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2008/06/07 [Sat] 05:36:09 » E d i t
結婚していない日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた子供計10人が日本国籍を求めた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)は6月4日、「家族生活や親子関係への国民意識は変化しており、今日では不合理な差別に当たる」として、両親の結婚を国籍取得の要件とした国籍法の規定を違憲とする初判断を示しました。(時事通信2008/06/04-20:43「国籍法「結婚要件」は違憲=「家族生活の意識変化」-最高裁大法廷」)。その上で原告敗訴の2審判決を破棄、原告に日本国籍があることを認め逆転勝訴としました。

最高裁が法律の規定を違憲としたのは、在外邦人の選挙権を制限した公選法の規定をめぐる2005年の判決以来で、8例目ですが、婚外子差別に絡む最高裁の違憲判断は初めてです。


1.まず、報道記事を幾つか(解説部分を除く)。

(1) 朝日新聞平成20年6月5日付朝刊1面

国籍法 結婚要件は違憲 最高裁判決
2008年06月04日20時57分

 結婚していない日本人の父とフィリピン人の母から生まれた子ども10人(8~14歳)が、日本国籍の確認を国に求めた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎(にろう)長官)は4日、10人全員に日本国籍を認めた。生まれた後に父から認知されても、両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない現在の国籍法は、憲法14条の「法の下の平等」に反すると判断した。

◆フィリピン人母の子に日本国籍 家族観の変化指摘

 結婚しているかによる区別が違憲とされたのは初めて。同じ国籍問題を抱える子どもについて正確な統計はないが、国内だけで数万人という推計があり、海外にも相当数いるとみられる。法務省は国籍法の改正を迫られる。

 また、最高裁が法律を違憲と判断した判決は、05年に海外に住む日本人に選挙権を認めない公職選挙法を違憲として以来で、戦後8件目。

 国籍法の2条1号によれば、父母が結婚していない「婚外子」でも、生まれる前の段階で父の認知があれば、国籍を取得できる。しかし、国籍法3条1項は、生まれた後に認知された場合に父母が結婚していなければ国籍を得られないと定めており、この規定の合憲性が争点となった。

 違憲と判断したのは15人の裁判官のうち12人。このうち9人が多数意見で、「84年の立法当時は結婚によって日本との結びつきを区別することに理由があったが、その後に国内的、国際的な社会環境の変化があった」と指摘。その例として、家族生活や親子関係の意識の変化や実態の多様化、認知だけで国籍を認める諸外国の法改正を挙げた。

 遅くとも、原告たちが国籍取得を法務局に届け出た03~05年には、結婚を要件に国籍を区別するのは不合理な差別になっていたと認定。3条1項のうち結婚の要件だけを無効にして、その他の要件を満たせば国籍を認めると結論づけた。

 一方、同じ違憲でも3人の裁判官は理由が異なり、本来は国会が立法により解決するべきだったのに怠った「立法の不作為」を違憲とする立場を採った。この3人のうち1人は「現行法の拡張解釈により違憲状態を解消できる」として子どもに国籍を認めたが、他の2人は「違憲状態を是正するには、国会の立法によるべきだ」として、子どもたちの国籍を認めなかった。

 このほか、3人の裁判官は「婚外子は両親の結婚と父親の認知により、日本との密接な結びつきをもつ」という法務省の見解を認め、「合憲」とする反対意見を述べた。

 結局、子どもに国籍を認めたのは10人の裁判官。5人は国籍を認めなかった。この判決により、原告の10人の子どもたちは、国籍取得を法務局に届け出た03~05年の時点で日本国籍を得たことになる。(岩田清隆)」(*見出しは、すべて紙面(13版)のものに変更しました。)




(2) 東京新聞平成20年6月5日付朝刊1面

婚外子差別 国籍法は違憲 最高裁 逆転判決 結婚要件の規定、不合理
2008年6月5日 朝刊

 結婚していない日本人の父とフィリピン人の母から生まれ、出生後に父に認知された子どもたちが、国に日本国籍の確認を求めた二件の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)は四日、「両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない国籍法の規定は不合理な差別で、法の下の平等を定めた憲法一四条に違反する」との判断を示し、二審判決を破棄、原告全員に日本国籍を認めた。 

 国籍法の規定を違憲とした最高裁判決は初めて。最高裁が法令を違憲と判断した判決は、二〇〇五年九月の在外選挙権をめぐり公職選挙法を違憲として以来で戦後八件目。

 結婚していない日本人の父と外国人の母から生まれた子(婚外子)が日本国籍を取得するには、出生後認知の場合、父母の結婚が要件とされる。裁判では国籍法のこの要件が違憲かどうかが争点となったが、大法廷は違憲無効と判断した。国会は法改正への早急な対応を迫られる。

 最高裁の判事十五人のうち九人の多数意見。三人は立法不作為による違憲と判断したが、うち二人は国籍取得を認めなかった。合憲は三人だった。

 多数意見は、両親の結婚要件は一九八四年の法改正当時は合理的だったとしたが、家族観や家族形態が多様化したことを踏まえ▽婚外子差別を禁じる条約を日本が批准▽諸外国は同様の要件を廃止-など社会的変化を指摘。原告らが国籍取得届を出した〇三年には、要件の合理性は失われていたと判断した。

 さらに「国籍取得は基本的人権の保障に重大な意味があり、子の不利益は見過ごせない」と言及。「日本人の父の婚外子にだけ国籍を認めないのは不合理な差別で違憲」と結論付けた。

 上告していたのは、日本人の父とフィリピン人の母から生まれ、出生後に認知された八-十四歳の子ども十人。一審の東京地裁はいずれも「国籍法の規定は違憲」として日本国籍を認め、原告側が勝訴。しかし二審の東京高裁は憲法判断をせず、「国籍を認める規定は国籍法にはない」としていずれも原告側の逆転敗訴とした。

 <婚外子の国籍> 1984年の国籍法改正前は、結婚していない日本人の父と外国人の母の子は、胎児の時に父が認知していなければ日本国籍の取得が認められなかった。改正後、出生後に認知された子でも、両親が結婚すれば日本国籍を認める(3条1項)との新たな規定ができた。しかし生後認知されても両親が結婚していない子は日本国籍が取得できず、取り残されていた。」




(3) 毎日新聞平成20年6月5日付朝刊1面

婚外子国籍確認訴訟:婚姻条件の国籍法違憲 日比間の子10人を認定--最高裁初判断

 結婚していない日本人父とフィリピン人母10組の間に生まれた子ども10人が、国に日本国籍の確認を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎(にろう)長官)は4日、出生後の国籍取得に両親の婚姻を必要とする国籍法の規定を違憲と初判断した。大法廷は「遅くとも国籍取得を届け出た03年には、規定は合理的理由のない差別を生じさせ、法の下の平等を定めた憲法に反する」と述べ、10人全員の日本国籍を確認した。

 最高裁が法の規定を違憲としたのは在外邦人の選挙権を制限した公職選挙法を巡る訴訟の判決(05年9月)以来で8件目。国会は早急な法改正を迫られる。

 国籍法3条1項は、未婚の日本人父と外国人母の子について、父の出生後認知と両親の婚姻の両方を日本国籍取得の条件とする。原告は関東地方などに住む8~14歳で、父の認知を得て03~05年に国籍取得を届け出たが、認められなかった。

 大法廷は、同項が設けられた84年当時は規定に合理性があったが、その後の家族生活や親子関係の意識変化、多様化で、立法目的にそぐわなくなっていると指摘。「国籍取得は基本的人権の保障を受ける上で重大な意味を持ち、不利益は見過ごせない」と述べた。

 国側は「出生後認知のみで国籍を取得できるとするのは、裁判所が新たな制度を設けることになり、立法権の侵害だ」と主張。大法廷は「原告の救済の観点から、婚姻要件を除いた部分を満たせば国籍取得を認めるというのが合憲的解釈」と退けた。

 裁判官15人中12人が違憲と判断し、このうち9人が多数意見。藤田宙靖(ときやす)、甲斐中辰夫、堀籠幸男の3裁判官は、原告の国籍取得を認める規定がない立法不作為を違憲とした。藤田裁判官は日本国籍を認めたが、甲斐中、堀籠両裁判官は「違憲状態の解消は国会に委ねるべきだ」と反対意見を述べた。

 横尾和子、津野修、古田佑紀の3裁判官は「家族の生活状況に顕著な変化があるとは思われず、規定には合理性があり合憲」と述べた。【北村和巳】

 ◇原告側代理人の話

 不合理な差別を正面から違憲と認め、高く評価できる。同じ境遇にある多くの子どもたちに希望を与える。

 ◇鳩山邦夫法相の話

 国籍法の規定が憲法違反とされたことは、厳粛に受け止めている。判決内容を十分に検討して適切に対応したい。

==============

 ■ことば

 ◇日本国籍の取得

 国籍法2条は出生時に法律上の父か母が日本人なら子は日本国籍を取得すると定める。母が日本人ならば無条件に子は日本国籍。日本人父と外国人母の子の場合は、出生時に両親が結婚しているか、未婚でも妊娠中に父が認知していれば日本国籍を取得する。一方、出生後認知された婚外子は、20歳までに両親が結婚した場合に限って日本国籍を取得できる。

毎日新聞 2008年6月5日 東京朝刊」




(4) この訴訟の最大の問題点は、次の点です。

「 国籍法の2条1号によれば、父母が結婚していない「婚外子」でも、生まれる前の段階で父の認知があれば、国籍を取得できる。しかし、国籍法3条1項は、生まれた後に認知された場合に父母が結婚していなければ国籍を得られないと定めており、この規定の合憲性が争点となった。 」(朝日新聞)


要するに、現行の国籍法では、父母のいずれかが日本国民である子どもは、ほとんどの場合に日本国籍を取得します。胎児認知父母が結婚していない「婚外子」でも、生まれる前の段階で父の認知があれば(これを「胎児認知」といいます)、国籍を取得できるのです(国籍法2条1号)。

・外国人父+日本人母で婚姻した→子供は日本国籍取得
・外国人父+日本人母で婚姻せずに子供が生まれた→子供は日本国籍取得

・日本人父+外国人母で婚姻した→子供は日本国籍取得
・日本人父+外国人母で準正(認知+父母婚姻)があった→子供は日本国籍取得
・日本人父+外国人母で婚姻せずに子供が生まれ、胎児認知していた→子供は日本国籍取得
・日本人父+外国人母で婚姻せずに子供が生まれ、生後認知した→子供は日本国籍を取得できない

ところが、日本人父と外国人母から生まれた婚外子が出生後に認知しか受けていない場合だけ、日本国籍を取得できないのです。この場合だけ、父母のいずれかが日本国民である子供であることには変わりがないのに、日本国籍を取得できないという差別が生じているため、憲法14条(法の下の平等)に反するのではないかが問題となったということです(奥田安弘『市民のための国籍法・戸籍法入門』(1997年、明石書店)101頁、107頁)。



(5) もっともこの問題は、近年になって問題視されていたわけではないのです。説明を2つ引用しておきます。

法の下の平等尊重した判断

 国籍法に詳しい奥田安弘・中央大法科大学院教授の話 日本の国籍法は血のつながりを重視する「血統主義」を採用しており、血統と無関係な父母の結婚を要件にした規定はそもそも無理があった。90年代になって新しく入国する外国人が急激に増えたことによって、国籍法の欠陥は明らかになっていた。憲法は国籍取得の要件を法律に委ねているが、全く自由に決めてよいわけではない。憲法の基本原則、特に「法の下の平等」の枠の中で立法するべきなのは当然だ。憲法の番人としての最高裁の判断を評価したい。」(朝日新聞平成20年6月5日付朝刊30面)



 「旧国籍法は、婚姻、認知、養子縁組等による身分変動の場合における国籍の当然取得を認めているが、現行国籍法は、これを認めていない。

 1984年の国籍法改正前より、一部の学者の主張として、認知や準正は血統関係を基礎とするものであるから、わが国籍法が血統主義を採用する以上これを徹底させ、婚姻や養子縁組による身分関係の場合と区別して、認知や準正による日本国籍の取得を認めるのが、立法論として望ましいとの意見もあった。

 しかし、1984年改正の現行国籍法は、認知による国籍の取得についてはこれを認めず、準正に限り、改正前の国籍法になかった新しい規定を3条に設け、1項で、「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる」と定めた。

 日本国籍の取得について準正の場合と認知の場合とを区別する立法理由としては、日本国民たる親の婚姻により準正された子は、実質的に日本国民の家族に包摂されることによって日本社会と密接な結合関係を生ずる点で、通常、認知した親との生活一体化を欠く非嫡出子と異なること、認知により日本国籍の取得を認めるときは仮装認知のおそれがあること、また、認知による国籍の取得を定める立法例よりも、準正による国籍の取得を認める立法例の方が多いことなどが挙げられている。しかし、立法論としては、わが国籍法上、血統主義の趣旨を徹底し、認知された子にも準正子と同様に一定の要件のもとに日本国籍の取得を認めることが望ましいであろう。ことに、父母両系血統主義を採る国籍法の下で、母が日本国民であるときには子は日本国籍を取得するにもかかわらず、出生後の認知により日本国民であると父と非嫡出子親子関係が成立しても子が日本国籍を取得しないとすることは、両性平等との関係でも問題があるものというべきである。」(江川英文・山田鐐一・早田芳郎『国籍法(第3版)』(平成9年、有斐閣)87-88頁)


日本の国籍法は、親が日本人であれば、親が男性・女性問わず、血のつながりがある以上、子供の日本人となるという「(父母両系)血統主義」を採用しています(国籍法2条1号及び2号)。この主義は、血縁関係によって、国家の構成員たる資格を与えるというものです。

国家は、民族共同体を中核とするという点で、血縁共同体としての性格を持っています。夫婦共同体は子の出生によって家族共同体を形成するが、それは純然たる血縁関係を基礎とするものであり、かような家族共同体の形成を通じて民族の文化的伝統は親から子への伝承される、したがって、国家の構成員たる資格も親から子へと伝承されるべきであるというのが、その血統主義の根拠です(江川英文・山田鐐一・早田芳郎『国籍法(第3版)』(平成9年、有斐閣)59頁)。

ですから、血統主義の趣旨からすれば、日本人男性が認知した場合、その日本人男性の子供なのですから、その子供が婚外子のままであっても、日本人となるはずです。ところが、日本の国籍法は、その場合に子供は日本人になることができないのですから、血統主義からすれば不合理です。そのため、立法当初から、「立法論としては、わが国籍法上、血統主義の趣旨を徹底し、認知された子にも準正子と同様に一定の要件のもとに日本国籍の取得を認めることが望ましい」とされており、「血統と無関係な父母の結婚を要件にした規定はそもそも無理があった」のです。

そして、立法当初から、「父母両系血統主義を採る国籍法の下で、母が日本国民であるときには子は日本国籍を取得するにもかかわらず、出生後の認知により日本国民であると父と非嫡出子親子関係が成立しても子が日本国籍を取得しないとすることは、両性平等との関係でも問題がある」と言われていたのですから、立法当初から問題視されていたのです。

「大法廷は、同項が設けられた84年当時は規定に合理性があったが、その後の家族生活や親子関係の意識変化、多様化で、立法目的にそぐわなくなっていると指摘」(毎日新聞)していますが、実は、1984(昭和59)年の国籍法改正当初から、認知による国籍の取得を認めていない国籍法3条1項には合理性がなく、2008(平成20)年になってやっと違憲であると判断されたということなのです。




2.最高裁は、1984年の改正後の家族生活や親子関係の意識変化、多様化で、立法目的にそぐわなくなっていると指摘していますが、その事情について触れた記事がありますので、紹介しておきます。

(1) NHK焦点のニュース:6月4日(水)「国籍法規定は違憲 最高裁判決」

◆同じ境遇の子は国内に数万人

原告と同じような境遇の子どもは、国内だけで数万人に上るとみられています。
厚生労働省によりますと、新たに生まれるこうした子どもは平成5年に1000人を超え、平成13年以降は毎年、およそ2700人に上っています。
これは、日本で生まれる外国国籍の子どものおよそ20%にあたります。
なかでも多いのは母親がフィリピン人の子どもで、飲食店などで働いていた際に日本人の男性の子どもを身ごもったものの、男性にはすでに家庭があったり、連絡が取れないまま出産する女性も少なくないということです。
こうした女性や子どもたちを支援するNPOは「ほとんどは結婚したくてもできないのが実情だ。父親が日本人と証明することで日本国籍が認められるようになれば、影響は大きい」と話しています。」




(2) 朝日新聞平成20年6月5日付朝刊31面

増える外国人母の婚外子

 「長い間いろんな相談を受けてきたが、国籍の問題は母親や子ども自身が特に問題と感じてきたこと。同じ境遇の人にとって朗報だ」。集団訴訟を支えてきた「JFCネットワーク」事務局長の伊藤里枝子さんは、最高裁判決を法廷で聞き、こう語った。

 JFCは「駆け込み寺」だった。80年代から日本に働きに来るフィリピン人女性が増加。日本人男性との恋愛・結婚や、両者の間に生まれた子どもも増えた。幸せな家庭を築いたケースもあるが、父親に養育を放棄されて精神的、経済的に苦しい生活を送る母子も多い。東京とフィリピンに拠点を設け、弁護士らとともに相談に乗ってきた。

 JFCが07年末までに扱った件数は848件になる。だが、養育費の支払いや認知などの形で解決したのは約18%に過ぎないという。

 伊藤さんは「景気が悪化して、男性が面倒を見られなくなったケースも少なくない」と、問題の複雑さを指摘する。

 外国人の母親から生まれた婚外子の数は06年の1年間で2794人にのぼり、10年前に比べ約800人の増加。外国人の母親が出した出生届の1割以上を占める。日本人が母親の婚外子は06年の1年間に2万3千人余にのぼり、出生数全体に占める割合は84年ごろに比べ2倍に。事実婚やシングルマザーなど、家族の形態は多様になってきている。

 「結婚の有無だけで家族の実態はつかめないことを最高裁は認めた。これから生まれてくる子どもたちにとっても影響は大きい」と伊藤さんは語った。」




(3) 東京新聞平成20年6月5日付朝刊3面【核心】

父母非婚の壁 破る 婚外子訴訟『違憲』判決
2008年6月5日

 国籍法の規定を違憲とした四日の最高裁大法廷判決で、日本人の父を持ちながら、「結婚していない両親」という子どもに責任のない事情で、日本国籍を認めてこなかった不平等がようやく是正されることになった。同じ境遇の子どもたちは国内外に数万人以上いるといわれる。なぜこうした事態が生じたのか。 (社会部・出田阿生)

■家族の形態 変化重視

▼国籍法の欠陥

 国籍法は、血縁関係を国籍取得の原則とする「血統主義」。1984年の法改正で、従来の父系血統主義を改めて「父母のどちらが日本人であれば国籍を取得」とし、母が日本人の場合にも国籍が取得できるようになった。

 改正と同時に新設されたのが、今回の争点になった規定だ。結婚していない「日本人の父」と「外国人の母」との間に生まれた「婚外子」が国籍を取得するには、胎児の時に父が認知するしか方法がなかったが、新たに、出生後に認知された子も取得できるようになった。

 ただし、この規定には「両親の結婚」という条件がつけられた。法務省は、その理由を偽装認知の防止に加え、「日本人の父が家庭にいれば、日本社会との結び付きが強くなるから」と説明する。

 しかし、大法廷判決が指摘したように、「父との密接な関係」があるから国籍を取得させるのであれば、胎児認知はよく、出生後はだめ、ということとの整合性がつかない。

 奥田安弘・中央大法科大学院教授は「改正時は、在留資格に問題がある外国人女性が少なく、矛盾は露呈しなかった。1990年代から女性の来日数が急増、日本人男性との間に生まれた子が国籍を取れないという、国籍法の欠陥が明らかになった」と指摘する。

▼深刻な不利益

 結婚せずに子を産む外国人女性の割合は、日本人の約5倍。日本人の父が既婚者だったり、養育放棄をしたケースが多い。

 多くの外国人女性は、胎児認知で日本国籍が取れることを知らない。行政窓口も十分な説明をせず、子の国籍決定という重大な事項が、胎児認知を知っていたかどうか、という偶然に左右されてきた。

 生じる不利益は深刻だ。生後の認知によって、日本の在留資格は取れるが、1-3年ごとの更新が必要だ。そのたびに入管の許可を得なければならない。帰化にも厳しい審査がある。

 フィリピン人の母と子どもたちを支援する「JFCネットワーク」の伊藤里枝子事務局長は「子どもたちは日本で生きていく。日本国籍がないことで自分の暮らす国から拒否されたと感じ、成人しても参政権がないために社会に参加できない。いじめや就職差別も深刻」と訴える。

▼以前にも指摘

 今回争点となった規定が違憲との指摘はすでに出ていた。日本国籍取得をめぐる別の訴訟で、2002年11月の最高裁第二小法廷判決では、裁判官2人が「親が結婚しているかどうかで、子の国籍取得に差異を設けることに合理性を見いだせない。憲法14条違反の疑いが極めて濃い」と指摘。もう1人も「合理性には疑問がある」と述べた。今回の違憲判決への布石はできていたともいえる。

 84年の規定新設の際には、婚外子差別になるため、「両親の結婚」条件を外すべきではないかという論議もあった。

 二宮周平・立命館大教授は法律婚を重視する社会を背景に、設けられた規定」と指摘。「家族の形態は変化している。今回の判決は、日本社会の婚外子差別の議論にも一石を投じるだろう」と話している。

============================================================= 
憲法・国籍法の関係条文

憲法14条1項(法の下の平等) すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

国籍法2条(出生による国籍の取得) 子は、次の場合には、日本国民とする。
 一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
 二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
 三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。

国籍法3条(準正による国籍の取得) 
1 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。
==============================================================」(*条文部分は、紙面と異なり、関係条文は増やしています。最高裁裁判官15人の意見についての図表は省略しました。)




最も注目すべき変化は、「家族関係の国際化」です。日本人と外国人の国際結婚数は、1980(昭和55)年以降に増加し、1980年の段階では、7261件でしたが、2001(平成13)年には3万9727件になっており、外国人の母親から生まれた婚外子の数もまた増加しているのです。

「原告と同じような境遇の子どもは、国内だけで数万人に上るとみられています。
厚生労働省によりますと、新たに生まれるこうした子どもは平成5年に1000人を超え、平成13年以降は毎年、およそ2700人に上っています。
これは、日本で生まれる外国国籍の子どものおよそ20%にあたります。」(NHKニュース)

「外国人の母親から生まれた婚外子の数は06年の1年間で2794人にのぼり、10年前に比べ約800人の増加。外国人の母親が出した出生届の1割以上を占める。日本人が母親の婚外子は06年の1年間に2万3千人余にのぼり、出生数全体に占める割合は84年ごろに比べ2倍に。事実婚やシングルマザーなど、家族の形態は多様になってきている。」(朝日新聞)

「同じ境遇の子どもたちは国内外に数万人以上いるといわれる。(中略)奥田安弘・中央大法科大学院教授は「改正時は、在留資格に問題がある外国人女性が少なく、矛盾は露呈しなかった。1990年代から女性の来日数が急増、日本人男性との間に生まれた子が国籍を取れないという、国籍法の欠陥が明らかになった」と指摘する。」(東京新聞)


「原告と同じような境遇の子どもは、国内だけで数万人に上る」ほど多いという状況です。原告と同様の境遇でいながら国外にいる子供も相当な人数になるはずですし、「家族関係の国際化」の流れからすると、今後も一層、外国人の母親から生まれた婚外子は増加することが予想されます。もはや、この子供達を見過ごすことは困難になっているのです。

今回、最高裁が国籍法3条1項につき、違憲と認めたことは、家族生活や親子関係の意識変化、多様化、とりわけ「家族関係の国際化」からすると、当然ともいえる判断だといえるのです。

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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2008/06/07(土) 14:51:15 | ?
 以前、フィリピンから騙(だま)されて連れて来られて、強制的に働かされていた女性をフォローした。  その女性は、日本に連れて来られて、置かれた状況を知り、逃げ出した。  その後、県内の男性と暮らし、2人目の子の出産の前に男性が不明に。  認知がないと大変な...
2008/06/11(水) 18:00:17 | てらまち・ねっと
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2008/06/16(月) 22:14:01 | ?
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