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2008/06/17 [Tue] 01:07:28 » E d i t
親子2代にわたる「無戸籍の連鎖」が解消されることになりました。

いわゆる民法の離婚後300日規定が原因で戸籍がない兵庫県の女性が先月出産した男の子について、子供の出生届が受理されず無戸籍のままになる恐れがありました。その解消の要望を受けて鳩山邦夫法相が配慮する考えを示したため、法務省の異例の指示で、女性の夫である男性の長男として6月11日、出生届が受理され、戸籍が作られたからです。



1.まず、報道記事を幾つか。

(1) 毎日新聞平成20年6月12日付朝刊1面

無戸籍:女性の子に戸籍 法律婚認め、救済--法務省

 離婚後300日規定により無戸籍となった兵庫県内の女性(27)が5月末に出産した男児が11日、同県内の自治体で出生届を受理され、戸籍に記載された。女性は戸籍がなく事実婚を余儀なくされた。このため男児の出生届の受理には女性の戸籍が必要で、男児も無戸籍となることが懸念されていた。法務省は、女性の無戸籍のままでの結婚(法律婚)を認め、通常の夫婦のケースと同様に夫の戸籍に記載することで、無戸籍となることを避けた。

 法務省によると、当事者が無戸籍での婚姻届を認めたのは初めて。無戸籍者の結婚を認めて親子2代にわたる無戸籍を回避した手続きは、同様のケースの救済につながりそうだ。

 戸籍法の施行規則は、結婚を届ける際に、戸籍謄本など名前や年齢など身分を証明する書類の提出を義務付けており、自治体は通常、戸籍謄本の提出を求めている。

 法務省民事局によると、今回は代替書類として、医師による出生証明書などで、女性の身分事項が証明できたため、これまで事実婚だった夫との法律婚を認めた。

 そのうえで、結婚によって新たに作られた夫を筆頭者とする戸籍では、「無籍者」である女性との結婚経緯を記載。妻である女性の欄は無戸籍のため記載せず、生まれた男児の欄には、「父」として夫の名前、「母」として女性が使っている名前を記した。

 2代にわたる無戸籍をめぐっては、離婚が成立していない母親と別の男性との間に生まれたため無戸籍になった大阪府の女性(24)が、子供2人を産み、戸籍がない状態になったケースが明らかになっている。

 民事局の担当者は「今回、民法や戸籍法の枠内で救済できた。同様のケースでは、詳細を調査したうえで適切に対応したい」と話している。【坂本高志】

==============

 ■ことば

 ◇無戸籍者

 戸籍に記載がなかったり戸籍自体がない状態。離婚後300日規定により「前夫の子」となるのを拒んで親が出生届を出さなかったり、前夫の子を覆す裁判手続きを取らないなどの理由で子供が無戸籍となる。

毎日新聞 2008年6月12日 東京朝刊」



(2) 毎日新聞平成20年6月12日付朝刊26面

無戸籍児:無戸籍女性の子、父親戸籍に記載 救済の道、広げて 同じ境遇の女性ら期待

 親子2代にわたり無戸籍となる懸念があった兵庫県の無戸籍女性(27)が先月産んだ男児は11日、戸籍に記載された。法務省が取った手続きは、無戸籍のまま女性の結婚を認める内容。この特例に従えば、親子で無戸籍という事態が避けられるだけでなく、結婚は困難とされてきた無戸籍の人たちの結婚が認められることになる。関係者から期待の声が相次いだ。

 「(息子の)戸籍が取れて本当にうれしく思います。私も含め無戸籍の問題が残っているが、できれば何らかの救済方法を考えてほしい」

 先月29日に男児を出産した女性は、支援者を通じてそうコメントした。

 関係者によると、地元の法務局から今回の手続きの説明があったのは出産の数日前。出産前日に婚姻届を提出したが、「これで夫の姓を名乗ることが公的に認めてもらえた」と感じた。多くの人に支えられてきたため、男児には「思いやりのある元気な子に育ってほしい」と願っているという。

 戸籍がない2人の幼児を育てる大阪府内の無戸籍女性(24)も「自分の子供も戸籍登録され、親子2代の無戸籍が解消できるかもしれない」と期待を膨らませた。女性は、母親が前夫との離婚協議が困難な中、別の男性との間に生まれた。05年と06年に生まれた子供が住民票に記載されているのが救いだ。「私も結婚できたり子供の戸籍が取れるのか役所の窓口で相談したい」と話した。

 「無戸籍児家族の会」の井戸正枝事務局長(42)は「無戸籍者でも結婚できることが確認できた。大きな一歩だ。法務省には、こうした措置を全国で共有できるように徹底してほしい」と求めた。【工藤哲】

毎日新聞 2008年6月12日 東京朝刊」




(3) 朝日新聞平成20年6月12日付朝刊38面

離婚後300日問題 無戸籍2世の出生届、初めて受理
2008年6月12日1時45分

 離婚後300日以内に生まれた子は「前夫の子」とみなす民法の規定のため無戸籍となった兵庫県内の女性(27)が出産した子どもについて、居住地の自治体が11日、戸籍を認める判断をした。支援団体が明らかにした。「無戸籍2世」に戸籍ができたのは全国で初めてという。

 市民団体「民法772条による無戸籍児家族の会」によると、女性の母親はドメスティックバイオレンス(DV)などを理由に離婚し、その73日後に別の男性との間にできた女性を出産。民法772条の規定で前夫の子とされるため、母親は出生届を出せなかった。女性は昨夏に夫(27)と結婚式を挙げたが、戸籍がないため婚姻届が出せず、事実婚の状態で妊娠、今年5月29日に男児を出産した。

 法務省は無戸籍2世を救済するため、「無戸籍者の場合は他の書類で身分事項を確認できれば婚姻届を受理できる」との見解を初めて自治体に提示。自治体は女性の母親の戸籍などを提出させて婚姻届を受理し、新しくできた戸籍に男児を「長男」として記載した。

 ただ、女性にはもともと戸籍がないため、新しい戸籍には夫と男児の名前しか記されず、女性の無戸籍状態は続いている。

 家族の会事務局長の井戸正枝・兵庫県議は「今回のような方法で無戸籍2世が救済されたのは大きな一歩。子どもの人生のスタートから戸籍がない状態が解消されたのは良かった」と評価する。そのうえで、「女性は婚姻できても戸籍はないまま。法務省は更なる救済拡大を進めてほしい」と注文した。

 無戸籍児問題に詳しい兵庫県弁護士会所属の山田康子弁護士は「今回の手法では、母子家庭の子どもらは救えない。無戸籍児の問題は法律によるいじめだと思う」と指摘。立命館大法学部の二宮周平教授(家族法)は、「出産した病院の証明書などで親子関係が確認できれば、子どもを父親の戸籍に入れるようにすべきだ。婚姻や出生の届け出の証明方法を柔軟にして、戸籍至上主義を改めてほしい。民法772条の抜本的な見直しも不可欠だ」と話す。

 同様の問題を抱えている大阪府内の女性(24)は「同じような境遇だけに、子どもに戸籍が認められたと聞いてほっとした。これでお子さんが将来困らなくて済む。私の子どもにも早く戸籍を認めてほしい。無戸籍の連鎖を止めてほしい」と話した。(戸田和人)」






2.この法務省による異例の指示は、無戸籍の女性の戸籍を認める特例ではありませんが、2点、重要な意味があります。

(1) まず、無戸籍の女性も法律婚が可能になったということです。

 「法務省によると、当事者が無戸籍での婚姻届を認めたのは初めて。無戸籍者の結婚を認めて親子2代にわたる無戸籍を回避した手続きは、同様のケースの救済につながりそうだ。
 戸籍法の施行規則は、結婚を届ける際に、戸籍謄本など名前や年齢など身分を証明する書類の提出を義務付けており、自治体は通常、戸籍謄本の提出を求めている。
 法務省民事局によると、今回は代替書類として、医師による出生証明書などで、女性の身分事項が証明できたため、これまで事実婚だった夫との法律婚を認めた。
 そのうえで、結婚によって新たに作られた夫を筆頭者とする戸籍では、「無籍者」である女性との結婚経緯を記載。」(毎日新聞)

 「法務省が取った手続きは、無戸籍のまま女性の結婚を認める内容。この特例に従えば、親子で無戸籍という事態が避けられるだけでなく、結婚は困難とされてきた無戸籍の人たちの結婚が認められることになる。関係者から期待の声が相次いだ。」(毎日新聞)


戸籍法施行規則によれば、婚姻届を提出する際には、身分を証明する書類があればよいのに、自治体では(便宜上というよりも、法務省の意向で)、戸籍謄本の提出を求めていたのですから、法律婚(婚姻届の提出による婚姻)は可能であるとしたわけです。

戸籍謄本の要求などの根拠は、「規則」という法務省令での縛りであり、戸籍法などのという「法律」による縛りでなかったので、法律婚も戸籍法を変更することなく可能と判断したといえます。

しかし、この対応は、「結婚によって新たに作られた夫を筆頭者とする戸籍」を作成するというものですから、戸籍のある配偶者がいることが前提であって、無戸籍者同士の婚姻は難しいといえそうです。



(2) もう1点は、もちろん、無戸籍の女性の子供の出生届が認められ、子供の戸籍が作られたことです。すなわち、「無戸籍の連鎖」は解消されたわけです。

 「法務省民事局によると、今回は代替書類として、医師による出生証明書などで、女性の身分事項が証明できたため、これまで事実婚だった夫との法律婚を認めた。
 そのうえで、結婚によって新たに作られた夫を筆頭者とする戸籍では、「無籍者」である女性との結婚経緯を記載。妻である女性の欄は無戸籍のため記載せず、生まれた男児の欄には、「父」として夫の名前、「母」として女性が使っている名前を記した。」(毎日新聞)

 「法務省は無戸籍2世を救済するため、「無戸籍者の場合は他の書類で身分事項を確認できれば婚姻届を受理できる」との見解を初めて自治体に提示。自治体は女性の母親の戸籍などを提出させて婚姻届を受理し、新しくできた戸籍に男児を「長男」として記載した。」(朝日新聞)



無戸籍の女性でも、子供の出生届は可能になったのですから、子供については戸籍がないことによる不利益は解消されることになりました。


ただし、かなり苦肉の対策のように感じます。

「無戸籍児問題に詳しい兵庫県弁護士会所属の山田康子弁護士は「今回の手法では、母子家庭の子どもらは救えない。無戸籍児の問題は法律によるいじめだと思う」と指摘。立命館大法学部の二宮周平教授(家族法)は、「出産した病院の証明書などで親子関係が確認できれば、子どもを父親の戸籍に入れるようにすべきだ。婚姻や出生の届け出の証明方法を柔軟にして、戸籍至上主義を改めてほしい。民法772条の抜本的な見直しも不可欠だ」と話す。」(朝日新聞)


今回の方法は、無戸籍の母親であり、母子家庭を維持する場合には、その子供は戸籍を作成することができないからです。法務省の今回の特例措置は、あくまで、母親が法律婚をすることを前提として、子供に戸籍を作成する形をとっているからです。

また、事実婚を維持することを希望する場合も、その子供は戸籍を作成することができません。法務省の今回の特例措置は、無戸籍の母親が法律婚をすることを前提として、子供に戸籍を作成する形をとっているからです。

無戸籍の女性の子供だから、子供の出生届や戸籍を認めないのではなく、二宮教授が述べるように「出産した病院の証明書などで親子関係が確認できれば、子どもを父親の戸籍に入れるよう」な方法もみとめられるべきでしょう。




3.今後の行方と課題について、触れておきます。

(1) まず、同様の事例についても、同じ対応を採るのかどうか、です。

「民事局の担当者は「今回、民法や戸籍法の枠内で救済できた。同様のケースでは、詳細を調査したうえで適切に対応したい」と話している。」(毎日新聞)

「法務省は「子どものことを考え、法律の枠内で可能な方法を検討した。あくまでも個別の判断になるが、同じようなケースなら同じ方法で対応できると思う」と話しています。」(NHKニュース6月11日 18時48分)。

 「同家族の会事務局長の井戸正枝兵庫県議も今回のケースを「無戸籍でも婚姻関係を法的に認めた踏み込んだ対応」としながら、「声を上げたから認められたといった特例になっては意味がない」と問題の抜本的解決を訴える。
 これに対し、法務省は「今回と同様のケースであれば、同じように対応できると思うが、それぞれの事情や意思が絡む問題。相談があれば個別に対応していくしかない」としている。」(神戸新聞(6/12 09:23)


法務省としては、「今回と同様のケースであれば、同じように対応」をとるようですが、あくまでも個別判断であるということのようです。今回の措置を歓迎しつつも、幅広く同じような対応をとることを求めたいと思います。



(2) 今後の課題としては、特例にとどめることのない対応をとるべきだということです。

「立命館大法学部の二宮周平教授(家族法)は、「……婚姻や出生の届け出の証明方法を柔軟にして、戸籍至上主義を改めてほしい。民法772条の抜本的な見直しも不可欠だ」と話す。」(朝日新聞)

  「同家族の会事務局長の井戸正枝兵庫県議も今回のケースを「無戸籍でも婚姻関係を法的に認めた踏み込んだ対応」としながら、「声を上げたから認められたといった特例になっては意味がない」と問題の抜本的解決を訴える。」(神戸新聞(6/12 09:23)


井戸正枝兵庫県議が述べるように、「声を上げたから認められたといった特例になっては意味がない」のです。「戸籍至上主義を改め」て、「民法772条の抜本的な見直しも」行うべきです。すべての人が戸籍がない状態を解消すべきであり、戸籍がない状態などのトラブルは関係家族の負担になるのですから、元々、トラブルが生じないようにする方が合理的だからです。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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