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2008/09/11 [Thu] 07:59:13 » E d i t
宇和島徳洲会病院の万波誠医師らによる修復(病気)腎移植をめぐり、愛媛社会保険事務局は宇和島徳洲会病院と万波医師らの行政処分を予定していました。ところが、超党派のおよそ80人の議員からなる「修復腎移植を考える超党派の会」(杉浦正健会長)が、修復腎移植を容認するとの方針を決定を出したことから、愛媛社会保険事務局は5月12日、宇和島徳洲会病院と万波医師らの行政処分に関する(5月19日予定の)聴聞会の延期を決定し(「超党派議連が「病気腎移植容認、万波医師と病院への処分不要」を発表~5月19日開催予定の聴聞会も延期に」(2008/05/13 [Tue] 22:22:34)参照)、そのままに延期したままになっています(再開時期は未定)。

最近、その進展状況に関する記事が出ていましたので、紹介したいと思います。
9月23日付追記:厚生労働省の「閣議後記者会見概要」(H20.05.16(金)09:15~09:26 ぶら下がり)から、厚労省の対応につき引用しました。)


1.日経新聞平成20年9月8日付夕刊16面

宇和島徳洲会病院 「病気腎」処分宙に浮く  病院側が抵抗 進展なく半年

 病気腎移植をめぐる宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の診療報酬不正請求問題で、保険医療機関の指定取り消し処分に向けた厚生労働省と愛媛社会保険事務局の手続きが、2月の聴聞会後、半年以上もストップ、宙に浮いた異例の状態が続いている。

 病院側が病気腎移植の正当性を主張し、処分に激しく抵抗しているのに加え、病気腎移植を容認した超党派の国会議員グループの動きも背景にあるようで、今後の見通しは不透明なままだ。

 宇和島徳洲会病院は、万波誠医師(67)が実施した計11件の病気腎移植に保険を適用、診療報酬を請求した。しかし厚労省は保険適用外の不正請求と判断。今春、処分に踏み切る方針だった。

 弁明を聴くため2月25日に開いた聴聞会は、病院側が開催手続きの不備を主張し、実質審議に入らず延期に。5月19日の2回目の聴聞会は直前になって突然、社会保険事務局が延期を決めた。以降、聴聞会は開かれていない。

 5月13日、国会議員グループの「修復腎移植問題を考える超党派の会」が、条件付きで病気腎移植を容認する見解をまとめた。病気腎移植を否定する厚労省や日本移植学会と対立する議員らの動きが、処分手続きに微妙に影響を与えているとみる向きは少なくない。

 徹底抗戦の構えを崩さない徳洲会関係者は「学会が病気腎移植を否定する新たな根拠を示すなど、流れが変わるまで聴聞会は再開されないのではないか」と話す。

 愛媛社会保険事務局の松本蔵彦局長は「ルールにのっとり粛々とやるだけ。処分方針に変わりはない」とするが、10月1日に組織改編が予定されており、少なくとも今月中の再開は事実上不可能とみられている。」



この記事によれば、愛媛社会保険事務局自体が「10月1日に組織改編が予定されて」いることから、組織改編直前に処分手続きを進めることは困難であるとして、「少なくとも今月中の(処分手続きの)再開は事実上不可能」だとのことです。行政処分の進展状況は気がかりだったのですが、ともかく10月1日までは安心できるようです。(9月23日付追記:後掲した、厚生労働省の「閣議後記者会見概要」(H20.05.16(金)09:15~09:26 ぶら下がり)によれば、10月1日後も行政処分手続きは進まないようです。)



2.愛媛社会保険事務局の松本蔵彦局長は「ルールにのっとり粛々とやるだけ。処分方針に変わりはない」としています。ただ、10月1日に組織改編が予定されている点はともかく、本当に行政処分を科すことは可能なのでしょうか。行政処分を科すことが困難と思われる点として、幾つか考えられます。


(1) まず1つは、病気腎(修復腎)移植について、厚生労働省や学会から「医学的妥当性がない」とされ、同省が臨床研究以外は「原則禁止」としているのに対して、与野党の議員連盟「修復腎移植を考える超党派の会」(会長・杉浦正健元法相)は、「修復腎移植容認」の見解を打ち出し、「保険診療も認めるべき」とする見解を発表している点です(「超党派議員連盟が、修復(病気)腎移植を容認したわけは?~超党派議連の議論の詳報を紹介(東京新聞5月14日付朝刊「こちら特報部」より)」(2008/05/14 [Wed] 19:58:33))。

 「午前9時、東京・永田町の衆院議員会館。カメラの放列を前に口火を切った杉浦氏は全国26万人余の人工透析患者を念頭に「(腎臓の)提供者は少ない現実がある。問題を学会だけではなく、社会全体で考えたかった」。

 議員らは「改革的なことをしようとすると、タブーが立ちはだかる。従前のことに縛られていては前進はあり得ない」(島村宣伸元農相)、「私自身、弟の腎臓をもらい移植した。病気で摘出した腎臓が使えるなら、いいと思っている。厚労省はぜひ、検討してほしい」(山田正彦・民主党ネクスト厚労相)と畳みかけ、杉浦氏が強(こわ)ばった表情の厚労省幹部に「見解案」を手渡した

 泌尿器科医でもある森田高参院議員(無所属)は「現状では、海外に道を求める人も多い。公正なシステムの中で行い、データを集積して5年、10年後に日本からデータを発信していくべきだ」。(中略)

 意見が分かれたのは、議員立法に踏み切るか否か。「学会の異論を取り除いていくためにも、法的に作っちゃってやるというのは、どうか」「議員立法にしても、学会や厚労省との大筋合意が必要」とは慎重派議員ら。一方、山田氏は「患者は本当に困っている。政治で、ある程度、きちんとした形でできるようにした方がいい」。

 ここで、幹事長の衛藤晟一・自民党厚労部会長が「厚労省は一度、臨床研究は小腎がんは対象にならないと回答しながら、撤回した経緯がある。学会や厚労省の状況を見て、立法化を検討したらどうか」。古川氏は「学会の合意を得られた場合は、強引に立法化するのもどうかと」。

 最後は、平沢勝栄衆院議員(自民)が「学会や厚労省と話をし、選択肢として議員立法や(政府提案の)閣法にするかを検討するということで。全国で、多くの患者が移植を受けられるようになるのを待っている。何とか早く結論を出したい」と、“官僚の出方論”にまとめた。」(東京新聞平成20年5月14日付朝刊24・25面【こちら特報部】)


要するに、与野党の議員連盟「修復腎移植を考える超党派の会」は、厚労省と学会に対して、「超党派議連の見解案」を踏まえたうえでの再検討を要求しているのです。すなわち、超党派議連としては、「学会や厚労省の状況を見て、立法化を検討したらどうか」とか、「学会や厚労省と話をし、選択肢として議員立法や(政府提案の)閣法にするかを検討する」という主張なのです。

ところが、日本移植学会は、「超党派議連の見解案」を否定するような簡単な記者会見を行っているだけですし、厚労省も正式な再検討を行ったとの形跡がありません。いわば、超党派議連の見解案を無視している状況です。このように、厚労省と学会が「超党派議連の見解案」を無視したまま、宇和島徳洲会病院と万波医師らへの行政処分手続きを進めることは、それこそ、超党派議連は、「厚労省と学会は、ドナー不足という現状を無視した不誠実な態度である」と激しく批判し、「病気腎移植容認」の立法化を進めることになります。

こうなると、「超党派議連の見解案」を無視したままでは、「病気腎移植容認」の立法化を促進しかねないのですから、行政処分手続きを進めることは困難であるように思えます。



(2) もう1つは、強引に処分手続きを進めたとしても処分が無効になりかねない点です。

  イ 「病気腎移植「処分」、反撃に遭って聴聞延期に~保険医療機関や保険医の取り消しは“死刑”に等しい(東京新聞2月26日付「こちら特報部」)」(2008/02/26 [Tue] 22:49:15))で触れたように、病院側は、聴聞会の開催手続きについて、(1)聴聞会開催を知らせる通知書に具体的な違反事実が書かれていない、(2)認められていない厚生労働省の職員が立ち会っているという2点で、違法があると主張しているのです。


  ロ:また、肝心な点として、病院側が厚労省側(社会保険診療報酬支払基金)に対して、病気腎移植での保険適用の可否を問い合わせた結果、認めていた事実がある点です。

 「議連「修復腎移植を考える超党派の会」(会長:杉浦正健・元法相)は5月13日、衆議院第1議員会館で6回目の会議を開催、修復腎移植を容認する見解をまとめた。(中略)

保険医療機関指定取り消しなどの行政処分については、修復腎移植が保険で禁止されている特殊医療に該当しないことや、社会保険診療報酬支払基金などが、修復腎移植の説明を受けた上で審査を行い、保険適用を認めているなどの事実から、処分の理由が見当たらないと結論づけた。」(徳洲新聞2008年(平成20年)5/26 月曜日 NO.622)



厚労省は診療報酬の問題について、対象になっている移植の適用基準である「健腎」に、「病腎」は該当しないと説明しています。しかし、「40歳を過ぎたらほとんどの腎臓は傷んでいると聞く。純粋な健腎などないのではないか」(杉浦衆院議員)、「全国の病院で修復された腎臓が多数移植されている。これは健腎でいいのか。健腎であるかそうでないかを誰が決めるのか。そもそもこれまで保険診療として認めてきておいて、“後出しじゃんけん”で処分するのはおかしい」(衛藤参院議員)というように批判が強いのです(徳洲新聞2008年(平成20年)3/10 月曜日 NO.611)。

こうした理由から、「超党派議連の見解案」は、「処分の理由が見当たらない」としているのです。


  ハ:このように、処分手続きに瑕疵があり、「処分の理由が見当たらない」ようでは、訴訟になることは必至であり、処分は無効であるという結果が出る可能性は大きいとさえいえるのです。




3.この修復(病気)腎移植問題については、いつも思うのですが、日本は極めて深刻なドナー不足という現状において、患者を救済するために最も現実的な方法である「修復(病気)腎移植」を、なぜ否定するのだろうかと。

別に、病気腎をもっている患者から腎臓を無理矢理摘出するのではなく、病気(修復)腎を嫌がる患者に同意なく移植するわけでもないのです。ドナー側が病気腎を捨てることに同意していることと、病気(修復)腎でも構わないというレシピエントであることが前提なのです。

(1) リチャード・ハワード元米国移植外科学会会長(フロリダ大学教授)が、超党派議連の国会議員に宛てたメッセージを一部引用しておきます。
 

 「現在、私はフロリダ州北部でフロリダ大学の教授と、死体ドナー(臓器提供者)から移植臓器を調達する機関「LifeQuest Organ Recovery Services」の医学ディレクターを務めています。以前は、同大学の移植ディレクターと米国移植外科学会会長も務めていました。

 昨年、われわれはこの地域(人口350万)で、132の死体ドナーから移植臓器を採取しました。これは日本の死体ドナー総数を上回っており、腎臓や肝臓、心臓、肺、膵臓、腸など救命のための臓器移植を350例実施することができました。

 米国の外科医は、昔から日本の外科医を尊敬しています。長年、内視鏡や肝臓外科などで非常に革新的な技術を開発してきたからです。

 生体肝移植でも日本は医学界をリードしており、その技術は世界で活用されています。ところが、死体ドナーからの移植では、他国よりずいぶん遅れているように思われます。

 これは“死”に対する見方の文化的な違いが、理由の一つかもしれません。しかし、日本でも脳死や心臓死のドナーからの臓器移植は認められており、死体臓器移植の拡大を妨げる根本的な相違はないと思われます。

 ごくわずかの死体臓器移植を除き、日本では親族からしか臓器提供を受けられません。心臓移植では、この方法も利用できません。政府の基本的な役割の一つは、国民の生命を守ることです。これは、救命のための臓器移植も含んでいます。

 藤田助教授のデータでは、先進国の中で日本が最も透析患者さんが多く、腎移植を受けて生存している患者さんの数は最下位。腎移植は患者さんの生命を救い、透析治療より少ない費用で済むのです。

 私は、日本国内で万波誠医師のレストア腎移植を巡り、激しい論争が起きていることを知りました。万波医師と同じレストア腎移植は、オーストラリアのデビッド・ニコル医師やアメリカなどの医師も手がけています。万波医師の行ってきたことは、革新的だと賞賛すべきものです。

 日本政府は、患者さんにとって最善の措置を講じるべきです。特定の個人・グループの利益や特権を保護するために、それが妨げられることを許してはなりません。

 藤田助教授が皆さんに提言した、ドナー拡大策としてアメリカで行われている「高齢者の方や感染症のあるドナーの活用」や「ドナーへの経済的な支援」、「より適合性を高めるためのドナー交換」などを日本でも実施すべきだと、私は確信しています。

 これらの実行は容易なことでなく、急激な進展はないかもしれません。しかし、移植を増やして国民のニーズを満たすには、実行するしかないのです。」




(2) 日本移植学会は、臓器移植法を改正するのが先決だと言います。しかし、一体何時まで臓器移植法の改正を待てばいいのでしょうか。もう改正することなく10年経過しており、臨時国会も冒頭で衆議院を解散する可能性もあるのですから。

たとえ臓器移植法を改正できたとしても、死体腎移植の待機期間は16年という極めて深刻なドナー不足の現状を、米国並みの待機期間にするほどに、劇的に解消することは困難です。日米では、「“死”に対する見方の文化的な違い」があるのですから。

しかも、日本移植学会の大島伸一氏は、修復腎移植全面禁止をもくろんで、国会議員を排除する動きにさえ出ています(「日本学術会議提言、病気腎移植(+政治家排除)と代理出産禁止を目的とした新組織設置を~日本学術会議(大島伸一氏)は、「国民の代表者である国会議員を排除すること」が妥当だと思ってるのか?」(2008/08/11 [Mon] 23:59:46)参照)。

極めて深刻なドナー不足解消のためには、発想の転換が求められ、多方面にわたる立法整備が必要となるのですから、修復腎移植の妥当性を含めて、立法を担当者する国会議員が深く関わることは、国民主権の下では、当然の行動です。それなのに、大島伸一氏が政治家の排除を公然と主張しているのですから、大島氏の言動は、国民主権原理、生存権(憲法25条)に反する言動であって、極めて妥当でないのです。

大島伸一氏が平然と憲法違反の行動にまで出るようでは、もはや、政治主導で決着を図るしかないようです。リチャード・ハワード元米国移植外科学会会長が述べるように、患者救済の見地から、「日本政府は、患者さんにとって最善の措置を講じるべき」時にきているようです。



<9月23日付追記>

厚生労働省の「閣議後記者会見概要」(H20.05.16(金)09:15~09:26 ぶら下がり)から、抜粋。

「(記者)
病気腎移植について議員連盟が病気腎移植を認めても良いのではないかという内容と万波医師の処分について処分する理由が認められないというような報告書をまとめて厚生労働省に提出したと思うのですが。

(大臣)
これは私もお会いしてお話を聞いています。ただ、お医者さんの専門家は、例えば、病気の腎を移植することはけしからんという方々もおられます。ですから、何が本当に正しいのか、それはやはり政治的に動かせる問題と医学の専門領域の問題がありますから、これはもう少しよく議論をしてと思っておりますので、万波医師の件もこれまで取り扱われた症例がどうであるかということを検討し、医学界の専門家の方、こういう方とも議論しながら、そしてまた片一方で議員連盟の方々の意見もあるということで少し時間をかけてどういう形で結論が出せるか検討していきたいと思います。」



これ以降、厚生労働大臣による発言がないので、いまだ厚生労働省は、病気腎移植の是非については「少し時間をかけてどういう形で結論が出せるか検討」していることになります。処分後に異なる結論を出すわけにはいかないですから、行政処分は厚労省の結論待ちとなります。

そうすると、「10月1日に組織改編」が終わった後も(10月に社会保険庁解体の一環で処分権限が同事務局から四国厚生支局(高松市)に移管)、四国厚生支局は、事実上、処分手続きを進めることはできないことになるでしょう。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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処分手続は中止すべき 最近、修復腎移植に関するニュースが新聞やテレビであまり取り上げられなくなりましたが、久しぶりに、共同通信が、9月8日月曜日に下記の報道を伝えました。 新聞報道等は、物事の進展とか、新たな事実が判明したときに報道されるのが通常ですが、...
2008/09/12(金) 10:02:27 | 修復腎移植推進・万波誠医師を支援します
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