FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
08« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30.»10
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2008/10/27 [Mon] 00:00:04 » E d i t
最近、読売新聞は、「進化する人工臓器」というタイトルでの連載記事を始めました(読売新聞平成20年10月19日(日)朝刊から連載)。


1.まず、人工臓器とは何か、について触れておきます(日本人工臓器学会」のHPから引用)。

人工臓器とは?

心臓、肺、肝臓、腎臓などの臓器の機能が損なわれると種々の病気になり、重い場合は生命の危機にさらされます。人工臓器は、このように病んだ臓器の代行を目的として開発されたもので、さまざまな治療を通じて機能補助が行われます。一口に人工臓器といっても、20万人を超える患者さんの命を救っている人工腎臓(血液透析)から、人工肝臓のように臨床使用されていないものまで、さまざまです。」



(Q1)

人工臓器の定義について教えてください。

(A1)

人工臓器は、生体臓器(または組織)の機能の一部(または全部)を一時的に(または半永久的に)代行する人工(または半人工)の装置のことです。しかし言葉で述べる以上に、上の定義は色々な解釈ができます。たとえば、非常に広く捉えれば、入れ歯、松葉杖、メガネなども上の定義に当てはまりますので、広義の「人工臓器」かもしれませんが、普通はこのようなものをさしてわざわざ「人工臓器」と呼ぶことはありません。広く知られている人工臓器は、人工心臓、人工肝臓、人工腎臓などのように、主に胴体に含まれる内臓の機能代行装置です。首から上では、「脳の科学」や「人工知能」の研究を、人工臓器に含めることは稀ですが、人工聴覚や人工視覚は人工臓器の分野で扱われています。人工鼻は人工呼吸時に使用する加温・加湿装置のことで、嗅覚はありませんが、やはり人工臓器の一つと考えて良いでしょう。
 生体機能を模倣するために、駆動メカニズムまで模倣している場合(拍動型人工心臓など)と、機能を代行することだけを考えて異なるメカニズムで運転されている場合(軸流型人工心臓、人工腎臓など)とがあります。
 当学会では古典的な意味での人工臓器に加え、ハイブリッド型人工臓器や再生医療を含めた、最新医療科学について毎年さまざまな研究発表がなされています。


(湘南工科大学工学部マテリアル工学科 山下明泰)」



人工臓器とは、「病んだ臓器の代行を目的として開発されたもので、さまざまな治療を通じて機能補助」するものです。完全に人体の中に埋め込むものだけでなく、血液透析などに用いられる血液浄化器(ダイアライザ)だけでなく、人工聴覚・人工視覚・人工鼻まで含まれているのです。

こうした人工臓器の開発に新たな動きが出始めているとして、読売新聞は、「国内外で進化する人工臓器の最前線をリポート」しています。そこで、今後適時、紹介していきたいと思います。今回は、平成20年10月19・26日の2回分で、1回目は「人工心臓」であり、2回目は「人工透析(人工腎臓)・人工肝臓・人工膵臓」です。



2.読売新聞平成20年10月19日付朝刊16面「進化する人工臓器(1)」

心移植 在宅で待てる 血栓防ぐ最新機 国内でも治験

 病気やけがで失われた臓器や組織の機能を回復したい。人類共通の夢を実現する「人口臓器」の開発に新たな動きが出始めている。新型万能細胞に代表される再生医学との融合や発展するエレクトロニクス技術の応用などに伴う高性能化だ。国内外で進化する人工臓器の最前線をリポートする。

■21時間連続外出

 「バッテリーの水ぬれに注意が必要だが、それ以外、手術前とほとんど変わらない生活だよ」

 53歳まで空軍に所属したピーター・グルシュケさん(71)はドイツ・ボン近郊の自宅で、体内に埋め込んだ人工心臓から、おなかの皮膚を貫いて延びる電源ケーブルを見せながら語った。

 装着している人工心臓は、医療機器大手テルモ(東京)の米子会社が開発。弱った心臓を補助する最新の「デュラハート」だ。ポンプ内で回転して血液を送り出す羽根車が磁気浮上し、血栓ができやすい軸受けをなくしたところに特徴がある。

 グルシュケさんは一度心筋梗塞(こうそく)の治療を受けたが、2006年6月に再発。重い心不全に陥り、移植までのつなぎとして、翌月、人工心臓を埋め込んだ。

 手術から2年。妻のジータさん(69)と2人で、花を育てたり、国内旅行に出かけたりする。「予備のバッテリーを持ち歩けば、21時間連続で外出も可能だ」と悠々自適の生活を送る。

 通院は3か月に1回だけ。「入院中は牢屋(ろうや)にいた気分。今は家で過ごせて楽しい。グルシュケさんのように、人工心臓を埋め込んだ移植待機患者が、自宅で過ごすのが欧米では一般的だ。

■小型化と高機能化

 在宅を可能にしたのは、人工心臓の小型化など技術的な進歩が大きい。人工心臓の開発は、心臓病による死者が多い米国で、1960年代にアポロ計画に続く国家プロジェクトとして始まった。初期の「第1世代」は、心臓の拍動を再現したため、体内型でも大きく、体外型は冷蔵庫並み。

 だが、90年代に入り、拍動は必要なく、血液を連続的に送ることでも機能を果たせることがわかり、小型化や耐久性の向上など高性能化が加速した。

 この「第2世代」によって、2000年代に入ると高齢を理由に心臓移植を受けられない患者に埋め込む手術が始まった。

 現在、移植を前提としない永久使用目的で、人工心臓が埋め込まれた患者の最長生存記録は、英国人男性(07年12月に急性腎不全で死亡)の約7年半。63歳の時に、米ジャービック社製の親指大の人工心臓を埋め込んだ。装着1年後には、イベントで約150キロの踏破に成功。海外に出かけるなど活動的だったという。

 ロバート・ジャービック社長は「心臓移植の方が成績はいいが、移植が受けられない状況では、人工心臓は最良の選択」と話す。

■選べる時代到来

 海外で人工心臓が進化を遂げる中、日本国内では、移植の待機患者が保険で使えるのは「第1世代」の1機種だけ。装着すると退院は難しい。

 それでも、東京女子医科大学などが開発した「エバハート」は既に治験が終了。年内にも国に製造・販売の承認申請をする。テルモは、世界から注目される「デュラハート」を「第3世代」と位置づけ、10月6日から東京大学で治験を始めた。

 移植医療が進まない日本では、人工心臓が今後普及することが予想される。群馬県太田市在住で、拡張型心筋症の小暮直樹さん(36)もその1人だ。06年9月に、治験中のエバハートを埋め込む手術を埼玉医科大学で受け、先月には結婚式を挙げた。

 小暮さんは「装置のおかげで無理と思っていた退院ができ、昨年8月には職場復帰できた」と喜ぶ。

 多彩な機種の登場によって、「患者が自分の体格や目的にあった装置を選ぶ時代が到来した」と東大重症心不全治療開発講座の西村隆特任講師は話す。

--------------------------------------------------------------
◆人工心臓の歴史

○~1990年代(第1世代):本物の心臓のようにポンプが拍動するタイプが主流
○2000年代(第2世代):連続的に血液を送るタイプが登場。小型化、耐久性が向上――(ジャービック2000
○最近(第3世代):血栓を防止する新たな工夫。より高性能化が進む――ジュラハート

---------------------------------------------------------------
◆心臓自体の回復効果も

 人工心臓の装着で、心臓そのものの機能を回復させる効果があることが注目されている。

 ドイツのベルリン心臓センターは、04年までの10年間で、患者32人の心機能が回復し、人工心臓を取り外すことに成功、5年生存率は78%に上った。ローランド・ヘッツァー教授は、「95年に1例目の成功例を発表した時は、だれも信用しなかった。広く受け入れられるにはまだデータが足りない」と話す。

 日本でも埼玉医大が、昨年までに人工心臓を装着した患者109人のうち26人で外した。21人は今も生存している。

 同大で治療に当たった西村・東大特任講師は「人工心臓によって、弱った心臓を休ませることができた。薬の効果も加わり、心機能が回復した」と説明する。

 再生医療を組み合わせる新たな試みも始まった。

 大阪大学の澤芳樹教授らは昨年12月、患者の足の筋肉から採取した細胞をシート状に加工し、心臓に張り付けて心機能の回復に成功。患者は人工心臓を取り外し退院した。シートから出た物質が心筋細胞を活性化させたと見られる。

 澤教授は「将来は人工心臓を装着した患者に、新型万能細胞(iPS細胞)を使った心筋シートで、機能を回復させたい」と話す。」



(1) 「海外で人工心臓が進化を遂げる中、日本国内では、移植の待機患者が保険で使えるのは「第1世代」の1機種だけ」ですから、全体的には、日本では人工心臓を実際の医療に使うことは遅れているようです。ドイツでは既に使用されている第2世代と思われる「エバハート」も、日本では使われていないのです。

それでも、記事中にあるように、やっと「東京女子医科大学などが開発した「エバハート」は既に治験が終了。年内にも国に製造・販売の承認申請をする。」とのことですから、一歩遅れていても進展はあるようです。

読売新聞では、「エバハート」の治験が終了し、その効果が高いことにつき、記事にしています。ただ、日本国内では「エバハート」の製造・販売の承認申請もしてないためか、他の新聞社では記事にしてないようです。

日本製の人工心臓、移植並み高生存率

女子医大など開発

 東京女子医科大学などが開発した日本製人工心臓「エバハート」を装着した心臓病患者の6か月生存率が89%、1年生存率が83%に達し、心臓移植並みの好成績を挙げていることがわかった。

 脳死での臓器提供の少ない日本で、人工心臓が移植の代替医療となる可能性を示す成果で、東京で開かれた日本心臓移植研究会で18日発表された。

 エバハートは2005年5月から、日本製の体内埋め込み型補助人工心臓として初めて、国内での人への治験が始まり、今年8月に終了した。

(2008年10月18日 読売新聞)」




(2) 「第2世代」の人工心臓につき、製造・販売の承認が早くできればよいのですが、次のように治験中であっても、その効果は大きいのです。

「テルモは、世界から注目される「デュラハート」を「第3世代」と位置づけ、10月6日から東京大学で治験を始めた。

 移植医療が進まない日本では、人工心臓が今後普及することが予想される。群馬県太田市在住で、拡張型心筋症の小暮直樹さん(36)もその1人だ。06年9月に、治験中のエバハートを埋め込む手術を埼玉医科大学で受け、先月には結婚式を挙げた。

 小暮さんは「装置のおかげで無理と思っていた退院ができ、昨年8月には職場復帰できた」と喜ぶ。」


このように、治験の実施により得られる利益が大きいのですから、治験の機会の拡大・治験の活性化を図るように努めていくようにするべきように思います。




3.読売新聞平成20年10月26日付朝刊19面「進化する人工臓器(2)」

透析装置に腎臓の細胞  2年後、人間に応用へ

 全国に人工透析(人工腎臓)患者は約27万5000人(昨年末現在)。多くは週3回、医療機関に通い、各4時間、血中の老廃物や無駄な水分をこし取る。

 しかし、食事や水分の摂取を厳しく制限される。短時間の透析では老廃物が取り切れないからだ。時間をかければ、こうした不自由から開放される。

 「食事制限もないし、ビールも好きなだけ飲めます」

 週6日、睡眠中の約8時間、自宅に置いた「人工腎臓」で在宅透析を続ける、さいたま市の男性教員(44)は笑顔を見せる。糸球体腎炎で17年前に透析を始め、7年半前からは在宅に切り替えた。

 「常に体内をきれいな状態に保て、体調もいい」という男性は、昨年3月、フルマラソンを3時間20分で走破、透析開始後の自己ベストを記録した。

 在宅で満足している男性も、合併症は避けられない。骨の密度は75歳程度といい、昨年10月には子供の運動会で尻もちをついて腰椎(ようつい)を骨折した。腎臓からは、骨形成に関係する活性型ビタミンDが分泌されるが、透析では補えないためだ。

 こうした欠点を補おうと、細胞本来の力に注目した研究が始まった。透析装置に腎臓の細胞を組み込んだ「バイオ人工腎臓」だ。血液を約1万本の細い管に通す透析装置は、不要物と一緒に体に必要な成分もこし取ってしまう。その細い管の内側に、腎臓の尿細管細胞を敷き詰めることで必要な成分を再吸収できる。

 東海大の斉藤明教授(腎臓内科)は、尿細管細胞の大量培養に成功。バイオ人工腎臓を使った動物実験を近く開始し、2年後にも人間への応用を目指す。

 解毒や酵素分泌など様々な機能を持つ肝臓や膵臓(すいぞう)。細胞なしには人工腎臓の実現は難しい。その細胞の確保が難しかった。

 岡山大の小林直哉講師(消化管外科)は、筒形の容器に約200億個の肝細胞を満たした人工肝臓を開発した。肝細胞は体外では増殖しにくいが、生殖細胞に含まれる特殊な遺伝子を組み込むことで難問をクリア、大量培養に成功した。1億人以上の肝臓病患者を抱える中国の華中科技大(湖北省)と共同研究を進める。来年にも、現地で臨床試験を始める予定だ。

 糖尿病患者にとっては人工膵臓にも期待がかかる。小林講師は、肝細胞と同じ手法で、インスリンを分泌する膵島細胞の大量増殖にも成功した。この細胞を縦7センチ、横5センチのバッグの中に入れて、皮膚の下に埋め込むバイオ人工膵臓の開発を進めている。

 遺伝子研究や細胞培養技術の進展によって実現に近づくバイオ人工臓器。斉藤教授は「細胞を取り込んだバイオ人工臓器が、今後は人工臓器の主流になっていくだろう」と話している。」


人工透析の方も、進展があるようです。

「在宅で満足している男性も、合併症は避けられない。骨の密度は75歳程度といい、昨年10月には子供の運動会で尻もちをついて腰椎(ようつい)を骨折した。腎臓からは、骨形成に関係する活性型ビタミンDが分泌されるが、透析では補えないためだ。

 こうした欠点を補おうと、細胞本来の力に注目した研究が始まった。透析装置に腎臓の細胞を組み込んだ「バイオ人工腎臓」だ。血液を約1万本の細い管に通す透析装置は、不要物と一緒に体に必要な成分もこし取ってしまう。その細い管の内側に、腎臓の尿細管細胞を敷き詰めることで必要な成分を再吸収できる。

 東海大の斉藤明教授(腎臓内科)は、尿細管細胞の大量培養に成功。バイオ人工腎臓を使った動物実験を近く開始し、2年後にも人間への応用を目指す。」


「バイオ人工腎臓」といった形で進展があるようですが、「2年後にも人間への応用を目指す」というのですから、残念ながら、まだまだ実用化は先のことになります。

また、人工臓器学会のHPを見ると、体内植え込み型人工腎臓の研究も現状ではほとんど進んでいないそうです。「困難にしている一因は、生体と人工腎臓が接触する部分(インターフェース)の医療材料」であり、「血液の体外循環には抗凝固薬の使用が不可欠ですが、適切に使用しても血栓や凝血塊が形成され、人工腎臓の交換を余儀なくされる」からとのことです。

こうした人工腎臓研究の現状をみると、臓器の中でも、腎臓の機能は特に代替性が利かない臓器であるということなのでしょう。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/1518-e694d0ac
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
20.10.28追記 最後に「瀬戸内グループ支援ネット」の関連記事にリンクしました。 「マージナルドナー」を活かす道 マージナル【 marginal】 大辞林によると、 [形動]周辺にあるさま。境界にあるさま。また、限界であるさま。「 ―な位置に身を置く」「―コスト?...
2008/10/28(火) 12:21:58 | 修復腎移植推進・万波誠医師を支援します
美しい鼻の人を見ると心底うらやましい。
2009/12/29(火) 20:23:16 | 鼻よ高くなりなさい
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。