「就業構造 非正規の割合最高 07年35.5%、20年で倍近くに2008年7月4日 朝刊
総務省が三日まとめた二〇〇七年の就業構造基本調査(速報)によると、パートやアルバイトなど非正規就業者の割合が35・5%と過去最高を記録し、二十年前と比べ二倍近くに上昇した。
企業がバブル崩壊後にコスト削減で非正社員化を積極的に進めたことが背景。〇七年は景気拡大を受けて企業が労働力を確保するため、主婦層や団塊の世代の非正規雇用を増やした結果とみられる。
男女別では男性19・9%、女性55・2%とそろって過去最高を記録、男性は二十年前の二倍以上、女性は一・五倍に上昇した。一九八七年は男性が9・1%、女性は37・1%だった。前回調査の〇二年は前々回九七年と比べ、男性が5・2ポイント増の16・3%、女性は8・9ポイント増の52・9%と急上昇。さらに〇七年は男性が3・6ポイント、女性は2・3ポイント上がった。(以下、省略)」(東京新聞平成20年7月4日付朝刊3面)
1.こうした非正規雇用の実情については、東京新聞(のみ?)が積極的に報じているのですが、大変珍しいことに読売新聞も報じていました。
「「働く貧困層」が社会問題となっているが、特に深刻なのが母子家庭だ。「女性」「子持ち」「非正社員」と、働く上で不利な要素が重なっていることが背景にある。一方、これまで注目されなかった父子家庭も、厳しい状況にあることがわかってきた。ひとり親家庭の実情と課題を、2回にわたって報告する。(大津和夫)」(読売新聞平成20年7月8日付夕刊)
朝刊でなく、目にすることが少ない夕刊で報じている(夕刊でしか報じることができない!?)ことが読売新聞らしいといえますが、意義ある内容ですので、この記事について紹介したいと思います。
(1) 読売新聞平成20年7月8日付夕刊4面「最前線」欄
「ひとり親家庭の支援(上) 構造的な貧困 自助努力、限界
母子世帯 子ども3人、月収14万台
「働く貧困層」が社会問題となっているが、特に深刻なのが母子家庭だ。「女性」「子持ち」「非正社員」と、働く上で不利な要素が重なっていることが背景にある。一方、これまで注目されなかった父子家庭も、厳しい状況にあることがわかってきた。ひとり親家庭の実情と課題を、2回にわたって報告する。(大津和夫)
■ そろそろ限界
母子家庭の窮状を街頭で訴えるNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」のメンバーら(2007年10月、東京都内で) 「生活に展望が見えない」
小学生2人と高校生1人の3人の子どものシングルマザー高田さゆりさん(仮名)(35)(関東地方在住)はこう嘆く。5年前、暴力の絶えなかった夫から離れるため、子どもを連れて家出。昨年、離婚が成立した。
生活が苦しいのは、安定した仕事に就けないためだ。高校卒業後、間もなく結婚したさゆりさんは、夫が専業主婦であることを求めたため、働いた経験がほとんどない。そのうえ、3人の子持ちで、「残業は無理でしょ」とハローワークに言われるなど、求職活動もままならない。
今までやったのは、病院や事務の派遣社員といった非正社員の仕事だけ。今の仕事もアルバイトだ。契約期間も短く、月収は、残業代を入れても、多くて14万円台という。
離婚する際、子どもの養育費についての取り決めはしなかった。そもそも、別れた夫は、仕事が不安定で、仕送りなどあてにできない。役所に生活保護の申請を試みたが、「まだ若い」と、遠回しに断られた。「でも、生活保護の世話にはなりたくない。正直、ホッとしているんです」とも明かす。
最近、精神疾患を患い、治療を受け始めた。長女は中学入学以来、不登校を続けている。さゆりさんは言う。「身も心も、そろそろ限界です」
■ 9割「生活苦しい」
厚生労働省が6月に発表した「母子家庭の母の就業支援施策の実施状況」によると、2006年の母子世帯の平均所得は211万9000円。全世帯(563万8000円)を大幅に下回るだけでなく、高齢者世帯(301万9000円)よりも少ない。現在の暮らし向きについて「苦しい」と回答したのは、全世帯平均は56・3%だったのに、母子世帯は約9割に上った。
母子世帯の母親は、8割以上が働いているが、失業率は7・1%(07年)で、一般世帯(3・9%)より高い。
母子家庭を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京)の赤石千衣子理事は、「よほどの専門的なスキルがない限り、女性は一度離職すると、正社員になるのは難しい。子持ちであればなおさらで、求職活動すらままならない。自助努力ではどうにもならないような構造的な問題がある」と話す。
近畿地方のある自治体幹部は、こう付け加える。「母子家庭の母親は、低学歴である傾向が強いうえ、精神疾患を患うケースも少なくない。まさに働く貧困の象徴。自立は簡単ではない」
■ 底上げの必要性
国は2002年、母子及び寡婦福祉法など関連法を改正。様々な新規事業を通して、母子家庭の自立支援を各地で展開している。
例えば、「母子家庭等就業・自立支援センター」を設置し、仕事の相談やパソコン講習会などを実施。また、福祉事務所などに専門員を配置して、個別に自立までの計画を策定する「母子自立支援プログラム事業」や、看護師などの資格取得にかかる費用の一部を負担する「高等技能訓練促進費事業」も行っている。
「労働政策研究・研修機構」(東京)が今年6月にまとめた「母子家庭の母への就業支援に関する研究」によると、こうした事業を「利用したことがある」と回答した割合は、自立支援センターは64%と比較的高かった。だが、自立支援プログラムは15%、高等技能訓練促進費事業は2・3%にとどまった。利用しなかった理由として、多くは「知らなかったから」と回答しており、情報提供のあり方が問題点として浮き彫りになっている。専門員の人材育成なども課題として指摘されている。
神戸学院大の神原文子教授(家族社会学)は、「様々な問題を抱えがちな母子世帯は、生活が苦しく、貧困状態が固定化される傾向もある。就業支援の拡充はもちろんだが、最低賃金の引き上げなど、まともな生活ができるよう、底上げも図る施策が必要だ」と話している。
<母子家庭>
未婚、離別、死別の女親と、その未婚の20歳未満の子どものみで構成する世帯。2005年の国勢調査によると、74万9048世帯で、2000年の前回調査(62万5904世帯)に比べて約2割増えた。8割は「離婚」が理由。
(2008年7月8日 読売新聞)」
イ:最も注目すべきは、母子世帯の9割が苦しいという異常事態であることです。
「■ 9割「生活苦しい」
厚生労働省が6月に発表した「母子家庭の母の就業支援施策の実施状況」によると、2006年の母子世帯の平均所得は211万9000円。全世帯(563万8000円)を大幅に下回るだけでなく、高齢者世帯(301万9000円)よりも少ない。現在の暮らし向きについて「苦しい」と回答したのは、全世帯平均は56・3%だったのに、母子世帯は約9割に上った。
母子世帯の母親は、8割以上が働いているが、失業率は7・1%(07年)で、一般世帯(3・9%)より高い。
母子家庭を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」(東京)の赤石千衣子理事は、「よほどの専門的なスキルがない限り、女性は一度離職すると、正社員になるのは難しい。子持ちであればなおさらで、求職活動すらままならない。自助努力ではどうにもならないような構造的な問題がある」と話す。
近畿地方のある自治体幹部は、こう付け加える。「母子家庭の母親は、低学歴である傾向が強いうえ、精神疾患を患うケースも少なくない。まさに働く貧困の象徴。自立は簡単ではない」
9割が生活が苦しいという状況になる原因となる理由としては、記事にも出ているように、「別れた夫は、仕事が不安定で、仕送りなどあてにできない」という理由もあるでしょうが、前夫が養育費を支払わないということが少なくないからです(養育費不払いの取立てについては、「『パパ、お願い!払ってね』 養育費不払い取立てマニュアル」(All About)(掲載日:2005年 05月 17日)を参照)。支払い義務を負っている男性が養育費を払うだけでも、母子世帯の生活苦は緩和されるのです。
男性が養育費を払うとしても、「自助努力ではどうにもならないような構造的な問題」は残りますし、生活苦も原因となっているとは思いますが、「精神疾患を患うケースも少なくない」わけです。精神疾患をわずらったままでは、ますます働くことが困難になっていくことになっていくのです。仕方なく、「役所に生活保護の申請を試みたが、『まだ若い』と、遠回しに断られた」りするのです。生活保護もみとめられないとなれば、どうやって母と子は生きていくのでしょうか。子供は学校に通うことさえ困難になり、「貧困の固定化」となってしまうのです。
ロ:9割が生活が苦しいという状況では、国民健康保険(国保)の保険料を滞納する結果になり、無保険状態の子供が多数でてくることも意味します。
(a) 毎日新聞2008年6月28日大阪夕刊
「無保険:大阪17市町で子ども628人 国保料滞納で−−民間団体調べ
◇府全体、推計2000人に
国民健康保険(国保)の保険料を滞納したため、保険給付を差し止められ、医療費の全額自己負担が必要になった世帯の子ども(中学生以下)が、大阪府内17市町で3月末現在、628人に上ることが民間団体の調べで分かった。大阪市、堺市など6市は「データがない」としている。給付が差し止められている世帯数は府全体で約3万世帯あり、この団体は、大阪市などを含む府全体では子ども約2000人が「無保険」に陥っていると推計する。
児童福祉法は、保護者と同等に国や自治体も子どもの育成責任を負うとしている。また「無保険」の親が子どもの受診を手控える例も多いといい、早急な是正が求められる。
国民皆保険制度のほころびが指摘される中、子どもの「無保険」は昨年京都で発覚。まとまった人数が把握されたのは初めてだ。
民間団体の大阪社会保障推進協議会(大阪社保協)が府内43市町村に質問状を送り、回答を集計した。17市町が「いる」とし、20市町村が「いない」と回答した。大阪、堺、寝屋川、守口、茨木、柏原の6市は「データがない」などとして回答しなかったが、大阪市も、差し止め対象に子どものいる世帯があることは認めており、大阪社保協は府全体で約2000人と推計した。
国保財政の立て直しのため多くの自治体が、国保料を1年以上滞納した「ペナルティー」として、給付を差し止めている。その際、市町村は保険証を取り上げる代わりに、被保険者の地位を証明するだけの資格証明書を発行している。07年6月現在の発行数は全国で約34万世帯に達する。
毎日新聞の取材に対し、東大阪市は「相談に来ない場合の資格証明書発行はやむを得ない。子育て世帯も例外ではない」と回答。門真市は「心情的には発行したくないが、滞納者と接触できない時は仕方ない」とした。厚労省国保課は05年5月に「乳幼児が含まれる世帯は対象外とすることを検討すべきだ」との見解を示している。(以下、省略)
毎日新聞 2008年6月28日 大阪夕刊」
(b) 毎日新聞2008年6月28日大阪夕刊
「無保険:行政、弱者見捨てるの? 借金抱え、生活費は月10万円以下−−大阪の母子
◇一時無保険 子どもの医療費、500円が1万円に
「水か保険かと言われれば、水を取るしかなかった」。大阪府北部で11歳と4歳の男児を育てる母子家庭の母親(37)の生活費は月10万円以下。光熱水費の支払いを優先して月約1万円の国民健康保険(国保)の保険料を滞納した結果、子どもまで「無保険」となった。昨年末、風邪の次男の受診をためらっていると、熱は40度に。病院に駆け込むと、3日分の薬代を含めて1万7000円を請求された。「行政は、おぼれかけた人を助けないのですか」と嘆いた。【平野光芳】
両親の事業が5年前に行き詰まり、連帯保証人として多額の借金を抱えた。返済は月25万円。派遣の事務員や深夜の冷蔵食品の仕分け作業など、毎日三つの仕事を掛け持ちするが、月収は多くて約34万円だ。水道を止められたこともある。
保険給付を差し止められる「無保険」の怖さを思い知らされたのは昨年秋。長男を受診させた皮膚科医院の窓口で、「保険が使えません。全額支払ってください」と言われた。普段なら500円ほどで済むが、請求額は約1万円。市役所から届いた資格証明書は保険証の一種と思い込んでいた。
昨年末の次男の発熱に至り、「子どもの命が危ない」と危機感を感じた。無理をして仕事を休み、今年1月に市役所の窓口へ相談に行った。だが、応対した職員の第一声は「金払ってもらわな、保険証なんて作れるわけがない」。
女性は「払えるものなら払いたい。借金先より市役所の対応の方がひどかった」と、悔しがった。職員の荒らげた声が、今も耳から離れない。
それでも、「無保険」のままではいられず、1月に再び市役所を訪れた。結局、月5000円を支払う条件で、有効期限を数カ月に限った短期保険証を2月から交付された。5月には、通常の保険証を取り戻した。しかし今後も保険証を維持できるかどうか、不安だ。仕事が常にあるとは限らない。そうすれば、また国保料を払えなくなり、再び保険証を取り上げられる。
「病気になった時、せめて子どもだけでも何とかしてほしかった。中学生になると子どもにお金もかかるので、心配です」。そう言って、女性はオレンジ色の保険証をぎゅっと握りしめた。
毎日新聞 2008年6月28日 大阪夕刊」
子供はどうしても病気を患うことが多いのですので、健康保険加入は不可欠です。しかし、生活苦で無保険の状態では、高額となる医療費を支払うことができないのでは、子供の命の保障がありません。女性が非正規雇用に追い込まれている弊害は、子供の命の危機にまで及んでいるのです。こうしたことが判明していながら、見捨てているのが今の厚労省や政府なのです。
(2) 読売新聞平成20年7月9日付夕刊4面「最前線」欄
「ひとり親家庭の支援(下) 増える非正社員 父子世帯困窮
低収入でも児童扶養手当の対象外
父子家庭でも、生活に苦しむケースが目立つようになった。不安定な非正社員として働く男性が増えていることが背景にあるが、経済支援は限られているのが実情だ。(大津和夫、写真も)
■ 冷ややかな反応
「父子家庭も、母子家庭と同じように経済支援をしてほしい」
今年1月、「山梨県父子家庭の会」(甲府市)の代表で、自分自身も父子家庭の父親である会社員、佐野臣功(たみのり)さん(34)は、知事あての要望書を県の担当者に手渡した。
佐野さんが昨年9月に設立した同会には、現在、県内に約30人の会員がいる。要望書では、母子家庭と同じ所得でも父子家庭には原則として児童扶養手当が支給されないなど、経済支援が乏しい現状を指摘。同じひとり親として平等に扱ってほしいと訴え、県に対応を求めた。
これに対して県は、「男性の場合は正社員として働くケースが多い。そもそも、国の主導で実施すべき課題」(児童家庭課)と冷ややかだ。
厚生労働省は、「父子家庭に求められているのは、経済支援より家事や育児支援」(家庭福祉課)とし、児童扶養手当の適用拡大に否定的。同省の「全国母子世帯等調査結果報告」(2003年)によると、父子世帯の平均年間収入は390万円と、母子世帯の212万円より多いのが、その理由とされる。
■ 家計もピンチ
だが、生活苦にあえぐ父子家庭は、決して限られた存在ではない。
同じ調査報告によると、父親が働く父子家庭のうち、年収300万円未満の割合は35・8%に上る。こうした世帯の相当数は、母子家庭であれば児童扶養手当の対象となる経済状況であるとみられるが、父子家庭というだけで、現行の児童扶養手当法では適用外だ。
また、父子家庭で困っていることとして、「家事」(34・6%)に次いで多かったのが「家計」(31・5%)。父子家庭の中にも、経済支援が必要なケースがあることがうかがえる。
背景には、不透明な景気動向や派遣労働などの規制緩和などに伴い、従来正社員として働くことが多かった男性にも、不安定な働き方を強いられがちな非正社員として働く人が増えていることがある。総務省の調査によると、非正社員で働く男性の割合は、1988年には8・1%だったのが、2007年には18・3%に増えている。
さらに、保育園の送迎や家事をこなしながら仕事を両立させるには、残業や転勤もある正社員として働き続けるのは難しい。こうした事情も、非正社員にならざるを得ない状況に拍車を掛けている。
自らも安定した職探しに苦労したという佐野さんによると、収入が少なくても子どもは自分で育てたいという男性も目立つという。「会員には、月収20万円で2人の子を育てている人もいる。行政は低収入の父子家庭を切り捨てないでほしい」と、佐野さんは訴える。
■ 独自の支援
父子家庭への経済支援制度を独自に設ける自治体も現れている。
東京都港区は4月から、児童扶養手当の対象を、父子家庭にも拡大した。同区によると、全国で同様の対応を取っている自治体は、10程度あるという。
同区は昨年6月、約60の父子世帯を対象に意識調査を実施。「求める支援」を聞いたところ、7割が「経済的支援」と回答したのを踏まえて、児童扶養手当の対象拡大に踏み切った。同区子ども課は、「バブル崩壊後、働く人の環境が変わった。その影響は父子家庭も例外ではない。男性でも安定した仕事に就ける時代ではない」と話す。
厚労省の調査(03年)によると、父子世帯は17万3800世帯で、98年の前回調査と比べ、6・4%増えている。離婚などでひとり親世帯が増えていることや、子育てにかかわりたいという男性の意識変化を踏まえれば、今後、父子家庭が増えることも予想される。
立教大の湯沢直美准教授(社会福祉論)は、「雇用環境の変化に加え、家庭の貧困が子どもにも引き継がれることを防ぐ意味でも、父子家庭も含め、子を持つ低所得世帯への経済支援の拡充が求められる。一方で、長時間労働の見直しなど、男性が主体的に子育てにかかわれる環境整備も必要だ」と話している。
<児童扶養手当>
母子世帯が対象。母と子1人の場合、おおむね年収365万円未満が適用対象。支給額は最大で月4万1720円。受給者数は、08年2月末現在、99万8942人。
(2008年7月9日 読売新聞)」
イ:父子世帯も生活苦にあえいでいるという点について、(個人がブログなどで発していることは目にしても)大きく扱った記事は初めてかもしれません。
「■ 家計もピンチ
だが、生活苦にあえぐ父子世帯は、決して限られた存在ではない。
同じ調査報告によると、父親が働く父子家庭のうち、年収300万円未満の割合は35・8%に上る。こうした世帯の相当数は、母子家庭であれば児童扶養手当の対象となる経済状況であるとみられるが、父子家庭というだけで、現行の児童扶養手当法では適用外だ。
また、父子家庭で困っていることとして、「家事」(34・6%)に次いで多かったのが「家計」(31・5%)。父子家庭の中にも、経済支援が必要なケースがあることがうかがえる。
背景には、不透明な景気動向や派遣労働などの規制緩和などに伴い、従来正社員として働くことが多かった男性にも、不安定な働き方を強いられがちな非正社員として働く人が増えていることがある。総務省の調査によると、非正社員で働く男性の割合は、1988年には8・1%だったのが、2007年には18・3%に増えている。
さらに、保育園の送迎や家事をこなしながら仕事を両立させるには、残業や転勤もある正社員として働き続けるのは難しい。こうした事情も、非正社員にならざるを得ない状況に拍車を掛けている。」
生活が苦しくなっている父子世帯が増えた背景も、やはり「透明な景気動向や派遣労働などの規制緩和などに伴い、従来正社員として働くことが多かった男性にも、不安定な働き方を強いられがちな非正社員として働く人が増えていること」でした。またしても、非正規雇用となることで低収入となり、生活苦をもたらしているのです。
ロ:現行の児童扶養手当法では、父子家庭というだけで適用外となっている不合理性が問題なのですが、これを解消しようとする自治体はあるようです。
「父子家庭への経済支援制度を独自に設ける自治体も現れている。
東京都港区は4月から、児童扶養手当の対象を、父子家庭にも拡大した。同区によると、全国で同様の対応を取っている自治体は、10程度あるという。
同区は昨年6月、約60の父子世帯を対象に意識調査を実施。「求める支援」を聞いたところ、7割が「経済的支援」と回答したのを踏まえて、児童扶養手当の対象拡大に踏み切った。同区子ども課は、「バブル崩壊後、働く人の環境が変わった。その影響は父子家庭も例外ではない。男性でも安定した仕事に就ける時代ではない」と話す。」
こうした自治体の取り組みは、現実に即したもので正しい対応といえます。しかし、生活苦にあえぐ父子世帯の存在は、一部の地域のだけの問題とは思えません。自治体の個別対応だけではなく、政府又は国会で、父子家庭も対象にするように児童扶養手当法を改正する方が妥当であるように思います。
3.生活苦にあえぐ母子世帯・父子世帯への対応は色々とあるとは思います。
(1) この記事でも、次のような主張があげられています。
「神戸学院大の神原文子教授(家族社会学)は、「様々な問題を抱えがちな母子世帯は、生活が苦しく、貧困状態が固定化される傾向もある。就業支援の拡充はもちろんだが、最低賃金の引き上げなど、まともな生活ができるよう、底上げも図る施策が必要だ」と話している。」(読売新聞平成20年7月8日付夕刊)
「立教大の湯沢直美准教授(社会福祉論)は、「雇用環境の変化に加え、家庭の貧困が子どもにも引き継がれることを防ぐ意味でも、父子家庭も含め、子を持つ低所得世帯への経済支援の拡充が求められる。一方で、長時間労働の見直しなど、男性が主体的に子育てにかかわれる環境整備も必要だ」と話している。」(読売新聞平成20年7月9日付夕刊)
(2) これらの対策も必要だと思いますが、非正規雇用者の収入が低すぎるから問題になるわけです。(当たり前のことですが)
雇用形態も種々ありますから、すべてに妥当する対策とはいえませんが、派遣労働の場合には、派遣会社がピンハネするマージン率を規制することが、効果的であるように思います。労働者派遣法では、マージン率の規制がないため、3〜4割の「ピンはね」は通常であって、5割や6割という「ピンはね」さえもあると言われています。
「派遣会社の高率なマージンがある限り、派遣労働者は余程の体力と要領の良さがなければ、ワーキングプアから脱出できないのである。
「マージン率に手をつけなければ、この問題(派遣問題)はどうにもならない」。労働問題を専門に手がける弁護士や労働法規に詳しい政治家は口を揃える。
言え方を変えれば、派遣会社は高率のマージンで巨額の収入を得ている。これほど濡れ手で粟の商売もない。」(「【ハケンという蟻地獄】「派遣」の正しい理解の仕方(下)」(JanJan:田中龍作2008/06/29))
こうした濡れ手で粟の商売を合法的に行っていけるのですから、実にオイシイ商売です。こうした馬鹿げた商売が蔓延るからこそ問題が生じているですから、「ピンはね」規制がまず必要であるということは、「労働問題を専門に手がける弁護士や労働法規に詳しい政治家」の共通認識となっているのです。
(3) 報道機関は、派遣労働規制に対して、明示的に反対(読売、日経)だったり、消極的な姿勢であることが目に付きます。それは、報道機関も、派遣事業といオイシイ商売で利益を得ているからであるように思います。例えば、朝日新聞は、「朝日新聞総合サービス株式会社」や「朝日派遣」(秋葉原殺傷事件後、こっそり閉鎖するとの告知をして閉鎖した)といったことを行っています。
「朝日派遣 Asahi派遣
2007年10月のスタート以来、みなさまのご支持を
いただいておりました派遣のお仕事検索サイト
「Asahi派遣」は、このたび諸般の事情により
誠に勝手ながら2008年6月30日を
もって閉鎖させていただきます。
大変ご迷惑をおかけしますが、
ご理解のほどよろしくお願いいたします。」
「朝日派遣」は、秋葉原殺傷事件後、急に閉鎖するとの告知をして閉鎖して閉鎖してしまいましたが、「朝日新聞総合サービス株式会社」での派遣事業は残したままです。
朝日新聞平成20年7月6日付朝刊26面の求人広告欄において、「朝日新聞総合サービス株式会社」の派遣事業部は、「朝日新聞地方版の校閲」を業務内容とした求人広告を出していました。朝日新聞社では、(地方版といえども)記事の誤りや不備を調べ、検討・訂正することで、間違った情報を出さない最後の砦ともいえる「校閲」さえも、低賃金で派遣労働者に任せて、使い捨てしてしまうのです。新聞記事の劣化よりも、派遣事業というオイシイ商売が優先なのですから、報道機関が、派遣労働規制に消極的な姿勢が多いのは、必然であるといえそうです。(派遣元のみならず、派遣先への批判が少ないのも、「派遣労働の問題に深入りすると、天につばすることになりかねない」(週刊金曜日2008年6月27日号21頁)からでしょう。)
まずは、派遣労働規制に消極的な報道機関の報道に惑われることなく、低収入の元凶となっている「ピンはね」を規制することが必要であると思います。
禁止されている港湾労働にも人を出している派遣会社が有ったなどというのは“笑えない”ギャグです。
非正規雇用を否定する気はさらさら有りませんが、“その場凌ぎの安易な弥縫策”としての非正規雇用依存は、結果として確実に企業の底力を毀損し、やがて淘汰されるとの深刻な認識を求めたいですね、企業経営者には。(実際、例の関東何とかも、頭脳部分のみ残して、生産自体は大幅に規模縮小されるのでしょう?)
URL | rice_shower #UXr/yv2Y[ 編集 ]
>宮崎学氏の『近代ヤクザ肯定論』
>禁止されている港湾労働にも人を出している派遣会社が有ったなどというのは“笑えない”ギャグです
派遣業は、暴力団が手配するなど、ある意味、昔からヤクザな商売だったわけだったのに、それが小泉改革のおかげで、ピンハネし放題の「正業」になったわけです。
>非正規雇用を否定する気はさらさら有りませんが、“その場凌ぎの安易な弥縫策”としての非正規雇用依存は、結果として確実に企業の底力を毀損し、やがて淘汰されるとの深刻な認識を求めたいですね、企業経営者には。
低賃金で生産の調整弁とみなしているような非正規雇用の扱いでは、非正規雇用者側も、全くやる気がでません。正社員が非正規雇用者を奴隷のように扱うなど差別が蔓延するようでは、企業へはもちろんのこと、正社員との信頼関係をもつことはできません。正社員側がどう思っていても。
トヨタ自動車でさえ、“その場凌ぎの安易な弥縫策”としての非正規雇用依存を推進しているのですから、日本企業の経営者に、「確実に企業の底力を毀損し、やがて淘汰されるとの深刻な認識」を持て、というのは無理なのかもしれませんね。
>実際、例の関東何とかも、頭脳部分のみ残して、生産自体は大幅に規模縮小されるのでしょう?
そのようですね。国内需要は低迷していますから。多くの低賃金者を量産し、下請け企業に経営していけないほどの切りつめを要求した結果、自らの行為で、国内に将来への不安をますます蔓延させている以上、国内需要が減るのは当然の成り行きなのですけどね。
今のような将来への不安が蔓延している日本では、今後も、ますます国内需要は減るでしょうから、自動車メーカーでは、正社員の非正規化・低収入化が進むでしょうね。そして、ますます正社員による非正規社員への差別的扱いが過激化する……。「非正規社員を差別している場合じゃないのでは?」と気づくのは何時の日のことやら。
まだそういう頓珍漢な立ち位置に拘泥してるんですか。春霞さんは、もう少し賢明な方と思っていたのですが、どうやら見込み違いだったようで残念です。
正社員が、非正規社員の労働待遇に決定権を持っているのですか?それは「雇う側」の専権事項じゃないんですか?
労労間格差だとか職場内の「イジメ」の問題と、非正規雇用の雇用条件の話を味噌も糞も一緒くたにして、内需が低迷とかなんとか・・・もう少し理性的に、論理的にマトモなことをおっしゃったら如何ですか。
内需がシュリンクしている問題についても、あまりにも単純で一面的なことしかお書きになっていないことに呆然とさせられます。
この関係は、それなりに経済研などの分析も出ていますし、企業自体もステークホルダー向けの「弁明」の中で種々触れています。
低価格車のことにしても、ある意味メーカーの自縄自縛の部分もあることにわざと目をつぶってません?
低所得者に商品を購入してもらうには、低価格の商品を開発するしかない。しかし低価格の商品を販売するには、その製造にかかる各種経費を切り詰めないと売価が下がらない。
昨今は労賃だってもはや『聖域』たり得ないですからね、「雇用を守る」ためには。すると回りまわって消費者の購買力を削ぐことで商品価格を「お手ごろ」にする・・・メーカーにとっても死のスパイラルなわけですよ。尤も、国内市場は自動車メーカーにとって、それほど市場規模が大きくないので、欧州仕向けの「フロク」みたいな作り方でいいのかもしれないですけども。
皮肉を言うと、国内生産が継続して労働市場が成立しているうちはまだマシだとも言えるのです。私が稼動していた企業なんか、より安価な労働力を求めて大幅に海外移転しちゃいましたからね。
品質や輸送コストに折り合いがつくようになれば、そのうち国内の自動車メーカーは大挙して中国やタイ、ベトナムあたりに製造拠点をゴッソリ移す(=国内の労働需要がスッカラカンになる)こともありうると思っておくべきでしょう。
URL | 惰眠 #Oy5awZbQ[ 編集 ]
山梨県父子家庭の会です。
読売新聞で取り上げてもらえたことで、父子家庭の実態を少しでも理解してもらえたら幸いです。
このたびは、その記事を取り上げてくださり、ありがとうごいざいます。
>読売新聞で取り上げてもらえたことで、父子家庭の実態を少しでも理解してもらえたら幸いです。
>このたびは、その記事を取り上げてくださり、ありがとうごいざいます
今まで父子家庭の実態が知られずにいたこと自体がおかしかったのだと思います。これからも、できる限り取り上げることができたら、と思っています。
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