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2008/08/03 [Sun] 17:55:03 » E d i t
福田改造内閣は8月2日午前、皇居での閣僚認証式を経て正式に発足しました。この後、首相官邸で初閣議を開き、「国民の立場に立った行政、国民が安心して暮らせる基盤、豊かさを実感できる経済社会の構築とともに、その前提となる世界の平和と安定や地球環境問題の解決に全力で取り組んでいく」とした福田康夫首相の談話を決定しています(時事通信:2008/08/02-13:43)。

「■福田改造内閣で固まった顔ぶれ(敬称略)

官房:町村 信孝 63 町村派(留任)
外務:高村 正彦 66 高村派(留任)
財務:伊吹 文明 70 伊吹派
厚労:舛添 要一 59 無派閥(留任)
環境:斉藤 鉄夫 56 公明党
経済財政:与謝野 馨 69 無派閥
総務:増田 寛也 56 非議員(留任)
経済産業:二階 俊博 69 二階派
法務:保岡 興治 69 山崎派
農水:太田 誠一 62 古賀派
文部科学:鈴木 恒夫 67 麻生派
国土交通:谷垣 禎一 63 古賀派
国家公安・防災:林 幹雄 61 山崎派
防衛:林  芳正 47 古賀派
消費者行政:野田 聖子 47 無派閥
金融・行革:茂木 敏充 52 津島派
少子化・拉致:中山 恭子 68 町村派」 (朝日新聞より)





1.8月1日付からの報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年8月2日付朝刊1面

福田改造内閣スタート 政権浮揚へ経済重視
2008年8月2日 朝刊

 福田康夫首相は一日夕、就任後初の内閣改造を行った。閣僚十七人中十三人が交代した大幅改造。景気減速や物価高騰を受け、首相が重視した経済関係閣僚では、財務相に伊吹文明自民党幹事長、経済産業相に二階俊博党総務会長、経済財政担当相に与謝野馨前官房長官と重鎮を充てた。首相は人心一新で政権浮揚を目指すが、秋の臨時国会では野党の攻勢が予想される。衆院解散・総選挙と隣り合わせの際どい政権運営を強いられる。

 首相は改造で、挙党態勢と党内融和を重視し、各派閥の有力者をまんべんなく配した。派閥バランスに配慮した結果、初入閣が五人いるにもかかわらず、新鮮味に欠けることになった。民間からの入閣は、留任の増田寛也総務相一人にとどまった。女性の入閣は二人で、首相肝いりで創設する消費者庁を担う消費者行政推進担当相に野田聖子元郵政相を起用。拉致問題担当は、官房長官の兼任から内閣府特命に担当が移り、初入閣の中山恭子首相補佐官が登用された。

 町村信孝官房長官、高村正彦外相、舛添要一厚生労働相は留任し、公明党が推薦した斉藤鉄夫政調会長は環境相に起用された。

 首相は改造に先立ち、自民党役員人事も行い、党運営の要である幹事長には、次期衆院選を見据えて国民的な人気の高い麻生太郎前幹事長を起用した。

 総務会長には笹川尭衆院議院運営委員長、政調会長には保利耕輔元文相を充て、古賀誠選対委員長は留任させることを決め、党四役は一日午後の臨時総務会で承認された。大島理森国対委員長、細田博之幹事長代理も留任となった。

 改造内閣は二日午前、皇居での認証式を経て正式に発足。昼には初閣議を行う。」



(2) 東京新聞平成20年8月2日付夕刊1面

福田改造内閣が正式発足
2008年8月2日 夕刊

 福田改造内閣は二日午前、皇居での認証式を経て正式に発足した。この後、福田康夫首相は、昼すぎに行われた初閣議で、物価高や年金・医療、雇用をめぐる国民不安の解消に全力を挙げるよう各閣僚に指示した。 

 初閣議では、消費者行政一元化、道路特定財源の生活者財源への転換といった「改革を強力に実行する」ことなどを盛り込んだ内閣総理談話を決定。閣僚給与の10%返納も引き続き継続していくことを申し合わせた。

 週明けの五日に副大臣、六日には政務官をそれぞれ決定し、改造内閣の陣容を整える。少子化・拉致問題担当相に登用された中山恭子氏ら三人体制だった首相補佐官の人事も近く決定する方針だ。

 首相は改造内閣の始動に伴い、次期臨時国会の準備を本格化する。公明党との意見の食い違いが表面化している召集時期については、与党内で意見集約を図った上で、早期に決定する。」



(3) 東京新聞平成20年8月2日付朝刊27面

内向き 遠い生活目線 福田改造内閣  「着実に」「信頼を」新閣僚ら経験アピール

 支持率20%前後と、“低空飛行”を続けてきた福田康夫内閣。誕生から約10ヶ月で、初めて入れ替わったが、派閥のベテランを中心とした“党内融和優先”の雰囲気が漂う。抜てき人事や若手の登用に乏しく、新鮮味を欠く顔ぶれだ。止まらない物価上昇、相次ぐ無差別殺人、進まない年金・医療改革…。重要課題が山積みの新内閣に、首都圏の有権者からは「景気や医療、雇用に誠意ある政策を」と注文がついた。

 郵政民営化に反対した「造反組」から、消費者行政相に起用された野田聖子氏。ベージュのスーツ姿で1日夜、首相官邸で記者会見に臨んだ。

 「身の引き締まる思い。福田総理が最重要課題に掲げる消費者庁について、党でずっとパートナーとして働かせていただいた経験を生かせ、ということだと思う」。張りのある声で、過去のしこりはないことを強調した。

 1998年―99年の小渕恵三内閣で、郵政相を務めて以来の閣僚ポスト。2005年の郵政選挙で当選後に離党、翌年復党した。

 郵政民営化については「国民に利便性がもたらされたか、国家のためプラスになったかを追跡すると、だめなところもあると思う」と思いをにじませた。

 道路財源の無駄遣いや天下り問題で国民の批判を浴びた国土交通省。谷垣禎一・新国交相は「行政に対する信頼を取り戻さなければならない」と厳しい表情だ。

 農相に就任する大田誠一氏は演壇に両手をつき、前のめりの格好。決裂した世界貿易機関(WTO)交渉は「原理主義的な自由貿易の信奉者に席巻されている。中途半端な知識の人が国際機関に集まっている」と息巻いた。

 厚生労働相に留任する舛添要一氏。年金や医療などに質問が飛ぶと「着実に(年金記録の)名寄せ作業を進める。着実に医師を増やし、国民から信頼していく医療を構築していく」と硬い表情で述べた。

 法相に就く保岡興治氏は元裁判官で現在は弁護士。来年から始まる裁判員制度の“生みの親”ともいわれる。「死刑制度については国民の8割以上が賛成している。私も必要だと思う」

 拉致問題担当の首相補佐官から拉致問題担当相に指名された中山恭子氏は「私が指名されたのは、総理が拉致被害者の全員帰国に向け、強い思いを持っているメッセージだ。全力で取り組む」と表情を引き締めた。


◆自民党的顔ぶれ

 作家・高村薫さんの話 近年の内閣で最も自民党らしい顔触れだ。国民は官僚制度の解体を望んでいるのに、見事に派閥の領袖をかき集めた。例えば消費者行政を一本化するには、各省に分散した権限の制限が必要なのに、官僚に切り込める大臣が見当たらない。これほど国民の生活目線から遠い内閣はない。解散総選挙に備え、党内が割れないよう、内向きの結束を目指す必要があるのではないか。内閣支持率の低下を真剣に考えておらず、官房長官が「支持率のために改造しているわけではない」と言ったのは本音なのだろう。

◆全く新鮮味がない

 漫画家・黒鉄ヒロシさんの話 よく言えば欠点が少なく安定感があるが、全く新鮮味がない。福田さんの性格を表している。ベテランぞろいの陣営で、何かをしでかしそうな新人がいない。国民は結果が早く見たい。斬新な発案をする人材が入るべきだった。食品偽装にガソリン高、通り魔…。国民生活が脅かされている時に、政治家は料亭から出てハイヤーに乗って、生活感覚ゼロ。政治家には期待せず、国民が自分の頭で考え、自衛する時代が到来している。」



街の声 まずは景気浮揚策 国の未来像がない

 新しい内閣にどんな政策を望むのか。街の声を聞いた。

 横浜市中区の横浜スタジアム前。会社役員○○○○さん(67)は「まずは景気浮揚策。それから高齢者医療や非正規社員の雇用などの問題に、きちっと誠意ある政策を打ち出してほしい」と話した。「勝ち組と負け組に分かれる社会はおかしいし、このままでは社会不安が起きてしまう」

 川崎市宮前区の主婦○○○○さん(57)は「ガソリン価格の高騰による物価高が家計の重い負担になている。もう一度、暫定税率の問題を検討し直してほしい」。千葉県習志野市の○○○○さん(72)は「首相は国民が悩んでいる経済問題に集中すべきだ。何が本当にやりたいのかいまひとつ分からない内閣だが、医療や介護などで、国民が納得できる政策を」と注文した。

 「福田さんに国の未来像はなく、内閣を入れ替えても人気取りみたいなもの」と手厳しいのは東京都立川市の○○○○さん(65)。「解散総選挙で政権交代でもしない限り、何も期待できない」とばっさり。さいたま市の○○○○さん(82)は「首相はもっと指導力のある若い人がいいが、福田さんはもっとキリッとして拉致問題をしっかりやってほしい」と話した。」

(*人名については、一般人については「○○○○」として匿名にしました。)



福田改造内閣では、「閣僚17人中13人が交代した大幅改造」になったことから、福田内閣発足時に言われた「上書き保存内閣」「居抜き内閣」から脱却しました(「福田内閣発足~前内閣の外から新たに起用されたのは17人中2人だけの「上書き保存内閣」」(2007/09/27 [Thu] 00:56:54))。

なぜか、安倍内閣ではつき物だった「おかしな大臣」、例えば、死刑制度につき、法務官僚から何度も説明されても理解できずに頓珍漢な法改正を打ち上げ、夜空に打ち上げ花火をあげるように執行責任者である大臣自身が前にのり出して「死刑執行をやりました」「粛々とです」「正義を実現した」と胸を張るという人間性を喪失した態度を誇り、「友達の友達はアルカイダ」だった鳩山邦夫氏を、閣外に追放したことは評価するべき点です。

「新内閣は、町村官房長官ら主要閣僚を留任させる一方で、野田聖子氏を消費者行政担当相、若手で初入閣の林芳正氏を防衛相に起用するなど、手堅さと清新さに腐心した布陣になった」(朝日新聞平成20年8月2日付「社説」)と評価することも可能です。このように、安倍前首相の精神の不安定さを反映したような、不安定な人選から脱却した点も、評価するべきでしょう。

福田改造内閣では、「派閥の領袖をかき集めた」ため、「自民党らしい顔触れ」と皮肉られてしまうのですが、それは党内を一致させやすいのですから、安定した政権運営が可能になるとはいえます。もちろん、「解散総選挙後に備え、党内が割れないよう」にした人選であることは確かです。例えば、「郵政民営化に反対して自民党を離党し、その後に復党した野田氏の起用には、衆院選に向けた挙党態勢への思惑がうかがえる」(読売新聞平成20年8月2日付「社説」)のです。

特に、「ポスト福田」の最右翼と目される麻生太郎氏を自民党の幹事長に起用したことは、反福田陣営の形成を未然防ぐことができ、公明党と仲が良いことから自公関係の改善が期待でき、人気が高いといわれる麻生氏に、選挙の「顔」として動き回ってもらうことで、「首相が自らの手で解散・総選挙に打って出る態勢を固めることにもなる」(朝日新聞平成20年8月2日付「社説」)のですから。 「麻生幹事長は、首相にとって、一石三鳥の妙案」(東京新聞平成20年8月2日付朝刊3面「核心」)といえるのです。


初閣議において、「国民の立場に立った行政、国民が安心して暮らせる基盤、豊かさを実感できる経済社会の構築とともに、その前提となる世界の平和と安定や地球環境問題の解決に全力で取り組んでいく」とした福田康夫首相の談話を決定しているように、「国民生活重視、国民目線の政治のために人心を一新した」(福田首相)という意思だけは示しています。

しかし、生活者重視を謳いながら、(消費者庁に移管されると消費者寄りになり、科学的評価の中立性を保てないとの理由で)食品安全委員会の消費者庁如何を見送るなど、これまで各省庁にまたがっていた消費者行政の一元化に消極的なのです(東京新聞平成20年8月3日付「社説」)。

「国民は官僚制度の解体を望んでいるのに、見事に派閥の領袖をかき集めた。例えば消費者行政を一本化するには、各省に分散した権限の制限が必要なのに、官僚に切り込める大臣が見当たらない。これほど国民の生活目線から遠い内閣はない。」(高村薫さんの話)


結局は、「国民生活重視、国民目線の政治のために」と言いながらも、現実にはそうした政治を実施することはなく、来秋までに必ず行われる総選挙のための内閣改造、内向きの結束を示しただけなのだろうと思うのです。福田首相自身は、改造内閣を「安心実現内閣」と命名しているものの、「解散総選挙で政権交代でもしない限り、何も期待できない」という街の声が、この福田改造内閣に対する多数の評価であるように思われます。



2.福田改造内閣の特徴についての記事を、3点挙げておきます。いずれも「脱小泉」を特徴付けるものであり、福田改造内閣は、「小泉路線の修正がにじむ」(日経新聞平成20年8月2日付朝刊3面)程度でなく、小泉路線にピリオドをうったことが大きな特徴です。

(1) 朝日新聞平成20年8月2日付朝刊4面

派閥の影響力復活 三役横滑り、領袖が次々入閣
2008年8月2日8時0分

 党三役の横滑り、派閥会長の相次ぐ入閣、派閥による売り込み……。福田改造内閣は閣僚17人のうち13人が代わる大幅改造となったが、その姿は首相が昨年の総裁選で8派閥に推されて党総裁に就いた経緯をなお引きずり、組閣のスタイルが旧来型に戻ったことを露呈した。

 伊吹文明幹事長→財務相、谷垣禎一政調会長→国土交通相、二階俊博総務会長→経済産業相。1日昼まで党三役に就いていた3氏は、夕方にはそろって入閣リストに登場した。町村派の町村信孝会長、高村派の高村正彦会長も留任。5月に古賀派に合流した旧谷垣派の谷垣氏を加えれば、派閥会長級の起用は5人にのぼる。

 自らは入閣しない山崎派の山崎拓会長は、党の実力者を通じて同派の保岡興治氏の入閣を売り込んだ。麻生派の麻生太郎会長は総裁選で福田首相と戦い、昨年9月発足の福田内閣では派閥からの入閣はゼロだったが、今回は今期限りで政界引退を決めている鈴木恒夫氏を入閣させた。

 町村官房長官は組閣後の記者会見で「大きなグループである平成研(津島派)は、茂木(敏充)さん1人です。人数とのバランスまで考えて派閥均衡人事をやったのではない」と強調したが、津島派の幹部は内実をこう明かす。「最大の目的は党三役の取得だった。希望は三役1人、閣僚2人。三役を取るのに体力を使いすぎ、大臣の方がおろそかになってしまった」

 こうした事情が交錯した結果、2人いた非議員からの起用は、留任した増田総務相1人となった。

 閣僚起用のスタイルも変化した。小泉元首相は対象者に事前に具体的なポストを知らせず、首相官邸に呼んで初めて伝える手法を確立した。人事権者として求心力を維持することをねらい、安倍前首相もこれを基本的に踏襲した。だが、今回は複数の対象者が官邸に来る前にポストを通告された。

 改造内閣の平均年齢は62.0歳で、改造前の60.2歳から少し高くなった。40代の2人が入閣したが、60代が3人から10人へと増えた。女性は改造前と同じ2人だ。」



(2) 東京新聞平成20年8月3日付朝刊【スコープ】欄

福田改造内閣 際立つ脱小泉流
2008年8月3日

 郵政造反復党組の登用、派閥の露骨な介入…。二日に正式発足した福田改造内閣は、その顔触れ、人事のスタイルともに「脱小泉流」が際立っている。福田康夫首相としては、挙党態勢づくりに腐心した格好だが、自民党では「小泉純一郎元首相への挑戦だ」という見方も広がっている。 (佐藤圭)

 郵政民営化は小泉構造改革のシンボルだ。これに真っ向から反対した野田聖子氏が消費者行政推進担当相として再入閣、党役員人事では保利耕輔氏が政調会長に起用された。

 二人は小泉政権当時の二〇〇五年、郵政民営化法に反対し、衆院選に無所属で当選。安倍政権になってから復党を果たした。復党組の入閣、党四役入りはともに初めてだ。

 党内には「わざと復党組を起用したとしか思えない」(閣僚経験者)との不満も漏れる。だが、衆院解散・総選挙をにらみ、民営化に反対して自民党から離反した全国郵便局長会(全特)との復縁に向けた布石ともいえる。

 もう一点、「脱小泉」を印象付けたのが、派閥の復活だ。

 小泉元首相は派閥の推薦を一切受け付けず、一本釣りで「サプライズ」を連発したが、今回の人事では、「先祖返り」が目立った。

 象徴的だったのが党総務会長人事だ。首相は当初、二階俊博氏を総務会長に留任させる方針だったが、党四役から外されていた第二派閥の津島派が「それなら閣僚を全部引き揚げる」と猛反発。最終的には首相が譲歩を強いられ、津島派幹部の笹川尭氏が総務会長に就いた。

 閣僚人事でも、首相は一部で派閥の推薦を容認。山崎派の保岡興治法相らは、派閥領袖の売り込みが功を奏した。久々の派閥復権に、ある派閥領袖は「ちょっと(首相に)アドバイスしただけだ」とにんまりしている。

 首相は最近、労働者派遣制度の見直しやタクシー参入規制の強化など政策面で小泉改革路線の修正を図ってきた。今回改造人事では「人」と「政治手法」の面でも脱小泉が鮮明になった格好だ。」



(3) 朝日新聞平成20年8月2日付朝刊6面

小泉路線ピリオド  経財会議 増税派の与謝野氏復帰■協調を重視

 政府の経済財政諮問会議のメンバーが、内閣改造で大幅に入れ替わった。新メンバーの与謝野経済財政相や伊吹財務相は、与党との「協調路線」に軸足を置く可能性が高い。「経済成長重視」を掲げ、「官邸主導の政策決定プロセス」の象徴だった諮問会議は大きく様変わりする。

◆「上げ潮派」消える 与党内で強まる歳出圧力

 「与党と相談しながら早急につくりたい」

 与謝野氏は1日の経済財政相内定後の記者会見で、経済政策のとりまとめでは、与党の意見を積極的に採り入れて行く考えを示した。その姿勢は、3年前と変わらない。

 与謝野氏は05年10月~06年9月に小泉政権で経済財政相を努め、「骨太の方針06」をまとめた。だが、目玉の「歳出・歳入一体改革」については、とりまとめを与党側に委ねた。

 諮問会議は本来、与党や官僚が主導してきた政策決定の仕組みを、首相のトップダウンで決める仕組みに転換することを目指し、発足した。

 与謝野氏の前任だった竹中元経済財政相は、特命スタッフや4人の民間議員らとの調整を重視。諮問会議は、ときに与党との調整をせずに政策の方針を打ち出し、与党とのあつれきは珍しくなかった。

 与謝野氏が与党案をもとに作成した「骨太の方針06」について、ある諮問会議の関係者は「極めてイレギュラー。最初から与党に任せてしまったら、諮問会議の存在意義はない」と言い切る。

 与謝野氏の後を継いだのは、内閣府で小泉政権の諮問会議の事務を切り回した大田弘子氏。安倍前首相や塩崎元官房長官らとともに、諮問会議のプロセスを小泉政権に戻そうとした。しかし、昨年夏の参院選大敗で福田政権が発足すると、「小泉改革路線への反発が敗北の原因だ」との声が与党内から噴出した。

 さらに「衆参ねじれ国会」の影響で、政府決定がそのまま通る可能性は狭まった。首相官邸の関係者は「諮問会議と与党がケンカする余裕はない」と言う。道路特定財源の一般財源化など福田首相が重視するテーマについて、諮問会議が方向性を決める場面はほとんど見られなかった。

 諮問会議について内閣府幹部は「与謝野氏の就任で、政策決定プロセスの与党との一体化が進むだろう」とみる。

 政策の路線でも転換点となりそうだ。小泉路線の流れをくみ、成長を重視し「小さな政府」を目指す「上げ潮派」は太田氏を最後に消えた。

 与謝野氏は経済財政相を離れた後、自民党の政策グループ「財政改革研究会」の会長に就任。「消費税を軸に財政再建を急ぐべきだ」との主張を積極的に展開し、財政省と歩調を合わせた。

 今春出版した著書では「問題は、小泉改革の成功によって、『市場原理は常に正しい。小さな政府路線はいつも正しい』ということが『永遠の真理』として証明されたと信じている人々(中略)がいることだ」と強調。「小泉路線」との決別を明確にした。

 諮問会議新メンバーとなる旧大蔵省(現財務省)出身の伊吹財務相も「財政再建派」の色が濃い。財務省幹部は「小泉政権以来続いていたものが変わった、ととらえられておかしくない」と話す。

 だが、諮問会議が消費増税や財政再建に一気に突き進めるわけでもない。与党内では総選挙が近づくにつれ、消費増税の回避に加え、原油高対策や中小企業対策など「バラマキ」を求める声が激しさを増す。財政出動に傾く与党と政策立案が一体化するなか、与謝野氏や伊吹氏は財政再建への道筋をどう描くのか。難しいかじ取りを迫られる。」



党三役の横滑り、派閥会長の相次ぐ入閣、派閥による売り込み、郵政造反復党組の登用といったように、福田改造内閣は、その顔触れ、人事のスタイルともに「脱小泉流」が際立っています(東京新聞)。また、新メンバーの与謝野経済財政相や伊吹財務相は、与党との「協調路線」に軸足を置く可能性が高いことから、「経済成長重視」を掲げ、「官邸主導の政策決定プロセス」の象徴だった諮問会議は大きく様変わりすることが予想されるのです(朝日新聞)。その顔触れ、人事のスタイルの点では、「昔の自民党に戻ってしまった」という欠点となった半面、政府の経済財政諮問会議のメンバーが変わった点では、一般市民の日々の暮らしに目を向けた経済政策の実施に転換することになりますから、利点といえるわけです。

これに対して、経済界は、経済同友会の桜井正光代表幹事が「改革の継続・加速しか道はない」との談話を発表するなど、小泉流の構造改革路線の継続を求める声が多く出ています(日経新聞平成20年8月2日付朝刊5面)。このように、経済界は、一般市民の声とはかけ離れた意識なのですから、もし、この主張に沿うのであれば、衆院解散・総選挙において、自民党は大敗を喫してしまい、解党の危機に陥ることが必至です。日経新聞も、こうした経済界と歩調を合わせ、平成20年8月3日付社説において、「医療や介護にかかる費用もまだムダは多く、歳出の伸びを抑える工夫は必要だ」と述べて、「金のない病者は死ねばいい」と暗に述べて見せるのです。

また、読売新聞は、「新テロ特措法改正案など国としての基本にかかわる重要法案は、衆院の3分の2以上の多数を使って、粛々と再可決、成立させていく覚悟が肝要だ」と述べています(読売新聞平成20年8月2日付「社説」)。もし3分の2の多数での議決を乱発すれば、「自民党・公明党は民主主義議会で必要とされる『妥協』を受け入れる能力が欠けている」と国民は判断して、結局は、衆院解散・総選挙において、自民党は大敗を喫してしまい、解党の危機に陥ることが必至なのです。

福田改造内閣は、衆院解散・総選挙において大敗を喫することを覚悟で、小泉構造改革路線の継続を実施するのか、それともそうした路線を捨て去り、国民の暮らしの安全、安心を守るという路線(医師不足対策や子育て支援策を盛り込んだ「五つの安心プラン」や、消費者庁の創設など)を真剣に実施するのか、市民の側はよく見極める必要があります。




3.最後に。

■有権者も選択の備えを

 政府・自民党が今月下旬の召集を想定しているのに対し、公明党は9月下旬の召集と、早めの解散・総選挙を求めている。補給支援特措法の延長で再可決することにも慎重だ。麻生新幹事長の手腕が問われることになる。

 その麻生氏の外交姿勢は、とくに対中国、対アジア政策の面で首相とはだいぶ落差がある。

 首相が解散準備の態勢を整えたことで、民主党もいよいよ安閑としてはいられない。来月には代表選挙が迫っているというのに、小沢代表に対抗する有力候補者が名乗りを上げないのは寂しい限りだ。

 代表選での論戦は、民主党が目指す新しい政治のあり方を有権者に示す格好の機会だ。国民にはどの程度の負担を求めるのか。主張する政策を裏付ける財源はどうなっているのか。説得力のある回答を示さねばならない。

 再選が有力視される小沢氏は、代表選後にマニフェストの党内論議を本格化する構えだが、それでは遅すぎないか。総選挙に向けた準備を党全体として加速させるべきだ。

 さて、有権者も近づく総選挙に向けて、選択の準備に入ろう。どんな政策、政権を望むのか。これからの永田町の論戦に目をこらしたい。」(朝日新聞平成20年8月2日付「社説:福田新体制―船出した解散準備内閣」)



安倍政権のように、福田首相が政権を投げ出さない限り、衆院議員の任期満了を迎える来年秋までには、衆院選が必ず行われます。公明党が望んでいることから、早期の解散・総選挙が行われる可能性もあります。どんな政策を希望するのか、与野党どちらに政権を任せるべきか、自らの一票で今後の政治として何を選ぶのか、「有権者も近づく総選挙に向けて、選択の準備」に入ったのです。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
頭の中身を改造したほうがよさそうです。
期待すると裏切られるので、静観していたほうがよいかも知れません。
2008/08/03 Sun 20:14:53
URL | としき #emXmKJzE[ 編集 ]
昨今のメディアの、“小泉政治全否定”の風潮は、“戦前戦中全否定、全ては東条の責任”とした戦後報道と酷似しています。
何故、是々非々、issue by issueの報道が出来ないのか。
例えば、シャッター街なんて90年代後半から始まっていました。(当時、地方出張が多かったので実情を知ってます)
円高から逃げる、貿易摩擦を避ける、労務コストを下げるというモチベーションから、大手メーカーが(組み立てを中心とする)生産ライン下流の海外シフトを積極的に進めたのもこの時期です。(私の勤めていた中小企業も例外ではなかった)
産業界の「このままでは国内工場は全部閉鎖になってしまう」との悲鳴を受け、(急場凌ぎの安易な弥縫策であったのは否めないが)非正規雇用の規制緩和が始まったのも、またこの時期。
“始まり”に小泉さんの影も形も無い。

小泉総理は、国民が「もっと改革、もっと緩和」と言うから、90年代後半からの規定路線(ネオリベ)を加速させただけでしょう。

一方、竹中氏が“稀人、偏人”小泉を後ろ盾に、官僚機構、日本経済の病巣、梗塞、血栓、宿痾に斬り込んで行った功績は大いに評価されるべきだと思う。 あの二人でしか出来なかったことだった。(高橋洋一氏の著書を読めばよく分るのだが) 
見てくれだけ、食い散らかしただけ、病巣と一緒に正常細胞も破壊した等々の批判は、何れも当たっている部分が少なくなく、私は“小泉パンドラ政権”と呼ぶのが相応しいようにも思うのだけど...。

で福田さん.....、大洪水*を乗り切る気迫も技術も腕力も無いよ。(*ギリシャ神話でパンドラは生き残るのだが)

2008/08/04 Mon 12:44:50
URL | rice_shower #UXr/yv2Y[ 編集 ]
>としきさん:2008/08/03 Sun 20:14:53
コメントとTBありがとうございます。


>頭の中身を改造したほうがよさそうです。
>期待すると裏切られるので、静観していたほうがよいかも知れません

福田首相自体が替わらないと意味がないのでしょうね。期待しなければがっかりすることもない……ことは確かですね。
2008/08/06 Wed 06:39:23
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
>rice_showerさん:2008/08/04 Mon 12:44:50
コメントありがとうございます。


>例えば、シャッター街なんて90年代後半から始まっていました。(当時、地方出張が多かったので実情を知ってます)
>円高から逃げる、貿易摩擦を避ける、労務コストを下げるというモチベーションから、大手メーカーが(組み立てを中心とする)生産ライン下流の海外シフトを積極的に進めたのもこの時期です。(私の勤めていた中小企業も例外ではなかった)

確かに、1990年代後半からですね。東京新聞平成20年8月2日付24・25面「こちら特報部」では、日経連が1995年5月に発表した報告書「新時代の『日本的経営』―挑戦すべき方向とその具体策」こそ、非正規雇用を増大させた元凶であると指摘しています。当時はバブル経済崩壊から3、4年後の頃であり、長期不況に陥っていたころに発表された報告書ですね。

「リストラの原点、日経連報告書(1995年)を検証
2008年8月2日

 格差問題の象徴といわれる派遣社員などの非正規雇用。すでに全雇用者の35・5%にまで拡大、不安定な待遇への不満から凶行事件も生まれ、政府はようやく派遣労働の規制強化に動きだした。この“非正規増大”の歴史を振り返ると、長期安定雇用を看板としていた日本企業を大転換させた一冊の報告書に行き着く。リストラマニュアルともいうべき“原点”を検証した。 (久原穏)」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2008080202000104.html


>一方、竹中氏が“稀人、偏人”小泉を後ろ盾に、官僚機構、日本経済の病巣、梗塞、血栓、宿痾に斬り込んで行った功績は大いに評価されるべきだと思う

この報告書と相俟って、経済戦略会議のメンバーに就任(1998年)以来、政府の構造改革路線の旗振り役を務めたのが竹中平蔵氏ですね。この竹中氏は、現在、人材派遣大手パソナ特別顧問の地位にいる(東京新聞平成20年8月2日付25面)のですから、いまだに「改革利権」による利益を得ている者がいるわけです。オリックスの宮内義彦氏は、自ら規制緩和を行い、「改革利権」で儲けたことはご存知だとは思います。

「官僚機構、日本経済の病巣、梗塞、血栓、宿痾に斬り込んだ」こと自体は評価できると思います。ですが、結局は、オリックスの宮内義彦氏のように、規制緩和を行うことで、既得権者が独占していた利権を奪うことを容認しただけだったのではないかと思えるのです。

また、タクシー問題で明らかになっているように、規制緩和による弊害を放置したまま(=無視したまま)、小泉氏は首相を辞め、何の手当ても説明もしないのです。ですから、rice_showerさんさんが仰るように「食い散らかしただけ」だったために、小泉路線に厳しい批判が向けられるのだと思うのです。


>福田さん.....、大洪水*を乗り切る気迫も技術も腕力も無いよ

そうですね。例えば、この改造内閣で国民の暮らしの安全、安心を守るという路線(医師不足対策や子育て支援策を盛り込んだ「五つの安心プラン」や、消費者庁の創設など)が実施できるのか、はっきりしないんですよね……。最初から、期待しない方がいいのかもしれませんけど。
2008/08/06 Wed 07:12:50
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