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2008/08/30 [Sat] 16:53:48 » E d i t
毎日新聞平成20年8月8日付朝刊6面「論点」において、「時効制度の是非を考える」という表題で、「刑事訴訟法を改正して、少なくとも殺人罪に関する公訴時効制度を廃止するべきか?」について、3人の論者に論じてもらっていました。

■編集部から■

 殺人の時効をなくすべきだと考える人が、毎日新聞の世論調査で77%にのぼりました。DNA鑑定の制度が上がり、「証拠の散逸」を制度の理由にするのが難しくなったことなどが背景です。現行制度と時効の存在意義に疑問を持つ世論とのずれをどう考えるべきでしょうか。この欄へのご意見は東京本社編集局の「論点」編集部へ、郵便またはメール(中略)でお願いします。」(毎日新聞平成20年8月8日付朝刊6面)




毎日新聞平成20年8月8日付朝刊6面「論点」は、毎日新聞が行っている、「殺人罪の時効廃止推進運動」のまとめといえるものです。そこで、この記事を読んでおくことは意味があると思いますので、紹介しておくことにします。



1.毎日新聞平成20年8月8日付朝刊6面「論点:時効制度の是非を考える」

(1) 殺人の公訴時効存続の立場

被告を守るために必要  04年刑訴法改正の効果見極めて議論を 証人らの記憶薄れて被告弁護が困難に

 時効制度について議論するのは時期尚早だ。04年に刑事訴訟法が改正され、殺人罪の時効も15年から25年に延長されたばかりだ。その効果を見極めてからでも遅くはない。

 改正では、犯罪被害者らの権利が大幅に拡充された。刑事裁判への参加制度が導入され、殺人や強姦(ごうかん)などの重大犯罪について被害者らは検察官の隣に座り、意見陳述のために必要な質問を被告に対して行い、量刑に関する意見を述べることが可能になった。また、有罪判決が出た後に、同じ裁判官が迅速な審理で民事の損害賠償命令を出せる制度もできた。さらに、犯罪被害者等給付金支給法も改正され、自賠責保険金並みの給付も受けられるようになった。これらによって被害者や遺族への補償や心理的な手当てがなされることが期待されている。

 殺人の時効が10年間延びたことで検挙率が上がり、迷宮入りの事件が減るのかどうかの検証なしに「犯罪被害者のために」という錦の御旗(みはた)で時効をなくそうとするのは行き過ぎだ。

 刑事事件に時効があるように、民事事件にも時効(不法行為の損害賠償請求は20年)はある。共通しているのは、一定期間継続した状態を尊重しようという考え方だ。

 罪を犯した人は、逮捕されていなくても罪を背負い、誰ともオープンな付き合いができないまま日陰で生きている。人生をかけて罪を償っている者もおり、逃亡中に周囲の人と築き上げた生活もある。そこに「50年前に人を殺した」と法廷に引っ張り出して罪に問わなければいけない必然性はあるのだろうか。確かに被害者の遺族からみると決して許すことができない存在かもしれない。しかし社会的にみるとどうだろうか。犯行から時間が経過すると国民の間にも「処罰してほしい」という感情は薄れていく。

 何よりも、弁護士の立場からすれば、時効は被疑者・被告の防御権の行使という観点からも必要な制度である。仮に数十年前の事件であっても、検察側はDNA鑑定等の科学技術を駆使して被告の犯行を裏付けて起訴することが可能となった。しかし弁護側は違う。被告が自分が犯人ではないと主張しても、時間の経過によりアリバイ証人の確保が難しい上、証人がいたとしても記憶が薄れていることが多く、弁護活動を困難にする。仮に有利な証言が得られても、事件後すぐ証人の別内容の供述調書が取られていたとすれば、記憶が新しいとの理由でその調書が採用されやすくなり、より被告人の防御権が行使しにくくなる。

 時効をなくせば警察の負担も増加する。警察の捜査には限界があるため、時効がなくなったとしても解決できない可能性は残る。訪米では重罪を犯した人間と被害者らが直接に会話を交わし、事件に至った背景やお互いの事情を分かり合うことで犯罪者と被害者や遺族を心理的にケアする試みが始まっている。時効の撤廃を論じる以外にも、こうした犯罪被害者らの救済の手法を探ってもいいのではないか。
------------------------------------------------------------------
神 洋明――日本弁護士連合会 刑事法制委員長
じん・ひろあき 1949年生まれ。79年弁護士登録。00年度日弁連常務理事。04年の刑訴法改正に際し参院法務委員会で、参考人として反対意見を陳述。
------------------------------------------------------------------」



  イ:幾つかの点に触れていきます。1点目。

「何よりも、弁護士の立場からすれば、時効は被疑者・被告の防御権の行使という観点からも必要な制度である。(中略)被告が自分が犯人ではないと主張しても、時間の経過によりアリバイ証人の確保が難しい上、証人がいたとしても記憶が薄れていることが多く、弁護活動を困難にする。(中略)
 時効をなくせば警察の負担も増加する。警察の捜査には限界があるため、時効がなくなったとしても解決できない可能性は残る。」


殺人罪の公訴時効を廃止した点の最大の難点は、この2点でしょう。長期間経過した後の裁判は、被告人の防御が困難になり、適正な裁判にならないおそれがある点と、永遠に捜査し続ける必要性に迫られるために警察の負担が増加し、未解決事件の積み重ねにより、他の事件捜査にも支障をきたすという点です。ですから、殺人罪の公訴時効廃止を主張する側は、この2点を解消する手段を提示しなければならないということです。


  ロ:2点目。

「時効制度について議論するのは時期尚早だ。04年に刑事訴訟法が改正され、殺人罪の時効も15年から25年に延長されたばかりだ。その効果を見極めてからでも遅くはない。(中略)
 殺人の時効が10年間延びたことで検挙率が上がり、迷宮入りの事件が減るのかどうかの検証なしに「犯罪被害者のために」という錦の御旗(みはた)で時効をなくそうとするのは行き過ぎだ。」


議論することさえ、「時期尚早」といえるかは判断しにくいですが、殺人罪の公訴時効を25年に延長したのはつい最近です。ですから、こうした延長の効果は、まだ全く分からないわけです。まずはどれ程検挙率が上がったのか、統計的な検証をするべきだというのはごく真っ当な考えだと思います。検挙率の上昇と殺人罪の公訴時効を廃止した場合の難点との調整が必要だからです。



(2) 殺人の公訴時効廃止の立場

廃止して常に起訴を 人の調和を重視する島国ゆえに存在か 容疑者不詳の起訴へ刑事訴訟法改正も

 米国で殺人に時効がないのは、宗教的な理由がある。キリスト教社会では命の神のもので自分のものではない。命を奪うことは犯罪であると同時に神に対する罪で、他の犯罪とは重みが異なる。日本は宗教は違うが、命を奪う殺人事件の重大さ、遺族の悲しみを考えると、犯罪者が見つかり次第、いつでも訴追できるように時効は廃止すべきだ。

 人を殺したことにより、犯人は逃走中、ずっと良心の呵責(かしゃく)を感じ続け、それが十分な罰になるという意見があるが、罪の受け止め方は人によって異なる。例えば人殺しを職業にしているようなヒットマンや、マフィアが命の尊さを重く考えるか。むしろ犯罪者は公訴時効を計算に入れて犯罪を計画する。例えば15年間隠れる場所を探し、それを前提に犯行を計画するかもしれない。時効がなければそうした計画が成り立たない。

 日本人は比較的、過去のことを忘れやすく、それが時効制度の背景にあるという指摘があるが、島国であることが影響しているのではないか。島国で土地と人間の関係が強く、「村八分」という言葉が示すように、同じ土地で、同じ人たちと生きていくために、人間関係の調和を重視してきた。日本人が「過去を水に流す」という心情は、そうした環境の中で、人間同士、仲直りしなければいけなかった背景があるのではないか。

 私がかつて住んだミクロネシア連邦で、独立時に刑法制定過程を見る機会に恵まれた。連邦は、被害者が加害者を許せば、その事件は起訴できなくなる仕組みを作った。人口が少ない島で、お互い仲直りしなければならない事情があった。米国人の私の目から見ると違和感があったが、同じ島国ということで、昔の日本に通じるところがあるのではないかと感じている。

 また時効がなくなれば、警察、検察が怠慢になるという議論もあるが、自分が見る限り、日本の警察、検察は勤勉で、丁寧に仕事をしている印象を受ける。時効がないからと言って怠慢になるとは思えない。

 ただ、05年以降の発生事件で時効が15年から25年に延びたが、04年以前にも遡及(そきゅう)させてすべて25年にすることは反対だ。それは「実行の時に適法であった行為又(また)は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない」という事後法禁止を明記した憲法39条の違反になる。

 DNAなどを根拠に容疑者が分からないままでも、容疑者不詳のジョン・ドウ(「名無しの権兵衛」の意味)で起訴し、時効を停止させる米国の制度は、日本の現行法下ではすぐには無理だ。<1>刑事訴訟法256条にある「被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項」をどう解釈するか<2>刑事訴訟法271条に定められた被告人に起訴状を送達する手続きを取ることができるのか――などのハードルがあるからだ。しかし、DNAがあって、将来いつ犯人が特定されるか分からないという現状を考えると、ジョン・ドウ起訴も考慮すべきで、法改正が望ましい。
----------------------------------------------------------------------
ウイリアム・B・クリアリー――広島修道大教授・弁護士
William B.Cleary 1953年生まれ。米ニューヨーク、カリフォルニア州弁護士。83年日本政府奨学金留学生として来日。北海道大で法学博士号。
----------------------------------------------------------------------」



  イ:幾つかの点に触れていきます。1点目。

「米国で殺人に時効がないのは、宗教的な理由がある。キリスト教社会では命の神のもので自分のものではない。命を奪うことは犯罪であると同時に神に対する罪で、他の犯罪とは重みが異なる。」


殺人罪の公訴時効を廃止するだけの積極的根拠・背景は何か、という点です。米国では、「命を奪うことは犯罪であると同時に神に対する罪で、他の犯罪とは重みが異なる」という、積極的に処罰する理由があるからこそ、米国民は受け入れて納得できているわけです。これに対して、日本では、「DNA鑑定の精度がアップして犯人を特定しやすくなった」という消極的な理由では根拠に乏しいように思えます。また、「遺族の悲しみ」という理由も、殺人罪だけでなく、過失により命を奪う犯罪でも遺族の悲しみは同じですから、殺人罪のみの公訴時効を廃止する理由としては乏しいといえます。ですから、殺人罪の公訴時効廃止を主張する側は、殺人罪の公訴時効を廃止する積極的理由を提示する必要があると思います。


  ロ:2点目。

「日本人は比較的、過去のことを忘れやすく、それが時効制度の背景にあるという指摘があるが、島国であることが影響しているのではないか。島国で土地と人間の関係が強く、「村八分」という言葉が示すように、同じ土地で、同じ人たちと生きていくために、人間関係の調和を重視してきた。日本人が「過去を水に流す」という心情は、そうした環境の中で、人間同士、仲直りしなければいけなかった背景があるのではないか。」


「村八分」についての判例について触れておきます。いわゆる村八分とする旨の決議は、相手方の人格を蔑視し共同生活に適しない一種の劣等者として待遇しようとするものであるからその名誉を侵害し、また右決議を通告することは、将来引き続き不名誉な待遇をしようとする害悪の告知に当たり、脅迫罪(刑法222条)を構成するとするのが判例(大判昭9・3・5刑集13・213)です。今は、居住移転の自由があり、一定地域に固定化せざるを得ないことはなくなったので、「村八分」となることはほとんどなくなりました。何よりも、「村八分」は犯罪行為ですから、「村八分」を強調することには問題があるように思えます。


  ハ:3点目。

「05年以降の発生事件で時効が15年から25年に延びたが、04年以前にも遡及(そきゅう)させてすべて25年にすることは反対だ。それは「実行の時に適法であった行為又(また)は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない」という事後法禁止を明記した憲法39条の違反になる。」


この部分は、毎日新聞が行った世論調査と、毎日新聞が示したの見識の間違いを指摘した点です。

「刑事訴訟法が改正前にさかのぼって適用されないのは法律家の常識とされるが、「発生年で年数が違うのはおかしい」との声は、既成概念にとらわれない一般の疑問を表している。制度存在の是非に関する論議が望まれる。」(毎日新聞)



要するに、毎日新聞は、「遡及処罰の禁止の原則」という罪刑法定主義(憲法31条)の具体的内容の1つであり、遡及処罰の禁止(事後法の禁止)を明記した憲法39条は、「法律家の常識」という「既成概念」にとらわれたもので妥当でなく、少なくとも公訴時効期間については、「遡及処罰の禁止の原則」を無視すべきだという一般人の意識は妥当であると、説いているわけです。

「世論(毎日新聞調査)にしたがって殺人罪の時効を廃止すべきなのか?~殺人罪の公訴時効廃止の是非」(2008/07/17 [Thu] 22:17:59)でも指摘していますが、ウイリアム・B・クリアリー・広島修道大教授も指摘していることから分かるように、こうした毎日新聞の見識は、憲法上、絶対に認められないものです。単に見解の違いというものではないのです。毎日新聞は、憲法の基本的な理解さえも欠いていることが明白になりました。



(3) 殺人の公訴時効廃止の立場

「逃げ得」正義に反する 明治の制度は時代の変化で根拠薄れる 国民議論の盛り上がりが国会を動かす

 「人が殺される犯罪になぜ時効があるのか」という点について、これまで国会ではあまり論議がなされていなかった。しかし、仮に時効が成立した後に犯人が特定されたような場合、「時効だから裁けない」という論理を今どれだけの国民が納得できるだろうか。国民の感覚からみても殺人罪の時効はなくすべきだ。

 04年8月、26年前に行方不明になった東京都内の小学校の女性教諭(当時29歳)を殺害して自宅の床下に埋めたと元同小警備員の男が警察に出頭した。07年1月には、19年前に北九州市のタクシー会社の男性(同71歳)を殺害したとして指名手配されていた男が年金を受給しようと名乗り出たが、いずれも時効が成立しており罪には問われなかった。犯人が現れたにもかかわらず法が執行されない状態は、正義に反する。

 明治時代にできた公訴時効の制度は、国家に刑罰権があるという考え方を基本として、刑罰権の行使を法で制約する制度である。しかし公訴時効はもっぱら国の都合によって定められており、遺族の視点や被害者の権利・利益の保護という観点は盛り込まれていない。時効が存在する理由としては、時間の経過とともに証拠の収集が難しくなる▽犯人に対する社会や遺族の処罰感情が薄れる――があるが、こうした根拠は時代の変化とともに薄れてきている。

 DNA鑑定が進んだ結果、現場のわずかな痕跡からも犯人が特定できるようになり、証拠の問題はクリアされた。長寿社会で犯人も長生きし、再犯の危険性もある。時間がたっても遺族が逃げ続ける犯人を許すこともないだろう。

 さらに犯人が海外に逃げている場合は時効は停止するが、毎年千数百万人が海外渡航する時代に、犯人が海外にいるか国内にいるかで区別する合理性はなくなっている。「逃げ得」を許せば法の軽視にもつながる。

 とはいえ、すぐに法改正とはいかないだろう。たとえば、07年2月に納付者を確定できない国民年金や厚生年金の記録(いわゆる消えた年金)問題が発覚した際、年金の受給権が時効にかかって請求できなくなるケースが何十万件にも上ることが分かった。こうした不具合はすぐに直さないといけない。そこで消えた年金を取り戻すことができるように、議員立法で年金請求権の時効(5年)をなくす措置を取った。

 消えた年金問題と比べ、公訴時効の問題はまだ一般的な国民の関心の対象とはなっていない。しかし、過去5年間で時効を迎えた殺人事件は241件あるというし、もし犯人が名乗りをあげたらどうするかとう問題がある。他方、時効が目前に迫った殺人事件で、おそらく捜査機関が起訴を急いだ結果と思われるが、証拠不十分ということで無罪判決が出されたケースがあった。こうしたことが続くと司法に対する国民の信頼が地に落ちる。制度の不具合が国民の関心事となり、法を変えるべきだという議論が出てくると、国会は手をこまねいているわけにはいかなくなる。
-------------------------------------------------------------------
早川 忠孝――自民党犯罪被害者等基本計画PT座長
はやかわ・ちゅうこう 1945年生まれ。03年衆院選で初当選。衆院法務委理事、自民党犯罪被害者等基本計画の着実な推進を図るプロジェクトチーム座長。弁護士。
-------------------------------------------------------------------」



  イ:幾つかの点に触れていきます。1点目。

「仮に時効が成立した後に犯人が特定されたような場合、「時効だから裁けない」という論理を今どれだけの国民が納得できるだろうか。国民の感覚からみても殺人罪の時効はなくすべきだ。」


ここには、殺人罪の公訴時効廃止の理由がでています。要するに、「逃げ得を許さない」とか「国民の感覚」という感情論が廃止の理由であって、法改正の根拠となりうるような論理が理由ではないということです。


  ロ:2点目。

「さらに犯人が海外に逃げている場合は時効は停止するが、毎年千数百万人が海外渡航する時代に、犯人が海外にいるか国内にいるかで区別する合理性はなくなっている。」


この指摘は実に興味深いものです。さらっと書いているので、読み落としがちですが、要するに、「犯人が海外にいるか国内にいるかで区別する合理性はなくなっている」ので、現行刑事訴訟法のように、「犯人が海外に逃げている場合は時効は停止」する制度を廃止して、海外に逃げている場合も時効進行を認めるべきだということです。DNA鑑定の精度アップという現代的事情に忠実に合わせるのであれば、他の規定も改正するべきだということなのでしょう。

刑事訴訟法第二百五十五条  
1 犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。
2  犯人が国外にいること又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつたことの証明に必要な事項は、裁判所の規則でこれを定める。


この規定を見れば分かるように、この規定を廃止すればすべての犯罪において、犯人が海外逃亡すれば、日本の警察の目が届かなくても、時効は進行してしまうことなるわけです。もし、殺人罪の公訴時効を廃止したとしても、他のすべての犯罪について、海外逃亡すれば逮捕されない可能性が高まるのですから、刑訴法255条の廃止は、海外逃亡を奨励することになってしまいます。もっとも、そうした価値観も肯定する余地があるのでしょうが。早川議員自体がそう唱えるのですから。


  ハ:3点目。

「時効が目前に迫った殺人事件で、おそらく捜査機関が起訴を急いだ結果と思われるが、証拠不十分ということで無罪判決が出されたケースがあった。こうしたことが続くと司法に対する国民の信頼が地に落ちる。」


この記述はかなり妙です。「時効が目前に迫った殺人事件」ということは、15年近く捜査していたことになります。それなのに、「おそらく捜査機関が起訴を急いだ結果」というのであれば、どれ程長期の捜査期間を必要とするのでしょうか。それに、三審制を採用しているのですから、起訴を急いだとしても、起訴後に捜査をすればよいのであって、捜査をする時間がなかったとはいえません。

15年以上の捜査を経ても、「証拠不十分ということで無罪判決」となったのだから、本当の犯人だったのか否かは分かりませんが、「証拠裁判主義」(刑訴法317条)からして、受け入れるしかないのです。このように、証拠不十分で無罪となった事件は多数あるのですから、それをもって「司法に対する国民の信頼が地に落ちる」といのはあまりにも妙な言い分なのです。


  ニ:4点目。

「制度の不具合が国民の関心事となり、法を変えるべきだという議論が出てくると、国会は手をこまねいているわけにはいかなくなる。」


ここに国会議員としての意見が出ています。要するに、国民の側で「殺人罪の公訴時効を廃止せよ」という運動が巻き起こらない限り、国会議員としては積極的に殺人罪の公訴時効廃止のための改正をする予定はないということです。




2.「刑事訴訟法を改正して、少なくとも殺人罪に関する公訴時効制度を廃止するべきか?」については、すでに、「世論(毎日新聞調査)にしたがって殺人罪の時効を廃止すべきなのか?~殺人罪の公訴時効廃止の是非」(2008/07/17 [Thu] 22:17:59)において(コメント欄も含む)十分に論じていますので、特に、論じることはありません。

毎日新聞の一連の記事を読んで思うのですが、毎日新聞は、「遡及処罰の禁止」の原則(「罪刑法定主義」の一内容)という刑法の基本原則であり、憲法39条で明記している要請をどう考えているのでしょうか? 

被害者に寄り添う立場で記事にするのも結構なことだとは思います。ですが、感情論の赴くままに「「殺人罪の時効廃止推進運動」を行い、刑法の基本原則、憲法規定を堂々と無視する記事を書いたところで、公訴時効を廃止するような法改正は不可能です。

毎日新聞社自体が、公訴時効を廃止した場合の弊害を十分に理解し、公訴時効制度、刑法の基本原則や憲法規定を理解をしたうえで、「殺人罪の時効廃止推進運動」を記事にするべきではないでしょうか。法の基本原則、憲法規定を堂々と無視することを正当化する毎日新聞の見識こそが、公訴時効廃止運動にとっても、最大の問題であるように思います。


テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
一部疑問
初めまして、法学を勉強したことがある程度の者です。
疑問点が3点あります。
まず一つ目。
>「米国で殺人に時効がないのは、宗教的な理由がある。キリスト教社会では命の神のもので自分のものではない。命を奪うことは犯罪であると同時に神に対する罪で、他の犯罪とは重みが異なる。」

この一部を春霞さんも積極的理由として引用していますが、同じキリスト教社会の欧州(カソリックも多い)は、大陸法系でして、公訴時効制度があるはずです(その代わり、被告人不在でも起訴できる国もありますが)。
ということは、宗教的理由云々は、積極的理由にもならないと言えるのではないでしょうか。
このウイリアム・B・クリアリーという人は、アメリカ人によくありがちな自分中心の物の見方のような印象を受けました。
まさか、春霞さんは、その理由に納得していないと信じています。

二つ目。
>この規定を見れば分かるように、この規定を廃止すればすべての犯罪において、犯人が海外逃亡すれば、日本の警察の目が届かなくても、時効は進行してしまうことなるわけです。もし、殺人罪の公訴時効を廃止したとしても、他のすべての犯罪について、海外逃亡すれば逮捕されない可能性が高まるのですから、刑訴法255条の廃止は、海外逃亡を奨励することになってしまいます。もっとも、そうした価値観も肯定する余地があるのでしょうが。早川議員自体がそう唱えるのですから。

そう読むのでしょうか?
公訴時効制度を全部廃止すると、全部時効が進まないという結論になるのではないでしょうか。
仮に殺人などの重大犯罪だけだとしても、それについては、時効制度をなくするから停止もへったくれもないという結論ではないでしょうか?(平等の点に関する問題は別に置くとして)。

三つ目。
時効など、ある意味で処罰条件に類するものは罪刑法定主義に言う遡及処罰の禁止の対象には、 直 接 に は、 入らないという考えはないのでしょうか。(つまり、殺人自体はもともと刑罰規定があるので、規範に直面しています。あとは、それをどういう条件で訴追できるようにするかという刑事政策的なものと考えるとか)
もちろん、その意味(憲法の精神)を 尊 重 して、遡及させないほうがよいというのが法的な 思 考 又は 解 釈 として妥当ですが。
憲法39条には、文言上は、行為時に適法、無罪とされた行為について云々とだけあります。
だから、憲法上絶対に不可能、というのは言いすぎなような気がしました。

教えていただければ幸いです。
2008/08/31 Sun 19:08:46
URL | 検討師 #HJcl0C4c[ 編集 ]
法律的な議論は置いといて。
前もご紹介しましたけど、BS、CSで放映されている『コールドケース』を是非一度見てもらいたいですね。
ホントに感動出来る、アメリカの底力が感じられるドラマなのですよ。
2008/09/01 Mon 23:31:06
URL | rice_shower #UXr/yv2Y[ 編集 ]
「制度の不具合が国民の関心事となり、法を変え
るべきだという議論が出てくると、国会は手をこま
ねいているわけにはいかなくなる。」

ここに国会議員としての意見が出ています。要するに、国民の側で「殺人罪の公訴時効を廃止せよ」という運動が巻き起こらない限り、国会議員としては積極的に殺人罪の公訴時効廃止のための改正をする予定はないということです。


↑これはいくらなんでも曲解でしょう(笑)
普通の日本語力をもっている人間ならそうは読みませんよ
自分でも恣意的な解釈だと思いませんか?
2008/09/02 Tue 21:41:45
URL | TBN #-[ 編集 ]
>検討師さん:2008/08/31 Sun 19:08:46
はじめまして、コメントありがとうございます。


>同じキリスト教社会の欧州(カソリックも多い)は、大陸法系でして、公訴時効制度があるはずです(その代わり、被告人不在でも起訴できる国もありますが)。
>ということは、宗教的理由云々は、積極的理由にもならないと言えるのではないでしょうか

どういう宗教が背景にあろうと、各国の法制度はその国の事情に応じて決定されるので、「宗教的理由云々は、積極的理由にもならない」とはいえません。例えば、死刑制度については、欧州で廃止した理由の1つとしてキリスト教があるわけですが、米国では各州で廃止か否かは異なっています。こうした状況なのですから、少しもおかしくないと思います。


>このウイリアム・B・クリアリーという人は、アメリカ人によくありがちな自分中心の物の見方のような印象を受けました

検討師さんは、ウイリアム・B・クリアリー氏を全く知らないようですね。日米の刑事時訴訟法の研究者ですよ? ウイリアム・B・クリアリー氏は、「自分中心の物の見方」をしたのではなく、ご自分の専門分野について、研究者として発言したものなのです。

「三浦容疑者の弁護団にアドバイザーが加入<3/13 12:09>

 81年にアメリカ・ロサンゼルスで起きた銃撃事件で、アメリカ・サイパンで逮捕された三浦和義容疑者(60)の弁護団に、新たにアドバイザーが加わった。
 新たに弁護団に加わったのは、ウィリアム・B・クリアリー弁護士。岩手大学で准教授を務める日米の刑事訴訟法の研究者で、自ら志願して弁護団のアドバイザーとなったという。クリアリー弁護士は「日本の刑事裁判は、ほとんど有罪です。無罪は珍しいです。日本の司法制度は立派だと思う。そんな簡単に無視することはできません」と話している。
 クリアリー弁護士は、今週中にロサンゼルスの裁判所に提出する意見書を作成する予定。」
http://www.news24.jp/105052.html

「三浦元社長:次回審理は来月5日

 【ロサンゼルス吉富裕倫】米ロサンゼルス郡地裁は27日、自治領サイパンで拘置中の元輸入雑貨販売会社社長、三浦和義容疑者(61)による逮捕状無効申し立ての次回審理を9月5日午後(日本時間6日午前)に開くことを決めた。弁護側は、ロス銃撃事件で三浦元社長を殺人、共謀罪に問うことが一事不再理の原則に反することを立証するため、ウィリアム・クリアリー広島修道大学教授(比較法)を証人申請する予定。
毎日新聞 2008年8月28日 東京夕刊」
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2008/08/28/20080828dde041040072000c.html


>まさか、春霞さんは、その理由に納得していないと信じています

日米の刑事訴訟法の研究者が、そのご自分の専門分野について発言したのですから、間違っているとの文献などがない限り、通常は、信頼に値するものです。


>そう読むのでしょうか?
>公訴時効制度を全部廃止すると、全部時効が進まないという結論になるのではないでしょうか

「公訴時効制度の全部廃止」論なんて、面白いことを考えますね。法律学を学んでいても、こんなことを考えるなんて。しかし、「公訴時効制度の全部廃止」論は、時効制度の趣旨からしてあり得ませんし、先進国では公訴時効制度を全部廃止するような国はありません。「公訴時効制度の全部廃止」論を前提にすること自体が論外です。

だからこそ、殺人罪について公訴時効を廃止したとしても、刑訴法255条の廃止は、殺人罪以外のすべての犯罪について、海外逃亡すれば逮捕されない可能性が高まるのですから、海外逃亡を奨励することになってしまうのです。本当にそれでもいいのかどうか、よく考えるべきだということになるのです。


>時効など、ある意味で処罰条件に類するものは罪刑法定主義に言う遡及処罰の禁止の対象には、 直 接 に は、 入らないという考えはないのでしょうか

「直接入るか」か否かに意味があるとは思えません。遡及処罰の禁止の原則に違反するか否かだけが問題です。


>だから、憲法上絶対に不可能、というのは言いすぎなような気がしました

法律学を学んでいて「絶対」を使うのかと気になりましたが……。それはともかく、憲法39条違反であることに異論はないです。だからこそ、刑事訴訟法の研究者は、「憲法39条違反となる」と指摘しているのです。国会の委員会審議での質疑を引用しておきます。すでに議論としては確定済みのようですね。毎日新聞は、国会審議での議論を知らなかったのかな~。

「○佐藤静雄君 法体系が違うといえば違うんですけれども、アメリカでは財政資金を思い切って大きな枠として投入した。しかし、その裏に金融犯罪については罰則の大幅な強化あるいは公訴時効の延長、これは日本の通常の常識では考えられないほどの措置をとったわけでございます。
 我が国ではこういうことを行うことにいろいろ問題があるということは十分承知しておりますけれども、債権回収の実を上げるために、少なくとも罰則強化あるいは公訴時効の延長、こういうことをお考えいただけないか。法務大臣、法務省、
 お願い申し上げます。
○政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。
 罰則につきまして、既に行われた行為に関しまして、これを実体法的に遡及して適用してまいるような法律をつくって罰則を適用するということに関しましては、事後法を禁止しております我が国の刑事司法の基本的な考え方から申し上げまして極めて困難な点があろうかと存じます。この点は佐藤委員も御承知いただいておられるところと存ずるわけでございます。
 また、公訴時効の問題につきましても、ただいま委員御指摘のとおり、米国においてはそのような措置が一部とられたという状況も私どもも承知しておるわけでございます。
 ただ、我が国における刑事司法の基本的な考え方から考えてまいりますと、既に実行行為が行われたものにつきまして罰則を遡及して適用していく、そして公訴が許されないのと同じように、公訴時効につきましてもやはり行為時に適用される罰則を基本的にとらえまして、そのもとにおける公訴時効ということが考えられているのでございまして、そこで公訴官たる検察官のいわば刑罰権の発動を縛っているという面がございます。その基本的な建前から申し上げまして、大変厳しい難しい問題があろうかと存じます。
 ただ、佐藤委員御指摘のように、この問題につきましては私どもも起こりました事象につきまして幅広くとらえて、そして罰則の適用に関しましても関係当局と密接な連絡をとらせていただきまして最大限努めてまいる所存でございます。そのことによって、ただいま御指摘いただいたようなことを実質的に実現してまいるように私どもとしてもできるだけのことをしてまいりたいと思いますし、検察当局といたしましても、そのような観点から、さまざまな当委員会による御議論を踏まえまして検討してもらえるものと考えております。」(第136回国会 衆議院予算委員会(平成08年02月08日))

「○政府委員(原田明夫君) ただいま委員御指摘のとおり、例えば西ドイツ等におきまして一定の犯罪について公訴時効をいわば延長するといいますか、完成しないような措置がとられたというようなことがあるようでございます。また、新聞等でも、また国会でもお取り上げになった中に、アメリカでいわば同じようなRTC関係で問題が生じた際に、一定の犯罪についていわば公訴時効といいますか公訴期間を延長するというような措置がとられたということも私ども承知しているわけでございます。
 ただ、我が国の場合、何らかの犯罪があったといたしまして、過去に行われた行為につきまして事後的に時効を一般的に廃止してしまうとか、あるいは時効期間を延長するという立法を行うことにつきましては、事後法の禁止を定めました憲法三十九条との関係で大変な問題が生じ得るおそれがございまして、極めて慎重な検討を要するところだろうと考えられるわけです。
 特に、かつて最高裁でもお取り上げになったケースで、これは時効そのものを延長したわけではないわけでございますが、法定刑を延長してそれに従って公訴時効が延びるという結果を生じた場合に、行為時においては旧法を適用するというようなケースにおいて、公訴時効が満了していないのではないかということで、そのような立場で検察官が捜査に及んだことがございます。しかし、最高裁の最終的な判断は、それはやはりおかしいということで、日本の場合、公訴時効といいますものは、単に検察官の行為を制約するということのみならず、やはり行為に対する罰則の適用の基本的なあり方に関するものという受け取り方が一般のようでございまして、この点につきまして、既に行われた行為に関して、これについて罰則を重くするとかあるいは公訴時効を延長するというようなことについては、やはり極めて慎重でなければならないだろうというふうに考えております。」(第136回国会 参議院法務委員会(平成08年02月27日))


>教えていただければ幸いです

検討師さんは面白いことを考えますね。おかげで、国会審議を調べてみる切っ掛けになりました。ありがとうございました。
2008/09/02 Tue 22:29:04
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
>rice_showerさん:2008/09/01 Mon 23:31:06
コメントありがとうございます。


>前もご紹介しましたけど、BS、CSで放映されている『コールドケース』を是非一度見てもらいたいですね。
>ホントに感動出来る、アメリカの底力が感じられるドラマなのですよ

『コールドケース』は見たことがないのです。見る機会があるといいのですけど。『コールドケース』でなくても、アメリカのドラマは、よく出来ていると感じます。捜査モノでも医療モノでも法廷モノでも。
2008/09/02 Tue 23:09:54
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
>TBNさん:2008/09/02 Tue 21:41:45
はじめまして、コメントありがとうございます。


>ここに国会議員としての意見が出ています。要するに、国民の側で「殺人罪の公訴時効を廃止せよ」という運動が巻き起こらない限り、国会議員としては積極的に殺人罪の公訴時効廃止のための改正をする予定はないということです。
>↑これはいくらなんでも曲解でしょう(笑)

TBNさんは、「制度の不具合が国民の関心事となり、法を変えるべきだという議論が出てくると、国会は手をこまねいているわけにはいかなくなる。」(早川議員)という文章の意味を説明してほしい、というのですね。では、説明します。

早川議員は、まず、<1>「制度の不具合が国民の関心事」となるという世論の変化が必要であり、単なる関心事である点を越えて、<2>「法を変えるべきだという議論」まで世論の高まりが出てくる必要があると、早川議員は指摘するわけです。そのうえで、<1><2>の点を満たすのであれば、「国会は手をこまねいているわけにはいかなくなる」、すなわち、国会議員は法改正のための行動にでることになりますよ、と述べているわけです。

ですから、「国民の側で『殺人罪の公訴時効を廃止せよ』という運動が巻き起こらない限り、国会議員としては積極的に殺人罪の公訴時効廃止のための改正をする予定はない」という意味になるわけです。

元々、政府見解としては、殺人罪の公訴時効廃止は困難であるという立場を示してます。

「○松島委員 いや、延びたのはいいんですけれども、何で殺人事件の場合はずっと罪は罪ということにならないで、時効でそこで終わっちゃうんでしょうか。
○大林政府参考人 今副大臣が述べられたように、要するに、時効の制度は、処罰感情の希薄化、あるいは証拠が散逸してしまうでしょう、いつまでもそのような不安定の状態を残すのはまずいでしょうという趣旨で公訴時効が定められたものでございます。
 しかしながら、今委員御指摘のとおり、殺人等の重大犯罪については、外国では時効そのものを、そういう制度を設けていない国も少なからずあります。ですから、これは法政策的な考え方であろうかなと。
 しかしながら、委員も御指摘になったように、刑法、刑事訴訟法は明治以来ずっと同じような形で長年続いてきておりますし、事案によっては、もう時効によって打ち切って、捜査は、いわゆる捜査機関はまたほかの捜査に振り向けるし、本人は安定した地位で社会的に生活していく、そういう必要性のある場合もあろうかなということで、おっしゃる意味で、殺人等について、そういう重大なものはそう簡単に忘れられるものではないという問題はありますけれども、過去の日本における司法制度の経緯等から見て、今直ちにその公訴時効制度を廃止するということはちょっと困難かなと。
 しかしながら、委員の御指摘のような事例がありますので、今回、公訴時効期間を延ばして、捜査機関において適切に対応できる形にしたいなというのが今回の立法趣旨でございます。」(第161回国会 衆議院法務委員会(平成16年11月09日))

このように、国会議員としては、その政府見解を覆すのですから、世論のバックアップがないまま、改正運動をしてもおよそ改正は困難であるという見通しがあるわけです。

こうした政府見解をも考慮すれば、「国民の側で『殺人罪の公訴時効を廃止せよ』という運動が巻き起こらない限り、国会議員としては積極的に殺人罪の公訴時効廃止のための改正をする予定はない」という意味には、十分な根拠があるといえます。ですから、「曲解」ではありません。


>>普通の日本語力をもっている人間ならそうは読みませんよ
>自分でも恣意的な解釈だと思いませんか?

TBNさんは、どのような意味として理解されているのですか? ぜひ「普通の日本語力」を示してみて下さい。

もし「恣意的な解釈だ」というのであれば、改正は困難であるという政府見解がある点と、早川議員の発言について、どうやって整合性を図ることができるのですか? ぜひ「普通の日本語力」を示してみて下さい。
2008/09/03 Wed 07:33:47
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
簡単な論理の問題です。
「AであればBをせざるを得ない」から「Aが起きなければBは行わない」は導けません。

更に言えば文脈から考えておかしいです。
春霞さんの解釈だと、それまでの論旨のに沿わない結論になってしまいます。

政府見解云々の話については、政府見解がどうであろうと自分の信条に基づいて法案改正のための活動をしている議員はいくらでもいます。それこそ死刑廃止とか。およそ、論理的な反論とはいえません。

そもそも、一般の読者向けに書いた新聞記事に、政府見解を知らないと真意が読み取れないような文章を書くとも思えません。

以上長文書くのが面倒なので要旨だけ。
2008/09/03 Wed 20:51:19
URL | TBN #-[ 編集 ]
>TBNさん:2008/09/03 Wed 20:51:19
やっとTBNさんの考え方が分かりました。「どんな文章も、法律関係の記事であっても、法的知識を前提とせずに、文章そのままの意味で理解せよ」というわけですね。それで満足ならそれでいいのではないでしょうか?


>簡単な論理の問題です。
>「AであればBをせざるを得ない」から「Aが起きなければBは行わない」は導けません

ははぁ~なるほど。TBNさんは、(早川議員が)「国会は手をこまねいているわけにはいかなくなる。」と書いているから、それ以上の意味として読み込んだりしてはいけないというわけですね。TBNさんがそう主張したいのなら、TBNさんだけは、それで納得すればいいのでは?

殺人罪の公訴時効廃止の運動は、正直なところ毎日新聞だけが熱心に行っているだけで、とても法改正をする機運になっていません。衆院法務委理事であって弁護士の早川議員は、そうした現状を知ったうえで、「制度の不具合が国民の関心事となり、法を変えるべきだという議論が出てくると~」とあえて指摘したのですから、法律の世界に属する者にとっては、理解が異なるということです。


>政府見解云々の話については、政府見解がどうであろうと自分の信条に基づいて法案改正のための活動をしている議員はいくらでもいます。

「いくらでもいます」か……。ならば、死刑廃止以外で、何の法案(10くらいほど)について、改正運動をしている具体的な議員(各々40~50名くらい)のお名前を挙げて下さい。


>それこそ死刑廃止とか。およそ、論理的な反論とはいえません

死刑廃止については、廃止に向けた根強い活動(市民団体、日弁連、超党派の議員連盟)があり、少し前までは「死刑の停止」の方向性にさえありました。殺人罪の公訴時効廃止の是非の議論とは、比較になりません。

もっとも、死刑は、命の剥奪という個人の尊厳の根本を奪うものですから、世論のバックアップなしに廃止を行ってもよい性質のものです。もう一度、死刑制度の是非の議論をご確認下さい。


>そもそも、一般の読者向けに書いた新聞記事に、政府見解を知らないと真意が読み取れないような文章を書くとも思えません

法律関係の記事あっても、TBNさんだけは、そういうことで納得すればいいだけでは?

しかし、早川議員は、国会議員であるばかりか、衆院法務委理事であって弁護士なのですから、政府見解は当然の前提ですし、この殺人の公訴時効廃止論議は、法律論そのものなのです。

もっとも、一般の読者にとっては、どういう問題点があるのか理解できればそれでいいと思います。ただし、早川議員と同様に、法律の世界に属する者にとっては、早川議員の論説の受け取り方が異なるというだけのことです。

一般的にいって法律関係の記事は、一般市民と法律関係者とは、受け取り方が異なってきます。このブログで何度も書いている通りです。
2008/09/05 Fri 06:42:57
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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