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2008/07/19 [Sat] 01:17:39 » E d i t
動物の供養で知られる東京・両国の「回向院」の境内にあるペットの遺骨保管施設などが、課税(固定資産税と都市計画税)の対象にならない宗教施設に当たるかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は7月17日、東京都の上告を棄却する決定をしました。これにより、東京都の課税処分を違法とした2審・東京高裁判決が確定しました。



1.まず、報道記事を幾つか。

(1) YOMIURI ONLINE(2008年7月17日23時25分)(紙面未掲載)

回向院のペットの骨保管施設「課税処分は違法」確定…最高裁

 江戸時代の相撲興行などで知られる東京都墨田区の「回向院(えこういん)」が、ペットの骨の保管施設は宗教施設ではないとの理由で固定資産税など約138万円を課されたのを不服とし、都に課税処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は17日、都の上告を棄却する決定をした。

 都の課税処分を違法とした2審・東京高裁判決が確定した。

 1審・東京地裁判決は、「民間業者の動物霊園と大きな違いはない」として課税を適法としたが、2審は、「回向院は江戸時代から動物供養が行われ、地域住民からも厚い信仰の対象とされている」と判断していた。

(2008年7月17日23時25分 読売新聞)」



(2) MSN産経ニュース(2008.7.17 22:16)

ペット供養施設「課税取り消し」が確定
2008.7.17 22:16

 動物供養で知られる東京都墨田区の寺院「回向(えこう)院」が、都が行ったペット供養施設への固定資産税課税処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は17日、都側の上告を棄却する決定をした。処分取り消しを命じた2審東京高裁判決が確定した。

 回向院は飼い主から持ち込まれたペットの遺骨を、境内のロッカーで年2~5万円で保管。都側は「民間業者の動物霊園と違わない」としてロッカーの敷地などに課税した。

 1審東京地裁は都側の主張を認めたが、2審は「回向院では江戸時代から動物供養が行われており、ロッカーも宗教活動のために欠くことができない施設」と指摘し、課税処分を取り消した。」




2.地方税法は「宗教法人がもっぱら本来の目的に使う境内建物と境内地」を非課税の対象であると定めています(地方税法348条2項3号、地方税法702条の2第2項)。そこで、境内にあるペットの遺骨保管施設・土地は、「宗教法人がもっぱら本来の目的に使う境内建物と境内地」か否かが問題となったわけです。


(1) 1審から最高裁までの裁判の経緯は、次の通りです。

この事案では、都は2004年「有料でペット供養をしており民間事業者と変わらない」と指摘し、固定資産税と都市計画税計約140万円を課したのです。そこで、回向院はその処分の取り消しを求めて訴訟を提起したところ、1審・東京地裁判決は、「民間業者の動物霊園と大きな違いはない」として課税を適法としました。

しかし、2審・東京高裁判決は、回向院が江戸時代から動物の供養を行い世間に広く知られていることや定期的な法要実施を挙げ、「宗教活動に欠かせない建物」と認定しました。そして、浄土宗以外の教義での供養は行わず宣伝もないとして、民間業者の営利事業とは異なると判断し、請求を棄却した1審判決を取り消したのです。

最高裁は、この2審・東京高裁判決を妥当と判断して、都の上告を棄却する決定をした、というのが裁判の経緯です。

2審・東京高裁判決の判断は妥当であると考えていますので、その2審判決をそのまま維持した最高裁決定もまた妥当であると考えています。なお、2審・東京高裁判決の妥当性については、「“ペット供養は宗教活動”で課税取り消し~東京高裁平成20年1月23日判決」(2008/01/26 [Sat] 18:40:46)をご覧下さい。



(2) ペット供養訴訟については、高裁までの判断(名古屋高裁平成18年3月7日判決、東京高裁平成20年1月23日判決 )は出ているだけで、最高裁での判断はありませんでした。今回、はじめて最高裁がペット供養に関して判断を示し、ペット供養に関して宗教性を認めた高裁判決を維持しました。この点で、今回の最高裁には重要な意義があります。

ペット供養は法人税法上は「収益事業」であるとの判例(名古屋地裁平成17年3月24日判決、名古屋高裁平成18年3月7日判決)があるなど、どちらかというとペット供養の宗教性を否定するのが下級審判例の傾向でした。ところが、原審である東京高裁判決とそれを維持した今回の最高裁決定は、ペット供養の宗教性を肯定したのですから、税務当局は、今後は、ペット供養に関して非課税処理の範囲を広げざるを得なくなったのです。

ただし、最高裁決定は原審の判断を維持しただけにとどまったのであり、ペット供養に関する一般的な基準を示したものではないようですから、事例判断を示しただけのように思われます。そのため、他の寺院におけるペット供養訴訟の結果を左右するものとはいえないと考えます。

もちろん、この最高裁決定は、境内にあるペットの遺骨保管施設・土地は、地方税法上の「宗教法人がもっぱら本来の目的に使う境内建物と境内地」に当たるとして非課税となる、と判断したにとどまります。ですから、それ以外のペット供養に関する課税処分に関しては、この最高裁決定の射程範囲に入らないといえますので、税務当局との争いは残ることになります。



(3) 原審である東京高裁平成20年1月23日判決は、回向院の歴史性などいわば特殊な事情を考慮したがゆえに、動物の遺骨保管施設に対して非課税とするという判断をしたといえます。ですので、この東京高裁の射程範囲は極めて狭いと理解するのが妥当であり、東京高裁を是認した最高裁の射程範囲も極めて狭いと判断するべきです。

そのため、他の寺院においてペットの遺骨保管施設を巡って課税処分の是非が争われた場合、必ずしも課税取り消しとなるわけではないことに注意すべきです。

回向院の理念は「有縁・無縁に関わらず、人・動物に関わらず、生あるすべてのものへの仏の慈悲を説くもの」であり、回向院での動物供養の歴史は回向院の開創間もない頃(江戸時代である、回向院二世信誉上人の時代)まで遡るほど古いものであって、動物供養は回向院と切り離せないものです。

このような回向院と同程度に動物供養の歴史性がある寺院であれば、ペット供養への宗教性が認められる可能性は高く、ペット供養への課税処分は取り消される可能性は高いことは確かです。ただし、回向院と同程度に動物供養の歴史性がある寺院は、ほとんど存在しないと思われます。

ですから、ドンキホーテなどの民間業者の下請けとなってペット供養を行っている宗教法人の場合、そのペット供養のための施設は「宗教施設」といえず、それに対する課税処分は適法となる可能性は高いといえます。また、ペット供養を行っている宗教法人の多くも、相当に宗教性が高くないと、ペット供養のための施設は「宗教施設」とならず、それに対する課税処分は適法となりそうです。




3.最高裁決定は、回向院の場合に関しての事例とはいえ、「ペットの遺骨保管施設」に対しては非課税としたのですから、今後、多くの寺院が「ペットの遺骨保管施設」事業を開始することが予想されます。なぜなら、「ペットの遺骨保管施設」事業は、民間業者と異なり非課税となるのですから、やはりうま味のある「商売」であり、台所事情が苦しい寺院にとって魅力的なのですから。

この最高裁決定は、仏教寺院の住職・寺族ならびに全国の全仏教宗派関係者等に欠かせない実務情報を提供する「寺門興隆」(出版社:興山舎)に紹介されると思われます。そして、最高裁決定への分析とともに、いかにして非課税のままで「ペットの遺骨保管施設」事業を開始できるかの分析を行うことになると思われます。

しかし、いかに最高裁決定を分析しようとも、寺院が新しく「ペットの遺骨保管施設」事業をはじめても非課税となるわけではなく、そう甘くないというべきです。既に述べたように、最高裁の射程範囲は極めて狭いと判断するべきなのですから。

そうはいっても、仏教の世界観では、動物にも霊があり人間と同様に供養の対象であること、それのみならず、動物の供養は飼主である信者の信仰に基づくものなのです。言い換えれば、動物の供養は飼主による宗教行為であって、寺院側の読経などの供養は動物のみならず飼主に対する宗教行為でもあるというべきです。

ですから、ペット供養は、仏教においては宗教法人の本来的活動に含まれているというべきなのです。最高裁決定がペット供養の宗教性を是認する判断を示した点にこそ、最も重要な意義があるように考えます。

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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2008/07/19(土) 21:25:15 | 晴天とら日和
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2008/07/21(月) 12:53:14 | ??
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