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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2006/08/22 [Tue] 08:25:08 » E d i t
加藤紘一議員の実家を放火した事件については、ずっと気になっているのですが、殆ど続報がありません。ですが、わずかに出ている情報を紹介してコメントしたいと思います。


1.続報記事について

(1) 日経新聞(8月19日付朝刊35面)

加藤議員実家全焼で右翼団体事務所など捜索・放火容疑

 山形県鶴岡市の元自民党幹事長加藤紘一衆院議員(67)の実家と事務所が全焼した火災で、山形県警は18日、関係先として東京都新宿区歌舞伎町の右翼団体「大日本同胞社」事務所など都内2カ所を放火容疑で家宅捜索した。

 山形県警は、現場で割腹自殺を図ったとみられる男(65)が放火した疑いが強いとみており、思想的背景などを調べるために男が所属している大日本同胞社の捜索に踏み切った。

 男は鶴岡市内の病院に入院、治療中で事情聴取ができない状態で、これまで声明文なども見つかっていない。加藤議員は小泉純一郎首相の靖国神社参拝を批判しており、県警は押収した資料を分析、放火との関連を調べる。

 家宅捜索は2カ所とも午後3時ごろから捜査員約20人で開始した。新宿区の同団体事務所では午後2時半ごろ、車2台でスーツ姿の捜査員7人が到着。事務所を捜索するとともに関係者から話を聞いている。 (07:00) 」


この報道により、放火をした疑いのある男が所属する団体は、「大日本同胞社」だと分かります。

この団体は、「サンデー毎日」2006年9月3日号36頁によると、

「『右翼民俗派団体年鑑』(二十一世紀書院)や関係者によると、この右翼団体は77年9月、元住吉会系暴力団総長らが設立し、国士舘大時代から右翼運動に入った幹部が引き継いだ。幹部の知人によると、「幹部は、正統派の行動右翼。福岡県出身で故・佐郷屋嘉昭(留雄)氏の最後の弟子です」。

 佐郷屋氏は1930年11月、時の浜口雄幸首相を東京駅で狙撃したことで知られ、戦後も右翼陣営に大きな影響力を及ぼした。

 その「テロリストの系譜」は受け継がれたようで、前出の知人は「門下からテロリストを出す可能性はあった」と言うのだ。」


と紹介しています。住吉会系暴力団との関係があり、幹部は、正統派の行動右翼であり、元々、テロリストを出す可能性があった右翼団体であったというわけです。



(2) 一番最近の記事は、北海道新聞(8月21日付)のようです。

加藤氏実家火災から1週間 政府・与党反応鈍く 「言論の自由」薄い危機感  2006/08/21 23:26

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝を批判した自民党の加藤紘一元幹事長の、山形県鶴岡市の実家と事務所が今月15日、全焼した火災から1週間。右翼団体に所属する男による放火の疑いが強まる中、加藤氏は今後も積極的に発言する姿勢を強調している。ただ、事件に対する政府・与党の反応は鈍く、首相からも公式発言がないなど、言論の自由への危機感の希薄さを浮き彫りにしている。

 「いままで通り発言し続けることが大事だ」。加藤氏は二十日の民放の報道番組で、今後も批判を恐れず発言する決意をあらためて示した。

 加藤氏は、首相のアジア外交や靖国神社参拝を一貫して批判。首相が参拝に踏み切った十五日には記者会見で「日本のアジア外交をかなり壊してしまった」と言い切り、安倍氏に対しても「靖国観、歴史観は極めて東京裁判否定に近い表現になっている」と指摘した。

 火災の発生はこの会見の数時間後。加藤氏は「ここ数年、世の中が変だと思うところがある。自由に政治家がものを言えなくなったら、よっぽど気を付けなければいけない」と声を震わせた。事件前から、発言のたびに事務所には抗議の電話が寄せられていたという。

 事件直後こそ、「何らかの思想的な背景があって、ということであれば、極めて言語道断」(谷垣禎一財務相)「仮に(加藤氏の発言に対する)悪意を持った行為であるとすれば、まったく容認できない」(逢沢一郎幹事長代理)などの反応があったが、その後、政府・与党内で目立ったコメントはない。

 首相や安倍氏、党幹部が夏休みだったという事情はあるが、安倍政権誕生を考えれば、加藤氏を現時点で擁護するのは得策ではないとの議員心理が働いたとみられる。

 こうした政府・与党内の空気について加藤氏は二十日、「ともすれば、自民党の中で一方的な考えが主流になりつつある。どちらかというと極めてナショナリスティック(国家主義的)な方向になりつつある」と懸念を示した。」


事件直後は、谷垣禎一財務相や逢沢一郎幹事長代理は事件を非難するコメントを表明しましたが、「政府・与党内で目立ったコメントはない」のです。

なぜコメントしないのかというと、首相の靖国参拝に賛成している「安倍政権誕生を考えれば」靖国参拝に批判的な「加藤氏を現時点で擁護するのは得策ではないとの議員心理が働いた」のだすると、小泉首相はもちろん、安倍政権で冷や飯を食わないようにしている多数の自民党議員は、度量が小さい者ばかりのように思えます。


某関係者筋から聞いた話によると、加藤紘一議員は、実家を放火した男の入院費用などの治療費を出しているそうです。放火した犯人であることが極めて疑わしい男なのですから、本来なら到底治療費なんて出さないのが一般市民の感覚でしょう。加藤議員の母の生命さえ失いかねなかったのです。

しかし、「この話」が本当だとしたら、加藤紘一議員は、放火により実家と事務所を失い、母の生命も脅かした男の治療費を出しているのですから、この加藤議員の度量の大きさには敬服に値します。加藤議員はこの男の話を聞きたいという意図もあるとは思いますが、治療費を出すことは放火した男の生命を救っていることには違いないのです。
加藤議員と、小泉首相はもちろん、安倍政権で冷や飯を食わないようにしている多数の自民党議員との度量の違いは歴然としています。人間としてどちらが尊敬に値するのか、誰の目にも明らかだと思います。

加藤議員の実家放火事件ついては、殆ど続報がなく、感動的ですらある「この話」も報道されていません。報道機関も安倍政権で冷や飯を食わないように遠慮して、加藤議員の実家放火事件について報道しないのでしょうか? 不可解でなりません。




2.この加藤議員の実家放火事件については、朝日新聞(8月17日付社説「加藤氏宅放火 政治テロを許さない」)毎日新聞(8月18日付「社説:加藤議員宅放火 言論封じる風潮を憂う」)東京新聞(8月17日付社説「許されない『言論封じ』 加藤邸放火」)など多くの新聞社が社説でこの事件を非難しています。産経新聞でさえ8月17日付社説でいち早く非難しています。もっとも、なぜか読売新聞だけはこの事件について社説で触れていません。ここでは、日経新聞について紹介しておきます。

(1) 日経新聞(8月18日付社説)

社説1 政治・言論活動の封殺狙うテロを許すな(8/18)

山形県鶴岡市にある元自民党幹事長、加藤紘一衆院議員の実家・事務所が全焼した火事は、右翼団体に所属する男による放火の疑いが強くなった。加藤氏の活動、発言に反発しその封殺を狙った政治・言論テロとみられるのである。

 政治家を襲撃したり、暴力で脅したりするテロ事件は、残念ながら後を絶たない。政治的な発言をした公的な人物や組織を威嚇する事件も度々起きている。

 そうした、自分と対立する活動や意見を暴力や脅迫、威嚇によって抑えつけようとする行為は、改めて言うまでもなく、民主主義の基盤を傷める犯罪であり、社会の敵の最たるものだ。根絶が難しいことであればこそ、この種の事件が発生するたびに、決して許さないとの決意を新たにしたい。

 加藤氏の事件では、現場で身柄を確保された男はヤケドをしたうえ腹部に自分で切ったと思われる傷を負っているためまだ調べができないが、警察はこの男以外に事件にかかわった者がいないか、背後関係はどうか、男の周辺にテロを志向する者はいないかなど、事件の根っこを洗い出す捜査をしてほしい。

 事件の2、3日前から現場の下見をしていた疑いがあるというこの男の行動を、何とか事前につかめなかったものか、とも思う。小泉純一郎首相の靖国神社参拝について例年にまして賛否両論が沸き立っていた今年は、靖国問題でマスメディアに積極的に登場して意見を表明していた人たちへの攻撃が終戦記念日前後に行われるのではないか、と警備当局は警戒していたわけだから。

 政治・言論テロは未然に防止しない限り、事後にいくら厳しい処罰を加えても、テロを起こす側は目的を果たす結果になる。政治テロ事件にあっては、未然防止がとにかく重要である。

 起きてしまった後でテロの目的をくじくには、テロの標的にされ、あるいは事件で威迫を受ける立場の人や組織が、ひるまずにそれまでどおりの活動、発言を続けるしかない。その意味で加藤氏が、今後の政治活動に影響はないと言明し「政治家をやっている以上、意見の相違や誤解は当然ある。信じていることは発言し続ける」と述べたのは、政治家として当然かもしれないが、心強い。

 テロは「犯人の気持ちは分かる」とか「やむにやまれぬ動機だろう」とか、少しでも容認する空気が社会に生まれれば、それが増殖の温床になる。テロには社会全体で立ち向かわなければならない。」



(2) 民主主義は自由な言論が保障されてこそ成り立つのですから、「自分と対立する活動や意見を暴力や脅迫、威嚇によって抑えつけようとする行為は、……民主主義の基盤を傷める犯罪」といえます。

憲法50条で「議員は、議院で行った演説…について、院外で責任を問われない」と規定して、議院の発言には免責特権が付与されているように、特に国民の代表者である議員の言論の自由は、十分に保障されなければなりません。議員の言論を暴力で封じてしまおうとする「テロ行為」は、議院の活動、ひいては国会の活動を抑制するものであって、憲法上、極めて許されない行為といえるのです。


この事件は、

「太平洋戦争が始まる前の一九三〇年代に五・一五事件、二・二六事件が起こる。青年将校らが時の首相などを殺害してテロへの恐怖心が広がる。政治家は腰が引け、軍部に何も言えなくなる。テロという暴力はマスコミや国民の神経もまひさせ、開戦へ突き進ませた。」(東奥日報8月19日付社説)

ことを思い起こさせます。暗い時代の「恐怖の連鎖」が現代に再現されないよう、一般市民の多数が、言論への暴力や脅しに委縮したり怯んだりしないことを表明する必要があると思います。



(3) もっとも、一般市民の多数が、言論への暴力や脅しに委縮したり怯んだりしないことを表明する必要があるのだとしても、「テロは『犯人の気持ちは分かる』とか『やむにやまれぬ動機だろう』とか、少しでも容認する空気が社会に生まれれば、それが増殖の温床になる。テロには社会全体で立ち向かわなければならない。」(日経新聞8月18日付社説)としても、どれほど立ち向かえる人がいるのでしょうか?

自民党議員でさえ、殆ど何も言わない状況なのです。

政理整頓 物言えば唇寒し総裁選

 自民党の同僚議員たちはなぜ声をもっと大にして怒らないか。不可解である。自由で民主の社会を脅かすテロの疑い濃厚な事件だったのに。

 加藤紘一氏の実家と事務所が燃えた。地元警察は割腹自殺を図った男の仕業とみている。動機はあれだろうな、とほとんどの人が直感した。

 靖国問題。小泉首相の参拝を批判した加藤氏へ、異論があろうとなかろうと、思想信条を吐露する言論が暴力で阻害されるのを、そのまま見過ごしていいはずがない。

 加藤氏の言い分は自民党と相いれない、党を出て行ってくれ、というのなら、そのようにして、いずれ国民や支持者の判断を仰げばいい。郵政解散のときみたいに。

 いや、政策と心の問題は別だ、わが党は開かれた国民政党なんだ、というなら、政治テロの根っこを絶つための論陣を速やかに張るべきであった。総裁は当然のこと、次期総裁とたらんとする面々も。

 老舗政権政党としての基軸がどこか、おかしくなっていないか。議員の間から『情けないなぁ』なんて嘆き節が、ぼそぼそと聞こえてくる。 
 小泉批判をためらう空気。それがそっくり党の後継総裁選びに持ち込まれている。

 安倍晋三氏の陣営にともかく加わっておかないとバスに乗り遅れる、逡巡(しゅんじゅん)すれば冷や飯を食う、とばかりに、雪崩を打っているそうで、選挙や資金の面倒をみてきたつもりの派閥ボスにすれば、仁義もへったくれもない“にわか安倍派”が一段と増幅中だ。

 『情けないが、反旗を立てにくいんだよね』と非安倍の陣営。……

 例の放火テロも一過性のものとして、そのうち、口の端にも上らなくなるのかもしれない。げに『物言えば唇寒し総裁選』なのである。

 斉藤隆夫という政治家が歴史に名を残す。1940年、日中戦争の処理をめぐって軍部批判の演説をして衆院議員を除名された。恐怖を超えて共に戦う政治家は数少なく、いよいよ破局へ向かう時代の象徴的な出来事となった。

 歴史は繰り返すか。保身と猟官まがいの“寄らば大樹”が鼻を突く総裁選。佳境はあるか。(谷政幸・論説副主幹)」(東京新聞8月22日付朝刊6面)


同じ党の議員へのテロ行為であるのに、ほとんどの自民党議員は沈黙したままであり、選挙や資金の面号をみてきた派閥のボスの意向に反して、“にわか安倍派”になってしまうほど、仁義に欠けているのです。ましてや、選挙で投票するだけの関係が希薄な国民の生命・財産を保護するために、懸命になるはずがありません


自らの実家と事務所に放火した男の治療費さえ出している加藤議員と、加藤議員の実家放火事件へ沈黙し、安倍政権で冷や飯を食わないように派閥のボスを裏切り、「保身と猟官まがいの“寄らば大樹”が鼻を突く」議員と、どちらが国民の代表者たる議員として相応しいのでしょうか? これは首相の靖国参拝の是非の問題以前の、議員としての資質以前の、人間性の問題であり、容易に判断できる問題だと思います。
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