです。ネットのおかげで、ロフトのトークイベントも、田母神氏の出た回も国籍法に言及した回も東京では放送されない「たかじん」をユーチューブで見ることが、出来ます。ネット情報と出版物がつながり、感動です。また、特集の、テレビ局の徹底研究もフジ「サキヨミLIVE」やテレ東「週刊ニュース新書」の紹介もあり、テレ朝の長野智子さんにも期待が持てるし、ここ数年テレビを見ても何もわからないと思っていましたが、何だか嬉しくなってくる号でした。ありがとうございました。
2008/12/20 Sat 07:20:10
URL | 散策 #TY.N/4k.[ 編集 ]
>散策さん:2008/12/20 Sat 07:20:10
コメントありがとうございます。
お返事が遅くなってすみません。


>雑誌「創」を教えていただき、ありがとうございました。買ってきました

最近の月刊「創」は良い記事が多く、読み甲斐があります。最近の出来の良い雑誌は、「冤罪File」もありますね。
http://enzaifile.com/


>三井環氏の手記は、連載なんですね。驚きました。まさか塀の中で抹殺されんとしているのかと思いましたが、医療体制、方針の不備と理解しました

三井氏の場合は、糖尿病でどういう治療をするか通知していたにも関わらず、怠ったのですから、「不備」というよりも、狙い撃ちされたのでしょう。刑務所では、良くあることの1つなのでしょうね。

しかし、元検察官という法律を熟知している者であれば、黙っているはずがないのに、よくえげつない事をやるな~と思いますけどね。これこそ「国家権力」というべきか……。
2008/12/24 Wed 01:18:13
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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