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2008/11/07 [Fri] 00:36:38 » E d i t
2期8年にわたるブッシュ共和党政権後の米国の新体制を決める、2008年米大統領選挙は11月4日、投開票が行われ、民主党のバラク・オバマ上院議員(47)が共和党のジョン・マケイン上院議員(72)を破り、第44代大統領に当選しました。黒人(アフリカ系)の大統領誕生は米建国後初めてです。

オバマ氏は来年1月20日、ワシントンで就任式を行い、第44代のアメリカ大統領に正式に就任し、任期は2013年1月までの4年です。副大統領にはジョゼフ・バイデン上院議員(65)が就任します。



1.朝日新聞平成20年11月6日付朝刊1面

「イエス、ウィー・キャン」オバマ氏が勝利宣言
2008年11月6日1時1分

 【ワシントン=小村田義之】08年米大統領選を制した民主党のバラク・オバマ上院議員(47)は4日深夜(日本時間5日昼)、地元イリノイ州シカゴで演説し、「この選挙で私たちが起こした行動により、米国に変革の時がきた」と勝利を宣言した。10万人近い観衆が歓呼で応えた。

 奴隷制度という過去を持ち、人種問題を抱える米国が、奴隷の子孫ではないものの、アフリカ系(黒人)の大統領を選んだ歴史的な選挙となった。

 オバマ氏は演説で「(リンカーン米大統領らが言った)『人民の人民による人民のための政治』は、なお滅びていないと証明した。あなたたちの勝利だ」と述べ、草の根の選挙運動を支えたボランティアの努力をたたえた。

 また、世界の人々に向けて「今夜、米国以外の議会や王宮から見つめている人々、忘れられた世界の片隅でラジオを聞いている人々に対して言いたい。(今日成し遂げられた)米国の物語は特異だが、我々の行き先は共有できる。米国の新政権の夜明けが近づいている」と呼びかけた。「この世界を破壊しようとする者たちを、我々は打ち負かす。そして、平和と安全を求める人々を支援する」と決意を語った。

 また、米国の「本当の力」として「武力や富の力ではなく、民主主義や自由、機会や希望といった絶えざる理想」を挙げた。そのうえで「米国は変化できる。我々の団結は完遂できる。これまで成し遂げたことから、今後、達成できることへの希望が生まれる」と語った。

 一方でオバマ氏は「待ち受けている膨大な課題を理解している」とも語った。イラクとアフガニスタンという「二つの戦争」や金融危機を例に「道のりは長く、険しい。1年、あるいは(大統領任期の)1期(4年)の間には達成できないかも知れない」との認識を示した。

 そのうえで「できやしないという人に出会ったら、『イエス、ウィー・キャン(我々はできる)』と答えてやろう」と呼びかけた。

 これに先立ち、ブッシュ大統領はオバマ氏に電話し、「あなたは、これから人生の偉大な旅に出ようとしている」と祝意を伝えた。

 ブッシュ氏は5日午前、ホワイトハウスで声明を読み上げ、次期オバマ政権への移行について、現政権による「完全な協力」を約束した。また、前夜の電話でオバマ氏夫妻をホワイトハウスに招いたことを明らかにした。

 ABCニュースは5日朝、オバマ氏が民主党のエマニュエル下院議員(イリノイ州選出)に、ホワイトハウスの首席補佐官への就任を打診したと報じた。

 一方、上下両院選挙は民主党が過半数を維持し、民主党主導の議会が次期オバマ政権を支える形が固まった。」



オバマ氏は演説のなかで、「(リンカーン米大統領らが言った)『人民の人民による人民のための政治』は、なお滅びていないと証明した。あなたたちの勝利だ」と述べ、草の根の選挙運動を支えたボランティアの努力をたたえています(朝日新聞)。このように、演説の中で、『人民の人民による人民のための政治』という民主主義の意義について語って見せたこと自体、米国が民主主義国家であることを、改めて明言したように思えました。 (日本の政治ではありえないことですが)

民主党は、クリントン前大統領以来、8年ぶりに共和党から政権を奪回しました。同時に行われた議会選でも、「上下両院選挙は民主党が過半数を維持し、民主党主導の議会が次期オバマ政権を支える形が固まった」わけです。すなわち、オバマ新政権は行政府(ホワイトハウス)、立法府(議会)ともに民主党が支配する「安定政権」となり、景気対策などで思い切った政策を打ち出す環境が整ったことになります(2008/11/05 14:29 【共同通信】)。



2.解説記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年11月6日付朝刊1面

米国民、現状拒否を選択
2008年11月6日2時1分

 今回の米大統領選で米国民が示した選択の本質は、「オバマ氏の勝利」というより「現状の拒否」であることが明らかだ。

 イラク戦争の長期化に加えて最近の金融危機。世論調査では「米国は間違った方向に進んでいる」と答える人が約8割を占め、選挙が本格的に始まった今年初めより増えている。ブッシュ大統領の支持率も30%を切った。軍人と医師をのぞき、あらゆる分野の指導者に対して不信感が募っているという「リーダーシップ危機論」すら聞かれる。

 2年間にわたった選挙戦は当初、テロとの戦いに勝てるのかという「安全保障」が主要テーマだったが、終盤は金融危機を受けて「富の再配分」の是非に焦点が移った。いずれも国家の最も基本的な役割であり、それが真正面から問われたことに米国の国家基盤の弱体化がうかがえる。

 今、オバマ陣営関係者の間で盛んに読まれている本がある。大恐慌直後の1932年に当選した、フランクリン・ルーズベルト大統領の就任後100日間を描いた「THE DEFINING MOMENT(決定的瞬間)」だ。未曽有の危機から国家をどう救うのか、先達の経験から何とかヒントを見いだしたいという必死の思いが見て取れる。

 悲観的空気のなかで一筋の光明が見えるとすれば、「初のアフリカ系大統領」の誕生だろう。5日未明、ホワイトハウス前で気勢を上げていたアフリカ系の若者は「オバマは大統領として失敗したって構わない。我々は今日、歴史を作ったのだ」と興奮していた。しかし、これで米国が黒人差別を克服したのかと問えば、人種を問わず返ってくる答えの多くは「ノー」だ。

 オバマ氏は奴隷の子孫ではなく「怒れる黒人」の代表でもない。選挙戦を通じて見えたのは、むしろ人種を超越しようという姿勢だ。ジャクソン師ら公民権運動家が冷ややかな視線を送る一幕もあった。

 直近の民主党大統領だったクリントン氏は、96年の一般教書演説で「大きな政府の時代は終わった」と宣言した。しかし、金融危機に対応するため、政府の役割拡大は避けられない。最近の7千億ドルに上る金融救済策が如実に示している。「過去30年続いた、より小さな政府を目指す流れは完全に変わった」(ハムレ戦略国際問題研究所所長)との指摘も聞かれる。ただ、どこに向かうかは誰にも分からないようだ。時代の転換点でかじ取りすることの難しさが、浮き彫りになっている。

 「オバマ氏なら現状を変えてくれるだろう」という期待が、米国内外で高まっている。ブッシュ政権の単独行動主義が是正されることを願う日本も例外ではない。しかし何をどこまで実施するのか、できるのか――それはまだ未知数だ。来年1月に発足するオバマ政権にとっては、各方面との「期待感の調整」が、当面の大きな仕事となる。(アメリカ総局長・加藤洋一) 」


「2年間にわたった選挙戦は当初、テロとの戦いに勝てるのかという「安全保障」が主要テーマだったが、終盤は金融危機を受けて「富の再配分」の是非に焦点が移った」とあるように、開戦から5年半以上が経過したイラク・アフガニスタンでの戦争の解決と、金融危機の深刻化を受けた米国経済の立て直しという2点が最大の争点でした。この朝日新聞のアメリカ総局長・加藤洋一氏の解説は、こうした点など網羅的に触れたもので、(紙面の幅もあり抽象的な内容になっていますが)新聞記者の解説としては良質なものと思えます。



(2) 朝日新聞平成20年11月6日付朝刊15面「私の視点―ワイド―」

◆オバマの米国

 「変化」を掲げたバラク・オバマ氏が、アメリカ合衆国の第44代大統領に当選した。初のアフリカ系、8年ぶりの民主党大統領、そして47歳という年齢。アメリカは本当に変わるのか。政治、外交、社会に詳しい3氏が論じる。」


新聞社の解説と異なり、新聞記者でない米国在住のジャーナリストや国際政治の専門家は、ブッシュ政権の大失政のおかげで、余りにも大きい「負の遺産」が、オバマ政権に対して重く圧し掛かっていることを明瞭に指摘しています。「私の視点―ワイド―」には3氏の論説が出ていますが、そのうち2氏の解説のみ紹介します。


 イ:

傲慢さと決別し米国救え

 4日午後11時、大統領選挙が民主党のバラク・オバマ氏が勝利した、とABCが速報を流した瞬間、ニューヨークのタイムズスクエアと黒人地区ハーレムに集まった何千という群衆から大歓声がわき上がった。戦後、最も重要な歴史の節目になるこの選挙にオバマが圧勝したことは、彼の訴える「チェンジ(変化)」を米国市民が大きく支持したことを意味する。同時に、米社会が新しい変化への一歩を踏み出したことでもある。

 とはいえ、この秋から増えてきた「レント(貸店舗)」の表示や、もぬけの殻になった元金融関係事務所跡、中断された建設工事現場や目立つホームレスの姿などをあげるまでもなく、サブプライムローン問題にはじまった金融危機はとどまるところを知らない。米国の金融システムは崩壊の淵(ふち)へ向かっているようにすら見える。ブッシュ政権は米国をなんという混乱の極みに陥れたのか、そんな声がどこからもあがる。

 クリントン前大統領がブッシュ氏に政権を渡した01年1月には、巨大な赤字が解消され財政は均衡していた。米国は世界唯一の超大国であり、翳(かげ)りが現れる日など夢想だにしなかった。現在、財政赤字は過去最悪の4400億ドル、米国経済の債務総額はGDP(国内総生産)の3.5倍という臨界点に達した。個人資産の目減りを訴える市民は、底の見えない株価の暴落に不安を隠せない。

 消費は落ち込み、失業率は6.1%の高率でさらに上昇中。住宅ローン滞納による差し押さえが月30万件にも上り、債務不履行で家を失った世帯は、その危機にある市民を含め数百万に達するといわれる。

 一方、イラク戦争は泥沼にはまったまま撤退の見込みも見えない。アフガニスタンでの戦闘は激烈になるばかり。10月末には米軍がシリアへの越境攻撃に出た。「一国主義」を掲げてイラクへ侵攻した米軍は防衛を理由に戦火を隣国まで拡大させた。国際法も無視するその傲慢(ごうまん)さにはあぜんとするばかりか、激しい怒りを感じる。

 ひるがえって現在の金融危機を考えると、金融機関にもブッシュ氏の「一国主義」に通じる傲慢さが顕著だったのではないか。信用度の低い個人に貸し付ける銀行ローンを商品化してウォール街の大銀行に売りつける。証券化されたローンは、初めてマイホームを手に入れた市民がどれほどの愛着を抱き、ローン返済のためにどれほど懸命に働いたかを語らない。住宅バブルがはじけ、不良債権が続出しても、金融機関の関係者は市民の生活や苦悩など興味もない。いちばんの関心は年末のボーナス。中には数億ドルも手にする者が珍しくなかった。

 新大統領に与えられた課題はあまりにも多く、あまりにも大きい。銀行と金融システムがこのまま崩壊していくのなら、大統領はそれを阻止して新システムを開発する必要がある。解雇された市民に新しい雇用を創出し、中低所得者に減税を行う。誰もが使える医療保険制度を確立し、エネルギー開発や教育問題にも力を入れる。イラクからの撤退を進め、移民問題にも乗り出さねばならない。

 しかし、いちばん大切なことは8年間の傲慢さと決別し、相手をおもんばかる精神を取り戻すことではないか。世界の信用を取り戻し、新しい金融システムを作るため米国に残された道はそれしかない。この窮状から米国を救うため、オバマ氏が現れたと私には思えるのである。

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青木 冨貴子(あおき・ふきこ) ジャーナリスト(米ニューヨーク在住)
-------------------------------------------------------------------」


 ロ:

新たな国際協調創出の好機

 大勝を果たしたオバマ氏は、磐石の政権基盤を固めたかに見える。大統領選の圧勝に加え、上下両院を民主党が制したことで、オバマ氏は強い指導力を発揮する機会を手にした。しかし新政権の外交は、ブッシュ現政権の失敗と、その負の遺産に縛られている。

 まず、イラク・アフガニスタンへの長期派兵がある。両国に多くの兵力を割かれる限り、新たな紛争に軍を投入することは難しい。アメリカに対立的な政府から見れば、攻め込まれる心配が少ない。長期派兵の継続は米軍の抑止力を弱めてしまう。

 オバマ氏は治安が比較的回復してきたイラクからは撤退を約束しているが、混迷の深まるアフガニスタンへの派兵は強化せざるを得ないだろう。両国を合わせるなら長期派兵の削減は難しい。新政権は、足元を見られる状態で、イラン政策や北朝鮮政策を進めることを強いられることになる。

 新政権はまた、ヨーロッパ政策とロシア政策でも負の遺産を背負わされている。ブッシュ政権の8年間、アメリカは中東欧諸国、いわゆる「新しいヨーロッパ」との連携を深める一方、ドイツやフランスなど「古いヨーロッパ」との関係は悪化した。新米傾向の強い中東欧との関係を優先した結果だが、そのために米欧の結束は弱まった。

 他方ロシアは、エネルギー供給をテコにして、ドイツやフランスへの影響力を強め、グルジア危機においても強硬姿勢を貫いた。アメリカと「古いヨーロッパ」の亀裂は、ロシアに対する欧米諸国の影響力の後退を招いたのである。米欧関係の修復が新政権の課題となるだろう。

 そしていうまでもなく、サブプライム危機に端を発した世界的な金融危機がある。1982年の累積債務危機や97年のアジア通貨危機と異なって、今回の危機の震源地はアメリカである。しかも、アメリカ一国で危機に立ち向かうことができないのはもちろん、協調利下げをしても市場の反応が鈍かったことに示されているように、各国が協調して市場に介入したところで成果が得られる保証はない。そして、この金融危機を放置すれば、アイスランドやハンガリーの混乱が示すように、投機資金の流出によって中東欧やアジアの新興経済国にも深刻な混乱が広がってしまう。

 軍事・経済の両面における圧倒的な優位に支えられたブッシュ政権は、同盟国を軽視した単独行動主義に走った。その結果としてアメリカは、単独行動に頼ることが不可能な、国際協調を強いられる状況にまで追い詰められている。これを、アメリカの凋落(ちょうらく)としてのみとらえることは正確ではない。ヨーロッパもアジアも、アメリカの抑止力と経済的優位に頼って政策を進めてきただけに、アメリカの軍事的・経済的凋落は各国の凋落をも招いてしまうからだ。

 だが、危機のなかには将来の展望も潜んでいる。もはや単独行動に頼ることができなくなったアメリカには、同盟国との協力と結束を強化するほかに選択肢はない。同盟国から見れば、アメリカに対する発言力を強め、先進工業国の緊密な協議に基づいた国際体制を構築する機会となる。76年、石油危機のただなかに主要国首脳会議(サミット)は誕生した。オバマ新政権を迎える世界は、新たな国際協調をつくりだす好機を得た。

 ブッシュ政権の無残な8年を振り返るなら、アメリカの単独行動が日本にも有利であるという幻想に根拠がないことは明らかである。いま日本に必要なのは、欧米諸国と並ぶ主要国として新たな国際協調の青写真をつくる作業に加わることだろう。
--------------------------------------------------------------------
藤原 帰一(ふじわら・きいち) 東京大教授(国際政治)
--------------------------------------------------------------------」





3.最後に、強調しておかなければならないのは、やはり「人種問題」です。「自由と民主主義を掲げる米国にとって、奴隷制時代を想起させる人種問題は、のどに刺さったとげのように暗い影を落としてきた」からです(日経新聞平成20年11月6日付朝刊3面「米国社会成熟 初の黒人大統領」)。

 「初の黒人大統領誕生は、1776年の独立宣言ですべての人の平等をうたいながら、奴隷制を廃止せずに建国した“原罪”を持つ米国が、232年を経てたどり着いた歴史的道標だ。」(読売新聞平成20年11月5日付夕刊)

 「オバマ氏は黒人奴隷の子孫ではない。しかし、米国民がオバマ氏を最高権力者に選んだことは、奴隷制度という歴史の「負の遺産」を引きずる米国にとって歴史的な大転換と言える。」(毎日新聞平成20年11月5日付夕刊)



(1) 東京新聞2008年11月6日 16時25分

黒人の名士たち感動の涙 オバマ氏勝利受け
2008年11月6日 16時25分

 【ワシントン6日共同】民主党のオバマ上院議員が米国史上初の黒人大統領になることに、米各界の黒人の名士たちが5日までにテレビインタビューなどで次々と感動の涙を見せ、長く激しい人種融和の闘いの到達点を祝った。

 コリン・パウエル前国務長官は5日放映のCNNテレビのインタビューで「アフリカ系米国人の歴史を考えれば、非常に感動した」と涙を目に浮かべ、声を詰まらせた。米軍制服組トップの統合参謀本部議長まで務め、鬼将軍といわれたパウエル氏が人前で涙を見せるのは異例だ。

 有名女性司会者のオプラ・ウィンフリーさんもテレビインタビューで「オバマ氏の勝利で、いかなることも可能なのだと思える。希望が勝利した」と涙をこぼした。

 故キング牧師とともに公民権運動に参加し、戦闘的な言動で知られるジェシー・ジャクソン師も4日夜のシカゴでのオバマ氏当選を祝う集会で、テレビカメラの前で大粒の涙を流し続けた。

 このほかライス国務長官が5日、国務省で記者団の前に「皆さんに話したい」とわざわざ現れ、涙こそ見せなかったが「同じアフリカ系米国人として、特に誇りに思う」と上気した表情で語った。」


オバマ上院議員が米国史上初の黒人大統領に就任することは、「米各界の黒人の名士たちが5日までにテレビインタビューなどで次々と感動の涙を見せ」るほどの快挙だったことは、ぜひ覚えておくことだといえます。ライス国務長官でさえ、記者会見の予定はなかったのですが、「皆さんに話したい」と、報道官の定例会見にわざわざ現れて発言したのですから。

黒人が大統領に就任できたこと自体は、「米国民が歴史を受け入れて成熟し、人種的に寛容になった表れ」(ボストン大学のドン・モンティ教授)ともいえるのかもしれません(日経新聞平成20年11月6日付朝刊3面「米国社会成熟 初の黒人大統領」)。 ただし、大統領選挙の様子からすると、人種対立は深刻であって、次で引用した、東京新聞平成20年11月6日付朝刊3面「解説」が指摘したように、「人種的に寛容になった表れ」とまではいえないように思います。



(2) 東京新聞平成20年11月6日付朝刊3面「解説」

人種対立超越 勝者、敗者ともに最優先

 民主党大統領候補のオバマ上院議員と共和党候補のマケイン上院議員が勝利宣言、敗北宣言でそれぞれ国民に最も訴えたかったのは人種対立の「超越」だろう。

 実際、選挙戦では「人種」をめぐるさまざまな問題が顕在化。オバマ氏は、白人敵視の過激な運動を繰り広げた牧師との師弟関係が問われ、釈明に追われた。マケイン陣営は選挙戦最終盤に、あえてこの問題を再び持ち出して、白人労働者層の支持獲得を念頭に牧師とのつながりを問題視するキャンペーンを展開した。

 黒人初の大統領誕生への「アレルギー」は確かに存在しオバマ、マケイン両氏ともそれを強く認識。だが「黒人大統領」が現実となった以上、両氏とも問題を克服する必要性を痛感したようだ。

 オバマ氏は、演説で「人種」に具体的に触れることは多くなかったが、この日は人種差別の時代を体験した106歳の女性から託された一票と「希望」を引き合いに「アメリカは変わった」と強調した。

 マケイン氏も尊敬するセオドア・ルーズベルト元大統領が当時の黒人有名作家、ブッカー・ワシントンをホワイトハウスに招待してスキャンダルに発展した一世紀前の出来事を「非情で高慢な」逸話として紹介。時代の変化を悟るよう訴えた。

 あえて強調しなければならないほど、米国内に人種偏見は色濃く残る。2人の訴えをどう受け止めるか。米国民は試されることになる。 (ワシントン・岩田仲弘)」


このように、オバマ氏も、この日の演説では、人種差別の時代を体験した106歳の女性から託された一票と「希望」を引き合いに「アメリカは変わった」と強調していますし、他方で、マケイン氏もセオドア・ルーズベルト元大統領が当時の黒人有名作家、ブッカー・ワシントンをホワイトハウスに招待してスキャンダルに発展した一世紀前の出来事を「非情で高慢な」逸話として紹介したほど、人種対立は深刻なままなのです。



(3) このように色々な問題はあるとはいえ、オバマ上院議員が米国史上初の黒人大統領に就任すること自体は、喜び歓迎することです。

 イ:毎日新聞平成20年11月6日付東京夕刊2面

特集ワイド:米大統領選・オバマ氏勝利 高揚感続く間に経済再建を

 ◇期待がバッシングに変わる危険性も

 米国民はバラク・オバマ上院議員(47)を44代大統領に選んだ。史上初の黒人大統領に未来を託したのだ。世界的な威信と影響力も失いつつある米国は、歴史の転換期を迎えつつある。米国はどこに行くのだろうか。【國枝すみれ、写真はいずれもAP】(中略)

 ロサンゼルス特派員だった2年前、イリノイ州で初めてオバマ氏の演説を聞いた。「戦争、不平等、不正義、腐敗--。世の中、こんなものさとハスに構え、あきらめることは簡単だ。だが、希望とは問題を無視することではない。力を合わせれば世の中を変えられると信じることだ」。正直、いいなと思った。(中略)

 それでも、どこかで信じることができなかった。米国人が果たして黒人大統領を選ぶだろうか。だが、演説を聞いて思い直した。オバマ氏は「我々はいつも、我々自身の心の中にある疑い、恐れ、皮肉な態度(シニシズム)と闘っている」と話した。

 そうなのだ。「できっこない」という気持ちを乗り越えることからすべてが始まる。若いころ、男性から「女のくせして」とよく言われたし、「どうせ女だから」と自らの可能性に枠をはめ、努力をあきらめた女性も見てきた。

 若過ぎる、金がない、学歴がない--。多くの米国人が夢をあきらめている。だが、もっと苦労したであろう黒人のオバマ氏に「望めば変われる」と励まされ、呪縛から解き放たれたのだ。(中略)

 「状況が良いときはいい気にならず、状況が悪いときもあまり落ち込まない」。ローリングストーン誌の取材にそう答えたオバマ氏。

 「Yes,you can」。ポスターに向かって声をかけた。」



 ロ:「世の中、こんなものさとハスに構え、あきらめる」、「皮肉な態度(シニシズム)」――。「できっこない」という気持ちでいては、いつまでもできないままです。「イエス、ウィー・キャン(われわれはきっとできる)」というオバマ氏のメッセージは、前向きな挑戦への意欲が大事であることを、米国民だけでなく、他の多くの人々に再認識させてくれたように思います。

米国民がこうした「米国を変えたい」という積極的な意欲を自ら示したことは、日本国民もまた、誰かのせいにするのではなく、自ら積極的な意欲を抱くべきではないか、と思えるのです。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
オバマ勝利演説のこの部分。
「この国から遠く離れたところで今夜を見つめているみなさん。(略) 忘れ去られた世界の片隅でひとつのラジオの周りに身を寄せ合っているみなさん、私たちの物語はそれぞれ異なります。 けれども私たちはみな、ひとつの運命を共有しているのです。」
私の心の琴線は激しく震えたのでした。(正直、不覚にも涙腺がゆるんでしまった)

マケインさんは、ベトナム戦争時捕虜となった時、その父親が米軍中枢の幹部と知り、取引のカードに使おうと釈放を持ち掛けたベトコンの申し出を断わり、結果、何年にも亘る拷問の続く凄惨な捕虜生活を強いられ、最後にはその心も折れ、ベトコンのプロパカンダに協力させられる、という痛恨の経験を有することはご承知でしょう。
その彼は、時を経て、米越国交回復交渉のミッションとしてベトナムを訪れ、自分に拷問を加えた兵士等と会い、「戦争は過去の事だ。 これからは未来のために協力し合おう」と笑顔で手を差し出した、と云います。
そういう人だと知っているからこそ、オバマは彼を称えたのですね。

私は今、「我々日本人も心から“Yes We Can!”と言ってみたい」との思いにとらわれてます。 
それは、きっと貴兄も、このblogに集う方々も同じだと想像します。

しかし.....。


2008/11/07 Fri 10:16:39
URL | rice_shower #UXr/yv2Y[ 編集 ]
無血革命と言っていいほど。
まさか実現するとは、思わなかったでした。
これから我が国が是非ともしなければならないことは、世界が人種、宗教の壁を超えて世界が一国になることを成し遂げる可能性が出て来たのですから、彼を絶対に暗殺などによって犠牲にしてはならないと思います。
それには、敵対勢力が暗殺してもメリットがないことを知らしめる必要があります。
彼をテロによって葬ればその勢力を決して許さないことを。
つまりすばやく同盟国の我が国が全面的に支持することが必要だと思うのです。
我々の子供達を戦火に送りたくない一市民の願いです。
2008/11/07 Fri 23:53:22
URL | ほっちゃれ #17ClnxRY[ 編集 ]
>rice_showerさん:2008/11/07 Fri 10:16:39
コメントありがとうございます。


>「この国から遠く離れたところで今夜を見つめているみなさん。(略) 忘れ去られた世界の片隅でひとつのラジオの周りに身を寄せ合っているみなさん、私たちの物語はそれぞれ異なります。 けれども私たちはみな、ひとつの運命を共有しているのです。」
私の心の琴線は激しく震えたのでした。(正直、不覚にも涙腺がゆるんでしまった)
>そういう人だと知っているからこそ、オバマは彼を称えたのですね

演説中のこの部分も、心に響く言葉ですね。マケインさんへの配慮も行いながら。こうした心に響く言葉を連ねることができる人物が、国のリーダーとしているというのは、実に羨ましいことです。


>私は今、「我々日本人も心から“Yes We Can!”と言ってみたい」との思いにとらわれてます。 
>それは、きっと貴兄も、このblogに集う方々も同じだと想像します。

個人的には、何事にも楽観主義的であり、“Yes We Can!”という前向きな姿勢には、実に共感できます。このブログでも、なるべくこうした姿勢で論じていきたいものです。


>しかし.....。

しかし……という感じですよね(^^ゞ 日本社会、特にインターネット上では、「シニシズム」が蔓延していますから……。
2008/11/09 Sun 00:11:01
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
>ほっちゃれさん:2008/11/07 Fri 23:53:22
コメントありがとうございます。


>まさか実現するとは、思わなかったでした。

確かにそういう気持ちになりますよね。金融危機もあり、副大統領候補ペイリン・アラスカ州知事の資質があまりにも酷かったので、この結果は誰でも歓迎することですね。ただし、副大統領候補に選んでおきながら、敗因をペイリン・アラスカ州知事のせいにするかのようなマケイン陣営からのリークは、実に情けない限りですが。


「「アフリカ、国名と思っていた」共和党内でペイリン叩き
2008年11月8日11時21分

 【ワシントン=梅原季哉】「アフリカが大陸だと知らなかった」「夫の衣装だけで4万ドルの買い物をしていた」――米大統領選で敗れた共和党のマケイン陣営から、副大統領候補ペイリン・アラスカ州知事の資質に疑問符を投げかけ、敗北のツケを負わせる内輪もめの情報が、米メディアに次々に登場している。 (中略)

 保守色の濃いFOXニュースは5日夜、マケイン陣営幹部の話として、ペイリン氏は「アフリカ」が国名だと思っていたし、アラスカが国境を接するカナダと、メキシコと米国で構成する北米自由貿易協定の加盟国を挙げられなかった、と伝えた。」
http://www.asahi.com/international/update/1108/TKY200811080039.html


>彼を絶対に暗殺などによって犠牲にしてはならないと思います

すでに大統領以上の暗殺防止の措置をとっているとのことです。これがずっと続くのですから、大変です。


>それには、敵対勢力が暗殺してもメリットがないことを知らしめる必要があります。
>つまりすばやく同盟国の我が国が全面的に支持することが必要だと思うのです

なるほど、暗殺阻止の行動は必要かもしれませんね。ただ、暗殺する側は、黒人差別の意識が根本にあるのでしょうから、どこの国が何をしようとも暗殺を止める気にはならず、なかなか難しいものがありますね。
2008/11/09 Sun 00:33:24
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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 最新の記事は、11月分・・・コチラ、10月分・・・コチラ  昨日、アメリカの大統領選挙の開票が行なわれて、民主党のオバマ氏 (49)が大勝。第44代の大統領になることが決まった。\"^_^\"  また、日本の衆議院に当たる下院議員の全議員の選挙や、参議?...
2008/11/07(金) 07:53:18 | 日本がアブナイ!
よその国のことなのに、なぜか大いなる期待を寄せてしまいたくなった。 ブッシュ政権の8年間は、アメリカにとって悪夢であっただけでなく、全世界にとっても悪夢だった。新自由主義の暴風が吹き荒れて、戦乱とテロが世界を覆った。そして今、環境・食糧危機が悪化し、さ...
2008/11/08(土) 10:26:28 | 虎哲徒然日記
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2008/11/08(土) 16:07:56 | ?ñΥ?????? ??
実は、政治は詳しくないです・・f^^; なので、難しいことは省いて、アメリカ大統領選に感じたことを徒然に。 私はどちらかというと、選挙戦...
2008/11/10(月) 01:15:12 | Afternoon Cafe
   ||| オバマ新政権の組閣人事予測 ||| オバマの初仕事:超党派を推進する、オバマ新政権ホワイトハウスの組閣人事予測 米国時間で13日木曜午後、NBCニュースネットワークのワシントンデスク、アンドレア・ミッチェル女史の一大スクープ! オバマ政権の外交の?...
2008/11/15(土) 08:17:31 | 米流時評
  ||| 世界が待ち望むオバマ時代の夜明け ||| 世界が待ち望む新しい時代の夜明け・オバマ大統領実現まであと2日 各州エレクトレート予測はオバマ286 対 マケイン163で勝負あり! 大いに焦っております。あと2日です。言わずもがなの、大統領選の最終投票日であ...
2008/11/15(土) 08:51:12 | 米流時評
  ||| 第2章 21世紀のニューリーダー |||   世界危機に挑戦し21世紀のパラダイムを拓く、新しい世界的指導者の出現   武力でも経済力でもなく、「知性と愛」で世界を再生する バラク・オバマ 前号「オバマワールド第1章 世界が待ち望む新時代の夜明け」?...
2008/11/15(土) 08:57:17 | 米流時評
   ||| 第3章 明日へのカウントダウン |||  米国大統領選 アメリカの再生を賭けた1億8千万人の民主主義革命  テロと戦争の世界の闇を切り裂く、新しい世紀の朝へカウントダウン! ただ今投票日の早朝。すでに投票結果が開票になったところさえある。特集...
2008/11/15(土) 09:06:36 | 米流時評
  ||| 第6章 アメリカの大いなる挑戦 ||| 「米国経済の大いなる挑戦」オバマ次期大統領、初の公式記者会見 変革のスローガンCHANGEから山積する問題にCHALLENGEへ 「CHANGE」このスローガンをひっさげてオバマが大統領選に立候補宣言をしたのが2007年の2月。?...
2008/11/15(土) 09:13:51 | 米流時評
私の住む米国では今月の四日に投票が行われ、Barack Hussein Obama二世が第四十四代大統領に決定した事は小耳に挟んだ事と思います。速くも十日前の出来事ですね。今更かも知れませんが、それに関しての私の見解を書きたいと思いま....
2008/11/16(日) 06:47:33 | Go! Denver Nuggets!!
私の住む米国では今月の四日に投票が行われ、Barack Hussein Obama二世が第四十四代大統領に決定した事は小耳に挟んだ事と思います。速くも十日前の出来事ですね。今更かも知れませんが、それに関しての私の見解を書きたいと思います....
2008/11/16(日) 06:47:39 | Go! Denver Nuggets!!
    ||| オバマ新政権 紳士録・後編 |||   国防長官はコーリン・パウエルか? 国務長官はクリントンか、ケリーか?   党派を越えたベストメンバーの最強内閣と噂されるオバマ新政権の人事予測 昨日の記事でもお伝えした通り、ヒラリー・クリントンがオバ?...
2008/11/16(日) 21:28:29 | 米流時評
 ||| ソマリアの海賊、日本の貨物船を襲撃 ||| ソマリア沖のインド洋海域で海賊が日本の貨物船をハイジャック 韓国外務省消息筋情報:乗組員の安否不明、23名のうち5名が韓国人 米国時間2008年11月15日午後8時 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ys...
2008/11/17(月) 00:00:31 | 米流時評
  ||| オバマのチャイナフリーFDA改革 |||  オバマ新政権の FDA改革で輸入ストップになる 中国汚染食品  ブッシュの中国輸入品放任政策にメス、安全基準の引き上げに こういう改革を、ず~~~~っと待ち望んでいたのですよ。この8年間! 以前の記事で、オバ...
2008/11/19(水) 07:11:29 | 米流時評
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