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2008/09/23 [Tue] 22:02:09 » E d i t
民主党は平成20年9月21日、東京都内のホテルで臨時党大会を開き、小沢代表の無投票3選を正式に承認しました。小沢氏の任期は10年9月末までの2年間です。小沢氏は「所信表明」と位置づけた代表受諾演説で、政策財源は「劇的な予算の総組み替え」で生み出すと説明し、今月中にまとめるマニフェスト(政権公約)で、実行手順を3段階で示す方針を明らかにしています。

他方で、自民党は9月22日午後、党本部で両院議員総会を開き、党所属国会議員と各都道府県代表による投票の結果、麻生太郎幹事長(68)が投票総数527票(うち無効2票)のほぼ3分の2に当たる351票を獲得して他の4候補(与謝野馨経済財政担当相(70)が66票、小池百合子元防衛相(56)が46票、石原伸晃元政調会長(51)が37票、石破茂前防衛相(51)が25票)を破り、第23代総裁に選出しました。任期は福田康夫首相の残りで来年9月末までの1年間となります。

小沢代表も麻生総裁も、選出時に演説を行っています。その演説を引用して比較検討してみたいと思います。


1.まず、演説文を引用する前に、自民党総裁選に関する記事を引用しておきます。

(1) 朝日新聞平成20年9月23日付朝刊35面

「すぐやめるんだろう」…無効票に

 自民党総裁選の地方票141票の行方を決めた予備選の投票率が、前回の07年総裁選と比べ、31道府県で下がったことが分かった。党勢拡大も狙っただけに、同党の地方組織の幹部たちは「党員でさえ盛り上げっていないのに、これで総選挙は戦えるのか」と危機感を募らせている。

 地方での予備選は今回、全都道府県で行われた。投票率の最高は島根の61.61%、最低は長崎の43.16%。前回と比較できる35都道府県のうち、31道府県で下がり、徳島では12.4ポイント、鹿児島も11.83ポイント、福井10.01ポイントと3県では2ケタも下がった。

 一方、上がったのは、郵送投票を認めた熊本の19.58ポイント、石原伸晃、小池百合子、与謝野馨の地元選出3氏が立った東京の7.16ポイントのほか、青森3.97ポイント、長野2.75ポイントの4県にとどまった。

 前回予備選を見送った福田首相の地元、群馬では、安倍元総裁が選出された前々回と比べ8.41ポイント落ち、同県連幹部は「首相の辞任後でがっかりした人がいた」と言った。

 各地の無効票の中には、「小沢一郎」「オバマ」のほか、「自民党はもうダメだ」(栃木)、「どうせすぐやめるんだろう」(東京)と書かれた投票用紙があった。地方組織の幹部たちは「政権投げ出しへのおしかりでは……」「総選挙は気を引き締めないと大変」と戦々恐々だ。」



早々に「勝ち馬に乗れ」とばかりに多数の国会議員が麻生太郎氏に支持が集まり、無意味な総裁選でした(いわば「総裁選ごっこ」「総裁選ツアー」)。小泉政権下において地方経済や地方の自民党組織を破壊してしまったのに、反省を示すこともありません。これでは、「前回の07年総裁選と比べ、31道府県で下がった」ことも、当然の結果です。

無効票の中には、「小沢一郎」「オバマ」のほか、「自民党はもうダメだ」(栃木)、「どうせすぐやめるんだろう」(東京)と書かれた投票用紙がありました(朝日新聞)。安倍氏や福田氏を選んだときと同様、「勝ち馬に乗れ」とばかりに多数の国会議員が麻生太郎氏に支持が集まるという反省のなさ、2代続けての「政権投げ出し」に対する反省の弱さを目の当たりにすれば、自民党員であればなおさら、呆れた意識になるはずです。

投票用紙に「小沢一郎」「オバマ」のほか、「自民党はもうダメだ」(栃木)、「どうせすぐやめるんだろう」(東京)と明記し、あえて無効票をいとわずに、自民党本部が直接目にする文書で批判するほど、自民党員には自民党に対しての批判が強くなっているといえます。特に、「小沢一郎」と明記した投票用紙は、民主党に投票することを明言しているようなものです。

自民党員の間にこうした批判が渦巻いている以上、麻生太郎氏の総裁就任演説には、2代続けての政権投げ出しへの反省をどう表現しているかがポイントでした。また、自民党は与党であり、民主党は与党になり得るのですから、国民への向けたメッセージをしていることが不可欠です。そうした2点につき、語っているか否かに注目して、次の演説文を読んでみてください。



2.代表受諾演説・総裁当選演説

(1) 毎日新聞 2008年9月22日 東京朝刊

◇民主党の小沢一郎代表の所信表明演説要旨

 代表就任以来、全国18万キロを駆け回り、国民生活の実態を見て、「何たることか。こんな思いをさせて申し訳ない」とくちびるをかみしめた。国民の暮らしも地域も壊れてきている。日本は主要国で下から4番目の格差大国になった。自公政権が市場万能、弱肉強食の政治を推し進め、社会から公正さが失われ、格差が拡大した。社会のセーフティーネットこそ経済が持続的に発展するための大前提だ。格差を放置すると経済が機能不全に陥り、社会は崩壊する。今こそ、日本を変えるラストチャンスだ。

 政治行政の仕組みそのものをつくり替えないと、絶対に実現できない。民主党政権で初めて可能になる。「新しい国民生活に何が必要か」との基準で予算の優先順位を決めれば、私たちの政策実現に必要な財源は十分確保できる。

 自民党は2度も政権を放り投げただけでなく、謝罪と反省がないまま「総裁選ごっこ」という内輪のお祭り騒ぎに興じている。自民党総裁は政権を投げ出すことができても、国民は生活を投げ出すことができない。そんな自明のことさえ理解できない人たちに政権を担う資格などあるはずがない。

 次期衆院選は「最後の戦い」だ。私自身について言えば、精神的にも肉体的にも最後の大一番だ。民主党はかなり変わり、安定感が出てきた。主権者である国民が決意すれば、政治は変えることができる。日本の未来、命運を決するのは国民一人一人だ。夢を持ち、その夢を民主党とともに実現しよう。一度、民主党に政権を任せていただきたい。」



(2) 「民主党|2008年9月臨時党大会(代表選挙集会) 代表就任挨拶及び所信表明」(一部抜粋)

 「二年半前、私が初めて代表に選任されたとき、青年時代に見た映画『山猫』のクライマックスの台詞を申し上げました。
 「変わらずに生き残るためには、自ら変わらなければならない」
 日本の未来のために、まず私自身が変わる。そして、民主党を変え、日本を変える。そうお約束致しました。
 私は、まだ十分とは言えませんが、約束通り変わろうと努力し続けて参りました。一方、民主党はかなり変わりました。安定感が出てきて、一度は民主党に政権を任せてみてもよい、と温かく見守って下さる国民が増えてきたのではないでしょうか。
 私が民主党について何よりも誇らしく思うのは、仲間の皆さんが一人残らず、「国民の生活が第一。」と固く信じ、その原則に基づいて行動していることであります。そのような民主党、そして民主党候補に対し、国民の皆様のご支援を心よりお願い申し上げます。


 政治とは意志である。これが私の、もう一つの確信であります。
 主権者である国民が決意すれば、政治は変えることができるのであります。自ら生活を変え、日本を変える。最終的な権力は、国民自身が握っているのであります。今ここで、それを積極的に行使していただきたいと思います。
 日本人には間違いなく、新しい国民生活、新しい日本を築く能力と資質が十分にあります。みんなで力を合わせれば、今日の困難は必ず乗り越えることができると、私は信じております。そして、国民の力を最大限に発揮できるようにするのが、私たち民主党の使命なのであります。

 私はこの一戦に政治生命をかけ、「新しい国民生活をつくる」ことに、私の政治生活の全てをつぎ込みます。
 日本の未来、日本の命運を決するのは、国民であるあなた方お一人お一人なのであります。夢を抱きましょう。そして、その夢を民主党とともに実現しましょう。ここで一度、民主党に政権をお任せ下さい。国民の皆様のご期待に、必ず応えます。
 ありがとうございました。」



(3) 毎日新聞2008年9月22日

自民党総裁選:麻生新総裁の当選あいさつ全文

 ただいま第23代自由民主党総裁に選出をいただきました。今回の選挙、思いもしない形での総裁辞任のあとを受けての総裁選挙であって、自由民主党は開かれた国民政党として、少なくとも堂々と総裁選挙を実施するということをもって後継総裁を選ぶということが出来た、そういう成熟した国民政党に属している自分を大変誇りに思っております。ありがとうございました。

 この選挙にあたりましては臼井委員長ほか選挙管理委員会の方々、また、全国47都道府県の県連の方々の絶大なるご支援ご努力によってこの総裁選挙はかなりの長期間でありましたが、きちんと無事公明正大に行われましたことに関しまして、選挙管理委員会、県連各位に心から厚くお礼を申し上げる次第であります。

 このときをもちまして、このたび総裁選挙で選挙戦を繰り広げました5人の間に対立という文字はこの瞬間をもって終わっております。

 これからあと我々自由民主党は、国民政党として国民の負託に応えるべく、お互いに手を携えて頑張っていかねばならぬものだと思っております。今後とものご理解、ご支援を--それぞれ信念を持って応援された方々、大勢ここにおりますが--皆様方のご理解とご支援を重ねてお願い申し上げます。

 われわれは今ここで新しい困難に立ち向かわなければならない、そのスタートに立ったと思っております。私に与えられたいろいろな仕事は、それに応え、国民の負託に応えることをもって、今回ご支援頂いた皆さんへの御礼に代えねばならぬと決意を新たに致しております。

 21世紀に入ってから森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫と、この8年の間にわれわれは、極めて厳しい中で使命を全うされて来られたことと存じます。また、初代鳩山一郎、石橋湛山、岸信介などなど歴代の総理・総裁の写真もここに掲げてありますが、それぞれの時代、党に与えられた仕事、役職などなどは極めて重かったと思いますが、それをくぐり抜けて来られて今日の自由民主党があるんだと思っております。私も今ここに立ちます時に、少なくともこれは麻生太郎に与えられた天命だと思っております。

 思い返せば130年前の9月22日、吉田茂が生まれております。68歳、おととい私も68歳になりました。今天命と申し上げるのは我々は自由民主党として政権政党として次なる総選挙において断固民主党と戦っていかねばならんのだと思っています。私も選挙に勝って初めて天命を果たしたと言うことになるんだと存じます。

 今国民が抱えております数多くの問題、生活の問題、将来への不安、また国家国民を守る安全保障の問題などなど堂々と掲げ、実行に移す力が我々以外の政党にどこにあろうかと強く思っております。その政党は民主党ではない、断じてありえないと思っております。自由民主党がその使命を全うする。それこそがわれわれが義務であり責任であり、私はその先頭に立って戦う機会を与えていただいたことに心から感謝を申し上げます。

 我々はこの選挙に勝って立派にこの国の再生を果たし、改革を成し遂げ、さらなる一歩を進めていかねばならぬと決意を新たにいたしております。どうか皆様方に与えられたこの負託に応える、さらなる力と勇気を皆様方に与えていただけますよう、重ねてお願いを申し上げ、今回ご支援頂いた皆さんに対し心から厚く感謝と御礼を申し上げ決意表明の一端に代えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。」




3.では、演説を比較検討していきます。

(1) 全体的にみると、小沢一郎氏、麻生太郎氏両者の演説とも、両党への対決姿勢を露にしています。

 「代表就任以来、全国18万キロを駆け回り、国民生活の実態を見て、「何たることか。こんな思いをさせて申し訳ない」とくちびるをかみしめた。国民の暮らしも地域も壊れてきている。日本は主要国で下から4番目の格差大国になった。自公政権が市場万能、弱肉強食の政治を推し進め、社会から公正さが失われ、格差が拡大した。(中略)
 自民党は2度も政権を放り投げただけでなく、謝罪と反省がないまま「総裁選ごっこ」という内輪のお祭り騒ぎに興じている。自民党総裁は政権を投げ出すことができても、国民は生活を投げ出すことができない。そんな自明のことさえ理解できない人たちに政権を担う資格などあるはずがない。」(小沢一郎氏の演説)


 「今回の選挙、思いもしない形での総裁辞任のあとを受けての総裁選挙であって、自由民主党は開かれた国民政党として、少なくとも堂々と総裁選挙を実施するということをもって後継総裁を選ぶということが出来た、そういう成熟した国民政党に属している自分を大変誇りに思っております。(中略)
 今国民が抱えております数多くの問題、生活の問題、将来への不安、また国家国民を守る安全保障の問題などなど堂々と掲げ、実行に移す力が我々以外の政党にどこにあろうかと強く思っております。その政党は民主党ではない、断じてありえないと思っております。」(麻生太郎氏の演説)



野党が自民党への対決姿勢を示すのは当然であり、自民党や現政権への批判が強い以上、自民党が民主党への対決姿勢を露にすること自体も、当然でしょう。


ただし、麻生氏が、「総裁選挙を実施するということをもって後継総裁を選ぶということが出来た、そういう成熟した国民政党に属している」と誇るのは、どうにも解せないのです。

政党は、憲法21条の結社の自由で保障され、基本的には、自由で私的な団体です。

しかし、政党は、共通の政治的意見をもつ人々がその意見を実現するために組織する政治団体であり、政党は、現代議会政治において、民意を議会に媒介し、議会内で政策論争を行い、内閣の形成のプロセスに参加するなど、重要な役割を果たしています(戸波江二『憲法(新版)』355頁)。こうした意味で、政党は、国家の政治的意思形成過程に深く関わっており、実際には国家機関の一部として活動しているとみることすらできるため、「公的性格」を有しています。

こうした「公的性格」や現代民主主義下での政党の役割を考えれば、政党の代表を投票により選出するなど政党の内部組織・運営の民主性(党内民主主義)は必要というべきです。もっとも、こうした党内民主主義の要請は、政党が本来、自由な結社あることを考慮すれば、基本的には倫理的要請にとどまるのです(戸波江二『憲法(新版)』356頁)。最高裁は、政党の除名の効力について、政党の自律性を尊重して司法審査できないとしているほど、政党の内部手続の自主性を重視しています(最高裁平成7・5・25民集49・5・1279)。このように、総裁選をしたといったところで私的団体内部の選挙にすぎず、党内民主主義は倫理的要請にとどまる以上、総裁選を行ったところでさほど誇ることでもないのです。

しかも、自民党も、過去の総裁選出においては、無投票で再選したことがたびたびあります(1980年の鈴木善幸氏、1984年の中曽根康弘氏、1989年の海部俊樹氏、1993年の河野洋平氏、1997年の橋本龍太郎氏、2001年の小泉純一郎氏)。さらに言えば、総裁・副総裁の裁定で次期総裁を選出したこともあり(1964年の佐藤栄作氏、1974年の三木武夫氏、1980年の鈴木善幸氏)、両院議員総会の話し合いで総裁を選出したこともありました(1976年の福田赳夫氏、2000年の森喜朗氏)。このように、自民党の過去を振り返れば、「総裁選挙を実施するということをもって後継総裁を選ぶということが出来た、そういう成熟した国民政党に属している」と誇ることは、恥ずかしくてできないはずなのです(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「自由民主党総裁選挙」参照)。

ちなみに、公明党は9月23日、都内で第7回党大会を開き、代表選にただ一人立候補した太田昭宏代表の続投を正式に承認しました(共同通信:2008/09/23 15:48)。麻生氏は、民主党を批判したのですから、太田代表の無投票再選を決めた公明党に対しても、厳しい批判を加えるべきでしょう。批判をしないのは、公明党は「創価学会の支配下にある宗教政党」であって、「国民政党」ではないからでしょうか。

元々、衆院選という民意を反映することなく、3代も続けて首相が変わること自体、民主主義にそぐわないのです。自民党内部で首相の地位をたらい回しにしているほうが、よほどおかしいのです。

このように、麻生氏が誇って見せた点は、民主主義への理解の乏しさ、自民党の過去を無視する無責任さに満ちているといえるのです。



(2) では、先に挙げたポイント、すなわち、麻生氏は、「2代続けての政権投げ出しへの反省」をどう表現しているのでしょうか。

「21世紀に入ってから森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫と、この8年の間にわれわれは、極めて厳しい中で使命を全うされて来られたことと存じます。また、初代鳩山一郎、石橋湛山、岸信介などなど歴代の総理・総裁の写真もここに掲げてありますが、それぞれの時代、党に与えられた仕事、役職などなどは極めて重かったと思いますが、それをくぐり抜けて来られて今日の自由民主党があるんだと思っております。私も今ここに立ちます時に、少なくともこれは麻生太郎に与えられた天命だと思っております。」(麻生太郎氏の演説)


2代続けての政権投げ出しについて、反省するどころか、「極めて厳しい中で使命を全うされて来られたことと存じます」として、むしろ誇りに思っているようです。自民党員は、心底落胆したに違いありません。

これではますます自民党員や自民党支持者は「自民党離れ」を起こしてしまうでしょう。なぜ、自民党員が、予備選挙の投票用紙にあえて「小沢一郎」と書いたのか、麻生太郎氏は理解していないようです。



(3) さらに、次のポイント、すなわち、「国民への向けたメッセージをしている」のか否かです。

 「政治とは意志である。これが私の、もう一つの確信であります。
 主権者である国民が決意すれば、政治は変えることができるのであります。自ら生活を変え、日本を変える。最終的な権力は、国民自身が握っているのであります。今ここで、それを積極的に行使していただきたいと思います。
 日本人には間違いなく、新しい国民生活、新しい日本を築く能力と資質が十分にあります。みんなで力を合わせれば、今日の困難は必ず乗り越えることができると、私は信じております。そして、国民の力を最大限に発揮できるようにするのが、私たち民主党の使命なのであります。
 私はこの一戦に政治生命をかけ、「新しい国民生活をつくる」ことに、私の政治生活の全てをつぎ込みます。
 日本の未来、日本の命運を決するのは、国民であるあなた方お一人お一人なのであります。夢を抱きましょう。そして、その夢を民主党とともに実現しましょう。ここで一度、民主党に政権をお任せ下さい。国民の皆様のご期待に、必ず応えます。」(小沢一郎氏の演説)


 「私も今ここに立ちます時に、少なくともこれは麻生太郎に与えられた天命だと思っております。
 思い返せば130年前の9月22日、吉田茂が生まれております。68歳、おととい私も68歳になりました。今天命と申し上げるのは我々は自由民主党として政権政党として次なる総選挙において断固民主党と戦っていかねばならんのだと思っています。私も選挙に勝って初めて天命を果たしたと言うことになるんだと存じます。
 今国民が抱えております数多くの問題、生活の問題、将来への不安、また国家国民を守る安全保障の問題などなど堂々と掲げ、実行に移す力が我々以外の政党にどこにあろうかと強く思っております。その政党は民主党ではない、断じてありえないと思っております。自由民主党がその使命を全うする。それこそがわれわれが義務であり責任であり、私はその先頭に立って戦う機会を与えていただいたことに心から感謝を申し上げます。
 我々はこの選挙に勝って立派にこの国の再生を果たし、改革を成し遂げ、さらなる一歩を進めていかねばならぬと決意を新たにいたしております。どうか皆様方に与えられたこの負託に応える、さらなる力と勇気を皆様方に与えていただけますよう、重ねてお願いを申し上げ、今回ご支援頂いた皆さんに対し心から厚く感謝と御礼を申し上げ決意表明の一端に代えさせていただきたいと思います。」(麻生太郎氏の演説)


  イ:小沢氏の演説では、「日本の未来、日本の命運を決するのは、国民であるあなた方お一人お一人なのであります。夢を抱きましょう。そして、その夢を民主党とともに実現しましょう。ここで一度、民主党に政権をお任せ下さい」と述べ、国民へ向けたメッセージであることを明瞭に示しています。

これに対して、麻生氏の演説では、国民へ向けたメッセージであるとは言えません。かろうじて、「今国民が抱えております数多くの問題、生活の問題、将来への不安、また国家国民を守る安全保障の問題などなど堂々と掲げ、実行に移す力が我々以外の政党にどこにあろうかと強く思っております」という部分が、(国民相手である点を明示しておらず、単に自負しているだけですが、)国民に向けていると理解できるかもしれません。


  ロ:麻生氏は、「天命」と述べていますが、だから何なのでしょうか? 「130年前の9月22日、吉田茂が生まれております」と述べていますが、吉田茂の孫であることを持ち出したところで、何になるのでしょうか? 

日本の首相(+自民党総裁)の地位は、神が与えた「王制」に基づくものでもなけれれば、血筋で決まる「世襲制」に基づくわけでもないのです。法の下の平等(憲法14条)の要請からまるで懸け離れた演説内容には、つくづくうんざりさせられます。 


  ハ:聞き手特に、国民を惹き付けるためには、ラポート(共感)・トーク、つまり聞き手、国民を巻き込み、共感を呼び起こす話し方が必要です。情報をただ伝えるリポート・トークだけでは聞き手を惹(ひ)きつけることは難しく、「肝心なのは、ラポート・トークを効果的に織り交ぜることであり、その有効性はすでに社会言語学の研究で証明されている」そうです(読売新聞平成20年9月17日付朝刊23面)。

福田首相は、何でも「他人事」であり、これに対して、安倍前首相は、「自分事」に徹したあまり、力尽きてしまいました(例えば、安部前首相の辞任会見では、「私の率直な思いを伝えようと」、「私はどうすべきか」、「私自身の決断が」など、「自分事」として語ろうとしていた。)。まるで、ラポート(共感)・トークが出来ていませんでした。

 「折りしも、アメリカでは大統領選挙が行われている。指名受託演説の最後に繰り返されたことばは、「アメリカよ、私たちは引き返すことはできないのです」(オバマ候補)、そして「私といっしょに戦おう」(マケイン候補)だ。ともに、聞き手を巻き込み、仲間意識をもり立てることばだ。そして、そこには、何があっても決してあきらめない、前進するのみだという強い意志、そして楽観主義が込められている。ひ弱で、悲観的な日本の首相とはかなり違うようだ。

 現在、自民党の総裁選が行われている。次期首相に必要なものは、政策も大事だが、国民を巻き込み、共感を呼び起こすラポート・トークのできる、粘り強いリーダーシップであろう。少なくとも、記者からの質問に対して「あなたとは違うんです」と息巻いていては、共感を作り上げることはできない。」(東照二(あずま・しょうじ)・立命館大教授(社会言語学)「『他人事』『自分事』――国民に届かぬ首相 言葉で共感呼ぶ政治を」(読売新聞平成20年9月17日付朝刊23面)



では、小沢氏や麻生氏はどうでしょうか。

小沢氏は、「日本の未来、日本の命運を決するのは、国民であるあなた方お一人お一人なのであります。夢を抱きましょう。そして、その夢を民主党とともに実現しましょう」と述べており、聞き手(=国民)を巻き込み、仲間意識をもり立てる言葉を述べています。共感を呼び起こすラポート・トークが出来ているのです。

しかし、麻生氏は、「天命」と述べるなど、国民不在の意識が明瞭であり、「実行に移す力が我々以外の政党にどこにあろうか」など自負しているだけであって、結局は、自己中心的に語っているにすぎないのです。麻生氏の演説には、聞き手(=国民)を巻き込み、仲間意識をもり立てる言葉はなく、共感を呼び起こすラポート・トークが出来ていないのです。

麻生氏は、演説の中で「国民政党に属している」と誇っていますが、どちらが「国民政党」と言えるのか、演説内容からして自ずから明らかだといえます。




4.最後にコラムを1つ紹介しておきます。

(1) 東京新聞平成20年9月20日付夕刊9面「大波小波」

とてつもない人

 麻生太郎氏に「人気がある」って、本当だろうか? 秋葉原で演説したから? 氏の『とてつもない日本』(新潮新書)は売れているそうだが、読むと、とてつもない楽観と現状肯定の本だ。「高齢化を讃(たた)える」「『格差感』に騙(だま)されていないか」「地方は生き返る」といった章が並び、いずれも根拠薄弱。だけれども言葉の勢いだけで政治家の人気が決まってしまうのが今で、それは「ヒトラーに似てる」という声も多い独断と煽動(せんどう)の人による、小泉現象の再演である。

 本紙コラムに山口二郎氏が書いていたが、麻生氏は野中広務氏について「被差別部落出身者を総理にはできない」と発言し、この夏の豪雨について名古屋で演説していた時には「岡崎だったからいいけど名古屋だったら大変」と言った。その豪雨で、岡崎では2人が亡くなっている。

 本質的に自己中心的にしか発想できない人なのだと思う。吉田茂の血筋で、庶民生活を見ているとも思えない。違う境遇にいる人のことが、ほんとうに分からないのだ。総理になったら、彼の楽天的な「自分たちだけ」の世界観の外にいる弱者や病者は、その視界に入ることもできなくなってしまうだろう。(衆生)」



(2) 自民党は、2代続けて「政権投げ出し」首相を輩出した挙句、たいした反省もなく「総裁選ごっこ」を繰り広げ、今度は、吉田元首相の血筋を誇り、「本質的に自己中心的にしか発想できない人」であって、差別主義者的な言動を繰り返す麻生太郎氏を総裁に選出し、首相にしようとするのです。

自民党は、こういう人物までも「勝ち馬に乗れ」とばかりに圧倒的な多数で総裁に選出し、首相に押し上げようとするのですから、自民党は根底まで腐りきっています。自民党は、政権担当能力が皆無であることを露呈しました。いよいよ時期衆議院選挙では、自民党の壊滅的大敗が決定的になってきました。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
末期状態とはこんなもんですので別に驚くに値しない。今回の内閣は所詮選挙管理内閣って感じしかしない。

それはさておき政権を維持したいというのは当然の本音だから選挙に勝てる内閣を作ろうとするはずである。
そして、今回法相に鳩山さんが復帰するようである。死刑存置は票になるという見込みだろうか。確かに世論受けはいいようである。

小澤さんは裁判員制度を見直すとのことであるが、おいおい民主党も賛成したのだろう?、と突っ込みしたくなる。過ちを改めるのに遠慮は無用と思うが、国会審議をしっかりやっていたのか問われるところだろう。
2008/09/24 Wed 10:26:38
URL | YO!! #-[ 編集 ]
>YO!!さん:2008/09/24 Wed 10:26:38
コメントありがとうございます。


>今回の内閣は所詮選挙管理内閣って感じしかしない。

衆院解散時期については、「10月10日前後となることが濃厚」(東京新聞)だそうですから、仰るとおり「選挙管理内閣」ですね。ほとんど何もしない――暴言で揉めるだけ!?――内閣になりそうです。


>今回法相に鳩山さんが復帰するようである。死刑存置は票になるという見込みだろうか。確かに世論受けはいいようである

鳩山邦夫氏は、ゴネて法相を拒絶し、みごと総務相の地位を獲得しました。首相は自由な任命権があるのですが(憲法68条)、麻生氏にとってはお友達がゴネた場合には、拒否できないようです。

「友達の友達はアルカイダ」の鳩山邦夫氏以外にも、中山国交相は早速暴言を吐きまくるのですから、どうしようもない内閣です。


<9月30日追記>

通常、説明されている「選挙管理内閣」の意味について、追記しておきます。

◆「選挙管理内閣」ってなあに?

 なるほドリ 24日発足の麻生内閣を「選挙管理内閣」と呼ぶ人がいるね。
 記者 発足からあまり間を置かない国政選挙に臨むことを主目的とする内閣がそう呼ばれます。野党が短命に終わりそうな内閣を揶揄(やゆ)する時に使ったり、早期の衆院解散・総選挙を求める際の常套句(じょうとうく)になったりもします。暫定色が強いため、内政・外交への取り組みは必要最低限のものに抑えるのが普通です。与野党が対立する政策テーマや重要課題の遂行は難しいと言わざるを得ません。」(毎日新聞 2008年9月25日 東京朝刊)
2008/09/27 Sat 07:13:27
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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高所得層から低所得層へ所得移転政策を提唱します!! 国民の半数が(所得によって異なりますが)90万円程度貰えます。 いえいえ、是非とも貰ってやって下さい、日本経済を破滅から救うために!! 貴方はいくら貰える? 格差拡大・失業・リストラ・ホームレス・派遣社員・低...
2008/10/04(土) 06:50:07 | 美国日本の美しい税制
民主党の経済政策(景気対策・格差対策を含む)を整理しました。 参考記事で政策が同じ表現であれば解りやすいのですが、そうでないものは「・・・=・・・」と付記しました。 財源根拠として掲げられたものも、それ自体が政策ですから、政策として掲げました。【】付の政...
2008/10/08(水) 16:13:43 | 美国日本の美しい税制
政府・自民党の総合経済対策(景気対策・格差対策を含む)を整理しました。 参考記事: asahi.com(朝日新聞社):麻生自民と小沢民主、エコノミストは景気対策が争点と予想 - ロイターニュース - ビジネス FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE:総合/事...
2008/10/08(水) 20:51:21 | 美国日本の美しい税制
http://www.freeml.com/meiguoriben/1504 件名: 派遣労働 批判の末に 失業者が増えたという愚かさ MLNo. [meiguoriben:1504] 差出人: Masaさん \"Masa\" 送信日時: 2008/10/10 22:11 Masaです。 小泉-竹中路線の規制緩和の一つとして労働派遣の自由化があって、 ...
2008/10/19(日) 22:26:47 | 美国日本の美しい税制
http://www.freeml.com/meiguoriben/1525 件名: Re: 派遣労働 批判の末に 失業者が増えたという愚かさ MLNo. [meiguoriben:1525] 差出人: 美国日本さん \"美国日本\" 送信日時: 2008/10/19 13:14 Masaさま、皆様、こんにちは。 美国日本、このMLの主催者メンバー?...
2008/10/20(月) 12:49:27 | 美国日本の美しい税制
・総合経済対策事業規模は11兆7000億円 2008年度補正予算 国費なし ・中小企業対策の事業規模は9.1兆円=債務保証制度を導入し原油・原材料高に苦しむ中小企業を支援 2008年度補正予算 国費なし 11兆7000億円の中から 原油・原材料費暴落の折、必...
2008/10/20(月) 17:09:52 | 美国日本の美しい税制
http://blog.goo.ne.jp/hhh1010/e/69d7a582143e42028a1014294e495e2f 2兆円超、追加景気対策を指示!・・・年内解散見送り濃厚 首相が経済危機で軌道修正 焦る与野党!? 麻生首相は9日午前、首相官邸に自民党の保利、公明党の山口両政調会長を呼び、米国の金融危機に端を...
2008/10/20(月) 22:48:27 | 美国日本の美しい税制
http://www.freeml.com/meiguoriben/1531 MLNo. [meiguoriben:1531] 差出人: Masaさん \"Masa\" 送信日時: 2008/10/21 22:04 Masaです。 Masaさま、皆様、こんにちは。 美国日本、このMLの主催者メンバーの一人です。 Masaです。 小泉-竹中路線の規制緩和の一つと...
2008/10/22(水) 09:05:32 | 美国日本の美しい税制
追加景気対策 定額減税2兆円規模は意味があるのか オツカレです。 どうにかこの無駄な景気対策案は止めていただきたい。 [東京 21日 ロイター]23日に追加経済対策の与党案とりまとめへ、定額減税規模は結論持ち越し 自民・公明の両党は21日午後、都内で追加?...
2008/10/22(水) 11:40:45 | 美国日本の美しい税制
政府自民党・公明党の経済政策(景気対策・格差対策を含む)の批判 と 民主党の経済政策(景気対策・格差対策を含む)の批判 で、個別政策について批判しました。 (自民・公明の一次補正案の中で)【財源】予備費の取り崩しなどで1兆599億円とあるとことを1.599(兆?...
2008/10/24(金) 13:25:00 | 美国日本の美しい税制
http://www.freeml.com/meiguoriben/1488 件名: NYダウが急落、一時1万ドル割れ MLNo. [meiguoriben:1488] 差出人: 浪花のミッキーさん \"mickey\" 送信日時: 2008/10/06 23:25 浪花のミッキーです。 ここからがってことはないのだろうけれど、 一つ定義を作る...
2008/10/26(日) 18:13:07 | 美国日本の美しい税制
http://www.freeml.com/meiguoriben/1489 件名: Re: NYダウが急落、一時1万ドル割れ MLNo. [meiguoriben:1489] 差出人: う~さんさん \"う~さん\" 送信日時: 2008/10/07 03:15 浪花のミッキーさん、みなさん、こんにちは。 浪花のミッキーです。 ここからがっ?...
2008/10/26(日) 18:43:09 | 美国日本の美しい税制
http://www.freeml.com/meiguoriben/1541 件名: Re: NYダウが急落、一時1万ドル割れ MLNo. [meiguoriben:1541] 差出人: う~さんさん \"う~さん\" 送信日時: 2008/10/26 16:14 水蛍さん、レスが遅くなりました。 メールがフォルダー・ジャングルに紛れ込んでお?...
2008/10/27(月) 18:19:54 | 美国日本の美しい税制
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081023/106865/?P=4 田原総一朗の政財界「ここだけの話」 今、日米が求める人物像は 「大恐慌時代のルーズベルト」 日本のルーズベルトは誰? では、いったい日本はどうか。 日本も同じ現象が起きている。ひところは大人?...
2008/10/27(月) 21:16:15 | 美国日本の美しい税制
任期まで行ってしまうのか? 「日本の国際的役割優先」=早期解散に慎重姿勢-麻生首相内外会見 麻生太郎首相は25日夕(日本時間同日夜)、アジア欧州会議(ASEM)首脳会合の閉幕後、北京市内のホテルで内外記者会見を行い、衆院解散・総選挙の時期について「国内的な政...
2008/10/27(月) 23:29:05 | 美国日本の美しい税制
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