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2006/10/06 [Fri] 19:31:09 » E d i t
向井夫妻の代理母問題について、法務省は最高裁に抗告するよう東京都品川区に指示する方針との報道がありました。これについてコメントします。

1.東京新聞のHP(平成18年10月6日)

法務省指示で最高裁抗告へ  出生届受理命令の品川区
 
 タレント向井亜紀さん(41)と元プロレスラー高田延彦さん(44)夫妻が米国人女性に代理出産を依頼して生まれた双子の男児をめぐり、東京都品川区に出生届の受理を命じた東京高裁決定を不服として、法務省は5日、最高裁に抗告するよう同区に指示する方針を固めた。

 当事者は品川区だが、戸籍法は戸籍事務の処理に関して必要がある場合は、法務省側が市区町村に指示できると規定しており、同区は従うとみられる。

 関係者によると、法務省は出産した女性だけを母親とする立場を堅持しており、検討の結果、最高裁の判断を仰ぐ必要があるとの結論に達した。憲法違反などの特別抗告理由が見当たらないため、法令解釈上の重要な問題が含まれていると高裁が認めた場合に許される「許可抗告」の形を取ることになる。

 品川区は期限の10日までに手続きをする。

 9月29日の東京高裁決定は「日本で夫妻の子と認められないと、双子は法律的に受け入れる国がない状態が続く。夫妻と双子を親子と認めた米国の確定裁判を承認しても公序良俗に反する要素は見当たらず、子の福祉を優先すべきだ」と判断した。

 決定によると、がんで子宮を摘出した向井さんは米国人女性に代理出産を依頼、2003年に双子が生まれた。出生地の米ネバダ州は現地裁判所の命令を得て、双子を夫妻の子とする出生証明書を発行。夫妻は品川区に出生届を提出したが不受理となり、不受理処分の取り消しを求めた家事審判で東京家裁は昨年11月、申し立てを却下。夫妻が東京高裁に即時抗告した。

(共同)
(2006年10月06日 02時01分)」



2.本題に入る前に。
この共同通信の記事は、東京高裁決定を正しく引用していますので、大変良いと思います。

この事案は、「出生地の米ネバダ州は現地裁判所の命令を得て、双子を夫妻の子とする出生証明書を発行」したとしていて、双子と夫妻の親子関係の成立のために、ネバダ州裁判所の命令があることを明示しています。

そして、「9月29日の東京高裁決定は『日本で夫妻の子と認められないと、双子は法律的に受け入れる国がない状態が続く。夫妻と双子を親子と認めた米国の確定裁判を承認しても公序良俗に反する要素は見当たらず、子の福祉を優先すべきだ』と判断した」と決定をまとめていて、この事案が外国判決の承認の問題(国際民事訴訟法の問題)であることが分かります。

このように、日米の法律に関わる親子関係の成立の問題について、国際私法上で解決する問題(どの国の法で親子関係を決定するのか)ではなく、また、日本民法上、代理出産(代理懐胎)の是非を問題にしているわけではないことが分かります。

今国会においても、この問題について民主党の枝野議員が質問をしていて、法務大臣は「米国の裁判所で確定した裁判の効力を我が国で認めるかという事案と承知している」という趣旨の答えをしているので、法務省も正しく理解していることが分かります。

なお、追記で取り上げておきますが、東京高裁決定について、毎日新聞は正しく理解していますが、読売新聞は正しく理解していません。




3.さて本題です。

(1) どうやら、「憲法違反などの特別抗告理由が見当たらない」ので、「法令解釈上の重要な問題が含まれていると高裁が認めた場合に許される『許可抗告』を行うようです。

「代理出産(代理母)による法律関係~東京都品川区は最高裁へ抗告検討(東京新聞10月3日付)」で触れたように、許可抗告が認められるのかどうか、微妙な感じはします。9月29日の東京高裁決定は、外国判決の承認として論じたのであって、日本法民法上の解釈として代理母の是非を論じたのではないから、日本民法上の解釈(母子関係の成立は分娩の事実による)との不一致という問題は生じていないからです。

日本民法上の解釈上(最高裁昭和37年4月27日判決・民集第16巻7号1247頁)も、はたしてどうでしょうか? 日本民法の解釈は、この判例に依拠しています(二宮周平「家族法」172頁参照)。

「主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         
理    由
 上告代理人敦沢八郎の上告理由について。
 被上告人が上告人を分娩した旨の原審(その引用する第一審判決)の事実認定は、その挙示する証拠に徴し、首肯するに足り、これに所論のような違法は認められない。所論は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を争うこ帰し、採用するをえない。
 なお、附言するに、母とその非嫡出子との間の親子関係は、原則として、母の認知を俟たず、分娩の事実により当然発生すると解するのが相当であるから、被上告人が上告人を認知した事実を確定することなく、その分娩の事実を認定したのみで、その間に親子関係の存在を認めた原判決は正当である。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助」


このように、母子関係の成立は「原則として、母の認知を俟たず、分娩の事実により当然発生する」として、元々、例外を認めているのですから、分娩の事実以外でも母子関係を認められると解釈できるのです。
そうすると、東京高裁決定は、日本民法上の解釈としても、不一致はないと考えることが可能です。
追記:「母子関係の成立は分娩の事実により発生する」というのは解釈であって、明文であって変更可能です)


もし「許可抗告」が認められた場合、最高裁が外国判決の承認の問題ついて判断を示すことになるはずですし、その際に、日本民法上、代理母(懐胎母)問題についても判断を示して欲しいものです。もっとも、外国判決の承認の問題とした場合には、日本民法上の代理母(懐胎母)の是非は、傍論としての判断となります。



(2) もし最高裁が外国判決の承認の問題とした場合には、外国判決の承認の問題として論じた東京高裁平成18年9月29日決定(南敏文裁判長)が正しく、外国判決の承認の問題とせずに論じた大阪高裁平成17年5月20日決定(田中壯太裁判長)は間違っていたことがはっきりします。

もっとも、東京高裁決定と大阪高裁決定ともに、州裁判所の命令がある事案(東京高裁ではネバダ州裁判所、大阪高裁ではカリフォルニア州裁判所)でしたから(「代理出産(代理母)による法律関係~東京都品川区は最高裁へ抗告検討(東京新聞10月3日付)」も参照)、外国判決の承認の問題とする方が正しいと考えています。
上でも取り上げましたが、法務省も外国判決の承認の問題であると理解しているのですから、東京高裁決定と大阪高裁決定のどちらが間違っているのかは確実ですが……。

東京都品川区が最高裁へ抗告した場合、最高裁はどういう論理で判断するのか、外国判決の承認の問題として論じるかどうか、大変注目しています。




4.この事案に限らず、一般論として、国際的な法律関係に関する裁判例については、国際民事訴訟法を含め国際私法の問題があることを失念し、あるいは国際私法の理解を間違えたものが(新聞報道されないものを含め)かなり多いのです。学生時代、国際私法学者(数名)がよく嘆いていたことを思い出しました。



<追記1>

同じ情報についての毎日新聞と読売新聞の記事です。東京高裁決定の取り上げ方に注目して下さい。

(1) 毎日新聞(10月6日付)

代理出産:向井さんの届け出受理 最高裁に抗告へ
 
 タレントの向井亜紀さんと元プロレスラー高田延彦さん夫妻が米国女性に代理出産を依頼して生まれた双子の男児の出生届を受理するよう命じた東京高裁決定を不服として、法務省は5日、最高裁の判断を仰ぐ方向で最終的な検討に入った。近く、家事審判の当事者である東京都品川区に対し、最高裁への抗告を求めるとみられる。

 同省は「出産した女性を母親とする」との法解釈に基づき、代理出産で生まれた子の出生届を受理しない立場をとってきた。長勢甚遠法相も3日の会見で「東京高裁決定は我が国の従来の考え方と異なり、問題が残っている」と発言しており、最高裁の最終判断が必要と結論付けた模様だ。

 最高裁への抗告は、判例違反や法令解釈上の重要な問題が含まれていると高裁が認めた場合に許される「許可抗告」の手続きがとられる見通しだ。

 9月29日の東京高裁決定は「民法制定時に想定されていないからといって、人為的操作による妊娠、出生すべてが法秩序に受け入れられない理由にはならない」と指摘したうえで、「向井さん夫妻に養育されることが最も子供の福祉にかなう」と判断し、向井さん夫妻との親子関係を認めた米国の裁判結果の効果が日本でも生じるとした。【森本英彦】

毎日新聞 2006年10月6日 3時00分」



(2) 読売新聞(10月6日付)

向井さん代理出産、法務省が区に許可抗告指示へ

 タレントの向井亜紀さん(41)夫妻が、米国人女性に代理出産を依頼して生まれた双子(2)について、法務省は5日、双子の出生届を受理するよう東京都の品川区長に命じた東京高裁決定を不服として、同区に対し、最高裁に許可抗告するよう指示する方針を固めた。抗告期限は10日。

 法務省は、高裁決定の内容を検討した結果、「民法の解釈上、母子関係は出産によって生じ、代理出産による母子関係は認められない」とする従来の立場を維持。

 憲法違反を抗告理由とする「特別抗告」が困難なため、法令の解釈で重要な問題がある場合に認められる「許可抗告」が妥当と判断した。品川区が抗告し、東京高裁が抗告理由があると許可すれば、最高裁で審理される。

 先月29日の東京高裁決定は、向井さん夫婦と双子の血縁関係を認定し、「民法が代理出産を想定していないからといって、母子関係を認めない理由にはならない」と判断。「向井さん夫妻が養育することが双子にとって最適」として、品川区長に出生届を受理するよう命じた。

(2006年10月6日3時26分 読売新聞)」



毎日新聞は、「9月29日の東京高裁決定は……向井さん夫妻との親子関係を認めた米国の裁判結果の効果が日本でも生じるとした」という引用をしています。これだと、外国判決の承認の問題であることが分かります

これに対して、読売新聞は

「先月29日の東京高裁決定は、向井さん夫婦と双子の血縁関係を認定し、「民法が代理出産を想定していないからといって、母子関係を認めない理由にはならない」と判断。「向井さん夫妻が養育することが双子にとって最適」として、品川区長に出生届を受理するよう命じた。」

としています。こういう引用だと、米国の裁判結果を受け入れる問題であるとか、外国判決の承認の問題であるとかが、少しも理解できません。読売新聞による東京高裁決定の取り上げ方は最初から同じで、読売新聞は、いまだに問題点の把握ができていないのです。

読売新聞は、判例の評価について偏った見方が多いことは確かですから、東京高裁決定もその1つなのかもしれません。ですが、 「ニュース:医療と介護:YOMIURI ONLINE(読売新聞)」において、積極的に情報を提供し続けていて、その意義は高く評価できるのですから、早く問題点を正しく理解して、正確な報道して欲しいです。今国会における枝野議員と法務大臣との質疑を聞いて、間違いに気づくといいのですが。




<追記2>

asahi.com(朝日新聞10月6日)の記事による東京高裁決定が一番的確です。

asahi.com(朝日新聞10月6日)

向井亜紀さん「代理出産」、法務省が抗告を区に指示へ
2006年10月06日15時55分
 
 タレントの向井亜紀さん(41)と元プロレスラーの高田延彦さん(44)夫妻が米国人女性に代理出産を依頼して生まれた双子の男児(2)について、東京都品川区に出生届の受理を命じた東京高裁決定を不服として、法務省は6日午後、最高裁に抗告するように同区に指示することを決めた。

 これまで国は「親子関係は分娩(ぶんべん)の事実によって生まれる」としてきた。

 しかし、29日の東京高裁決定は、出産直後に米ネバダ州裁判所が「向井さん夫妻が子供たちの血のつながった、そして法律上の父母と認められる」とする命令を出したことを重視。命令は「外国裁判所の確定判決」にあたり、民事訴訟法上、日本の基本的価値や秩序に混乱をもたらさないなどの条件を満たせば日本で承認される、との枠組みを示した。ネバダ州裁判所の命令を足がかりに、それが特別問題なければ日本でも受け入れるという形で、親子関係を認める手法をとった。

 具体的には、ネバダ州裁判所の命令は、厚生労働省の審議会が代理母出産を禁止する結論を示した際に理由として挙げた「人をもっぱら生殖の手段として扱うことの禁止」「安全性」「商業主義の排除」などのいずれにも、今回のケースは当てはまらないと判断。「夫妻と双子を親子と認めた米国の確定裁判を承認すべきだ」と出生届受理が妥当と結論づけた。

 これに対し、法務省は外国判決の承認についての解釈をめぐり、法令解釈上重要な事項を含む場合に許される「許可抗告」をすることを決めた。決定直後から「社会に与える影響はあまりにも大きい」として、最高裁の判断を仰ぐ必要があるとしていたが、憲法違反などの理由がある時に可能な「特別抗告」は難しいと判断したためだ。

 法務省幹部は「厚労省や法制審議会でも検討を進めているところで、議論を深める必要がある問題だ」と話している。

 6日に長勢法相が決断した。官邸と最終調整したうえ、手続きに入る。

 向井さんは00年に子宮摘出手術を受けた。その際、自分の卵巣を骨盤の外に移して温存。その卵子と高田さんの精子を顕微授精させ、その受精卵を米国人女性に移植して出産してもらう代理出産で、03年に双子の男児が誕生。品川区は法務省の意向も踏まえ双子の出生届を受理しなかった。」


この記事によると、

「29日の東京高裁決定は、出産直後に米ネバダ州裁判所が……命令を出したことを重視。命令は『外国裁判所の確定判決』にあたり民事訴訟法上、日本の基本的価値や秩序に混乱をもたらさないなどの条件を満たせば日本で承認される、との枠組みを示した。ネバダ州裁判所の命令を足がかりに、それが特別問題なければ日本でも受け入れるという形で、親子関係を認める手法をとった。 」

というように、東京高裁決定を引用しています。これでやっと的確な引用が出てきてほっとしています。東京高裁決定が外国判決の承認の問題として処理したことが明確になりました。では、条文と照らし合わせながらどういう判断をしたのか説明してみます。

(外国裁判所の確定判決の効力)
民事訴訟法第118条  外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。
1  法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
2  敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
3  判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
4  相互の保証があること。



記事中の「外国裁判所の確定判決」は、民訴法118条本文の「外国裁判所の確定判決」のことです。東京高裁決定は、ネバダ州裁判所の命令は、通説・判例通り「判決」にあたるとしたわけです。

記事中の「民事訴訟法上、日本の基本的価値や秩序に混乱をもたらさないなどの条件を満たせば日本で承認される、との枠組みを示した」の部分は、民訴法118条3号の「判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと」を判断する場合について、外国裁判所で認められた親子関係の成立に関して具体的な判断基準を示したものだと思います。

ただ、記事中の「ネバダ州裁判所の命令を足がかりに、それが特別問題なければ日本でも受け入れるという形で、親子関係を認める手法をとった」は、妙な記事内容です。向井夫妻は、外国判決の承認を求め、東京高裁決定は外国判決を承認しただけですから、「ネバダ州裁判所の命令を足がかり」に「親子関係を認める手法をとった」という評価は適当ではないと思います。

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
ミュシャが解釈す
ミュシャが解釈するはずだったの。
またきのうはネバダで関係しなかった。
さて最高裁が裁判とか負担したの?
また読売新聞で確定しなかった?
また法務省は判決しなかったよ。
2006/10/07 Sat 11:12:37
URL | BlogPetのミュシャ #-[ 編集 ]
読みました。
興味深く読みました。
そして、マスコミの言説がほとんど風説でしかないことの意味をかみ締めています。

とはいえ、法律に関する知識や理解力があるものにしか、伝わらぬというのは、法曹界の特権意識の現われだと考えます。

大学の教授は、入学してきた学生だけ相手にして、理解せぬ輩がいたら、「勉強をせい」と罵ればいい。しかし、裁判所は無学の徒にも直感的に伝わるやり方を模索せねばならぬ思う。それができぬなら、裁判所も報道官を準備すべき…。

今回の日本の公序良俗に反しないという判断についても、あまりにミクロでマクロ的な視点に欠けると感じています。

マスコミが分かりやすくする作業において情報を変容させてしまうのが仕方のないことなら、裁判所ならびに司法関係者が分かりやすくする作業をすべきだと考えます。

御邪魔しました。
ご無礼・ご立腹の段ありましたら、お詫びもうしあげます。
2006/10/08 Sun 08:09:16
URL | スポンタ #3DpfYUu6[ 編集 ]
>スポンタさん
はじめまして、コメントありがとうございます。


>興味深く読みました。

ありがとうございます。


>マスコミの言説がほとんど風説でしかないことの意味をかみ締めています

……(^^ゞ 「風説」とまでいかないまでも、的確な報道をしてほしいと思います。


>裁判所は無学の徒にも直感的に伝わるやり方を模索せねばならぬ思う

裁判報道はどうあるべきか、という問題ですね。裁判例について、裁判所が詳しくレクチャーするのか、それとも司法記者が関係者や学者に取材して独自に判断すべきなのか、です。

司法記者が裁判所からどれほどレクチャーを受けているのか定かではありませんが、毎日多数の裁判が出ていますから、すべてレクチャーしているはずはありませんし、裁判所側も報道機関側も人的・時間的余裕はないでしょう。

報道機関は、多くの裁判例の中から選んで独自の報道するのですから、裁判所が説明しても無意味に終わることもあるはずですし、司法記者が理解できないなら説明しても無意味です。やはり、裁判報道は、基本的には司法記者の取材能力・法律理解力次第なのだと思います。


>法律に関する知識や理解力があるものにしか、伝わらぬというのは、
>法曹界の特権意識の現われだと考えます。
>マスコミが分かりやすくする作業において情報を変容させてしまうのが
>仕方のないことなら、裁判所ならびに司法関係者が分かりやすくする
>作業をすべきだ

こういう言い方は、たまに見かけます。「法曹界の人など専門家は、素人にもよく分かるように伝えるべきだ、判り易く教えるべきだ」と。

分かりやすいような判決・裁判をする方がいいことは確かです。
ですが、限度があります。これは、裁判・法律に限ったことではないですよね? 法律に限らず専門職ある学問について、全くの知識なしで、その学問を理解するのは難しいはずですから。

私は、思うのですが。
「裁判所ならびに司法関係者が分かりやすくする作業をすべき」といって、裁判所や司法関係者に頼るのでなく、自ら努力して調べるべきではないのですか? 自ら調べずにどうやって、何を判断材料にして判決の是非を論じることができるのですか? 

この向井夫妻の代理出産問題について書くためには、国際私法、国際民事訴訟法、家族法(日本民法)の知識が必要です。スポンタさんは、この判例について、図書館や本屋へ行き、国際私法、国際民事訴訟法、家族法の文献を探して読み込んで判断しましたか? 
「特権意識の現われ」だといって批判しても意味がないです。批判した相手に頼ることなく、自ら深く調べることこそ大事だと思います。そう思いませんか? 


>今回の日本の公序良俗に反しないという判断についても、あまりに
>ミクロでマクロ的な視点に欠けると感じています。

「今回の日本の公序良俗に反しないという判断」はおかしいということなのでしょうが、「ミクロでマクロ的な視点に欠ける」という理由はよく分かりません。もう少し説明して頂けたらと思います。

誤解していないとは思いますが、念のため。
ここで問題としているのは、民法90条の「公序良俗」の問題ではなく、民訴法118条3号の「公序良俗」の問題であって、民法90条より狭い意味なのですが(木棚=松岡=渡辺「国際私法概論」305頁)。言い換えれば、日本民法上、代理出産が公序良俗に反するとしても、民訴法118条3号の「公序良俗」に反しない可能性があるということです。なお、私は、代理出産は自己決定権の1つであって、法的に何ら規制しておらず違法でないのですから、民法上の「公序良俗」(民法90条)に反しないと考えています。


>ご無礼・ご立腹の段ありましたら、お詫びもうしあげます

全然、無礼ではないですし、立腹なんてしてません。裁判報道や法律に関連する社会問題があったら、ぜひ私のブログをご覧下さい。これからもなるべく判り易く説明していくつもりです。これからもコメントお願いします。
2006/10/09 Mon 02:49:08
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
基本的な乖離を感じつつも…。
安倍首相が、「美しい」という形容詞を使っていますが、精密な論理とは美しいもの。そして、美しいものは単純な形をしている。と、思っています。

私は、法律に詳しくないのは、自らの頭脳にそのような緻密性を持っていないことと、そういう法律のミクロな部分に詳しくなることによって、マクロな部分が見えなくなる。そういう危険を感じているからです。

総論賛成、各論反対などということがよくありますが、総論が賛成ならば、各論で反対してはならぬということかもしれません。そして、各論で反対させるものの源泉がステークホルダー(利害関係)である場合が多い…。


私は、世の中のものごとは、さまざまなレベル(小学生のレベルには小学生のレベルで、専門家には専門家のレベルで…)で語ることができると思っています。
宗教も仏典も説法の形式を取っていることもひとつの現われではないでしょうか。

私は基本的に、高校卒業程度の基礎知識を前提に論を展開すべきではないかと思っています。
(これはほとんど、私に対する批判から紡ぎ出した自らに強いる原則です。)


私は2ちゃんねるの信奉者ですから、教えて君は批判します。
とはいえ、検索して行き着く分かりやすいサイトがない(私が知らぬだけかもしれない)というシステム上の不備は指摘せずにはいられない。そんな感じなんです。

裁判所は裁判をするところなんだけど、社会へのメッセージをするところ。法文と現実を照らし合わせるためだけ場所ではない。

ましてや、光市の本村氏の件において、裁判所はコミュニケーションする場であることも明らかになった。

そのような恣意性を司法関係者自らが認める時代が来ているのかもしれません。

2006/10/09 Mon 20:46:44
URL | スポンタ #3DpfYUu6[ 編集 ]
>スポンタさん:意外と乖離はないと思います
>法律のミクロな部分に詳しくなることによって、マクロな部分が
>見えなくなる。そういう危険を感じているからです。

その指摘は当たっている面があります。法律系ブログの中には、あまりに細かい議論や、訴訟とは直接利害関係のない者の利益を重視して、本筋からずれた結論を導いたものを見たことがありますから。

ただ。
基本的には、法律の知識があった方がいいと思います。もし知らないと、「振り込め詐欺」など騙される危険がありますから。「振り込め詐欺」なんて、法律の知識があったらまず騙されないです。
マクロ部分が見えなくなる危険よりも、実害のある騙される危険の方が問題だと思いますけど……。


>私は、世の中のものごとは、さまざまなレベル(小学生のレベルには小学生
>のレベルで、専門家には専門家のレベルで…)で語ることができる

それはそうですね。


>私は基本的に、高校卒業程度の基礎知識を前提に論を展開すべきでは
>ないかと思っています。
>(これはほとんど、私に対する批判から紡ぎ出した自らに強いる原則です。)

「高校卒業程度の基礎知識を前提に論を展開すべき」という原則は、もしかしたら、スポンタさんが厳しい批判に晒された経験から得た教訓といった感じでしょうか……。

憲法論だけならば、政治経済である程度学ぶので、「高校卒業程度の基礎知識を前提に論を展開すべき」という原則に従っても、ある程度は大丈夫だとは思います。
ですが、向井夫妻の代理出産問題は、高校では学ばない分野ですから、スポンタさんの「原則」を適用するのは難しいと思います。例えば、次のような架空の事例を考えてみてください。

「プロレスラーの蝶野夫妻(夫日本人、妻ドイツ人)は、ネバダ州で米国人夫妻(夫ミネソタ州出身、妻ネバダ州出身)と代理出産契約を行い、ネバダ州裁判所で親子関係成立の命令を得て、出生後、日本で出生届を提出した。なお、代理出産につき、日本法とミネソタ州は合法違法を定めておらず、ドイツ法は代理出産を禁止、ネバダ州は代理出産を合法としている」

この事案の場合、代理出産の是非は日本法で解決するのか、それともドイツ法、ネバダ州法、ミネソタ州法のどれだろうか?、ネバダ州裁判所の決定を日本の裁判所も承認できるのか?、そもそも日本に裁判管轄があるといっていいのだろうか…? もし日本の裁判所が蝶野夫妻と子の親子関係を否定した場合、蝶野夫妻が子と養子縁組するとしたら、どこの国・どこの州の法によるのだろうか?……など色々問題になってきます。こうなると、高校卒業程度の知識では、解決不可能だと思います。


>私は2ちゃんねるの信奉者ですから、教えて君は批判します。

私は、教えて欲しいと問われれば、分かる範囲で答えています。ただ、「教えるべきだ、判り易く伝えないのは特権意識の現われだ」と言われたら、「答えるのは義務じゃない、そこまで言われる筋合いはない」と反発してしまいます。


>とはいえ、検索して行き着く分かりやすいサイトがない
>というシステム上の不備は指摘せずにはいられない。そんな感じなんです。

私も「システム上の不備」みたいな気持ちは持っています。だからこそ、こうやって判例や法律問題について、できる限り詳しく説明するブログを運営しています。
スポンタさんが「システム上の不備」を感じているのなら、法律を学んで自ら説明するか、誰かに働きかけたらどうでしょうか?


>裁判所は裁判をするところなんだけど、社会へのメッセージをするところ
>光市の本村氏の件において、裁判所はコミュニケーションする場である
>ことも明らかになった。

確かにマスコミ報道によると、スポンタさんのような見方もあるようです。

でも、本来的に裁判(裁判所)は、事実認定し法を解釈適用しているだけです。裁判を過大評価せずに、社会へメッセージする所でも、コミュニケーションする場でもないと理解した方が妥当であると思います。
2006/10/10 Tue 21:28:33
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
先日はコメントいただきまして、ありがとうございます!

やはり品川区は予想通り、区長選終了直後の10日に、このようなアクションを起こしましたね。

法務省の指示によるものでもありますが、先進区ならではの独自判断で、法務省指示にも逆らうことを少しは期待していましたが・・・

残念!!
2006/10/11 Wed 21:10:10
URL | きむあつ #-[ 編集 ]
>きむあつさん
コメントありがとうございます。

>法務省の指示によるものでもありますが、先進区ならではの独自判断で、
>法務省指示にも逆らうことを少しは期待していましたが・・・

区長は区民に選ばれたのですから、区民の意思に従うのも1つの見識ではありました。
もっとも、向井夫妻は、代理出産について法的に明確にしたかったのですから、最高裁で明確になれば、結論はどうあれ望みどおりなのでしょう。
2006/10/12 Thu 23:58:40
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
丁寧な解説大変勉強になります。
春霞様 こんばんは。
ついに生殖補助医療の在り方検討委員会が始まりましたね。議事録が公開されると嬉しいのですが。

今更の感もありますが、民法解釈上の「分娩母ルール」に就いて質問させて下さい。
民訴法118条の適用は当然とは思いますが、改めて国内法について考えています。

昭和37年の最高裁判例の事件(昭和35(オ)1189 親子関係存在確認請求)とはどのような事案だったのでしょうか?
(ネット上では探しても上記の判決文以外は見つかりませんでした)
最高裁は何故、このような判断を下す必要があったのでしょうか?

代理出産で生まれた子供が非嫡出児であれば、民法779条では認知できるのは
「直系の父又は母」ですよね。法例18条1項(法の適用に関する通則法第29条1項)でも
「母トノ間ノ親子関係ニ付テハ其当時ノ時ノ本国法ニ依ル子ノ認知ニ因ル」
と明記されていますし。だとすると、元来、民法上では
「非嫡出子については、母子関係も父子関係と同様に認知によって確定するものとしている」
にも拘わらず、最高裁は昭和37年の判例で
「原則として分娩の事実によって母子関係は確定し、認知を必要としない事にした」
ということですね?でも母親は認知する権利も無くなっているのでしょうか?
というより、認知とはそもそもそれを受ける子供の権利だったのではないのでしょうか?
そう、子供の福祉を最優先とすべきということで。

直系である代理出産依頼人の母親が認知すれば、民法上も矛盾しないことになりませんか?
しかし、出生届受理を命じた東京高裁決定でも
「違和感があることは否定することができない」
とありますので、結局、最高裁が解釈を変えない限り駄目ということなのでしょうね。

素人の初歩的な質問で申し訳ありませんが、お手数でなければご教示頂けると幸甚です。
2007/01/19 Fri 19:23:34
URL | Canon #yYfDAmAg[ 編集 ]
>Canonさん
コメントありがとうございます。

>議事録が公開されると嬉しいのですが。

そうですね。ぜひ公開して欲しいです。


>今更の感もありますが、民法解釈上の「分娩母ルール」に就いて
>質問させて下さい。
>昭和37年の最高裁判例の事件(昭和35(オ)1189 親子関係存在確認請求)
>とはどのような事案だったのでしょうか?

次のような事案でした。

「A男の妾X女は、Y男を生み、手許で養育したが、Yが非嫡出子であることを隠すために、Yは他人夫婦の嫡出子として虚偽の出生届が出された。現在、YはAの家業(医院)を継いでいる。ところが、Yが、最近になって、妾の子ということでは社会的対面が悪いとして、「Xは自分の親でない」と言い張るので、Xは母子関係の確認を求める訴訟を提起した。XがYを分娩した事実はあったが、Xは認知をしていなかった。」(島津一郎編著「判例ハンドブック(親族・相続)」77頁、内田貴著「民法4」196頁)

民法779条の文言上は、母子関係を認めるには、母の認知が必要です。そして、昭和37年の最高裁判決以前の判例(大審院判例)では、条文どおり、母の認知を必要としていました。

そうすると、民法779条により、母Xは認知すればよいようにみえますが、民法782条によると、成年の子を認知するにはその承諾がいるので、Xは、母親でないと言い張るYを認知できないことになります。

Yは、(おそらく)民法779条や大審院判例を知っていて、Xを母でないという判決を得ようとしたわけです。Xは周囲の圧力に負けて自分の子として出生届を出せなかったようですし、しかもX自ら養育したのに、本当に自分の子なのに、Yから「親ではない」と訴えられたのですから、Yに対して「人でなし!」と罵倒したくなるような事案といえますね。


>最高裁は何故、このような判断を下す必要があったのでしょうか?

判決文には理由がないので真意ははっきりしません。ですが、父親はともかく、母親がその子を生んだ女性であることは、妊娠・分娩という外形的事実によって明らかですので、母が自分の子を認知しなければ法律上の母子関係が発生しないという前提が、常識的におかしい、ということから、「母の認知を必要としない」という判断を下した理由・必要性があったとされています。

また、「母子の絆は父子の絆よりも強い(意思で左右されない)から」ということを理由として挙げる者(内田貴教授)もいます。

いずれの説明も、「分娩の母=遺伝上(血縁上)の母」という考え方を含んでいました。ですから、現在のように、遺伝上の母と分娩の母が分離するようになると、いずれの説明も、理由として不十分となってしまいました。


>「原則として分娩の事実によって母子関係は確定し、認知を必要としない
>事にした」ということですね?

そうです。最高裁は原則として認知不要という考えです。「原則として」という言い方をしているのは、判決当時は、捨て子など当初不明であった母が後で現れた場合を想定していたようです。しかし、認知不要としたのは、「分娩の母=遺伝上の母」だからですから、捨て子の場合だって認知不要であって、「捨て子の場合に認知を必要」という戸籍実務にはなっていません。

なので、「原則として」の部分は無意味であるというのが学説一般の理解のようです。……代理母といった場合を除外してですが。


>でも母親は認知する権利も無くなっているのでしょうか?

そうですね。最高裁判例だと、母の認知は不要なので、母の認知権はないといえます。もちろん、分娩の事実があれば、認知しなくても当然母子関係が認められるので、認める必要性がなく、普通は、不都合はないわけですけどね。


>というより、認知とはそもそもそれを受ける子供の権利だったのではないのでしょうか?
>そう、子供の福祉を最優先とすべきということで。

認知には、父たるべき者がその自由意思で子を自分の子として承認する「任意認知」と、父たるべき者の意思に関わらず裁判により父子関係の存在を確定する「強制認知」があります。
「強制認知」は子の利益のためです。「任意認知」は子の利益の面もあるでしょうが、自由意思で行うので、意思の尊重の面や血縁だからという面の方が強いように思います。父としては、「子が成人したら扶養してもらおう」なんて邪な考えで認知することもあるでしょうから。


>直系である代理出産依頼人の母親が認知すれば、民法上も矛盾しない
>ことになりませんか?

民法779条からすれば、「母」の認知が必要ですから、代理出産依頼者の母が認知すればよいというのは、民法の条文とは矛盾しませんね。


>結局、最高裁が解釈を変えない限り駄目ということなのでしょうね。

現行民法を前提として、日本で代理出産を行った場合は、民法の解釈論の問題なので、昭和37年の最高裁判例との整合性を考える必要があります。
このエントリーでは、「母子関係の成立は『原則として、母の認知を俟たず、分娩の事実により当然発生する』として、元々、例外を認めているのですから、分娩の事実以外でも母子関係を認められると解釈できる」と説明して、整合性が欠けるところはないとしました。

日本学術会議で行っているのは、立法論です。ですから、立法論として代理出産の是非を問題とする場合は、制約になるのは憲法だけです。どんな法律も、上位規範である憲法に違反してはならないからです。
代理出産肯定の理由は自己決定権ですから、もし代理出産を否定するなら、自己決定権を制約する十分に合理的理由が必要となってきます。

そうすると、昭和37年の最高裁判例を変更するような立法も可能です。民法自体、母子関係を確定する規定がないので(民法779条は非嫡出子の場合のみ)、代理母を認めても、解釈論を変更するだけの立法です。

元々、昭和37年の最高裁判例当時は、自然妊娠のみを前提としていたのであって、代理出産のような生殖補助医療によって生じる親子関係は想定していなかったのです。自然出産の論理に代理出産を押し込めること自体、無理があります。

繰り返しになりますが、立法論としての代理出産の是非は、民法が予定していない以上、それ自体の価値判断・論理で決定するのであって、昭和37年の最高裁判例は二の次なのです。はっきりいえば、立法論では、昭和37年の最高裁判例はどうでもよいのです。


>素人の初歩的な質問で申し訳ありません

初歩的な質問……ではないように思います(汗)。
2007/01/20 Sat 01:58:25
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
ありがとうございました
本当に有難うございました。大変よく理解できました。いつもながら大変丁寧なご説明で嬉しいです。
最高裁判例の事案は判決はこの件については素人判断でも妥当だと思いました。
ですが、やはり現代の生殖医療にはそのままは適用できないですね。
自己決定権の議論が論理学のメタ言語のような観点からも、大変重要であるということも理解できました。Aufhebenが必要なのですね。
果たして、学術会議の皆さんはその点を理解されているか、少々不安です。
改めて、厚労省生殖補助医療部会議事録を見ましたが、代理出産について、自己決定権の議論が出たのは、終わりに近づいた第25回のみで、金城委員の「禁止は女性の自己決定権を否定するパターナリズム」という意見書の紹介(本人欠席)のみで、これも福武委員からの、「自己決定で売春して何が悪いという話が子どもの方から出る」という批判で片付けられています。
あとは、一般人からのご意見の紹介(第23回)くらいで、体外受精についての恵泉女学院大学の大日向雅美教授の生殖医療の自己決定権の意見(第13回)も、松尾委員や相良委員の「子どもに代わって親が決定するもの。生まれる子どもの幸福を親は責任をとれない。」という意見で片付けられています。それ以外は言葉すらありません。
同じような愚かな轍を踏まないことを切に願っております。
2007/01/20 Sat 08:12:28
URL | Canon #yYfDAmAg[ 編集 ]
>Canonさん:質問を受けてから昭和37年の最高裁判例の事案を載せたほうが良かったと思いました(汗)
コメントありがとうございます。

>果たして、学術会議の皆さんはその点を理解されているか、少々不安です

すごく不安です。
今回は、憲法学者(辻村氏)が委員になっているので、さすがに自己決定権の議論はするとは思います。ですが、憲法論に疎い委員の方々がどれだけ議論できるのかな~と思いますので。


>改めて、厚労省生殖補助医療部会議事録を見ましたが、代理出産について、
>自己決定権の議論が出たのは、終わりに近づいた第25回のみで、

そうそう、自己決定権の議論が全然ないんですよね。


>金城委員の「禁止は女性の自己決定権を否定するパターナリズム」という意見書の紹介(本人欠席)のみで、

金城清子氏には、もっと積極的に自己決定権の議論をして欲しかったです。もっとも、メンバーの多くがろくに論理的思考ができないので、諦めていたのかもしれませんが。


>これも福武委員からの、「自己決定で売春して何が悪いという話が子ども
>の方から出る」という批判で片付けられています。

福武氏は弁護士ですが、子供から「売春(援助交際)の何が悪い」と言われることを恐れるなんて、なんて情けないと思います。
だいたい、普通の法律家なら、自己決定を重視したら売春だってOKだなんて誰も思いません。人権だからといって無制約ではないのですし、売春と代理出産とは全く異なります。

売春は被害者なき犯罪と言われ合法とする国もあります。しかし、日本において売春を処罰する理由は、「売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものである」ことと、背景として、組織犯罪の資金源となったり、性感染症蔓延の危険があるからです。
売春をするのが未成年であれば、自己決定が十分にできない未成年者の保護を図るという理由もあります。

十分に自己決定をできる能力がない未成年者相手に、売春が許されないことを説明できないなんて、なんて思考力がないのだろうと呆れてしまいます。


>松尾委員や相良委員の「子どもに代わって親が決定するもの。生まれる
>子どもの幸福を親は責任をとれない。」という意見で片付けられて
>います。

子どもの幸福、子どもの福祉……。なんて都合のいい言葉でしょう(苦笑)。
「子どもの幸福を親は責任をとれない」なんていっても、第三者は責任を取ってくれませんし、ほとんど手助けさえもしてくれません。身障者がいる家族が知人にいますが、「どんなに困っても他人は大変ねと言うだけで、少しも手助けしてくれない、普通、他人はそんなものだ」と、達観していました。

法律上、生まれた後養育する責務を負っているのは親だけであって(民法820条:監護義務)、国でも他人でもないのです。「子どもの幸福を親は責任をとれない」ではなく、「子どもの幸福に責任をとれるのは親だけ」なのです。松尾委員や相良委員が言っていることは、実際上も法的にも無茶苦茶です。


>同じような愚かな轍を踏まないことを切に願っております。

本当にそう思います。
2007/01/21 Sun 23:18:27
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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