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2008/10/10 [Fri] 17:38:28 » E d i t
10月10日は死刑廃止世界連盟(WCADP)が定めた「世界死刑廃止デー」です(以前のエントリーについては、「10月10日は「世界死刑廃止デー」」(2007/10/10 [Wed]」23:59:53)を参照)。

第6回目にあたる今年は、10月11日(土)に、市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」(FORURUM90)主催の死刑廃止のシンポジウム(場所:新宿区角筈区民ホール、午後1時開場・1時30分開演、入場料:1000円)、とアムネスティ・インターナショナル日本主催の死刑に反対する街頭デモンストレーション(出発場所:新宿中央公園 水の広場、出発時間:10月11日(土)午後5時30分(予定))を行うとのことです。

この「フォーラム90」が死刑囚の思いや暮らしぶりなどを聞こうと、8月から9月にかけてアンケートを行いました。そのアンケートの結果は、すでに新聞報道もなされていますが、世界死刑廃止デー(10月10日)のイベントとして、10月11日に東京都内で開かれる上記のシンポジウムで公表することになっています。



1.東京新聞平成20年10月10日付朝刊26面「こちら特報部」

死刑―存廃を問う前に:制度廃止 時代の流れ  EU、フランス両大使に聞く

 10日は「世界死刑廃止デー」。民主主義大国の中で死刑が執行され続けている国は日本、米国など少数派だ。欧州連合(EU)は死刑廃止を加盟条件にしており、トルコのように加盟を目指して廃止した国も。人権政策の一環として全世界で死刑制度廃止を訴えているEUのヒュー・リチャードソン駐日大使と、EU議長国フランスのフィリップ・フォール駐日大使に考えを聞いた。 (久原穏)

◆世界中に冤罪/犯罪抑止力ない

 ―死刑制度に反対する理由は何か。

 EU大使「いかなる犯罪であろうともEUは信条として死刑に反対する。全世界的な廃止に立ち上がるのは歴史、正義、人道主義の流れをくむものだ。死刑は世界中で減少している。それは死刑が公平でもなければ効率的でもなく、司法の要求に応えるものではない。むしろ現実は死刑の不公平さを示している。絶対かつ確実な司法は存在しないから、冤罪(えんざい)で死刑になる事例が世界中で見られる」

 仏大使「死刑囚は毎朝、今日が自分の執行日かもしれないという恐怖におびえる生活をしている。そのような非人道的行為は許されるものではない」

 ―日本は死刑制度に賛成している国民が多い。

 仏大使「死刑廃止への闘いは(終身刑導入など)刑罰の見直しや、勇気ある議論を必要とする長期戦だ。過ちを償い、かつ公平な司法制度をどのように確立できるのか。どうすれば被害者や社会全体の要求に応えられるのか。政治家は世論や無意識の復讐(ふくしゅう)願望に左右されてはいけない。死刑廃止法案は多くの場合、世論の反対を押し切って決定されている。1981年に廃止を定めたフランスでも大論争が起きた」

 ―日本は裁判員制度の導入もあり、これから議論は深まるはずだが。

 EU大使「現在では死刑廃止を問題視する人は少ないのではないか。世論と政治家の一部が死刑判決の抑止力を主張し、死刑廃止は犯罪を増やすだろうと反撃したが、歴史はそれが間違いであると示した。死刑の廃止が暴力の回復をもたらすことはなかった」

 「緊張や不安、恐怖が充満している今日の社会で、死刑に『ノー』と言うことは人類への信頼を表す行為であり、暴力の悪循環に終止符を打つことができる。合法でも殺人は殺人者に対する抑止力にはならない。『人の命の不可侵は権利中の権利であり、すべての原理がそこから発生する』と記したのはフランスの作家で偉大な欧州人だったビクトル・ユゴーだ」

◆EU加盟の必須条件

 ―死刑制度廃止があらゆる国で適用されるようになると思うか。

 仏大使「時代の流れからいって当然だろう。国連に参加する192ヶ国のうち68件が死刑執行国だが、執行数は減少している。2004年にはセネガル、メキシコ、リベリア、タジキスタン、フィリピン、ルワンダが死刑廃止国になり、90ヶ国が死刑廃止を法的に定めた。

 「昨年の国連総会では95ヶ国が死刑反対宣言に正式に署名した。死刑廃止はEU加盟の必須条件だ。民主主義の大国で定期的に死刑を執行しているのは、米国(一部の州は死刑制度がない)と日本だけだ。人と将来を信用し、司法と法律を前進させ、世界中で死刑を廃止していこう」」




2.日本とEU諸国とは、基本的人権・自由・民主主義・市場経済といった社会の根本的な価値観を共有しています。ですから、人権政策の一環として全世界で死刑制度廃止を訴えているEUのヒュー・リチャードソン駐日大使と、EU議長国フランスのフィリップ・フォール駐日大使の考えを無視することは、本来できないはずです。

(1) しかし、日本では、どれほどこうした考えを受け止めるだけの素養があるのか、疑問に感じます。

「現代思想」2008年10月号で、「刑事司法の死の淵から」という表題の対談(安田好弘弁護士、作家・森達也氏)があります。その対談において、森達也さんは次のように述べています。

 つい最近、中国新聞の社会部の記者から手紙をもらいました。光市裁判の差戻判決当日、広島高裁の周囲には数百人の群衆が集まっていて、彼もその一人でした。死刑判決を裁判長が言い渡したとの知らせが外に伝えられたとき、その数百人の群衆から大きな拍手と歓声が沸いたそうです。」(現代思想2008年10月号28頁)


要するに、裁判所に押し寄せた人たちは、「裁判所にリンチをもとめる群衆の様相を呈していました。そして、裁判所はそれに応えた。」(現代思想2008年10月号53頁〔安田弁護士の発言〕のです。

こうした人たちは、光市裁判の弁護士への脅迫や多数の懲戒請求を行った実情からすると、光市裁判の内容どころか、裁判制度自体に対してほとんど知らないまま、感情的に死刑を要求していることがうかがえるのです(「橋下弁護士による懲戒請求扇動訴訟:橋下徹氏の「懲戒」煽動発言につき、広島地裁平成20年10月2日判決は不法行為を認定し損害賠償を肯定」(2008/10/03 [Fri] 03:14:59)参照)。



(2) こうした「殺せ、殺せ」という意見が(感情的に)多数になっている異様な日本の実情からを踏まえて、次の仏大使の発言を考える必要があります。

「―日本は死刑制度に賛成している国民が多い。

 仏大使「死刑廃止への闘いは(終身刑導入など)刑罰の見直しや、勇気ある議論を必要とする長期戦だ。過ちを償い、かつ公平な司法制度をどのように確立できるのか。どうすれば被害者や社会全体の要求に応えられるのか。政治家は世論や無意識の復讐(ふくしゅう)願望に左右されてはいけない。死刑廃止法案は多くの場合、世論の反対を押し切って決定されている。1981年に廃止を定めたフランスでも大論争が起きた」」(東京新聞)


日本の実情からすると、このような仏大使の発言はどれほど日本に影響を与えるのでしょうか。再び、「現代思想」2008年10月号で、「刑事司法の死の淵から」という表題の対談から引用しておきます。

安田 世界状況がどうなっているかとかそういう話も必要かもしれないけれど、もうそれでも動かなくなってきたし……。

 本にも書いたけれど、どう考えてもロジカルには死刑の存在理由なんてないのですから。

安田 でも厳として存在し、ますますそれへの心理的な依存は激しくなっている。そこで、何か希望が持てるような話というのはどういう形で展開できるのだろう? 例えば森さんの本を読んでいると、希望が持てるように物語を構成していって、その辺りはさすがだなと思うのだけれども。

 やはり人は善性が強い存在だと僕は思っていますからね。だからあとはメディアだと思います。ここまで酷くなっていたのにはメディアが大きな要因を占めているわけで、ということは逆に考えれば、メディアが少し変われば恐らく世相も変わるでしょう。

――例えばバダンテールがフランスで死刑廃止を実現したときも国民の6割は死刑存置に賛成でした。しかし彼は法務大臣として民意を押し切る形で法案を通しました。

安田 フランスの6割と日本の8割というのは大きな差です。6割ではまだまだ相対的多数で、社会を支配しませんが、8割になると絶対的多数で、絶対的な思想あるいは風潮になってきます。残りの2割の中にも中間派がいるから、絶対廃止論者は1割を切ります。死刑廃止は、政策の問題であると同時に、価値観の問題でもあるわけですから、そうなると1割未満ではますます力を持ち得なくなる。

 死刑廃止をした国のほとんどは、廃止直前の状況は6対4くらいで存置が強い。それを政治家が押し切るわけです。そして押し切ると大体逆転する。犯罪が増えないことに気づくから。ところが日本の政治家にはこれができない。政治だけでなく司法もメディアも含めて、あまりにポピュリズムが強すぎて民意を裏切れない。どうしても民意に従属してしまう。それと日本人は多数派についてしまう。6対4で拮抗するのが苦手なんです。どちらかが多くなってしまうと、「じゃあ俺もそっち」と同調してしまう民族性もある。8割という圧倒的な数字の背景には、ほとんどの人が死刑を概念としてしか捉えていないことが要因として働いている。僕らは目を背けるし、法務省は隠す。宗教観の空白から死生観が未成熟であることもあるでしょう。これまで話してきた危機管理意識の高揚や、治安が極度に悪化しているなどの間違った情報を植えつけられたことなども重なって、8割という歴史上ないような数字が現出してしまった。

安田 やっぱり多数に巻かれるとか常識的に振舞うことが大きな価値を持っていますから。日本の歴史の中で、少数が逆転し、歴史がひっくり返った例がないのですから。少数はますます少数になり、多数はますます多数になる、その連続です。

もう1つ、フランスのケースをもう少し詳しく見てみれば、廃止する前に10年近く執行を停止しているのですね。それに、イギリス、ドイツ、スペイン、イタリアと周りの国はすでに死刑を廃止していた。ベルギーもすでに事実上死刑を廃止していました。フランスは周りを死刑廃止国によって取り囲まれていたのです。それからもう1つは、東西の対立の中で、「社会主義国は国家が人を殺すが、自由主義国は人を殺さない」というキャンペーンを展開していた。ですから、政治的決断の重さが違うのです。バダンテールやミッテランをみんな誇大視しすぎていますね。どこの国だって政治に傑出したものなんてあるわけじゃないですか。多くは政治宣伝の類です。

 これに比べ、日本の死刑廃止議員連盟の人たちの苦労は大変だと思いますよ。死刑に言及しただけで現実に選挙民が離れていくのですから。選挙でも死刑廃止を言えるのは、亀井静香さん一人だけですよ。国策としての死刑廃止のヨーロッパとは全く違いますから。私はこの人たちに感服しています。」



死刑の現実から目を背け、法務省は死刑の現実を隠し、治安が極度に悪化しているという間違った認識(体感治安)を基にし、裁判制度をよく知らないままでの、死刑存置を叫ぶ市民は、ほとんど感情的・情緒的に死刑制度に賛同しているとしか言いようがありません。こうした「感情」的な賛同が全面的に押し出されているのですから、「感情」に対しては冷静な議論・批判が存在する余地がありません。

振り返れば、朝日新聞のコラム「素粒子」において、鳩山元法相を「死に神」に例えて騒動になった問題について、「被害者の会」が「自分たちに対する侮辱だ」と言い出して、朝日新聞社に対して、謝罪文を受け取るまで、延々と謝罪と釈明の要求を繰り返しました。被害者に何ら言及していないのに「自分たちに対する侮辱だ」という難癖のような考え方や圧力の掛け方は、「感情」を前面に出した死刑存置運動の典型のように思えます。



(3) ノーベル物理学賞受賞が決まった益川敏英・京大名誉教授(68)は、次のように述べています。

 「ノーベル物理学賞の受賞が決まった京都産業大教授の益川敏英さんと日本学術振興会理事の小林誠さんが10日午前、2人そろって塩谷文部科学相と野田科学技術相を訪問した。

 益川さんは塩谷文科相に、大学受験などで、難しい問題は深く考えず易しい問題だけを選んで解くよう指導している学校の現状を指摘。「これでは、考えない人間を作る『教育汚染』だ。親も、じつは教育熱心じゃなくて『教育結果熱心』だ」と教育のあり方を手厳しく批判。」(2008年10月10日11時12分 読売新聞)


死刑制度についても、まず感情論を前面に押し出し、ただ感情的に「殺せ、殺せ」と主張するような死刑存置は止めて、立ち止まって冷静に考えることが必要ではないでしょうか。

米国発の緊急危機により世界中で株安が加速し、世界恐慌へ突入するのではないかという危機の中、何事にも冷静さを求め、考える意識をもってもらいたいと思い、「世界死刑廃止デー」について言及してみました。



テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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村上満宏弁護士の話
2008/10/12(日) 12:13:11 | 来栖宥子★午後のアダージォ
 今週末、福岡事件に関するイベントが神奈川県で2つある。
2008/10/29(水) 00:03:41 | 弱い文明
死刑制度は・・色々意見があると思います。 日本では合法扱いされていますが、諸外国の大半は廃止もしくは事実上の廃止です。 死刑廃止info! 著名人メッセージ・三浦光世さん では、冤罪さえなければ、死刑を実行してよいのかとなるが、これも肯定できな?...
2008/11/11(火) 11:25:05 | almond51's blog
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