FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
08« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30.»10
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2008/09/02 [Tue] 23:58:57 » E d i t
福田康夫首相(72)=自民党総裁=は9月1日夜(9時半)、首相官邸で緊急に記者会見し「新しい布陣で政策実現を図っていかなければならないと判断し、辞任することを決意した」と表明しました。8月の内閣改造も政権浮揚には結び付かず、昨年9月末の内閣発足後、わずか11カ月で退陣となりました。

福田首相が夜9時半から、緊急記者会見を行うとの報道を聞いて、「衆議院の解散」を宣言するのかと予想していたのですが、唐突な首相辞任表明だったのです。9月12日から開始するはずだった臨時国会はどうするのでしょうか。1ヶ月前の内閣改造は何だったのでしょうか(「福田改造内閣が発足~小泉路線にピリオドをうったが、代わり映えがしない閣僚ばかり……。」(2008/08/03 [Sun] 17:55:03))。1か月で改造内閣を放り投げてしまったのですから、「安心実現内閣」だと述べたことは、全くのウソだったのです。


 「あまりにも唐突に、福田首相が辞任を表明した。
 安倍前首相の突然の政権放り出しから、わずか1年足らず。自民党の首相が2代続けて自ら政権を投げ出すことになる。極めて異常、無責任としか言いようがない。野党第1党に政権を引き渡せという声が出ても不思議はない。それほどの事態だ。
 いま辞任すればそんな批判を浴びせられるであろうことは、首相も十分わかっていたはずだ。それなのになぜ、こんな決断を下したのか。 」(朝日新聞平成20年9月2日付「社説」)


安倍晋三前首相は、国会で所信表明演説を終えた直後の昨年9月12日、突如として辞任を表明して「政権投げ出し」を行ったために、「無責任」と批判を受けました(「安倍首相辞任~今、辞めるのは無責任すぎるが、そこまで病状悪化なのか……。」(2007/09/13 [Thu] 21:04:30)「安倍政権の成果を振り返る~“美しい国”理念、道半ばで終演」(2007/09/14 [Fri] 22:27:01))。

ですから、福田首相は、臨時国会直前での、1年足らずでの突然の政権投げ出しは、「無責任」との非難を受けることは分かっていたはずです。それなのに、またしても政権を投げ出したのですから、「政権投げ出し」は自民党の伝統芸能となったようです。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年9月2日付朝刊1面(13版)

福田首相辞任 国会運営手詰まり 2代続け政権放棄
2008年9月1日23時27分

 福田首相は1日夜、首相官邸で緊急に記者会見し、辞任する考えを表明した。衆院解散・総選挙の時期やインド洋での給油継続のための補給支援特措法の延長問題などをめぐって公明党との路線対立が露呈。対決姿勢を強める民主党との間で「ねじれ国会」を乗り切る展望が開けず、これ以上の政権維持は困難と判断した。昨年9月の就任から1年に満たない辞任表明。自民党は後継を選ぶ総裁選に入るが、麻生太郎幹事長が軸になるとみられる。首相は会見で「先の国会では民主党が重要案件の対応に応じず、国会の駆け引きで審議引き延ばしや審議拒否を行った」とし、「今度開かれる国会でこのようなことは決して起こってはならない。そのためにも体制を整えた上で国会に臨むべきだと考えた。新しい布陣のもとに政策の実現を図って参らないといけないと判断し、辞任を決意した」と理由を説明した。

 この時期の辞任表明については「国会の実質審議入りには時間がある、国民にも大きな迷惑がかからないと考え、この時期を選んだ。今が政治空白をつくらない一番いい時期だと判断した」と述べ、秋の臨時国会召集前に決断したことを強調した。

 公明党が年末年始の解散・総選挙を視野に補給支援特措法の再議決に難色を示し、経済政策でも赤字国債発行につながる可能性の高い定額減税を主張するなど、同党との距離が広がっていた。首相は「自公政権が順調にいけばいい。しかし、私の先を見通す、この目の中には決して順調ではない可能性がある。不測の事態に陥ってはいけないとも考えた」と語り、公明党とのすれ違いが辞任決断の背景にあることもにじませた。辞任を決断した時期については、総合経済対策のとりまとめを受けた先週末だったことも明らかにした。

 首相は、政治資金や年金記録問題、防衛省の不祥事などをあげ、「次から次へと積年の問題が顕在化し、その処理に忙殺された」と振りかえった。その一方で、道路特定財源の一般財源化や消費者庁設置構想など自らが手がけてきた政策を「だれも手を付けなかった国民目線での改革」と位置づけ、「最終決着はしていないが、方向性は打ち出せた」と述べた。

 福田首相は昨年9月、安倍前首相の突然の辞任を受けて首相に就任。「ねじれ国会」打開のため、民主党の小沢代表との大連立を狙ったが、小沢氏が民主党執行部の反対にあい、不調に終わった。

 補給支援特措法や、ガソリン税などの暫定税率を復活させた税制改正関連法などを成立させるため、衆院の3分の2による再可決に踏み切った。ただ、日本銀行総裁人事では迷走し、支持率も低迷。政権浮揚が期待された7月の北海道洞爺湖サミット後も支持率があがらず、与党内からも「福田首相の下では総選挙を戦えない」との声があがっていた。

 首相は局面を打開するため、先月2日に改造内閣を発足させたが、支持率は低迷。新内閣で起用した太田農水相に事務所費の問題が浮上するなど厳しい政権運営が続き、安倍前首相と同様に政権を途中で投げ出す形になった。

 首相は会見に先立ち、首相官邸で麻生太郎幹事長と会談し、自民党総裁選の準備に着手するよう指示した。同党はこれを受け、臨時国会前に総裁選を実施する。12日に予定されていた国会召集は先送りされる公算が大きい。新首相が選出されれば、新首相のもとで年内に解散・総選挙に踏み切る可能性も出てきた。

 福田首相は就任前の昨年9月の記者会見で、首相の「辞め方」について問われ、「出処進退はきちんとしなければいけない。総理大臣の場合は、日本全体のリーダーなので極めて重い」と述べたうえで「退陣の時期を決断するのは、大変重い決断だ。このことに、政治家はすべてを賭けてもいいと思っているくらいだ」と語っていた。」



(2) 朝日新聞平成20年9月2日付朝刊31面

会見の最後、首相怒り 記者質問に「あなたと違う」
2008年9月2日0時4分

 「『ひとごとのように』とあなたはおっしゃったけどね、私は自分自身のことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」。ふだん感情を表に出すことの少ない福田首相が、辞任会見の最後の質問で、珍しく気色ばんだ。

 この答えを引き出したのは中国新聞の男性記者。「総理の会見が国民にはひとごとのように聞こえる。辞任会見もそのような印象を持った」という質問だった。

 この記者は、朝日新聞の取材に「会見での首相の語り口を聞いていたら、まさに『ひとごと』という言葉通りだなと感じた」と明かす。首相の熱意のなさを批判する時にしばしば聞かれる「ひとごと」というキーワードを最後の最後にぶつけてみようと、あえて厳しい質問をしたという。

 この夜の会見で首相は、自身の不人気ぶりを自ら皮肉るように語った。国会運営の難しさを語る際には、「私の場合には内閣支持率の問題があるかもしれない」とあえて支持率に言及。消費者庁構想など成果を語る時も「目立たなかったかもしれないが……」とグチめいた口調だった。」



福田首相が「私は自分自身のことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」と述べたことで、印象的な記者会見となりました。

福田首相は、「新しい布陣のもとに政策の実現を図って参らないといけないと判断」したのですが、客観的にみれば「新しい布陣」になっても、今まで異なった国会審議になるわけがなく、今、政権を放り投げてしまえば、より野党が批判を行い、より自民党に対する不信感が生じてしまいます。

 「福田首相の1日夜の退陣表明は、政権の“後見役”である自民党の森元首相、青木幹雄・前参院議員会長らにも直前に電話で伝えただけの「たった一人の決断」だった。後継に最も近い位置にある麻生幹事長は「政権投げ出し」の悪印象を懸念して翻意を促したが、それも振り切っての表明だった。(中略)
 唐突感を抱いたのは、元首相の森喜朗、前参院議員会長の青木幹雄らも同様だった。福田から連絡を受けたのは記者会見の30分前。森は料亭で知人と酒を酌み交わしている最中だった。
 青木は周囲に漏らした。
 「福田さんは勘違いしている。新体制になっても、仁義なき戦いと割り切っている野党が態度を改めない限り、政権を取り巻く状況は変わらない。むしろ、政権を投げ出したイメージは、『麻生人気』ではカバーできないほど、深刻だ」
 福田は一夜明けた2日午前の自民党役員会で、辞任への理解を求めた。
 「急な話で大変お騒がせして申し訳ないが、ぜひ新しい総裁を選んでしっかりした体制を作ってほしい」
 自民党は「政権投げ出し」の逆風を、後継総裁選びでどこまで挽回(ばんかい)できるか。居並ぶ党幹部たちも、今は予測ができないに違いない。
( 2008年9月2日 読売新聞)」(読売新聞平成20年9月2日付夕刊1面)



この「政権投げ出し」のおかげで、総選挙になれば、自民党は壊滅的な大敗を喫する可能性が高くなりました。客観的に見れば、壊滅的な大敗の原因を作った張本人であるとの謗りを受けてしまうと判断できたはずです。「客観的に見ることできる」と豪語して見せても、それは福田首相の勝手な思い込みにすぎないように思うのです。



2.解説記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年9月2日付朝刊1面

野党に譲って民意を問え 編集委員・星浩
2008年9月2日3時1分

 1年前の安倍首相の辞任表明のリプレーを見ているかのようだ。安倍氏は自民党の若手を代表し、福田首相はベテラン・穏健派に推されたという違いはあったが、2人とも国政の難しい課題を抱えながら、あっさりと政権を放り投げてしまった。

 安倍氏は参院選で吹き荒れた年金問題や格差拡大への批判になすすべがなかった。福田氏は内閣を改造し、総合経済対策を決めた直後だが、政権浮揚とはほど遠かった。人材、政策を含め、この党の政権担当能力が衰弱していることを露呈した退陣劇である。

 次の総選挙での政権交代を狙う小沢民主党が、遮二無二福田政権への攻勢を強めているとはいえ、半世紀以上の政権運営の経験を持ち、しぶとさが身上のはずだったこの党としては、いかにもひ弱で無様な幕切れではないか。

 福田氏は記者会見で、民主党の攻勢が退陣の原因と語ったが、それは、福田氏自身も自民党も、政治の難局を切り開く地力に欠けていることを示しただけのことだ。

 福田氏は、辞任にあたって「国民のため」と強調していたが、自民党がいま、国民のためになすべきことは、自民党内の政権たらい回しではない。民主党に政権を譲り選挙管理内閣によって、衆院の解散・総選挙で民意を問うことである。国民の手に「大政奉還」して、新しい政治を築き上げる時だ。

 自民党が誕生する前の保守政治の歴史には、時の政権が行き詰まったら「憲政の常道」として、野党第1党に後を委ねる慣行が成立していた時期もある。

 国内では、年金、医療など社会保障の不備が明らかとなり、最近は物価高が追い打ちをかける。国外では北朝鮮の核問題が解けないままだ。ロシア・グルジア紛争など「新冷戦」の足音が聞こえる。日本の政治が足踏みしている余裕はない。小泉首相以来の「改革路線」をどう総括するのか、外交・安全保障の難題にどう取り組むのか。争点は山ほどある。政治は、真の再生に向けて動き出すべきである。」



1点のみ言及しておきます。

 「安倍氏は参院選で吹き荒れた年金問題や格差拡大への批判になすすべがなかった。福田氏は内閣を改造し、総合経済対策を決めた直後だが、政権浮揚とはほど遠かった。人材、政策を含め、この党の政権担当能力が衰弱していることを露呈した退陣劇である。
 次の総選挙での政権交代を狙う小沢民主党が、遮二無二福田政権への攻勢を強めているとはいえ、半世紀以上の政権運営の経験を持ち、しぶとさが身上のはずだったこの党としては、いかにもひ弱で無様な幕切れではないか。
 福田氏は記者会見で、民主党の攻勢が退陣の原因と語ったが、それは、福田氏自身も自民党も、政治の難局を切り開く地力に欠けていることを示しただけのことだ。」


福田氏は、安倍氏よりマシかと思えたのですが、福田氏も投げ出してしまいました。安倍氏の辞任表明も不可解でしたが、後で健康上の理由があったことが判明したため、まだ理由が付けられる辞任でした。しかし、福田氏の場合は健康上の理由もないのですから、安部氏よりも無責任だったというべきです。

福田氏は「記者会見で、民主党の攻勢が退陣の原因と語った」わけですが、(昔の野党はともかくとして)野党なんですから大人しく、自民党の言いなりになるはずがありません。福田氏が、ひ弱で「政治の難局を切り開く地力に欠けて」いたことを自ら暴露しただけだったのです。



(2) 東京新聞平成20年9月2日付朝刊1面

信認得ない政権のもろさ 政治部長・佐藤育男

 「ねじれ国会」の下で政策決定がままならないとはいえ、昨年9月の安倍晋三前首相に続く福田康夫首相の辞任表明。政治空白をつくらないためとして、臨時国会召集前のタイミングを選んだのだろうが、国民にはなぜ辞めるのか理解できないし、相次ぐ政権の投げ出しには無責任のそしりを免れない。

 確かに、福田首相は就任当初から、政治資金問題や年金記録不備問題など、前政権からの課題処理に忙殺された。事実上の「通年」となった国会でも、インド洋での海上自衛隊の給油活動再開のための新テロ対策特別措置法(給油新法)、ガソリン税の暫定税率を復活させるための税制改正法などで衆院の「3分の2」による再可決を多用せざるを得ないなど、厳しい運営を強いられた。

 福田首相は記者会見で、「審理引き延ばしや審議拒否の結果、決めるべきことがなかなか決まらない事態が生じた」と指摘。責任が野党にあるかのような嘆き節を繰り出したが、一国の最高責任者となるにはそれなりの覚悟と責任が求められる。首相就任前、「貧乏くじになるかもしれない」と言っていた福田首相には、資質が欠けていたと言われても仕方がないだろう。

 与党内で「福田首相では選挙が戦えない」との空気がまん延する中、臨時国会を前にして政権パートナーの公明党からさえ、総合経済対策などで無理難題を吹っかけられる。「新しい布陣の下で政策の実現を図っていくべきだと判断した」というものの、事に当たりたくともがんじがらめで身動きが取れなくなったといのが実情だろう。いずれにせよ、2005年9月の郵政選挙の小泉純一郎元首相以来、衆院選を経ずに2代の首相が政権を担当すること自体、不自然な事態といえる。やはり、国民の信任を得ていない政権のもろさを露呈したにほかならない。

 次期首相が最初に取り組むべきは、早期に衆院を解散して国民の判断を仰ぐこと。それが何より、福田首相が目指した「国民目線の政治」にもなろう。」



1点のみ言及しておきます。

 「福田首相は記者会見で、「審理引き延ばしや審議拒否の結果、決めるべきことがなかなか決まらない事態が生じた」と指摘。責任が野党にあるかのような嘆き節を繰り出したが、一国の最高責任者となるにはそれなりの覚悟と責任が求められる。首相就任前、「貧乏くじになるかもしれない」と言っていた福田首相には、資質が欠けていたと言われても仕方がないだろう。」


福田氏は、首相就任前に「貧乏くじになるかもしれない」と言っていたのですが、それは自負の表れ、福田氏一流のテレとも解釈できたのですが(毎日新聞平成20年9月2日付夕刊2面)、こうしてあっさり政権を投げ出してしまったのですから、間違っていたようです。福田氏の胸のうちは、おそらく「面倒くさくなったら、いつでも辞めればいいや」「そもそも政治家なんかになりたくなかったんだしね」という心情だったといえるでしょう(毎日新聞平成20年9月2日付夕刊2面)。首相として意気込みに欠けた人物は、最初から首相になるべきではなったのです。



(3) 読売新聞平成20年9月2日付朝刊

またしても政権投げ出し、政治の責任自覚せよ…読売政治部長

 またしても、政権が投げ出された。昨年の安倍前首相の辞任から1年もたっていない。舵(かじ)取り役が次々と姿を消していく日本政治の混迷ぶりは国民をあきれ果てさせるだけでなく、国際社会の不安も増幅させる。

 なぜこのタイミングなのか。8月に内閣改造を断行し、就任後初めて自前の内閣を作ったばかりだ。改造はこの体制でいずれ衆院解散に打って出るというメッセージと、多くの人が受け止めたはずだ。

 もっとも、冷静に分析すれば、とても首相の手で解散できるような状況ではなかった。内閣支持率は改造効果もなく低迷を続けた。自民党だけでなく連立相手の公明党からも「福田首相では選挙は戦えない」との声が半ば公然と聞かれるようになった。衆院議員の任期が残り約1年となる中、与党内の「福田離れ」が急速に進んでいた。

 辞任の理由について首相は、新しい体制での政策実現の必要性を強調した。確かに、政治空白を最小限に抑えるためには、臨時国会召集前のこの時期が最善だったのかも知れない。

 しかし、景気低迷をはじめ内外に難題山積の中での今回の辞任劇のダメージは計り知れない。

 「4年堅持できないような人は(首相に)ならないほうがいいです。1年間を全力投球でやりますなんて言う人は駄目ですよ」

 3年前に出版された対談本での首相の言葉だ。福田政権が1年と持たなかった今となっては、その言葉も空しい。昨年7月の参院選以来続く「ねじれ国会」の中で、日本政治の「失われた1年」が過ぎ、なお出口が見えてこない。

 後継首相が速やかな解散を迫られるのは間違いないが、野党第1党の民主党は選挙に追い込むことを最優先にして政策論議を拒否すべきではない。日本の針路を見すえた論議を真剣に戦わせるのが政党のあるべき姿だ。政治全体の責任が問われている。(政治部長・赤座弘一)

(2008年9月2日03時08分 読売新聞)」



1点のみ言及しておきます。

 「「4年堅持できないような人は(首相に)ならないほうがいいです。1年間を全力投球でやりますなんて言う人は駄目ですよ」
 3年前に出版された対談本での首相の言葉だ。福田政権が1年と持たなかった今となっては、その言葉も空しい。昨年7月の参院選以来続く「ねじれ国会」の中で、日本政治の「失われた1年」が過ぎ、なお出口が見えてこない。」


まさか、福田氏ご自身が、「4年堅持できないような人は(首相に)ならないほうがいい」と言っていたとは知りませんでした。思わず苦笑してしまう発言です。福田氏は、政権を投げ出すまでわずか11ヶ月の政権だったのですから、最初から首相になるべきではなかったのです。ご自身が述べているように。



(4) 毎日新聞平成20年9月2日付朝刊1面

福田首相:退陣表明 信念なき政治の漂流=政治部長・小松浩

 「出処進退」。昨年9月の福田康夫政権発足以来、常に脳裏に浮かんでいたのは、福田氏が自民党総裁選の候補者討論会で、政治指導者にとって最も大事なことは何かと聞かれた際に答えた、この一言だった。福田首相に改めて問いたい。出処進退とは、難局に当たって逃げ出すことだったのですか、と。

 1年前の9月、所信表明演説直後に政権を放り出した安倍晋三前首相に、世間は「あまりに無責任」と厳しい視線を向けた。それでも安倍氏には、大腸の病気による体調不良という、あえてみじめな姿をさらさざるを得ない事情があった。

 だが、福田氏の政権投げ出しは、ある意味で、安倍氏以上に無責任のそしりを免れまい。辞任理由に挙げた政治の駆け引きによる国会運営の行き詰まりは、政党政治においては、いわば茶飯事であろう。論議の空転が、そのまま指導者の退陣につながる例を、成熟した民主主義国家で見いだすことはむずかしい。

 「政治は可能性の芸術」と言われる。あらゆる政治決定は、敵対勢力との論戦・調整・妥協によって初めて可能になる。道路財源の一般財源化、消費者庁設置法など、福田氏は「国民目線」の改革に力を尽くしたと力説したが、本気でこうした政策を実現しようとする熱意を、我々は最後まで感じることができなかった。

 前任の安倍氏に続いて、時の政権担当者が2代続けてその座を放棄した淡泊さは、自民党がもはや、固い信念を持って国家を率いていこうとする指導者を持たず、ただ漂流するだけの現実をあからさまに物語る。

 自民党は、日米同盟に支えられた安全保障環境と、右肩上がりの経済成長下、パイの分配を采配(さいはい)する機能を果たすことで、長く政権を確保してきた。だが、国際政治も経済もそして国内社会の安定も、すべてが混とんとする中で、進むべき方向性を見失っているかのように見える。

 「上げ潮派」か、それとも「財政再建派」かの対立をはじめ、ねじれ国会だからこそ、論戦を深め、結論を出し、政権選択の機会を有権者に与える責務が政党にはある。与野党折衝どころか党内対立の前に立ちすくみ責任を放棄する政治に、国民は明日を託す気にはならないだろう。

 政治リーダーは平時型、乱世型、大乱世型に分かれると言ったのは、かつての金丸信元自民党副総裁だった。福田首相の唐突な政権放棄は、大乱世に平凡な調整型の常識人を選ばざるを得なかった自民党の悲劇であると同時に、そうしたリーダーしか持てない、国民の悲劇でもある。

毎日新聞 2008年9月2日 東京朝刊」



1点のみ言及しておきます。

 「福田氏の政権投げ出しは、ある意味で、安倍氏以上に無責任のそしりを免れまい。辞任理由に挙げた政治の駆け引きによる国会運営の行き詰まりは、政党政治においては、いわば茶飯事であろう。論議の空転が、そのまま指導者の退陣につながる例を、成熟した民主主義国家で見いだすことはむずかしい。
 「政治は可能性の芸術」と言われる。あらゆる政治決定は、敵対勢力との論戦・調整・妥協によって初めて可能になる。道路財源の一般財源化、消費者庁設置法など、福田氏は「国民目線」の改革に力を尽くしたと力説したが、本気でこうした政策を実現しようとする熱意を、我々は最後まで感じることができなかった。
 前任の安倍氏に続いて、時の政権担当者が2代続けてその座を放棄した淡泊さは、自民党がもはや、固い信念を持って国家を率いていこうとする指導者を持たず、ただ漂流するだけの現実をあからさまに物語る。」



「辞任理由に挙げた政治の駆け引きによる国会運営の行き詰まり」は、「政党政治においては、いわば茶飯事」のことなのであって、議会制民主主義における政治的な意思決定としては、各党に属する国会議員による論戦・調整・妥協がなされることでなされるのです。ですから、政治的意思決定は、スムーズに決定されないくらいの方が民主主義としては健全といえるのです。

このように、福田氏が挙げた辞任理由は、民主主義社会では理由にならないのです。実に不可解な辞任であり、こうした議会制民主主義の理解に欠けた者しか指導者(総裁)とすることができないのが、今の自民党のようです。安倍氏に続いての無責任な辞任をも考慮すれば、自民党自体に終わりが来たように思います。




4.福田氏が政権を投げ出してしまった以上、今後のことに目を向けるしかありません。

(1) まずは、今後の経済政策・社会保障政策をどうするのかです。

  イ:朝日新聞平成20年9月2日付朝刊6面

経済対策・消費者庁…政策課題積み残し
2008年9月2日0時56分
  
 福田首相が突然辞意を表明したことで、経済政策の行方も見えなくなった。先月末に決まったばかりの総合経済対策をどう実行するのか。首相が「方向性を打ち出せた」という道路特定財源の一般財源化や消費者庁の設置も、道半ばだ。社会保障財源に必要な消費増税など多くの課題は積み残された。福田首相の退陣は、小泉政権以来の構造改革路線の転換点になる可能性もある。

 政府は8月29日、景気後退に対応するため、事業規模11.7兆円、08年度補正予算での財政支出1.8兆円の総合経済対策を決定。福田首相も補正編成を指示した。

 編成作業を本格化させた矢先の辞意表明に、財務省幹部も「これからどうなるのか、全く見当もつかない」と戸惑いを見せた。 (中略)

 1日の記者会見で首相が「方向性を打ち出した」と掲げた道路特定財源の一般財源化も、最終的な決着はついていない。ガソリン税などが自動的に道路整備費に回る仕組みをなくし、ほかの政策に使えるように改める方針だが、どれだけ道路予算を削減して他分野に回すかは年末の予算編成に先送りされた。首相は今春、与党の抵抗を押し切る形で打ち出しただけに、今後、自民党道路族などの巻き返しが強まれば、一般財源化は一気に後退する。 (中略)

     ◇

 社会保障政策では、福田首相は自らの指示で「五つの安心プラン」を策定し、高齢者対策や医師不足、非正規雇用などの緊急課題に積極的に取り組む姿勢を示していた。ただ、5年間で1.1兆円の社会保障費抑制目標についても、09年度分の2200億円はめどがたっていない。

 個別分野でも課題は山積だ。09年度から実施が決まっている基礎年金の国庫負担引き上げには2.3兆円の財源が必要だが、「本命」とされる消費増税への道筋も示せずにいる。政府・与党は秋から消費税など税制抜本改革の検討を進める方針で、今週には自民党税制調査会の会合も予定されていた。政府内では「政治的空白が生じれば国民に負担増を求める議論はできない」との見方が強い。

 医師不足や救急医療の問題では、6月に医師抑制策を転換し、来年度から医学部定員を過去最大の8300人程度まで増やすことを決めたが、具体策は今後議論することになっていた。

 雇用分野では、ワーキングプア(働く貧困層)対策として首相自らが早期実施を指示した労働者派遣法改正案は、厚労省は臨時国会で10月中の提出を目指していたが、国会情勢次第ではその努力が無駄になりかねない。

 福田首相が意欲を燃やしてきた「消費者庁」の設置も、危ぶまれている。

 今月開会予定の臨時国会に消費者庁設置法案を提出する準備を進めていたが、8月下旬、民主党が各省庁から独立した「消費者権利院」を設置する対案の要綱を発表。法案成立には衆議院での再可決も必要な局面となることも想定されていたが、公明党は再可決には消極的とみられる。」



  ロ:これらの経済政策・社会保障政策の行方としては、次の政権でも基本的に維持するのでしょう。もっとも、2代続けての政権投げ出しによって、自民党の壊滅的大敗となる可能性が高くなったのですから、これらの政策が維持されるのは(自公政権が維持でてきている)総選挙までです。



  (2) これから自民党は、すぐに自民党総裁選挙を行います。安倍氏の辞任のときのように、今回も2週間くらいで総裁選を行い、すぐに特別国会を召集し、首班指名を受けて組閣をすることになり、その後、改めて臨時国会を召集することになります。衆院選の日程としては、10月とか12月とか推測されているようです。

自民党総裁選でどんなに派手に選挙戦を行うとしても、仮に麻生氏が総裁になろうとも、誰がなろうとも、衆院選までの単なるコップの中のくだらない争いにすぎません。2代続けて「無責任政権」を作った自民党自体が根本的な元凶なのであって、もはや政権担当能力が皆無なのですから。もはや総選挙、その後の民主党を中心とした政権の行方のほうを考えたほうがよいと思えます。

衆院選で民主党などの野党側が過半数を占めれば、直近の民意は衆参両院で民主党などの野党を支持したことになりますから、「ねじれ国会」も解消され、福田政権のように3分の2で再可決する必要もありません。民主党を中心とした政権となれば、自民党が背負ってきた積年のしがらみからも逃れることができるのです。自民党の壊滅的大敗こそ、日本の政治状況・社会保障のあり方を良い方向へ変えていく可能性を秘めているように思えます。



(3) 再び、福田氏による緊急記者会見での最後の発言を引用しておきます。

「『ひとごとのように』とあなたはおっしゃったけどね、私は自分自身のことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」


「あたなとは違う」と誇って見せても、今やっていることは「無責任な政権投げ出し会見」なのです。72歳にもなって、ただキレたような発言をして辞任会見が終わったのです。

首相としての辞任会見での発言が、本当にこれで良かったのでしょうか。この会見での、こんなにも情けない発言部分が今後一生涯どころか、将来、こういう発言をして「政権投げ出し会見」をしたとして永久に記録されるのですから。これでは、到底、「自分自身のことは客観的に」見ているとは思えません。

年金問題も「公約批判だなんて大げさすぎる」と述べるなど、何事にも他人事であって、「面倒くさくなったら、いつでも辞めればいいや」という、安倍氏以上に首相としての資質がない人物が首相に就任したこと自体、つくづく虚しい思いになります。こんな愚かしい政治状況から、脱却するためにも、直ちに総選挙を行うべきです。総選挙を経ない3代連続の政権誕生は、あまりにも民意を反映しないものなのですから。


テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

政治問題 *  TB: 3  *  CM: 0  * top △ 
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/1362-d91ae1d2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
池袋の私書箱の紹介です
2008/09/03(水) 13:33:13 | 激安!池袋の私書箱新規オープンです
最新の記事一覧・・・7月分はコチラ 8月分は、コチラ  福田首相が、昨日1日夜、いきなり辞任表明の会見を行なった。  昨日、「9月から本格的に政界が動き出しそうだから、目が離せない ぞ~」という記事を書いたばかりだったのに・・・。  でもって、昨...
2008/09/04(木) 01:11:31 | 日本がアブナイ!
???????キタ(゚゚)!!
2008/09/05(金) 10:53:43 | ?????
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。