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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2008/06/04 [Wed] 07:00:11 » E d i t
夫のDVから逃れて離婚が成立できないままの母親と別の男性との間に生まれ、無戸籍状態になっている大阪府在住の女性(24)が6月2日、大阪市内で記者会見し「自分が産んだ子ども2人も無戸籍状態になっている」と訴えて救済を求めました。またしても「無戸籍の連鎖」の存在が明らかになったのです。

先日、前夫のDVなどが原因で離婚した後、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」と推定する民法772条の規定のため、母親が出生届を提出できず無戸籍となった兵庫県の女性(27)が、出産予定であることについて紹介しました(「離婚後300日問題:離婚後300日規定で無戸籍の女性、出産へ~出生届不受理で無戸籍児の連鎖に」(2008/05/20 [Tue] 23:59:36)「離婚後300日問題:「無戸籍児家族の会」は鳩山法務大臣と面会し、改善を要望」(2008/05/21 [Wed] 22:35:10)参照。この無戸籍となった兵庫県の女性(27)も5月29日、男児を出産しました。)。


1.まず報道記事を幾つか。

(1) 中国新聞('08/6/2)

子ども2人が無戸籍状態 大阪府女性、救済求める '08/6/2

--------------------------------------------------------------------------------

 家庭内暴力から逃れたが離婚が成立していない母親と別の男性との間に生まれ、無戸籍状態になっている大阪府在住の女性(24)が二日、大阪市内で記者会見し「自分が産んだ子ども二人も無戸籍状態になっている」と訴えて救済を求めた。

 支援団体は「母親に戸籍がないと子の戸籍取得も難しい。実際の親子関係に即した形で認められる仕組みにしないと、無戸籍の連鎖が起きる」と国に制度と運用の改善を求めている。

 女性や団体によると、母親は三十一年前に暴力をふるう夫と別居。七年後に女性が生まれた。夫は現在も離婚を承諾しておらず、居場所を知られるのを恐れて女性の出生届を出さなかった。

 女性は戸籍がなく、三年前に三十代男性と事実婚状態で初出産。女児(2)と男児(1)の四人で暮らす。

 以前住んでいた東大阪市は二人の子の出生届を受理して住民票を作成。女性も二〇〇六年に国民健康保険に加入できたが、三人の戸籍や女性の住民票はない状態が続いているという。

 先月末には離婚後三百日以内に生まれた子を「前夫の子」とみなす民法規定で無戸籍となった兵庫県の女性(27)が男児を出産。法務省が対応を検討している。」



(2)  asahi.com:関西(2008年06月02日)

「連鎖とめて」国に訴え 無戸籍の母、出産2児も無戸籍
2008年06月02日

 母親の夫によるDV(ドメスティックバイオレンス)が原因で出生届が出されず、無戸籍となった大阪府内の女性(24)が、子ども2人を出産し、無戸籍のまま育てている。女性は2日、支援団体と大阪市内で記者会見し、「同じ境遇の人はたくさんいるはず。無戸籍の連鎖を止めるため、国はきちんと実態を調べてほしい」と訴えた。支援団体によると、「無戸籍2世」の存在が明らかになるのは、兵庫県の女性の子に続いて2例目。

 NPO法人「親子法改正研究会」(大阪市)などによると、この女性の母親は約30年前、暴力をふるう夫と別居するため、近畿圏に引っ越してきた。母親は離婚しようと弁護士や家庭裁判所に相談したが、夫は応じなかった。

 別居から7年後、別の男性との間に、この女性が生まれた。住所を夫に知られたくないなどの事情から離婚手続きをとれなかったため、女性は無戸籍のまま育てられた。

 女性は中学3年の夏、母親から戸籍がないことを告げられた。卒業後に保育士の資格を取ろうと思ったが、戸籍が必要と知ってあきらめた。「好きな仕事ができない」。運転免許証も、選挙権もないままだ。

 05年。30代の男性会社員と東大阪市内で暮らし始め、7月に長女(2)、翌06年11月に長男(1)が生まれた。市役所に出生届を提出すると、市は「子どもに医療サービスなどを受けてもらうための異例の判断」(市民課)を示し、長女を世帯主、長男を同居人とする形で住民票を発行した。現在、府内の別の場所に住民票も移して転居し、一家4人で生活している。

 女性は「私の母も誰にも言えずに悩んでいた。戸籍がないと、人として認められないと感じる。戸籍がなくても人権はある。戸籍が取得できたら、正式に結婚したい」と話している。

 法務省民事局の担当者は「女性の事例は正式に把握していない。今後調査して対応を検討する」としている。

 また、「無戸籍2世」が最初に明らかになった兵庫県内の女性(27)は5月29日に県内の病院で男の子を出産した。関係者によると、近く居住地の自治体に出生届を出す予定だという。女性の夫は「家族としてしっかり支えていきたい」とコメントした。(板橋洋佳、宮崎園子、戸田和人) 」



今回の事案を見ると、女性がDVから逃れることは相当に大変であることが分かります。

 「女性や団体によると、母親は三十一年前に暴力をふるう夫と別居。七年後に女性が生まれた。夫は現在も離婚を承諾しておらず居場所を知られるのを恐れて女性の出生届を出さなかった。」(中国新聞)

 「NPO法人「親子法改正研究会」(大阪市)などによると、この女性の母親は約30年前、暴力をふるう夫と別居するため、近畿圏に引っ越してきた。母親は離婚しようと弁護士や家庭裁判所に相談したが、夫は応じなかった
 別居から7年後、別の男性との間に、この女性が生まれた。住所を夫に知られたくないなどの事情から離婚手続きをとれなかったため、女性は無戸籍のまま育てられた。」(asahi.com:関西)


夫からDVを受けたため、31年前に夫と別居をし、別居のままでは離婚しようと弁護士や家庭裁判所に相談したのに夫は応じることなく、31年も別居しているのに、今でも「夫は現在も離婚を承諾し」ないのです。しかも、今でも「居場所を知られるのを恐れ」なくてはならないほどの事情があるのです。

では、夫と離婚できるでしょうか。

この夫は、31年も別居しているのに未だに離婚を承諾しないほど執念を抱いている持ち主ですから、協議離婚(民法763条)も調停離婚・審判離婚(家事審判法18条・21条1項)も不可能です。そうなると、女性の側とすると、裁判離婚(民法770条1項1号~5号)を請求することになります。

配偶者による暴行・虐待は「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)に当たるとされているので(最判昭33・2・25家月10巻2号39頁)、この事例では夫によるDVがあったのですから裁判離婚することは理論上は可能です。しかし、31年前のDVの証拠が残っていない場合には「離婚原因」を立証できずに離婚できない可能性もありますし、離婚裁判を切っ掛けとして現住所を発見されてしまう可能性もあるため、再びDVの被害を受ける可能性があります。

1996(平成8)年の民法改正要綱は、5年以上の別居を離婚原因に加えていたため、もしその要綱どおりに民法改正がなされていれば、今回の事例でも裁判離婚は十分に可能でした。しかし、改正されていない以上、どうしようもありません。

仮に、離婚は諦めて、もし子供の出生届を出すとすれば、民法772条1項の推定規定によりDVを行った夫の子供と戸籍に記載され、DV夫に居場所が判明する恐れがあります。ですから、もし判明したら今度は親子共々DVを受ける可能性があるため、出生届を出すことをためらうわけです。

このように、DVを行った夫と離婚することは相当に困難であり、逃げていても、逃げた先で子供を産み育てるという家庭生活を送ることが難しいことが分かります。



2.今回の報道からすると、「無戸籍の連鎖」の存在は極めて例外的なケースではなく、全国としては相当数存在するのではないか、と危惧を抱くことになりました。

(1) まず、注意する必要があるのは、今回の事例は「離婚前に妊娠・出産したケース」ですから、民法772条1項にかかわる問題であって、民法772条2項後段にかかわる「離婚後300日問題」とは異なる条項に関わるものであるということです。読売新聞の解説を紹介しておきます。

民法第772条(嫡出の推定)
1 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。



「離婚前の妊娠」救済されず

 民法772条は、1項で「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」、2項で「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子とみなす」と規定する。

 2項は昨年以降、社会問題化した。離婚した女性が再婚相手らの子を身ごもっても、早産などで離婚後300日以内に出産することがある。その場合、前夫の子として出生届を出さざるを得ないが、これを女性が嫌がり、結果的に子が無戸籍になっているケースが相次ぎ判明した。

 法務省は昨年5月、離婚後の妊娠と証明できれば実の父親の子と認める通達を出したが、離婚前の妊娠には適用されない。このため今回の大阪府内の女性のように、事実上、婚姻関係が破たんした状態で生まれたケースでも救済されない。

 昨年1月に表面化し、一連の問題のきっかけになった滋賀県内の女子高生も母親の離婚調停中に出生。戸籍がなかっため旅券発給が認められず、海外への修学旅行を断念した。

 母子2代に及ぶ無戸籍問題で、法務省は兵庫県内の女性について対応を検討中だ。大阪府内の女性については読売新聞の取材に対し「事案の内容に即して判断する」とした。

(2008年6月3日 読売新聞)」(YOMIURI ONLILE(読売新聞):関西発(2008年6月3日)



母親がDV夫から別居した7年後に、別の男性との間に、無戸籍となった大阪府内の女性(24)が産まれたのですから、この女性は、母親がと法律上の夫との間の子供ではないことは明らかです。しかし、民法772条1項が「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」とする嫡出推定制度を規定しているため、法律上はDV夫の子のままであり、別の男性を父とする出生届は受理されないのです。

このように嫡出推定が事実に反している場合には、推定を争うことはできることはできるのです(民法774条)。しかし、嫡出親子関係を安定させるために、原則として、夫のみが、この出生を知った時から1年以内に限り(777条)、子供の嫡出性を否認するための訴え(人事訴訟法2条2号)を提起することができるのです。今回の事例の場合にはとっくの昔に「出生を知った時から1年」を過ぎているので、嫡出否認の訴えは不可能です。

このように、民法772条1項による不都合をいかに解消するかが今回のケースでは問題となっているのです。



(2) 民法772条1項による不都合をいかに解消するかについては、判例が積み重ねられており、民法772条1項(嫡出推定制度)は、「嫡出推定の及ばない子」という概念を肯定したことで、ほとんど空洞化しています。書籍から説明を引用しておきます。

「-------------------------------------------------------------
Case3-4 Aは、2年前に夫Hの暴力に耐えかねて家を出て、夫には居所を隠して生活している。最近、交際中の男性Bの子を妊娠したことがわかり、Hと離婚して、Bと結婚したいと思っている。胎児CがHの子ではなく、Bの子であることを法的に明らかにすることはできるか。
--------------------------------------------------------------
■推定の及ばない子

 嫡出推定制度は子の身分を早期に確定させるものであるが、事実に反する親子関係が確定するという問題もある。それを修正し血縁の真実に合致した親子関係の形成を可能にするために考案されたのが、「嫡出推定の及ばない子」という概念である。たとえば、夫が行方不明であるとか、長期間別居していて事実上の離婚状態にある場合に妻が産んだ子は、772条の嫡出推定の前提である母とその夫との実質的な夫婦共同生活を欠くので、夫の子であるとの強固な法的推定を与えるべきではない。判例も、離婚届出に先立って約2年判前から別居していた場合、夫からの嫡出否認を待つまでもなく、真実の父に対して認知の請求ができるものとした(最判昭44・5・29民集23巻6号1064頁)。

 Case3-4の場合は、Bを相手方とする認知の請求が認容されれば、反射的にHは父でないことになる。夫との父子関係を直接に否定するためには、嫡出子の否認の訴えでなく、親子関係不存在確認の訴えによる。772条以下の規定による嫡出性排除は、772条の規定による実質的推定が前提であり、772条が適用されない表見的嫡出推定(嫡出子として届出ができるにすぎない)の場合は、その実質は事実上の父子関係の推定であるから、これを排除するには事実としての父子関係の不存在を確認すれば済むからである。

■表見嫡出推定子の範囲

 問題となるのは、772条の嫡出推定が及ばない子の範囲である。家庭内の秘事に過度に踏み込まないように、通説は、事実上の離婚状態であった場合や外国滞在中であったなど、外観上夫の子でないことが明らかな場合にかぎるが(外観説)、血縁の事実を重視して、夫の生殖不能(夫が精管切断術を受けていた例として、東京家審昭58・6・10判時1095号135頁)、血液型の背馳(東京家審昭52・3・5家月29巻10号154頁)、人種の相違(福岡家審昭44・12・11家月22巻6号93頁)など、実質的にみて親子関係が否定されるときにも推定が及ばないとする説(血縁説)も有力である。また、家庭の平和の保護と真実主義を調和させるために、家庭が平和であれば外観説の範囲にとどめ、家庭平和が失われたときには血縁の事実探求を進めるというように、家庭の状態を考慮して嫡出推定を及ぼす範囲を区別する説(家庭平和説、家庭破綻説)もあり、下級審判例ではこれを支持するものが少なくない。血縁上の父と母が再婚している場合にかぎり、戸籍上の父子関係排除を認めるべきとする見解もある。

 しかし、最近の事例においても、最高裁は外観説の立場を崩していない(最判平10・8・31判時1655号128頁、最判平12・3・14家月52巻9号85頁)。嫡出推定制度の存在意義を見直し、否認権者や出訴期間について細かな配慮を示すフランス法やドイツ法と異なり、厳格な嫡出否認か合理的な規制を欠く親子関係不存在確認かという両極端の選択しかない現状では、772条の嫡出推定を排除する場合を狭く捉えるのもやむをえない。」(高橋朋子・床谷文雄・棚村政行「民法7 親族・相続」(有斐閣、2004年)117頁-119頁)


要するに、「嫡出推定が及ばない子」という嫡出推定制度を空洞化する領域を認めたわけですが、「問題となるのは、772条の嫡出推定が及ばない子の範囲」です。この空洞化を貫徹して民法の嫡出推定制度を完全に死文化させるかどうか(真実の父子関係の成立に努めるのか)という点で争われているわけです。

この点、民法の嫡出推定制度を完全に死文化させるのが「血縁説」であり、DNA鑑定により血縁上の親子でないことが分かっていても、血縁上の親子関係と異なる法律上の親子関係の存在を堅持するのが「外観説」であり、このできる限り死文化を阻止した「外観説」を最高裁は採用したのです。最高裁が外観説を採用したことで、「科学的鑑定を進める下級審実務は見直されなければならない」(別冊法学セミナー基本法コンメンタール(第5版)親族(日本評論社、2008年)129頁〔水野紀子〕)ことになってしまったのです。



(3) こうして最高裁が外観説を採用したために、いくらDNA鑑定で真実の親子だと証明しても、法律上の親子関係を否定されてしまう余地が生じてしまったため、民法772条1項による不都合はより解消できないままになっているのです。

この不都合を解消するには、法改正や戸籍実務を変更するしかなく、幾つかの方法が挙げられています。例えば、

<1>嫡出推定を争う方法は、管轄を非公開の家庭裁判所にし、親子関係存否の審判に1本化し、かつ科学的鑑定を積極的に利用できるようにする(「外観説」の否定)見解(二宮)、
<2>戸籍実務を変更し、父の欄を空白にした子の出生届ができるようにし、そのような父の欄が空白の出生届がなされた場合には、子の出生時に母と婚姻関係にあった者を父と推定しないとする見解(二宮)、
<3>戸籍実務を変更し、夫を父としないという出生届を受け付けることにする見解(多数説)、
<4>戸籍実務を変更し、「推定の及ばない子」として判例が嫡出推定を排除する範囲、すなわち別居後懐胎が立証できる事例においては、夫の子ではないという出生届を受けるべきとする見解(水野)

があります。




3.今回の事例については、全国紙の東京版で詳しく報道したのは毎日新聞だけでした。そこで、毎日新聞の記事も紹介しておきます。

(1) 毎日新聞平成20年6月3日付朝刊1面

無戸籍児:母子2代で無戸籍 特例、子に住民票--東大阪市

 母親が出生届を出さなかったために無戸籍の大阪府内に住む女性(24)が05年から06年にかけて2人の子供を出産し、いずれも無戸籍となっていることが分かった。離婚後300日規定で無戸籍となった兵庫県の女性(27)が5月末に男児を出産し、無戸籍となる恐れが指摘される中、2代にわたる無戸籍が存在することが明らかになり、法務省は早急な対応を迫られそうだ。

 大阪市内で会見した女性によると、母親は前夫の家庭内暴力などで別居した後、離婚協議も困難な中、別の男性との間に女性が生まれた。出生届を出さなかったため、女性は無戸籍で住民票もない。

 女性は婚姻届を提出できず、事実婚の状態で05年夏に女児、06年秋に男児を出産した。しかし、出生届は母親の本籍が必要なため受理されなかった。

 戸籍がないハンディを克服しようと、女性は直後に当時住んでいた東大阪市に相談。住民基本台帳法は、出生届の受理によって戸籍に記載した場合のほか、自治体が独自の判断で住民票に記載できると規定しており、同市は「子供が医療サービスなどを受けられるようにする人道上の配慮」から、子供2人を住民票に記載した。

 法務省は「無戸籍の子供がいることは好ましくなく、対応を検討している」としている。【工藤哲】

毎日新聞 2008年6月3日 東京朝刊」



(2) 毎日新聞平成20年6月3日付朝刊26面

無戸籍児:母子2代で無戸籍 将来の不安消えず 「早く対策を」

 「私が無戸籍なのは自分の責任ではない。私にも子供を産む権利はある。子供が安心して暮らせるよう対策を取ってほしい」。親子2代にわたる無戸籍を明らかにした大阪府の女性(24)は2日、会見でそう訴えた。幸い東大阪市の配慮で子供2人は住民票に記載されているが、戸籍がなければ結婚(法律婚)はできず、将来にわたる不安は解消されていない。

 女性は、兵庫県で離婚後300日規定による無戸籍女性(27)の出産が報道されたことを受け「自分の体験を明かすことで国が対策に動けば」と思い「無戸籍児の家族の会」に連絡を取った。

 無戸籍ではあったが、自治体の配慮で小中学校には普通に通えたという。しかし、無戸籍のため婚姻届は出せず、事実婚をするしかなかった。05年夏に生まれたのが女児。東大阪市から住民票への記載を認められたのは出生から約3カ月後だった。

 今、2歳と1歳になる2人の子供は住民票に記載されている。しかし、その住民票には母親であるはずの女性の名前はなく、事実婚の夫と子供2人の計3人の名前があるだけ。子供の続き柄の記載は、夫の実子にもかかわらず「同居人」だ。

 それでも、今まで「産まなければ良かった」と思ったことはない。女性は「戸籍がないと正式な人として認められていないような気がする。子供の人権まで失われるのではないかと不安。私以外にまだこうした事例はあると思う。好きで無戸籍の道を選ばせる親はいない」と訴えた。【工藤哲】

毎日新聞 2008年6月3日 東京朝刊」



この女性は、次のようなことを主張しています。

 「「私が無戸籍なのは自分の責任ではない。私にも子供を産む権利はある。子供が安心して暮らせるよう対策を取ってほしい」。親子2代にわたる無戸籍を明らかにした大阪府の女性(24)は2日、会見でそう訴えた。」


確かに、この女性が無戸籍となっていることについて、この女性に何ら責任はありません。そして、無戸籍である女性であるがゆえに、その子供も何らの責任もないのに無戸籍状態なのです。ですから、この女性の主張はまさしく正当なものです。

何らの帰責もないのに「無戸籍の連鎖」となってしまい、無戸籍ゆえに、多くの憲法上の権利が奪われて多くの不利益を被るのは、人権保障の観点からして実に不合理です。このような「無戸籍の連鎖」が多数存在することが予想される以上、早急な解決が迫られています。


テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

コメント
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2008/06/05 Thu 05:48:35
| #[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ:2008/06/05 Thu 05:48:35
コメントありがとうございます。お返事が遅くなってすみません。非公開コメントですので、いくらか修正して引用します。


>昨日の最高裁判決で、婚外子の国籍を認めない国籍法は憲法違反、という判決が出ています
>新聞紙面を見ると、子供の権利条約に関する言及はなかったように思いますが、それでいいのでしょうか

新聞紙面でははっきりしていなかったりしますが、多数意見と裁判官泉徳治の補足意見では、子供の権利条約に言及しています。裁判所が人権規約や子供の権利条約に配慮するなんて実に珍しいことです。

「また,諸外国においては,非嫡出子に対する法的な差別的取扱いを解消する方向にあることがうかがわれ,我が国が批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約及び児童の権利に関する条約にも,児童が出生によっていかなる差別も受けないとする趣旨の規定が存する。」(多数意見)

「上記のような国籍法3条1項の適用は,「すべての児童は,国籍を取得する権利を有する」ことを規定した市民的及び政治的権利に関する国際規約24条3項や児童の権利に関する条約7条1項の趣旨にも適合するものである。」(裁判官泉徳治の補足意見)


>今回の判決では、父親が不明や認知しない場合も救われませんから、それほど画期的という判決ではない
>法理論的には、父親が不明や認知しない場合を救済できないで良いのでしょうか。

実に鋭いご質問・ご意見です。答えるのにかなり困りました。


確かに、日本人父親が行方不明だったり認知していない場合は問題です。その対応は大変なようです。JFCネットワークさんの活動報告書を見ると、ほとんどがそういった場合のようです。↓をご覧ください。
「JFCネットワーク」
http://www.jca.apc.org/jfcnet/

日本人父親が行方不明や認知しない場合は、養育義務の履行を求めることができませんし、そうなると、国籍法上、日本人との血のつながりを証明できないため、その子供は日本国籍を取得することはできません。

救済する方法としては、子供の権利条約に基づいて、子供は滞在国の国籍を取得する権利がある、との主張が認められることです。

子供の権利条約7条1項は、「国籍を取得する権利」を保障し、「できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利」も保障しています。さらに、同条約9条1項は、「児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないこと」を締結国に義務付けています。

そこで、これらの規定から、子供の権利条約は、「滞在国の国籍を取得する権利」や「その子が生まれ、生活を続けることを希望する国の国籍を取得する権利」を保障しているとしています。いわば、生地主義に基づき(滞在国の)国籍を取得できる権利があるというものです。

しかし、かなり無理がある主張だといわれているようです(奥田安弘「市民のための国籍・戸籍法入門」115頁)。すなわち、「国籍を取得する権利」に関する規定は、具体的な国籍取得の要件を定めたものではなく、子供の権利条約は、血統主義と生地主義のどちらを採用するのかは各国の自由であるとすることで了解されており、「滞在国の国籍を取得する権利」や「その子が生まれ、生活を続けることを希望する国の国籍を取得する権利」は、条文上の根拠に基づくものとは理解されていないという理解が多いようです。

「父親が不明や認知しない場合」には、条約による救済もできず、救済するには国籍法の改正、例えば、フランスやスウェーデンなどでは、血統主義を原則としながら、自国で生まれて、一定期間以上居住していた者に対して、届出による国籍取得を認めていますが、こうした法改正をするしかないでしょうね。
2008/06/08 Sun 18:42:32
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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2008/06/04(水) 11:09:35 | ??
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2008/06/04(水) 12:39:39 | Ťκ?
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2008/06/04(水) 22:22:20 | ???
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