FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
09« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»11
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2008/06/09 [Mon] 23:11:16 » E d i t
東京都千代田区外神田の秋葉原電気街の交差点で6月8日午後0時30分すぎ、男が通行人をトラックではねた後、ナイフで刺す無差別殺傷事件がおき、男性6人と女性1人が殺害されました。死者7人のうち2、3人には刺された傷がないため、はねられ死亡したとみられ、刺された人の多くは傷が1ヶ所だけで、ナイフで一突きされたようです(朝日新聞6月9日付夕刊1面)。ほかに10人が怪我を負い、その10人のうち男性5人と女性2人が重傷です。
6月10日追記:マスコミ報道の比較と、日研総業の実態について追記しました。6月11日追記:「関東自動車工業」の工場の関係者からの情報を追記しました。)



1.まず、報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年6月9日付夕刊1面

秋葉原通り魔 7人死亡 トラックで突入、刺す
2008年6月9日 夕刊

 東京都千代田区外神田四の秋葉原電気街で八日午後零時三十分ごろ、トラックが歩行者天国の路上に突っ込んで人をはね、車から降りてきた男が両刃のダガーナイフで通行人や警視庁の警察官を次々に刺した。男女七人が死亡、十人が重軽傷を負った。男は約五分後に同庁万世橋署員らに取り押さえられ、殺人未遂の現行犯で逮捕された。 

 捕まったのは、静岡県裾野市富沢、派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)。調べに対し「人を殺すために今日、静岡から秋葉原に来た。誰でもよかった」「生活に疲れ、世の中が嫌になった」「秋葉原には何度か来たことがあり、人がたくさんいるので選んだ」と供述。さらに携帯電話サイトの掲示板に犯行を予告する書き込みをしたことを認めているという。同庁捜査一課は同署に捜査本部を設置し、殺人容疑に切り替えて詳しい動機を調べている。

 警察庁によると、通り魔事件としては過去十年で最悪の被害とみられる。

 死亡した七人は十九-七十四歳の男性六人と二十一歳の女性。男性八人と女性二人が重軽傷を負った。このうち同署交通課の警部補(53)は、トラックにはねられた人を救助していて刺され重傷を負った。

 調べでは、加藤容疑者は二トントラックで神田明神通りを東に走行。歩行者天国の中央通りとの交差点で三人をはねた。約五十メートル先で降車後、中央通りに戻り、ダガーナイフで周囲の通行人らに次々に切りつけた。

 事件発生から約五分後、近くの交番の警察官が加藤容疑者を路地に追い詰め、拳銃を向けて「凶器を捨てろ」と警告。ナイフを捨てたところを取り押さえた。ナイフは刃渡り約十三センチで、加藤容疑者は上着の内ポケットに別の折り畳みナイフを所持していた。

 トラックは八日朝、静岡県沼津市のレンタカー会社の営業所で「引っ越しに使う」と言って借り、裾野-横浜青葉インターまで東名高速を使い、国道246号で秋葉原に来たという。調べに「犯行は二、三日前に決めた」と供述しているという。」



(2) 読売新聞平成20年6月9日付夕刊1面

逮捕の25歳派遣社員「人を殺すために秋葉原に…」

 8日午後、歩行者天国でにぎわう東京・秋葉原の交差点で、男が通行人をトラックではねた後、サバイバルナイフで次々と切りつける通り魔事件があり、警視庁は、静岡県裾野市富沢、派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)を殺人未遂の現行犯で逮捕した。

 被害者は死者7人、重軽傷者10人にのぼった。加藤容疑者は犯行の約7時間前から携帯電話のサイトで「秋葉原で人を殺します」と犯行を予告。調べに対し「人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった」などと供述している。同庁捜査1課では特捜本部を設置し、容疑を殺人に切り替えて動機の解明などを進めている。

 同庁幹部によると、加藤容疑者は午後0時35分ごろ、トラックをジグザグ運転しながら、猛スピードで千代田区外神田1の交差点に進入。通行人3人をはねた後、交差点から数十メートル離れた道路脇に止まった。運転席から降りると、サバイバルナイフ(刃渡り約13センチ)を取り出し、交差点付近まで戻って、はねられて倒れていた人たちや通行人らに襲いかかったが、約5分後、交差点から約50メートル離れた路地で、駆け付けた万世橋署員らに取り押さえられた。

 加藤容疑者は「犯行は2~3日前に決意した。秋葉原は人がたくさんいることがわかっていた」「世の中が嫌になった。生活に疲れた」と供述しているという。

 加藤容疑者は昨年11月から派遣会社の日研総業(東京都大田区)に派遣社員として登録、静岡県裾野市にあるトヨタグループの自動車メーカー工場で働いていたが、事件3日前の今月5日から無断欠勤していた。

          ◇

 亡くなった方は次の通り。

 東京都板橋区、無職小岩和弘さん(47)▽杉並区、無職中村勝彦さん(74)▽北区、東京芸大4年武藤舞さん(21)▽埼玉県熊谷市、東京電機大2年藤野和倫(かずのり)さん(19)▽同県蕨市、会社員宮本直樹さん(31)▽千葉県流山市、東京情報大2年川口隆裕さん(19)▽神奈川県厚木市、調理師松井満さん(33)

(2008年6月9日11時41分 読売新聞)」



(3) 日経新聞平成20年6月9日付夕刊18面

疎外感が生む「確定的殺意」

 何の落ち度もない人たちに無差別に危害を加える事件は、これまでも繰り返し引き起こされている。秋葉原の無差別殺傷事件も、たとえば1980年から翌年にかけて東京で相次いだ「深川通り魔事件」や「新宿バス放火事件」などと構図自体は似ている。

 しかし、80年代の両事件が判決で薬物などの影響を指摘されているのと異なり、最近の事件では犯人が社会に対する身勝手な不満や恨みを募らせ、「確定的な殺意」に基づいて犯行に及んでいるケースが目立つ。

 さらに不気味なのは、極めて限られた人々の間であるとはいえ、こうした犯罪者を「すごいことをやった人物」として扱い、共感を寄せる雰囲気が存在する点だ。インターネットや携帯電話の普及で、犯人は犯行予告を書き込み、一般の人がそれを「論評する」という異常な現象が普通になりつつある。

 こうした傾向は、2001年に大阪教育大付属池田小学校で起きた連続児童殺傷事件のころから強まっている。04年、奈良で女児を誘拐・殺害した男が、東京・埼玉の連続幼女殺害事件(88―89年)と大阪の事件の犯人の名を挙げ「第二の宮崎勤、宅間守として世間に名が残ればいい」と供述したことが典型といえる。

 「誰でもよかった」。今回の事件で容疑者が供述しているというこの言葉は、今年3月に茨城県土浦市のJR荒川沖駅前で8人が殺傷された事件や、1999年の東京・池袋の通り魔殺傷事件でも逮捕された男が口にしている。

 確定的な殺意を抱いて犯行を計画し、不特定多数の集まる場所で無差別に凶器を振るうような犯罪は防げない。司法の分野では厳罰化で対処しようとする流れがあるが、「死刑になりたかった」という動機による犯罪が目立ちつつある現状をみると、むしろ逆効果にしかならないというむなしさを感じる。

 今回の事件の容疑者は派遣会社に登録し、自動車部品工場で働いていた。事件との関係は不明だが、正規と非正規に雇用形態が分かれる職場環境やワーキングプア(働く貧困層)の問題など、社会の変化への不適合が最近の犯罪の背景にあるとの指摘は少なくない。

 家庭、地域、職場とあらゆる場所で人間関係が希薄化している。「自分だけが理不尽な扱いを受けている」という疎外感を抱きやすい状況になっているという現実を、社会全体で受け止めなくてはならない。 (編集委員・坂口祐一)」




2.実に悲惨な事件です。警察庁によると、通り魔殺傷事件とは、「人が自由に出入りできる場所で、確たる動機がなく、通りすがりに不特定の人を凶器を使用するなどして殺傷する事件」と定義していますので(東京新聞平成20年6月9日付夕刊10面)、今回の事件は通り魔殺傷事件にあたります。


(1) この悲惨な事件を行った犯人として捕まった派遣社員加藤智大氏は、警察に対して「生活に疲れ、世の中が嫌になった」と述べているようです。そうすると、その「生活に疲れ」たという背景、すなわち犯罪の背景には「派遣」の事情にあるのではないでしょうか。

「加藤容疑者は昨年11月から派遣会社の日研総業(東京都大田区)に派遣社員として登録、静岡県裾野市にあるトヨタグループの自動車メーカー工場で働いていたが、事件3日前の今月5日から無断欠勤していた。」(読売新聞)


「今回の事件の容疑者は派遣会社に登録し、自動車部品工場で働いていた。事件との関係は不明だが、正規と非正規に雇用形態が分かれる職場環境やワーキングプア(働く貧困層)の問題など、社会の変化への不適合が最近の犯罪の背景にあるとの指摘は少なくない。」(日経新聞)



トヨタの労働環境の悪さはよく知られ、多くの方が指摘していることですから、とうとう、トヨタの労働環境の問題がこうして犯罪を犯す背景につながったのではないかと、多くの方が推測しているのだろうと思います。

ここで注目しておくのは、「派遣会社の日研総業」のことです。この会社こそ、最も酷い派遣会社として有名です。一般紙で報道されたという記憶はないので、「しんぶん赤旗」(2005年5月1日(日))を引用しておきます。

「2005年5月1日(日)「しんぶん赤旗」

過酷労働 動けず休んだ青年の寮に「てめえ」と…

現代「たこ部屋」物語

--------------------------------------------------------------------------------

 青年を使い捨てにする請負労働が広がっています。「給料がよくて、楽な仕事がある」といって、労働者を送り込み、徹底的にこき使う、たこ部屋といわれる実態をリポートしました。

 (酒井慎太郎)

--------------------------------------------------------------------------------

 正社員をめざしたものの、結局は請負以外に仕事がなかった岐阜県の男性(35)。会社が借り上げていた富山県黒部市のアパートの一室に住み込み、市内のYKK工場で働き始めました。アパートの住所も教えられず、昼休みと午前、午後の十分間の休憩以外は立ちずくめの作業でした。

 十一日目の朝、体が動かず「とても仕事につけない」と欠勤を申し出ました。

 「てめえー、ここは学校じゃない。社会なんじゃ。何考えとるんや」。営業担当者がどなり込んできました。

 男性は「こんな使われ方は耐えられない」と翌朝、退職を伝えました。実際に働いたのは十日間でした。

 振り込まれた給料は、たった三万―四万円でした。欠勤のペナルティーで日給九千円が六千円にダウン。その日給で就業日から計算されました。そこから昼四百円の弁当代十日分、二週間分の寮費と自転車、テレビ、ふとん、洗濯機のリース料が引かれます。

 「給料というより、小遣いです。何のために働きに行ったのだろう。あぜんとしました」

 男性が働いていたのは、人材派遣・業務請負の最大手、日研総業(本社・東京都大田区)でした。百四十を超す事業所で新規の請負・派遣労働者を月に四千人採用し、約九百社の取引先企業に送り込みます。二〇〇四年三月期の売上高は八百八十二億円にのぼります。

 正規雇用の道を断たれ、若者の多くが請負・派遣で過酷な労働を強いられています。「正規雇用の拡大を」―青年の痛切な叫びです。

寮の住所も教えられず

 日研総業が「寮」と称して、男性を押し込んだアパートの生活は異常そのものでした。黒部市での二週間、男性は自分が寝起きする「寮」の住所すら知りませんでした。

 「そのことは、いいから」と住所を教えない営業担当者。食材などを送ってくれる親が書いた送り先の住所は、請負採用した富山市の事業所でした。この男性以外、寮で手紙や荷物を受け取る人もなく、住所などいりませんでした。

 記者が「寮」にたどりつけたのは、買い物をした近所のスーパーや窓越しに見えていた保育園など、男性のわずかな記憶をたどったものでした。

 六世帯が入る二階建てアパート。その前には、入居者用とみられる自転車が。「日研三十三号」「日研四十六号」と書いたステッカーが後輪の泥よけに張ってあります。

 六畳二間の二LDK。初めは個室でした。

 「毎日、仕事から帰ってくると知らない人がいました。一人ずつ増えていき、四人でぎゅう詰めの満杯になりました」

 年齢は二十五歳から四十代後半。みんな数日の小旅行に出かけるような大きめのスポーツバッグが荷物でした。自炊道具などの段ボール四箱を運び込むと、営業担当者はいいました。「荷物、多いんじゃないの」

 「寮」から自転車で約十分の職場は、YKKの工場。アルミサッシの加工ラインで、木目調フィルムをカッターで切り張るなどの作業でした。

 数日前、別のラインで同じような作業に就いていた四十代の正社員が心筋梗塞(こうそく)で倒れました。

 黒部市に赴いた当時、男性には、親の仕送りから自立する“社会復帰”への願いがありました。高校卒業後の長時間労働から、二十一歳で、うつ病を発症。完治を待たずに再就職しますが、三十歳のとき、約三カ月の住み込みの請負労働で病気を悪化させ、治療入院などで二年ほど仕事から離れていました。

 社会復帰の願いもむなしく、相談に訪れたハローワークでは、男性の病気や職歴の多さを理由に紹介を断られました。

 「まともに取り合ってもらえませんでした。追い詰められていました。請負の世界しか、受け入れてくれるところはありませんでした」と男性。

 地元に戻った男性はいま、生活保護を受けて暮らしています。

 急成長を続ける請負・派遣業界。その陰には、正規採用の門を拒まれた多くの若者たちの過酷な労働があります。

 「正社員で働ける道は閉ざされてきています。働こう、仕事を探そうと思っても希望がない。企業はまず、正規雇用を考えてほしい」」


この「赤旗」の記事は2005年当時の「日研総業」の状況であり、今は幾分改善されているでしょうし、加藤智大氏の生活状況はそこまで酷くないのかもしれません。しかし、少し前までは、「現代『たこ部屋』物語」といえるほど、酷い会社だったのです。こうした酷い派遣労働者の劣悪な状況、それを分かっていて搾取するトヨタのような大企業のエゴを直ちに改善しないと、また今回と同じような犯罪が、今後も何度も何度も発生してしまうのではないでしょうか。



(2) 最高裁が83年7月に永山則夫元死刑囚に対する判決で示した「死刑の判断基準」は、事件の罪質、動機、事件の態様(特に殺害手段の執拗性、残虐性)、結果の重大性(特に殺害された被害者の人数)、遺族の被害感情、社会的影響、被告の年齢、前科、事件後の情状--を総合的に考慮し、刑事責任が極めて重大で、やむを得ない場合に死刑も許される、としています。

この基準からすれば、7人殺害・10人に重軽傷という今回の事例では、死刑という厳罰をもって臨むことになるのでしょう。


しかし、今回の事件をみると、厳罰化にどれほどの意味があるのかと感じざるを得ません。

「確定的な殺意を抱いて犯行を計画し、不特定多数の集まる場所で無差別に凶器を振るうような犯罪は防げない。司法の分野では厳罰化で対処しようとする流れがあるが、「死刑になりたかった」という動機による犯罪が目立ちつつある現状をみると、むしろ逆効果にしかならないというむなしさを感じる。」(日経新聞)


厳罰化での対処は、「むしろ逆効果にしかならないというむなしさを感じる」という意見に共感します。

正規と非正規に雇用形態が分かれる職場環境やワーキングプア(働く貧困層)の問題が犯罪の背景にあるという指摘があり、また、「自分だけが理不尽な扱いを受けている」という疎外感を抱きやすい状況になっているという現実(日経新聞)。こうした日本社会の理不尽さが改善されなければ、確定的な殺意を抱いて不特定多数を殺傷するケースは、一層、増えていくでしょう。

もちろん、今回の犯罪の背景はまだはっきりせず、今後色々調べる必要があるとしても。例えば、勤め先である「関東自動車工業の東富士工場では、派遣社員を6月末で200人から50人にまで減らす計画があり、解雇されるとの不安が生じており、さらに、6月5日の始業直前に作業着がなかったことから、会社が「6月末で辞めろ(と嫌がらせをした)」という意味と捉え、犯行の直接の引き金になったようです(毎日新聞平成20年6月9日付夕刊11面)。こういった事情は、より絶望に追い込んでしまったものといえます。
(夕刊フジ6月9日発行2面によると、容疑者は以前、「親が借金を重ねるから青森から飛んだ(=夜逃げした)。ろくでもねえオヤジだ…」と友人に語ったそうです。このように、色々と事情があるようです。)

事件の発生により被害者の無念さを思い、犯人に厳しい非難が集まるのは当然のことです。しかし、だからといって、死刑を求めて死刑判決に喝采し、厳罰化で一時留意を下げたところで、今後の犯罪防止にとっては効果が乏しいことを理解する時期に来ていると思うのです。



<6月10日追記1>

気になったのは、容疑者の勤め先を明示していない報道機関があったことです。容疑者は、派遣会社の「日研総業」に登録し、トヨタグループの自動車メーカーの工場で働いていたのですが、その2点を明示したのは、読売新聞(6月9日付夕刊)だけでした。(産経新聞は東京では夕刊がないので省略しました)

朝日新聞・東京新聞・日経新聞(いずれも6月9日付夕刊)は、派遣会社の「日研総業」に登録、「関東自動車工業」の工場でという形で触れていますが、「トヨタ」という明示はしていません。しかし、「関東自動車工業」ということだけで、トヨタグループと分かる人もいるとは思いますが、トヨタ自動車へ配慮しているのではないかとの疑念が生じますから、やはり「トヨタ」名を明確しておくべきだったと思います。(これらは、紙面による。それぞれのHPでの配信記事では「日研総業」を明示していないところまである。)

ところで、日経新聞の6月9日付の記事は、犯罪の背景には「正規と非正規に雇用形態が分かれる職場環境やワーキングプア(働く貧困層)の問題」があると指摘し、いつもは大企業のお先棒を担いでいる日経新聞らしからぬ内容でした。よく踏み込んだ解説ですから、非常に優れたものだったと高く評価したいと思います。他の新聞ではこんな解説は皆無でした。

これに対して、毎日新聞6月9日付夕刊に至っては、「関東自動車工業」だけでトヨタ名は明示していないばかりか、派遣会社名まで明示してません日経新聞のような優れた解説も、もちろんありませんでした。毎日新聞は、そこまでこれらの悪名高い企業に義理立てする必要があったのでしょうか。毎日新聞社の力のなさを感じ、もはや報道機関として終わってしまったのではないかと、感じます。



<6月10日追記2>
「ガテン系連帯」さんの「日研総業への要求事項」にも、日研総業の実態が出ています。一部引用しておきます。

「3.私たちの時給は1,150円ですが、出向を偽装した期間中、日野自動車が貴社に対し、どんな名目で1人1時間当たりいくら支払っていたのか、説明して下さい。
 日野自動車が貴社に対し、「私たち出向者に対する賃金」を支払っていたのなら、いかなる名目であれ、貴社が受け取ったお金の一部を差し引くこと法律上できないはずです。(職業安定法および労働基準法)
 出向者賃金として受け取っていたのなら、貴社が法律に違反していわゆるピンハネしたことになる賃金を、ただちに労働者1人ひとりに返還して下さい。

4.貴社は、貴社が発行する求人誌「Job NAP」などで、日野自動車ではたらくと「月収31万円以上可」と約束しています。しかし、私たち組合員の月収は、月20時間以上の普通残業と60時間の深夜残業をしても平均で総額で24万円程度にしかなりません。1月、5月、8月など稼働日の少ない月は月収も大幅にダウンします。31万円以上もらっている組合員は1人もいません。
 月収31万円以上の人が実際何人いるのか、どの位はたらくと31万円以上になるのか、また、平均の月収はいくらなのか、説明して下さい。
 また、31万円以上可というなら、いますぐ31万円支払って下さい。

5.日野自動車が直接雇用する期間工と日研総業の私たちの賃金水準は、年収に換算して約70~80万円以上の格差があります。同じ仕事をしているのですから、均等待遇を保障して下さい。

6.他の派遣会社と比べて日研総業の寮費(38,000円)は高いので、他社水準(20,000円程度)に引き下げて下さい。」


一部報道では、月給「約20万」(毎日新聞)とか「30万前後」(読売新聞)あったという報道もありますが、30万というのは日研総業がいつもやっている虚偽広告を鵜呑みにしただけで嘘に近いものでしょう。仮に、20万だとしても、寮費だけで4万近く天引きされて他にも費用が天引きされているため、手取りとしてはどんなに頑張っても10万円を超えない程度のように思えます。



<6月12日追記>

「派遣社員を6月末で200人から50人に減らす計画があったが、加藤容疑者は、自分が対象ではないことを派遣会社から知らされていたという」(毎日新聞6月9日付夕刊)との報道もあります。しかし、某ブログによると、「少なくとも工場の正社員は6月30日付けで派遣はすべてクビと認識していた」とのことですから、虚偽報道だったようです。まぁ、そんなことだろうとは思っていましたが。 「日研総業」と同様、トヨタに関する真実の報道はなかなか出てこないですね。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

事件 *  TB: 13  *  CM: 12  * top △ 
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、この種の犯罪のたびに思うのですが、容疑者が精神的に病み、精神科へ通っていることが多いのです。アメリカでは犯罪の被害者が投与された薬のメーカーを訴えたり、処方した医師を訴えることがおおいそうです。日本ではそれを聞いたことがありません。
タミフルやリタニンなど、異常行動を引き起こしかねない薬に対し、弁護士は及び腰ではないですか。
薬の副作用だったとすれば、本人の責任能力は否定されますが・・・。
2008/06/10 Tue 14:17:48
URL | マヨ #91CvM.Pg[ 編集 ]
通り魔事件と派遣の問題、直結して語るのはいかがなものかと思います。
日研に登録してトヨタ系の工場に派遣されている労働者は、潜在的な「通り魔予備軍」ですか?そうではないですよね。
また、劣悪な労働環境(日研からの派遣について、私自身は事実性のレベルを判断できる情報を持ち合わせていませんが)に置かれている労働者が何等かの犯罪に仮に手を染めたとして、それが雇用主や使用者側に向かわず、無差別手当たり次第の殺人行為になるというわけでもないでしょう。

背景事情として、もしかしたらお書きになったような事実関係はあったのかもしれませんが、「それはそれ、これはこれ」ではないのでしょうか。少なくとも、現時点で報じられている情報から判断できる範囲では。

いまの時点で報道機関が、犯人が登録していた派遣業者や派遣先企業の「問題」と連結して事件像を描くのは、私には不適切極まると思います。
2008/06/11 Wed 17:24:28
URL | 惰眠 #Oy5awZbQ[ 編集 ]
>マヨさん:2008/06/10 Tue 14:17:48
コメントありがとうございます。


>この種の犯罪のたびに思うのですが、容疑者が精神的に病み、精神科へ通っていることが多いのです
>薬の副作用だったとすれば、本人の責任能力は否定されますが・・・。

仰るとおり、「容疑者が精神的に病」んでいることがかなりあることは確かですね。この事件でも、責任能力の有無は、裁判では問題になるかもしれませんね。


>タミフルやリタニンなど、異常行動を引き起こしかねない薬に対し、弁護士は及び腰ではないですか

弁護士が及び腰かどうか、その実態の有無はよく分かりません。ただ、薬には副作用があることは確かですから、薬の有用性とのバランスを考える必要があります。訴訟にはなりにくいかもしれません。

あと、ですね。弁護士は代理人という立場であって、民事訴訟で損害賠償を求めるのは、あくまで被害を受けた人です。ですから、「弁護士は及び腰」というと、あたかも弁護士自身が賠償請求している感じになりますので、ちょっと抵抗があります。誤解していないと思いますが、念のため。
2008/06/12 Thu 00:49:32
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
 こんにちは。
 この事件は、容疑者本人に重大な責任があるとは思うものの、一方で彼がどの様な労働環境にいたのかも、気になってしまいます。「生活に疲れた」と言っている様ですし、日々の労働時間、待遇など、どの様なものであったのでしょう? 事件の前、「死にたい」ともらしていた事も伝えられてきますし、うつ的な精神状態も、この事件に影響したのでしょうか? そう考えていくと、労働環境についても、確かに気にかかってきます。
2008/06/12 Thu 01:12:58
URL | akirame #I1ARjSCE[ 編集 ]
こんにちは、誤解はないのですが、刑事事件の中で明らかに精神科の治療を受けている人はたくさんいます。私が言いたいのは、精神科の治療の内容、及び投与された薬品が妥当なのかが争われたことがないのではないか、と言う事です。被告側は治療薬のせいで精神的に不安定になったという主張も可能ではないですか。うつ病の人と、精神分裂症の人と治療法、あるいは薬品が違っているはずです。そこを争っていますかと言う事です。
2008/06/12 Thu 10:16:43
URL | マヨ #91CvM.Pg[ 編集 ]
>惰眠さん:2008/06/11 Wed 17:24:28
コメントありがとうございます。


>通り魔事件と派遣の問題、直結して語るのはいかがなものかと思います。
>いまの時点で報道機関が、犯人が登録していた派遣業者や派遣先企業の「問題」と連結して事件像を描くのは、私には不適切極まると思います

惰眠さんが焚きつけるものですから(汗)、また、派遣労働の実態の問題に比重をおいたエントリーをアップしていまいました。

「派遣労働の世界とは? 35年目の「自動車絶望工場」~秋葉原無差別殺傷事件・容疑者の勤務先ルポ “派遣契約をすべて解除!?”(東京新聞平成20年6月12日付「こちら特報部」より) 」
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-1204.html

報道機関が沈黙する中、ネット上に限るとはいえ、派遣労働の問題に真剣に目が向いたこと自体に意義があることだと思います。労働環境の改善要求も、声を上げなければ変わりませんし、声を上げても多数の方の関心が向けられなければ、何も変わらないからです。
2008/06/13 Fri 00:20:30
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
>akirameさん:2008/06/12 Thu 01:12:58
コメントありがとうございます。


>容疑者本人に重大な責任があるとは思うものの、

もちろんそうですね。いかなる事情があれ、本人の意思でこれだけ悲惨な事件を引き起こしたのですから。


>一方で彼がどの様な労働環境にいたのかも、気になってしまいます。「生活に疲れた」と言っている様ですし、日々の労働時間、待遇など、どの様なものであったのでしょう?

その点については、真実の事情は出ていない感じです。「派遣労働の世界とは? 35年目の「自動車絶望工場」~秋葉原無差別殺傷事件・容疑者の勤務先ルポ “派遣契約をすべて解除!?”(東京新聞平成20年6月12日付「こちら特報部」より)」でも少し触れてはいますが。
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-1204.html

容疑者の労働環境について、最も詳しく推測できるのは「晴天とら日和」(http://blog.livedoor.jp/hanatora53bann/)さんですね。ぜひご覧下さい。
2008/06/13 Fri 00:39:40
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
>マヨさん:2008/06/12 Thu 10:16:43
コメントありがとうございます。


>私が言いたいのは、精神科の治療の内容、及び投与された薬品が妥当なのかが争われたことがないのではないか

ご主張理解しました。確かに、そういった争いは聞いたことがありませんね。ただ、過去の裁判において争われたことがないのか否かはまでは、確かめる資料を持ってしませんし、調べる当ても思いつかないので、実際のところは分かりません。申し訳ありません。
2008/06/13 Fri 00:46:27
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
焚きつけたつもりはありませんでしたが(汗)・・・
私も、2年ほど前に「小さな政府」の元での「自己責任」主義は、歴史的に実証された(=アダム・スミスの考えとは乖離した)「神の見えざる手」の采配によって「貧富格差の拡大」および「格差の固定化」が導かれ、そのことは必ずや社会不安に結びつく、その結果、秩序維持や社会防衛に必要とされるコストは中長期的に増大に向かわざるを得ず、「経済活性化」を根拠としたこれら政策は自己矛盾に陥るだろうと考えて、SNSの日記にチラリと書いたりしてました。

そういう意味では、今回の事件で表面化した「背景事情」に、やはりこういう事件が起きたかとの思いがあることは否定しません。

しかしながらその一方で、「背景事情」を過大に事件と結びつけて取り扱うべきではないとも考えています。
2008/06/13 Fri 11:30:56
URL | 惰眠 #Oy5awZbQ[ 編集 ]
>惰眠さん:2008/06/13 Fri 11:30:56
コメントありがとうございます。


>焚きつけたつもりはありませんでしたが(汗)・・・
>しかしながらその一方で、「背景事情」を過大に事件と結びつけて取り扱うべきではないとも考えています。

この事件について、朝日、読売、毎日、日経と特集記事を連載していましたが、そこでは、派遣労働といった「背景事情」はほとんど触れていませんでした。貧困は犯罪の要因になるのですから、触れない方がおかしいのに。

あまりにも「背景事情」について、ダンマリの報道ばかりなので、新たなエントリーをアップしてみました。惰眠さんのような「後押し」があると、性分として、余計に何度もエントリーにしたくなりますし(^^ゞ 
2008/06/14 Sat 07:11:48
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2012/01/31 Tue 01:31:06
| #[ 編集 ]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2015/01/17 Sat 13:19:55
| #[ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/1197-29a123b5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
 昨日も書いたが、その後も様々なブログにある同様の記事について見てきたところである。多くは、やはり犠牲者に対して哀悼の意を表してい...
2008/06/09(月) 23:26:06 | Ali della liberta (in Stadio)
心筋梗塞 をサーチエンジンで検索しマッシュアップした情報を集めてみると…
2008/06/10(火) 00:15:40 | 気になるワードを詳しく検索!
  当  ブ  ロ  グ  へ  の     皆様のご支援に感謝致します! ありがとう! これが一番最後の文章です。 まとまらない文章ですみませんでした、・・・・ 私は、この手の凶悪犯罪を書くのはとても苦手です。ブログで散々悪たれはついてはいます...
2008/06/10(火) 01:09:24 | 晴天とら日和
お亡くなりになられた方に哀悼の意を表し、怪我をされた方の一刻も早い回復をお祈りする。 この事件の動機
2008/06/10(火) 09:28:40 | 絹雲
ĥ???ξ???Τ?????????Τ?礦?¤????Ť??Ų?¤ΰ鵯??????????¤????Ŭ??Ť???????Ų????ξ?ĥ?????Ĥ?Τ????????Ĥĥ???ξ????Ĥ??ž????ĥ??δ????????Τ????Ĥ??ž???Фĥ????Τ?ž???Ф??????ž?????褦?????Ф?ä??礦??ž???????Ĥ????ðŤ...
2008/06/10(火) 13:13:25 | Ťκ?
カメラを持たずに出歩いてたら、きれいな夕焼けが。そこで大急ぎで家に帰ってカメラをピックアップして、坂道を転がり下りて(あっ、クルマ使っちまいましたけど)、かなり暗くなってから撮ったのがこれ: いろいろあるけど...明日晴れるといいね... そうそう、ぬぬぬ...
2008/06/11(水) 01:37:27 | ミクロネシアの小さな島・ヤップより
またしても通り魔事件が発生しました。現場は秋葉原で,犯人の男はその場で取り押さえられましたが,午後6時現在,7名が亡くなりました。さらに死傷者が増える可能性も高いようです。また,死者が7名を超える通り魔事件は,過去10年で最悪ということのようです。 一?...
2008/06/11(水) 01:51:03 | あれは,あれで良いのかなPART2
先日、日本の格差社会の行き着くところ:プレカリアートとロハスという記事で、いまの20代の若者に蔓延する問題について書いたばかりだが...
2008/06/11(水) 07:01:09 | カナダde日本語
秋葉原通り魔は、自公政権がもたらした格差社会が生んだ犯罪という記事にたくさんのコメントやトラックバックをいただいたので、ここにお礼...
2008/06/11(水) 07:01:54 | カナダde日本語
最新の記事一覧・・・5月分はコチラ、6月分はコチラ  昨日は、JRAの安田記念で、ダービー牝馬のウォッカwith岩田騎手 が、予想外&驚異の先行抜け出しで圧勝。(*^^)v祝 <「みんなの馬券」の司会を務める川合俊一氏が、五輪に16年ぶりの 5-16で馬連的中...
2008/06/11(水) 15:21:27 | 日本がアブナイ!
秋葉原事件について、いろんな報道が飛び交っています。まだまだ軽々しく犯行に至る原因を云々する時期ではないとは思いますが、一つのキーワードが浮かび上がってきたので、亡備録として書いておきたい。事件が起きたのは、ちょうどUndertheSunに「夏の庭」の上映会をと...
2008/06/11(水) 18:19:24 | 再出発日記
「AERA」の2008年6月16日号なんですけど、『後期高齢者医療 廃止は現役世代に「損」』という、AERA編集部の記者がまとめている記事があります...
2008/06/12(木) 01:24:34 | 村野瀬玲奈の秘書課広報室
めずらしく朝のワイドショーをチラッと見てしまいました。というより、たまたまテレビをつけたらやっていました。  例の如く秋葉原通り魔...
2008/06/12(木) 10:23:43 | とむ丸の夢
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。