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2006/08/24 [Thu] 22:35:50 » E d i t
毎日新聞(平成18年8月22日付朝刊)に、加藤紘一議員が自民党総裁選について語った記事がでていましたので、紹介したいと思います。


1.毎日新聞(平成18年8月22日付朝刊5面)

語る:06総裁選 加藤紘一・自民元幹事長

 ◇「靖国」それでも争点

 --8月15日に小泉純一郎首相が靖国神社を参拝し、批判した加藤さんの実家と事務所が放火される事件が起きました。

 ◆放火した人にどういう組織的背景があるのか、単独なのか分からないが、最近の過剰なナショナリズムというムードの中で起こった話だと思う。世の中、何となく発言しにくい社会になっている。しかし私は発言を変えるつもりはありません。

 --発言は続けますか。

 ◆はい。こういう事件はあったが、靖国参拝は問題だと思うので今まで通り発言していきます。

 --アジア外交で安倍晋三官房長官と立場が異なる勢力も含め圧倒的に安倍氏支持となった総裁選の現状をどう見ますか。

 ◆自民党は右から左まで幅広い意見をそろえて過半数を従来維持してきた。国論を二分するような活発な議論があってこその自民党なので、政策の意見が一方に傾くのは今後の各種選挙への影響の上で心配です。

 --「反安倍」になりにくい雰囲気が党内にあるのではないですか。

 ◆とりあえずは総裁選後の組閣が気になるので優位な安倍氏に流れていると思うんですよね。人事が終われば、ある種の呪縛から離れて自由に議論するようになると思うが、誰が幹事長になるかで(郵政選挙のように)公認権で不利に扱われたり、自分の選挙区に刺客が来るかもとの思いは皆、心のどこかにあるんです。今は負けると分かって政策論争をする候補者がいても、応援する側が尻込みする感じです。湿った薪に火がつかない。

 --本来は何が問われるべきだったのですか。

 ◆アジア外交が問われるべきだった。靖国問題で特に中韓関係が崩れたわけだから。小泉さんの参拝は文学的で直感的だが、安倍氏は東京裁判には否定的で、より信念的です。東京裁判は米国主導でやった裁判だから、学者ならいいんですけど、首相がこれを言うのは日米関係への影響を考えないといけない。

 --小泉首相の6回の靖国参拝は、安倍さんにどう影響すると思いますか。

 ◆小泉さんより後退することはできなくなるんじゃないでしょうか。安倍氏の方が本質的には主張がきついので、心配ですね。

 --かつて同志だった谷垣禎一財務相への対応はどうしますか。

 ◆考えは近いので頑張ってもらいたいと思っていますが、まず推薦人20人を自分でしっかり集める力強さはないといけない。達成できると思っているが、最後の段階でどうしても足りないという時には考えます。

 --自民党の山崎拓前副総裁らとアジア外交の研究会を結成する狙いは何ですか。

 ◆福田康夫元官房長官の不出馬で総裁選でのアジア外交論議が急激に力を失った。安倍氏が有利だと十分分かっているんですが、だからこそ総裁選後にアジア外交を論ずる一定の仲間を作ることがこの国のために必要だと思います。【聞き手・田所柳子】

毎日新聞 2006年8月22日 東京朝刊」



2.加藤紘一議員による長いコメントです。色々とコメントすることがあるとは思いますが、幾つかの点のみ触れてみます。

(1) 

「--発言は続けますか。

 ◆はい。こういう事件はあったが、靖国参拝は問題だと思うので今まで通り発言していきます。」


今後も、暴力に怯むことなく靖国問題について活発に発言して欲しいと思います。加藤議員が発言すれば、ここのブログでも積極的に紹介したいと思います。

奥野誠亮元法相(93)も、朝日新聞の記者に対して「朝日新聞と私は見解を異にする。だが、意見が違っても自由に物を言い合うことが大事だ。言論を封じるのは絶対にダメだ」と答えています(朝日新聞8月22日付朝刊11面「政態拝見(星浩・編集委員):『靖国』8・15 活発な発信こそ暴力への反撃」より)。

首相の靖国参拝を一貫して支持し、中国などの対応を批判してきた奥野誠亮元法相も、この事件に対して批判的なようです。政界を引退してもなお、国会議員としてあるべき態度を示しています。


(2) 

「--「反安倍」になりにくい雰囲気が党内にあるのではないですか。

 ◆とりあえずは総裁選後の組閣が気になるので優位な安倍氏に流れていると思うんですよね。人事が終われば、ある種の呪縛から離れて自由に議論するようになると思うが、誰が幹事長になるかで(郵政選挙のように)公認権で不利に扱われたり、自分の選挙区に刺客が来るかもとの思いは皆、心のどこかにあるんです。今は負けると分かって政策論争をする候補者がいても、応援する側が尻込みする感じです。湿った薪に火がつかない。」


安倍氏はミニ小泉的発言をしていることから、批判的な自民党議員に対しては、総裁選後安倍氏も小泉首相と同じことをするのではないかと、容易に想像できます。郵政選挙では、造反組は公認されず引退に追い込まれたり、刺客を送り込まれ、郵政造反組で当選した議員はわずかでしたし、苦労して当選しても自民党を離党することになりました。ここまで反対する立場を徹底して排斥する行動に出た“小泉首相の実績”がある以上、安倍氏以外の候補者を「応援する側が尻込みする」のは当然でしょう。

「加藤紘一議員の実家放火事件~「加藤氏実家火災から1週間」の現在、殆ど何も反応しない政府・与党」で紹介した、北海道新聞や東京新聞の記事でも「安倍晋三氏の陣営にともかく加わっておかないとバスに乗り遅れる、逡巡(しゅんじゅん)すれば冷や飯を食う」と書かれていたように、物言えぬ状況にあることは、誰もが分かっていることのようです。

「表現の自由を支える伝統的な根拠論として、『思想の自由市場』という考え方が、J・ミルトンの『アレオパジチカ』(1644年)にはじまり、アメリカでホームズ裁判官の意見などに受け継がれて、確立されてきている。つまり、言論の自由な競争の中でこそ真理が勝利しうる、という考え方である。」(浜田純一「表現の自由の保障根拠」憲法の争点(第3版)94頁)


暴力により、首相の靖国参拝批判の言論が萎縮してしまうようでは、到底、真理への到達はできなくなってしまいます。表現の自由(憲法21条)の大切さについて、強く意識しておくべきだと思います。




3.東京新聞が行った「政治ネットモニター調査」東京新聞:8月23日付朝刊参照)によると、

名乗り上げていないのに… 加藤紘一氏に支持も

 今回のネットモニター調査は、支持する総裁候補の選択肢として安倍、谷垣、麻生の三氏に加え『その他』を提示。『その他』と答えた人には、具体名を聞いた。

 その中で、突出して多かったのは加藤紘一元幹事長。今回の総裁選には一度も出馬意欲をみせていないにもかかわらず、全体の3.5%の支持を集めた。

 加藤氏は15日、山形県の実家が放火とみられる火事で全焼。小泉首相の靖国参拝を批判していたこととの関連も取りざたされている。しかし加藤氏は、その後、ひるまずに首相の靖国参拝への懸念を訴え続けている。そのような姿勢に好感を持っている国民も少なくないようだ。」

と出ています。
この世論調査の結果からすると、暴力に怯むことのない加藤氏を評価する国民が、かなりいることが分かります。加藤氏を評価する国民が増えることこそ、言論に対する暴力を追放し、特に国会議員の言論に対する暴力を追放することに繋がるのだと思います。

テーマ:時事 - ジャンル:政治・経済

事件 *  TB: 3  *  CM: 4  * top △ 
コメント
この記事へのコメント
加藤氏
彼が自民党の中枢にいた頃は中高生だったので、あの顔が冷たい感じだ、と嫌いでしたが^^;今はもちろんそうではありません。

極右の発想法に関しては鈴木邦男(一水会)というひとがいろいろ書いていますので、もしご覧になっていなかったら、どうぞ。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/2207/2006/shuchou0828.html

昭和38年の河野一郎宅放火事件での犯人を美化している感があるのは感心しませんけどね。ただ今回の事件には相当の憤りがあるようです。

2006/09/07 Thu 13:03:54
URL | kawahara #NYhldUz6[ 編集 ]
>kawaharaさん
>極右の発想法に関しては鈴木邦男(一水会)というひとがいろいろ
>書いていますので、もしご覧になっていなかったら、どうぞ

鈴木邦男さんのHPがあったとは知りませんでした。情報ありがとうございます。

>昭和38年の河野一郎宅放火事件での犯人を美化している感があるのは
>感心しませんけどね
鈴木邦男さんの文章は、冗談を入れながら書いていたりするので、どこまで本気か分からないことも。美化している感があるのは右翼の人への配慮でしょうか(^^ゞ

>今回の事件には相当の憤りがあるようです
真っ当な右翼の人なら非難するのでしょう。鈴木邦男さんがわざわざ「加藤さんは愛国者なのに」と書いているのも、加藤議員への放火を肯定する一部の右翼の人へのメッセージですね。

加藤氏への放火問題は、もっと触れようと思っていましたが、「坂東氏の子猫殺し」と重なってしまって。個人的にはかなり残念です。
2006/09/08 Fri 08:44:35
URL | 春霞 #eJ42Lz8A[ 編集 ]
心底からの怒りです。
 どうして、こんなことを繰り返すのか。勃然たる怒りがこみ上げてきます。すみません、二つもTBしちゃいました。
 すみません。もう一つ、少年法の少年院送致年齢引き下げ、恐ろしいです。
2007/04/19 Thu 10:49:06
URL | ゆうこ #mQop/nM.[ 編集 ]
>ゆうこさん
コメントとTB、ありがとうございます。エントリーが遅くなってしまってすみません。


>こんなことを繰り返すのか。勃然たる怒りがこみ上げてきます。
>すみません、二つもTBしちゃいました。

今回の伊藤・長崎市長に対する銃撃は見せしめなのでしょう。こういうことは絶対に許されないという声をあげることは重要です。


>少年法の少年院送致年齢引き下げ、恐ろしいです

犯罪の低年齢化が目立ってきているというのが引き下げ理由なのでしょう。安倍首相の発言によると、小学生を少年院に入れる可能性があるようですが……。かえって悪い影響を受けてしまうことはないのか、暗示誘導を受けてしまう点をどうするのかとか(冤罪の危険性)、問題がありますね。
2007/04/19 Thu 23:15:57
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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