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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2008/10/24 [Fri] 23:59:46 » E d i t
日本に駐留する米兵の犯罪について、日本政府が1953年に「重要事件以外の裁判権を行使しない」と米国側に表明したとする議事録を、日米関係研究者の新原昭治氏が米国立公文書館で入手し、10月23日に公表しました。日本の第一次裁判権放棄に関する密約の存在は、多数の米政府解禁文書などで指摘されていましたが、原文が確認されたのは初めてです。

「密約問題では、日本の法務省が裁判権不行使を指示する通達を全国の地検検事正に出したことが既に判明。一方で、通達を掲載した同省の実務資料は国会図書館が所蔵しているが、現在は閲覧禁止になっている。」(共同通信(2008/10/23 13:40)


密約問題は、日本側も密約を前提としたような「通達」が出ていますし、法務省はその通達を国民に見せないようにするため、国会図書館に圧力をかけて閲覧禁止にさせており、こうした「図書館はすべての検閲に反対する」という「図書館の自由」を踏みにじる態度には厳しく批判がなされています(「法務省の圧力に揺れる国会図書館の迷走」月刊創2008年11月号112頁以下)。


1.幾つかの報道記事と密約全文を。

(1) 毎日新聞平成20年10月24日付東京朝刊2面

日米密約:「米兵1次裁判権を放棄」 研究者が公文書発見

 日本に駐留する米兵らによる事件について日米両政府が1953年10月、「日本にとって著しく重要と考えられる事件以外は1次裁判権を行使するつもりがない」との密約を交わしていたことを裏付ける文書が明らかになった。国際問題研究者の新原昭治さん(77)が23日、米国立公文書館で見つけた機密文書を公表した。日本政府は、こうした合意や密約を否定している。

 この文書は米国立公文書館が95年に公開を解禁した在日米大使館秘密外交文書の一部。53年10月28日付の日米合同委員会裁判権分科委員会の議事録で、日本側代表が在日米兵やその家族について「日本に著しく重要と考えられる事件以外については1次裁判権を行使するつもりがない」との見解を提示。米国側代表とともに署名し、合意したことになっている。

 米兵らの日本での法的地位を定めた日米行政協定を53年9月に改定した際、「日本国の当局が、裁判権を行使する第1次の権利を有する」と明記。しかしこれと並行する交渉で1次裁判権の事実上の放棄を密約していたことになる。実際、日本側は53~57年の間に起きた事件の97%の1次裁判権を放棄している。日米行政協定に代わる現行の日米地位協定も同じ条文を踏襲している。

 新原さんは23日、国会内で会見し「米兵による事件の処理に現在もこの密約が影響していると考えている」と述べた。これに関連して河村建夫官房長官は同日の会見で「日本人による事件と、米軍構成員などによる事件で起訴すべきか否かの判断に差はない。1次裁判権を行使しないとの日米間の合意、密約はない」と述べた。

 日米地位協定に詳しい本間浩・法政大名誉教授は「日本政府は機密文書が情報公開の対象になっても『あずかり知らぬ』という態度だが、国民に明らかにすべきだ」と指摘している。【大谷麻由美】

毎日新聞 2008年10月24日 東京朝刊」



(2) 東京新聞平成20年10月24日付朝刊3面

米兵裁判権 日本は放棄」 密約文書原文を発見 米公文書館

 日本に駐留する米兵らの犯罪をめぐり、日米政府が「重要な事件を除き、日本側は裁判権を放棄する」との密約を交わした文書がみつかった。日米合同委員会裁判権分科委員会が作成した1953年10月28日付の「米兵犯罪の第1次的裁判権の実質放棄に関する日米取り決め」で、今年9月、国際問題研究者の新原昭治氏が米公文書館の非公開議事録から発見した。

 機密解除された別の公文書で密約の存在は指摘されていたが、原文が確認されたのは初めて。

 法務省総務課長だった津田実氏と在日米軍法務官のトッド中佐が交わした。

 密約には「日本側が起訴することを決定した場合、米国に通告する」とあり、日本側は米側への通告抜きに裁判を開始できない仕組み。日本は独立国家に不可欠な裁判権を事実上、放棄していたことになる。

 同時に見つかった日米の交渉過程を記録した米政府解禁文書には「日本側がきわめて寛大で、かつ裁判権を行使したいと考える事例がぎりぎり最小限になるように、との希望を表明した」(53年9月17日、在日米大使館アリソン大使発、米国務省あて)などとあり、米側が日本側に繰り返し裁判権行使を抑制するよう求めていたことが分かる。」




(3) 2008年10月24日(金)「しんぶん赤旗」

判明した日米密約全文

米兵犯罪での日本の第一次裁判権放棄に関する密約

 行政協定第一七条を改正する一九五三年九月二十九日の議定書第三項に関連した、〔日米〕合同委員会裁判権分科委員会刑事部会日本側部会長の声明

 一九五三年十月二十八日

 裁判権分科委員会刑事部会

 □日本代表

 1.議定書第三項の規定の実際的運用に関し、私は、政策の問題として、日本の当局は通常、合衆国軍隊の構成員、軍属、あるいは米軍法に服するそれらの家族に対し、日本にとって著しく重要と考えられる事件以外については第一次裁判権を行使するつもりがないと述べることができる。この点について、日本の当局は、どの事件が日本にとって著しく重要であるかの決定に関し裁量の自由を保留することを指摘したいと思う。

 2.日本が裁判権行使の第一次権利を有する事例に関し起訴することを決定した場合、そのことを米軍当局に通告する。通告は、合同委員会が規定する一定の形式、適当な当局により相当の時間内におこなわれることになろう。

 3.上記声明は、議定書第三項の原則を損なうものと解釈されてはならない。

 議定書第三項に関する私の声明の解釈に関し、将来の紛糾を防止するため、私は以下の通り声明することが適切であると考える。

 議定書第三項(c)によると、日本政府が個別の事件で第一次裁判権を行使しないことに決定したときは、できる限りすみやかに合衆国当局に通告しなければならない。したがって、合同委員会が定める通告の期間満了までの間、日本政府が議定書第三項(b)に規定された第一次裁判権を行使しないものと想定してはならない。上記の私の声明は、この意味において解釈されるべきである。

 津田實(署名)

 裁判権分科委員会刑事部会日本側部会長

罪を犯した米兵の身柄拘束に関する密約

 行政協定第一七条を改正する一九五三年九月二十九日の議定書第五項に関連した、合同委員会裁判権分科委員会刑事部会日本側部会長の声明

 一九五三年十月二十二日

 裁判権分科委員会刑事部会

 □合衆国代表トッド中佐

 合衆国軍当局の管理下に法違反者が引き渡された上は、法違反者は、引き渡しがそのような条件のものであるならば、請求にもとづき、日本の当局の求めに応じられることを日本代表に保証したいと思う。

 □日本代表津田氏

 合衆国代表の保証に照らして、私は、このような法違反者が日本の当局により身柄を保持される事例は多くないであろうことを声明したいと考える。

 アラン・トッド中佐 (署名)

 軍法務官事務所

 裁判権分科委員会合衆国側委員長

 津田實(署名)

 裁判権分科委員会日本側委員長」




2.今回の報道についても、日本政府は「密約はない」と主張しています。

■「密約はない」 河村官房長官

 駐留米兵をめぐる日米両政府間の密約を記した文書が公開されたことについて、河村官房長官は23日の記者会見で「日本人による事件と米軍構成員による事件とで起訴すべきか否かの判断に差はない。昨年の起訴率を見ても、米軍構成員のほうが高くなっている。密約はないということは結果から明らかだと思っている」と述べた。一方、外務省は「一定の場合に裁判権を放棄するような米側と秘密の合意をしていた事実はない」とコメントした。」(朝日新聞平成20年10月24日付朝刊34面)


しかし、本当のことを述べているようには思えません。次の2つの記事を紹介しておきます。


(1) 朝日新聞平成20年10月24日付朝刊34面

駐留米兵の公務外犯罪  裁判権放棄 密約か 研究者が入手

 日本に駐留する米兵らの公務外の犯罪について、日米間の協定では裁判権を日本に認めたにもかかわらず、実際には「日本側は重要事件以外の裁判権を放棄する」との「密約」が交わされていたことを示す文書があった、と国際問題研究者の新原昭治さんが23日、発表した。政府は密約の存在を否定している。

 新原さんによると、文書は米国立公文書館に保管されていた。駐留米軍の地位を定めた現行の日米地位協定の前身、旧日米行政協定の改定交渉が進められた1953年10月28日に、日米合同委員会の非公開議事録という形で残されていたという。

 議事録は英文で、日本は「著しく重要」と考える事件以外で裁判権を行使するつもりがない、とした日本側代表の声明を明記していた。

 外務省などによると、52年の締結当初の旧協定は、日本に駐留した米兵の犯罪すべてについて裁判権を米国に認めた。しかし53年の改定交渉で、公務外の犯罪に関する裁判権が日本に委譲された。

 また、新原さんが入手した53年8月25日付けの在日米大使館の記録には、米国側が裁判権の放棄の合意を、交換公文などの形で残すことを求めたのに対して、日本側が秘密記録の形を求めたと書かれたという。米陸軍の「米兵への裁判権行使統計」には、54~63年で日本に裁判権があった米兵の犯罪のうち、年89~97%、2300~4600件で裁判権が放棄されていたことが記されていた。

 現行協定でも、公務外の犯罪の裁判権は日本にあることになっている。新原さんは「協定は最初から骨抜きにされていたことになる。本来、日本にある裁判権を密約という形で放棄するのは、主権国家として重大な問題。今も大筋として運用は変わっていないと思う」と話した。

 米兵らの犯罪のうち、被害が米国の財産・安全や米兵らの身体・財産に限られる場合や公務中の犯罪は米国に裁判権がある。 (隅田佳孝)」



(2) 琉球新報(2008年10月22日)

米兵事件 日本は裁判権放棄継続
2008年10月22日

 【東京】日本に駐留する米兵らの事件をめぐり、日米両政府が1953年に「重要案件以外は日本側は第1次裁判権を放棄する」と密約を交わした件で、在日米軍法務部の担当者が2001年の論文に「合意は忠実に実行されている」と明らかにしていたことが分かった。同担当者は、現在も同じ部署で米軍犯罪の法務関係を担当しており、密約が50年以上にわたり受け継がれていることを裏付けている。当時の密約を認め、現在も有効とする米軍見解が明らかになるのは初めて。米軍による犯罪が不起訴などとなり被害者が泣き寝入りするケースは後を絶たないが、その背景に、密約を現在まで着実に履行する日本政府の実態が浮き彫りとなった。

 論文が収められているのは、01年にオックスフォード大学出版が発行した「駐留軍関係法に関するハンドブック」。1998年にドイツで開かれたジョージ・マーシャル欧州安全保障研究センター主催の「駐留軍関係法に関する会議」の報告をまとめた。

 その中の「日本での外国軍隊の地位協定に関する協定」の項で、在日米軍法務部のデール・ソネンバーグ国際法主席担当者(現次長)らが「特別な重要性がない限り、日本が裁判権を放棄することに非公式に合意した。日本はこの合意を忠実に実行している」と指摘し、現在も密約が有効だとしている。

 論文は、日米地位協定の成り立ちや特徴などを紹介している。米国の政策目標を「裁判権の最大限化と外国側による公判前拘留の最小限化」と明言。日本で行う裁判権の最大限化の措置に(1)不起訴(2)米側による容疑者の犯罪捜査(3)起訴の意思を通知する時間の消滅(4)既に起訴された事案の(裁判権)放棄―を挙げる。

 同会議に出席した本間浩氏(法政大名誉教授、国際法)は「非公式合意が実行されているのは客観的にも明らかだ。米側がこれまでに数回しか日本側に放棄を求めたことがないことも裏付けている。日本政府としては、国民の反発を招くだけなので合意を否定するが、事実上の放棄とは、抜け道を認めるやり方だ」と指摘する。
(与那嶺路代)」



この記事中での問題の部分を引用しておくと。

 「新原さんが入手した53年8月25日付けの在日米大使館の記録には、米国側が裁判権の放棄の合意を、交換公文などの形で残すことを求めたのに対して、日本側が秘密記録の形を求めたと書かれたという。米陸軍の「米兵への裁判権行使統計」には、54~63年で日本に裁判権があった米兵の犯罪のうち、年89~97%、2300~4600件で裁判権が放棄されていたことが記されていた。」(朝日新聞)

 「日本に駐留する米兵らの事件をめぐり、日米両政府が1953年に「重要案件以外は日本側は第1次裁判権を放棄する」と密約を交わした件で、在日米軍法務部の担当者が2001年の論文に「合意は忠実に実行されている」と明らかにしていたことが分かった。同担当者は、現在も同じ部署で米軍犯罪の法務関係を担当しており、密約が50年以上にわたり受け継がれていることを裏付けている。」(琉球新報)


こうして、密約を忠実に実行している統計があり、在日米軍法務部の担当者が2001年の論文で密約通りに実行されていると記しているのですから、「密約はないということは結果から明らか」とはいえません。(なお、「日米双方の意見が食い違っているが、現在の日本の裁判権放棄の実態について、統計上は明らかにされていない。」(沖縄タイムス2008年10月24日【朝刊】))。




3.日本の統治機構は、立法・行政・司法の各機関を設け、独立国家の主権(統治権)としてその主権の及ぶ範囲において、紛争を解決するため裁判権を有しています。裁判権の行使は法秩序維持のために行使する国家権力そのものですから、裁判権は独立国家にとって不可欠な権限です。

ところが、その重要な裁判権について、日本政府は、駐留米兵による犯罪については第1次的裁判権を実質的に放棄する密約を交わしていたのです。それも驚くべきことは、その密約は50年以上にわたり受け継がれているというのです。


(1) 駐留米兵の犯罪につき、不起訴と言う形で裁判権を放棄すれば、駐留米兵による犯罪を刑罰という効果の強い制裁で抑止できないのですから、駐留米兵による犯罪が野放しになってしまい、犯罪被害者は増加するばかりとなってしまいます。これでは、日本政府は、密約を交わすことで、日本国民の生命・身体・財産の安全をあえて放棄しているとしか言いようがありません。

米兵裁判権放棄 忠実に実行される「密約」
2008年10月23日 

 1953年に日米両政府が「重要案件以外は日本側は第一次裁判権を放棄する」との密約を交わしていたことが、当の米軍法務担当者の論文で明らかになった。
 密約は現在に至るまで「忠実に実行されている」と、論文は記している。裁判で守られるべき国民の人権が、50年余も政府・外務省によって侵害され続けている。
 沖縄返還協定密約をはじめ、核持ち込み疑惑、武器輸出三原則違反疑惑など日米密約の闇は深い。
 民主主義国家が密約で国民の権利を放棄し、人権を侵害する。これは恥ずべき国家の犯罪である。
 日本が主権国家なら守るべきは犯罪米兵ではなく国民の権利だ。」(琉球新報平成20年10月23日付「社説」


多数の公文書から密約の存在が明らかであるのに、日本政府、すなわち自民党政権は、一貫してその密約を否定して、日本に住む市民を保護することを放棄しているのですから、そんな自民党政権は日本の市民にとって有害というべきです。琉球新報の社説が述べるように、「これは恥ずべき国家の犯罪」とさえ評価することも可能です。


(2) こうした「恥ずべき国家の犯罪」ともいえる裁判権放棄の密約が未だに生き長らえることができるのは、やはり戦後ほとんど一貫して続いてきた自民党政権だからこそ、なのだと思われます。密約の存在を否定しようがないのに、いまだに密約の存在を否定し、市民を愚弄する態度に出ている以上、自民党政権を終わらせるしかありません。

ここに至っては、密約といった悪弊を排除するには政権交代をするしかなく、自民党に代わる政党を中心とした政権により、駐留米兵の犯罪の裁判権を放棄した密約を無効にするしかないと考えます。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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